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「もののけ姫(アニメ映画)」

総合得点
90.5
感想・評価
2046
棚に入れた
13278
ランキング
53
★★★★★ 4.2 (2046)
物語
4.2
作画
4.3
声優
3.9
音楽
4.2
キャラ
4.1

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もののけ姫の感想・評価はどうでしたか?

pppp さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2
物語 : 4.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

良かった

命の重みみたいなのを感じられる

投稿 : 2024/04/16
閲覧 : 4
サンキュー:

0

ネタバレ

タイラーオースティン さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 4.0 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:----

ジブリを象徴する傑作

宮崎アニメの中でも、殊に怒り、憎しみを含めた凶暴な本能を際立たせている。個人的に内容が似ている作品であるナウシカと異なるのは、人間と自然という対立構造がよりハッキリしている事だ。かつてナウシカによって再び結ばれた大地との絆は、再び人間によって壊された。怒りと憎しみの連鎖を断ち切ろうとするアシタカの姿は、かつてのナウシカを思わせるものがある。
最終的に双方の関係が改善されたのかはわからない、しかし、人間と自然、怒りや憎しみを超えて、獣神-命そのもの-は、「生きろ」と言ってくれた。命は、獣神の静かな佇まいの様に、存在し続けるのだ。

投稿 : 2023/07/22
閲覧 : 93
サンキュー:

4

ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

生命の息吹

宮崎駿監督作品。

若い頃に照葉樹林文化に触れた宮崎氏が、
集大成として15世紀を舞台に選んだのは、
アニミズムが衰退し、
神から貨幣へと信仰の対象を変え、
日本人の精神性に根差した自然観に、
変革が起こったのだと確信したからでしょう。
土地に根差した信仰を捨て、
現代に通じる価値観が生まれ始める。
森は本来、不気味なものの象徴であり、
幾多の生命を育む場所であったはずが、
時代の流れとともにその価値も薄れていく。
この作品からは「慈愛」と「凶暴」さを併せ持つ、
「森」が本来の形で写されています。

主人公アシタカに主体性はなく、
サンはまともなコミュニケーションを取れない。
過去作に比べ魅力の乏しい主人公とヒロイン。
宮崎氏がここで描きたかったのは、
ジゴ坊とエボシではないでしょうか!?
{netabare}ジゴ坊は天子様の命でシシ神の首を追う、
帝はシシ神の絶対的な力を手に入れ国を統べる。
森の神に対する反逆、草木は枯れ生命は衰退する。
自然との共生を描く物語の結末はご存知の通りですが、
制作時の宮崎氏の苦闘は「生きろ!」ではなく、
「滅びよ!」に傾いてはいなかったのかと感じます。{/netabare}

聖なる場所としての森と生命を、
鮮烈に見事に描き切ったこの作品を、
彼の最高傑作に推したいと思います。

投稿 : 2023/07/22
閲覧 : 1236
サンキュー:

103

たわし(爆豪) さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

本当は「アシタカ聶記」というタイトルにしたかったらしい。

海外の漫画やアニメ、映画好きな方は知っているかもしれないが、「風の谷のナウシカ」や「天空の城ラピュタ」や「紅の豚」にはほぼ原作ともいえる作品がある。

「風の谷のナウシカ」や「天空の城ラピュタ」はバンドデシネ(フランスの漫画の意味)で有名なジャンジローことメビウスの作品そっくりだし(大友克洋の漫画もメビウスそっくり)

「紅の豚」はアメコミのアイアンマンのモデルと言われる大富豪ハワードヒューズが撮った映画「地獄の天使」という戦争映画だったりするわけだ。

しかし、「となりのトトロ」や「もののけ姫」は柳田國夫などの日本民俗学に影響は受けて入るだろうが、ほぼオリジナルといえるだろう。

はっきり言って上記の作品よりも数倍難しい作品であることに間違いはない。

宮崎駿は本作のタイトルを本当は「アシタカ聶記」にしたかったらしく、主人公アシタカの一人称視点のハードボイルドものにしたかったみたいだが、鈴木敏夫プロデューサーに「売れないから」と却下されて「もののけ姫」というタイトルをつけられたらしい。

