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「バースデー・ワンダーランド(アニメ映画)」

総合得点
64.5
感想・評価
53
棚に入れた
189
ランキング
3685
★★★★☆ 3.3 (53)
物語
3.0
作画
3.8
声優
3.1
音楽
3.5
キャラ
3.2

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バースデー・ワンダーランドの感想・評価はどうでしたか?

ネタバレ

てとてと さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 2.5 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

児童文学の異世界ジュブナイルで魅力が多い良作だが、ヒロインの交流ドラマがやや惜しい

内気な女子小学生と奔放なおばさんが、異世界を旅する冒険ファンタジー。児童文学原作で115分の劇場アニメ。
※作品データベース様より若干修正

【良い点】
あんまりシリアスな戦闘やギスギスが無い、女の子向け児童文学らしい、ユルい冒険ファンタジー感。
キャラ間のやりとりがコミカルで全般的に楽しい。特にチィちゃんのセリフと、ヒポクラテスがハエにされる件など随所に笑い所あり。
主人公アカネちゃんが異世界を旅して成長して帰ってくる、行きて帰りし物語の基本に忠実。
ストーリーや世界観説明が丁寧で分かりやすい。

直接的な戦闘シーンが皆無でありつつ、敵コンビの危険なアウトロー感で適度に緊迫感出してたり、
砂嵐や吊り橋自動車渡りなど適度なハラハラ感で飽きさせず。

主人公のjCよりも、子供っぽく無邪気なおばさんの魅力が高い。大人も冒険できるんだ的な感じが良い。
小人のピポ可愛かったり、敵コンビもキャラ立っている。主人公以外が個性的で魅力的。

異世界は蒸気機関や機械文明でありながら、昔ながらの穏やかな生き方が息づく、一種のユートピア。
近代文明批判な側面もあれど、あまり社会派臭は感じさせないユルい塩梅。テーマの弱さはむしろ好ましい。
自動車で旅しながらバリエーション豊かな自然のファンタスティックな異世界を冒険する、ただそれだけで楽しい。
明快なテーマやメッセージは乏しいが、自然体で作品に込められた理想郷を体験させてくれるタイプ。

ジュブナイルとしては主人公に主体性が弱く、明快な成果が見えづらいタイプだけど、
冒険の日々はアカネちゃんをいつの間にか成長させていたのは違和感無い。
村長母のセーターのイベントとか、こういう無駄に見える回り道の積み重ねがあながち無駄ではない。
この世界の人々の価値観や、子供だったアカネの視野を広げるきっかけになっていくので。
実はアカネ母も…は異世界ジュブナイルの王道お約束だし、本作の場合既に大人であるチィちゃん視点でも純真さ失わない良さを見せた。
意地悪く見ると曖昧な物語だけど、曖昧さを許容するのが児童文学かも。少なくとも悪い物語ではなかった。

作画は綺麗でファンタスティック。自然と機械文明の理想的調和や、細かい生活感など丁寧。
キャラデザはクセがあるが悪くない。

【悪い点】
アカネちゃんが地味。巻き込まれ型で主体性が中々見えず、存在感でチィちゃんに食われていた。
道中のイベントでも積極的に交流出来ていないため、成長の成果が見えづらい。
好意的に見れば曖昧であっても成長の糧に出来ていたと分かるけれど、分かりづらくはある。
終盤のセリフによる総括も唐突感。
救世主たる立ち位置も活かし方が終盤で唐突。

敵の王子との交流掘り下げがほぼ無いまま共感していく流れも唐突感。
もっと早い段階で王子と敵対含めた交流積むべきだった。
王子が異世界破壊?したがっていた動機も理由は分かるものの、やはり唐突感。
王子だけでなく、ピポも含めて心の通った交流が乏しいため、別れの惜別感も弱い。

良い点と裏腹、戦闘や交戦イベントがほぼ無いため、道中ドラマが地味。

声優陣は棒読みだけど許容範囲。声は慣れる。とはいえ、アカネ役はjCぽさが薄かった。

キャラデザのクセは悪くはないが、萌えは無い。

【総合評価】6~7点
児童文学の異世界ジュブナイルとしては魅力が多い良作だけど、アカネちゃん関連のドラマが弱いため地味に感じる。
アカネちゃん視点のドラマがもっと良ければ「とても良い」だった。
地味だけど自分好み。評価は「良い」

