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「Sonny Boy サニーボーイ(TVアニメ動画)」

総合得点
69.8
感想・評価
282
棚に入れた
789
ランキング
1652
★★★★☆ 3.4 (282)
物語
3.3
作画
3.4
声優
3.5
音楽
3.5
キャラ
3.4

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Sonny Boy サニーボーイの感想・評価はどうでしたか?

ネタバレ

あと さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 2.5 状態:観終わった

わかりづらいセカイ系SF青春なんでもありアニメ。

 学校ごと漂流した生徒たち数十名が謎多きこの世界からの脱出を試行錯誤して冒険する青春SF群像劇(?)
 アニメとして一話完結で何がなんだかわからない世界観で毎回考察でもしないとわからない、というよりわかりづらい作品なのであまり面白くはない。というよりは、そもそも群像劇でもなんでもなく、人生を諦観した主人公長良が集団から浮いた女の子二人と仲良くしながら持ってる能力を使って色々なことを経験して成長してなにかをするっていうアニメなので、エピソードごとのお話は奇想天外でなんとも不思議なお話で、ただそれも解決するっていうわけでもないのでモヤモヤはする。
 6話の時点で物語としての謎が明かされたり、非常に重厚で独特なお話で、毎話いろんなお話が出てくるので序盤はワクワクしましたが、多分特に意味はないですね……。
 最終回の締め方については、主人公長良の望んだ元の世界で、希がいる世界には戻れたけど、それは長良にとってのこの世界のようななんでもできるような望んだ未来ではなかった。現実を諦めて見ていた陰キャの少年が自分を変えようと思って、何かをしようとして走り出すけど、そう簡単に上手くは世界は回らない。望んだままに世界が変わる世界じゃなくなったわけだから。でも出会いはまたきっとあるんじゃないかな、わかんないし、知らんけど。世界を変える力なんてないんだからただ諦めるだけじゃないってことかな。まあなんというか、セカイ系だしエヴァみたいな現実に戻される終わり方だけど、なにかすることで自分を変えられるみたいなメッセージ性があったかな。
 まとめると、考察したい人には楽しめるアニメだと思うけどわかりづらすぎるしとっつきづらすぎる。キャラ自体は可愛いとは思うけどそういうアニメでもないし見ていて楽しいというアニメでもないし青春ドラマでも全くない。テーマはシンプルなのによくわかんない話にするのが多すぎて掴みどころがない。ただ、良いアニメだとは思います。結果的に言うとかなり良かった。全くオススメはできない。

投稿 : 2023/10/12
閲覧 : 81
サンキュー:

2

ネタバレ

Jet Osuga さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

むむむのむっw

なんじゃこの、ひねくれへりくつ説教アニメはっw! なんだかんだ言いながら最後まで観てしまった! お勧めはしませんけどw。

投稿 : 2023/09/18
閲覧 : 89
サンキュー:

3

やきどげざ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

異世界転生能力青春時間モノとかいう詰め込み過ぎアニメ

・おしゃれ
・音楽 青春系ギタポ シューゲイザー
・自分史上最難解
・1週では把握不可能。
・理解後の1話目はあまりの完成度に衝撃が走る
・見れば見るほどスルメ

投稿 : 2023/09/08
閲覧 : 90
サンキュー:

1

ネタバレ

てとてと さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6
物語 : 4.0 作画 : 3.5 声優 : 3.5 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

令和のセカイ系青春劇の力作。前半とっつき難かったのが残念、通して見れば良作

異世界・異能版の漂流教室な感じ?なセカイ系青春劇?全12話。
※作品データベース様より転載

【良い点】
漂流教室を更にセカイ系に尖らせた感じの世界観が興味深い。
(死後のセカイなのでは?)(現実と時間軸がズレている?)など「Angel Beats!」彷彿とする気配感じた。
空間も時間も歪み停滞しているセカイの異常さや、少しずつ島や各人の異能の法則を探っていく。
キャラデザ含めた作画が独特でアート的なのと、楽曲も併せて雰囲気がユニーク。

人生にも他者にも諦念抱いている主人公の長良が、孤高で独特な価値観持っているヒロインふたりとの関わりで成長する。
序盤に落ちた鳥を見捨てた→最終話の行動の変化で分かり易かった。
サブキャラ含めて会話劇に独特の含みあり、とっつき難いが妙に惹かれる。
希と瑞穂どちらもマイペースで他作品では見ないタイプで可愛かった。

各話とりとめが無くカオスじみていて困惑するが、世界観の考察は置いといて、各話ごとにセカイの縮図を示し
対する長良の心境の変化や成長を見ていくと、後半スタート地点から旅立つ辺りから朧げにテーマが見えてくる構成になっている。
序盤はセカイに対し各々が得た異能でこのセカイを変えられるんだ!な万能感に取り付かれたサブキャラたちの狂騒、
ラジタニ中心にセカイの法則解き明かす事も含めて少年たちの傲慢さ、そして滑稽さを表現していると思う。
対する長良の「世界は変えられない」という諦念が、中盤のアキ先生らの介入で揺さぶられていく。
ターニングポイントとなるラジタニがこのセカイの真理の一端を知り絶望する中盤過ぎ、
絶望的な真相を知って尚、長良と希たちが帰還を決意するまでの心境の変化が独特なタッチで描かれていた(気がする)。

長良たちがスタート地点の島から漂流する後半(津田犬登場以降)の方が、
より鮮明に長良に対する寓話的セカイ系の様相を呈していて面白かった。
一貫して「世界は変えられない」しかし、それでも生きていく…
最終話はビターな感じ、決して楽しい結末ではない灰色の日常だけど、セカイと自己の折り合いを付けるに至れた
漂流と出会いは無駄ではなかった。
一抹の切なさと、前向きで爽やかな後味を残す良き青春劇だった。

長良みたいな何者にもなれない青少年に対し「世界は変えられない」「だけどぼくが選択した世界だ」
と肯定的なメッセージを、一見支離滅裂で抽象的なセカイ系寓話を通して描いて見せた。
これは2020年代の新しい形の青春劇かもしれない。

【悪い点】
作画もキャラクターもとっつき難い。キャラは皆心を開いてないというか、生々しい不気味さも感じる。
見ていて楽しいアニメではない。
ラジタニら個性的キャラは複数いるものの大した掘り下げは無く、人間味に欠ける。アキ先生とか結局何なんだ?とか。
なので群像劇を期待していると思ったより面白くならない。むしろ個性が強過ぎるサブキャラの存在がノイズになっていた感。
本作は専ら長良の成長物語なんだけど、それが分かるのが後半まで見る必要があり、初見で分かりづらい構成に難あり。
青春劇として長良一強で、その長良が地味なので作品全般が地味に思える。
長良が顕著に成長見せるのが遅く、それまでは退屈しがち。

前半のセカイ系ミステリーやクラス内政治劇で群像劇か?と惑わせる割に主人公の影が薄い。
最後までというか中盤過ぎまで見ないと作品の意図が掴みづらい。
特に4話野球回は意味不明でストレスフル、この4話で見限った視聴者が多そう。
テーマ自体はシンプルだったのを、徒に難解に見せていたきらいも。
考察勢は楽しめても、そうでない視聴者には楽しみ所の軸が複数あり戸惑った。

【総合評価】7~6点
賛否両論のセカイ系青春劇。
正直面白くはなかったけれど、最後まで見れば意欲的な青春劇として良かったと思った。
完成度は「ワンダーエッグプライオリティ」を凌駕している。
後年振り返って味わう価値は十分ある。
もう少し分かりやすさと親しみやすさがあれば一段評価上げてた。惜しい。
評価はとても良い寄りの「良い」

投稿 : 2023/08/10
閲覧 : 115
サンキュー:

5

ネタバレ

Lilac さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7
物語 : 4.0 作画 : 3.5 声優 : 3.5 音楽 : 4.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

人生の節目に見たくなりそうな作品

一言で表すと鮮明に覚えている夢のような話だった。こういう作品にはなかなか出会えない。SFでかつスピリチュアルな作品で淡泊な演出で物語が進むが、たまに核心を突くような発言や描写がありはっとさせられる。もっとドロドロで激動を見せて欲しかったというふうに思わなくもないが、それはそれでこの作品の良さなんだと思う。時間を空けてもう一度見たいと思わせてくれる作品だった。

投稿 : 2023/05/21
閲覧 : 158
サンキュー:

10

ネタバレ

タイラーオースティン さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

また余裕ある時にもう一度見返してみたい

序盤から面食らうような展開ながらそれでも最終話まで行けたのは作品が持つ雰囲気が大きかったかも。

一つ一つの話がそれぞれ作品になっているという印象で、さながら監督のショートフィルム集を見ているような感覚でした。

学校ごと漂流された中学生の少年少女の群像劇かと思いきや他の漂流物の作品とは違い、死ぬ事への恐怖とかサバイバルな感じが弱く、なんというか現実逃避に近い印象で、その中で主人公の成長が感じられた。

個人的には最終回が一番良かった。特に希が忘れている事を長良が理解して受け入れたところはちょっぴり切ないんだけど、長良が前を向く姿に希望を感じさせるものがありました。ただ、希の傍らに朝風がいた事に関してはそれまでの話での朝風のイメージがあるだけにちょっと腑に落ちなかったかな。

投稿 : 2023/01/03
閲覧 : 185
サンキュー:

8

ネタバレ

tot さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

異世界転生もの全盛時代へのアンチテーゼ

ブギーポップは笑わないの夏目真悟の第五監督作品。

意欲作だが、物語的な欲望(俗情としての期待の地平)を満たさない作品なので、あまり広く受け入れられない作品に見える。だが、異世界転生ものが現実の不如意を、ありうべき世界における「可能」へと反転させることで現実への意趣晴らしをするという、もはや繰り返されすぎたワンパターンであるのに対して、見るに値する珍しい作品だというべき。

物語は、ナガラ・ノゾミ・ミズホら中学のクラスメイトが、次元を異にするもうひとつの世界へと「漂流」したところから始まる。その世界は、かつて過ごしていた現実の世界とは異なるコピーされた世界で、そこでは各種の超能力が生徒達にそなわっている。それらの超能力と、生徒同士の摩擦と葛藤の中で獲得した「選択」への意志をとおして、最後にもう一度不如意な現実世界を再選択する、という構造になっている。

