スポーツでスピードなおすすめアニメランキング 4

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメのスポーツでスピードな成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年04月20日の時点で一番のスポーツでスピードなおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

70.6 1 スポーツでスピードなアニメランキング1位
SK∞ エスケーエイト(TVアニメ動画)

2021年冬アニメ
★★★★☆ 3.6 (157)
479人が棚に入れました
「そのとき俺は確かに見たんだ。この沖縄に舞う、白い雪を─…」スケートボードが大好きな高校二年生・暦がハマっているもの――……それは"S"。「Sエス」とは、閉鎖された鉱山をスケートボードで滑り降りるルール無用の危険な極秘レースだ。中でも、そこで行われる「ビーフ(決闘)」に多くの人々が熱狂していた。暦はカナダからの帰国子女で転校生・ランガを「S」に誘う。スケートボードに乗ったことのないランガだが、「S」の熱狂は構わずランガを巻き込んでいく。裏の顔を持つ個性豊かなスケーターたちと繰り広げられる、サイコーでアツいスケボーレースバトル×無限の可能性が今、ここに始まる──!!

声優・キャラクター
畠中祐、小林千晃、永塚拓馬、三宅健太、緑川光、松本保典、子安武人、小野賢章

アニメ好き さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

【完結】切ろうと思ったが面白くて切れなかった。監督天才

オリジナルアニメで登場人物が完全に腐女子向けの男ばっかだったので1話少し見て切ろうかと思ったんですが、動きが良くて、背景などの配色のカラフルさがとても綺麗でスケートシーンに勢いがあって切れませんでした。
あとから調べてみると内海紘子という、京都アニメーションでfreeという有名なアニメの監督をした人が作っているらしい。けいおんの原画も書いてたんだとか。この天才が監督をしていたから腐女子アニメでも切ることなく見れたんだと納得しました。

食卓のソーマみたいな絵がキレイな勢い系の馬鹿スケートアニメで、脳死で雰囲気を楽しめるアニメです。
女性監督は配色きれいで丁寧なアニメ作りがちな法則があるんですかね?
ストーリーの続きは全く気になりませんが2話以降も見たいと思います

2話見ました!女性監督なのにスケボーの詳しい技術などの解説が沢山あるのが不思議でした。滅茶苦茶調べたんでしょうか?脚本の人が知識を持ってても監督が理解してないとアニメにならないと思うんですが。不思議です。
とにかくどのキャラも濃くて、必ずギャップがあるように作ってあります。スケートを0から学ぶ青髪の人がいるので視聴者も、同じ初心者目線でスケートの話を聞くことができました。内容が濃いです。3話目も見たいです

5話で爆笑しました!
スケートをあそこまで頭おかしく表現できるこの作品は素晴らしい!吹っ切れてて最高に楽しいです。
この監督只者ではないですよ。
動きも音楽もストーリー展開もBL要素もすべて高クオリティで毎話完成されています。良作!

結局最後まで楽しんで見れました。
ストーリーの展開とかは王道の少年漫画ですが、演出も話数の配分なども完璧に作り込まれています。
女性監督らしく腐女子向けなシーンも毎話盛り込まれており、円盤の売上もかなり良かったようです。
これをオリジナルストーリーで作り切るのは監督が天才過ぎます。化け物ですね
腐向けのアニメは嫌いな自分がぶっ飛んだスケボーバトルに魅せられて、主人公達が成長する様子に毎週ハラハラさせられる。アニメの良いところが詰まった良作でした。監督天才!

投稿 : 2024/04/20
♥ : 12
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

アングラレースと南国は良く似合う

オリジナルアニメ

沖縄を舞台にスケボーの闇レースに熱狂するギャラリーと闇レースに勤しむプレイヤーらのお話です。
アニメ自体は特に話題になることもなく1クール終了。だがしかし、なかなかどうして視聴感が心地いい作品でしたので好意的にご紹介。

まずはジャケ買いよろしくスタッフの名前で決めちゃいなよ!なこちら↓

 監督:内海紘子(京アニ出身。『Free!』の監督してた人)
 シリーズ構成:大河内一楼(まあ『コードギアス』ですよね)
 制作:BONES

このへん引っかかりがあるようでしたらどうぞ。先入観どおりかもしれません。
なんとなくお洒落(BONES製)な装いで、パワーゲームに踊る人々が登場(大河内テイスト)します。そして疾走感を期待したいスケボーレースにはしっかり応える監督さん。『Free!』での疾走感ある泳ぎ動画のノウハウは形を変えて引き継がれたかのような作りです。若干ですが男同士の友情においてやや気持ち悪いやり取りがあるのもご愛敬。

次に中身。
沖縄在住のスケボ大好きレキ(CV畠中祐)と沖縄に転居してきた未経験者ランガ(CV小林千晃)の二人が出会うところから始まる物語。うっかり滑ってみたらめっちゃ才能ありげで実はスノボのそれもかなりハイレベルの経験者とゆう背景がうまくいったのかもねなランガくんがほぼ主人公。

 なんでもありのスケボーレース

デュアルで殴り合い削り合いとフリーダムなレースシーンが作品の多くの時間を占めます。

 どっちが早くゴールできるか?