【余談】
ベルリンの壁が崩壊する前の物語だとセリフで分かる。
こういう時代性感じさせる要素好き。

(ステレオタイプな恐れを承知で)女性的な脚本というか、明快さや、論理的にテーマを設定するのではなく、
曖昧なフィーリングの中で大らかにいつの間にか得るモノがあれば良し、的なタイプの作品。
例えば2021年TVアニメ「白い砂のアクアトーブ」も、細かい点が至らないけれど、全体通してまぁいいか、と許容できる。
全くタイプの異なる作品だけど、こういうユルい女の子成長劇も悪くない。

投稿 : 2023/09/05
閲覧 : 40
サンキュー:

1

ネタバレ

haruto さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

2021.12.12

2021.12.12

投稿 : 2021/12/12
閲覧 : 152
サンキュー:

0

ネタバレ

E=mc² さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4
物語 : 2.5 作画 : 3.0 声優 : 4.0 音楽 : 5.0 キャラ : 2.5 状態:観終わった

予告の劇伴に惹かれて久々に映画館に足を運んだ

監督はあの名作品を手掛けた人物だけあって大きな物語の破綻は見られなかった。
が、原作のダイジェストを見せられてる感は否めない。原作見たことないのに。
1番惹かれた劇伴に関しては、音楽自体はいいのに所々入りが甘いというか雑な部分が目立つ。{netabare}(砂漠のシーンとか特に){/netabare}

ストーリーに関して言えば、良く言えば無難であったと言えるが、細かな部分が雑であったとも言える。まず無駄な部分が強調されている。{netabare}まず物語りの序盤のおばあちゃんのセーター、あんだけ大ごとな問題っぽく演出しておいて品評会のシーンすらなく終わり方も雑。盛り上げるだけ盛り上げて放り投げられてる感じがした。また、とってつけたような防寒着の下り、というかそもそも砂漠のシーンが本編となんら関係なく、OVAで別にしてもいいくらい。さらに言えば序盤のヘアピンの下りはそもそも訳がわからん。{/netabare}
風呂敷を広げ過ぎて回収しきれなくなっている感じが否めない。
また、何事も不真面目?な主人公が不思議な世界を通して成長していくテンプレストーリーを描きたかったのだろうが、そんなに主人公が成長していく描写が印象に残らない。強いて言えば{netabare}ラストの王子を止めるために抱きつくシーンくらいか。{/netabare}
個人的に気になったものとしては{netabare}2人が井戸へ落ちたシーンにおいて、突然魔法使い(名前忘れた)が現れ、地上に舞い戻ったが、あれはタイムリープという解釈で良いのだろうか。
原作改変になるかも知れないが、どうせなら序盤でお姉さんに卵を守って貰った鳥が、井戸へ落ちるギリギリのタイミング助けてくれるような演出でも良かったのでは、とは思った。{/netabare}何度も見返せば考察できるのだろうが、正直あまり気が乗らないのでそういうことにしておく。

とまぁ批判ばかり述べているが、劇伴や挿入歌は好みとマッチしていたし、特別下手な声優もなかった。細かい部分が気にならないのなら良いのかも。

投稿 : 2019/05/20
閲覧 : 288
サンキュー:

6

ネタバレ

fuushin さんの感想・評価

★★★★★ 4.6
物語 : 4.0 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

3時間と3日間。もうひとつのワンダー。

キャッチコピーが「大人が泣いた伝説の『映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』 原恵一監督 最新作」というふれこみ。

その原監督ご自身のコメントも「型にはまらない新しい映画、すごい映画ができました。自信作です。」と、もひとつ押し込むふれこみです。

4月26日(金曜日)に封切りされた最新作です。
これは、観てみたいと思いました。


原作者は、柏葉幸子氏(かしわばさちこ、児童文学者)。

原作は、講談社 青い鳥文庫
「地下室からのふしぎな旅」です。
1988年初版~45刷
2006年新装版~7刷というロングラン。
累計50万部を超えるヒット作でした。
本作品は、原作に対していくらか改変がなされています。

