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「リズと青い鳥(アニメ映画)」

総合得点
85.8
感想・評価
546
棚に入れた
2278
ランキング
214
★★★★★ 4.1 (546)
物語
4.0
作画
4.3
声優
4.0
音楽
4.2
キャラ
4.1

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リズと青い鳥の感想・評価はどうでしたか?

エヴァ7 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

山田さん作はきめ細かいよね

ユーフォニアムのスピンオフ的作品ですが、響けの中でも努力家で隠れた天才鎧塚さん、解放した演奏部分は本当に感動的です。
この後本流がどう流れるのか?北宇治が全国でどうなるのか?など興味が尽きません。
まだ見てない方は、是非響けユーフォニアムから見て頂ければと思います。

投稿 : 2018/12/22
閲覧 : 150
サンキュー:

8

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

「人間ドラマ」のみで勝負、「スポ根」要素は捨ててみた!

※作画の評価を5にしていますけど、一般的な「アニメの作画」という意味ではなく演出も込みの画作りとしての5です。「現実」パートはすごく実写映画っぽい一方で、「物語」パートがアニメならではな感じの画作りで面白い試みです。

原作は<響け!ユーフォニアム>シリーズ(以下、「ユーフォ」)の『北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章』(前後編2巻に分かれていますが、映画『リズと青い鳥』は主に後編の話)です。

ということではあるんですけど、原作での「鎧塚みぞれと傘木希美の関係性」という一点特化型の映像化ということで、作中で発生するイベントや登場キャラクターとしては原作の通りではあるんですが、原作の時系列を違った切り口で見ているのである意味原作とは(良い意味で)全く違う作品になっています。

ということで、原作既読で映画を観たわけですが、私は観ている最中は原作のストーリーを特に意識することもなく楽しむことができました。また、この切り口で迫るのであればTVシリーズや以前の劇場版を観ていなくても本作を独立に楽しむことができるだろうとも思いました。


ユーフォは原作時点で元々「競技としての吹奏楽」(全日本吹奏楽コンクールを地方大会から勝ち上がっていく)の要素(スポ根要素)と、「大所帯である部活としての吹奏楽部」(部員同士の関係性など)の要素(人間ドラマ要素)が両輪になってストーリー全体が構成されています。

アニメ化にあたってもどちらか一方の要素にしかフォーカスが当たらないということはなくて、ただ両要素のウエイトのかかり方はそれぞれ違うという感じでした。

私個人の印象ですがTVシリーズ1期目とその総集編ともいえる劇場版第1作目はスポ根要素が気持ち重め、TVシリーズ2期目は人間ドラマ要素が気持ち重めでしょうか。

劇場版2作目だった『届けたいメロディ』では久美子とあすかの関係性がメインになって人間ドラマ要素にフォーカスされるも二人の関係性を作る動機が「うまくなりたい」というスポ根要素ということで、人間ドラマ要素がかなり重めであるもののスポ根要素がスッパリとなくなる脚本にはなっていませんでした。

翻って本作では「部員が演奏者として向上するために熱心に練習する」という場面はまったく出てきません。特に鎧塚みぞれについて言えば演奏技術そのものは既に一高校生としては普通でないくらいに高いのであり、演奏が変わるきっかけは完全に精神面(作中作『リズと青い鳥』という物語に対する理解度)によるものなのです。
(もちろんユーフォのお約束で、演奏の質そのものはバッチリと変わります。)

スポ根要素はザックリと排されていると言えます。

時系列的には作中で同時期に重なっているもう一作の映画のストーリーで明らかになるであろうコンクールの具体的な成績も描かれませんので、スポ根要素を排すると同時にネタバレも回避しているわけで、ここら辺の脚本・演出は巧みでした。

この構成であればTVシリーズとは別のスタッフで制作に当たるのは妥当ですね。なるほどという感じでした。タイトルについてもあえて「響け!ユーフォニアム」を含めないのは納得ですね。

もちろん、コンクールでの演奏曲である『リズと青い鳥』は、2018年中に公開予定のもう1本の劇場版でも使用されることと思います。

なかなか新鮮な作りで面白かかったので、観に行って良かったです。

2018.12.19追記:
『誓いのフィナーレ』公開は2019年になってしまいましたが、それはさておき…。

本作品の演奏とか、スポーツ競技における身体操作や反応速度など「ある程度上達はできたけど凡人」が才能の壁みたいなものにぶち当たって一流の競技者を目指すのを諦める的な話は世の中に数多ありまして、そこに共感する向きにはストレートに突き刺さる作品なんだろうと思います。

ただ、得意なことを突き詰めた人には意味不明なのかも?

例えばですがカポエイラを10年もやったら師範、師範代レベルになる人もいれば一生ただのインストラクター止まりな感じの人もいます。

もちろん続ける中での努力や自分に合った指導者に恵まれるかといった問題もあるんですが、好きと得意は必ずしも一致しません。切ないですよね…。

余談: 数多の凡人が天才である鮎喰響(あぐい ひびき)に振り回され、打ちのめされて己と向き合っていくマンガ『響 ~小説家になる方法~』はお薦めです。なお、「マンガ大賞2017大賞」受賞作のわりには知名度も評価も高くない模様…。

投稿 : 2018/12/19
閲覧 : 639
サンキュー:

93

oxPGx85958 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1
物語 : 2.0 作画 : 5.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 2.5 状態:観終わった

アニメ・シリーズ1期の良さを再確認させる小品

『響け! ユーフォニアム』の第1期は大傑作でしたが、第2期で「あれっ?」となった部分をさらに推し進めたのがこれ、という感じでした。第1期の何が良かったかというと、ひたすら音楽を中心に話を進め、クライマックスの演奏シーンでそこまでのプロットのすべてに説得力を持たせたこと。こういう趣向を成功させているものは、実写映画でもめったに見たことがありません。

でもそれじゃ「文芸作品」にはならないわけですね。小説の段階でも、アニメ化したものでも。だからプロットに文学性を持たせようとする。それをやって変になったのがシリーズ2期で、『リズと青い鳥』はそれをさらに純粋培養しようとしたわけです。その結果、他メディアに山ほどある「文芸作品」の中に置いたら凡庸というしかない作品が出来上がった。

以下、良かった点:

● 二人が登校する姿を描くオープニング・シーンが素晴らしかった。アニメ表現の可能性を感じさせる名シーンだと思います。

● 希美を演じる東山奈央が良かった。この人のこの路線の抑えた演技を聴ける作品はとてもありがたい。

● 夏紀先輩と優子先輩のキャラクター・デザインはTVシリーズのときよりもこちらの方がそれぞれのキャラクターに合っているように感じました。葉月とさふぁいあも良かったのかもしれないが、出番が少ないのでよくわからなかった。

● 男子生徒を消すという方針は、大胆な発想で面白かった。結果としていい効果が得られていたかどうかは別として、それを思いつき、実行したのが凄い。

投稿 : 2018/12/18
閲覧 : 217
サンキュー:

9

白猫 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 4.0 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観たい

良かった。でもコレじゃない感

やっと観ましたので感想を。
正直評価や感想が難しいのですが、素直な感想を言えば

「凄く良くできていた。良い作品だった。でも観たかったのはコレじゃない。」

小説では本編の続編ですが、アニメではスピンオフの扱いなのでコレもアリかなとは思います。
実際作品としては凄く良かったし、「響け!ユーフォニアム」が好きだった人は是非観た方が良いと思います。

ただ、自分が石原監督の作った「響け!ユーフォニアム」が好き過ぎたんでしょうね。
山田監督が作るユーフォを観れた事に感動すべきなのか、
石原監督の作品が観れなかった事を嘆くべきなのか微妙な気持ちです。

最近の山田監督の空気感や間は嫌いじゃありませんが、
個人的には石原監督のテンポの良いアニメ作品の王道的な演出のが好みではありますね。

絶対あり得ないのですが、石原監督が作る「波乱の第二楽章 前編」も観たいですね。

残念な感想の全てが私個人の石原監督推し?に寄るもので、作品自体は凄く良かったですね。
気になったキャラデザインの変化も作品にマッチしていました。

なので、作品単体で考えれば☆5つ。
石原ユーフォのファンとしては☆4つって感じでしょうか。
次の石原ユーフォを楽しみにしています。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

期待してたのですがキャラデザインが変わり過ぎてる・・・。
ファンとしてはかなり残念。
私は池田晶子の健康的で均整の取れたかわいいキャラデザインが好きでした。

文学作品的イメージにはなっていますけどね。それが狙いかな?
あえて「響け!ユーフォニアム」を冠さないのもマーケティング上の理由なのかな。

ストーリーは『響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章』が原作になるはずですので、そちらは不安なく期待していますが、「聲の形」の演出やテンポが合わず入り込めなかった私としては変わり過ぎたデザインに入れ込めるか不安。

次の作品は元に戻してくれるとうれしいなぁ。
ガンダムUCを見た時は安彦良和の絵にコレだよコレ!って思ったからなぁ。
どうしても最初の作品からキャラデザインや演出が変わってしまうのは改悪に感じる事が多い。
なんだか、そうなる予感がしています。

予想を裏切ってくれる事を期待しています。

投稿 : 2018/12/16
閲覧 : 317
サンキュー:

15

ルカルカ さんの感想・評価

★★★★★ 4.9
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

やはり期待以上の作品だった。

2018年4月21日劇場公開され、公開されている映画館が遠く往復でDVD1本分の費用がかかるので、DVD発売まで待ち本日(2018年12月12日)届き視聴しました。

公開されたときから絶対に面白い作品だと確信していました。
なぜ映画館に行かなかったかというと、面白いのが分かっていたから1回観たらまた必ず行きたくなると思いその分出費もかさむ、ならDVDが出るまで待って繰り返し観ようと。

