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「アニメーション映画『音楽』(アニメ映画)」

総合得点
69.8
感想・評価
48
棚に入れた
160
ランキング
1652
★★★★☆ 3.6 (48)
物語
3.7
作画
3.5
声優
3.4
音楽
3.8
キャラ
3.7

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アニメーション映画『音楽』の感想・評価はどうでしたか?

ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 4.0 作画 : 3.5 声優 : 3.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

3+1

岩井澤健治×大橋裕之。

音楽未経験の不良学生たちが、
思い付きでバンドを始める青春賛歌。
せーの!で始まるオレたちの音楽。

緩すぎる会話と動きが妙にリアルで、
溢れ出る活力もその使い方がわからず、
怠惰な毎日を過ごす青春の日々。
何かを始めるきっかけなんて、
些細な瞬間にあるのかも知れない。
音楽の演奏に夢中になる初期衝動が描かれる。
大人になるにつれその衝動は尊いものとなる。

研二、太田、朝倉、愉快な輩ではあるが、
{netabare}実力も博識もあるギターの森田を推したい。
はっぴいえんどを模した楽曲も美声も、
そして終盤の野外フェス、最高ですね。{/netabare}

音楽好きなら響くものもあるでしょう。
{netabare}逆に横切るアビイロード、牛と福助人形、
撃ち落される飛行船、そして恋の行方なんて!?{/netabare}

楽しい作品を紹介して頂きました。
各所で配信あり、ぜひご視聴下さい。

投稿 : 2023/12/17
閲覧 : 343
サンキュー:

27

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

「音楽ってなんだ」という問いかけとメッセージ。面白いですね。

 いかにもサブカル系的でガロっぽい感じがする映画でした。結論からいうと尻上がりに面白くなります。

 不良の彼の日常は退屈だったのでしょう。淡々とくどいくらいの間で冒頭は展開してゆきます。
 音楽がやってみたくて始めた。音楽を多分聞いた事もない、なんとなくの3人。初めはメロディーがなく原始的なリズム楽器だけです。そこに衝動を感じます。

 ギター3人と歌という逆にメロディーだけの3人と出会います。音楽の要素を2つに分けたのでしょう。人間の内面の対比として、暴力的な衝動のリズムと繊細な表現のメロディーの2組がお互いに尊重しあいます。だから、古「武」術と古「美」術という分かりやすい名で対比されます。「古」の意味も当然「原初」ということでしょう。「術」は技術でしょうか。

 ただ、単純な野生だけでは満足できない主人公はやがて飽きてしまいます。ここで古武術の2人はいつも主人公の言いなりでしたが、己のやりたいことを継続します。音楽がやりたいという気持ちが、彼らに主体性を持たせたと言えると思います。

 そして、古美術の長髪の彼(声は女性でしたけど…男性でいいんですよね?)は、おそらくはロックに触れて内なる何かが変化したのでしょう。3ピースのロックバンドへと変貌します。
 一方の主人公は自分のやれるものとして、リコーダーを選んだんでしょう。つまり、メロディーを表現したいという衝動ですね。ここでも古武術、古美術がお互いが変わる切っかけの対比になっていました。

 ここであえてヒロインが歌わなかったのが活きてます。誰でもその展開を想像したと思います。彼女が途中で口ずさむ歌と、最後に主人公と上手く行った後の鼻歌が一緒のメロディでした。つまり、彼女の歌のモチベーションは恋愛だったということだと思います。だから、途中では主人公の脱退で歌う意味を無くしたということでしょう。(最後の指文字が気になって見返しましたがよくわかりません。あとで検索します)
 あるいはメタ的に見ると女性ヒロイン=アイドルと見て、今の音楽業界の女性アイドル中心主義に何か言いたい事があるのかもしれません。

 で、主人公は日本の古典音楽の和笛にも似たメロディーの極致まで行った後、歌というよりシャウトします。無表情の彼が感情に目覚めたんでしょう。だから最後の告白…まで行かないですがデートの誘いにつながるんだと思います。ここに彼が無表情だった、今までの展開が活きてくるのでしょう。

