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「さよならの朝に約束の花をかざろう(アニメ映画)」

総合得点
88.9
感想・評価
650
棚に入れた
3470
ランキング
93
★★★★★ 4.2 (650)
物語
4.2
作画
4.5
声優
4.2
音楽
4.1
キャラ
4.1

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さよならの朝に約束の花をかざろうの感想・評価はどうでしたか?

R さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

家族愛

オリジナルアニメ映画。
2時間でこんなにも人の心に残るなんて、
素晴らしい作品だと思う。

投稿 : 2021/06/10
閲覧 : 161
サンキュー:

5

ネタバレ

アニメの感想 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

泣けそうな雰囲気ムンムンだけど泣けない

雰囲気はすごく良い作品だとは
思いますが
ストーリーにあまり乗れませんでしたね。

個人的に、クリムの扱いが哀れでしたね
彼、命懸けで頑張ってわりに
ことごとく空回りしてて
挙句に助けようとしたレイリアは
娘を一目みたら満足して
娘の目の前で飛び降り・・・
かと思ったら
龍に乗ってふるさとに帰りましたとさ
チャンチャン
えっ、なんじゃそりゃ、と
結構なツッコミを入れたくなりました。

投稿 : 2021/06/02
閲覧 : 204
サンキュー:

1

コーヒー豆 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

家族という愛のカケラを感じられる作品。

主人公のマキアと息子のエリアルを中心軸にお話が進んでいきます。

ここさけの岡田麿里さんが監督をしており、ピーエーワークスさんといいお仕事をされていますね。

親子関係でのシーンに、映画館で目が潤んだ方も多いことと予想されます。女性監督ならではの視点が絶妙に生かさせているシーンも多かったと思います。

鬼滅の刃だけでない、いろんなアニメ映画も多くの人に観てほしいなと感じさせてくれる作品でした。

投稿 : 2021/05/27
閲覧 : 334
サンキュー:

22

ネタバレ

テナ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 3.5 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

1つの家族の形

この作品は見終われば凄く印象に残る気がします。
様々な気持ちをしっかり形にされていてメッセージ性も凄く感じられました。

主人公はヨルフの民…人より何百年も生きることが出来る少女マキア。
そして、友達のレイリア。
人里を離れ布を織って生きる一族。
彼女達は、さよならの一族

マキアには家族がいません。
だから、周りの家族を羨ましいと思ってしまう。
一人が寂しくて…家族が欲しくて…
それに気付いた長老が話をしてくれる自分達の事を。
でも、長老はこうも言う、「外の世界に出て外の人に出会ってしまうと独りぼっちになってしまう」

外の人は彼女達よりも寿命が短い。
だから、外で出会ってもその人達は先に命を失う
その夜…彼女達の里は王国から狙われて襲われてしまう。

そんな中、マキアは偶然にも外の世界へと出てしまう。
彼女は人里離れた森で子供の泣き声を耳にする。
そこには集落があったのですが、その集落は盗賊により全滅させられていた。
そこで、出会ったのは1つの命。

それが物語の始まり。
小さな少女がお母さんになった。
救われた赤ん坊が少女の子供になった。
優しい物語の始まり。

子供の名前はエリアル。
最初は、お母さんと言うには頼りなくて…子供が子供を育てる様な戸惑いばかりの毎日

彼女はとある民家に行き着く。
ラングとネロと言う兄弟の居る家
そこでは愛犬一匹とお母さんが一人で子育てしている家。
そこの家族に助けて貰いながらマキアは少しづつお母さんになっていく。
エリアルもすくすく成長して大きくなっていく。

そんなある日、レイリアが王国の王子と結婚する事になると偶然知ったマキアは彼女に会う為に旅に出る決意をする

そんな中、愛犬オノラが寿命を迎えてしまう。
多分、彼女は初めて命が尽きたのを目にしたのだと思います。
彼女はお母さんである前に一人の少女…死の別れが…自分の死が…怖くて悲しくて。
子供の頃は死がとても怖く感じました。

私は怪我をするたびに泣きながら「え?死ぬんじゃない?血がすごくでるよ」なんて怪我のたびに親に泣きついていた事があります。
実際にはカミソリで手の指を少し斬ったり擦り傷だったり、高熱の風邪だったりしたのですが…それだけ死が怖い存在だったのを覚えています。
だから、このシーンは少し昔の自分を思い出しちゃいました。

次の日、彼女は友に会う為に旅に出る。
そんな中、同郷のクリムに出会い彼らは同胞と共にレイリアを救い出す作戦を立てていた。
マキアはレイリアに会う事には成功するけど彼女のお腹の中には赤ちゃんが居て…一緒には行けないと言われてしまう。

そのあと、皆んなと別れてエリアルと2人で、また旅をする。
でも、どの街も店も2人を中々受け入れてくれる場所はなくて…
そんな状況をエリアルは他の人がマキアを虐めてると感じて守ろうとする。

でも、やっぱり子供だから、どうしてもそれを邪魔してるようにしかならなくて…
仕事も住む場所も見つけられない不安からエリアルに当たってしまう。

そうしてなんとか住む場所と働き口を見つけ生活は安定する。
数年後、エリアルも成長してエリアルも働きに出る。
仕事先で再開したのは昔お世話になった家の長男ラング

一方、レイリアの娘は成長するも母であるレーディアは幽閉され子供にも会わせてもらえない日々を送って居た。
娘はなんだか、世の中?自分の置かれてる環境?にウンザリしているような…なにかを諦めたかのように冷めた雰囲気がありました。
生きる事に楽しさを見出せないような。

そんな中、マキアを王国が探しているとラングから聞かされます。
そして、告白もしてもらいます。
でも、マキアは自分の子供のエリアルの事や自分の事で手一杯だからと断ります。

でも、そんな夜にお酒を飲んだエリアルが帰ってくるのですが…そこで人騒動があります。
エリアルがマキアに鬱憤を吐き出すのです…
エリアルはマキアを長寿体質のせいで周りから親子だと見られない事が不満で…
そして、もしかしたらエリアルはマキアに少し恋心もあったのかな?って感じたり。

ここから2人の道が少し外れて行く。

エリアルは王国の兵団に入り、マキアは同胞のヨルフの民に攫われレイリアを救出する為の戦争に巻き込まれていく。

クリムは最後おかしくなりましたね。
可笑しくもなるのかな…最愛の人を奪われたり否定されたりもらしたら…それでも最後は嫌な奴に感じました

実はエリアルは結婚をして奥さんのお腹の中には赤ちゃんが。
そうして、戦いの中子供が産まれるのですが、その場に居合わせたのがマキア
マキアはエリアルの妻の出産に立ち会い初めて命が産まれる瞬間を眼にする。

そうして、マキアは戦場で傷付いたエリアルの元へと向かう。
傷付いたエリアルを看病しながらエリアルとの出会いを話す。
でも、エリアルはそれを聞きたくなくて…だって、それでも育ててくれたのはマキアだから…でも、最後の最後でエリアルの本心からの「母さん!」それはマキアが本当の意味でお母さんになった証。

そうして、マキアは次にレイリアを救出にくる。
レイリアは最後に娘に会って言葉を交わせました…娘の笑顔がその時初めて見えましたね。

そして、凄く時間が流れてマキアの取り上げたエリアルの娘に子供が出来て…エリアルはもぅ寿命を付きそうになる。
そんな中、訪ねてきたのが母であるマキア…エリアルはマキアに「おかえり」と言い息を引き取る。

彼女はお母さんだから泣かないと約束したけど最後は泣いてしまった。
お母さんであった頃を思い出して…そこには確かに大切な絆と思い出があって。
辛い事や苦しい事もあったけど幸せだった時間。
だからこそ泣いてしまう。
本当に大切な時間だったのですから。


この作品は展開に無駄が無さすぎてポンポン物語が進む感じがしますが…
逆に少し加えて欲しいと思ったのはエリアルの成長が早くて、え?もぅ成長したの?ってなります(つд;)
数年後とか季節の変わりなどを解りやすくいれて欲しいとおもいました。

でも、母と子の絆の強さとか、お母さんの子供への気持ちとかをよく描けていました。
一方、エリアルの方も時には不貞腐れていたりお母さんに少し反抗してみたりお年頃に必ずある心の変化などを感じる気がします。