異世界転生ものでは、異世界で主人公は超能力を獲得し、周囲に抜きん出た力を発揮するが、この作品ではそうではない。ナガラの能力はむしろナガラを周囲から孤立させ、恋心を寄せるノゾミを世界から消滅させてしまう。セカイ系アニメでは「ぼく」と「きみ」の恋愛関係における結びつきが危機にに陥った世界そのものの救済とつながるのに対し、ナガラが選択した現実世界では、ナガラとノゾミは結ばれる結末にはならない。

だがそれでも、ナガラは末尾のシーンで、鳥を見捨ててしまう自己から決別し、その一点において、漂流した世界でノゾミから托された、もう一人のありうべき自己自身を選び直す。高校二年次においてはナガラとノゾミは結ばれていないが、すべてはこれから先の可能性に托されているという結末で閉じられる。

異世界転生ものは、その全能感と万能感ゆえに、想像力と現実世界の可能性の貧困をまねく。だがサニー・ボーイは、現実世界において可能な選択肢を選択する、凡庸で力ない選択を後押しする。現代においてこそ見られるべき物語はこういう物語だと私は思うが、しかしストレスフルな現実からの逃避が、欲望を意の儘にかなえてくれるフィクションの世界への没入である現状では、この作品が選択されることは少ないだろう。

それでも、アニメ的な魅力を最大限に生かしつつ、安易な欲望の充足にノンをつきつけた監督に、いいぞいいぞとエールを送りたい。

投稿 : 2022/12/18
閲覧 : 295
サンキュー:

4

ネタバレ

素塔 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

アンチ・モラトリアム

本作とは全く印象が異なりますが、難解な青春アニメというと
今やネタアニメの定番になった「グラスリップ」が思い出されます。
揺れ動く思春期の心情を独自の表現語法を用いて描き出し、
心の内奥までも可視化しようとした点で両者は共通していますし、
結果、意味不明などと揶揄されてしまうのもやはり共通です。

「グラスリップ」では「未来の欠片」という超常的な現象が
ヒロインの深層心理をヴィジュアル化する装置として機能し、
また、エッシャーのトリックアート、「昼と夜」が解釈の鍵となっています。
イメージの喚起力に訴える同様の象徴表現を本作も駆使していますが、
こちらは比較にならないほどの徹底振り、まさしく完全な極振りです。

こうした野心的な独創が視聴者にウケないのはきわめて自然で、
この種の作品では視聴に払った注意力の量が感動に比例するので
制作に注がれたエネルギーに見合うだけの熱量で向き合わなければ入り込めず、
結果、作り手の自己満足のように感じられてしまうわけです。

本作はとにかく情報量が尋常でなく、深入りすると収拾がつかなくなるので
核心と思われる部分だけを抽出して概観することにします。
全体の大まかな構成は、漂流の"謎"をめぐる前半と、
漂流の"意味"を追求する後半とにはっきりと分かれていますが、
その転換の軸となる主人公長良の、決断と行動に焦点を当てた
いわば"長良ルート"と呼べるものが一応、標準的な読み筋になるようです。


{netabare}まず指摘したいのは、序盤のミスリードについて。
SF風の少年少女・異世界サバイバルというパッケージには
あふれんばかりの既視感が漂っていますが、
実はこの既視感を逆手に取った意図的な操作、
いわゆるミスリードが序盤に仕組まれているふしがあります。
惨劇の匂いを漂わせたり、魔女狩り風のイベントを持ち込んだりと、
常套的なサスペンス展開で前半部を偽装しつつ、
ストーリーが進むに従い、"哲学的"と評すべき本作の真の姿、
この作品のアレゴリカルな本質が鮮明になってきます。


平たく言うと、物語全体が「喩え話」だということです。
例えば第4話のモンキー・ベースボールは「ルール」および「能力」の不均衡、
第7話のバベルの塔は「労働」や「希望」の転倒をめぐる一種の寓話だし、
全編の至る所にメタファーや象徴、暗示などが散りばめられた
さながら「アレゴリー(寓意)」の祝祭の趣があります。

ならば「漂流」とは何を意味しているのか?

結論から言うと、すでに指摘されている通り
「モラトリアム」の寓意、そう素直に考えてよさそうです。
終わらない夏休み。止まってしまった時間。
"静止した世界"とは、永遠に続くモラトリアムの表象でしょう。
隔絶され孤立した校舎。管理のもとに置かれ、ルールに守られた閉鎖空間。
そして、訓練キャンプで強制的に"一人前"にされた少年少女が
社会という「戦争」に送り出される・・・このあたりにもアイロニカルに
制度や世相を風刺する、現代の寓話としての側面を見ることができそうです。


さて、転換点となる第6話。漂流の真相が明らかになり、
原因となった長良に対して「神(校長)」から宣告が下される。

「君は世界を創っていたわけじゃない。
 可能性の箱を開けているだけの、ただの観測者なんだよ。
 君がいるからこの世界は存在している。」

観測者が箱を開ける、という言い回しから、元ネタはよく知られた
「シュレーディンガーの猫」と称される量子力学の思考実験だと思われます。
専門的な内容はわかりませんが、本作に応用されている方向性としては
事物ないし事象の存在そのものに関わる理論上の不安定さを
モラトリアムの本質に結びつけようとしている、といった感じでしょうか。

その際、重要な意味を担うことになるのが「可能性」という概念です。
漂流世界の原理となる「可能性」とは、すなわち「不確定性」、
存在が非決定の状態にあるという、ネガティブなニュアンスを含んでいます。

 君たちはもう、必要ないんだよ。
 君たちはただのコピーなんだよ。
 君たちだけが、特別だと思っていたのか?

「神(校長)」が生徒たちに告げるこれらの言葉は、
着想のベースになっているらしい確率論の文脈に置き換えると、
「君たちは確率論上のただの可能性に過ぎない」となる。
つまり、まだ何者でもない可能性だけの存在である思春期の少年少女、
あるいは可能性の海を漂流するモラトリアム人間たちの在り方を
原理的に否定し、切り捨てているわけです。


ここは物語の転換点であると同時に、長良ルートの真の起点ともなります。
つづく第7話、バベルの塔に仮託したエピソードの中で長良は、
転倒した世界を自らの観測者の能力を用いて反転させ、こう宣言します。

「この世界をひっくり返す。
 僕はみんなの分まで前に進まなきゃいけない。
 全部僕のせいなんだ。それでも、もう逃げないって決めたんだ。
 この漂流を間違いにしたくないから。」

漂流の原因として世界から断罪された彼が、
自らの手でそれに決着をつけるための行動を起こす。
これは、責任を猶予されたモラトリアム的な心性からの脱却であり、
主体的な自我の確立を描いた成長ストーリーとして、ある意味、
世間一般のモラトリアム論に即した模範解答とも言えるものでしょう。
ただ、あまりに模範的すぎて、もしやこれもミスリードなのではないかと
つい身構えてしまうのは本作の場合、やむを得ないところです。


多分、ドラマの核心となる部分は、もう一歩踏み込んだところにあります。

「観測者がいなきゃ、みんなただの可能性で終わっていた。
 みんな解っているはずだ、結局どこにいたって
 僕らは抗い続けなければならないって。」

これは、長良に共感したこうもりの言葉ですが、
着目したいのは「反抗」という契機が、世界観と物語をつなぐ形で導入され、
物語後半で長良が企てる元の世界への帰還計画が本質において、
この世界を支配する「神」へのプロテストになることを予告している点です。


その経緯。まずは、漂流の"真実"を見究めたラジダニの言葉。

「そうか、これは漂流なんかじゃない。
 神が振ったサイコロだったんだ・・・。」

サイコロは「偶然」の表徴であり、確率論のシンボル的なアイコンです。
漂流世界は無限にある可能性の中から、たまたま出た一つの目に過ぎず、
偶然の結果に過ぎないから当然、その現象には何らの意味もない。
やまびこが言うように、「この漂流に意味なんてない。無だ。」
「偶然」という絶対的な「神」が支配する確率論と決定論だけの世界。
長良の計画は、この世界への挑戦を意味するものでした。

長良:ロビンソン計画に追加したい項目があるんだ。
ラジダニ:ああ、そうこなくっちゃ。

ちょっと分かりにくいですが、最終盤の展開はここからスタートします。 
追加した項目がどういうものか、ここでは説明されずに、ただ、
希のコピーであるコンパスを掌にのせて長良が呟きます。
「どうせ世界は変えられない。それなら・・・」


追加した項目は最終話で明らかにされます。
彼らが目指したのは"元の世界"ではなく、コンパスが指し示す世界。
ここでふたたび「可能性」がキーワードになります。
偶然の支配から可能性を解放し、それに別の意味を与えること。
それが「神」への反抗の最終形態になります。

瑞穂:そこに行っても希が生きてるかはわからないんでしょ?

長良:だからコンパスを使うんだ。
   何も結末は変わらない。
   起こり得ることしか起こらない世界だから・・・
   可能性をもう一度振り直す。

神が振るサイコロに対抗して、長良はコンパスを"振り直す"。
コンパスの針は、どこかの世界で希が生きている可能性を指し示しています。
「希はもう戻らない。でもね、彼女の意志はまだ生きている。」

「過去は変えられない。でも、未来ならいくらだって変えられる。」
・・・かつて希はこう語っていました。
つまり、希が信じた「未来」という可能性を彼もまた追い求める。
「起こり得ることしか起こらない」決定論の世界では単に確率論上の
ニュートラルな意味しか持ちえないネガティブな「可能性」を
ポジティブに反転させ、「偶然」に意味を与えようとするのです。

乱気流のように錯綜する次元の混沌の中を、長良と瑞穂が走り続ける。
その時、上方に現れた鳥の群れが、彼らを先導するように先立ってゆく。
希と鳥とは終始一貫して、アナロジーの糸で結ばれています。
やがて、満ち溢れる光に包まれて二人が立っている地点で
回り続けているコンパスの針が、目的地に到着したことを告げています。

瑞穂:長良はさ、何で帰ろうと思ったの?
長良:これは、希が見た光だから・・・{/netabare}


長良ルートを締めくくる最終話の内容については、
希と瑞穂のその後の動向も含めて、いずれ補足する予定です。
本作のユニークな特色は、鬼面人を嚇すような世界設定よりも
この結論部分に提示されている独自の思想にあると自分は考えていて、
それを「アンチ・モラトリアム」などと呼んでみたのですが、
そもそも観る側に結論を委ねることを本作は意図しているようでもあり、
自分も確認できたポイントだけを覚書風に記しておくつもりです。