なるほど「アシタカ聶記」というタイトルだと、主人公アシタカの受難の旅に見えるが、それだったら確かにあれだけの社会的ヒットにはなりますまい。

投稿 : 2023/07/17
閲覧 : 682
サンキュー:

30

ネタバレ

青星アーツ さんの感想・評価

★★★★★ 4.9
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 4.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

ジブリのヒット作

宮崎駿監督のもつ思いのようなものが出ているようで、
自然と科学の対立が描かれた話。
{netabare} サンとアシタカという中心キャラクターが対立を経て自然の脅威に
立ち向かうドラマは良くできている。{/netabare}
おすすめ作品。日本舞台のジブリ作品の中でもなかなかの美男美女。

投稿 : 2023/07/16
閲覧 : 126
サンキュー:

4

hidehide さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

ふと、観てしまう。

ついつい、観てしまう作品の1つです。
内容も台詞も、
大抵知っていて、それでも観るのですから、
何か、あるのでしょうかね。

そして、歳を重ねる程に

『曇りなき眼で物事を見定めねば』と…

その意味すら未だ模索してますが…。

内容、声優、全てにおいてコメントするには
余りにも大物アニメ過ぎますし、もはや不要で
しょうし。

また、眼、の曇りを晴らしたい時、
必ず観ると思います。

やはり、1番の働きものは、ヤックルだと思う。

投稿 : 2023/07/03
閲覧 : 323
サンキュー:

13

もっちょん さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 3.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

自然vs人vs人

村を襲ったイノシシから呪いを受けた主人公が旅にでる話。

投稿 : 2023/03/22
閲覧 : 54
サンキュー:

1

takato さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

共に生きよう!。いつまでも少年少女じゃいられない。

ラピュタ、ナウシカなどから続く宮崎活劇アニメの到達点。


 美術、作画のレベルの高さは、まさに日本アニメの最高峰!。アクションシーンの壮絶さも今まで以上に気合いが入っている。こういう点からも、宮崎アニメは教科書的な優等生作品でも、家族向けでもない事は明らか。


 ストーリーは、今まで以上に複雑な存在に満ちている。エボシは単純な悪役ではなく、アシタカは単純なヒーローではなく、サンは単純なヒロインではない。誰もが、正しさと間違いを抱えている複雑な人間になっている。タタラ場の存在自体が、娼婦の問題や、被差別者の問題を抱えている、マージナルで境界線上の問題を抱えている存在なのだ。こういった要素も、一般的な宮崎アニメのイメージとは異なるものだろう。


 複雑なキャラクターたちが織り成す物語だけに、安易な結末を迎えることはない。簡単に敵を倒して問題が解決するほど世界は単純ではない。間違いを抱えつつも、共に生きよう!という自由主義的な結末といってよかろう。

投稿 : 2022/12/06
閲覧 : 472
サンキュー:

34

ネタバレ

マーティ さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

生きろ そなたは美しい

 全135分。

 ジブリであまり見返してなかった作品ですね。というのも、結構グロ要素、ダークな要素が多い。トトロやラピュタだったら金曜ロードショーで頻繁に放送されますが、もののけ姫はあまり放送されていなかったような?そんな印象。

 だけど、普遍性のある、非常に優れた作品です。特に作中で頻繁に語られている「生きろ。」という言葉はシンプルなんですけど非常に重みのある言葉です。

 思えば、この映画が放映されたのは1997年。エヴァンゲリオンが流行った時期と近い。当時はまだ僕は生まれていないのでよくわからないのですが、いろんな事件があり人々は希望が持てずにいた時代かと思われます。実際作中でも身売りにあった女性やハンセン病にかかり世間から見捨てられた人々が登場します。ヒロインのサンは狼に育てられた女の子ですし。
 ただどんな状態であろうと人は一人ひとり生きている。「共に生きよう!」というわけですね。

 改めてジブリ映画のクオリティの高さを思い知らされました。すばらしい作品でした!