 表現したいことを表現しきった後に、音楽をきっぱりやめるというのもまた、音楽というものの本質なのかもしれません。


 背景美術がほぼ写真をなぞったような感じで、アート系というには表現の方向性がちょっと幼稚でした。キャラデザもなんじゃこりゃ?です。

 が、この写真的な背景と幼稚なキャラデザがシームレスに実写につながることで、音楽衝動が実体化するような印象を与えてくれます。表現の工夫ということで、ガロ的な個人的な表現欲求を感じました。
 人物の作画そのものは決して稚拙ではない、面白い動きでした。

 音楽ってなんだ?という問いかけと、この制作者あるいは原作者なりの解答なんでしょう。
 メッセージ性が強いわりに、分かりやすくアナロジーが作られていました。エンタメとしても面白く、熱い展開の映画でした。

 私はアマプラのもうすぐ終了でさっき見ました。事前知識ゼロでこのアニメの存在も知ってたような知らなかったようなというレベルです。
 2020年にこういう作品が作られるアニメ産業を頼もしく思う反面、サブスクだと初めの10分で切られるかもしれません。アマプラで終了みたいですけど、こういう貴重なアニメは何とか残せないですかね?

投稿 : 2022/12/03
閲覧 : 185
サンキュー:

7

ネタバレ

かんぱり さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7
物語 : 3.5 作画 : 3.5 声優 : 3.5 音楽 : 4.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

終盤のグルーブ感は良かったです♫

クセのあるキャラ絵に独特の間(止まったのかと思うくらい長い間があったり)など、かなり見る人を選ぶ作品ですね。

風の向くまま毎日を送ってる研二・太田・朝倉の三人組。
ある日偶然手に入れたギターをきっかけに、バンド「古武術」を結成し、町のロックフェスに出場するまでのお話。

登場キャラたちの格好や髪型(亜矢の髪型サザエさんみたいw)とか見てると、時代設定は結構昔なのでしょうか。

バンドを始めたといっても楽器の選び方とかバンド名もテキトーだし、演奏もテキトーっぽいんだけど最初に一緒に鳴らした音にすごく感動するところとか、「古美術」の演奏に素直に素晴らしいって言ったり、音楽に対する姿勢は本物なのかなって。

いいなと思ったキャラは古美術の森田くん。
{netabare} 始めはフォークソングを演奏してたんだけど、研二たちの演奏に衝撃を受けて激しいロックな演奏に変わっていったり演奏もカッコよかったです♫
演奏中にギターの留め金が外れてテンションが切れてしまい、演奏を中断してしまうけど、研二たちのリコーダーを入れた独創的なアンサンブルに衝撃を受けて思わず飛び入り参加してしまうところとか、音楽がすごく好きなんだろうなぁって思えたりするところもあったり。{/netabare}

{netabare} メロディアスな森田と前衛的な研二のコラボから生まれたロックのグルーブ感はなかなか聴かせる感じで、この作品の一番の見せ場でした。
何気に朝倉のドラミングもいつの間にかうまくなってるしw{/netabare}

不良たちが夜の臨時バイトに連れて行かれるお話が地味に面白かったです。
メガネのおじさんに何してんだって絡むけど、昔の先輩が出てきてそのおじさんに頭下げてるとことか。。

ちょっと変わったアニメが見たい方や音楽が好きな方などにおすすめかもです。

投稿 : 2022/07/03
閲覧 : 202
サンキュー:

14

ネタバレ

haruto さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

2022.1.23

2022.1.23

投稿 : 2022/01/23
閲覧 : 167
サンキュー:

1

ネタバレ

fuzzy さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 5.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