シンプルゆえにゴール到達までをどう見せるかが腕の見せ所でした。選択肢はざっくり二つあって

1.見たまんまヴィジュアルであの手この手やる(視覚重視)
2.モノローグやら回想やら二人のストーリーを作る(感情揺さぶり系)

本作は1.により重きを置いた仕様でした。潔くて好きです。


たぶん闇レースで理解正しいと思うんですけど、画面から伝わるアウトローな雰囲気となんでもありなレース仕様との相性は良かったように思えます。
思い浮かぶのは往年のゲーム。ファミコン『マッハライダー』やスーパーファミコン『F-ZERO』っぽいです。少なくとも『マリオカート』並みのキャッチーさとは遠いところにあります。
あとは人気シリーズ『ワイルドスピード』との親和性ですね。改造車と改造スケートボードと違いはあれど、あっちはマイアミこちらは沖縄とヤシの木が似合う場所。打ち込み多めの劇伴群。なにより「勝ったところでなにがあるん?」な非生産的なレースにかける想いの熱さを感じられます。

この非生産的というのがポイント。
利害から離れて、自身のプライドやその界隈でしか通じない名誉そして己の美学に純化することができて見てて面白い。そしてそれをきちっと理解してる作り手さんが制作してる見た目楽しい作品でした。



※ネタバレ所感

■足裏感覚

自分、スキーやってるんですけどオフシーズンのトレーニングではインラインスケート(ローラーブレード)使うんですよ。ローラースケートのお仲間みたいなものです。
体の重心移動の確認ができますし、なにより接地面への体重のかけ方だったり足裏の最も大事な感覚部分を雪がなくてもチェックできるって寸法です。
よってスノボとスケボーの親和性ってのにはリアリティあるんじゃないかしら?と思ってます。

{netabare}どっかの回でスノボでいうエッヂのかけ方を想定しながらターン時の体の使い方を確認してたけどそういうところが妙に説得力ありました。{/netabare}

雪とは無縁の南国でのレースがウィンタースポーツに通じてるぞってのがいいです。


■“いわゆる女性向け”で感じる違和感

世の中には百合もんあるのでBLもんあってもお互い様よねと思ってます。
とりあえずイケメンが出てくる男子の群像劇に条件反射で「女性向け!はいさようなら」とマウント取った別腹で百合もんにブヒってるみっともない姿は見せないように気を付けてます。「はいはい百合ね。こういうの好きな男もいるよね。自分興味ないんで勝手にすれば?あ、○○クンと○○クンのカラミ尊い~っ」総じて対人感受性高め(要はコミュニケーション力有り)な女性が同じようなことした時に他人の目にどう映るのかを重々理解してるのです。まずやりません。

 性差

この一対一の関係で男性がイメージするもの女性がイメージするもので違いってありますよね。
いくつか観てきて同性の友人への感情のぶつけ方でどうしても「こりゃ違うわ」ってのがあります。

{netabare}才能を持たざるレキが才能豊かなランガに嫉妬する。男女関係なく芽生える感情でしょう。
それをそのまま「君に嫉妬している。僕もどうしたらいいかわからないんだ。」と直接ぶつけるアニメ作品。ここ違和感。

多聞に“私をかまってよ”が含まれる感情のぶつけ方を男はしない(と思う)。
百歩譲って「君に嫉妬してい“た”」と自身の整理がついてから。

やきもちや嫉妬の処理の仕方が違うのよね。{/netabare}


この時点で男性(俺)視点からみたリアリティとは離れていきます。物語面ではマイナスなんですけど、これは見た目楽しむ作品という位置づけだったのでOK!



視聴時期:2021年1月~3月 リアタイ

-----


2021.04.11 初稿
2021.01.03 修正

投稿 : 2024/04/20
♥ : 34

さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

00年代のアニメ感

CM前後のアイキャッチの入れ方とか、ギャグの崩し方とか衣装デザインとか…
前回のスケボーブームが90年代くらいだと記憶していますが、その辺りの層を意識しているのか、ずいぶんと肌になじむアニメでした。

物語はきれいにまとまっており、大変見やすかったです。
作画は流石のボンズ、アクションが上手いし、目立った崩れがありません。

物語は大変良くまとまりがあり面白かったのですが、何分各キャラの掘り下げが弱い。
2クールは長いかもですが、もう少しいろんな角度でキャラを見たかったです。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 2

66.8 2 スポーツでスピードなアニメランキング2位
アイシールド21-EYESHIELD21(TVアニメ動画)

2005年春アニメ
★★★★☆ 3.6 (383)
2235人が棚に入れました
私立泥門(でいもん)高等学校に通う気弱な高校生、小早川瀬那は入学早々ひょんな事から泥門高校アメフト部「泥門デビルバッツ」に主務として入ることになった。
その帰り道、彼をパシリにしていた不良たちに絡まれ、逃れるために泥門駅まで爆走して駆け込み乗車をした。それを目撃したアメフト部主将ヒル魔に翌日強制的に選手にされ、唯一の取り柄である俊足で選手登録名「アイシールド21」として試合に参加することになる。
多くの強豪と戦いアイシールド21として瀬那自身も成長していくことで、全国大会決勝(クリスマスボウル)出場を仲間達と共に目指していく。
ネタバレ

シェリー さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

好きなものを語る。

ちょうど小学4年生のときからジャンプを読みはじめました。コロコロコミックより大人なものを読みたかったのでしょうか。
1人で寝るようになったのもそのときだったような気がします。それはもうすごく離れたかったw
その頃のジャンプの看板は終わってしまったものもありますが、今とそんなに変わらなかった気がします。
初めて読んだとき、ワンピやボーボボは知っていたけど、他の作品はまったく知らず、とにかく新しいものに触れた感触だけは残っています。
それと3つだけ覚えているのがあります。後にドハマりするBLEACHは海燕の過去編が気持ち悪くて最初は、
とても読む気になれなかったことと、いちご100%がエロかったことw、そしてアイシールド21に一発でハマったことです。

僕が初めて読んだ号では、アイシールド21はちょうどムサシを探していた話の終わりでした。
「57th down 全て遠い日の花火だと」いまでもガラスに映ったムサシの姿を描いた扉絵をはっきりと思い出せます。
この回のどこに惹かれたのかなは自分でもわからないけれど、でもこの話を読んだときにビビッとくるものがあってそこから春の訪れとともに始まる雪崩のように一気にハマりました。