 これにて感想を終わります。ここまで読んでくださりありがとうございました。

投稿 : 2022/10/10
閲覧 : 118
サンキュー:

12

きぐま さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観たい

もう一度

小さい頃に見たかもしれないが、記憶にないのでもう一度見たい

投稿 : 2022/03/30
閲覧 : 124
サンキュー:

0

ネタバレ

栞織 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

宮崎監督の本気

ジブリについて久しぶりに感想を書きます。

この作品、最近岡田斗司夫さんがいろいろ動画でコメントしていて、私も楽しく拝見させてもらっていますが、サンやカヤの男女の恋愛については、特に作画はそこまで考えて描いていないのじゃないかと思っています。しかしサンがエボシの子供だったとか、モロやシシ神に捧げものとして捨て子に出されたという説は、説得力があるなと思って見ています。おそらくそういう裏設定でセリフは書かれているものと思います。

とにかく宮崎監督はこの作品ではかなり博学な知識を惜し気もなく投入して描かれておられて、こちらがそこまで知らない事が多い事に気づかされます。そのひとつがサンの衣装で、私は初めて見た時は民俗学的にこの衣装に違和感を覚えたのですが、今はそうでもありません。アイヌよりももっと北の北方系狩猟民族風で、しかし日本の南方の出雲地方にいる感じに合わせたものと思って見ています。そしてそういう、アニメ界をよく知らない人にも合わせた一般人向けのものにもなっているのですが、当時のアニメ界を見ていて感じたことは、この作品は「The八犬伝」と「ガンダムW」の間に起きたある騒動に取材して作られているという事です。

「ガンダムW」の池田監督は、「サムライトルーパー」を手掛けておられて、それは南総里見八犬伝を下敷きにしたものでした。しかしそれは、特撮作品ぽく作られており、本当の滝沢馬琴の描いたものとはほど遠いものでした。そんな中、「天空戦記シュラト」などのスタッフを中心に、「トルーパー」の後に「The八犬伝」が作られました。それは「ガンダムW」放映直前に完結し、滝沢馬琴の話にかなり忠実に作られた作品でした。そしてその中に、サンのような毛皮の歌舞伎のかぶりものをかぶった、犬山道節という一種の美形キャラが登場します。言いたくないのですが、この毛皮のかぶりものと「サムライトルーパー」の「輝煌帝伝説」の真田遼の野球少年のようなTシャツの衣装が、サンのデザインの元になっていると思います。それらは、どちらも八犬伝というくくりでくくることができます。

それに対して、敵対するエボシは、扇の模様の衣装を着ています。これは一見道節の仇討ちの相手の扇谷定正の名前から取られた風ですが、本当はそうではないのでしょう。あのタタラ場は、当時アニメ界を席巻していた「ガンダムW」や「エヴァンゲリオン」などの、「The八犬伝」や「サムライトルーパー」を全否定する作品を作っていた側を暗示していると思います。そういう「揺れ戻し」がアニメ界全体に起きていました。おそらく戦前の教科書に掲載されていた八犬伝を否定したい、戦中派の人々が、その気勢をあげて起きた出来事だと思います。そのような「国策」に乗っ取った八犬伝を持ち上げるな、と言いたかったのでしょう。

しかし私は言いたいのです。滝沢馬琴の描いたもともとの八犬伝は、そのような物語ではありません。「The八犬伝」でもその片鱗は出てきます。主人公の信乃は信じていた者に何度も裏切られるという展開になっています。それは主君への忠義を説くような物語ではありません。忠義忠君というのは江戸時代らしい「建前」で、本当はそのような事が目的で書かれた作品ではないと思います。戦前はその「建前」の部分だけ拝借し、国策として利用したのです。

宮崎監督はおそらくその事を知っていたのではないでしょうか。サンたちを良き者として描いているからです。もちろんそのような見方で「もののけ姫」を見る事は、正当ではないと思います。しかし当時私はそう思い、なんとも言えない気持ちでいました。そしてこういった事は、あの岡田斗司夫さんは、決して口にはしない事です。

投稿 : 2022/02/24
閲覧 : 168
サンキュー:

6

camuson さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4
物語 : 3.0 作画 : 4.0 声優 : 3.0 音楽 : 4.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

印象度:60

ちなみに、私は「風の谷のナウシカ」から「紅の豚」までの宮﨑作品は、
よく見ていましたが、「もののけ姫」以降の作品は見ていませんでした。

「紅の豚」までで1周やり尽くして、2周目に入った感が強くて、
ごく自然に、もう見なくてもいいかなと思ったものです。


今回、初めて見たわけですが、だいたい予想していたとおりで、
大枠は「風の谷のナウシカ」の焼き直しでした。
自然への畏怖を無くし環境を破壊する人間達への警鐘というコンセプトで、
舞台を欧州風から、日本に移しています。