その後の後悔とかも子供の気持ちを汲んでる気がします。
「貴女の事、母親だなんて思っていないから」辛いだろうなぁ〜こんな事を言われたら…血が繋がってないからお母さんからしたら余計に痛いと思います。
そこはどうしても気になる部分だと思います。

でも、年頃の子って本心で辛く当たってしまう訳じゃなくて…
酷い事を口にして傷付けて…本心では、そんな事を口にした自分が許せなくて情けなくて…「ごめんなさい」なんて一言すら言えなくて、素直になれなくて嘘の言葉でまた辛く当たってしまう。

作中ではそうした後悔を吐くエリアルのセリフもありよく出来てるなぁーと感心しました。

逆にマキアの母としての気持ちや苦悩、喜びもよく表れていました。

子育ての大変さ…中々上手く行かない事もある。
子育てをしながらだと、出来る仕事も限られる…住む場所も宿泊場所を探す大変さや早く子供に落ち着ける家も用意してあげたいと言う気持ちも感じました。

年頃の子供は自分の事を子供扱いをする事をウザがります、子供がくれたものは嬉しいからいつまでも残しておくのを見て恥ずかしく思ったりもします。

でも、親から見れば子供は何歳になろうと子供なのです。
別に子供扱いしてる訳ではなく親と子はいつまでも変わらないのだと思います。
子供から貰った物も大切な思い出だから嬉しいものなのです。

ラングに告白された時のエリアルの事で精一杯って話もお母さんが子供を大切にして第1に考えている部分をよく描けていた気がします。

作中で一番成長したのはマキア。
最初は凄く弱々して、でも、お母さんになろうと決意してから少し強くなって^ ^
エリアルからも好きになって貰える様な優しいお母さんになって成長した息子夫婦を助けて、友達を救い出す。
一番強くなったと思います。

後、素敵に感じたのはエリアルに出会う森のシーンで、マキアは多分崖から飛び降りようとしていました。
でも、エリアルの泣き声を聞いて思いとどまった。
マキアはエリアルを育てる決意をしエリアルの命を救う。

これはお互いがお互いの命を救ったのだと私は感じました。
この作品を通じて命の大切さや儚さ親子の絆の大切さ、など沢山の事を考えるきっかけにもなりました。
物語の展開は早いですが、しっかりメッセージ性は伝わった様な気がします。

作品全体を見て感じたのは1人の少女が1人で子供を育てるのは無理ですが、この作品に出て来た人達はマキアと赤ん坊に手助けをしてくれた。
酷い人も出ていたけど手を差し伸べてくれる人や事情を理解して雇ってくれた人など沢山の理解と助けとマキアとエリアルの頑張りの記録。
人は1人では生きていけないと聞きますが、この作品がまさにそれを感じます。

最後に静止画ですがマキアの幸せの形が描かれています。
これが彼女の掴んだ未来。
素敵な1シーンだと思います。

投稿 : 2021/05/02
閲覧 : 329
サンキュー:

19

somi さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 3.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

凄い

あんまり時間のある人間ではないので、レビューも毎回書ける立場ではないのですが今回は書かざる得ません。

映像美は言うまでも無く素晴らしいです。
細かい突っ込みを言う人なら突っ込み所も大なり小なりあると思います。
でもこの物語の伝えようとしている所は、そういう事じゃないんですね。

心であり、愛であり、想いであり。
そして時間・・
時間の大切さ、儚さ。




この話が心に刺さるかどうかはその人の歩んだ人生や経験に左右されると思います。
最もオススメしたい人は、ある程度子育ての経験がある人。
子育て中の奥様とかモロかと。

勿論、若い方でも見る方の受け取り方次第で相当な満足を与えてくれると思います。

もっと時間が取れる時に、もう一度ゆっくり見ようと思います。
ホント良かったです。
コレの為に年末にでもブルーレイ買ってデカいテレビも買っちゃおうかなと本気で考えています。

最後に、、
ここでは無くAmazonのレビューで
「うすっぺらい」と小馬鹿にした言い回しで語ってる方がいました。
それは彼の人生がまだまだ厚みを帯びていないからであり、ご自身の成長と共に感じ得るものが多くなる筈です。
「何を伝えたいかイマイチわからない」とも言われてましたが、それも今後の人生の経験と共に理解も深まると思います。

投稿 : 2021/04/01
閲覧 : 183
サンキュー:

8

ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

「ひとり」になっても愛は繋がる

制作:P.A.WORKS、
監督、脚本:岡田麿里、
副監督:篠原俊哉、キャラクター原案:吉田明彦、
キャラクターデザイン・総作画監督:石井百合子、
音楽:川井憲次

別れの一族・イオルフの民。
彼らは10代半ばで見た目の成長が止まり、
何百年もの寿命があるため、人と交われば、
「ひとり」になると考えられていた。
イオルフの民は、人里を離れた土地で、
ヒビオルという布を織って暮らし、
生きてきた痕跡をそのなかに宿す。
縦糸は流れゆく月日、横糸は人の生業を表す。
ヒビオルには、織った人の思念や想いが、
生きた証として手紙のように残る。
つまり、ヒビオルとは、ただの布ではなく、
イオルフの民の心や大切なものとしての象徴だった。

主要人物は、マキアとレイリアという女性。
マキアは、怖がりで引っ込み思案の性格。
親がいないマキアは、長老の教えに従い慎ましく生きていた。
一方、レイリアは、怖いもの知らずで、
崖の上から水の中に飛び込むことができる。

ある日、イオルフの民が住んでいる土地が、
メザーテという大国から攻撃を受ける。
目的はイオルフの民の女性を王妃として迎えることで、
近隣諸国に対して国威を発揚し、
支配力を維持するためだった。
メザーテは、これまで古の獣・レナトを利用して、
大きな力を得ることに成功していた。
しかし、レナトが原因不明の赤目病に罹患するようになった。
そのため、同じように古の力を宿し、
人智を超えた存在・イオルフの民を
国威を保つための代わりとして
取り入れようとする目論見があった。
攻められたイオルフの民の国は、多くが殺され、
レイリアが王妃の候補として連れ去られる。
一方、マキアは暴走したレナトとともに、
国外へ飛び出すことになり、難を逃れる。
森の中で気が付いたマキアは、野盗によって襲われた集落で
子供を守って死んでいた女性を発見する。
女性は赤ん坊をきつく抱きしめて守っていた。
マキアはその指を1本ずつ折って、
生きていた赤ん坊を連れ出し、
自分の憧れだったレイリアの名を参考に
エリアルと名付け、育てる決心をするのだった。

この作品はふたつの軸から考えることができる。
ひとつは、マキアとエリアルという親子の物語。
もうひとつは、マキアとレイリアという母の物語だ。

ほかの岡田麿里の作風と一線を画すのは、
母の物語ということだろう。
思春期の男女の心理描写が
いつも大きなテーマになっていた作者にとって、
親が登場する作品は、『花咲くいろは』くらいしか
なかった気がする。
そういう意味では特別で、
自叙伝的な内容と評する人もいた。

どこが自叙伝的なのかというと、
それは親子の関係性だろう。
マキア、レイリアとも子供との複雑な問題を抱えている。
望まれていない、形だけの関係ともいえる。

父が不在で、秩父の浅野温子と呼ばれる美人の母を持ち、
普通とはかけ離れた家庭環境のなかで育った岡田麿里。
繊細な心を抱えて不登校児童となった
彼女にとって、母と子の関係性というのは
不思議なものだったに違いない。
集団における人間関係の複雑さが
不登校の原因のひとつだった岡田麿里のことを
母が理解することはなかった。
それどころか、近所の陰口に耐え切れず、
殺そうとしたことさえあったという。

母と子は別々の生物であって、
両者をつなぐのは血のつながりから湧き上がる
愛情という目に見えないものが一般的なわけだが、
血のつながりを体感的に見出せなければ、
両者の間にあるものは何なのだろうか。