『アイシールド21』はアメリカンフットボールを扱った話です。
2年のクォーターバック(投手)のヒル魔に、ラインの栗田の2人しかいなかった部活が、
主人公のランニングバック(走者)の小早川セナを皮切りにどんどん人数を増やしていく。
しかし、彼らの高校「泥門高校」の部活は3年の夏まで。
彼らが目指すクリスマスボウル(全国大会決勝戦)への挑戦権は、今年が最後のチャンスなのです。
そんな急造チーム「泥門デビルバッツ」が、アメリカンドリームの精神を胸に、強敵チームを地道に倒していくお話です。

人気少年漫画の宿命なのか(すべてではないけどね)、やはりこの作品も最後に進むに連れてだんだんとつまらなくなっていくものの、1~7巻まではなによりも面白い!
駆け抜けるような展開に、挫折があり、成長がある。ヒル魔を起点とした笑いの部分も最高です。
話のタネにこのキャラを使おうといったところがなく、絶えず歩を進めていく、時間と共に描かれる彼らの描写は自然で、とても素直に感じます。
変に作られた話はなく、彼らの意志が剥き出しのままに肌にビシビシときます。
漫画の絵は未熟なんだけれども(けっこう線も曲がっていたりする)、僕は断然こっちの方が好きです。
この作品は、稲垣理一郎さんが話を考え、村田雄介さんが絵を描いています。
7年も連載されていたので、当然なんだけど絵はだんだんと上手くなっていきます。
線がシャープに、どんどん「綺麗に」洗練化されていきます。
それはそれでいいんだけど、個人的にはマンガ原稿用紙に直接描いたような跡が見える方が結構好みだったりします。
ほんと直線とかうにょうにょなんだけど好きだなーって思います。

しかし、話がだんだんと進んでいくとともに、天才たちが多くなり、あとは必殺技の応酬です。
そして言葉の論理通りに試合が運んでしまっている。
前までに描かれていた話と比べると、試合は1人の選手にフォーカスし過ぎて全体の流れは死んでしまっているし、
点数は話の筋の調整として入れらていきます。試合中も見せ場がないせいか、攻撃の合間に敵チームとしゃべりまくりです。
んー、これではちょっと、と思ってしまう。
それにキャラクターの登場したての頃の良さはどんどん削られていきます。
試合に勝ったあいつの反応は?このときあいつはどう思った?というのがだんだんと描かれなくなっていきます。
そのスペースは他チームの天才たちに取られてしまいます。淋しいですよね。
これをしょうがないと片づけてしまうのであれば、何も言うことはありません。そういうことです。
でも僕が読み始めたのは、そのちょうどこの漫画の転機である58話の1話前です。
僕はこの回からはっきりと漫画の色を変えてきたなと思います。話の作りから絵から構図から何から何まで。
だから不思議だなあって思います。

{netabare}

目に見えて分かるのはエイリアンズ戦のブリッツ。
セナが経験的にホーマーの腕を潰しにいくことに気づき、実践することを描いているけれど、
これはヒル魔が一言教えればそれで済むのではないかと思うのです。こんなことで1話を使うなんてらしくないな、と最近読み返して思いました。

{/netabare}

この漫画の好きなところは、試合で天才たちに一矢報いるところです。
絶対強者である敵になんとかして勝ってやろうというところが面白い。
ヒル魔が奇策を練り、それぞれの努力で培った体と技術で試練をくぐり抜ける様は何度読んでも勇ましい。
鳥肌が手から腕へと駆け上がり、全身へと広がっていき、鼓動もドクドクと早く打つ音が聞こえるくらい興奮します。
ほんとに面白いし、好きです。

でも一番好きなところはと訊かれると、あまり共感はないのかもしれないし、とても小さなことですが、
どんなに強い選手でも自惚れず、ちゃんと先輩に敬意を払うことができるところです。
というかむしろ考えるまでもなく当然だというそれに読んでいてじーんときます。
それはポセイドン戦。
体格の大きい一年生が主戦力のチーム「ポセイドン」では、上級生が少しばかり隅に追いやられているようなイメージがあります。
活躍するのは一年生ばかりで、上級生はトーナメントの最初に出場して負けそうになって交代していきました。
その試合はもちろんポセイドンの一年生が圧勝。
泥門との試合のラストのタイムアウトで、小判鮫先輩が「俺らとかすっかり役立たずで……」と言います。
読んでいるこちらとしても、初めはそりゃあそうだよなあとか思うのだけけれど、それに2人はぽかんとした顔をして返す。
「小判鮫先輩とかが役立たずなんて、俺だって水町だって全員一度も思ったこと無いっすよ。」
ここは本当に素晴らしいなあって思います。僕も運動なんて全然できないから小判鮫に共感するし、
いくらアメフトの部活とはいえ、実力のあるなしで判断をしない彼らのそういうところには感動しました。
最終巻の末尾に描いてあるキャラクター紹介でも、新しく泥門にはいっていきた子(名前忘れた)の紹介文に、
「十文字らの実力をすぐに追い越すが、先輩たちへの尊敬だけは忘れなかった。」と書いてあったと思います。
これを見たときにポセイドン戦のこのシーンも思い出したし、ちゃんと大事にしているんだなと感心しました。
こういうのってなかなか簡単に描けることではないなと思うのです。
ちなみに我王のあれはファッションです。あれはむちゃくちゃですw


と、批判を交えながらいろいろと書いてきましたが、とにかく大好きです。
小学校4年から中学の途中までは、僕のダークヒーローはずっとヒル魔でした。
とにかくかっこよかったし、憧れていた。 ほんとになれるものならヒル魔になりたかったw
まあそんな思い出のある少年漫画です。興味が湧いたらぜひ。