生き物たちの異形が数多く登場し、
飽きることなく楽しめると思います。
「ナウシカ」で感じられたような鮮烈な驚きはなく、
ストーリーも全体的にまとまりがなく雑な感じがします。

(過去の自分の名作と常に比較される中での創作活動は、
本当にたいへんだと思います・・・)


予想と違っていたこともありました。
タイトルにもなっている登場人物“もののけ姫”は主人公ではなく、
“アシタカ”というイケメン君が主人公だったこと、
美輪明宏が声を演じていた犬神も大したことなかったことです。
あまりプラスの驚きではありませんでした。


これまでの作品と比べ、キャラクターに親近感が湧きづらく、
共感しづらく、感情移入が難しいような気がしました。
主人公達が簡単に人を殺してしまうのも関係してるかなと思います。

投稿 : 2022/02/10
閲覧 : 178
サンキュー:

2

ネタバレ

蒼い星 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4
物語 : 4.0 作画 : 5.0 声優 : 2.5 音楽 : 4.0 キャラ : 1.5 状態:観終わった

凄いけど…モヤモヤします。

【概要】

アニメーション制作:スタジオジブリ
1997年7月12日に公開された133分間の劇場版作品。
監督は、宮崎駿。

【あらすじ】

室町の戦国乱世の時代。東北のエミシの末裔の村に17歳の男・アシタカがいた。
アシタカはエミシの一族の王の地位を継ぐよう育てられた存在であったが、
村を襲ってきたタタリ神を討ったときに引き換えに死の呪いを受けてしまった。
タタリ神の正体は人間と争い深い憎しみを持つ西国のイノシシの神であり、
アシタカは呪いを解く方法を求めて、大カモシカに乗って村を出て西へと旅立った。

旅をするアシタカは、通りすがりの村を襲い略奪をする地侍を返り討ちにしたり、
ジコ坊という歯抜けの僧侶と一時期旅路を共にして別れた後に、
渓流で負傷した行き倒れの二人の男を救助。
その折に向こう岸に三匹の巨大な山犬ととも行動する野性的な娘のサンと目が合う。

3名が森を通り抜ける途上で、アシタカは森の神であるシシ神を目撃する。
やがて森を抜けて、男たちが住んでいるタタラの村にたどり着いた一行。

そこは、強い指導力を持ったエボシという女性に率いられた女尊男卑の集落。

女と傷病者を手厚く保護して、女を労働力として精鉄を生業としている傍らで、
仕事と住むところと食事を与えられて賑やかに日がな暮らしているものの、
命がけの場所に次々と送り込まれる男どもの生命の扱いは軽い。

鉄を狙う侍たち、もののけ達が拓かれた森を自然の姿に戻そうとするのに対抗するために
タタラの村は、石火矢(鉄砲)を製造して武装して戦っている。

自然への畏れを持たず自然を破壊して鉄を作り、人間の住む世界を広げて生きようとする、
そのタタラの村に生きる人々の暮らしと、エボシに縋る感情の現実を知りながらも、
自然の神々の怒りを買わない生き方が出来ぬものかとエボシに忠告をするアシタカ。

だが、神殺しをして人間の時代を作ろうとするエボシにアシタカの声は届かなかった。
その夜、サンがエボシを殺そうとして村を襲撃する。

驚異的な身体能力を持ち暴れるつサンではあったが、エボシもまた強くて刃が届かず、
(元から強かったが)呪いで人ならざる力を持つアシタカによって、
両者の争いを力づくで止められてしまう。

腹を殴られて気を失ったサンを担いでタタラの村から出ていくアシタカであるが、
サンに殺された村人もいることから、アシタカはに石火矢で撃たれて腹を貫通してしまう。

人に捨てられて、自然を壊す人間への憎しみに染まっていたサンではあったが、
争いでも憎しみでもないアシタカのとある一言に動揺してしまったことから、
瀕死の重傷のアシタカを生かすために行動を起こして、次第に心を開いていくのだった。