親子であっても別人格であるふたりの人間。
母からの視点では、子供を愛することで、
生きる活力を得て、幸せを感じることができる。
しかし、親子がやがて違う生き方を選んだとしても、
そこに「愛」というものを感じることができたなら、
幸せなことなのではないだろうか。
「さよならの朝」に愛という美しい約束の花を
かざることができたなら、親子の関係性としては、
それで良いではないか。それをたんぽぽの種子のように
ほかの土地の人たちにも伝えることができるのなら、
意味のあることではないか、というようなことを
表現しているのかもしれない。

{netabare}この作品の大きな特徴は、レイリアの最後の決断にある。
個人的には、長年、離れていた我が子との再会に
レイリアは歓喜し、ふたりで城を抜け出すと想像していた。
しかし、レイリアは、ここで自らの性質である
「思い切りの良さ」を発揮して宙を舞う。
自分の子供にイオルフの民としての遺伝がなかったことを
見て取り、一瞬のうちに別れを決意する。
そして、子供に「私のことは忘れて」と告げるのだ。
私は2度目の鑑賞で、レイリアは岡田麿里の母なのだと感じた。
投げかけられた言葉は、岡田麿里が母から告げられた
ものだったのかもしれない。{/netabare}

奔放で明るく周りから人気の美人の母。
一方、繊細で人の心について深く思考し、
外へ出るのが怖くて、飛び出せない岡田麿里。
この作品では、交わりようのないふたつの人格に対して、
離れて生きることも母として、子としての
生き方のひとつだと捉えている。
{netabare}その証拠にレイリアがレナトの上から見下ろして
我が子の上空を旋回するときに、
まるで幸せを感じさせるかのような劇伴が流れる。
そして父と母から捨てられた娘・メドメルは、
下界での新しい暮らしを覚悟しつつ
上空を舞う母に対して、
「お母さまって、とてもお綺麗な方なのね」と呟く。
私は初めて観たとき、強烈な違和感に襲われたが、
母子の別離を違う視点で捉えると、
ここがひとつの最高潮としての表現でも
何ら不自然ではないのだと気付いた。
そして、この台詞には岡田麿里が
母を許した意味が込められている気がしてならない。{/netabare}

{netabare}一方、岡田麿里のもうひとりの分身ともいえる
マキアは、別離後、最期のときにだけエリアルの元を訪れる。
時は経ってもマキアの愛情は、ヒビオルのように
いつまでも鮮やかに残っていた。
これまでのふたりで過ごした時間が、美しく蘇ってくる。
別れのときは、あまりにも悲しい瞬間だった。
しかし、これまで苦しいことがあったとしても、
ふたりで過ごした時間はかけがえのないものだった。{/netabare}

ヒビオル(日々織る)に命を吹き込む仕事は、
脚本を書くことと同義なのだろう。
古の生き物、どこか別の世界で生きる、
普通とは違う性質を持つ人間は「ひとり」になる。
それでも他者と関わりを持ち、誰かを愛することは、
人の心にずっと残り、それが継承されることで、
美しい世界を作り上げていくのだ。

別れの日の朝、マキアとレイリアの頭上には、
澄明な青と美しい形状の雲が広がっている。
悲しみ、喜びを表現しているというより、
ただ、そこに存在する美しい朝の空。
胸に沁みるような無垢な光景があった。
(2021年3月13日初投稿)

投稿 : 2021/03/13
閲覧 : 429
サンキュー:

44

ASKA さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

岡田磨里さんの初監督作品。PAworksの作画もすごい映画でした。

「あの花」「ここさけ」の脚本家の岡田磨里さんが初監督作品。
不老長寿の種族イオルフの少女マキアとマキアに育てられた人間の少年エリアルの物語。

監督は岡田磨里さん、制作はP.A.WORKSということでとても楽しみにしていて、やはり内容もすごく感動してしまいました。
またキャラクターはもちろん背景や空や雲の描写、街中の描写なども細かく書き込まれており、ストーリーもとても濃密で、泣かせてくるポイントもしばしば。
声優の演技も上手く、とてもキャラに合っていました。

投稿 : 2021/02/24
閲覧 : 238
サンキュー:

28

ネタバレ

ninin さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 4.0 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

時は流れ、愛は流れる

115分

「あの花」など数多くのアニメ作品の脚本をされている岡田麿里さんの初監督作品。

AT-Xで放送されていたので観てみました。

姿形は10代のまま不老長寿の種族の一人である少女マキアとあることで出会い、マキアに育てられた人間の少年エリアルの物語。

時が無限にある種族と限りある人間との切ない思い、不老長寿とはいえ少女が1人で子供を育てる大変な思い、周りがサポートしてくれるところもありましたがやはり一人で育てていくのは大変ですね。

思いはエリアルの成長するにつれてやがてすれ違いに、でも終盤は分かり合えた感じがして良かったです。
{netabare}
最後のエリアルの穏やかな死に顔と看取るマキアにちょっとウルウルしましたね。
{/netabare}
制作はP.A.WORKS、綺麗でしたね。

ご興味があれば是非観てくださいね。オススメです。

主題歌は、rionosさんが歌っています。

最後に、不老長寿の人たちって結構仙人みたいな生活していますねw

投稿 : 2021/01/30
閲覧 : 264
サンキュー:

30

みどりーぬ さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

綺麗な世界で紡がれる命と物語にきっと涙する

この物語は
・泣きたい
・生きている意味が見出せない
・人間関係で悩んでいる
そんな人に見てもらいたいです。
私の様なひん曲がった性格の人を初心に帰らせてくれました。この作品で人間の根源にあるものを見つめ直せました。
P.Aファンの私だからこそおすすめできます。とても素晴らしい作品でした。

投稿 : 2021/01/15
閲覧 : 227
サンキュー:

5

セシウス さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

静かな感動がありました

 姿はそのままで数百年生きるイオルフという種族の少女が、人間の赤ん坊を拾って苦労して育て上げ、最後にはその死を看取って泣くというお話です。
 親子の関係を基本的には親側視点で描いています。
 舞台は帝国主義時代のヨーロッパに似た世界で、王都、工業都市、農場などを淡い色彩で描いています。
 監督と脚本が同じ人なので、主人公のイオルフという種族の美麗で儚げなイメージがよく表現できていると思いました。長命な彼らは時間の流れがゆっくりで人間のようにガツガツしていないので、人間と関わりを持つと結局振り回されてしまいます。それでも種族を超えて愛情や友情を育むことができる、というストーリーは素直に感動することができました。

 主人公を演じた石見舞菜香さんの演技は、大人しいタイプの女性が心を揺らした時に出す搾り出すような声って感じが本当に素晴らしかったです。

 主題歌の「ウィアートル」はこの作品のテーマによくあった名曲だと思います。劇伴もハープを中心にした静かな曲が中心でよかったと思います。

 落ち着いた上質な感じのする作品です。子供のいる人、特に女性はストライクゾーンに入ってくる作品だと思います。
 惜しむらくはこの長くてよくわからないタイトルです。このタイトルでかなり損をしていると思います。会話の話題にも出しにくいし、英題の「マキア」の方がずっと良かったと思うのですが。

投稿 : 2021/01/06
閲覧 : 206
サンキュー:

5

yJnkd27391 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

ここまで心を動かされるアニメを他に知らない

初めて映画館で観た時、号泣してしまった
それほどにこの作品には心を動かされた

なぜこれほどまでに心動かされるのか、それはやはり登場人物に対する感情移入だと言える。

特にこの作品は登場人物それぞれの表情の些細な動きや、声色の変化が絶妙で、登場人物全員の視点で完璧に感情移入が出来る。

また、物語に入り込むに辺り大切なのは世界観である
美しく繊細に描かれた自然や中世の建物は
視聴者をその世界に引き込むには十分過ぎるものだった。

画面の情報量を多くする事で敢えて説明せず、視聴者側に考察し、感じ取ってもらおうとしているので見れば見るほど新しい発見がある素晴らしい作品

その為、何も考えずに見れる作品ではなくいわゆる一般層には分かりづらい部分があるのかも知れない

しかし、これを観て心動かされた人の心の中に一生残り続ける作品になっただろう

投稿 : 2021/01/04
閲覧 : 198
サンキュー:

3

しくる さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

作り手の"本気"を見た。

取り敢えず観て欲しい。これに尽きる



「岡田さんの100パーセントを出した作品を見てみたい」という堀川さんの言葉を受けて、自ら監督を務めたいと申し出た岡田さん。 岡田麿里さんといえば『ここさけ』『あの花』などで有名な脚本家だが、本作は岡田さんの初監督作品となる。

あまりのクオリティの高さに感動し、帰り道で購入した画集のインタビューに目を通すと数々の名作を生み出してきた熟練のアニメーターの方々が岡田麿里さんの高い要求に必死で応え、細部までこだわり抜いた作品だったことが改めて分かる。

知名度の高い俳優などを起用し宣伝などをしなかった分、確かに隠れた名作になってしまった。しかし、本作を観たオタク達は口を揃えて「もっと評価されるべきだ」と言っている。無論私もそのうちの1人であり、これほど良い作品があまり知られていない事実にむずむずしている。

投稿 : 2020/12/12
閲覧 : 156
サンキュー:

6

ネタバレ

Fanatic さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 3.0 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 3.0 状態:観終わった

散文的で焦点がぼやけている印象

いかにもなタイトルに、「あの花」「ここさけ」などで脚本を手がけた岡田麿里さんの初監督作品……となれば、間違いなく泣かせにくるのだろうと、ティッシュの箱をスタンバイして視聴開始。

冒頭からイオルフの里の美しい風景や、アニメではもっとも難しいと言われる水の表現の完成度に息を呑みます。
ヒビオルの塔で、マキアがレナト(ドラゴンのような生物)に追われるシーンも迫力抜群!劇場で観たらかなりの迫力だったでしょう。

王宮の石床の質感、奥行きを感じさせるスケール感たっぷりのパレード風景、画面の端まで意思を持って動く酒場の客たち。
作画には定評のあるP.A.WORKSですからそれなりの物を見せてくれるだろうとは思っていましたが、美術に関しては予想以上のクオリティで、思わず見惚れてしまいます。

で、肝心の内容はと言うと……。
ん? あれ? なかなか泣けないぞ?

十代半ばで成長が止まり、悠久の時を生きるイオルフの少女マキアが、人間の赤ん坊(エリアル)を拾い、育てていくというストーリー。
幼いエリアルを、母親として一生懸命育てようと頑張るマキア健気さに、思わずこちらも応援したくなります。
赤ちゃんから幼少期にかけて、エリアルもとても可愛らしく描けていて、この辺りまでは先の展開にワクワクしながら観ていました。

{netabare}しかし、成長するにつれてエリアルは、一向に外見の変わらないマキアが自分とは別の種族であると感付きます。
マキアとほぼ同年代にまで育った時点では、完全に自分とマキアの境遇を理解し、マキアへの接し方に戸惑いを見せるように。

そこまでの間、二人の間で様々な出来事や葛藤があったのだろうと想像はできますが、幼齢期から少年期へ至る、恐らく十年程度の描写が丸々カットされているため、かなり脳内補完が必要です。
ほんの数分前までは、目を輝かせながら「早く大きくなってお母さんを守りたい」と語っていたエリアルとあまりに落差が激しすぎて、頭を切り替えるのに苦労しました。

やがて、エリアルはマキアの元を離れて、イオルフの里を襲ったメザーテ軍に入隊します。
あれだけマキアを慕っていたはずのエリアルが、種族に違いに戸惑い、マキアの元を離れる決断を下したことには、どうも納得がいきませんでした。
それまでに培ってきた絆って、所詮そんなものだったのか?みたいな。

マキアから離れる決断に至るまで紆余曲折はあったのだろうと理解はできますが、その過程が一切描かれていないので、「なぜこうなった!?」と、モヤモヤしながら視聴を続けることに。
キャラへの感情移入しながら観るような物語ではなく、一歩引いたところから、淡々とマキアの叙事詩を見せられているような感覚でラストまで辿り着きました。{/netabare}

最後に、年老いたエリアルとマキアの再会のシーンで私が感じたのは、だいぶスケールは矮小化しますが、なんとなく飼い主とペットの関係に似ているな……と。

残念ながら私は「死ぬと可哀想だから」というストレート過ぎる理由で、子供の頃から大きなペットは飼わせてもらえませんでした。
ただ、子犬や子猫の頃から飼い始めたペットが、いずれ主人よりも年老いて亡くなっていく構図は、この作品のイオルフと人間の関係に似ているような気がします。

エリアルはペットじゃね――!と怒る方もいらっしゃるかもですが、飼われている方の様子を見ていると、まさに家族に対するのと同じような愛情を注いでらっしゃる方も少なくないですし、ペットを亡くした時の喪失感も相当なもののようです。

人間と動物という構図で世の中には数多くの物語がありますが、そういった物語の多くは、人間と動物の交流パートをじっくりと描き、また、動物側からの視点も多く取り入れて感情移入させながら、クライマックスの感動シーンに繋げる、という構成がテンプレートだと思います。

ところが本作の場合、マキアとエリアルの交流は幼少時代のものだけで終わり、視点もほとんどマキア側からの描写となっています。
感情移入しながら観れたのは序盤だけで、中盤以降は悠久の時を生きるイオルフの少女の、人間界での数十年の生活を俯瞰的に眺めるような、ドキュメンタリー作品のような心持ちで鑑賞することになりました。

なんとなく、癒し系の良い話っぽい雰囲気は漂っているのですが、親子愛を見せたいのか、もっと普遍的な愛の叙述詩を見せたいのか、或いは、神のような視点から人間を眺めた抒情詩のようなものを作りたかったのか……どこか散文的で、焦点がぼやけています。

最後に「長老様、私はエリアルを愛してよかったと思っています。愛してよかったと……」とマキアのモノローグで締めくくられるわけですが、なぜ愛してよかったと思えたのか、その理由が私にはよく分かりませんでした。

こういう作品は、右脳で感じるタイプの人はいいかもしれませんが、私のように左脳で観るタイプの人間にはあまり響かないのかもしれません。

投稿 : 2020/11/17
閲覧 : 306
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11

きおくそうしつ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 5.0 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

面白かったです……が!

作品のテーマや方向性、世界観は素晴らしいと思いました。

ただ目指す着地点を察してしまう分、もっと上の満足感を期待してしまいました…。


若干、ん?っと引っかかる点があったり
尺が足りないわりに必要かな?と思うシーンがあったり、
いい作品なんですが、うるっとはしても泣けなかったです。

投稿 : 2020/10/31
閲覧 : 244
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2

退会済のユーザー さんの感想・評価

★★★★★ 4.8
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

P.A.WORKSらしい素敵な作品

ありがちな展開に進んでいくアニメは退屈だが、この作品はそうではない。一つ一つ考え込んで作られているのがよく分かった。とても素敵なP.A.WORKSらしい作品でした。

投稿 : 2020/08/04
閲覧 : 224
ネタバレ

遊微々 さんの感想・評価

★★★★★ 4.7
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

出会いは別れ、別れは新たなる出会い

あの花等で知られる岡田磨里さんの初監督作品。
イオルフの少女マキアと人間の少年エリアルの2人が交わり成長していく異種族交流と親子愛を描いた内容。

色々な登場人物が様々な出会いと別れを経験していく中で、新たなる愛を育んでいく心温まるストーリーは素敵でした。
作画も綺麗でより物語を彩ってくれます。
個人的にはマキアの友人であったレイリアが一番印象に残っています。
愛する人々と引き離され望まぬカタチで娘を身籠り、挙句の果てにはその娘とさえ離れ離れで生活しなければならない状況。
そんな状態になりながらも、娘を想う母の愛だけは変えなかった彼女の姿には、母の強さを感じずにはいられませんでしたね。


高い評価を受けるのも納得の作品でしたが、個人的にはもう一つ刺さりませんでした。でも美しい物語だったと思います。

投稿 : 2020/07/30
閲覧 : 267
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22

ゆい さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

これは何も文句ない

映画館で観ました。あちらこちらからすすり泣きが!
めっちゃいい話だった…。凄いわ…

愛する恋人が亡くなって悲しい話かな?ありがちな。って予想してたら、全く違いました。
お涙ちょうだいでもないし、人を死なせて泣かせる話でもなくただ純粋に感動できた。
これからもまた外の世界の人に会ってその人の人生に寄り添って見送るのかなって想像が膨らみます♪
たまに例外もいるけど、母になると強くなれるんだなぁ!早く子供がほしい