本日DVDが届き、期待して観ました。

特に後半は圧巻としか言いようがないくらい何か心に来るものがありました。
観終わった後、何とも良い気持ちになりました。

まだ1回しか観ていないのでこの作品の本質は理解できていないけど、これから何回も観てもっとこの作品を好きになるのだと思います。

この作品は響けユーフォニアム2期の後の話ですけど、響けユーフォニアムを観ていなくても、この作品単体でも十分に楽しめると思います。

ぜひこの感動をあなたの心の中に。

投稿 : 2018/12/12
閲覧 : 284
サンキュー:

18

ネタバレ

Jun さんの感想・評価

★★★★★ 4.9
物語 : 5.0 作画 : 4.5 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

人の気持ちの交錯をわかりやすく映像音声化

極端な設定のアニメが多い中、エログロナンセンスを訴求せずに平常心で音声と映像の技術を堪能できます。違うんだけど、ちょっと小津調を感じる。絵本の中に対象があって、比較的短い尺で、繊細ななんだけど、わかりやすかった。鳥役とカゴ役がスッと入れ替わるのは、人間関係の中で実際時々起きるけれど、表現が秀悦。続く第三楽章では台詞(こころのこえ)なし演奏だけで完璧に何が起きたか伝わる。エログロナンセンス腐海に沈んでいたが、少し冴えてきた。つくってくれてありがとうございます。

(蛇足: 鳥の多い学校だって思いました。今の高校生ってスタイルいいですよね。部長、副部長がほとんどギリギリ美形じゃないのがすごく良かった。美人ばかりだと緊張する。)

投稿 : 2018/12/12
閲覧 : 256
サンキュー:

32

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

ずっとずっと、一緒だと思っていた。

この作品は「響け! ユーフォニアム」のスピンオフに位置付けられた作品です。
完走後にwikiをチラ見したところ、本作品は1本の独立した映画としても成立するよう制作されたと記載がありましたが、登場人物の紹介などは一切ないので私は一見さんお断りの作品だと思いました。
そのため、本作を視聴する前にテレビアニメ本編の視聴をお勧めします。

これまで本編である「響け! ユーフォニアム」では、主人公である黄前 久美子が北宇治高校に入学し、小さいに始めたユーフォニアムを続ける事を決め、高坂 麗奈を始めとする同級生4人組と、吹奏楽部のみんなで京都府大会…そして全国大会を目指して切磋琢磨する様が描かれてきました。

「全国を目指す!」とはどういう事なのか…
徹底的に非情にならなければ目指すことを許してもらえない目標であり、実力が伴わないと、どれだけ努力をしようがバッサリ切り捨てられる…
久美子たちは身をもって知る事になります。
流れる大粒の涙…悲痛な叫び声…そんな産みの苦しみを味わいながらも彼女たちは一歩ずつ階段を上っていきました。

この「リズと青い鳥」は紆余曲折ありながらも目標に向かってしがみついたオーボエ担当の鎧塚みぞれ(CV:種崎さん)と、一度は心が折れましたが吹奏楽部に復帰した傘木希美(CV:奈央ぼう)が紡ぐ物語です。

オーボエ担当の鎧塚みぞれといえば、毎日黙々と練習に打ち込む姿が印象的でしたが、一歩踏み出した先で奏でた学校に響き渡る音色は涙が出るほど綺麗でした…
リードを咥えながらちょっと首を傾げた真正面の笑顔も大好きですが、アニメ流行語大賞2016の金賞を受賞した台詞「たった今、好きになった」が今も頭にしっかりと焼き付いています。

そんなみぞれが唯一心を許しているのが希美なんです。
何も無かった自分に吹奏楽を教えてくれたのが希美…
自分がここまでこれたのも希美のおかげ…
みぞれはいつも希美の後を追いかけてばかり…
きっとお互いにその立ち位置は悪くなかったんだと思います。

この作品のタイトルが何故「リズと青い鳥」なのか…
それは今度のコンクールに向けた自由曲が「リズと青い鳥」だったから、というのもありますが、一番はきっと希美とみぞれの立ち位置が被るから…
自信に満ち溢れ、周りからの人気も高い希美が青い鳥で、そこから動けずに日々を過ごしているリズがみぞれ…

そういえば、「リズと青い鳥」という曲は、オーボエとフルートの掛け合いがとても綺麗な曲なんです。
オーボエとフルートといえば、みぞれと希美が演奏する楽器…
しかもお互いが楽器のリーダーなので、最大の見せ場が二人の共演という形になるんです。
きっとみぞれも希美も嬉しかったと思います。
だから演奏にも当然気合いが入りますよね…

ところが、いざ合わせてみると突きつけられるのは予想に反した結果ばかり…
だって物語の登場人物の心が分からない…
自分には真似出来ない…理解できない…どうしてそれが幸せなの?

そんな葛藤がもたらしたのは一筋の光である気付き…
この一筋の光がこの作品の展開を大きく動かす事になるのですが、気になる方は本編で確認頂ければと思います。

このレビューのタイトルである「ずっとずっと、一緒だと思っていた。」は、公式HPのTOPページに記載されている一言です。
視聴する前は、この言葉の意味が皆目理解できませんでした。
でも視聴すれば、言葉の深さが感じられると思います。

言葉だけじゃありません。
本分である演奏も半端ありません。
特に終盤…響き渡る楽器の音色は私の涙腺に直撃でした。
上映時間90分の作品で尺も短いため、あれもこれも詰め込むことはできません。
そのため、アニメ本編よりはこじんまりした印象はありましたが、必要なモノは全部入っていたと思います。

2019年の春には完全新作の映画が上映される予定ですが、そちらを視聴する前に是非こちらの視聴をお勧めします。

投稿 : 2018/12/09
閲覧 : 463
サンキュー:

45

ネタバレ

けろっぴ さんの感想・評価

★★★★★ 4.8
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

後からジワっときました

非常に良い映画でした。

映画が始まってからの感想はなんだか眠くなってしまいそう。
そして、エンディングは...あれ?終わった?今ので終わりなの?
「結局なんだったんだろう不思議な感覚だったなぁ」というのが見終わった時点の感想でした。
翌日ふと目が覚めるとなぜか映画の(覚えている限りの)内容が駆け巡っていました。
もう1度見てみたい。
もう一度映画館に足を向けようと思ったのは初めてです。

廊下に響く靴の音、楽しげに揺れるポニーテール、水槽のエアーポンプ音だけが聞こえる教室
なぜ後になって心を揺さぶられてくるのでしょう?不思議な感覚です。

対照的な2人、隠していた弱さを、自らの劣等感を...上手く言葉には出来ませんね。
なんだか胸が締め付けられるような、切なくノスタルジックな気持ちになる映画でした。

投稿 : 2018/12/08
閲覧 : 197
サンキュー:

17

u65 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

女子高生、成長の物語。

ともだちって難しくないですか?
恋人ならお互いがいちばん好き。
でもともだちは「自分にとっては数少ないともだちでも、
向こうにとっては、たくさんいるともだちの一人でしかない。」
という事例が存在し、私自身も同じジレンマを抱えていました。
この問題を主題にした作品は知る限り無くて、
とうとう出てきたな、そしてどうこの問題を着陸させるのか。
どう解決させるのか、そもそも解決できるのか、ずっと楽しみにしていました。
いち映画としての映像や心象描写は素晴らしく、
かつ自分では想像できなかった素晴らしい着陸でした。
「いっしょに居てくれた青い鳥をカゴに閉じ込めるだけでなく、
青い鳥に翼があるように、ひとりぼっちな私も翼があってみんな自由に羽ばたける。」
人生は出会いと卒業の繰り返しなのかもしれない。
そしてあのラストシーン。
素晴らしい映画でした。表現してくれて、映画にしてくれて、伝えてくれて、ありがとう。
「物語は、ハッピーエンドがいいよ。」

投稿 : 2018/12/06
閲覧 : 194
サンキュー:

14

ネタバレ

Takaさん さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.6
物語 : 1.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

本編は面白かったけど・・・

芸能人を声優に使うのは別にいいけど、
棒なのはね…しかも一人二役。

鎧塚の顔が、「けいおん!」の顔になっていたけど、
なんで???
あと、首が全体的に長いんだけど…

陰キャを主人公にしても大きな変化がないと面白くないよね。
最後も、俺たちの戦いはこれからだ!的だし。

投稿 : 2018/12/06
閲覧 : 314
サンキュー:

3

北山アキ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4
物語 : 3.0 作画 : 5.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

TV本編は大好きだけど…

作画は繊細なタッチで見惚れるけれど、
物語は言うほど繊細ではなかった。
それが口に出せないようなことなら納得できるんだけど、
そんなでもなくて、もどかしいだけでどちらの女の子にも共感できない作品だった。
大したことじゃないことが大したことに思えるお年頃ってことかもしれないけれど、高校生でそれは言い訳臭くて物語性に膨らみを感じさせないなあ。

投稿 : 2018/10/14
閲覧 : 226
サンキュー:

6

プラ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4
物語 : 3.5 作画 : 4.5 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

京アニすげえ・・・

セリフではなく、絵で語りかけてくる映画。

絵に見とれていたら、内容が頭に入ってこなかった・・・

投稿 : 2018/09/24
閲覧 : 183
サンキュー:

3

ネタバレ

Tom さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 3.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

青い鳥

青い鳥は愛する人の傍に居る為に「偽って」人間の振りをしている。
時折、自身の本質である、「空を飛ぶ」ことから離れられずに。
そして見抜かれてしまう。

リズは多くの動物たちに囲まれているが、全ての生き物が、違う種の生き物だ。
彼女は、最終的には「ありまのままのあなたで居るべきだ」「それが私の愛だ」となるのではないだろうか。
あるべき。あってほしい。エゴイズム?

人間も、一人一人違う生き物だ。きっと彼女は、どんな存在と心を通わせても、
最後には、あなたがあなたらしく居る為には、と、最後には独りを選ぶのではないか。
だから彼女は森に、一人で暮らしているのではないか。

青い鳥は偽りを見抜かれ、人ではないからと、違う生き物だからと、共に生きれないと言われて。
リズを愛しているから、彼女の望みを叶え、空へと。

そこには、互いの「愛」があるのだ。
しかし、互いの「一緒にいたい」という想いが、「それ」に負けてしまうのは何故だろう。

そうある「べき」。そうあるべきものを、そうさせない「悪」。何故?