{netabare}

一番好きな試合は、神龍寺戦。

好きなシーンは、盤戸戦の後、セナが疲れ果てて鈴奈に倒れ込んで、鈴奈が一言「セナ、背伸びた?」
このシーンと、この台詞はドキッとしました。こんな台詞出ないよね。
もうひとつは、関東大会の王城戦の後、初詣で大田原と高見さんに会ったとき、去り際に、
「ばっはっは!お前らへのリベンジマッチは、来世か」「もう一度君らと、一緒のフィールドで戦いたかったよ…」
この一言は僕はずしっときました。二度と繰り返されることのない高校のアメフト部。
そこで生涯一度きりの、最高のライバルと、最高のチームに巡り逢え、戦うことのできた喜び。
「来世か」なんて大田原の台詞も、馬鹿にできない。本当にそう思っているから。そうすることができたらいいのにと心の底から思っているから。
王城戦で言った大田原のあの言葉、「本当は、泥門とクリスマスボウルで戦いたかった。」
なんてバカなことをいうんでしょうね。泣かせてくれます。


{/netabare}


あでゅー。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 7

◎TARGET さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

どんなに絶望的な状況でも最後まで絶対にあきらめない男たち

❏総評

原作者は「稲垣理一郎(原案)、村田雄介(作画)」。

ネタバレしない程度にあらすじ

部員2人で部活動すらままならない弱小の泥門高校アメフト部
「泥門デビルバッツ」が、主将のヒル魔(蛭魔)があらゆる手段を使って
仲間を集めながら共に成長し、ライバル校の猛者達と切磋琢磨
しながら、クリスマスボウル(※)出場を夢みて努力奮闘するという、
スポコンアニメの王道とも言える作品。

(※クリスマスボウルとは高校野球で言う甲子園決勝戦のこと。)


作者も公言しているが「リアル40%、ファンタジー60%」の作品なので
いわゆる少年漫画向けの一般的なスポコン漫画同様、演出は
かなりオーバーではある。反面、アメリカン・フットボールを全く
知らない人が見てもわかりやすく、アメフトがいかに面白いスポーツか
視聴者に感じさせるよう色々工夫されているように感じた。


❏アメフトアニメとしての見所

アメフトは他の一般的な球技と異なり、ポジションそれぞれに求められる仕事が
かなり限られているので、ジェネラリストだけでではなく「○○しかできないけど
他はからきしダメ」といったスペシャリストの活躍が許される唯一のスポーツ
と言っても過言ではない。

だから主将のヒル魔は、

小さい頃からいじめられっ子で不良にパシられてきた「逃げ足」だけが取り柄の
主人公のセナをスカウトしたり、野球部で2軍にも入れないが「ボールのキャッチ」
だけは誰にも負けないモン太をスカウトしたりして、他のスポーツでは活躍が難しく
埋もれてしまうような凡人達の個性、「アメフトの世界では光り輝く個性」を見極め、
スペシャリストの集団を作っていく。

しかし当然、1つだけできるより2つも3つももしくは何でもできる選手の方が
選手としては使いやすいのも確かである、しかしそのようなプレーヤーは
皆アメフトの名門高校でプレイしており、泥門高校には居ない。だからヒル魔は
そんな個性的なメンバーを自らの頭脳をフル活用して、効果的な場面で
効果的に使っていくことで本来勝てないような格上の相手にも勝つための
活路を見出してゆく。

アメフトは体力だけの戦いではなく、将棋のようにプレイヤーを駒として
どのようにプレイさせるかで戦局が変わっていく頭脳スポーツなのである。

これらの選手スカウティングから選手へのコーチング、さらに選手本人の
がんばりによる成長までの過程と、ヒル魔の試合中、試合前の頭脳戦/心理戦が
このアメフトアニメの最大の見所である。


❏原作>アニメ

途中、原作の連載に追いついてしまった際のオリジナルストーリーは
盛り下がるものの、原作に沿った方のストーリーラインは原作と遜色ない
レベルですごく面白くできている。

オリジナルストーリーは「ながら見」「1.5倍速」で見ればOK。

アニメの方はストーリーライン上かなり盛り上がってる所で
打ち切りになってしまったので、その後の話は原作で必ず読もう。
というか、読まずにはいられないはず。

主役の1人「ヒル魔」の声優がロンブー敦なのだが、かなりのハマリ役だった。
賛否両論あるが、個人的にはかなりキャラにマッチしていたと思う。
彼はプロの声優ではないので、最初ちょっと下手っぴーだったが、
徐々に良くなっていき途中からは声優として違和感を感じなくなっていった。

あとチアリーダーの「瀧鈴音」役の声優さんが素敵だったので、調べてみたら
なんと「しょこたん」だったw 全然気付かなかった…


❏蛭魔妖一という男

当作品の表の主人公を「小早川瀬那」とすれば
裏の主人公は「蛭魔妖一」である。

「小早川瀬那」はこのチームが勝つためのキーマンの一人であることは事実だが、
選手層も薄く、初心者ばかりのチームを勝利に導いていく大役を担っているのは
圧倒的にヒル魔の方なのである。

上にも記載した通りアメフトは同じプレイヤーで戦っても、戦術次第で強くもなれば
弱くもなる要素がとても強いスポーツなので、心理戦、頭脳戦を介して戦況に応じて
戦術を臨機応変に組み立てられるヒル魔こそが最大のキーマンなのである。

週間少年ジャンプの作品なので、セナが主人公だが、
青年誌向けの連載だったら、ヒル魔を主人公にする設定でもいいぐらいである。

大人(特に社会人)が見る場合は、ヒル魔の勝利への執念と行動力、
どんなに絶望的な状況でも心折れずに最後まで勝利までの道筋を
冷静に考え続ける姿勢に考えさせられる場面もあるのではないだろうか。


❏最後に

最後まで絶対にあきらめない熱い心
狡猾な心理戦、頭脳戦

色々な要素が楽しめるスポコンアニメの良作!