ちなみに、宮崎駿氏・スタジオジブリは、柏葉氏の「霧の向こうの不思議な町」の映画化に取り組みましたが実現ならず。
しかし、「千と千尋の神隠しに影響を与える作品となった」と宮崎氏は語っているそうです。
(千ちひのファンの方、もしよければ手に取ってみてくださいね。講談社青い鳥文庫、216ページ、本体680円(税別)です。)


さて、全体的な印象です。

ストーリーラインのコアな対象年齢は、10~12歳の女子。
でも、映像の美しさ、造形の面白さなら、5歳~でも全く大丈夫。
シアターに、そうと見える女の子がいらっしゃって、彼女はすごく集中して観ていましたから、よほど面白く感じられていたのでしょう。
絵本をよく読む子どもさんだったのかな。

大人の方には、ちびっとこそばゆく、また眩しく感じられるかもしれません。
萌え要素ゼロの清廉さと上質さで、私的には直球ストライクでした。
本作は、すこぶるフェミニンな作品だと "断言" しておきましょう。


★ 終幕まで目が離せなかったのは、作画のデザイン性。

ロシア人のイリヤ・クブシノブ氏が手がけるのは、キャラクター、メカニック、プロップ、イメージボード、美術設定、作画監修です。

個人的には、99%文句なしでした。
全編にわたってフレッシュで、既視感を感じさせないオリジナル性を強く感じました。
ロシア児童文学界に見られる独特な印象の挿絵が、日本人の感性に合うようにうまくアレンジされているように思います。

イリヤ氏のデザインは、非常に緻密に計算された印象。
そこに面白さと遊び心を絡ませています。
初見では、その手合いや、味わいのぜんぶを捉えることはちびっと難しく、氏から「分かるかな~?」という謎かけをされているようです。
私も、「あれ?これって何か、ストーリーに関わる意味がありそうな気がするんだけど・・・」と思えるシーンが何度となくあったように感じました。
そのあたりを楽しむのも、本作の魅力だと思います。

ちなみに、残りの1%は、遠目に見える人物の造形に、ちびっとだけ "薄さ" を感じられたことです。
(まあ、些細なことです。)


★ 次に、物語性です。

近似作品は、ふるたたるひ氏の「おしいれのぼうけん」、ルイス・キャロル氏の「不思議の国のアリス」、C・S・ルイス氏の「ナルニア国物語」といったところでしょうか。
もっと身近には、映画ドラえもん大長編シリーズに必須の "どこでもドア" も、モチーフの一つです。

主人公は、明日がバースデーというアカネさん。

冒頭、この子いくつ?と戸惑いますが、やがて学校でのリアルな日常シーンを見せながら、もう一人のキーマンである母親のミドリとの会話+アルファの中に、伏線を馴染ませています。
(ようくアンテナを立てて観てくださいね。)

中盤では、たっぷりと時間を使って、エキゾチックなシーンの雰囲気のなかに絵コンテのテンポを自在に変えつつ、アカネの心情を遠くに近くに揺さぶりながら、テーマの中心に向けて誘導していきます。
また、ファンタジー感もモリモリ満載で、少しずつ昇華していくアカネの情緒性を、非常にうまく引き出すお手伝いをしていると感じました。

終盤では、 {netabare} 新しい世界に触れること、違いを感じながらも同じであることにも気づくこと、自分にとっての大切なものが分かること、自我の中に他者を受け止める勇気を示すことなどを {/netabare} アカネが体得していくシーンをひとつひとつ見せています。

アカネの心の変化が、とても繊細に、そしてどこか楽し気であるように描かれていることが、やがてこちら側にもじんわりと伝わってきます。
というのも、彼女の初々しい仕草のなかに、いつしか自分もそうだった懐かしさを垣間見て、奥の奥まで気持ちが絆されていくのが実感できたからです。

本作品は、親が子どもに語りたい想いを、かわりに優しく伝えてくれます。
同時に、大人も、子どものころに持っていた、やわらかな感性をしみじみと思い出せるような配慮が織り込まれているような気がしました。

あと、ギャングエイジの定番ではありますが、親ではない第三者がアカネをサポートします。
彼ら、彼女らの行動は、視聴する子どもたちに多くのサジェッションを与えることになると思います。
もちろん、大人にも、です。