既成概念がっちがちの自分に気づく🥁🎸🎙

音楽系のアニメや映画はなんか見る
それで少しでも自分の音楽能力にプラスになれば。。
って大概ならない、なるわけがない

タイトルそのままずばり『音楽』なので借りる
あ、絵がなんかだめ。。。
まぁ借りたし観るか
🎸
喧嘩しにいく→みつからない
ギターあずかる→バンドやりたい
バンドやる→名前が近いってんで聞きにいく
あてられる→あきる
しかし実はバリバリ音楽キャリアのある森田の方があてられている
聴きまくってる森田より、研二の方が独創的に音楽をというより魂の叫びをする
🥁
研二は飽きたのだろうか、実は模索していたのだろうか
ははは、音楽あるあるかもね
音が出せると嬉しいよね
でも上手い人にあうと折れるよね
っと上から見てたけど
最後の演奏は良かったと思うし、わからない人がいてもいいと思う
森田は色んな画材を使って色んな表現で絵を描けるのだから満足すればいいのにできない
何も知らない研二の方が爆発的な絵をかけた
これもなんかあるあるのような
🎷
研二が主役だけど
森田が実は影響をうけまくって弾けた演奏をするときの作画が素晴らしく
アートだなぁと
って大人計画の平岩紙さんなのね
街頭での演奏はくそぉくそぉというくやしさの叫びに聞こえる
自分は出だしの絵とのらりくらりの展開で序盤で切っていたでしょう
最後まで観てすげー作品という感想
んー面白かった
このチームでの作品はまたみたいです!

※声優の配役文句ないけど、竹中直人さんは高校生には😅

投稿 : 2022/01/15
閲覧 : 186
サンキュー:

7

横比較無用ノ介 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5
物語 : 3.5 作画 : 3.5 声優 : 3.5 音楽 : 4.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

Uncontrollable Urge

表現したいものがハッキリしていれば、こんな絵でも作品になる。
というか、この音楽だからこの絵がちょうどいいのかも。

とてもクセのある絵です。
主人公は一昔前の不良。表情は無いし、全く感情移入はできません。
初めてアニメを見る人には、おすすめしない作品です。

また、音楽的感性が異なる人にも無理でしょう。
「天国への階段」と聞いて、「あの曲ね」と分かる人は、ニヤリとする内容かも。
私は、脳内に牛の絵が出てくるシーンで笑いました。

しかし主人公、アドリブであの演奏ができたら天才ですよ。

投稿 : 2022/01/04
閲覧 : 145
サンキュー:

2

ミュラー さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.2
物語 : 3.0 作画 : 1.0 声優 : 3.0 音楽 : 1.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

狂気

この作品の評価は結構極端に振れている気がする。
酷評なのでこの作品の好きな方は読まないで。

ちょっと話題だったので見てみたのだが、はっきり言えば期待外れ。
奇をてらっているのかどうか分からないが、
別に40,000枚の作画や製作期間7年なんて、作品のクオリティに対してどうでもいいこと。
苦労したからいい作品なんてことは絶対にない。
致命的なのは肝心の音楽が全く響かないこと。
途中にキングクリムゾンやマイク・オールドフィールド、ビートルズ、
ピンクフロイド、などなどのオマージュがちりばめられ、
サイケな雰囲気のバンド、「古美術」と合わせて音楽的に尖ったものを
目指していきたいような方向性は感じるのだが、
いかんせん音楽がこれではねえ。
全体のキャラデザイン、動き、間の取り方まで、狂気を感じる作品。
音楽もそれを狙ったのかもしれないが、狂気一辺倒だけでは作品としてどうなの?