投稿 : 2024/04/20
♥ : 3

prost さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

うん、おもしろかった!

アメフトという競技そのものを知らなかったけど、逆輸入状態でハマった作品。
アメリカで人気のスポーツらしいのは、秒単位で試合が展開しちゃう早さ。
攻守同じメンツなのに体力持っちゃうとことかちょっと無理な展開もあるけど、許せちゃうのはなじみがないスポーツだからかな?
キャラクターの個性は圧倒的におもしろい。
頂点めざすスポ根アニメだけどキャラの心理的成長とうまくあっててしつこく感じないと思う。
後半部の閉め方があまり納得できなかったのが残念。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 0

72.2 3 スポーツでスピードなアニメランキング3位
茄子 アンダルシアの夏(アニメ映画)

2003年7月26日
★★★★☆ 3.9 (190)
943人が棚に入れました
『茄子 アンダルシアの夏』(なす アンダルシアのなつ)とは黒田硫黄の漫画『茄子』の短編『アンダルシアの夏』を原作として2003年に公開された上映時間47分のアニメーション映画。
【ストーリー】スペインの自転車ロードレース、ブエルタ・ア・エスパーニャを舞台に主人公ペペ・ベネンヘリが解雇の危機に直面しながらなおかつ、かつての恋人と兄の結婚という複雑な思いの中にあってもプロ自転車選手として「仕事」に取り組むさまを描く。

声優・キャラクター
大泉洋、小池栄子、平野稔、岡田吉弘、平田広明、坂口芳貞、羽鳥慎一、市川雅敏、筧利夫

あーるぐれい さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

茄子のアサディジョ漬け!

世界3大時自転車レースの一つである、"ブエルタ・ア・エスパーニャ"を舞台に、灼熱のアンダルシアを駆け抜ける、切なく熱い男の意地を描いた作品。
アコギで奏でるラテン音楽&フラメンコ、ワイン、小茄子の漬物など、太陽の国スペインを彩る小道具が効いてます。

ぶつけ所のない気持ちを胸に秘め、ただひたすらに前へ進むぺぺ・ペネンヘリの姿がとても印象的。イイ男です♪
スポーツアニメは数あれど、自転車ロードレースは珍しい題材ですね。
炎天下の駆け引き模様はもちろんですが、なによりレーサー達がペダルを漕ぐ息遣いの演技に、本気のレースの緊張感を感じずにはいられません。

一番の見どころはレース終盤。
市街地~ゴールまでのクライマックスの迫力はまさに圧巻!
思わずぎゅっと手を握ってしまいました。

アンダルシアの風を確かに感じる良作♪

投稿 : 2024/04/20
♥ : 7

takumi@ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

アンダルシアの熱い夏

冒頭シーンに登場する「茄子のアサディジョ漬け」
これ、最初聞いたときはてっきり
「茄子の浅塩漬け」って言ったように聞こえた。
で、調べたところ、アンダルシアにはこのような漬物、実際にはないらしい。

物語の舞台はスペインのアンダルシア。
スペインの自転車ロードレース、ブエルタ・ア・エスパーニャを中心に、
主人公 ペペのかつての恋人と自分の兄が結婚することへの複雑な想いや、
ロードレーサーとしてのプロの世界を描いている。

ロードレースには詳しくないのだけれど、
アンダルシアの風景や、主人公 ぺぺの明るくて面白いキャラをはじめ、
人情豊かな登場人物たちのおかげでけっこう楽しめた。

声の出演は、主要な役柄に俳優やタレント、
実際のアナウンサーや元ロードレーサーなど起用されているせいか、
賛否あるようだが、個人的には、アナウンサーを起用したのは正解だったかなと。
実写映画を観ているような感覚で、特に実況中継のシーンがすごくリアルだったし、
終盤のゴールのシーンはいつ見ても手に汗握ってしまう。

ちなみに、EDの「自転車ショー」という歌は
ご自身も自転車が趣味だったという忌野清志郎氏が歌っています。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 39
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

アンダルシアの猫

アニメーション制作:マッドハウス、
監督・脚本・作画監督:高坂希太郎、
演出:前田敦史、音楽:本多俊之、
原作:黒田硫黄(『茄子』)

『もののけ姫』や『千と千尋の神隠し』で
作画監督を務めた高坂希太郎の初監督作品。
制作はマッドハウスだが、
原作漫画『茄子』の大ファンだった宮崎駿が
高坂監督に作品を薦めた経緯があるなど、
スタジオジブリに縁のある作品といえる。
高坂監督は、浦沢直樹作品とも縁が深く、
『YAWARA』や『MASTERキートン』のアニメ化では、
作画の中心的なポジションで活躍し、
『MONSTER』では浦沢直樹からの指名で
キャラクター原案を手掛けた。
ちなみに最近では『若女将は小学生』の監督も務める。

個人的には2003年の公開時から
作品を知っていて、何となく気にはなっていた。
dアニメストアでの配信が今月いっぱいで
終わることを知って、17年越しの視聴となった。

スペインで毎年9月に行われるブエルタ・ア・エスパーニャ。
ツール・ド・フランス、ジロ・デ・イタリアと併せて
グランツールと呼ばれている、
サイクルロードレース最大のイベントのひとつだ。
私はサイクルロードレースに関して全くの無知だが、
この作品を観て、レース描写に圧倒的なリアリティを感じた。
おそらくそれは、原作者はもちろん、
高坂監督自身がアニメ業界屈指のサイクリストとして
知られることも大きな要因だろう。

レースの駆け引き、チームとしての戦い、
横風が吹いたときの対応、
ヘルメットをかぶるタイミング、
水分補給の仕種、スプリント時の描写など、
真に迫ったものが感じられる。
これは「本物」が持つ何かという感じがする。