★ 音楽です。

作風、作画に合わせたかのように、あまり耳慣れないサウンドに触れました。
印象としては、キャラクターの心情をしっかりと支え、スクリーンの前後左右の見えない空間にも、アカネの瑞々しい息遣いを感じさせてくれるかのようです。

それがとても心地よく、最後まで、安心感に浸って視聴することができました。
 

★ 声優さん。

画には合っていたと思います。
特に、アカネ役の松岡茉優さんの演技は、「できっこない」雰囲気から「自分を信じる」雰囲気まで、心を配らせる繊細なものだったと思います。

市村正親さんの演じるヒポクラテスは、大錬金術師というなんだか尊大な雰囲気の設定ですが、アカネを持ちあげつつ、観客の中心になるだろう小学生の皆さんにも親近感を振りまくという、そんな不可思議な課題を、愉快な演技で提供してくださっていると感じます。


★ まとめです。
{netabare}
アカネは、ギャングエイジ世代のただ中にいる子どもです。

彼女は、学校や教室の中で、日々さまざまに目まぐるしく変化する友だちの姿に戸惑いを感じながら、自らの自我のスタンスにも迷いを抱え込んでいるようです。

彼女の想いの中心には、心を通じ合わせる態度をどう表現すればいいのか分からないことや、気持ちを照らし合わせる言葉を見つけられないことで、もやっとした霧がかかっているかのようです。

たとえどんなに仲良しのグループであったとしても、友だちが大人の階段を上がる速さは、身体的なそれ以上に "精神的な差" を大きく感じるものです。
なぜなら、発達の具合とその差が大きいこの時期の子どもたちには、その感情や振る舞いそれ自体を "持っている子" と "持っていない子" がいるからです。
言い換えれば、0か1の差であり、有るか無いかという違いです。

また、最高学年というステージに立つことは、11年というプロセスが土台になっていますが、同時に校内にお手本がいなくなるという環境を生みだします。
そんな時に感じるのは、小さなプライドを持った個人と、大きなダイナミズムを生み出す集団という関係性におけるパワーバランスのアンバランスさです。

子どもとはいえ、初めて直面することは、その子の人生における "破天荒" なのです。
となればこそ、自分にも他者にも、実直であろうとすればするほどに感じる "訳わかんなさ" に、ますますあっぷあっぷして、気持ちは塞ぐし、胸は苦しくなるし、頭は重くなるし、体も動かなくなるものです。

本当は、自分の内面に見え隠れする心情の揺れに "弱さ" を感じ、ナーバスな感覚を持つことはとても自然なこと。
反面、新しい社会性を付加していくことが、大人びてゆくためのステップとして必要な "強さ" なのだとすれば、大切に守ってきた幼さを切り離してゆく淋しさや、置き残してゆく不安感を、身の内に生じさせることもあるはずです。

私は、12歳のバースデイを迎えるにあふれる期待感があったことを思い返し、同時に、11年という時間と空間に、不確かな不安感を抱えていた記憶も胸をよぎりました。
自我の形成というのは、すこぶる個人的な領域であるとともに、同時に、コミュニティに強く影響される社会的、文化的なプロセスも大きいだろうと思います。

本作は、これから思春期に向かう子どもたちの道筋に、ファンタジー作品が持ち合わせているゆたかな色合いを潤滑材として埋め込むことで、多彩であったり、多様であったり、差異が生じることそのものが、実はとっても文化的な魅力が溢れていることを教えてくれているように感じました。

また、アカネが感じている "訳わかんなさ" は、大人になるにしたがって、いつまでもスルーできるものではなくて、"なぜ?どうして?" と直面しなければならない時期が、いつかは誰にでも訪れることを教えてくれます。

ですから、新しいできごとや環境に、一時的にも {netabare} "前のめり" {/netabare} になることは、彼女が自尊心を高めるためのきっかけとなるし、はじめの一歩目をそっとエンパワメントするキーワードになると思います。

先達たる大人にも、そのためのさり気ない配慮が、必要な役割であることと感じさせる演出がなされています。
アカネをサポートするチィ叔母さんがその立ち位置にいるのがその証左です。
それにしましても、チィさんが、つかず離れず、手を変え品を変え、おまけに自由闊達に振る舞う様子が、なんとも新しくて微笑ましく思えます。