投稿 : 2020/07/30
閲覧 : 345
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10

ネタバレ

202006いま さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 2.5 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 2.5 状態:観終わった

これが好きな男性は信用しない

『さよならの朝に約束の花をかざろう』
個人の愛と壮大な国家や種族の歴史を一緒にした物語なのだが
2つの側面がうまくかみあっているように見えない
女を母にしてその側面を強調しすぎ。レイプされて産まされた子にこだわって
元恋人が殺される事態を招くくだりは胸糞
全体的には、女に都合のいい夢を見すぎ
自称ロマンチストのエゴ男ならきっと好き

投稿 : 2020/06/24
閲覧 : 454
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0

ネタバレ

ふぁんた さんの感想・評価

★★★★★ 4.8
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 4.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

時と愛を織る人

時間と愛を紡いでいくことをテーマにした本作。
不老長寿のイオルフと人の人生時間の大きな違い
生きることの儚さ。
それを長命ゆえに幾度も何世帯にも渡って見送る定めの悲しい種族。




あの花の岡田麿里さんの初監督作品。

ちょっとタイトルがあの花同様ナイーブすぎて、
なんとなく敬遠していました。



いやー、、、大号泣でしたよ。
声に出してここまで泣いてしまったのはヴァイオレット以来じゃないかな。


たった2時間とは思えないような濃密なストーリーと人物描写。
特にエリアルの成長に伴う精神の変化はとても丁寧に描かれます。



ストーリーの背骨がしっかりしていてブレないので
劇への没入感が非常に強いです。

すごいなと感じるのは、ちょっとしたエピソードがしっかりと後の話に返ってくるんです。


例えばディタの子供の頃のエピソード。
{netabare}最後エリアルに謝ったあの涙は、マキアが手助けをしてくれたからではなく、
自らが人の親になって、自分たちの最大限の愛情を注ぐ子供が、
親のことを嫌いなわけがないと理解したのであろうし、
好きでいてほしいという願望を自らも持ったからでしょう。
当たり前であり、とても崇高な親子関係を幼稚な嫉妬で打ち壊そうとした自分が卑しく思えたんでしょうね。{/netabare}

このシーンボロボロ泣いてしまいました。



主軸2人の女の子の母親としての対比。
{netabare}産んで育てることができなかったレイリアと
産まずに継母として育てたマキア。{/netabare}


それぞれの母の愛情の深さを感じることができます。


レイリアが{netabare}産んだのにも関わらず育てることもできなかったことは、
見事にマキアとの裏表になっています。

主ストーリーはマキアですが、レイリアのそれがあるからこそ、
エリアルとの関係が血の繋がりだけが親子にするのではなく、
心の繋がりも親子の強い絆になることを紡いだのだと感じることができます。{/netabare}



クライマックスの戦争のシーンは{netabare}出産とオーバーラップしながら
エリアルの戦闘シーンだったので、
こちらで新しい生命が芽生え、あちらでは消えるのかとソワソワしました。{/netabare}


水辺での{netabare}「母さん!」{/netabare}はもうこれでもかと追撃がくるような涙腺崩壊でした。
本当はずっと言いたかった言葉だったんだろうなと。。



エピローグパートでもこれでもかと涙腺攻撃をされて、
劇終了後の余韻は素晴らしく、感情を本当に揺さぶられました。


最後のシーンがあったからこそ、イオルフの長命の設定が生かされ、
人との生きる時間の違い、悲しさと、
人生の儚さをを感じることができる素晴らしい締めです。

そして愛を紡いだ結果は子供、孫、、と繋がっていく。



苦しいだけじゃない別れを経験したイオルフの人々は
今後どのような愛を織っていくのでしょうか。




PAの作画はさすが本当に美しく最高にこの物語を演出してくれました。
この物語に出会えて心から感謝します。



本当に思春期の子はいつまでもこじらせないで、
お母さんを大切にしてあげてください。
私も手を合わせておきました。

投稿 : 2020/06/08
閲覧 : 194
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8

響け! さんの感想・評価

★★★★★ 4.9
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

生きるとはなんたるかを伝えるアニメ

途中まですごく冷めた心で観てたんですが、いや、最後は涙が…思ってた以上によかった!
そしてこれは二時間という時間の中で一つの人間の一生を上手くまとまって見届けられる。すごくいい作品だったと思います。
みなさん観るのをお勧めする作品です。

投稿 : 2020/05/31
閲覧 : 243
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6

とろろ418 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

旅路の果てに見たものは

良くも悪くも作者の意志が色濃く出ているので、そこをどう捉えるかで評価が大きく変わりそうな作品です。

個人的には悪い方でしたね。
マキアがエリアルというひとつの命の見守り役になるという全体像は素晴らしいと思う反面、そこだけに注力して欲しかったです。
親である必要はあれど、母親に絞る必要があったのか。
エリアルが自立する理由がそれである必要があったのか。
レイリアとクロムは物語に必要だったのか。
この辺りが作者特有の色ではあるんですが、そのせいで世界観や物語の軸が不安定になっていると感じてしまうんですよね。

物語をマキアとエリアル周りだけに絞って、互いがひとりになったあとの喪失感や親としてのエリアルなどを色濃く描いておけば、もっと印象的なラストに繋がったのではないでしょうか。

投稿 : 2020/05/25
閲覧 : 204
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2

kapita さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

無償の愛

うるっとくる良い作品でした
背景がとても綺麗で、声優さんもそれぞれのキャラクターにとてもよくあっていたと思います
余分な説明がないのも集中できました
親が子供に対する無償の愛、それも実の子供ではない子供に対しての・・・
そんな無償の愛を感じられる作品です

投稿 : 2020/05/20
閲覧 : 257
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17

むらさきたましい さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

無償の愛

男女間の愛を描いた作品はたくさんありますが、本作で描かれた「無償の愛」には、心を揺さぶられました。

人は親になるのではなく、親になる喜びを与えられるんですよね。
最後は涙がこぼれました。

淡い色彩の風景が印象に残る名作です。
さすが、P.A.worksのお仕事だと思います。

投稿 : 2020/05/07
閲覧 : 345
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40

ネタバレ

褐色の猪 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

視聴対象はややピンポイント

公開:2018年2月
監督:岡田麿里
制作:P.A.WORKS


制作発表時からキャラ画が気に入っていた作品

物語、展開と深さ捻りは有りませんが期待を裏切る事はありません。
ドバっと「さぁ泣け!」と強要する以前の作品達とも趣は少し違います。

作画は背景描写が綺麗、奥行きも感じられ昨今の写実加工風味とは一線を画しますね。

ただ戦闘など動きの多い場面も多少有りそこでちょっとイラッと、
帰宅後確認したら「クロムクロ」の制作会社だったんですね、どーりで
まぁでもこの辺りは人により許容出来る範囲かも。

人物は漫画チックですが私はこのキャラ画が気に入っての視聴ですから私的に満足。

BGMはやや誇張気味、しかし特に問題はなく合ってます。

思春期の女性から、子を育むご夫婦やカップル等ぜひ見てもらいたい
暖かく柔らかな涙満ちる、良いアニメでした^^


{netabare}
こーいう雰囲気がお好きでしたら

2015年度 個人制作短編アニメーション

「ALETTA~人を愛した天使~」

https://www.anikore.jp/anime/11696/

もぜひ観て欲しい。

私的に気に入っているショートアニメーション作品です。
{/netabare}

投稿 : 2020/04/28
閲覧 : 287
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25

GSK さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 5.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