サイクルロードレースの繊細な描写とともに
焦点が当たるのが、主人公・ペペと
兄のアンヘル、元恋人カルメンとの関係、
忘れたい故郷のスペイン南部・アンダルシアだ。

アンダルシアはスペイン南海岸を含む自治州で、
観光地として人気のある場所。
ある意味、バルセロナに次ぐ知名度を誇り、
闘牛やフラメンコは、この南部で盛んに行われる。
照り付ける陽光から一瞬だけ隠してくれる
闘牛の看板や結婚式でのフラメンコなどで
その一端を感じられる。
実際に行ったことはないので、偉そうなことは言えないが、
この地方のグラナダにあるイスラム建築の至宝・
アルハンブラ宮殿には一度は訪れてみたい。
まさに芸術品と呼ぶにふさわしい建造物だと思う。

しかし作品内には、そんな観光地は登場しない。
痩せた土地と鋭い陽光が照り付ける田舎町。
{netabare}ペペが生まれ育ち、自転車と女性を兄と取り合い、
兵役が運命を分けた苦い思い出の残る故郷。
レース当日は、兄と元恋人の結婚式が行われる。{/netabare}
ペペにとっては、レースで通り過ぎる場所に過ぎない。
名物の茄子のアサディジョ漬けも
最近は口にしていない。
(実際には茄子のアサディジョ漬けは
アンダルシアの名物ではなく、少し北にある
カスティーリャ=ラ・マンチャ州の名物のようだ)
そんな背景を思い出しつつ、
ペペはスポンサーの意向を汲みながら
チームとしての勝利を目指し、レースに挑むのだった。

キャラの背景や人物描写がしっかりしているため、
物語にすんなりと入っていける。
あくまでも中心はサイクルロードレースだが、
そこに主人公や周囲のやり取りが
小気味よく挟まれ、観ていて飽きない。
動きや心情表現は、ジブリからの影響を感じさせる。

何かを赦したり、マイナスの感情を
乗り越えたりするのは難しいものだ。
ひとつの出来事が単純に作用するとは限らず、
重層的に心に染み入っていき、
徐々に和らいでいくことが多いのではないだろうか。
それは時間の経過や劇的な環境の変化、
偶然が重なることもあるだろう。
ひと言では表現できないようなものが
ゆっくりと、しかし確実にもたらす状況。
この作品は、46分間という限られた時間のなかで
心の動きを上手く表現している。
ある1日の出来事に過ぎないが、
さまざまな感情が入り込んでくる。

人々の熱狂とアンダルシアの陽光のなか。
男の故郷への想いと未来の希望が溶けていく。
(2020年6月20日初投稿)

投稿 : 2024/04/20
♥ : 45

78.3 4 スポーツでスピードなアニメランキング4位
劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦(アニメ映画)

2024年2月16日
★★★★★ 4.2 (32)
94人が棚に入れました
バレーボールを題材にした古舘春一の漫画原作のTVアニメ第4期から続く劇場版FINALシリーズ第1部。“ゴミ捨て場の決戦”と呼ばれる音駒高校戦を描く。稲荷崎高校を破り春高3回戦に進んだ烏野高校は、因縁のライバル・音駒高校と初めて公式の舞台で対戦する

ninin さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

カメラワーク

原作未読 84分

事前に、ハイキューのアニメを全て試聴してから観ることをオススメします。

「烏野高校VS音駒高校」 通称“ゴミ捨て場の決戦”の試合を描いた作品です。

過去の映像もちらほらとありましたが、ほぼ丸ごと試合でしたね。カメラワークも凝っていて自分がコートの中にいるような大迫力の映像でした。

ハイキューファンの方は是非劇場への視聴をオススメします。

主題歌は、SPYAIRさんが歌っています。

最後に、私の観た回はお客さんは7割ぐらいでした。横並び観客の中で映画鑑賞中に携帯触ったり、喋ったり(ボソボソ)と集中出来なくて楽しめませんでしたね。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 14
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

シリーズ未見で突撃した結果……アニメスポーツ観戦の可能性を再認識

【前書き】
原作、アニメ未見で無謀にも劇場版最新作を鑑賞したことに関する弁明。

お目汚しなので折りたたみw
{netabare}
私にも、乗り遅れてしまったけど、いつか時間があったらマラソンしたい長期シリーズの代表格が3作あって、『ハイキュー』はその一角。
アマプラでもしょっちゅう視聴をオススメされますw
(因みに残り2つは『ヒロアカ』と『キングダム』)

スポ根への飢餓感が出る度に、いい加減そろそろ『ハイキュー』観ようか、
でも今更あの話数を追い掛けるのはな……と躊躇を繰り返す内に、
原作は完結し、TVシリーズは4期80話超に積み上がり、作中登場するガラケーは現実世界ではスマホに取って代わられ。

完全に時代に置いて行かれた、そんな折、
丁度スポ根渇望の強い発作が起こったタイミングで飛び込んで来たのが、
本劇場版の興行ロケットスタートの一報。
予習復習してからとか言ってたら一生行けない。
このビッグウェーブに乗って行ってしまえと飛び込んだ次第。{/netabare}

初手で、いきなり劇場版最新作に挑むというのは、置いてきぼりになる可能性大ですし、
何よりシリーズをずっと追いかけて来たからこそ味わえる感動を放棄しかねない悪手。
やっぱり記憶を消してもう一回シリーズの最初からと後悔してもあとの祭り。

私はそこも織り込んだ上で覚悟を決めての劇場鑑賞でしたが、良い子は真似しないようにしましょうw


【物語 4.0点】
春の全国高校バレー・烏野高校VS音駒高校の一戦を描く。

一試合丸々と言えば映画『THE FIRST SLAM DUNK』のヒットが記憶に新しいです。
あの映画、私はもちろん山王戦を知った上で行きましたが、なにぶん見たのは20年以上前のことで細かい部分までは覚えていませんでした。
でも最悪、両校メンバーの経緯とか分からなくても、外野の観客席視点からゲームに熱狂するだけでも一定の満足度は得られる。
アニメ映画一本ワンマッチというのは、作品理解の深度に応じて色んな楽しみ方ができる間口が広いコンテンツと認識。