もし、アカネが感じるだろうこれからのたくさんの気づきを予感し、思い出し、想像することができるのであれば、大人にも、彼女と同じ視点で人生をいくらか振り返り、見通すことにつながるのではないかと思います。

バースデーは、いくつになっても、ワンダーランドへの扉を開けるカギを手にする機会になりえます。

その先に、一歩足を踏み入れるなら、まるごと子どもと同じようなドキドキする想いで、発達の道筋を辿れることになるでしょう。
当然のようにさまざまな違いがあっていいことは容易に理解できるでしょうし、同時に、子どものときに共有できていたほんわかした感覚に、代えがたい価値があることにも気づけることでしょう。

そのうえで、生きることの証を欲し、それを示す勇気を持っていることに気づけば、すばらしいアニバーサリーを創ることができる能力とチャンスがあることを感じ取れるのではないだろうかと思います。

もちろん、もっともっと気軽に、その機微たる歴史と未来とを、それぞれの立ち位置と観点で感じていただける作品です。
回顧に懐古する郷愁感という言葉にまとまるのかもしれないですし、時代に踏み出す勇気と知恵を獲得しようとする行動につながるのかもしれません。


終幕で、母親のミドリが、ある "パーツ" を見て、アカネの身に起きたことを "思い出したかのような表情" をします。
私は、視聴後になって、この物語には {netabare} 時間軸が、母と娘の間にリンクしていること {/netabare} に気づきました。
それが、冒頭の "もうひとつのワンダー" です。

アカネは、チィさんと過ごした3日間は実感できるでしょう。
でも、母のミドリがかつて過ごした時間を {netabare} "追体験している" {/netabare} とは思いもよらないでしょう。
ミドリにとっても、我が子に限ってそんなことが起きるとは思ってもいないでしょうし、それを意図してチィさんのお店へアカネを行かせているわけではないと思います。
それどころか一片の記憶すら、いつしか忘却していたとしても不思議ではありません。
大人になるにしたがって、色や水に困ることなど、一つもなくなってしまうからです。


それでもミドリは、アカネの心の世界をずうっと支えてきていたと思うのです。

例えば、ミドリが、色とりどりの草花を庭に植えたり、かわいらしい調度品を揃えたり、チィさんとの交流を大事にしてきたのは、彼女のかつての体験が、大人としての記憶ではなく、子どもの感性のまにまに深く身体に刻まれていたからだろうと思うのです。

ですから、ミドリは理屈抜きにアカネと同じ立ち位置にいられたのだろうし、アカネの表情や言葉に見え隠れしている不安定な心情を普通のこととして受け止められたのだろうと思うのです。

そして、アカネの鮮やかな感受性や瑞々しい情緒性が失われないように、アカネのテンポに合わせて、気長に見守り、おだやかに育んで、時にはまったりと癒やしながら、支えてきたのだと思うのです。


観るたびごとに、母と娘の不思議な絆と、アカネとミドリの言霊の響きとを、しみじみ感じることのできる作品です。
あまり目に付かなかった作品かもしれませんが、秀作だと思いました。
児童文学が好きな方には、なかなかの人気作のようです。
興味を持たれましたら、ぜひご覧になってみてください。
{/netabare}


長文を最後までお読みいただき、ありがとうございました。

本作が、皆さまに愛されますように。

投稿 : 2019/04/30
閲覧 : 292
サンキュー:

16

JrUbH66017 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

投稿 : 2022/08/28
閲覧 : 9

終了 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.5
物語 : 1.5 作画 : 4.0 声優 : 2.0 音楽 : 3.0 キャラ : 2.0 状態:観終わった

投稿 : 2021/10/14
閲覧 : 35

sarari さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

投稿 : 2021/09/17
閲覧 : 25

暴走インコ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3
物語 : 3.5 作画 : 3.5 声優 : 3.0 音楽 : 3.5 キャラ : 3.0 状態:観終わった

投稿 : 2021/05/18
閲覧 : 36

ぱせり さんの感想・評価

★☆☆☆☆ 1.0
物語 : 1.0 作画 : 1.0 声優 : 1.0 音楽 : 1.0 キャラ : 1.0 状態:観終わった

投稿 : 2021/04/03
閲覧 : 37

珊瑚 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1
物語 : 2.0 作画 : 4.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