本作が執拗に反復する「死」のモチーフについても触れなければなりません。
光を志向しながらも死と親和的であり、作中に死の契機を導入する
希というヒロインの両義性は、本作の複雑な性格を端的に表出するものです。
また、「死」を「モラトリアム」と並ぶもう一つのテーマと捉えるならば、
その両者を統合する存在が瑞穂であり、最終話にその帰結が示されます。
長良ルートがシンプルな成長ストーリーであるのに比べ、
難解なメタファーや象徴が横溢するこの裏ルートの方に、余程興味をそそられます。


・・・しかし、さすがに四周もすると、最後は達観した心境に至ります。
これ、解らなくても別にいいんじゃないの? なんて。

理解しようと頑張ると、他作品を視聴する時間が削られます。
それよりは、クールでポップなヴィジュアルと雰囲気を楽しみつつ
一通り完走すれば、もうそれで十分なのではないだろうか?
哲学風味に抽出されたビターな青春のエッセンスをフィーリングで味わう、
こういうのが本作の正しい鑑賞法なのかも知れない、等々・・・

のっけから散々思わせぶりに引っ張りまわされた挙句、
最後は一方的に突き放される。有り体に言ってかなり鬼畜なアニメでした。
これがハッタリなら断じて許されないところですが、悔しいことには
十分過ぎるほどの内実を備えており、余韻も深いので黙らざるを得ない。
とは言え、好きになれるかどうかはまた別問題であって、
人に勧めたい気はあまりしないし、案外残らない作品にも思えます。

2022.11.23 投稿

投稿 : 2022/11/26
閲覧 : 1666
サンキュー:

17

ウェスタンガール さんの感想・評価

★★★★★ 4.6
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 5.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

“漂流教室”でつかまえて

若干のネタバレはご勘弁頂くとして、初見は正に『漂流教室』であり、そのモチーフである『蝿の王』であった。さらに映像作品であれば、やはりJ・J・エイブラハムの『LOST』が最右翼であろうと…。このアニメの設定やビジュアルを見る限り、この作品が相当意識されたであろうことは想像に難くない。
しかしこのアニメの努めて優れた点、それは何といっても、成人を前にした青少年、“少年少女”に向けた“コンパス”、羅針盤の役目を果たしたいと言う、愚直なまでの思いの強度にあると言って良い。
そうこれは、『ピーターパン』や『オズの魔法使い』の伝統を下敷きにしたお伽噺であり、夏目慎吾監督による、サリンジャーが投げかけ続ける『ライ麦畑でつかまえて』への答案。あるいは、たった今を生きる“少年少女”が問い続ける問答集と言うべきか。

投稿 : 2022/11/20
閲覧 : 336
サンキュー:

12

ネタバレ

蒼い星 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3
物語 : 3.0 作画 : 3.5 声優 : 3.5 音楽 : 3.5 キャラ : 3.0 状態:観終わった

Going My Way.

【概要】

アニメーション制作:マッドハウス
2021年7月16日 - 10月1日に放映された全12話のTVアニメ。

監督は、夏目真悟。

【あらすじ】

真っ暗な異次元空間に校舎があった。
校舎の外には無限の闇が続き、闇の中には何もないのかもしれない世界。
夏休みの折り返しを過ぎた8月16日。
その校舎に、36人の中学3年生が超常的な力で閉じ込められていた。

そこで少年少女たちは超能力に目覚めて、
その能力で好き勝手したい者、規律を求める者で意見が分かれていた。

元の世界に帰るという共通の目的があるはずだが、
明日の見えない異常な状況に巻き込まれていることで、
そのストレスで人を疑いやすくなっていて、
誰かを罰することで安定を求めたい者も、それでも冷静でいたい者もいた。

その集団生活の一人に、無気力で人生を諦めたような少年の長良と、
そして長良に話しかけるショートカットの帰国子女の少女の希がいた。

集団のルールで厳格に集団を統率したい生徒会と、
お前らのルールには従えないというグループによる対立。

彼らの歪な争いを横目に希は、この真っ暗な世界から脱け出そうと校舎から飛び出してジャンプ。
落下する希の手を掴む長良。長良が逆の手で握っていた手すりが壊れて落下する二人。

落ちた先は海で、校舎ごと36人は暗闇から無人島に転移していたのだった。
謎だらけの数々の世界で、元の世界への帰還への手がかりを探す彼らの長い道のりは続く。

【感想】

40年前には人気のジャンプ漫画家だった江口寿史氏の冴えないキャラデザ。
主人公は生気のないモブ顔。老猫が鼻水を垂らしている。
汚い男子トイレで脇役のおっさん顔の男子中学生がパンツおろして尻を出して便座に座る。
音は出してないけど、多分、排泄をしている。
その、おっさん顔の男子中学生が暴走した報復で全裸でうさぎ跳びを強いられる。

と、絵面が趣味じゃないな!と以前は余裕で1話切りだったが、今回はなんとか完走。

これがサバイバル状況下の険悪な人間関係に焦点を当てた作品か?
と予想すれば、部分的にはそうではあるが中心ではない。
謎の能力で物資は届くし、世界のルールだかで食べなくても餓死しない、
衣食住に不都合のないどこか温い異世界漂流生活。
よくわからない世界の法則を解き明かして次の世界に進む話?
現代社会の少年少女の心の行き詰まり、集団生活に適応することへのストレスや不安の話?

最初は36人いた生徒もシナリオ上に必要なのは5~6人程度で残りは殆どが意味がなく、
展開上の役割を終えた途端に長良たちとは別の道を選んで物語から消えていく。

このアニメのテーマは元の世界に帰ろうとする集団のドラマではない。

実は、長良少年を主人公にした不思議な体験を通じての陰キャの彼の成長の話。
市民劇団みたいな芝居じみたストーリーの連続でオムニバスにも似ている連続した物語。

それは、脚本を書いてる監督の頭の中にある、
ストーリーや思想や哲学を延々と聞かされているよう。
それでありながら、情報をフルオープンにするわけでなく、
作り手が断片的にストーリーを提示して、視聴者の頭で考えてくださいなスタイル?

いろんな話で毎回攻めてくるものの、何を言いたいのか実はよくわからない。
特に第4話で映像で見せずに暑苦しい口調だけで4分間も続く猿と野球の話の朗読が、
あまりにもつまらなくて苦痛だった。

ルールを守ることが世界の秩序を守ることであり、
ジャッジする者が情に流されてのルール破りで秩序を破壊してはならないジレンマ、
同調圧力に屈さずに最後までルールを守ったことで、
暴徒となった猿の軍団に殺された球審の猿は英雄だった言わんばかりの希の反応。
野球帽のおっさん中学生の長話とは、
自分も含めて漂流者となった生徒たちの集団生活のあり方と重ねていて、
答えは聞いたひとりひとりの心の中にあるのだろう。

モンキー・ベースボールはタダの彼の妄想や作り話だったのかもしれないし、
万事この感じで何が言いたいのかダイレクトさに欠けていて、
このアニメ全体が突拍子もなく支離滅裂で意味不明な話の集合体に思える視聴者もいる。

第6話の、ミミズを食事としてタコ部屋で雑魚寝をして何千年も労役している学生たちの話など、
監督の頭の中で紡ぎ出した夢のような妄想のような不条理な世界に、
あーだーこーだと考察するだけ実は無意味、理屈や法則なんて特に無いのだから。
ただ監督の妄想ホラ話に耳を傾けてなにか琴線に触れるものがあればいい、
といった類のアニメに思えてきた。

今どきの映像と音での感覚型、わかりやすい言い回しでのキャラへの共感型のアニメと逆の、
回りくどい言い回しで不条理丸出しのサブカルアニメ。
このアニメの創造主である監督はビューティフル・ドリーマーに憧れがあるのだろうか?

「頭の良い人間は わかりにくいことを簡単に説明し、
 頭の悪い人間は 簡単なことをわかりにくく説明する」

自分が頭がいい人間だとは思わないが、
見る者が困惑するアニメとは、
わかりやすく伝えることをクリエイターが放棄した自己満足の世界とも思えてくる。

と万事煮えきれないムードのままに進んでいくこのアニメのオチは、
現実世界はつまらなくて退屈で楽しくないことだらけだ。
思い通りになることなんて殆どないが、それでも前を向いて歩こうって感じ。
それはそれで悪くないけど、画作りが暗くてグダグダ喋るのが長すぎて、
観ていて大して面白いわけでもない。

第25回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞受賞作品であるが、
この手の作品は審査員ウケと商業的成功が両立しない。

要するにマニアや審査員に評価されるように作っていて視聴ターゲットが選ばれる、
わかる人だけわかればいいアニメ、だから楽しめる人が限定的になる。
ゲージュツとは、そういうものなのだ。
商業的に振るわなかったとしても、
クリエイターが自覚して割り切っていればそれで良いかもしれない。
監督のコメントを自分は確認していない。

好きでもないのにモヤモヤ感と印象が残る、
なんとも不思議なアニメだった。
自分が今後これを見ることは多分、無いだろう。

銀杏BOYZの主題歌を頭の中で再生しつつ、
秒速5センチメートルにも似たビターエンドを思い出しながら、
自分は心のなかでこの作品に、そっとサヨナラを告げた。

ついでに言えば、瑞穂だけは嫌いではなかった。

これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。

投稿 : 2022/09/30
閲覧 : 248
サンキュー:

27

ネタバレ

ハウトゥーバトル さんの感想・評価

★★★★★ 4.6
物語 : 5.0 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

観測者により成り立つ物語

この話は高校生が漂流した話

問題作、と表現されている方が一定数いらっしゃりますが、それは良い意味であると私は確信しています。

まず本作は超能力を主体としてはいますが、「超能力を用いて異世界最強!?」でも「超能力を用いてコントを繰り出す!?」でもなく、ただただ異空間に来たら副産物で超能力を得た
それだけの話です

物語にしか興味がない方、作画で全てを判断する方、アニメを流し見する方、にはおすすめ出来ません。

Q では誰に刺さるか。
A その作品の存在理由を考え、作者の意図を察し、アニメに全神経を注ぐ、そんな(私のような)厄介オタク向け、です。言うなればアニメ非初心者向けということになります

個人的には好きです。
「作者が何を描きたかったのか」はなんとなく理解できますし、その描きたかったモノがどれほど面白いか、も理解しているつもりです。
本作の面白さは他の方が詳しく説明してらっしゃるでしょうから簡潔に言わせてもらいますが、「心境の変化と姿勢の変化の分岐点を具現的事象によるものだとしたら」という話です。まぁ興味ある方は。