みぞれは「偽って」いる。のぞみの傍にいる為に。
偽りは、見抜かれてはいけない。カードは、一枚開くと、どんどん開いてしまう。
だから、彼女はカードを開かない。言葉数少なく、自分をさらけ出さない。それがリアルで共感出来る。

のぞみはとても人間的で、相手を操作する行為を行う。突き放すことで、結びつける。
自分がきっかけを与えたからこそ、悔しい。


オーボエの覚醒と言われるシーン。
「愛」を。みぞれは愛を鳴らしている。愛していると。
孤独だったのだ、青い鳥もまた。傍に居たいのだと。ただ、傍にいたいのだと。違う生き物だとしても。人間でないと知られてしまったとしても。
だけど、青い鳥は愛しているからこそ、飛び立ったのだと。それでも尚、愛していると。

こんなに強く愛を鳴らしているのに、のぞみには「自由」を望む声のように届くのだ。強く強く、自由を求める声として届くのだ。
何故?

──このシーンの泣けるレベルは半端ない。
楽器の演奏と、演者の表情、動き、それで表現されたシーン。京アニの泣かせ方のバリエーションが、最近本当におかしいと思う(褒めてる)。
ヴァイオレットエヴァーガーデン、響け…。本当にずっと泣かされてる。泣ける作品が好きな私としては心底喜ばしいことです。──

そして、のぞみは操作しようとする。自分より下の存在のままでいてほしいという思いもあるのかもしれない。
その存在を手放したくないと足掻く。結びつけようとする。元の関係を望む。
それに対して、みぞれは、ただただ、傍にいたいのだと。孤独だったのだと。それが今は違うのだと。だから、あの演奏が出来たのだと。
音のない口が「頑張ろうね」を縁取る。それに応えたかったのだと。そして、応えれたのだと思った。のに、のぞみは泣いている。
そして、カードをついに開く。

この時、やっと、お互いの「愛」や「べき」を通り越して、「好き」だけを伝え合う。

リズと青い鳥とのぞみとみぞれの違いは、そこだと思う。
そして、二人共が学校というシステム、カゴの中にいるからこそ、彼女たちは一緒にいることが出来たのだと。

ハッピーエンド?




──個人的には、青い鳥の偽って傍に居る心情が、とても共感出来てしまって。みぞれの口数少ないあの感じとかも。
私も、好きな人が居るけど、私という人間の生い立ちや、性質、そういったものがあまりにもヘヴィなので。
何も相手に自分のことを伝えれずに、それでも傍に居たくて。でも、一枚もカードを開くことが出来ず。
そうするとどうしても、言葉が出てこなくなってしまって。
あまりにも口下手というか、口数の少ない人間になってしまっていて。
私も歌でなら、愛を鳴らせる人間なので、オーボエで愛を鳴らすシーンが、余りにも、響いて。泣けて泣けて。余韻で更に泣けて。
帰りの車の中でひたすら泣いて。目をパンパンに腫らして帰りましたw

孤独でなくなった時の暖かさ。慕う喜び。傍に居たい。でも、居る「べき」でないという葛藤。その価値が、自分にないのだと。
ただ一緒に居たいから居る。ということが選べたら。どれだけ生きやすくなるだろうかと。
そう、私もあれたらと。飛び立ってしまいたくは無いなと。振り向いて、貰えたら、と。
…リズと青い鳥での飛び立つ、は愛しているからこそ、飛び立たなくては、と言われて、受け入れて飛び立っているので、
私の逃げ腰のそれとは、全然意味合いが違うのですがw

(個人的には、アールトがとても素敵に見えたので、いやいや、独りちゃうやん、「また明日ねアールト」とか声交わしてるやん最高やん!ってなってました←)──

※当時見た後書いた別のところのレビューをそのまま持ってきた

投稿 : 2018/09/17
閲覧 : 262
サンキュー:

17

でこぽん さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1
物語 : 3.0 作画 : 2.5 声優 : 3.5 音楽 : 3.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

良い映画というものは・・

この映画は、『響けユーフォニアム』を見たことがある人で、なおかつ 鎧塚みぞれに思い入れをしている人が見ると、それなりに感動します。

みぞれのたどたどしい話し方の中に、自分の思いを一生懸命伝えようとしているのがいじらしく、共感を呼びました。

私は、多くの人に、みぞれのことを知ってもらいたいと思っています。
みぞれのように、一つのものに真剣に取り組めば、みんなを感動させることができる。それを知ってもらいたい。
しかし、
残念ながら『響けユーフォニアム』を見たことが無い人が見ると、過去の経緯が分からないため、
みぞれのことを、『希美にべったりの主体性の無い根暗な少女』とだけ映るようです。

良い映画というものは、初めて見る人でも『内容を理解できて楽しめる、感動できる』ものだと思っています。
だから映画を見た人が口コミで映画の良さを伝え、来館者数がいつの間にか増えるものです。

作画が違う完全新作だからこそ、みぞれと希美の中学の頃とか高校一年の頃、高校二年の頃の説明を丁寧にしてほしかったです。
そうすれば、始めて見に来た人でも大いに感動したはずです。
「過去の経緯はユーフォのアニメを見てください」だと、ユーフォを見たことない来館者に不親切な映画であり、マニアだけを対象としているの?と尋ねたくなります。

また、残念だったのは、作画が『響けユーフォニアム』のときと違っていますし、黄前ちゃんの出演がほとんどないことです。

これが映画化された理由は、『響けユーフォニアム』の人気が凄かったからです。
それなのに、作画が『響けユーフォニアム』と違ったり、そのときの主人公である黄前ちゃんの出番をほとんどなくしたのは、ファンをないがしろにしたように感じられます。すごく残念です。

映画館に見に来る人の多くは、アニメの『響けユーフォニアム2』の続編を期待して見に来ているのに・・・。
京都アニメーションの人は、それをくみ取ってほしかったです。

長文ですみません。最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

投稿 : 2018/07/14
閲覧 : 701
サンキュー:

64

ネタバレ

P_CUP さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

俺はこの映画を観るためにユーフォシリーズを追いかけて来たのかも知れない

すでに3回も鑑賞しているが、観るたびに心に五寸釘サイズの何かを突き立てられる思いである。
しかも、これにはどうやら返しが付いてるようで、永遠に抜けそうにない。
ひょっとすると、このままリズと青い鳥のことだけを考えて生涯を終えるかも知れぬ。
そういうレベルでこの作品は我が精神に巨大な傷を残してくれやがった。
京都アニメーションと山田尚子に対して損害賠償請求を検討しなければなるまい。


・エンタメ性をかなぐり捨てて浮かび上がる映画的「美」

話が地味だとか、これまでのユーフォシリーズを見てなければ理解出来ないだとか、
絵柄は元の方が良かっただとか、やっぱコンクールでの演奏がなきゃ盛り上がらないとか、まあ、賛否が出るのは理解できる。
だが、他人がどう評価してようと、そんなものを忖度して評価を下げるほど愚かなことはない。
誰がなんと言おうと、これは自分の中では5点満点、いや、5億点の「映画」である。
ここまで、強く「美」を感じる作品に、少なくともここ数年、お目にかかったことがない。
この作品を見ると、実写・アニメ問わず、如何に「エンタメたるべし」と思うあまりに、設定を詰め込み、目まぐるしく展開させ、結果、映画的な「美」を損なってしまっているものが多いかを思い知らされる。


・多重的、多元的に重ね合わされる意味と表現

場面場面に対して、これでもかとばかりに意味が幾重にも重ね合わされている。
また、一応、映画の文脈に沿ってレイアウトなどが組まれている一方、従来の山田尚子作品で多用された「花言葉演出」みたいなものは、あまり見かけなかった。
あれは、意味を直接的に台詞などで語らせず、画面に描くものによって間接的に表す手法だったわけだが、今作は全くノーヒントな場面も多い。
よって、「このように見よう」という、鑑賞側の意思が介在しない限り、意味を1つに絞ることは出来ない。
そして鑑賞者側のそのような意思には、各自の経験なり価値観なりが反映される。
従って、見る人によって、この作品から何を見出すのかは大きく変わってくる。
事実、すでに一家言ある鑑賞者によって、はてブロやらなにやらに、リズ鳥を論じる文章が多数投稿されているが、その解釈は見事にバッラバラである。
仮に作り手が、「其処此処のシーンはこれこれの意図で作りました」と述べたとて、果たしてそれが唯一の正解であろうか?
表現しようとしたものと実際に表現されたものの間には大きな隔たりがある。
理を以ってこの映画を解釈しようとすれば、おそらくこの映画の本質から最も遠いところに立つことになるだろう。


・やまとごころとからごころ

源氏物語より1000年。物語は、また宇治から生まれた。
・・・などと言ってしまえば、さすがに大仰に過ぎるが、リズと青い鳥、或いはユーフォシリーズ全てに於いて、その底流・本質には「やまとごころ」が、ごく自然な形で存在しているように思えてならない。
少女たちの、あるがままの感情を、価値観や倫理観によるフィルターなど通さず、あるがままに見、聞き、そこから生ずる情趣に思いをいたす、すなわち「もののあはれ」である。
ならば、「からごころ」を以って、物語の善悪是非を問うのは、あまり勧められた見方ではないだろう。
価値観・倫理観に照らして、作品を解釈し、或いは断罪し、それで理解出来たと思うのであれば、「大罪を犯している。傲慢というやつだ」(by折木奉太郎)
作品をあるがままに見やったとき、その、言語化不可能な、ドロドロに煮えた感情の塊のようなものを耳目から流し込まれる感覚に陥る。そして、また心に刺さる釘が増えてしまうのだ。


・で、結局、リズ鳥はどうなのよ?