私が初手劇場版最新作の賭けに出たのも、『スラダン』が念頭にあったから。
本作ヒットの要因も、また『スラダン』みたいにスポーツ観戦を劇場で堪能できる作品をとの需要に応えた結果ではないでしょうか。


で、今回の一戦。思った以上にライバル校・音駒高校視点だったのがシリーズ初心者には有り難かったです。
練習試合などで何度も絡んできたという両校メンバー個々人ごとに築かれたカップリングの深い味わいとか、
世代を越えた監督の関係性から見るこのゲームの因縁と意義とか、
両校間の腐れ縁を共有できていない私には当然拾えません。
ですが主人公・日向 翔陽ら烏野高校が積み上げて来た物を理解していないと状況すら分からないとかではなかったので、
少なくとも完全に置いてきぼりにはなりませんでした。

ライバル校視点から見て、“妖怪チビガラス”擁する烏野って、見る度どんどん変わっていく。
良い意味で気持ち悪いチームだな~と外野から感心していました。
勝つために何でも取り込む両校の雑食感。『~ゴミ捨て場の決戦』とは言い得て妙です。

状況理解の面で苦労したのはAパスだの、ブロードだの、バレー専門用語が解説なしに乱れ飛ぶ点。
私は長年愛読しているバレー漫画『少女ファイト』や定期的にテレビ観戦する世界バレーで付け焼き刃した知識を手がかりに何とか喰らいつきました。


鳥人軍団・烏野のアタックなど派手な空中戦だけでなく、
駆け引きを通じてバレーボールの奥深さを再認識できる試合描写にも感心させられました。
(まぁ、それができてない漫画が6000万部売れたりしませんよねw)

バレーのTV中継など見ていると、ジャンプの最高到達点だけやかましく叫んだり、
あのプレーは運がなかったですね~あれで流れが変わりましたね~とか、
今日の10番調子悪いですね~とか素人目から見ても浅い実況が耳に障ることがあります。
が、本作は外野からは運に見えるターニングポイントを引き寄せるため、
助走距離などを焦点に、コート上に様々な権謀術数が交錯していたことを選手目線で共有できたのが嬉しかったです。
{netabare} カラスを地上に引きずり下ろす猫。{/netabare} バレーの魅力を存分に堪能できたナイスゲームでした。


【作画 4.5点】
1期からProduction I.G.がアニメーション制作している本シリーズ。
同スタジオはスポーツをどう描くのだろう?
この興味も私の『ハイキュー』視聴欲求が途絶えなかった一因。
加えて一昨年サッカー漫画『アオアシ』のNHKアニメ化で感じた、
アイジーは試合の過程で熱くなれる作品要素もしっかりと再現できるとの信頼も、
今回の劇場版最新作ダイブを後押しする背景に。

その信頼は冒頭、烏野の日向 翔陽はカラス、音駒の孤爪(こずめ)研磨は猫。
比喩のキーとなる動物の描き込みの細かさを見て確信に変わりました。


どんな競技でもキチンと描けば作画の消耗は激しくなるもの。
中でも特にバレーボールは得点シーンの多くが空中で展開されるため、空間の再現は困難を極める。
主要スポーツでバレーだけ世界でもまともにヒットしたゲームがないのは競技人気だけではないでしょう。

本作では試合中継、観客、選手目線と様々な視点から描写することでバレーボールを好表現。
やっぱり一番ドキドキしたのはクライマックスの孤爪の一人称視点でしょうか。


汗の描写にも手を抜かない姿勢も好感しました。
必死な青春を演出するだけでなく、ゲームを左右する要素としても絡んで来る汗。
展開に説得力があったのは作画が汗もちゃんとカバーできていたからだと思います。

作画もカメラワークもサボらない。アイジーにはスタミナがあります。



【キャラ 4.0点】
試合前、テレビ中継実況でなされるスタメンとポジション紹介。
シリーズ追って来た人にとっては粋な演出。
初心者の私にとっては最低限の顔と名前を一致させる命綱ですw

このまま控えメンバーも含めた群像劇の百花繚乱となれば新参者は取り残されるのが必定。
ですが、本作は音駒の孤爪 研磨と、彼をバレーボール沼に引きずり込んだ同じ部の黒尾 鉄朗、もっとバレーを楽しいと言わせたい烏野の日向 翔陽の3人を中心に比較的焦点が絞られていたので、折り合いは付けやすかったです。

その中で実質的な主人公視点を提供したのが孤爪。
別にバレーが面白くて続けているわけじゃないと冷めた性格。
彼と一緒にバレーの楽しさ、『ハイキュー』の面白さを認識できる視点で歩めたのも有り難かったです。
私も疲れるのは嫌なので、スポーツはやるより観る方が好きですしw

大会結果よりも孤爪にバレーで楽しかったと思い知らせてやることが悲願。
これもシリーズ視聴積み重ねていないと深くは分からない要素なのでしょうが、
分かっていない私でも孤爪陥落の悲願達成にはもらい泣きしそうになりました。


【声優 4.0点】
主演・日向 翔陽役の村瀬 歩さん。
熱血少年からプリキュアまで高音ボイスを巧みに操り多彩なキャラを演出する私が尊敬する男性声優。
彼の代表作である本シリーズを一度はというのも視聴欲求が途絶えなかった一因。
時に女声までカバーする柔らかさだけでなく、本作では春高バレーの歓声にも負けないパワーに心を揺さぶられる。
村瀬さん流石です。