子育て奮闘記

正直自分は過去のPA、岡田麿里作品で泣いたことはなかったんですが今作では久々にアニメ映画で泣きました

端的に言えば、子育て奮闘記
そしてその子の生涯を見る映画です

サブキャラや設定には描写不足な点はあるもののテレビアニメや2部作映画ではないので仕方ないかなと。

ファンタジー世界だからか岡田麿里だからかハードル上げて色眼鏡で見られがちな気がしますね
これから見る人はなるべく先入観を持たずに見てみてほしいです

投稿 : 2020/04/11
閲覧 : 206
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2

わしわし男爵 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

タイトルなし

PA.workさんの作品にしては凄い良いと思いました。SHIROBAKOや花咲くいろはなどは自分にはあまり合わなかったのですが、この作品にはとても感動しました。

有意義な2時間を過ごせましたね

投稿 : 2020/04/05
閲覧 : 238
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0

ネタバレ

うにおいくら さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

子育ては難しいもんだ

2018年公開のアニメ映画。

 オッサンつながり(勝手にオッサンつながりにして申し訳ありません)のぺーさんのレビューを見て、このアニメを観ていなかったのを思い出して慌てて観たという次第。

 何と言っても興味の中心は脚本家の岡田麿里が初めて監督を務めた作品という事だろう。

そう言いながら、ペーさんのレビューを読むまで忘れ果てていた。
制作は背景がとってもきれいな P.A.WORKS。

 劇場版という事で公開当時評価が高かったアニメだが、その割のは興行収入は3.5億と低めだった。

 上映数が76という数字を鑑みれば、頑張った方だろう。しかし評価の割には低すぎる様な気がするし、これでは製作費が出たのか心配だ。

内容は『異様に長寿な種族の娘の子育て』。それも普通の寿命の他人の子供。

 オジサンには安心して見れる内容だ。
手間暇かかる子育てに悪戦苦闘する主人公の姿は、それなりに子育て経験があるオッサンにも共感が持てる。

映像が文句なく綺麗だ。動きも良い。作画スタッフの執念を感じる。
一つ一つの動きがとってもリアルに感じる。
景色とか背景がとっても良い。


主演の石見舞菜香はこの作品で憧れの茅野愛衣と初共演している。

 彼女が声優になろうと思ったきっかけの一つが「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」の茅野愛衣の演技だったようだ。
そんな憧れの人との共演。
その上、「あの花」の脚本を書いたのは、監督の岡田麿里。

それを理解した上で見るとまた楽しみが一つ増えるかもしれない。

それにしても石見舞菜香の声は花澤香菜に似ているような気がする。

という事でこのアニメ、思った以上に涙腺は崩壊しないが
オジサンが見ても納得できるアニメ映画だと思う。
特に描写が綺麗でリアルだ。

投稿 : 2020/03/29
閲覧 : 196
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2

りんご さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 4.0 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

泣けたよ…

2019.6.16
公開してるときから観たかったアニメ。
ひとりで浸りながらみてよかったです。
作画良いし声かわいいし…!物語はわりと想像どおりな展開ですが、わかっていても最後泣いてしまう。
よかった。

投稿 : 2020/03/20
閲覧 : 204
サンキュー:

5

ネタバレ

oneandonly さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

時の流れが織りなす母子の愛と別れの物語

世界観:9
ストーリー:8
リアリティ:9
キャラクター:8
情感:10
合計:44

【あらすじ】
人里離れた土地に住み、ヒビオルと呼ばれる布に日々の出来事を織り込みながら静かに暮らすイオルフの民。10代半ばで外見の成長が止まり数百年の寿命を持つ彼らは、“別れの一族”と呼ばれ、生ける伝説とされていた。
両親のいないイオルフの少女マキアは、仲間に囲まれた穏やかな日々を過ごしながらも、どこかで“ひとりぼっち”を感じていた。そんな彼らの日々は、一瞬で崩れ去る。イオルフの長寿の血を求め、レナトと呼ばれる古の獣に跨りメザーテ軍が攻め込んできたのだ。
虚ろな心で暗い森をさまようマキア。そこで呼び寄せられるように出会ったのは、親を亡くしたばかりの“ひとりぼっち”の赤ん坊だった。少年へと成長していくエリアル。時が経っても少女のままのマキア。同じ季節に、異なる時の流れ。変化する時代の中で、色合いを変えていく二人の絆――。
ひとりぼっちがひとりぼっちと出会い紡ぎ出される、かけがえのない時間の物語。
(公式サイトより抜粋)

【視聴経緯】
特に好きなシリーズとかではなかったものの、あにこれでの評価が良かったので劇場まで足を運んできました。もう少し後ならリズと青い鳥が観れたのにと思ったタイミングでしたが(あまり自由が利かないので)、結果的には本作を劇場で観ることができて本当に良かったです。

【未視聴者に向けて】
個人的にもこの評価点は劇場版の尺での最高値ですし、滅多に超えない4.7のハードルを越えているので、私の評価点に概ね共感を持たれている方は、おそらくは楽しめると思います。なので、特に先入観を入れることも必要なく見ることをおすすめしたいと思います。

【ネタバレなしでいくつか見どころや注意点を教えてほしい方に向けて】
(ネタバレはありませんが、何も情報はいらないという方のために閉じておきます)。
{netabare}作画の水準が非常に高いのがまずは見どころです。ヒビオルの塔の内装、様々なシーンの空と雲や、雪景色、煙の出ている町の風景、などが特に印象に残っています。

映画の2時間の間に、たまに飛び飛びで時が流れます。テロップなどはないので、言葉等で気づく必要があります。国家間の戦争等も描かれますが、中心は主人公マキアと縁あって育てることとなったエリアルとの母と子の愛情、人間関係の変遷がむしろ中心として描かれているのが一番の見どころです。

女性のほうが感動できるかもしれないと思うのと、男女共通で、それなりに人生経験のある大人のほうが感動できると思います。

劇場版となると、観客を笑わすコメディが入ることがありますが、本作は皆無。ひたすらシリアスなので、シリアスが苦手な方は楽しめないかもしれません。

注意点としては、若干、専門用語があります。ヒビオルが代表例でしょうか、織物のことと思って見ていると、違った表現をされたりします。織物にメッセージのようなものを記録できるようで、それが広めの言葉として使われることがあるように思いました。イオルフは主人公の種族(エルフ的な)、レナトは竜のことです。

また、最初は、マキア以外のイオルフのキャラの見分けがつきにくくて混乱するかもしれません。紛らわしいのはレイリア、長老、クリムの3人でしょうか。長老は序盤以降は出てきませんので、女性はレイリア、男性がクリムと思えば多分大丈夫かと。{/netabare}

【ネタバレを含む感想】(視聴した方のみどうぞ)
{netabare}
本作の表面上のテーマはプラスティック・メモリーズに近いように思いました。プラメモはギフティア(人間そっくりのロボット)の寿命のほうが短く、ギフティアとの間で思い出を作る意味があるのか、というテーマでしたが、本作は主人公のほうが何百年の寿命を持つイオルフであり、別れの一族と呼ばれ、人を愛せば本当の独りになるという教えに背いて、人間を愛することに意味があるのか、という話と捉えれば、その類似性がわかると思います。

プラメモは設定が甘すぎで、作品としては泣けるラブコメ萌えアニメ(私はお気に入りですが)といった感じでしたが、本作は壮大なファンタジー世界で重厚さがありました。時代としては中世~近代をモデルとしつつ、大きな破綻は見当たらず、無理なく世界に入っていけました。

ちょうど、今シーズン(2018冬)ではヴァイオレット・エヴァーガーデンが放映されていますが、京アニの大作と比較しても、作画面でも劣っていないどころか、個々の画では上回っていますし、戦争の表現とキャラクターの乗せ方はこちらのほうが自然で成功しています。

外見の成長が止まる(老いない)という点も、声優の声や演技を変えなくて良い、主人公の外見の美しさを維持できるという面で非常に優れた設定と言えるでしょう。

ストーリーは、2時間映画で描き切るにはそもそも大きな物語なので、若干駆け足になったところや、最終盤の東京マグニチュードを想起させる回想シーンは少し強調しすぎだったように思いました。時の流れを使った表現は、P.A.WORKSの得意技で、もちろん良いシーンではあったのですが。

それから、リアリティ面にも響いたのが、レイリアの飛び降りシーン。ようやく我が子と対面して、直前では子供を抱きたいと言ってクリムを拒絶していたこともあったのに、なぜスルーなんだと。竜に助けられたのも見ていた時には全く偶然と思いましたしね。後から考えると、レイリアは「あなたたちのことはヒビオルに織らない」と生きることを前提の発言をしているので、レイリアにはマキアが竜で助けにきてくれたのが見えていたと解釈するのでしょうね。それでも、竜に乗れる保証はない状況で飛び降りれるレイリアは凄すぎです。