【感想】

商売をする時は、政治と野球と宗教の話はするな!が常識ではありますが、

映画監督や劇作家や小説家などには自分の思想を作品に盛りたがる人達がいますね。
芸能人にしても、ラサール石井や松尾貴史など反権力の姿勢を隠さない方が多数。

邦画の、『新聞記者』や『パンケーキを毒見する』は、反政権思想が土台にありますし、

著名なグルメ漫画の『美味しんぼ』では、朝日新聞みたいな主張を長年垂れ流した挙げ句に、
東日本大震災で目覚めた?原作者の雁屋哲が原子力発電に対する見解の主張のために、

被災地入りした山岡士郎が「第604話 福島の真実その22」で原因不明の鼻血を流したのが、
“放射線を浴びると鼻血が出る”との福島への風評被害の拡大の懸念が問題視されて、
2014年5月を最後に休載をして打ち切り同然に掲載誌から消えたままです。

アニメや実写を問わずに、思想を持って社会問題を抉ったり、
作者の思う“人間の真実”を描いた作品を「考えさせられる」と尊ぶ人らもいますが、
著名なクリエイターが作品でそれを描いたからと、それらはプロパガンダであり、
素晴らしいことを言っている“高尚なもの”として単純に受け止めずに、
内容次第では、「はい!そうですね!でも自分はこういう意見がある!」
で丁度いいと自分は思います。

40歳の1981年当時は満面の笑みの写真とともに、
アニメージュにてロリコンの美学を熱心にコメントしていた人間だったのが、
後に白ヒゲの紳士然としたアニメの巨匠監督に転身した宮崎駿氏は、

環境問題や日本の国防などに極めて強い関心と思想を持つ理想主義者であり、
日本共産党中央委員会の発行する日刊機関紙の『しんぶん赤旗』に寄稿するガチの人でして、

数年前には中国の軍事的脅威を認めながらも平和憲法が抑止力になると絶対視していて、
何があっても戦争をしてはいけない!(防衛線に関して熱弁)
日本は地震が多い国だから原子力発電所を無くすべきだ!(震災後に主張)

と理想に偏った発言内容を頭に入れながら、この『もののけ姫』を観てみますと、
宮崎駿氏の価値感や世界観を表明する作品となっていますね。

それは、人類の科学文明の発達が人の生活を豊かにすれば、
さらに利便性を求めて自然環境を破壊したり、利権を巡って戦争が生じる。
(経済発展が資源の乱獲と環境破壊と直結している中国の現状が一番近いですね!)

残酷で汚い戦に明け暮れる欲深く愚かな人間の浅ましい破滅的な姿を描きながらも、
漫画版のナウシカで、欲を捨てて浄化されたような穏やかで無害な人間は、
それは人ではないと、ナウシカの怒りによって全否定させていることもあり、
人間が生きている事自体が罪であるように語りながらも、必死に生きていくしか無い、
自然に抗う人の姿を完全には否定せずに、人間が自然と共存して歩むのを理想としながら、
人類は自然の前では小さな存在であること、自然への畏れを忘れるなという話。

旧約聖書の『創世記』中に登場する、『ノアの方舟』『バベルの塔』で、
人間の傲慢さが神からの怒りを買って天罰を受ける話にも似た、
スケール感のある話も併せての壮大っぽい物語。

宮崎駿監督の記念すべき作品である、『未来少年コナン』では、
冷戦当時のアメリカ人の少年の原作話から、
地球の人口が大激減した架空の未来の話にアレンジするしたなど、
アニメを使って考えを語るときは、現実社会をそのまま当てこすることを避けて、
架空の世界設定を構築して、自分の主義主張をオブラートに包んだ寓話性を用いるなど、
思想の根っこはどうであれ、フィクションの創作姿勢は自制がありますね。

宮崎駿監督がジブリの数多のアニメーターを率いて、
20億円の巨費を投じたハイクオリティのセルアニメ映像に更なる付加価値となったのかな。

鈴木敏夫氏がプロデューサーとなって、
日テレや電通や徳間書店らのバックアップでイメージアップに務めた、宮崎駿ブランドの確立。
TVアニメとは比較にならない金・人・時間を注ぎ込んで作り上げた豪華なアニメーション。

リバイバル上映分も併せて興行収入202億円とジブリでは歴代2位。
11回のTV放送と実績もクオリティもすごい作品ではあるのでしょうけど、
それはそれとして個人的には面白くはなかったかな。