興味のある方はどうぞ。
私はもう見たくありません。

投稿 : 2021/12/27
閲覧 : 168
サンキュー:

5

ネタバレ

ニャンキチ君 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 3.5 声優 : 3.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

太古のリズムが心を突き動かす。

表紙の絵はパッとしない地味な感じで何故か評価の高いアニメ。気になっていたところ ようやく配信で観ることができました。

みなさんのレビューにも書かれていますが、監督は制作に7年以上 作画枚数は4万枚越え すべて手書きだなんて凄すぎです。

あらすじは省略します。あにこれのを見てね。

眼に特徴があるけど表情のないシンプルな絵のキャラ達が、ロトスコープの手法で生き生きと動き出します。

{netabare}「ドンドン ズンズン ピーヒョロロ~。」青春なんだなぁ。{/netabare}

投稿 : 2021/12/24
閲覧 : 188
サンキュー:

15

ネタバレ

蒼い星 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3
物語 : 3.0 作画 : 3.5 声優 : 2.5 音楽 : 4.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

唯一無二ですが視聴は一度でいいかな。

【概要】

アニメーション制作:ロックンロール・マウンテン、Tip Top
2020年1月11日に公開された71分間の劇場版作品。

原作は、大橋裕之の漫画『音楽と漫画』、『音楽 完全版』
監督は、岩井澤健治。

【あらすじ】

特にやりたいことがあるわけでもないが、
つるんでは他校の生徒と喧嘩している、
高校生の研二と太田と朝倉は有名な不良トリオ。

口数が少なく何考えてるかわからないハゲの研二の思いつきで、
三人はバンドを結成する。演奏なんかやったことのない彼らだが、
ギター無しで、ベース二人とドラム一人の編成で、
テクニックと呼ぶにはほど遠い演奏だが取り敢えず音を出したり、
自分たちに『古武術』とバンド名をつける。

研二らは音楽を通じて技術じゃないソウルで通じ合って、
同じ学校のフォークソング部の『古美術』というバンドと交流を持ち、
そのフォークバンドの森田から、
8月に行われる“坂本町ロックフェスティバル”の參加を、
研二らは持ちかけられるのだった。

【感想】

関係ない話から始めます。

アニメを見て◯◯という作品は作画だけで他はカラッポみたいなことを言う人が時々いますが、
私個人の考えですが、本当に中身がないのなら反響に出ますよね。

こう書くと同調圧力と思う人もいるかも知れませんが、
多くの場合が多分その作品が本当に中身が無いのではなくて、
文句言う人に限って内容を感じ取る心が無いうえに、
褒める風評の多さで苛立ちを増幅させている。

普通に人と人が会話していても同じ説明でも理解できる人とできない人がいるのと、
アニメを見た感想で誤差が出るのも似たようなものですよね。

スタッフが心を砕いて作った作品に応える人がどれほど出て好評を得ていようとも、
他の人たちが作品のテーマやメッセージを感じ取って称賛している中身を、
その一部の人間が単に話の意味を理解できてないから、
イソップ寓話の『すっぱい葡萄』の狐みたいに、
その理解できないものを下げることで自分を正当化しているだけですよね。

その作品を見て他人が何を感じたのか?とかいった想像力や洞察力が当人には無い、
下げる場合は自分が他人とは感性が全く違う存在であると前置きをしたほうが妥当ですね。

私にも理解できてないアニメがありますから、
結局は人それぞれってことでしょうけどね。

余談は終わって本題に入ります。

原作漫画知らなかったのですが、
amazonで『音楽と漫画』を試し読みすると落書きみたいな絵でびっくり。
カスタマーレビューは低くないので絵じゃないなにかがあるのかもですが。

一般的なスタジオ制作ではなくてそれを自主制作で、
7年もかけて手書きでアニメ化した根気にさらにびっくり。
もともと少人数による制作の長期化で監督一人で半数近く作画作業してたり、
足りない資金はクラウドファンディングで調達してたようで、
並々ならぬ苦労に本当にお疲れさまです。

その監督の岩井澤氏のアニメづくりは独学であり、
アニメーターとして誰かに学んだわけでもなく、いくつかの短編アニメを経て、
今作品では全編ロトスコープで撮影した映像から一枚一枚作業してたようで、
確かに動きはリアルなのですが、キャラの目の描きかたが独特すぎますし、
喋ってる間表情が動かないどころかまばたき一つしないですし、
登場人物も本職の声優がいなく、
やる気なさそうな棒読みみたいな喋り方で何もかもシュール、
とにかくセオリーを外しまくった作りですね。