そんなCV.村瀬 歩さんとマッチアップしたのが孤爪 研磨役のCV.梶 裕貴さん。
周りにも実力ある男性声優が揃い女子でない私でも終始耳が幸せでした。

エンドロール後にもパートがあるので離席厳禁。
次は{netabare} CV.花江 夏樹さん{/netabare} が相手ですか。オールスター級ですね。


【音楽 4.5点】
劇伴担当は林 ゆうき氏と橘 麻美氏の1期からの共作が継続。
林氏のパワフルな金管とストリングスが好物だったというのも、
長年視聴欲求が途絶えなかった一因……と、ここまで要因が重なると、
私の今回の『ハイキュー』初鑑賞は必然だった気がしますw

林氏だけだとストリングスが綺麗過ぎるとなるような場面を、
橘氏の荒々しいバンドサウンドがフォローする。
両者のコンビネーションにも円熟味を感じました。


ED主題歌はSPYAIR「オレンジ」
ギターサウンドが心地よい良作青春バラード。
1期から主題歌を数多く提供しているとあってタイアップ歌い慣れている感はありましたが、
初心者には甘酸っぱい果実の奥深いところまでは拾い切れず。


バレーのスパイク音など効果音も良い仕事していました。
翔陽が一番高く飛んだ時、コートの床がキュッ!と鳴る音。
良い音が響いていました。


【余談】
劇場鑑賞後、原作のカラー版刊行が進んでいることを知り、
取り敢えず初巻からゆっくりと読み進めることに。
今後やっぱり映像でも観たいとなればアニメつまんでみるのも良し。

いずれにせよ作品理解を深めていく中で、今回の初手劇場版最新作の愚行を、
じっくりと後悔したいですw

投稿 : 2024/04/20
♥ : 15

takato さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

デジャブなスラムダンク現象。結局私はスポーツが見たいんじゃなくて「少年漫画のアニメ」が見たかったんや…。 

もう今年一番の楽しみだよぉ〜と走って満員の劇場に駆けつけて鑑賞。しかし、凄い技術が繰り広げられてるけど徐々に心が冷えていく…。あれ?なんかこれデジャブだなっと思ったらまんま一昨年の「スラムダンク」の映画を見てる時と同じじゃん!という結論に達しました。


 だから正直自分としてはテン上げノリノリには残念ながらなれませんでした。ただ、一目見て誰の目にも凄いですから「スラムダンク」ほどではなくても大ヒットしそうなのでファンとしては複雑ながら喜ばしいことかと。



 映画「スラムダンク」のレビューと多少繰り返しになっちゃうかもですが、本作もリアルタイムスポーツを見てるような体験を目指して作られており、クライマックスのトンデモナイ描写とか正気の沙汰じゃない技術だと思います。故に尺が90分足らずでも一試合充分に収まっているのですが…。


 考えてみるに今までのハイキューは、決して昔のジャンプアニメみたいに過剰な引っ張り芸ではなかったものの重要な試合ではたっぷり時間をかけてきました。白鳥沢戦はほぼ1クール即ち5時間くらい。稲荷崎戦も同じくらいかけていたと思います。他の作品でも書いてきましたが、盛り上がる展開を充分に作るにはどうしても溜めや積み重ねが重要であり、ピラミッドを築くような手間と時間がかかるものなのです。


 
 通常の映画のように2時間なら2時間で完結している形式ならともかく、長い連載形式の少年漫画の映像化となるとそうはいかない。そのテンポ感や感覚がTVアニメでは充分にできていた。だからこそ私は近年のジャンプ漫画のアニメではピカ一の出来栄えだと評価してきました。しかし、本作は「スラムダンク」のヒットの影響なのか、映画一本で収めるという外的要因があったのか、それを捨ててしまったのでアニメーションは凄いが感情が爆発するほど高揚する瞬間(今までのシリーズのクライマックスにはみんなあった)がない…。


 さらに、といっても完全に試合だけを描くわけにはいかないからコミカルなシーンや回想がインサートされるのですが、今までだったら上手く機能していたそれらがあまり上手くいってない…。試合は無駄なシーンをできるだけ削って、ほぼリアルタイムな感じで進行してテンポよすぎなくらいなのに、それらが入ってくるとテンポが崩れるというか浮き上がってしまって辛い…(特にコミカルな部分)。更に短い尺を食っちゃうから実際の試合時間は更に少なく薄まってしまう。



結局「スラムダンク」と同じ結論で、大ヒットしてめでたいけど、私としてはオーソドックスにやって欲しかったなぁ…ということに尽きます。色々あったのかもですが。


 以下は私の勝手な妄想の駄文ですが原作あえて読んでない組としは、今回の試合ならそれこそ「スラムダンク」の決勝の陵南戦みたいに、音駒の方が圧倒的にリードされてる状況でクロが怪我とかで離脱してしまい絶対絶命の状況になるも「烏野高校には不安要素がある」な展開になって、そこからリエーフの覚醒や研磨の戦略もあって怒涛の勢いで追い上げるも、最後は「日向翔陽こそ音駒の不安要素だったというのか…」みたいなったら良いなぁ〜なんて夢見ていたのに…。



 長文書きましたが、やはり私はスポーツが見たいんじゃなくて今まで通り「少年漫画のアニメ」が見たかったという結論です。だってそれが好きでファンになったので。ただ、次の映画も含めてこれだけヒットしているんだから鬼滅の「無限列車編」ように増補してTVアニメでもやってくれるとしたら大いに期待しちゃいます。こうなると「ルックバック」に期待せざるをえない!。


 後で漫画も読んで見ましたが、やはり延々と終わらないようなラリーの応酬がポイントなんだし、この話はサクッと映像化するのは無理があったと思います。別に2時間半とかでも面白ければ全然気にしないし。 

投稿 : 2024/04/20
♥ : 6
ページの先頭へ