論ずるに術がござらん

disjoint


・余談、或いは小ネタ

「Dried Up Youthful Fame」という曲がある。Free!2期のOPのことだ。
「・・・は?なんでここでFree!が出てくるんだ?」
そう仰らず、ちょっと1番の歌詞を調べて読んでみてもらいたい。(ここに書くのは著作権的にアレなので)
この歌詞、Free!のイメージを廃した状態だと、なんというか、希美のことを歌ってるように思えて来ないだろうか?
自分は、リズ鳥を観て以降、希美の、あの朗らかな笑顔と、その裏に隠されている巨大な感情が思い浮かんで仕方がない。


・余談その2

この映画が公開されてから、ツイッターなどの反応を漁っていると、
ちょくちょく目にするのが「山田尚子は高畑勲の後継者だ」みたいな意見だ。
確かに、繊細な日常芝居などをみると、高畑イズムを継承しているようにも見えるが
どちらかというと、彼女のルーツは、小津安二郎とか、その辺りにある気がする。


・余談その3

希美が冒頭で羽を拾い、ちょくちょく窓の外を飛び回っている「青い鳥」は、おそらく「オオルリ」であろう。この鳥は渡り鳥でなので、冬には居なくなる。
そういえば、絵本パートの中で「もうじき冬が来るわ。リズはどこに行くの?」という、青い鳥の少女のセリフがあった。
ここから察するに、青い鳥の少女も渡り鳥であり、もしリズが彼女を放たず、籠の中に閉じ込めてしまっていたら、冬を越せなかったのだろう。
作中において「リズと青い鳥」は童話として読み継がれていることになっている。
そして童話というものには、なんらかの教訓が込められているのが常である。
それを踏まえて気になるのが、希美が読んでいたリズと青い鳥は絵本で、みぞれが読んだものは文庫本である点。
想像するに、みぞれが読んだものの方が、より、原書に近く、教訓めいた内容が書かれていたのかも知れない。
いったい、童話「リズと青い鳥」の原書には、何が書かれていたのか?大いに気になるので、武田先生、よろしくお願いしますw


・余談その4

「味ついてておいしいです」と、梨々花が希美に差し出すゆで卵。
この作品にあって、貴重な癒しでありコミカルなシーンだが、含まれてる暗喩に気付くと、緩んでられなくなった。
希美が手にするのはゆで卵。つまり「死んだ卵」であって、どれだけ大事に温めようとも、そこからは雛鳥は産まれてこない。
ただ、腐って行くだけ。
なんという辛辣な表現だろうか。つらい・・・


・余談その5

のぞみぞれ=律澪説。
「才能の有無」という視点で見ると、希美とみぞれの関係は、氷菓における、河内先輩(ナコルル先輩)と、転校して行った安城春菜(「夕べには骸に」の原作者)に近いと思っていたが、
視点を転じて「コミュ力の有無」に着目すると「持つ者」「持たざる者」の立場は逆転する。
その視点では、希美は田井中律に、みぞれは秋山澪に近い存在ということになる。
あの2人は、互いに相手が持つものを羨んだり妬んだりしない。
羨望や嫉妬を捨て去れたとき、2人の関係は、律と澪のように理想的な姿へと昇華されるのではなかろうか?
その可能性を信じてみたい気分でもある。


・余談その6

「flute,girls」
なんとも朗らかで気の抜けた会話を披露してくれるフルートパートの面々。
正直、あの会話部分は聞き流してた箇所だったが、今更ながら気づいたことがあったので追記。
生物研の男の子に言い寄られて水族館デートに行ったメガネちゃん。
「ふぐに似てて可愛い」と言われたことにショックを受けたってくだりに、実は「相手に好かれたとて、自分が好きになって欲しい部分を好きになってくれるとは限らない」という示唆が含まれている。
・・・なんという隙のない脚本だろうか。吉田玲子おそるべし。
ついでに、フルートパートにいる、カーディガンを着た三つ編みおさげちゃんだが、この娘、なんかずっと希美ばっか見つめてるような・・・?

投稿 : 2018/06/02
閲覧 : 298
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44

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ねこまっしろ さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

僅かな音も聞き逃したくないほど繊細で美しい作品(*´∀`*)

なかなか時間がとれず見にいきたくても行けませんでしたが、今日ようやく見にいくことが出来ました!

リズと青い鳥の告知PVを見て、前作よりガラッと変更され、柔らかな色合いと作画に最初違和感を感じましたが、キャラ画に関しては明らかに変わっているはずなのにそのキャラのイメージが全くブレない所に驚くほど親近感を覚えました(^^)
作画も、実際劇場で見ると今作品に対していい味付けをしているなぁ〜って感じました! キャラ画では特にみぞれちゃんは、目がクリクリしていて可愛らしい前作とは違い、大人っぽい雰囲気漂うキャラ画で前作とのイメージが変わっていました。 もしかしたら {netabare}青い鳥となって自由に広い空を羽ばたいていくような…、言い換えれば彼女自身が自らの力で大人の階段を一歩上がっていくような…、そういう表れかもしれないと思いました。 ・・・・私的なイメージですが(^^;){/netabare}

物語も前作とは打って変わり、みぞれちゃんと希美ちゃんの人間関係を中心とした純粋でほろ苦い青春ものと並行して、タイトルである「リズと青い鳥」という題名の作中にある童話をみぞれちゃんが読む場面でストーリーとなって交互に進んでいく90分でした。

作中の、童話の世界での「リズと青い鳥」では、{netabare}1人の少女リズと、少女にも化けられる青い鳥がそれぞれみぞれちゃんと、希美ちゃんの過去の出来事を例えたようなシナリオでした。 {/netabare}

注目する点は、なんといっても優しく繊細な音! メインヒロイン2人のフルートやオーボエの音色やその他楽器の音色は勿論のこと、癒しを与えてくれるBGMやそれ以外の日常的に聞いているちょっとした音にも耳を澄まして聞いていたいほどで、微細な変化をつけることでその人物の性格を表現出来る所に感動しました(*^o^*) 特に序盤の{netabare}希美ちゃんの足音だけでみぞれちゃんが反応するシーンは京アニの音に対する強い拘りが感じられました(^^)
それと、同じく序盤の、希美ちゃんとみぞれちゃん2人きりの部室で音出しする場面では、フルートとオーボエの音色を聴いただけで自然と目がうるっときちゃいました(´∀`){/netabare}

合唱コンクールに関しても、自由曲がタイトルと同じ「リズと青い鳥」で{netabare}童話の中の1人の少女と青髪の少女を表す曲は聴いてて安らぎを与え、とても落ち着きます(*´∀`*)ノ
その中でも第3章にオーボエとフルートのソロパートを入れたのも、作品を意識して曲作りしている感があり、2人のためだけの曲のようにも感じ取れました!{/netabare}

そして、1番感動したのは、{netabare}なんといってもみぞれちゃんのオーボエソロ!

終盤の第3章を通しで見せたみぞれちゃんの伸びやかでどこまでも自由に羽ばたく青い鳥のように、オーボエの音色を響かせたソロパートは、鳥肌が立ち涙が溢れて止まりませんでした( ;∀;) カンドーシタ

今まで青い鳥は希美ちゃんだと思っていましたが、本当に羽ばたくべきなのはみぞれちゃんなのだと感じた瞬間でした(*´∇`*)

{/netabare}

今作もまた、予想を上回る完成度で嬉しかったです(≧∇≦) 無音に近い劇場だからこそ、感じられる音と爽やかな作画による癒しを沢山頂きました( ´ ▽ ` )
強いて言うなら、90分があっという間に感じたことで、もっともっと2人の物語を見ていたかったです。
それでも、長いようで短かった90分間はその内容の全てを理解出来ない奥深さを味わえる魅力溢れる作品でした! 何回でも見返して全てを理解したくなります(^∇^)


まだ続報のない2年生になった久美子達が中心の次回作も今からとっても楽しみで、待ち遠しいです!

素晴らしい作品を作ってくださった京アニには感謝の言葉しかありません! 本当にありがとうございました(*^^*)

投稿 : 2018/05/31
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32

ネタバレ

Mamo さんの感想・評価

★★★★★ 4.6
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 5.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

「流石は京アニ」と言わざるを得ない。 ふたりのもどかしい感情を、『足』を使って見事に表現

この映画は、原作「響け!ユーフォニアム 波乱の第二楽章 後編」の内容を、鎧塚みぞれ・傘木希美の二人の物語を主軸に焦点を置いて、一部を抜粋したストーリーとなっています。

私は原作既読済の状態で映画を見に行ったのですが、小説で読んだ時よりも表現や演出が細かく、そのクオリティの高さに衝撃を覚えました。

今作は、TVアニメのような熱血青春ストーリーでも、黄前久美子の物語でもありません。
みぞれと希美の微妙な距離感と友情の変化を、演出や音楽などを駆使して繊細に表現した、切ない友情ストーリーとなっています。
とても盛り上がるような展開はこれといってありませんが、前記の通り、みぞれと希美のふたりの感情表現がとても繊細なことに度肝を抜かれましたね。


作中、これでもかというくらい足を使った表現がなされていました。、些細な表現も顔の表情ではなく、敢えて足下の動きだけでわかるようにしているのは粋だと思いました。

音楽もしつこくなく、でもどこか響く優しいピアノの劇伴が主になっていて、
今回の物語にとても合っています。「聲の形」でお馴染み牛尾憲輔さんは適役だと思います。



私はあまり、演出の細かさなどを基本気にせずに見ている人間なので、うまいことや細かい点はいえませんが、

{netabare} 最初(これまで)のみぞれは希美についてばかり、希美の行動に従うという点ばかり見受けられましたが、本作ラストの下校シーンの時に、最初の登校シーンと比較になっているのはとても魅力的でした。
希美を待って、ただついて行ってただけのみぞれが、希美を待つ前に自分から一歩前に校門に歩き出していたのが最初と最後のシーンで比較になっているのは良いなと思いました。
山場のシーン、自分から「大好きの『ハグ』」を希美にしたり、「ハッピーアイスクリーム!」と言ったのも、前記の成長が見られたと思います。(そんな単純な話じゃないかもしれませんが....)