“日本の劇場用アニメーションは、
 本来スタジオ主導で数千万〜数億の予算をかけ、
 1年〜3年の期間で数百人のスタッフの手によって作られていますが、
 コストと時間が膨大にかかるため、 テーマや内容もヒットが約束される、
 マーケットを意識した作品が多くを占めています。”

そして、それは同時にアニメーションの可能性を狭めている!
アニメの動きはパターン化しているからロトスコープの有用性がどうとか!

などなど、監督さんが応援プロジェクトのページでこんなこと言っちゃってますが、
それを口実に他人を無為にこき使ってその上にあぐらかいてるわけでもなく、
資金調達や労力面で人に迷惑かけてるわけでもなくて、
有言実行で可能な限り自分で頑張って全部やってますので、
技術面の賛否は別として自己責任的な部分では全く悪くはないですね。

その努力とは別に、セオリーから外れて感情のないアニメーションになんだこりゃ?
であかんアニメかも思ってましたら、線画ではあるもののこれもロトスコープを使った、
本気の演奏シーンでいきなりリアルな絵になるのに笑ってしまいましたわ。

リソースも技術もプロの会社と比べたら敵わない。自分の力量を正確に測って、
足りない部分を逆に演出に利用する発想。
製作委員会などが絡んだプロの土俵では難しい、
インディーズだからできる奔放さがこの作品の持ち味なのでしょうね。

このアニメで伝えたいことは技術面を超えたハートの震え。
普段の無気力っぽい研二が衝動から起こすクライマックスでの行動。
多分、それがロックの魂なんでしょうね。
実際にどういうものであるかは、見てのお楽しみということで言わないでおきます。

私は、アニメはプロの職人さんが集まった仕事の結果であると信じていますし、
それは今も変わらないのですが、このアニメからも伝わるものがそれなりにあったので、
それで良しとしました。


これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。

投稿 : 2021/10/31
閲覧 : 246
サンキュー:

20

ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 3.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

7年超に及ぶ執念の自主制作により炸裂したロックな“初期衝動”

楽器経験皆無な不良高校生男子たちが、
せーの、で衝動的に始めたゆる~いバンド活動が、
やがて街にチョットした衝撃を与える顛末を描いた
原作コミック「音楽と漫画」(未読)の映画化作品。


【物語 4.0点】
胸につかえた青春の諸々を音楽で吐き出す。
筋書きはバンド物の王道。

だが、本作の場合は抱えた、あの娘への想いも
声に出す決断もできない青春未満。
演奏もまるで幼児が楽器を思うまま鳴らして戯れるくらいの音楽未満。
一見、世間的には全く取るに足らない代物。

グダグダ感を楽しむギャグ日常系か?
と高をくくっていると最後にノックアウトされる。

それはあたかも独立系の体制で、
不可能と言われた映画制作の夢を実現した
本作の姿勢ともリンクしているかのようだ。

ハートさえ燃えていればロックは、アニメは、映画は爆裂する。

音楽を始めたばかりの時に生じる“初期衝動”を通じて、
創作の原点を思い知らされます。


【作画 4.0点】
監督の岩井澤 健治氏は、元々、映画制作実現が目標。
アニメでという選択肢も、実写よりは金や設備や時間がなくても、
コツコツ作り続けることができるから。
無からアニメーションを構築する作画技術など確保できないので、
実写で撮影した映像、画像をトレースするロトスコープにより制作。

こう書くと消去法の消極姿勢にも見えるが、
せーの、で始めてから、個人制作中心で、
延べ7年で、4万枚超の作画を積み重ねた執念は驚異。

ロトスコープも日常シーンだけでやれば
素人が作画するための苦肉の策だが、
本作みたいにライブシーン構築のため、
実際に疑似野外フェスセットを作って撮影→トレースして再現。
までやると、これはもはや、アニメーション制作の原点でもあるという
ロトスコープによる、見落とされていたアニメの可能性の発見と提示。