母子の愛情は、母からの無償の愛にも感動しましたが、子の側のその受け取り方、成長に応じた関係性の変化なども心情描写とともに細やかに描かれていました。お互いの思いの行き違いで、エリアルは、マキアのことを母親とは思っていないなどと言って、家から出ていってしまいます。そして、仕事に就き、結婚もして父親になるというところで二人は再会。

マキアが何て呼ばれてもいいと言った後の、エリアルが「母さん!」と叫ぶシーンは、本作屈指の名場面だったと思います。母親でいることを貫いてきたマキアにとって、本来は嬉しい言葉ですが、相手は父親になった大の大人。子離れをしなければならないと思ったのか、複雑な表情をして別れを選びます。

情感面の話、実は中盤まではそこまで盛り上がりがありませんでした(ほっこりの状態が長かったのですが、その時点でも近くの男が泣いている様子で、今の泣きポイントだったの? と思っていました←後から考えると2回目とかだったのかも)。しかし、終盤は怒涛の追い上げで、結果的には久しぶりに涙腺崩壊しました。

エリアルの死期に立ち会ったマキアは、いまだ妖精のような美しさで神々しかったです。生活感もしっかり感じさせる地に足をついた物語でしたが、最後に神話になったような、充足感に満ちた作品に映りました。

タイトルの約束の花はタンポポで、タンポポの花言葉には「真心の愛」などあるのですが、綿毛は「別離」。別れは、現在の場所から巣立っていく人に贈る前向きな言葉にもなります。マキアの最後のシーンの言葉にも表れていましたが、別れを力強く肯定することがこの作品のメッセージと受け取りました。

岡田麿里氏の初監督作品というのも話題でしたね。同氏が脚本を手掛けた作品では、あの花、ここさけ、(全話でなければ、)とらドラ!、さくら荘、絶園のテンペスト、凪あす、花咲くいろは、など見てきていますが、個人評価を調べてみると、3.8~4.5と凡作はゼロ、並作すらほとんど出さない優良クリエイターさんです。スタッフに恵まれたことももちろんあるでしょうが、いきなりこのレベルの作品を送り出してくるとは…。今後のご活躍を期待しています。{/netabare}

【ネタバレを含む感想2】(2回目鑑賞後)
{netabare}同じ映画を2度も劇場で見たのは初めてです。自身で高評価をつけながら、調整すべきか考えていたのと、1度ではわからない場所があったので。

情報を何も入れずに見た初回と比べると、かなり理解できました。疑問点や新たな発見について、箇条書きにしてみます。

<なぜレイリアはダイブしたのか>
{netabare}初見時の一番の疑問点でした。直前まで、子供に執着を感じさせる発言をしていたので。
まず、ダイブ直前にマキアが「レイリア、跳んで!」と叫んでいて、建物と思える白壁に大きな影が動く描写がありました。レイリアがそれを確認できていたかはまだよくわかりませんでしたが、それに気づいていて、死のうと思って跳んだわけではないのでしょう。

一瞬のうちにメドメルと別れを選んだ理由は容易に消化できるものではないですが、成長の早さを見て、既に子供の成長過程において、自分の存在が意味を持っていない(ヒビオルに織られていない)ことを悟ったということでしょうか。事実、メドメルは母が飛び去っても泣きもしなかった、そういう関係性になってしまっていたわけで、自分だけが一方的に子供に依存する関係になりたくないと思ったのではないでしょうか。

「私のことは忘れて! 私も忘れるから」と気丈な発言をしながら、レナトの上では忘れられるわけないというマキアの言葉に涙する形で締められていましたから。{/netabare}

<イオルフの一族はどうなったのか、レイリア以外の捕らえられた女性は?>
{netabare}レイリアとマキア以外の女性がどうなったのかは描かれていません。

メザーテ軍が襲撃時に「抵抗するならいっそ切り捨てて構わない」と言っているので、抵抗して殺された者も多数いたのではないかと思います。連れ去られた他のイオルフたちは、あえて描かなかったのだと思います。

エンドロール後に一枚絵で、滅んでいないことを示していました。{/netabare}

<クリムについて>
{netabare}本作で一番救われないキャラクターがクリムでしょう。しかし、時の流れがあらゆる関係性を変えていく本作において、その変化に抗った存在として仕方のない結末でした。初見時にはマキアに恨み節を吐いたり、レイリアと心中しようとしたりする、仲間とは思えないキャラでしたが、2回目では、彼があらゆる手で恋人を奪還しようとしていて(別の作品であれば、イオルフの正義のヒーローとして描かれたでしょう)、美しい悲劇に同情します。{/netabare}

<シーンが飛び飛びでわかりにくい>
{netabare}2回見るとほとんど違和感がなくなりました。初見時はマキアを連れ去ったのが誰なのかわかりませんでしたが、クリムでしたね。でも、そこからマキアの髪を切るまで何をしていたのかはいまだによくわかっていませんが。

初回で全て理解するのは難しいのは減点要素ですが、劇場の尺まで徹底的に無駄を削ったのも、芸術性を重視する私にとっては良かったです。必要なシーンは描けていたと思うので。{/netabare}

<バロウが長老の子どもである説について>
{netabare}「外の世界で出会いに触れたなら、誰も愛してはいけない、愛すれば、本当のひとりになってしまう」とマキアに話していた長老。イオルフの掟だと思っていましたが、レイリアかクリムの言葉では、よく長老が言っていたことという表現だったと思います。

そして、イオルフの集落にいなかったイオルフであるバロウ。彼はマキアのことを知っていて、その後、メザーテでマキアのことを助けてくれ、ラシーヌと呼ぼうとした後に長老と言い直したり、最後にも登場します。

そこで、バロウは長老の子どもという説があります。直接的に描かれている場所はありませんが、裏設定としてその可能性は十分にあると思います。長老の愛した人は悲劇に遭い、子供もイオルフの集落に受け入れられなかったことを想像すると、より深い物語性を感じられます。{/netabare}

<マキアとエリアルの恋愛感情について>
{netabare}これも、人によって全く捉え方が違うようです。私は両者とも恋愛感情に至らなかったと思っています。酔っぱらったエリアルがキスをせがむシーンはありましたが、子どもの頃にしていたのはおでこのキスなので。お互いにお互いの関係性がよくわからなくなってきていたことの表れのひとつと捉えています。{/netabare}

他にも、ラングやイゾル視点でも心情描写がされていたり、2回見ても満足できる作品でした。{/netabare}

(参考評価推移:5.0→5.1)
(2018.3劇場にて鑑賞)

<2018.7.28追記>
遅ればせながら、上海国際映画祭におけるアニメーション最優秀作品賞(金爵奨)の受賞、おめでとうございます!

本作は円盤購入を考えていますが、10月26日発売とのこと。結構引っ張りますね…。
映画のパンフレットがすぐに売り切れになってしまい、後日、P.A.WORKSのネットショップで追加販売されたようですが、私が気づいた時(数日で)には完売とどっぷり嵌ったファンが多数いるようで。かく言う私もその一人でして、円盤購入(縮刷版劇場パンフレット)でゲットしようかなと思っています。

<2019.1.9追記>
2018作品ランキングの1位にした作品で、レンタル開始後に視聴された方の評価を見るに過大評価だったかなと思ったりもしましたが(私は作品の芸術性を評価しているので、物語が完成された作品(短いほうが有利)が点数は高くなりやすい)、やっぱり本作は大好きでして。115分でこれだけのものが創作されたこと、マリーをはじめ制作陣に感服です。

テーマはわかりやすいし、ストーリーも言葉にすれば単純で、ラストがどうなるかもすぐに予測できるものです。しかし、登場人物の人間関係の変化や、マキアとレイリアの対比等を巧みに使った設定があり、演出も全体的に素晴らしいです。

心情描写の好きな方や、シリアスな作品が好きな方におすすめ。私は感動をウリに宣伝するつもりがありません。{netabare}最終盤の回想シーン{/netabare}により涙を強要してくる作品と言われる節がありますが、そんなところは付随的な部分で。