みぞれが「リズ」、希美が「青い鳥」だと思っていた二人は、周りの意見をヒントにもらって、自分たちは逆の立場だったことに気付くシーンは印象に残りました。

リズに色んなことを教えてもらってた青い鳥は実は羽ばたく(オーボエの技力)術を最初から持っていた。リズ(希美)が後押しするだけで良かったんです。でも希美は持って生まれ持った才能が違うみぞれが離れていくのが嫌だった、故にみぞれを遠ざけてしまったけど、みぞれからの告白によって、
希美は技術力の面で自分の元から離れていくみぞれを受け入れて、
みぞれは進路の面で自分の元から離れていく希美を受け入れたことで、
自分もみぞれを支えられるように(演奏)頑張るよ、と意思表示したことで始めてふたりの関係が対等になったと思うんです。山場の後のシーンにあった、二匹の鳥が飛び立つ姿と、赤と青の絵の具が混ざり合うというう演出は、それの暗喩なのだろと解釈しました。 {/netabare}

レビュー書いてるうちにまた見たくなってきました.....。
二週目を見ると、また違う解釈や考えが見えてくるはずです。

それにしても、本当京都アニメーションはすごいですね。
ホントにブレないです。この会社は。毎度毎作品作画や演出のクオリティーの高さには本当に感動してばかりです。
ここ数ヶ月、「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」「映画 中二病でも恋がしたい! Take On Me」を公開したにも関わらず、またしても映画を作ったなんて.....これらの作品と同時進行で作ってたんですかねこの映画....スタッフ一同に感謝しかありません。Free!3期も楽しみにいています!


余談ですが、Googleで「リズと青い鳥」と検索すると候補欄に「リズと青い鳥 百合」と真っ先に出てくるのですが、ふたりの関係性を「百合」の一言で片付けてしまうのかどうかと思いました。

まぁ、ただの百合アニメと解釈するにしろしないにしろ楽しめる作品ですので、
みぞれ推しの方も、希美推しの方も、
京アニ好きの方もユーフォ好きの方も、
気になったならみたほうがいいと思います。

映画を見終わった時には、今迄の映画とは少し違う、
不思議な余韻に浸れる一風変わった映画となっておりますので、是非ご堪能あれ。

投稿 : 2018/05/31
閲覧 : 239
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28

ひつまぶし さんの感想・評価

★★★★★ 4.6
物語 : 4.0 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 5.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

一瞬、一瞬、全てが見逃せない

今作は本編とは異なり3年生組、特にのぞみとみぞれの2人が主役の物語

この作品は映画館の大画面でぜひ観るべき作品です
彼女たちの全ての表情、行動、癖、雰囲気、息遣い、全てが物語を作り出していて、たったひとつも見逃せない
更には空や風など背景描写、音楽、そしてもちろん絵本の世界
これら全てを大画面で全身に浴びる
映画っていいなあ

投稿 : 2018/05/29
閲覧 : 245
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21

ネタバレ

fuushin さんの感想・評価

★★★★★ 4.9
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

名伯楽と、優駿。・・・それが希美とみぞれ。

最初に、私に声をかけてくれたのは、希美。
その日から、今日のこの時まで、私はずっと希美だけを見てきた。
希美は・・・希美は、私のすべてだった。
突然、希美は、私に何も言わないまま、吹部を辞めてしまった。
希美は・・・勝手だった。
私は、・・・どうしていいかわからないまま、吹くしかなかった。
なぜ、なんだろう・・・


最初は、私から誘ってみたんだ。みぞれを。
その日から、励まし続けた。いいことだと思ってた。みぞれには。
みぞれは・・・みぞれは、大切な友達のひとり。
ずっと、みぞれは、ぶれなかった。ひたすらに頑張っていた。
みぞれには・・・何も言えなかった。
私は、・・・私が、みぞれの本当の音を知らなかったんだ。
どうして、なんだろう・・・


{netabare}
高校3年生。
避けようのない、進路の選択。そして人生の岐路。
みぞれも、希美も、否応なく自我に向きあわなければならない。
空回りがあり、勘違いがあり、心中には深い葛藤と、妬み、もあった。

揺らぎだす不安。
麗奈にも意見される2人のハーモニー。
優子はみぞれを慮り、夏紀は希美を擁護します。
そこにわずかな不協和音のノイズも見え隠れするのですが・・・。

なぜか、久美子と麗奈が、見事なまでの演奏を奏でてくれました。
そのハーモニーの確かさ。
それぞれの絆への信頼を、馥郁(ふくいく)と醸し出すかのような笑顔。
これはもう、久美子と麗奈の真骨頂。
わずかな時間ですが、このシーン、お見逃しなきように・・。


リズと青い鳥。
昨日までは、必要とし必要とされ、たしかに繋がっていた2人でした。
今日からは、自分の能力を知り、その立場を知ることになります。
明日からは、各々の生き方を模索し、舵を切りだしていく。


希美とみぞれ。
希美は、原石を見出してしまっていたのです。
みぞれは、知らずに黙々と磨いていたのです。

ただ、その一点においてのみ。
・・・2人は、希望を見つけられました。
・・・そこに、2人の救いがありました。

希美には、みぞれのためのやるべき役割があり、
みぞれには、希美のためにやるべきことがある。
全国にチャレンジするために、それぞれの道を選びます。

まるで、リズと青い鳥の純真な愛の交歓のよう。
どこまでも気高く、清々しい。



葉月と緑輝の何気ないかけあいが、みぞれから希美への信愛のかけあいに活用されるシーンは、北宇治吹部ならではの妙でしょう。
こちらもきっとお楽しみいただけると思います。



音にはまったく素人の私ですが、みぞれのオーボエには、落涙でした。

本作が、3期にどんなシーンとして描かれるのか、楽しみです。

原作とは違うシナリオ、過去作とは違うキャラ描写が見られましたが、本作なりの味わいと魅力が、その脚本と演出に色濃く描かれていました。
メロディと、映像と、シナリオの美しい共演は、この作品を待ちに待ったファンへの「饗宴」でしょう。
京アニからのおもてなしを、心から堪能していただきたい。
そう思いました。
{/netabare}


●鑑賞2回目です。
{netabare}
初見は、原作・シナリオを追いましたが、今回は彼女たちの心模様の移り変わりにフォーカスして観てみました。


みぞれを見出したのは、たしかに希美。
でも、みぞれを導くのは、希美ではなかった。

滝先生や新山、橋本らは、世界を、本物の音を知っている。
だから、みぞれを導きたい。みぞれの才能に期待したい。
夢を、どこまでもふくらませたい。

でも、みぞれはリズ。夢は実感できない。

優駿は、地上を駆け巡るのが相応しい。でも・・・。
青い鳥は、大空を飛び回るのが相応しい。だから・・・。
オーボエに息を吹き込むことで、夢がふくらみはじめていく。


いつか、希美は、気づくのだろうか。
みぞれが言った言葉の意味を。 「希美は特別。私のすべて。」の真意を。

リズの、青い鳥への深い愛情を。
希美の、希美自身へのゆたかなプライドを。


みぞれに"人生の扉"を開ける鍵を渡したのは、希美。
だから、"音楽室の扉"に鍵を差し込むのは、決まってみぞれ。

みぞれの先に立って、"三歩進み、一歩止まり、二歩進んだ"。それが、希美。
希美の後ろについて、"見失わないように追いかけて、見失って待ち続け、いつしか追い付いて、ようやくハグできた"。
それが、みぞれ。


「オーボエが好き。」・・・それはたぶん、希美の背伸び。
だから、希美は気づいている。
みぞれへの友情を。彼女の確かな音楽性を。今ならまだ届くはずだと。

「希美が好き。」・・・それはきっと、みぞれの真実。
だから、みぞれも気づいている。
希美への信愛を。彼女と音を楽しむ嬉しさを。これからも繋がるはずと。



6年前から、決まっていた道ではないし、その道が分かれることは恥ずかしいことじゃない。

自分を見つめて、自分で選んで、自分で決めた道だから、それはとても嬉しいことなはず。
相手を見つめて、相手を気遣って、相手の進む道だから、それもとても嬉しいことのはず。



6年間の、みぞれの軌跡と希美の航跡が、交差する瞬間。

180度反転して、今まで見ていた景色から分離していく時間。

分岐点に気づけるのも、役割を見出し一歩踏み出せるのも人間。

disjoint から joint へ。

その"間"の微かな移ろうさまを、密やかに感じました。



その"間"に奏でられる2人のハーモニーを。2人の豊かな人生を。

早く聴きたい、観たい気持ちです。

"間"が持てそうもないのです。
{/netabare}

長文を最後までお読みいただき、ありがとうございました。
この作品が、みなに愛されますように。

投稿 : 2018/05/28
閲覧 : 447
サンキュー:

53

ネタバレ

うにおいくら さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

観に行って良かった

 いつもの吹部の物語で見るとちょっと肩透かし食らいます。
「女子高生の行動を覗き見る」感覚の映画です。

 しかし映画自体の完成度は高いです。
映像の美しさは言わずもがなですが「流石、京都アニメーション」という出来栄えです。

 オジサンには過ぎ去り過ぎた時代の物語だったので、映画の冒頭から暫くは話のテンポがつかめずに少しイラつきましたが、これは私がイラチなオヤジだからです。
作品のせいではありますまい。
一緒に観に行った娘は何とも思っていなかったので間違いないでしょう。


 その割には映画館には吹部OB風のオジサンやオバサンの姿を多く見ましたが、それはいつもの劇場版ユーフォの情景です。

 ただ最後のオーボエとフルートの掛け合いは鳥肌ものでした。
音に対してのこだわりが足音一つに対しても感じる作品でした。やはりここだけは吹部の物語でした。

 私はこの音が味わえただけでも大変満足です。

投稿 : 2018/05/20
閲覧 : 233
サンキュー:

19

ネタバレ

獅苑 さんの感想・評価

★★★★★ 4.7
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 5.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

深かった

一見すると何もないようだかよく考えてみるととても深い内容で面白かった

投稿 : 2018/05/20
閲覧 : 182
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10

ネタバレ

退会済のユーザー さんの感想・評価

★★★★★ 4.7
物語 : 4.0 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

ふたりということにまつわる衝撃的な傑作。

今までで観た映画のなかで一番か二番か、くらい凄かったです。
少なくとも五本の指には入ります。凄まじかったです。
ほんとうに、見終えてからどんどんもどかしさが膨らんでいくというか、
映画の意味が分かっていくというか、本当に切ないんですよ。

あまり劇場には見に行かないのですが、
山田監督の「たまこラブストーリー」が良かったことと、
本編ユーフォニアムが良かったことから、見に行くことにしました。
予想していたとおりですが、ユーフォニアム感はまったくなかったです。

精神的な意味での甘酸っぱい「青春もの」を求めている方にはぜひお勧めしたいものでした。
というよりも、ほろ苦い、のほうが近かったかな。
ジブリで喩えるならば、
同監督の「映画けいおん」や「たまこラブストーリー」を、宮崎駿っぽい作品だと喩えるならば、
本作は高畑勲っぽい作品だなと思いました。
人間の心の機微やずれなどのテーマを丁寧に描いている作品で、
エンターテインメント映画の性質は弱いと感じました。

以下猛烈にネタバレですので本編をご覧になった方だけ。

{netabare}

 劇場を出てから電車の中で、なんて悲しい終わり方だ、って思いました。
 希美にとって、みぞれは謎だったんですね、何を考えているのか分からない。
 劇中で、希美はふっとみぞれに距離を置いてしまうのに、
 自分が距離を置かれているという感じ方になってしまう。
 相手のことが分からないとき、自分のこともわからなくなってしまう、
 そういう混乱みたいなものがすごく生々しかったです。

 みぞれにとって希美は唯一無二の親友だったわけです。
 でも、希美からしてみればそこまで思われる根拠がない。
 なんとなく気になって、吹奏楽部に誘ってみて、友だちになった。
 するとみるみる上手くなって、置き去りにされちゃった、という感じ。
 分からない存在ではあっても、大親友という感情ではないんですよね。
 後輩に仲良いですよね、って聞かれたときも、
 「たぶん、そうだと思う」としかいえない。
 このときも自分がみぞれのことをちゃんと友達として思っているかさえも、
 曖昧になってしまっている、謎へ向かう時の混乱を感じます。

 関係的にはふたりとも相手のことがわからないんです。
 みぞれからしてみれば、なんで希美ほどの人が自分と仲良くなってくれるのかわからない。
 希美からしてみれば、なんでみぞれは自分のことをそんなに大切に思っているのか、
 それでいて、どうしてあまり感情を出してくれないのか、謎になってしまっている。
 みぞれからしてみれば、向こう側から来てくれた希美に、自分を出すのはすごく怖いんですよ。
 それでも希美はみぞれの謎のなかに、嫉妬が絡まってすごくややこしい感情を抱いている。
 嫌いなところなんてないのに、でもなんとなく遠ざけたい気持ちになる、
 それが「みぞれは私のことを遠ざけてるんじゃないか」っていう違和感になる。
 ほんとうは、自分が遠ざけてるんですけどね。その理由がわからないから相手が遠ざけてるから、っていう理由に逸れてしまう。

 それでも、関係のなかでの自分の立ち位置はちゃんと分かってるんです。
 みぞれは「私は希美にとって友達のうちの一人でしかない」
 希美は「私はみぞれが思っているような人間じゃない」
 それは的確なんですね。それぞれ相手に別の意味で過剰な感情をいだきすぎている。
 それが結局ずれたまま終わるということが、すごく切ないな、と思ったんです。

 でも映画を観てから一晩寝て、やっぱりこの映画はハッピーエンドなんじゃないか、って思い直したんですよ。
 結局この二人はまだ関係の途上にすぎなくて、作中ではけして平行線を辿っていたわけじゃなくて、
 ずれたままとはいえやっぱり距離は縮まっている。
 希美はみぞれに「大好き」っていう明らかな感情をぶつけてもらった。
 みぞれは希美に自分の感情を曲がりなりにも受け入れてもらえたわけです。

 どうして二人があんなにずれてしまっていたのか、自分に精一杯だったんですよね。
 ふたりとも進路提出表を白紙のままで出していましたが、
 関係に詰まっているのより先に、人生に行き詰まっているような状況の中にいた。
 優子や夏紀はそういう点で根本的に安定感があるんですよ。
 だから関係も「ずれ」の中でも、割合すんなり過ごしていくことが出来て、
 優子は人の感情にすごく敏感で、ちゃんと気にかけることができるし、
 夏紀なんか適当なこといって希美を慰めてみたり、
 そういう二人のようにはすんなりいけない素質が、関係以前に希美とみぞれにはあって、
 それがずれていることをひどく残酷なものにしていたような。
 その意味合いで、アニメ版ではなんで優子が部長?って思っていたんですが、
 映画版ではもう完全に部長の器でしたね。

 自分に精一杯だと、関係の中での問題も、全部自分の問題になってしまう。
 希美はみぞれが何を考えているのか、ってことを考える余裕がなくて、
 みぞれは希美が何を考えているのか、って考える余裕がない。

 それでもみぞれは新山先生との「リズと青い鳥」についての対話の中で、
 逆の立場だったらどう思うって聞かれてふっと視線が変わるわけです。
 物語と現実の関係もずれていて、そのまま適用できるようなものではない。
 どちらもリズでも青い鳥でもなくて、ただ相手のことを見る余裕の違いがあると思うんです。
 リズはずっと自己完結ですよね。相手のことを見る余裕はない。
 相手のことを思ってはいるけど、でも自分で勝手に決めて勝手にさよならしちゃう。
 青い鳥にはすごく余裕があるんです。別れるのは嫌なのに、リズがそう決めたなら、って
 ちゃんと受け入れて飛び立って行くんですね。
 みぞれはリズの立場だったら絶対離さないぞってところで演奏に身を入れられなかったけれど、
 青い鳥の立場から、希美が言うんだったら別れだって肯定できるよ、っていうすごい大きな愛を羽ばたかせてあのオーボエの演奏を披露するわけです。
 それでも希美の立場からはいままでは手を抜いたんだ、っていうだけのことになる。
 それでガツンとやられてひとりはぐれてしまうわけです。もう希美とは無理だというような追い詰められかたをする。
 物語の構図を使うならば希美は別れを告げられたのに受け入れられなかった青い鳥なんですよ。
 みぞれは自分こそ青い鳥だという自覚で吹いていたけれど、
 希美の立場からみれば別れを突きつけられてしまったんです。
 そこで何も解けないまま理科室へはぐれてしまう。

 理科室で再会しても希美からしてみれば、みぞれから試練を突きつけられているだけなんですよ。
 わたしは本気を出せばこれだけ吹けるんだよ、と。そこでついて行けないことの罪悪感と恨みとが心の中を巡るわけです。
 それでもみぞれからしてみればあれは「愛の告白」なんですよね。そこが決定的にずれている。
 ずれているけれど、希美が自分で精一杯だってことを受け入れるだけの余裕がみぞれには生まれていたんです。
 大好きのハグ、なんて希美からすれば唐突で、すごくびっくりしていましたよね。
 あれはいままで受動的だったみぞれが希美に対して始めて能動的になるシーンであるとも言えます。
 希美はみぞれが積極的になったことの中にあのオーボエソロの凄まじさも含めて考えることができて、少しみぞれのことが分かったはずだと思うんです。
 それでも根本的には愛の告白は唐突に感じられたでしょうね。
 今まで自分をどう思っているのか分からなかったみぞれから、感情を明らかにしてもらって、それは紛れもなく嬉しかったと思います。
 それでも希美の頭の中にはやっぱり「みぞれのオーボエ」が残り続けていた。
 「みぞれのオーボエが好き」って漏らしたのは、作中では「希美のフルートが好き」って言ってもらうための呼び水として漏らしたわけですが、
 どちらにしろあのシーンでの希美の返答はそれしか考えられない。みぞれのオーボエの演奏が凄いという事実を受け入れることだけが、希美にとっては愛の告白でありえたんですから。
 その意味でみぞれは希美の愛の告白に応えなかったわけですよね。そこで散々ずれていたお互いの関係が一致したところで決まった、つまり両方があのシーンで「失恋した」ってことだと思うんです。

 ラストシーンではみぞれが「ハッピーアイスクリーム」なんて言って、今まででは考えられなかった積極性を見せるわけですよね。
 それでも希美は「アイスクリーム食べたいの?」なんて誤解をしている。
 普通「ハッピーアイスクリーム」なんて言われたら「え?なにそれ?」ってなりますよね。
 まだ理科室での唐突な告白も希美にとって謎の中にあるし、希美にとってみぞれは未だ「不思議」な存在のままなんです。
 それでもみぞれは笑ってみせる。はじめて観たときは、その笑いが二人の誤解を象徴しているものだとおもって残酷だとおもったんですが、
 それはみぞれが希美の誤解を受け入れている、分かっていることの笑いだと思うようになりました。
 それならやっぱり二人はこれから仲良くなれるんじゃないかという希望の描写だと思うんですよね。
 というのが大まかなこのストーリーの自分の解釈で、大まかには捉えられてるつもりです。
 それでもインタビューで述べられているような「互いに素」であるような決定的なずれというよりも、
 自分に必死であることが生んだずれで、もしそういう必死さがなくなったところであれば、
 ふたりはもう少し一致できるような気がします。
 