少なくとも私は本作が、かなり好きです。
お気に入りにいれるくらい。

本作を難しかった、と感じた方はもっと客観的視点を持ちながら見たほうが良いかもしれません。それで無理でしたなら、貴方様が本作にあっていないということなので諦めましょう。

{netabare}
希が消えたときは私大歓喜。希ちゃんに恨みとか何も持ってないしなんなら好きだったけど、あのまま「みんな大団円」で終わっていたら「なんかなぁ」て感じになってたと思うから、あそこで消えた瞬間は席を立ちましたよ((

とはいえ、あのまま希と三人で帰って三人とも知らないフリをする、というのもありですけどね。でラストに教科書を破る、とかでもかなり良かったですが。

オタクの厄介のところはこういうところなんでしょう。
分かってはいるのですが、自己の最適化はやめられませんね。
{/netabare}

原作・監督・脚本は夏目真悟さん。ブギーポップ(新)の方ですね。雰囲気があります
キャラデザは久貝典史さん。ACCAの方ですね
アニメ制作はマッドハウスさん。よりもいの所ですね

作画はよく、(これはどちらかというと絵コンテの分野なのでしょうけど)表現がかなり良かったです
主題歌は銀杏BOYZさんの「少年少女」

コンパスの針は何を示し、誰を示し、どこの向かわせるのか
ということで締めます

投稿 : 2022/08/01
閲覧 : 268
サンキュー:

6

ネタバレ

エイ8 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.4
物語 : 1.5 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 1.5 状態:観終わった

秒速?センチメートル

『Sonny Boy』(サニーボーイ)は、マッドハウス制作による日本のテレビアニメ作品。2021年7月から10月までTOKYO MXほかにて放送された。第25回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞受賞作品(wikipedia)

一言で言うと雰囲気もの。何やらそれっぽい内容が続くけど言ってることはずーっと「前に進め」ただそれだけ。それを衒学的手法でコテコテに装飾しているだけで中身はむしろ空虚。ある程度まとめて見たこともあって酔っぱらった目上の人に繰り返し同じくだを巻かれ続けたかのような徒労感が残った。ストーリーも舞台も実のところあってないようなもので、作り手がやりたいことをやるためだけの空間でしかない。その中で脚本家がノートに書き溜めていたネタを小出しにして描いたかのような取り留めのなさが最後まで続く。

とはいうものの一応異世界に漂流した理由らしきものはある。例えばSFによく出るワープ、これは一旦その人の構成要素を分子レベルまで分解してそれを出力先で再構成させるという手順を取ることが多いのだが、では元の本人は実のところ分解された時点で死んでるのではないかという哲学的問題がある。逆に言うならば分解せずに再構成するなら二人の本人が生じることになり、本作品もそれに準ずるような形でコピーされた者達(或いはオリジナル)が漂流したという形をとる。なので、別の本人たちはちゃんと時間が進み中学を卒業していたりする(この辺の時間感覚設定は適当なので正直よくわからない)。後に瑞穂の持っていた能力ニャマゾンが(正確には猫たちのものらしいが)生き物にも適用されるコピーだという事が判明したことからも最低限の舞台設定自体は用意されていたと言っていい。もっとも、なら他の時代の連中はどうやって来たのかという問題も勿論あるのだが、まあ結局全ては黒幕校長の仕業ということにできるのでこんな合理的な疑問を持っても意味がない。作中頻繁に確率がどうこう言ってるが、ちゃんとしたSF考察班のもと作られてる感じは全くしない。

最初の印象は「うる星やつら4 ラム・ザ・フォーエバー」。それっぽいだけの脈絡のない展開で異世界に閉じ込められ脱出を試みるという流れからして結構似てる。一応「ラム・ザ・フォーエバー」の方は様々な制約上わけがわからなくなったという経緯があると言われているが『Sonny Boy』の方は構成から見ておそらく初めからあんまり何も考えてないっぽい。

「たまたますごい能力を手に入れてさあ、女子達にも仲良くしてもらって、元の世界じゃいないも同然だった奴がさあ」
作中でこう言ったのは確か加賀君だったか。仲間からハブられてボッチ空間に隠れてた彼が後に長良に向かって言い放った台詞。わかるよ~、すっごいわかる。方や居場所がなくて追いやられた加賀に対し、長良は冒頭からただ教室に寝っ転がって天井見つめていただけで美少女帰国子女の希にずーっと気にかけてもらってる。その上チート能力付きの瑞穂にまで!何でお前なん?って思うのは当然だよねえ。これがエースだったり明星だったり百歩譲って朝風ならわかる。だけど何で長良?加賀と長良、能力以外何処が違う?と思っても当然だと思います本当に。

でも加賀は頑張ったんですよ。あき先生の下で皆勤賞まで果たしてスピーチまで任されるまでになって。だけど意中の骨折ちゃん(てかこの名前酷すぎない?一応つばさと言う名前があるのにスタッフロールでは骨折)からは心を読まれてキモがられる。パッとしない男子が手負いの女子相手にイケるんじゃね?って展開もありがちと言えばありがちだけど、彼女はそんなんより他の女子に恋してるイケメン?の朝風に首ったけなのだ。まあ中学生であることを差し引いても男女の関係は大体そういうもんではあるのでしょうけど、これだといよいよ長良が女子に囲まれる理由がない。一応瑞穂の方は彼が猫を助けたくだりに想う事があったと見ることができるが、その後の展開を見る限り長良に執着する理由としては薄い。希の方はもっと謎なのだが。

結果的に元の世界に戻った長良と瑞穂。瑞穂が何故最初長良のことを知らない振りしたのかは全く理解不能だけど、結局覚えてた。ここは長良の選んだ世界で、希が見た未来。だとすると?希ちゃんは生き延びて朝風とイチャラブできる世界を見ていたってこと?彼女は異世界で朝風と付き合えない理由としてこう言った。
「朝風を尊敬できない」
だとするとこの世界では出来たってこと?
「またバスケ部のやつらに助っ人に頼まれてさ~」
なるほど、スポーツ万能の男子を尊敬するのはJKとしてごくありきたり。彼女が欲してたのは重力を操るような厨二能力などではなく単に普通のスポーツマンだったようだ。だったらエースの方に靡けよと思うけどね。ブロンド相手には勝てないと思ったとか?

「あの島でのあんたが、まだ少しでも残ってれば、大丈夫だ」
そう瑞穂は言って長良の背中を押した。なのに結局朝風とイチャコラする希を前に何も言えない。そして一人黙って立ち去り、微笑みを浮かべる。いや何わろとんねん。
「もう一回、友達になろうって、絶対に、断らないって」
希とそう約束してたやろ?何自己完結してんの?別に断られてもいいじゃない、キモがられてもいいじゃない。約束したのはただの「友達」だぞ?「恋人」じゃないんだぞ?でも彼はそれすらしなかった。
彼女が幸せに生きてくれているだけで良いとか考えた?だったら初めに再会した時に「生きてるだけで丸儲け」とか思わせとけよ。明らかに未練たらたらだったじゃねーか。それとも「やっぱりあいつ別人だからもうどーでもいいやw」の方か?いずれにしろおじけづいて自己正当化したことを成長とは言わない。

結局のところ、異世界での長良は一カケラも残ってかったことを意味しちゃうんですよね、これ。作中で散々前に進め進め言われて、それまで誰も成し得なかった現実世界への帰還を果たしても尚一カケラも成長してなかった長良。
「飛べるようになるまで、私が面倒見ようかな」
最後、怪我した鳥にそう言った希。長良……お前まさか自分が飛べるようになるまで希に面倒見てもらった(だからもういい/だからもう相手にされない)とか思ったんじゃないよな?言っとくけど飛べてないからな?現実世界じゃ。もしその論理が正しいなら空白の中学時代でも相手にされ続けてる筈だけど、向こうはうっすらとしか覚えてないとこ見ると関係性全然築けてないからな。

実際問題、新しい現実で希と長良の間に全く関係性が築けてなかった意味がわからない(加賀とは築けていたようだがw)。初めに二人が出会ったのは漂流前で、その頃から彼女は長良を気にかけていた。逆に言うならば、何故異世界で希は長良を気にかけ続けたのか意味がわからない。帰国子女で話せる人が長良しかいないというのは最初だけの話。能力自体にはこだわらない(筈の)希が彼に執着する理由がないんですよ。帰りたいんならラジダニの方がはるかに重要人物だし。
静止した存在だから人間関係が変わらない?それだと長良と瑞穂、ラジダニが仲良くなる理由がない。せめて漂流後初めて仲良くなったとかだったら異世界での希は単に長良に都合よく設定されただけの偽りの存在とかできたんだけどね。あき先生が現実と違うように。実際心を読まれても何の偽りもないのは希だけというチートっぷりだし、案外そういうつもりで誰かに作られたキャラという可能性はある。まあそれはそれで誰が何のためにという疑問がでるけれど。長良には人を作る力はない筈だし、当時の瑞穂が(仮に出来たとしても)そんなことする義理もない。本作品がセカイ系である大前提はあるが異世界での希の存在はあまりにもラノベ的で長良に都合が良すぎる。

「ここから出てはいけない」
校長先生(表記上はヴォイス?)はこう言った。なるほど、戻ったところで成長なんてしてないからね。静止してたわけなんだし当然かwというか何故二年経ってんの?本人たちは静止してるのに?卒業式を見たから?まあこの作品に合理的な理由を期待してはいけません。初めから雰囲気しかないんです。

結局全然設定を活かせてない作品なんですよ。というか活かす気なんてさらさらないただの舞台装置。36人も一緒に連れてったのに活躍したのはごく一部。それも当初重要な役割を担っていたと思われる明星とその生徒会の面々やエース達一派もすぐに持て余し6話の時点でさっさとお役御免にし舞台から追っ払い希の葬式にも参列させない徹底っぷり。
そもそも名前の時点で作り手の入れ込み度合いがわかるというのもどうかと。長良や希ら主役級には名前を与えて脇役はポニーwキャップw上海w(明星はどっちともとれる)。一方更なるモブキャラになると今度は名前が与えられる。村山、犬山、加賀……とは言え「はやと」のノートによると上海以外はちゃんと名前があるみたいだけど、なのにあえて属性化したのはただの装置でしかないから。