人物作画も特に主人公の不良少年は無表情が続く。
({netabare}一時的にバンドやる気なくした研二が寝そべった時の
無表情{/netabare}が可笑しくて忘れられませんw)
だが、その“タメ”が最後の感情爆発で効いてくる。

作画カロリー節減と、演出を両立した賢い制作に、
何かもう色々敵わないわ~ってなりますw


【キャラ 4.0点】
不良少年たち他、独特な目のデザインは原作準拠。
自作が編集者等にスルーされないためだったというインパクト重視。
結果、妙に目が離せないキャラ造形が躍動。


主人公・研二がまた妙なことを始めたと絡んで来る、
マドンナポジションの古のスケバン風パーマ女子・亜矢との関係が
シナリオの一つの軸でもあり、音楽テーマの一つでもある。

キーキャラクターの森田。
膨大な音楽鑑賞と技術の蓄積に裏打ちされた
古のロン毛フォークシンガーが、
適当に繰り出された主人公のサウンドに音楽の原点を感じ、
その衝撃が最後に彼をも覚醒に導く。
音楽面での影の主役と言ってもよい森田の変化が、創作の原点を一層際立たせる。


【声優 3.5点】
主人公・研二役はロック歌手・坂本 慎太郎さん。
ヒロイン亜矢役は駒井 蓮さんと、
キャストは俳優タレント陣で、気だるげで自然な演技を追求。
ただ、ヒロインの演技などは
声優の演技を聞き慣れていると、ややたどたどしいか。

研二の取り巻きの太田役に前野 朋哉さん。
朝倉役に芹澤 興人さん。
主人公グループのライバル不良役に竹中 直人さん。
と実力ある俳優が集結する辺り、
邦画界隈にもまだ、独立系に力を貸して何とかしたい
という反骨心はある模様。


【音楽 4.5点】
世界の映画祭に衝撃を与えたライブシーンを彩った“音楽”
もう考えるより感じて下さいとしか言い様がありませんが、
ただ一点だけ……{netabare}縦笛{/netabare}はサイキョーですw

ED主題歌はドレスコーズ「ピーター・アイヴァース」
他の楽曲ではまだ多彩なアレンジで、
分厚く音やボーカルやコーラスを重ねたりする同バンドですが、
この楽曲はより剥き出しのシンプルな構成と懐古なエコーで、
本作が露わにした原点に応える。


【感想】
今日も街中では百万人に売り込むために製造された、
青春の上辺だけすくった戦略商品の雑音が聞こえて来る。

時代を読み、流行を読み、空気を読み、楽譜を読んで、
定型化されたバンド形式に則って、
金にも物語にもならない俺の気持ちなど無視して、
そんな物の何がロックか?


2020年12月16日。BD/DVD発売&レンタル開始。


衝撃の“初期衝動”喰らうがいい~♪

投稿 : 2020/12/13
閲覧 : 469
サンキュー:

22

ネタバレ

さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

狂気を感じる

自ら進んで観に行きたくないタイプのアニメでしたが、何故か評価が高いのと、公開期間が長いのが気になって遂に観に行ってしまいました。

大胆な間の取り方と時折見せる狂気的な映像、不意を衝く展開は「笑え」という圧を強く感じさせます。
最初は独特な絵柄で、絵が上手い訳でも無いし、面白いのか?と思いながら見始めましたが、ノってくるとなかなか面白いです。

作中一の美声の森田はかなりハマりました。

ロトスコ、作画枚数4万枚※、制作期間7年という触れ込みですが、作品の雰囲気が孕む狂気に比べたら正直大したことでは無いように感じてしまいました。

※{netabare}参考にトトロが4.8万枚と言われており、ポケモン神回など作画が良いと言われている30分アニメは本編尺21分で8千枚~1万枚辺りです★{/netabare}