例えば、{netabare}幼児のエリアルに当たってしまい(育児における悩みあるあるです。もぞもぞ虫遊びの使い方も良かった)、出て行ったエリアルを探して見つかった時の安堵(大雨で水嵩が増した水路を映すシーンでマキアの恐怖を共感){/netabare}といった場面だけでも込み上げるものがあります。

初見の方の多くは{netabare}レイリアのダイブが理解不能となっていそうですが、自分が思い続けてきた子の中に、自分が存在しないことがわかる場面なんて容易に想像できないし、仮にあれが身投げであったとしても、説明できなくはないかなと。{/netabare}

ファンタジーが舞台ながら、人間にとって普遍的なもの(「愛」が当てはまると思いますが、尊く重たいもの)を扱っていて考えさせられつつ、視聴後に心が洗われるような作品。いや、あまり視聴のハードルを高めたくないので、むしろ感動できるよ!と軽く薦めるべきなのか(笑)

本作は視聴者が少ないのが残念でもったいないので。

<2019.1.28追記>
今回は、購入していた円盤を最近視聴したことに加え、以下のレビューを読んで思うところがあったので追記します。既に視聴している方は参考に読まれてはいかがかと思います。

「ナナメ読みには最適の日々」
⇒http://ishimori-t.hatenablog.com/entry/2018/03/16/085105

{netabare}私が理解したところを大まかに言うと、本作は「物語についての物語」であり、物語の語り手であるイオルフが語られる側の人間と関りを持つ構造になっている、というレビューなのですが、結構説明できていて、こんな見方があるのかと唸ってしまいました。

本作は物語を創る職業である脚本家の岡田麿里氏が、全てを出してほしいと言われて監督を志願し、創り上げた作品です。物語の語り手を暗に登場させている可能性はあり得ますし、作者は世界の生みの親ですから、それが親子の関係により描かれるのは自然です。ついでに、クリエイター側に共感できる私が惹かれた理由の説明にもなっています。

まず、ヒビオルについて。本作は色々と独創的なモチーフがあって、流し見しようものならすぐについていけなくなる危険があるのですが(このわかりにくさが評価を下げる一因となっている)、その最たるものがヒビオルです。これを削らず、ネーミングも一般的にせず、物語で何度も登場させ、エンドロールでヒビオルを織るシーンを流した作者の意図は考えられるべきでしょう。

ヒビオルは単なる美しい布というだけではなく、言葉を織り込むことができます。縦糸は流れゆく月日(時間)、横糸は人の生業(出来事)ということで、日々を紡いでいくという設定です。初見時の感想において、私はヒビオルをイオルフそれぞれの「日記」(自分史)のようなものと受け取りましたが、これを脚本家(P)それぞれの「物語」と訳してみます。

高値で売れるので、イオルフの民はこの機織りを生業としているように描かれていますが、ヒビオルと同様の織物がイオルフ以外に作れない説明はないですし、教えればエリアルのように人間にも織ることが可能です。

この点、脚本家は物語の語り手であり、物語ることを生業としている。物語の世界とは一線を画し、当然、物語世界の住人よりも長く生きることができると当てはめて解釈することができ、前述のレビューのとおり、禁忌との関係で捉えることも可能です。マキアの神出鬼没さも、語り手側ゆえかもしれません。

マキアはエリアルと出会い、彼を私のヒビオルと言います。初見時の解釈(=日記)ではここを理解できず、大事な物という意味もあるのだろうとうやむやにしましたが、マキアにとっての物語と読むとスムーズです。その後、マキアが織物であるヒビオルを織るシーンは削られておりほとんどなく、エリアルが成長するまでの時間を共に過ごし、終盤手前の再会時に、自分を織りあげたのはエリアルだと言います。

ここを訳すと、マキアのヒビオル=エリアルを主人公とした物語=マキア自身、となり、物語の作者は、自らが生み出した物語によって、作者自身が作り上げられているという関係性を表わしていることになります。岡田氏がそのような意図を込めていたかはわかりませんが、岡田氏にとって自身が創った物語は自身の人生の一片であり、そこに関係した存在(物語世界を含む)への感謝を作品に乗せていることは推察されます。

ヒビオルのエンドロールは、この作品が物語の物語であることの暗喩であるとも、この物語が続いていくことを単に表現したとも、視聴者も各自の物語を紡いでくださいというメッセージとも、自由に捉えられるように思いました。

様々な視点で解釈ができる作品ですね。個人的には、結局のところ脚本家にとどまらず、視聴者自身が自分の人生における物語をヒビオルに当てはめて視聴することを許容している作品だと思います。

ついでにレナトという名の竜について。これも、単に竜などの名称を使わなかったことに意味があるはず。

レナトは、「生まれ変わる、再生する」を意味するラテン語「レナトゥス」に起源を持ち、古代ローマ初期よりキリスト教徒が用いてきた名前から連想され、古代から神聖とされた存在の象徴として命名されたとも考えられます。
{/netabare}

<2019.3.8追記>
今週月曜に有楽町のマルイで開催されているさよ朝展を見てきました。一部、撮影可能だったので美しい背景美術等、カメラにおさめてきました。
劇場では完売していたグッズなどの販売もあって、クリアファイルを購入させていただきました。

さて、ネット上のレビューで私が最も共感したもののリンクを掲載して、取りあえず本レビューは終了としたいと思います。
お読みいただきありがとうございました。(リンク切れだったので修正しました(2019.9.16))

「『さよならの朝に約束の花をかざろう』を観て、「"物語"とは何か」について考えた」{netabare}
https://kakuyomu.jp/works/1177354054886369977/episodes/1177354054886374977
{/netabare}

<2020.3.20追記>[New!]
公開から2年以上経ちましたが、いまだに予告編PVを見たり、Yahooのリアルタイム検索で「さよ朝」を検索しています。遅れて視聴した方の反応は概ね良好で、ドリパス(リクエスト投票数が多くなった映画を劇場で上映するもの→https://www.dreampass.jp/m361183)では今年2月に上映を達成したところ、既にまた7位まで上がってきています。
劇場で鑑賞したい方はお見逃しなく(本作は劇場をおすすめします)。

投稿 : 2020/03/20
閲覧 : 1645
サンキュー:

78

ネタバレ

ヴァッハ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

岡田麿里オリジナル映画の最高傑作

「あの花」や「ここさけ」がそこまで響かなかった自分は、これも響かないのではないかと見るのを躊躇していましたが杞憂でした。
寧ろ劇場に駆け込むべきだった。

個人的に岡田麿里さんの最高傑作は「花咲くいろは」で、ファンタジー色のない人間ドラマを展開してほしいと望んでいたのですが、今作はファンタジーであること、その設定が強く生きていた。
というかなければ成立しない話。

間違いなくファンタジーの超大作ではあるのだが、それは世界観が壮大だとか、ワクワクドキドキに溢れているとかではない。
あくまで岡田麿里の世界の拡大。
つまりはヒューマンドラマ。
親と子、成長と葛藤。
真骨頂がここにある。

投稿 : 2020/03/20
閲覧 : 228
サンキュー:

4

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さよならの朝に約束の花をかざろうのストーリー・あらすじ

一人ぼっちが 一人ぼっちと出会った

出会いと別れが紡ぐ永遠の一瞬

少女はその時 愛にふれた

『あの花』『ここさけ』の岡田麿里、初監督作品。(アニメ映画『さよならの朝に約束の花をかざろう』のwikipedia・公式サイト等参照)

ティザー映像・PVも公開中!

放送時期・公式基本情報

ジャンル
アニメ映画
放送時期
2018年2月24日
制作会社
ピーエーワークス
主題歌
rionos『ウィアートル』

声優・キャラクター

石見舞菜香、入野自由、茅野愛衣、梶裕貴、沢城みゆき、細谷佳正、佐藤利奈、日笠陽子、久野美咲、杉田智和、平田広明

スタッフ

キャラクター原案:吉田明彦、監督:岡田麿里、副監督:篠原俊哉、キャラクターデザイン&総作画監督:石井百合子、メインアニメーター:井上俊之、コア・ディレクター:平松禎史、美術監督:東地和生、美術設定&コンセプトデザイン:岡田有章、音楽:川井憲次、音響監督:若林和弘

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