朝風も一話の時点では「パッとしない」奴だったのにいつの間にか現実世界でもすごい奴扱いになってる。この辺は単純に設定忘れただけ、というか気にしてなかっただけだろうけど。
あき先生が実は同い年だとか校長先生が黒幕だとかやまびこが犬になったりならなかったり最終話に出てきた意味深金髪だとかぜーんぶ適当で雰囲気だけ。後インド人なのに仏教徒とか……勝手なイメージで作ったキャラでしょラジダニって。普通はヒンドゥー教徒だと思うよ。

MANTANWEBというところに監督インタビューがあって、最終回は「前向きな終わり方」にしたとあるが、ちょっとよくわからない。前向きなのはこのオチを前向きとした監督自身な気がします。「雨のシーンが続き、最後に雨がやむけど、夜なんですよね」……そんな小手先の演出ドヤられても……というか、そんな枝葉のことばかり気を取られてるから本筋がおろそかになるんじゃないでしょうかね。作り手が前向きだとか成長したとか言えばそういうことになるわけではないと思いますよ。
「やり切った 言いたいことは言えた」ともある。そりゃそうでしょ、じゃなきゃ9、10話のシナリオ執筆時で行き詰ったりしないでしょうから。
(一部他作品である「秒速5センチメートル」の核心にも触れるのでネタバレ扱いで隠します。)

{netabare}
この作品のオチってほとんど秒速5センチメートルなんですよね。昔の女に会ったけど何も言えず笑みを浮かべるってw音楽も山崎まさよしが銀杏BOYZ(12話挿入歌はミツメ?とのこと)になっただけだし。まさかクリエイターが天下の新海大監督の作品をチェックしてないとかありえないと思うんだけど、まあ「あえて見てない」とかありそう。結局予定調和的な「希にアプローチする、或いはしてもらう」という「ありきたりなラスト」を避けた結果大迷作と同じオチになったというオチだったら逆に嗤えるんですけどね。ちなみに秒速の方の笑みは実は女がどうこうは関係なくて「桜が咲いて綺麗だなあ」ということを監督が舞台挨拶で言ったという話もあるんで、案外こっちも「雨が止んで良かったw」ぐらいなもんかもしれないね。だけど、約束破棄は重いですよ。成長物語なのだとしたら尚の事。ただひょっとしたら私小説的側面のある作品なのかなという気はちょっとしました。
{/netabare}

一応、映像表現自体はヘタウマという感じだが上手ではある。80年代風味の描写で、わざとセル画数を減らしたかのような表現も悪くない。ただ無駄なサイケ演出はチカチカするだけで鬱陶しいことこの上ない。結果的に中学生の制服の着こなし描写だけが際立つというヘンタイじみた評価となるわけですが。まあそんなんでも第25回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞受賞作品になれちゃうんです。雰囲気は正義。

この手の雰囲気ものってどうしても評価が高くなりがちなんですよね。確かに無心で見る限りはそこそこ楽しめる作品ではあるんです。後味は最悪ですし論理的にはグダグダもいいとこですけど。
だけどこれを評価すると似たようなことをやって華麗に散った「グラスリップ」が浮かばれないんで心を鬼にして順当に低評価とすることにします。ちなみにこの辺を上手くやって名作との呼び声をほしいままにしたのが「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」。個人的にはこれもあまり評価してませんが。

ただ同じ監督の「ワンパンマン」の一期に関しては悪いイメージ無いんで、やろうと思えばこういう一般受けするのもできるんでしょう。変に尖った厨二な作品なんかじゃなく地に足付けた普通の作品の方が良い気がしますが。バスケアニメの助っ人とかどうです?おすすめですよ?(^^)

投稿 : 2022/07/09
閲覧 : 351
サンキュー:

8

coron さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

オリジナルアニメの、いや、アニメの最高傑作

尖ったアニメで好き嫌いが分かれると思いますが、私は好きです。
今までとは違う形のアニメだと思います。
OPがないことでとても世界観に没入しやくすなっています。
また、楽曲や間の取り方も一級品です。作画は令和っぽくはないですが作画崩壊などは特になく基本的に安定しているので安心して試聴できます。

投稿 : 2022/06/29
閲覧 : 423
サンキュー:

7

エルネスティ さんの感想・評価

★★☆☆☆ 1.8
物語 : 1.0 作画 : 1.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 1.0 状態:途中で断念した

好みが分かれそうな作品

展開が遅く、物語の方向性もよく分からなかった

投稿 : 2022/04/20
閲覧 : 201
サンキュー:

2

うぐいす さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:途中で断念した

8話断念

言葉はやたら多いが朗読劇のよう。聞き飽きるほどポジティブに考えなさい的な台詞が説教っぽく聞こえストレスがたまる。

投稿 : 2022/04/16
閲覧 : 176
サンキュー:

3

ジパミィナ さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:途中で断念した

2話から観たけど

1話を録画できず、2話から視聴開始してみましたが、全く付いて行けず。

2話だけで判断はできないので点数は採点していないですが、空気感が合わずでしたので、暫定値としては50点台かと思います。

投稿 : 2022/04/04
閲覧 : 148
サンキュー:

3

金太郎 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 5.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

83点

Sonny Boyは経験です。哲学的で、痛快で、独創的な体験だ。

『このアニメは万人向けではない』と言うのはおこがましい。Sonny Boyは誰にでも受け入れられるが、忍耐と広い心が要求される。このアニメのパズルを解く気があるのなら、その見返りは十分にある。再見すると、複雑なストーリーと魅惑的な映像の中に巧妙な伏線、皮肉、比喩があることに気づくはずだ。

『Sonny Boy』は、あるクラス全員が突然虚空に移ってしまうという、『蠅の王』をSF風にアレンジしたような話だ。取り残された36人の生徒のうち、数十人が不思議な超能力を身につける。彼らは互いの価値観をぶつけ合い、さまざまな人間関係の対立を引き起こす。それぞれの主張は、より重要な社会問題を表している。資本主義、全体主義、自由、宗教、権威主義など、論議を呼ぶ政治的トピックが番組を通して取り上げられる。これらのテーマを客観的に提示している。プロットは少しも単純ではない。脚本家は意図的に迷路のように織り込んでいる。それを理解するには、細心の注意を払う必要がある。そのため、私はしばしばエピソードを見返したり、シーンを一時停止して見たものを処理したり、巻き戻したりする必要がありました。毎回、ラスボスと戦っていることを理解するのは大変ですが、その分、満足感もあります。混乱と好奇心、そして謎解きのサイクルが病みつきになる。ソニー・ボーイ」を理解するのに苦労するのは当然で、意図的に難解にしているのだから、誰もが楽しめるわけではない。複雑なテーマと絡み合う物語から、登場人物の書き分けが薄いと思われるかもしれないが、彼らは決して一面的な存在ではない。

一つの視点に集中するのではなく、複数の生徒を追いかけながら、新たなテーマを探っていく。作者が自ら確認したように、自己挿入型の主人公である長良は、プロットの中心にいる。彼は、私がアニメで見た自己挿入型主人公の中で、ベストではないにしても、その一人である。長良の旅は、生きがいを見つけることにある。彼の物語は、典型的な青春物語であり、鬱屈した10代の若者から始まる。仲間たち、特に風変わりな少女のぞみと一緒に、彼は新しい自分に生まれ変わる。長良の無表情な性格が、彼らの会話を妙に可笑しくしているが、それでも注意は必要である。それぞれの人物は、著者の哲学的考察の代弁者として利用される。彼らの価値観の対立から、彼の心の中を覗き見ることができる。

この番組は、長良が自分自身を発見する旅であると同時に、作者にとっても自分探しの旅である。長良に同行する希、瑞穂、ラジタニ、朝風の4人のクラスメートも成長していく。朝風は、仲間に比べればはるかに成長が遅いので、最弱である。彼は、最初は普通の10代の反抗期だった。他の魅力的なキャラクターたちのような魅力的な背景や内面的な葛藤がない。長原は単調な声で、臆病者ですが、その理由はわかっています。しかし、私たちはその理由を知っているのです。彼の人生観はクラスメートと大きく異なるが、目的は同じだ。どうやって家に帰るのか、誰がなぜ彼らを新世界に送り込んだのか、それを突き止めること。ソニー・ボーイのキャラクターが素晴らしいのは、その動機があるからです。必ずしも同意できなくても、彼らがなぜそのような行動を取るのかは明らかなのです。

投稿 : 2022/03/26
閲覧 : 170
サンキュー:

3

ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

遮る法則すらない空間で思い切り青春をかっ飛ばす

夏休みも後半。学校が異次元空間に飛ばされる"漂流”に巻き込まれた中3のクラスメイトたちが、
能力を発現しながら次元を巡り、サバイバルしたりするオリジナル1クールのSF青春群像劇。

【物語 4.0点】
大人たちの社会……現実、有限、常識、法律、規律、支配、運命
≒常識的な物理法則が事実を規定するマクロの四次元世界

少年少女たちの青春……夢、無限、非常識、自由、希望、可能性
≒観測者に可能性の数だけ現象を見せる。常識的な物理法則を超越するミクロの量子力学の世界

本作もまた量子力学等の知見も活用しつつ、青春の解明と解放の試みた作品群の一つと思われます。


従来作は、鬱積した青春の諸々を社会にぶつける→大人や常識に阻まれる。
→超常現象を少年少女の心象世界とリンクさせて青春を救済……と手順を踏む。
対して本作は、過程をぶっ飛ばして、冒頭からいきなり、
少年少女のグチャグチャした胸の内を反映し、可能性が咲き乱れる混沌とした異空間にダイブする斜め上の展開w

少年少女たちの現実世界での状況については、
"漂流”以来、発現したという能力から、
長良はカースト下位及び外で、青春を斜に見る観測者?
朝風は社会の重圧をはねのけたいと葛藤する反抗期少年?
と事実を考察することも可能なのでしょう。
が、本作は事実の確定自体が、青春を縛る野暮な行為と言わんばかりに、
解答する素振りも見せず、ひたすら異空間表現を通じた、思春期少年たちの心象具現化に注力。

一般的な青春ドラマにおいて、丹念にプロットを組み、常識の制約をかいくぐって、やっと捻り出す、思春期の心情の吐露。
これが、本作では何人にも、時間の制約にすらも遮られることなく、何なら脚本の都合に応じて世界を書き換えてでも、
ストレートに視聴者に叩き込まれる。