投稿 : 2020/08/05
閲覧 : 399
サンキュー:

12

ねごしエイタ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.5 作画 : 3.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

マカロニ拳法?古武術と古美術

 ふとしたきっかけから急に、バンドをやり始めた研二をはじめとするヤンキーたちのお話だったです。
 楽器を持ったことのないヤンキーたち、研二、太田、朝倉の奇妙でかつ、どこか目の離せない行動です。同じクラスの亜矢、他校のヤンキー大場、同じ高校のバンドを通して見つけた森田、突っ込みともいうのか?の絡みが絶妙です。

 作画としてちびまる子ちゃんを少し崩したみたいな、無表情キャラの印象だったです。特徴は目つきです。特に研二、太田、朝倉がマイペースみたいで、研二なんか本当に何を考えているのかわからない感じです。

 楽器を持ったこともなく3人で初めてバンドをしたとき、ただ音を出していたみたいながらも、意思の疎通が取れているかのような光景が面白かったです。
 急に研二が止まった行動を所々とるのだけれど、退屈になってしまうというよりは、何をしているのだろう?どうなるのだろう?と私は、思ってしまう感覚になってしまうです。

 なんとなく付けたバンド名も、何処か奇怪な感じがしたです。似たバンド名ということで、知り合うことになった森田も気弱なようで、どこか個性的な歌と演奏するところも斬新だったです。この森田の存在が、後で大きくなるです。

 終盤におけるフェスで、思わぬ展開の連続の話の面白さと、バンドの熱唱が、印象的に話を盛り上げたです。
 最後の熱唱において、研二が本領を発揮するというのかが、非常に興味深く見所になると思うです。私にはこの音楽が個性的過ぎて、歌なのか?雄たけびなのか?よくわからなかったです。
 ギター、ベース、太鼓に加わる新たな楽器が、なかなか良かったです。リアルバンドで、昔いた「たま」とかいうバンドを思い出したです。

 CGもない、かといって昭和のような作画でもない、今時にない手書きの背景画、キャラクター画、音楽を奏でるときの演出が、ある意味凄さを感じた作品だと思うです。研二たちを変だなぁと思っても、何処か引き込まれてしまうみたいな、予測不能な行動、考え方、展開に面白さがあったです。
 ただ音を出していたような3人が、いつあそこまで上達していったのだろうか?は、見た後も謎に思うです。

投稿 : 2020/03/18
閲覧 : 1032
サンキュー:

9

ネタバレ

はっしー さんの感想・評価

★★★★★ 4.6
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 5.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

研二の声がよかった!

ヘヴィだけどゆるいロックなお話。キャラクターが今風のアニメ絵では全然ないのも面白い。というか、それが強みにもなっている。

7年間、4万枚以上の作画を手描きして作り上げた「自主制作長編アニメーション」というのもすごい。でも、声優や音楽スタッフはとんがった一流どころが集まっている。特に、主役の研二(坂本慎太郎)の声がすばらしいです。それと、優しいフォークソングを歌っていた森田(平岩紙)が、研二の音楽に触れていっきに変貌するところも楽しい。

アニメーションにできることはまだまだたくさんある、ということを改めて教えてくれるような作品でした。

あ、そうだ、原作、読んでみたいです。

投稿 : 2020/01/27
閲覧 : 260
サンキュー:

5

暴走インコ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

投稿 : 2023/09/03
閲覧 : 8

鯖味噌 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 3.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

投稿 : 2023/07/26
閲覧 : 10

キリンさん さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

投稿 : 2023/02/26
閲覧 : 13

まかろん さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4
物語 : 3.0 作画 : 3.5 声優 : 3.5 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

投稿 : 2023/01/20
閲覧 : 14

いぬわん! さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6
物語 : 4.0 作画 : 3.5 声優 : 3.0 音楽 : 4.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