 リズと青い鳥のことを希美は結末はハッピーエンドだと思うと言って、
 そのことをみぞれはすごく気にするんですが、
 希美は子供の頃読んだ童話のひとつとして、そこまで切実に考えていないんですよね。
 他にもたとえば希美は「一緒に音大行こう」なんて言ってないのに、
 優子に「音大行こうって言っといて辞めるって何!?」と責められる。
 そして希美もそれを否定しない、そういう過去が曖昧なものになっていく感じとか、
 そういうずれの描き方が、格段にすごいと思いました。
 上にも書きましたが、自分で相手を避けておいて、
 相手が自分を避けてるんじゃないかって思う感覚とか、
 人のせいにするってわけじゃないけど、自分の感情も曖昧になってくるんですよね。
 そういうことの描き方の濃度が異常なほど高いと思いました。

 さりげない描写でかつ印象深いシーンが多いのがアニメシリーズもそうでしたが、特徴だと思います。
 フルートが照り返す光に気がついて笑ったりするシーン、
 ああいうシーン描かれるとそれがあまりにさりげなすぎて泣けますよ。
 あのシーンだけでももう大傑作ですよ。
 あらすじじゃもはや語れないんですよね。細部が充ちているという感じがすごいです。

 もうひとつだけ、黄前久美子ちゃんと高坂麗奈ちゃん、ほとんど出てこなかったですが、
 二人でセッションしているあのシーンはほんとやばかったですね。最高だったです。
 ほんとうにあの二人はかわいい。自分たちの世界を作り上げている。
 普通に考えて先輩がうまくいかないパートを堂々と部室の裏で吹くなんてあてつけ、
 あまりに性格悪いですよ。
 みぞれと希美もやっぱりちょっとむっとしてますし。
 でも許されるようなところがある。
 あの二人はつんけんしているところもあるけど、基本的に人間が好きなんですよ。
 その愛情が感じられるからこそ、多少きついことを言っても受け入れられる、
 つまり周囲から信頼されている、その感じがたまらなく可愛いし、羨ましいですよ。
 キャラクターとして最高です。ほんと。

 終わります。

{/netabare}

投稿 : 2018/05/16
閲覧 : 411

◇fumi◆ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 3.0 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

静かなる吹奏楽は現代アニメのメインストリームから大きく逸れた挑戦的作品

2018年公開の劇場版アニメ 90分

原作 武田綾乃 監督 山田尚子 脚本 吉田玲子 キャラデザ 西尾大志音楽 牛尾憲輔 音響監督 鶴岡陽太 制作 京都アニメーション

テレビアニメ「響けユーフォニアム」初の完全新作劇場版なのですが、
スタッフに大幅な変更があり、スピンオフと言うより設定を借りた別作品と言う印象です。
スタッフには、山田尚子、武本康弘、吉田玲子などの名があり、
聲の形のスタッフが中心です。石原立也は監修。

脚本家が変わったと言うことで、部活根性コメディはほぼ消え去り、
学園ものでありながら、陳美的で印象派的(サティのような)な180度方向性が変わっていました。

映画監督小津安二郎のファンだと言う山田監督ですから、
このスタイルが本当にやりたかった創作姿勢なのかもしれません。
もちろん、現段階であってクリエイターは日々変化するものですが。

鎧塚みぞれ CV種崎敦美 主人公 高校3年生 オーボエ担当
傘木希美 CV東山奈央  高校3年生 フルート担当
リズ/少女 CV本田望結(俳優、フィギアスケート選手、吹替声優)

が、主な配役で本編の登場人物も順次登場します。

この作品は響けユーフォニアムの別角度を切り取った作品とみられがちですが、
私には原作をもとにいちから作り直したように見えました。
脚本のプロフェッショナルである花田先生の描いた物語は、
日本のアニメーションの歴史が息づき、情報量の多さが特徴です。

山田、吉田コンビで創作したと思われるこの作品は、
極力空白を描くことに注力した、
なんといいますか、過去のアニメの歴史と違う視点で造られたように見えました。

本来ならギャグとして楽しめるはずの、チャルメラを吹いてニヤッとするシーンにぞっとしてしまいました。
水槽の中のフグの子供も可愛くなかったし・・・

これは大変な挑戦作であり、原作未読の一見では測りかねるところがあります。
変更されたキャラデザは媚びも色気も排除された舞台俳優の演技のようでした。
髪の毛が数本垂れ下がってるのは好みでは無いです。
なんか「番町皿屋敷」のお菊さんみたいで。

今回は好みに合わなかったと言うことで正直に辛口評価にしました。
しかし、可能性が感じられましたので再視聴で大きく変わる可能性があります。

都内の映画館で観たのですが、客は20人 内、女性は二人、年配の男性ばかりでした。
私が見たアニメ映画(30本くらいかな)で最もガランとしてましたので、
ネットと現実の温度差が感じられました。

投稿 : 2018/05/14
閲覧 : 564
サンキュー:

47

ラーズグリーズ さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

辛口批評とか、僕にはムリです。

~ようこそ、~メロディ、ときて、今度は聲の形のスタッフによるユーフォニアム。
楽しみにしてました!
そして大満足でした!

冒頭の、希を待つシーンからして上手い。
劇中での『リズと青い鳥』の認識が回転した直後の演奏シーンは息が止まった。

セリフをギリギリまで削ったのかな、と思われる脚本が素晴らしい。絵の中でセリフ無しでキャラに演じさせる作画が凄い。

楽曲も良かった~。フルコーラスで聴きたかった!←クラシックが好きなのです

できたらもう一度、観たいですね。
円盤も買うつもり(またか!)

投稿 : 2018/05/13
閲覧 : 296
サンキュー:

19

abe2 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

観て良かった

色くらいしか褒めるとこないけどね

追記
二度目視聴
傑作とは間違っても言えないけどかなりの意欲作
裏の主人公(ライバル)の存在は2回目観てわかったけどこういう仕込みはすごいなと思った

投稿 : 2018/05/13
閲覧 : 306
サンキュー:

9

ネタバレ

リリン さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

とても綺麗だった

思春期特有のすれ違いや葛藤を表現したいい作品でした。
作画が綺麗なのはもちろんのこと、物語もとても綺麗で感動しました。

投稿 : 2018/05/12
閲覧 : 182
サンキュー:

10

ネタバレ

oneandonly さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 3.5 作画 : 4.5 声優 : 5.0 音楽 : 4.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

友愛の行く末を暗示する上質な作品

世界観:7
ストーリー:6
リアリティ:9
キャラクター:9
情感:7
合計:38

みぞれにとって希美は世界そのものだった。
みぞれは、いつかまた希美が自分の前から消えてしまうのではないか、という不安を拭えずにいた。
そして、二人で出る最後のコンクール。
自由曲は「リズと青い鳥」。
童話をもとに作られたこの曲にはオーボエとフルートが掛け合うソロがあった。
童話の物語に自分たちを重ねながら、日々を過ごしていく二人。
みぞれがリズで、希美が青い鳥。でも…
どこか噛み合わない歯車は、噛み合う一瞬を求め、まわり続ける。
(公式サイトより抜粋)

響け!ユーフォニアムは1期、2期ともに高く評価している作品であり、その番外編的な本作や続編的な次回映画も楽しみにしていたところ、GWの終盤に何とか時間を確保することができたので、上映館に駆け込んだという経緯です。

本作は2期の前半のストーリーに深く関わった鎧塚みぞれと傘木希美が主人公となって3年生の時期を描いており、TV版本編の続編という面も若干ありつつ、2人の関係性を中心に扱った点で番外編の位置付けでよいでしょう。久美子や麗奈等は脇役として少々登場するだけです。

2人の関係性は学生時代の友情であり、それはお互いを特別と見做す、恋愛にも近い感情です。同性の愛ということで、百合と分類する向きもありますが、性愛ではないので、私は「友愛」と呼びたいと思います。(本作はみぞれの発言がウエットかつ直球すぎるのとハグシーンなどあるので、百合っぽいことは事実なのですが)

というのは、私は学生時代に親友がいて、学生時代の人間関係では結構依存していたから、性愛に扱われるのは違う実感があります。私は客観的にみぞれ側の立ち位置でした。親友にくっついて行動することが私の行動パターンだったので。中学・高校で同じ部活に入ったのも彼が入ったことが一番の理由だったと思いますし、中学で、学校のことや内申点のことを考えたことがなかったのに生徒会に立候補したのも彼が副会長に立候補したからでしたし、彼が受験した高校を第一志望にしたのも、やはり彼の存在が大きかったのだと思います。世界が親友全てなんてことは思わなかったですが、今、思い出してみて若干引くほどの影響力です(苦笑)。

ですので、元みぞれ人間が本作を観て何を思ったのかといった感想となります。

{netabare}この映画を観終わって、「友愛」をテーマにした作品として優れていると思いました。尺も限られていますが、無駄がない。プール行こう、という話になっても水着シーンにならないし、あがた祭りの話になってもお祭りシーンはなし。ひたすらに校内での2人を追っていきます。

次のコンクールの自由曲の「リズと青い鳥」が、その物語とともに2人の関係性の変化、感情の動きを描いていて、後半でのみぞれの本気のオーボエにグッと来ました。卒業での別れを描く作品は多いですが、学生時代の友愛の終わり(つづくと見せかけても距離の関係でどうしても終わってしまうもの)を精神面から描いたという点がまずひとつ。

それから、2人の関係性が逆転するという面まで描いたのも優れていると思った点です。私と親友の話、学生時代に大きな喧嘩をしたり、避けられたり、煩わしいと思われるような行動をされた記憶はほとんどないので、本作のように学生時代の中でその関係性の変化はなかったのでしょうが、その後、大学時代に一時期だけ行っていた手紙のやり取りで、私がいなくなった彼は「客観的には、彼(私です)はコバンザメのように俺に追従しているように見えただろうが、それは彼の処世的行動様式であって、実は俺のほうが、彼が繰り出す様々な発想に追従していた」ことがわかったそうだ。