この感覚を掴めれば、わけわかんないけど何か面白い!という共感と感動が得られる。
三球三振か特大ホームランか。豪快なフルスイングが心地よい企画。

視聴者を突き放した作品にも思われますが、方向性を理解して能動的について来た者には案外、親切な設計。
例えば本作は原則モノローグによる心情説明を禁止し、設定や作画で類推させる尖った作風ですが、
終盤は{netabare}猫や骨折{/netabare}にモノローグを代弁させヒントを与えるなど。

大丈夫。制作者のサインを読んで、ミットを構えていれば、ちゃんと魔球がストライクで投げ込まれますからw
スタッフは3割に届けば良いと開き直っていたようですが、野球で打率3割なら一流打者ですw


【作画 4.0点】
アニメーション制作・MADHOUSE

時に、原色ベタ塗りまである思い切った背景。
ゴチャゴチャとつまらない現実を描き込むより、
背景にも作画を入れ、切り貼り変形可能にし、
少年少女の心理が世界へ干渉する驚異を、映像編集することに心血を注ぐ。
確かにアニメーションでしかできない青春表現を開拓。

表情描写による心理の示唆も最小限。特に長良など終始、無表情にすら見える。
だが設定や背景、キャラの能力等を手がかりに掴みに行けば、
ちゃんと表現できている手応えは残る。

最終回を始め、しばしば挟まれる長~~いランニングのカット。
これをただの手抜きの尺稼ぎと取るか、青春の“漂流”の成果を堪能する至福となるか。
ここも相性により明暗が分かれそう。私は圧倒的に後者でした。


【キャラ 4.0点】
青春の枠から弾かれている少年主人公・長良。
世間体なんて蹴っ飛ばしたいヒロイン・希。

エスケープ先の真夏の校舎屋上にて繰り広げられるのは典型的なボーイミーツガール。
以来、少年のセカイが激変する様もテンプレート。
だが、そこからの世界の改変度は史上最大級。
何なら{netabare}ヒロインとの死別{/netabare}という運命すら書き換えて見せる。スゲーよ。

長良&希と三角の様相も呈する瑞穂は気だるげなツンデレ風味。
物欲に溺れる私は、何だかんだ”ニャマゾン”が一番羨ましい能力w
が、それ以上に己を見せつけて、割って入りたい表情ダダ漏れな反抗期少年・朝風が可愛いw
あき先生みたいに胸元に抱き寄せてやりたいw


マイ敢闘賞は頭脳派インド人・ラジダニ。
{netabare}2000年{/netabare}探求心が途切れないとは、
冒険者メンタルだけで測れば彼こそ主役勇者級。


【声優 4.0点】
制作意図とか共有しない。台本を読み込ませない。細かいディレクションはしない。
深夜アニメならではのキャラ作りすら邪魔だとばかりに
音響もメインキャストにナチュラルな演技を要求。

長良役の市川 蒼さんの無気力ボイス、瑞穂役の悠木 碧さんアンニュイボイス、
明星(ほし)役の内藤 有海(あみ)さんの腹黒少年ボイス。
この辺りが淡々と作品の空気感を醸成。

そこへ入ってくる希役の大西 沙織さんの快活ヒロインCVからは光への道標を、
CV.加隈 亜衣さんの高圧的な命令口調からは闇を感じますw

鍵を握る{netabare}犬猫{/netabare}やグラサン男には、津田 健次郎さんや大川 透さんら実力派を当て引き締める。


【音楽 4.0点】
劇伴も一応あるが、基本的には環境音で、炎天下のグラウンド、熱帯ジャングル等、ひと夏の"漂流”を表現する方針。
たまに使われる心情曲もバックグラウンドでサポートに徹する。
が、ここぞの場面ではちゃんと挿入歌も使い琴線に触れてくる。
ここでも突き放しているようで、ちゃんと手を差し伸べてくる。

OP曲はない。いきなり異空間転移しようが、タイムなしだw

ED曲は銀杏BOYZ「少年少女」
言葉にし難いドロドロした思春期の感情を、
作品を真芯で捉えた歌詞で見事に歌い上げた傑作青春ソング♪
毎回このEDで余韻に浸る時間が一番幸せだったかも。
EDアニメなんて黒背景にテロップだけで十分?ですw
ラストの{netabare}弾き語り{/netabare}も良かったです。


【感想】
印象的だったのは第七話。
幼い頃、大人になったら意味も見出だせない仕事で歳を重ねるのかなと恐怖したことを思い出して、いたたまれなくなりましたw
実際に社会に出て、その予感が概ね的中する実体験もあり、ますます身につまされますw

それだけだよ(by二つ星)(苦笑)

投稿 : 2022/03/20
閲覧 : 476
サンキュー:

34

ネタバレ

Tokusa さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.8
物語 : 2.0 作画 : 2.5 声優 : 4.0 音楽 : 2.5 キャラ : 3.0 状態:観終わった

もったいない作品

よくもまぁこんな企画が通ったものだと感心した。全体的に設定をあれこれ詰め込みすぎ、広い世界の部分を切り取って描写していることは理解できるが特に前半部はシーンの切り替わり、人物の動きが唐突で視聴者に付いてきてもらう気が皆無に見える。感覚的には、山盛りの皿を出されて食べ終わる前に下げられ、次の皿が出てくる繰り返し、満腹にはなるが満足感は得られない。同じ夏目監督のブギーポップ2019でもそうだったが、話数ごとのクオリティが極端に違う。比較的線の少ない絵なら作画の乱れがごまかせるかと言えば大間違いで、シンプルな絵こそ崩れてしまうと見るに堪えない。
ずいぶんな酷評をしたが、作品中盤からテンションが上がってくる。第8話「笑い犬」は一つの話としてとてもまとまりがよくできている。10話以降は終わりに向けてはっきりと方向性が定まってストーリーの流れが良くなり、コンテや作画の質も各段に良くなる。長良と瑞穂が走るシーンが素晴らしい、この勢いを最初から見せてもらいたかった。異世界転送物としては珍しく、戻った後の話がきちんと描かれ単なるハッピーエンドに終わらない。ボーイミーツガールの定石を崩した結末もたまには悪くない。個人的な好みが問題かもしれないが、メインヒロインであるはずの希が周りの皆とは違う個性キャラのつもりでデザインしたかったのだろうが没個性的で好感をもてず、長良に感情移入できなかった。自分なら瑞穂一択! 声もいい! 犬もネコもプリティ!! 
冗長すぎる超能力謎解き話はバッサリ切って、2時間の映画もしくは6話アニメぐらいの長さにまとめれば良作になり得たのではないか。つくづくもったいない作品だと思う。

投稿 : 2022/02/24
閲覧 : 209
サンキュー:

5

ネタバレ

U さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

C. ネタバレ注意 – ひまわり派、タンポポ派?

マッドハウス制作のオリジナルアニメ
原作:夏目真悟 キャラデザ:江口寿史

異次元に飛ばされた36人の生徒が協力したり、誰かを責めたりしながら
元の世界に戻りたいと行動したり、この世界で生きていくと決心するファンタジー?SF?


<メモ>
2回観たけどよく分からない話でした。
話が繋がっているようで繋がってないオムニバス?

元の世界に戻りたいと願ったのは36人中2人だけ。少なくない?

長良と瑞穂が戻った世界には自分達の本体(コピー元)がいなかったし
死んだはずの希が普通に生活していたので元の世界ではなく長良が選択した別の世界に移動しただけなのかな。

元の世界の2年後っぽい世界に戻った高2の長良は
アルバイトして自活してたり、雛の心配したり少しは成長したようだけど
瑞穂に知らないふりされたら諦めたり、会いたかったであろう希に声をかけなかったり。

未来は自分の選択で変えられるっていう話かと思ったのだけど違うのかな。


<主要登場人物>
・長良:市川蒼 エスケープ・観測者(自分のいる場所を丸ごとほかの世界に移動できる能力だと思われていたが、実際には“この世界”そのものを作り出す能力)
・希:大西沙織 コンパス
・瑞穂:悠木碧 ニャマゾン
・朝風:小林千晃 重力を操れる
・ラジダニ:後藤ヒロキ

・やまびこ先輩:津田健次郎


<ストーリー>
~ HPより
長い長い夏休みも半ばを過ぎた8月16日。学校に集まっていた中学3年生・長良たちは突然、思いも寄らない事態に巻き込まれていた。
長良自身はもちろんのこと、謎の転校生・希や瑞穂、朝風ら、36人のクラスメイトとともに、学校が異次元に漂流 してしまったのだ。
しかも彼らは、漂流と同時にさまざまな《能力》を入手。人知を越えた能力に大喜びし、好き勝手に暴れ回る者もいれば、
リーダーとして他の生徒たちを統率しようとする者も、元の世界に戻るための方法を必死で探す者もいる。
次々と浮かぶ疑問の渦の中、理不尽に満ちた世界でのサバイバル生活が始まりを告げる。
果たして長良たちはこの世界を攻略し、無事に元の世界に帰ることができるのだろうか… ~


中学3年の生徒36人は、校舎しかない世界で超能力をもてあましていた。
窓の外は真っ暗な闇で行動範囲が学校内しかなかったが、希と長良が暗闇に飛び込むと空間が開け山や海が広がっていた。

サバイバルのような生活がはじまるが、この世界は復元能力があるようで怪我が治ったり、減った食料が補填されたり、
瑞穂の猫がニャマゾンで必要なものを運んでくれるので生活に困ることはない。
青い火、人が真っ黒になってフリーズ、モンキー・ベースボールが行われているというエピソードの後

長良とラジダニはフィルムメーカーを使い未来の映像に自分達をカットインさせれば元の世界に戻れるかもと考え試してみるが、そこには自分達がいた。
漂流している自分達は本体ではなくコピーだったのだ。


突然あき先生が現れ
「元の世界には戻れない。前の世界にいる時から能力を使えた人物がこの漂流をおこしたのだ」と言われ
生徒達はエスケープという能力を持つ長良を疑う。
実際はさくら(白猫)がコピーして長良が世界を作っていた。

あき先生と行動を共にするもの、明星(内藤有海)と共に箱舟で新天地を目指す物、ラジタニは航海の冒険に旅立つ。

そして、長良、希、瑞穂は島に残ることにする。

骨折(尾崎由香)に会いに行った希は朝風と「戦争」を攻略中に溝に落ちてしんでしまう。

残された長良と瑞穂はラジダニの力を借りて元の世界に帰っていく。


21.10.22

投稿 : 2022/02/13
閲覧 : 289
サンキュー:

8

桶狭間スイッチ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 3.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

湯浅的異世界

もうね、天才が作ってるアニメだから理解して観ようとすると頭パンクしそうになる。

練られ過ぎたSFファンタジー、売れる条件学園モノに、超能力、宇宙、宗教、趣味と作者の「癖」とも言うべき物がマニア的なレベルでトッピングされ、それを最後色恋で纏め上げる尋常じゃない構成と脚本力。
アタマん中ハッピーセットじゃなきゃこんなん作れん。

物語概略は、パラレルワールドに飛んだコピー達が、成長しながら各々旅や帰還を目指すというものだが、
毎話毎話の急転直下のテンポと出てくる事象や能力、絵に隠された意図、オマージュ、背景、メタファーの多さが尋常じゃねぇ。

バベルの塔や天国の階段、太陽崇拝のピラミッド的重労働、日本百鬼夜行に由来する人語を喋る妖怪ネコの猫又(猫又は老婆を食う)、エジプト神話のアメンホテプの獣神モチーフの犬、不治の奇病を持ち込む黒い男のギリシャ寓話、天を目指した罰にゼウスが大地を割った崖でまさかのポータレッジ(ヒルクライマーが崖で寝る為のテント)
ノアの箱舟は黒の正四面体、ユダヤとキリストの聖地エルサレムにある聖墳そのもの。
舟の中身はちゃんと土くれで作ってるし、動力は賢者の石。
さらにそれらの宗教的な背景や時代感とかに絶妙に合わせたコピー達の特殊能力。
例えばバベルの塔で怒りを買った神は天に落とす罰を人に与えた。その世界を作ったコピーの超能力は天地逆転。
最後はアポロ計画を彷彿とさせるバリバリの工業製品ゴリ押しでディスカバリーよろしく帰路への宇宙旅行。
物語がパラレルワールドであるため、宇宙観的物理解釈もちゃんとしてる。
光速度達しても闇が覆い無音だったり、世界ごとに時間の流れが異なってたり、ワームホール的描写もあったりする。
重力操れるアイツだから、軽く太陽圏突破した距離にも馳せ参じる事が出来るのアイツだけとか、妙に矛盾が無いんだよなw

もう枚挙に暇がないのでこの辺にしとくが、一つ一つのディティールや作り込み、スケールが尋常じゃない。尋常じゃない何度も言ってる気がするが。

最後、不人気キャラに記憶失くしたヒロインとくっ付くエンドに泣き崩れる視聴者が多いらしいが、
物語全体を俯瞰すると、1人の少女が亡くなる未来を変えてるんだよね。
何もできない冷たい男だった主人公が、ヒロインを救っている。
それこそがこの物語の真のハッピーエンド。


そして面白くも想像を掻き立てるのがラジダニ。
彼は最終的に歳を取らないパラレルワールドで「森になった」と明言される。
これだけの文言だと首を傾げるが
、物語を追った視聴者はストンと腑に落ち、死の無い世界で彼が満足の死を遂げた事を理解する。
終始彼は賢く、知的好奇心に溢れた根っからの研究者気質のキャラだ。
知らない事は調べ、追い求める。
皆を導くノアの箱舟には乗らず、自分だけのルールが支配する決闘雪原にも、燃える孤島にもしない。
彼は一人で未知の冒険を選んだ。望郷も救済も望まなかったのはやはり彼の知的好奇心ゆえだろう。
ただ月日は長かった。
2000年の旅路で色々な世界を見て来たと友人の葬儀に話していた。
無限の世界にも死を発明した者、死にも色々あること。ホームシックの国を見て彼はホームシックを学んだこと。やはり望郷を持ち合わせてはいなかったが。
2000年で彼の冒険は終わりを迎える。
好奇心の旅だが、それは救済であり、死を探す旅だった。
それから3000年は彼が選んだ森で過ごしたんじゃないかと思う。
望郷のロケットに乗らず、風呂に入る事さえ後回しにする、知的好奇心の旅は終わった。
彼なら森中の動物と会話できるぐらいになっていたかもしれない。
そこで彼の脈動は止まる。
永遠に落ち続け中身を空っぽにする死でも、電気椅子に座る死でもない。
彼は森になった。
5000年で犬になったやまびこのように、彼は森になった。

投稿 : 2022/02/12
閲覧 : 310
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10

ネタバレ

するめ♀ さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.1
物語 : 2.0 作画 : 2.5 声優 : 3.0 音楽 : 1.5 キャラ : 1.5 状態:観終わった

まるで、国語の教科書に載ってそうな、深読みのお話

備忘録としての感想

物語について
とても難しい。
国語の授業で取り上げる小説のようで、かのSTEINS;GATEや転生ものの心持ちで見るとまるで違う。

世界は変えられない。だが未来は変えられる。
と、考察ブログで見たが、まさしくその通りだった。
未来を自分でつかみ、中学3年生の夏から卒業まで、そうなるべきだった未来を、中学3年生の夏に果ての島に行ったことで変えられた。

変えた世界では、この世界で振っていた朝風と付き合う希がまた、なんとも言えなくなった。

この世界のキャラクターと、未来の世界では、性格が違っていた。ということである。

ただ、そこまでのストーリーが長く、難しく、登場人物の心情を読むようで、見ていて少し疲れた。

作画は、時々7倍録画では追い付けないほどの変わりようで、ちょっと不気味である。

声優は、最近の声優が分からないので何とも言えないが、特に悪くはなかったので☆3

音楽は作中にほぼないので☆1.5

キャラは、ラジタニの顔が少し怖く、なんなら全体的にアニメでありながら、現実に寄せた絵なので、リアリティと怖さがあった。

ともあれ、ながら見はおすすめしない。
無音のシーンなどがあるので、ちょっとだけ集中して見るのがオススメ(特に後半)

投稿 : 2022/01/24
閲覧 : 226
サンキュー:

3

ネタバレ

徳寿丸 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.6
物語 : 2.5 作画 : 3.0 声優 : 2.5 音楽 : 2.5 キャラ : 2.5 状態:観終わった

最後まで観れたのが評価って事かな

オリジナル作品(2022.1)
観念的で抽象的な世界観の中で、中学3年という、大人とも子供とも言えない生徒達を俯瞰的に捉えて眺める・・・そんな感じだったかなぁ。
そこに意味を求めても意味はなく、答えを求めても答えはない。でもすべてはここにある。そう全てはサガにある(嘘)。

私のツボ:世界中が敵だった

投稿 : 2022/01/18
閲覧 : 235
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3

ネタバレ

ドウ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.5 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

独特な雰囲気もあり人を選ぶかも、自分はお気に入り。

結構お気に入りの作品に出会えたようです。感動しました。
学校ごと異次元に漂流してしまったキャラクター達の理不尽なサバイバル生活、ぱっと見設定は「漂流教室」に近かったりしますかね。

最終回観終わった後の余韻も凄かったです。
観ていて「その終わり方はやめてくれ~」とも思ったのですが、「切なさ」も含んだその余韻にエンディングが流れている時には拍手していました。

SF作品でしたが内容的には、物理的に無茶な展開やツッコミたい点もいくつかありマイナスポイントもありました。
ただそのめちゃくちゃな所に放り込まれたキャラクター達の感情の機微や、ボーイミーツガールという側面でも面白かったです。
ボーイミーツガールとしての見方でも、{netabare} セオリー通りの「この男女はくっついてハッピーエンド」とかでもなかったのも面白い点ですし。{/netabare}
例えば「出会いと別れ」という点においても現実の日常にありふれた「人と人との繋がりや出会いと別れってこんなものだろう」ぐらいの距離感がとてもリアルに描かれていて。起こった事はめちゃくちゃファンタジーなのですが、その中に見える色々なところのリアルさが自分に突き刺さった部分は大きかったです。

最近観たSF作品では、自分の中では「宝石の国」以来の良質なSF作品でした。
特に印象に残っているエピソードは最終回と第8話辺りでしたね。
第8話ではこの作品に登場するキャラクターの中でも特に上位に入るくらい好きな「こだま」が登場していて、そのエピソードも印象的でした。

作品全体として結構印象に残ったので、起承転結自分としては大満足でした。
この作品を作ってくれた制作陣、クリエーターの皆様には「素敵な作品でした、ありがとう。」と伝えたいです。

投稿 : 2022/01/07
閲覧 : 214
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15

ネタバレ

STONE さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

とりあえずの簡単な感想

 キャラクター原案が江口 寿史氏ということで、全体的雰囲気は懐かしい感じ。

 作中でも触れられていたが、設定などは楳図 かずおの「漂流教室」を思い出す。
 「漂流教室」もそうであったが、本作もある集団が他とは隔離された状況に陥ったことによる、
主導権争いや非同調者の排除などの「集団ヒステリー的鬱展開になるのかな?」と思っていたが、
案外そうでもなかった。
 クラスメイトの長良、希、瑞穂に対する態度など、一部にそういった要素はあったが、
特殊状況におけるキャラの関係性より、個々の心の有り様に焦点を当てていた感じ。

 非現実的な設定や世界観などもSFやファンタジーとしてのそれよりも、キャラの心情や
状況の比喩的なものといった感じで、そういう意味ではエンタメ作品より文芸作品のある種の
ジャンルに近い印象。
 こういう作品は何度か観返して考察するのが楽しかったりするのだが、最近は時間も気力も
なく、そういうことはやっていない。
 そういう意味では本作に関して理解していない部分が多々なのだが、不思議と雰囲気や
キャラの魅力だけで楽しめてしまう作品はあるもので、本作もそんな感じ。

2022/01/05

投稿 : 2022/01/05
閲覧 : 201
サンキュー:

5

うにゃ@ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2
物語 : 3.5 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

難解すぎて理解する気が起きない。

最初は楳図かずおの漂流教室みたいな作品だが、異世界が主人公たちに優しい世界でサバイバル感は全くない。
青春群像作品のように36人のクラスメイトが成長し、元の世界に戻ることを目指すのかと思ったが、それも薄くよくわからない。
基本的な話の方向性が、主人公が陰キャで見えにくいため、何をしてるのかわからないまま話が展開していく。
各キャラ特殊能力も、キャラクターの性格等から発生した物でなくランダムギフトみたいで、よくわからない。
漂流してるのはクラスメートだけとおもっていたら中盤、同じ中学校の違う時間軸の学年の生徒もたくさん漂流している。
死の関係性や各世界の関係性、適当に作ってるだろと思えるくらい難解で正直テーマ性を理解する気も起きない。繰り返し視聴する気が起きない。
後半、各々の目的と成長があるみたいだが、終わりが見えないため、話に締まりがなくパッとしない。