投稿 : 2022/12/22
閲覧 : 12

かんろ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

投稿 : 2022/12/10
閲覧 : 26

もずメ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 5.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

投稿 : 2022/11/04
閲覧 : 41

ラス★ さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

投稿 : 2022/09/30
閲覧 : 9

lostman6 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

投稿 : 2022/06/04
閲覧 : 24

TM さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6
物語 : 3.0 作画 : 3.5 声優 : 3.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

投稿 : 2022/05/29
閲覧 : 22

ゆい さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

投稿 : 2022/05/19
閲覧 : 18

はなくそ さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

投稿 : 2022/05/11
閲覧 : 27

干野梅蔵 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5
物語 : 3.5 作画 : 2.5 声優 : 2.5 音楽 : 5.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

投稿 : 2022/04/19
閲覧 : 25

𓂃 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.5 作画 : 3.5 声優 : 3.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

投稿 : 2022/02/02
閲覧 : 24

ぽんkotu さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 5.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

投稿 : 2022/01/31
閲覧 : 19

P さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1
物語 : 4.5 作画 : 1.5 声優 : 2.0 音楽 : 4.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

投稿 : 2022/01/08
閲覧 : 24
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アニメーション映画『音楽』のレビュー・感想/評価は、ユーザーの主観的なご意見・ご感想です。 あくまでも一つの参考としてご活用ください。 詳しくはこちら
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アニメーション映画『音楽』のストーリー・あらすじ

アニメーション映画『音楽』の原作は、「シティライツ」(講談社)、「夏の手」(幻冬舎)などで人気を集める漫画家、大橋裕之による「音楽と漫画」(太田出版)。楽器を触ったこともない不良学生たちが、思いつきでバンドを組むことから始まるロック奇譚です。

 制作期間は約7年超、作画枚数は実に40,000枚超、を全て手描き、クライマックスの野外フェスシーン をダイナミックに再現するため、実際にステージを組みミュージシャンや観客を動員してのライブを敢行。分業制、CG制作が主流のアニメーション制作において、何もかもが前代未聞の長編アニメーションプロジェクトです。アニメーション化にあたって、監督の岩井澤健治は、実写の動きをトレースする“ロトスコープ”という手法を採用。これにより、登場人物の動きがよりリアルに生々しくなります。

 豪華声優陣には、楽器未経験ながら思いつきでバンド「古武術」を組む不良高校生・研二役に坂本慎太郎、研二の同級生、亜矢役に駒井蓮、「古武術」のメンバー、太田と朝倉役に前野朋哉と芹澤興人、「古武術」をフェスに誘う「古美術」のメンバー、森田役に平岩紙、そして研二を敵視する丸竹工業の不良・大場役に竹中直人がキャスティングされました。このほか、山本圭祐、れっぴーず、姫乃たま、天久聖一も参加しています。

 2019年は『海獣の子供』、『きみと、波にのれたら』、『天気の子』が公開され、12月には『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』が公開。さらに、NHK連続テレビ小説「なつぞら」放送で、今年はアニメーションイヤーともいうべき1年となっています。そんな盛り上がりの中、無謀とも思える挑戦の全貌がついに明らかとなります! (アニメ映画『アニメーション映画『音楽』』のwikipedia・公式サイト等参照)

ティザー映像・PVも公開中!

放送時期・公式基本情報

ジャンル
アニメ映画
放送時期
2020年1月16日
公式サイト
on-gaku.info
主題歌
《主題歌》ドレスコーズ『ピーター・アイヴァース』

声優・キャラクター

坂本慎太郎、駒井蓮、前野朋哉、芹澤興人、平岩紙、竹中直人

スタッフ

原作:大橋裕之(『音楽と漫画』太田出版)
監督:岩井澤健治、プロデューサー:松江哲明、アソシエイトプロデューサー:九龍ジョー/迫田明宏

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