投稿 : 2021/01/11
閲覧 : 39

おみや さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7
物語 : 3.5 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

投稿 : 2020/12/09
閲覧 : 39

ひつまぶし さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5
物語 : 3.5 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

投稿 : 2020/12/08
閲覧 : 35

ニャンキチ君 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 3.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

投稿 : 2020/11/11
閲覧 : 36

退会済のユーザー さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.5
物語 : 1.5 作画 : 3.5 声優 : 3.5 音楽 : 3.0 キャラ : 1.0 状態:----

投稿 : 2020/08/30
閲覧 : 51

じぇ~むず さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

投稿 : 2020/08/29
閲覧 : 43

ねも さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1
物語 : 2.5 作画 : 4.5 声優 : 2.5 音楽 : 3.5 キャラ : 2.5 状態:観終わった

投稿 : 2020/06/08
閲覧 : 50

AKIRA777 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.6
物語 : 2.0 作画 : 3.5 声優 : 2.0 音楽 : 3.0 キャラ : 2.5 状態:観終わった

投稿 : 2020/04/30
閲覧 : 51

まかろん さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 3.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

投稿 : 2020/01/09
閲覧 : 58

クラーリィ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

投稿 : 2019/12/10
閲覧 : 61

ひらめ さんの感想・評価

★★☆☆☆ 1.6
物語 : 1.0 作画 : 4.0 声優 : 1.0 音楽 : 1.0 キャラ : 1.0 状態:観終わった

投稿 : 2019/07/30
閲覧 : 61

ShouyouACL さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

投稿 : 2019/06/28
閲覧 : 94

むらさきたましい さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

投稿 : 2019/06/07
閲覧 : 65

blue_with さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

投稿 : 2019/06/03
閲覧 : 65

いぬわん! さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7
物語 : 4.0 作画 : 3.5 声優 : 3.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

投稿 : 2019/05/28
閲覧 : 62

カヲル 9 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.8
物語 : 2.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

投稿 : 2019/05/20
閲覧 : 62

遥なる蒼 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2
物語 : 2.0 作画 : 5.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

投稿 : 2019/05/19
閲覧 : 65

しむらうしろ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3
物語 : 4.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.5 キャラ : 3.0 状態:観終わった

投稿 : 2019/05/05
閲覧 : 66

シン さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.6
物語 : 1.5 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 2.5 キャラ : 1.5 状態:観終わった

投稿 : 2019/05/04
閲覧 : 78

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 3.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

投稿 : 2019/04/30
閲覧 : 66

サイコベア さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7
物語 : 3.5 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 3.0 状態:観終わった

投稿 : 2019/04/28
閲覧 : 64

バースデー・ワンダーランドのレビュー・感想/評価は、ユーザーの主観的なご意見・ご感想です。 あくまでも一つの参考としてご活用ください。 詳しくはこちら
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バースデー・ワンダーランドのストーリー・あらすじ

誕生日の前日、自分に自信がないアカネの目の前に突然現れたのは、謎めいた大錬金術師のヒポクラテスとその弟子のピポ――「私たちの世界を救って欲しいのです!」と必死でアカネに請う2人。そしてアカネが無理やり連れて行かれた世界は――骨董屋の地下室の扉の先から繋がっていた〈幸せな色に満ちたワンダーランド〉! ふしぎな動物や人が住む世界から、色が消えてしまう!その世界を守る救世主にされたアカネが大冒険の果てに下した、人生を変える決断とは?(アニメ映画『バースデー・ワンダーランド』のwikipedia・公式サイト等参照)

ティザー映像・PVも公開中!

放送時期・公式基本情報

ジャンル
アニメ映画
放送時期
2019年4月26日
制作会社
Signal-MD
公式サイト
wwws.warnerbros.co.jp/birthdaywonderland/
主題歌
挿入歌milet「Wonderland」
挿入歌
milet『Wonderland』

声優・キャラクター

松岡茉優、杏、麻生久美子、東山奈央、藤原啓治、矢島晶子、市村正親

スタッフ

原作:柏葉幸子『地下室からのふしぎな旅』(講談社青い鳥文庫)
監督:原恵一、脚本:丸尾みほ、キャラクター・ビジュアル:イリヤ・クブシノブ、音楽:富貴晴美

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