アニメの外の考察をググれば、メッセージ性読み取れるのかもしれないが、検索するほどの魅力は感じなかった。

ただ、この手の作品でなんとなく見て最後までなんとなくで視聴できたのは、それはそれで凄いと思う。

100点中65点

投稿 : 2022/01/05
閲覧 : 196
サンキュー:

4

ネタバレ

ゆうゆう さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 1.5 作画 : 3.5 声優 : 3.5 音楽 : 3.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

1話1話の話としては悪くないけど・・・

話としては結構面白いのですが、最近の販促商法なのか時系列がバラバラで初見では理解しにくいですね。
原案は江口さんなのでキャラも今風ではないが好きです、正直ちゃんと時系列でやったほうが良いと思います(少しのフラグ回収は良いです)
ビーチ〇ーイリバーサ〇ドと同じで面白いのにワザと難解にして失敗した作品かな
最後に話としては悪くないです、あと途中から他の生徒完全に蚊帳の外、生徒達の能力も掘り下げて欲しかった、そしてもう少しアノ先生が何故あのようなことやってるとかのフラグ回収して欲しかったです。

投稿 : 2021/12/15
閲覧 : 223
サンキュー:

3

御宅 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

唯一無二の夏目監督。異世界の描き方。

小説をそのまま映像化したような作品

不思議な世界観であり、効果音だけの演出などが興味深かった。銀杏BOYZの主題歌もとても爽やかな夏を感じさせるものでとても良く、劇伴もとても良い。謎の世界観のため、好きな人は好き。嫌いな人は嫌い。極端に層が別れると思います。

opとedがなく、銀杏の主題歌だけで勝負するという挑戦を行なっている。最後の銀杏でいかに爆発させられるかが鍵になってくると感じた。

これぞ異世界というものを夏目監督は描いてくれている。異世界アニメの異世界は本来こうあるべきなのではないか。

市川さんと大西さんを中心としたキャスト陣のアフレコも良く、全体的に良かった作品。

哲学的作品が好きな人は好き。刺さる人には刺さるでしょう。監督もその人にしか求めてないです。

投稿 : 2021/12/10
閲覧 : 1108
サンキュー:

13

ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

大人のドアをあけて

これすなわち{netabare}『かがやき長良』(ハイ次ッ){/netabare}
オリジナルアニメでございます

『ブギーポップは笑わない』の監督と聞いてなんとなく納得するところあり。要は小難しいやつ。
ある日突然“学校”以外すべて消えちゃってクラスメイトらと一緒に漂流し続ける世界。

 雰囲気アニメ

深そうなテーマありそうなのですが私は辿り着けず。18年ぶりのアニメ関与との江口寿史氏キャラ原案もあいまって雰囲気はなかなかいいです。ちょっと整理のためにあにこれ方式5段階で纏めるとこちら↓


▼物語

 主人公らが中学二年生なのもあって、漂流世界はモラトリアムのメタファーと受け取ればしっくりくる。劇中世界が極めて閉鎖的なことが理由。思春期って半径何メートルが世界の全てみたいなところありますから。
 静かなトーンで進むので眠気を誘う仕様だが、回毎に場が変わったりするので目先を変えて楽しむことができる。ただそれは諸刃の剣で作品理解をより困難にしてたかも。

▼作画

 繰り返しキャラ原案が江口寿史。世代的に漫画家さんよりかわいい女の子描くイラストレーターさんのイメージ強し。ご多分に漏れずかわいい感じです。等身も変なデフォルメがないためがっつりファンタジー設定のわりにはまんま中学生の話として入ってくる。
 色彩も豊かで最後までそれほど乱れてなかったと思う。

▼キャラ

 なかなかの登場人物の多さだが不思議と名前が一致するしどんなキャラか覚えてる。これで充分。

▼声優

 10年選手で一線に立たれてる実力派揃い。よく見たら『ブギーポップは笑わない』出場選手ばかりですね。監督さんのクセの強い演出に慣れやりやすさはあったかもしれません。本作は劇伴ほぼなかった分、相対的に声の演技への負担が大きかったと思いますがさすがでした。

▼音楽

 これは良かった。劇伴控えめかほぼほぼ無音だったかわりに挿入歌がときおり入ってMVみたい。OP/EDも物語を邪魔しません。

 
好き嫌いはありましょうが手抜きをあまり感じません。第1話のトーンが最後まで続きますので序盤に見切り可能。突破すれば全12話を完走した後、ちょっぴりビターかちょっぴりホッとするかどちらとも取れそうなやや余韻を含ませた幕引きで自分は好きですね。良作だと思います。



※ネタバレ所感

■どんな話?

思春期を軸に五月雨で。。まとまっていなくてすみません。

①{netabare}なろう系主人公みたいなことしてたがそこで終わらず、現実に戻ってほろ苦くも少し前向きに成長できたところまで見せた物語。
漂流世界=異世界と見立てると、陰キャがチート能力を手にして、ハーレムっぽくなり、陽キャイケメンにマウント取れるいつもの景色。それから戻ってきての現実をどう見るかはぶっちゃけ人による。{/netabare}

②{netabare}そういえば最初に鳥を見捨てた主人公が最後は鳥を救おうとするくらいの成長を見届けるお話。
閉鎖空間から飛び出た成長したとはいえ劇的な変化でないのが実状ですよね。それでも大切なこと。{/netabare}

③{netabare}セカイ系の亜種かなぁ!?
本人の意思次第という曖昧さはあるけど世界の命運は長良次第。{/netabare}

⓸{netabare}漂流世界は半永久のモラトリアム!?いくら世知辛くても現実で生きたいと願う姿勢に共感。{/netabare}


漂流世界は思春期に感じそうな諸々が詰まってそうと半ば強引に結論付け。
{netabare}そして脱漂流は思春期の殻を打ち破る行為。希が朝風と付き合っていたことで「なんであんな奴と」と「生きててよかった」と「執着するな!忘れよう」がないまぜになる気持ちは痛いほどわかる。
だがちょっと待ってほしい。そんなんじゃなくてひな鳥に目をかけた行為が彼女と一言二言会話をかわす機会を手繰り寄せた。きっかけなんてそんなもんよ。そして積み重ね。{/netabare}


■タワーレコード派?それとも公式サイト派?

リアタイだとAパート終了後の直CMで毎度流れていたどっちで円盤買うかってやつ。タワレコにしか置かないのかしら?
そもそも“タワーレコード”と言うワードが懐かしい。しばらく行ってない。
大学帰りの渋谷タワレコって上京時の自分の風景の一つみたいなもんでやや切なくキュンとくるワードでした。本編関係ありませんね。



視聴時期:2021年7月~9月 リアタイ   

------


2021.10.10 初稿
2021.12.04 配点修正 -0.1

投稿 : 2021/12/04
閲覧 : 684
サンキュー:

44

ネタバレ

ハニワピンコ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2
物語 : 3.0 作画 : 3.5 声優 : 3.5 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

理想の高すぎた意欲作

何が面白いとか何が起こってるとかはイマイチ分からないんだけど、なんとなーく見てる作品
高校生が謎の世界に飛ばされて、そこで生活していく中で起きるトラブルや与えられた試練にどう立ち向かっていくのか系?
といっても、仲間内での不毛なトラブルから見える幼さやしょうもなさに呆れながら見てる感があって、面白いとは感じてない
能力も謎が多く、それぞれが一つ何かしらの脱出のための重要なとなる能力やらを持っていそうであったけれど、数十人も描くことは無理そうだから結局数人で解決していくんだろうなと


とまぁかなり序盤の頃、2.3話見て感想を書いたのを最後に理解して書くのを諦めた作品

この作品、マジで変に複雑に描き過ぎている。能力に関しても、世界に関しても基本的によく分からない。そんな中でなんとか全話見切って辛うじてテーマを探し出して一応この作品に区切りを付けた

様々な意味を含んだ"漂流"の中で自分はどう考えどう選択するかということを多分テーマに、様々なキャラの迷いや後悔からの"漂流"をそれぞれ描こうとしていると思った
まぁ、テーマは正直良かったと思う。ただのサバイバルアドベンチャーかと思ったら意外と深く、ハマれば名作になっていたと思う

やっぱ、展開から結末までを楽しめて見れたと思えなければどれだけテーマが良くても自分にとって良い作品とは思えないかな
この作品はテーマが独り歩きし過ぎて、描きたかった"高尚な物"へは、アニメとしての描写の複雑さと説明不足さによって全く届いていないと思う
少なくとも、自分はそう見えた。しかし、この作品になんらかが"見えた"他の人はどう感想を綴ったのかはとても気になる

そんな感じで、『ひぐらし』とかいう爆弾以外は比較的平穏だった夏アニメ界に突如として現れて、やりたい放題やって走り抜けた、まさに雷騰雲奔如き作品である『Sonny Boy』の感想は以上となります

投稿 : 2021/11/25
閲覧 : 244
サンキュー:

12

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Sonny Boy サニーボーイのストーリー・あらすじ

長い長い夏休みも半ばを過ぎた8月16日。学校に集まっていた中学3年生・長良〈ながら〉たちは突然、思いも寄らない事態に巻き込まれていた。長良自身はもちろんのこと、謎の転校生・希〈のぞみ〉や瑞穂〈みずほ〉、朝風〈あさかぜ〉ら、36人のクラスメイトとともに、学校が異次元に漂流してしまったのだ。しかも彼らは、漂流と同時にさまざまな《能力》を入手。人知を越えた能力に大喜びし、好き勝手に暴れ回る者もいれば、リーダーとして他の生徒たちを統率しようとする者も、元の世界に戻るための方法を必死で探す者もいる。渦巻く不信や抑えきれない嫉妬、そして支配欲からくる対立。次々と巻き起こる不可解な事態を前に、少年少女たちは突如として、サバイバル生活に放り込まれてしまう。果たして長良たちはこの世界を攻略し、無事に元の世界に帰ることができるのだろうか……?
(TVアニメ動画『Sonny Boy サニーボーイ』のwikipedia・公式サイト等参照)

放送時期・公式基本情報

ジャンル
TVアニメ動画
放送時期
2021年夏アニメ

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