希美とみぞれの関係においても、双方向性はあるだろうし、見えるところだけが関係性ではないというところに光をあてていることに共感できました。

また、アニメは学生時代を舞台としたものが多く、青春すべし! 若者にエールを! と思って見てしまいがちなのですが、今の自分がリライフしたとして、(もちろん、今のほうが客観的に周りの人のことを考えられるとは思いますが、)積極的に振る舞えるわけではないだろうと思います。そのリアルを、みぞれの視点を通じて痛感しました。

中盤、希美がみぞれに嫉妬していくシーンがありましたが、ここは特別ではなかった人間としてこちらに共感して胸が痛かったです。先生の贔屓とか、見えてしまうもので。みぞれに才能があるという所は、トランペット(麗奈)とオーボエにソロパートがある三日月の舞を自由曲に選んで全国行きをモノにした滝先生の見立てにまで遡って話が通っているなぁと感心しました。そういえば、みぞれは1年の時からコンクールメンバーでしたね。

登場人物が多いのに、要所でそれぞれの個性を感じられる点に、原作の卓越さを感じます。今回、みぞれと希美のキャラも更に深まりましたし(特に希美)、こういう番外編を色々なキャラでやった上で久美子の2年生、3年生を描く続編をやる方向で時間をかけてもいいかもしれません。長く楽しませてもらいたいものです。

他の部分でも、音楽室前の上履きの置いてあるシーン(下級生の上履きのほうが遠めにある)、感情を表す手足の動かし方など、細かいところにも気を払われていて、作品に深みを与えています。

キャラクターデザインは聲の形のスタッフですが、希美の首が細いのと、麗奈の身長が高いところは少し気になりました。あと、音響がちょっと目立たせすぎに思ったところもありましたが、全体的に悪いところは少なかったです。

安易に、青い鳥が戻って来て仲良く暮らしましたとさという話にせず、離れ離れを否定しない終盤(希美は「みぞれのオーボエが好き」で返す)も私は好印象でした。{/netabare}

ストーリーは平坦ですが内面の盛り上がりはそこそこあり、心情描写に重点を置かれている方には、間違いなくおすすめできると思います。

<2018.5.10追記>
{netabare}私なりに本作を振り返ってみまして、色々と細部にまで情報が込められていることなど理解が深まってきたので追記します。

希美とみぞれは双方が依存しているところがあるのですが、みぞれは希美(の存在)を慕っているのに、希美はみぞれの音楽的才能を好いている。ここのすれ違いを認識した上で本作のストーリーを追うと、理解が速くなります。最初に学校に着いて「リズと青い鳥」の曲が好きな理由を希美が最後まで言わないところも、みぞれのオーボエがメインとなり、それに自分が合わせられる所があるからと補足できます。

当初はみぞれ側の視点で見ていた部分が多かったのですが、上記を踏まえて改めて希美側から見ると辛い。希美はみぞれの才能がわかる、音楽の良し悪しが理解できる人間であり、自分もそのレベルにありたいと思うものの、自分の才能のなさにも薄々は気付いていたのだと思います。新山先生のくだりは、それが決定的となった場面でしょう。

希美はみぞれを吹奏楽部に誘った時のことを、みぞれには覚えていないとはぐらかしましたが、最後に回想します。おそらく彼女は才能あるみぞれを自分が見出したことを誇らしく思っていて、出会いを覚えていないことはないはず。中学時代には部長をして、社交的に部活の輪の中心いたのでしょうし、自分の中の筋を通して退部をするという行動からも、自尊心が強いタイプのように映ります。

希美の挫折は、優子にも、夏紀にも、そして親友であるみぞれにもわかってもらえない。
ハグのシーンでは、等身大の自分を理解し、励ましてもらいたかったのだろうなあと、今になって、彼女の痛々しさを感じました。
「みぞれのオーボエが好き」と言ったのは、意地悪ではなく、私のフルートはどう?好きって言ってくれない?の催促だったのでしょう。
しかし、プライドで直接的には言えない。

冒頭の登校シーンは丁寧な描写と言われますが、私はここに違和感がありました。
二人の住所や最寄り駅がわからないので、校門で待ち合せるというのはなくはないのでしょうが、希美は挨拶するでもなく、みぞれがただ後を追っていたように思います。
希美は振り返って青い羽根を渡しますので、もちろん気付いていないわけではありません。
みぞれが希美を慕っているのはわかりすぎるくらいわかりますが、希美にとってみぞれは重たい存在なのだろうと思われます。(しかし、それでいて、みぞれの親友であるということは、希美にとっての自尊心につながる部分もあるのでしょう。だから複雑です)

作中に、優子と夏紀、久美子と麗奈の関係性を見せるシーンが少しありますが、希美とみぞれの関係は異なるということが際立って見えました。{/netabare}

改めて、原作と劇場スタッフの素晴らしさに拍手を送りたいと思います。

(参考評価推移:4.4→調整4.5)
(2018.5劇場で鑑賞)

投稿 : 2018/05/10
閲覧 : 452
サンキュー:

49

ネタバレ

ウール さんの感想・評価

★★★★★ 4.8
物語 : 5.0 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:----

尊くて切ない、希美に感情移入

希美の気持ちもみぞれの気持ちもよく分かった
自分は才能の差とかでよく悩んだりするからかなり希美に感情移入できた(希美も十分うまいが)

投稿 : 2018/05/10
閲覧 : 235
サンキュー:

12

ネタバレ

うどんこ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

タイトルなし

テレビ版のユーフォは、スポ根アニメとして、大好きでした。
リズと青い鳥は、スポ根要素を抜いて、心の機微を描くことに重点を置いた話になっていました。でも、嫌いという意味ではありません。
 
お話は、{netabare} よりもい5話{/netabare}と同じテーマだった。自分よりダメだと思っていた奴が先に行ってしまい、嫉妬を感じる。友情と嫉妬の狭間。これは、事の大小こそあれ、みんな経験する事だと思います。そんな苦い思い出を、乗り越えてくれるキャラクターに、カタルシスを感じる。
 とはいうものの、今作、リズと青い鳥は、若干カタルシス不足に感じました。みぞれの全力の演奏を終えた後の、化学室でのクライマックスシーン。みぞれは完全に心を開いて話しているのに対し、希美はまだ、よそよそしいように感じました。色々言い合った後、希美はまた、いつものように、笑ってはぐらかしていた。逆に言えば、笑う手前は本心と言えるけれども・・・。
シンプルに盛り上げたければ、希美にも心を開かせて、バチバチにやりあうのがいいと思うのですが、あえてしなかった。観客が泣いてスッキリして、よかったよかったと、ならない事が、見た後にあれこれ考えたくなる、文学的な作品にしているんだと思います。

以下、散文的感想

音楽をテーマに扱う中で、避けて通れないのが、良い演奏が、いかに良いか表現すること。ユーフォもそうだけれど、リズも、誤魔化さずに、真正面から表現している。その姿勢に惚れる。しかし、私は音楽知識がないので、この演奏のすごさが、なんとなくしかわからない。自意識が邪魔して、素直に感動できなかったのが残念。

本気のみぞれの演奏に圧倒されて、まともにフルートを吹くことすらできなくなった希美。なのに、演奏後、希美が叱られるのではなく、みぞれが囲まれて褒められていたのは、いたたまれなかった。



最後の互いの本心の吐露で、ようやく希美にとって、みぞれは、たくさんいる友達の一人から、特別な一人になった。
 
曖昧な表情がすごく上手だった。表情一つで、今何考えてるんだろう?と推測させられた。

図書委員が可愛かった。


他の人の感想見てると、見逃してるシーンがいっぱいあるみたいなので、レンタル配信とかするようになったら、もう一回見直したいと思います。

投稿 : 2018/05/08
閲覧 : 247
サンキュー:

18

luna さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.0 作画 : 5.0 声優 : 3.5 音楽 : 4.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

静かな良作品

全体的に青のイメージが支配する(制服、上履き、青い鳥)なか

フグの黄色が印象的でした。

青の反対色の黄色。。

ピンんと背筋が伸びた後ろ姿、髪の毛を神経質に触る仕草、瞳のかすかな動き‥

静かな動きが続く中で、オーボエの音色が美しかったです。

ユーフォニアムを観たことがなく、こちらを先に観た

おそらく少数派の感想です。

投稿 : 2018/05/08
閲覧 : 190
サンキュー:

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リズと青い鳥のストーリー・あらすじ

北宇治高等学校吹奏楽部でオーボエを担当している鎧塚みぞれと、フルートを担当している傘木希美。

高校三年生、二人の最後のコンクール。
その自由曲に選ばれた「リズと青い鳥」にはオーボエとフルートが掛け合うソロがあった。

「なんだかこの曲、わたしたちみたい」

屈託もなくそう言ってソロを嬉しそうに吹く希美と、希美と過ごす日々に幸せを感じつつも終わりが近づくことを恐れるみぞれ。

親友のはずの二人。
しかしオーボエとフルートのソロは上手くかみ合わず、距離を感じさせるものだった。(アニメ映画『リズと青い鳥』のwikipedia・公式サイト等参照)

ティザー映像・PVも公開中!

放送時期・公式基本情報

ジャンル
アニメ映画
放送時期
2018年4月21日
制作会社
京都アニメーション

声優・キャラクター

種﨑敦美、東山奈央、藤村鼓乃美、山岡ゆり、杉浦しおり、黒沢ともよ、朝井彩加、豊田萌絵、安済知佳、桑島法子、中村悠一、櫻井孝宏

スタッフ

原作:武田綾乃(宝島社文庫『響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章』)、監督:山田尚子、脚本:吉田玲子、キャラクターデザイン:西屋太志、美術監督:篠原睦雄、色彩設計:石田奈央美、楽器設定:髙橋博行、撮影監督:髙尾一也、3D監督:梅津哲郎、音響監督:鶴岡陽太、音楽:牛尾憲輔、音楽制作:ランティス、音楽制作協力:洗足学園音楽大学、吹奏楽監修:大和田雅洋

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