山窩やエミシ、差別問題など日本の歴史資料を読み解いて、上手く構築されているものの、
固くてユーモアの薄い物語を和らげているはずの登場人物の描き方が好きではないのですよ。

・アシタカが婚約者のカヤから今生の別れの形見の品として貰った小刀を、
 あっさりと新しい別の女(サン)にプレゼントする薄情さ。
・自然を守る立場のサンも彼女の人間としての機微がよくわからない。
・タタラの村の若妻のトキは夫の甲六をいつも詰り続けながら、
 若くてかっこいいアシタカに色目を使う。
・夫の甲六はただのボンクラで良いところが一つもない。
・エボシはクシャナ殿下の再利用。
・タタラの村で飯を口の中に入れたまま延々口を開けて喋り続ける中年男。

ジブリがイキイキと描いたはずの人間らしさが今の自分の価値感だとよくわからない。
多分それは様々なアニメなどの物語に触れた影響で、
ジブリの人間の描き方が画一的にしか思えなくなったのかもしれませんね。

サン役の石田ゆり子、甲六役の西村雅彦など、
俳優の演技もアニメ向けとは言えずに、特に西村雅彦の棒読みが酷い。
宮崎監督は石田ゆり子に厳しく演技指導したそうですが、声優でない役者に、
声だけで微妙なイントネーションの違いに拘って何度もリテイクさせるのなら、
餅は餅屋で役になりきって声を出せる声優を使えばいいじゃん。
役者個人の個性や表情などで魅せる舞台やTVドラマとは勝手が違うよ!

理由づけて職業声優をほぼ一掃して、俳優など芸能人をキャスティングする一環で、
「声優の前に俳優、芝居の基本ができてないと意味が無い」と演技に一家言を持つ、
これまで宮崎アニメの常連だった、舞台俳優出身で大ベテランの名優の永井一郎氏すら排除して、
似たような役どころに上条恒彦氏を起用するとかあったりで、
TVアニメとの差別化で特別感を出そうとする姿勢。

また、TVアニメの予算の低さと納期の厳しさに苦言を呈していた宮崎駿監督ですが、
どこもかしこもがジブリ方式でアニメを作っていたら極端に本数が減りますし、
お金がかかりすぎて業界の身が持たないです。

お金と時間をたっぷり使った大作志向アニメを芸術と考えてのこだわりが、
娯楽としてTVシリーズのアニメを作ってる会社とのギャップを発生させていますね。

そもそも、アニメーター個人の作業量が一ヶ月で20秒とジブリの生産ペースが特殊すぎて、
TVアニメ制作では使い物にならないレベルで期日内に枚数を描けない極端に手の遅い、
他所のアニメ会社でつぶしが利かないアニメーターばかり作ってしまう関係で、
拘束費で予算が簡単に吹っ飛んでしまうジブリの制作環境は、
他所のアニメ会社のお手本になりえないです。

商業アニメの常識の枠にとらわれない環境を動かすのは宮崎・高畑の両巨頭と、
彼らに仕えるスタッフという図式で、トップの個に頼りすぎた組織づくりが、
後継者が育たなかったのも無理もないところですね。

『天空の城ラピュタ』『魔女の宅急便』『紅の豚』などを楽しんでいた自分が、
商業的な戦略で大事にしてきた巨匠イメージを壊せなくなった作品作りが窮屈に思えてきて、
このころから宮崎駿監督作品というかジブリそのものが特殊すぎて純粋に楽しめなくなったですね。

それに、思想の押し付けや説教臭さをこのころからジブリ映画から強く感じるようになったのが、
急に楽しくなくなった一因ですね。そういう部分が持ち味の作風に転向したのでしょうけど、
自分は、しかめっ面をして議論するためではなくて、
見てる側としてあくまで笑ったり感動したりで楽しむためにアニメを見ていますので。

宮崎駿監督が“巨匠”になるために、捨てたもの、変えたものを強く意識せざるを得ない、
21世紀のジブリ作品を心からは楽しめていない自分の、ジブリに対する転換点でしたね。

今の劇場アニメの多くは、そういった大作・巨匠主義みたいなものから外れていて、
とっくの昔に娯楽方面に寄っていて、その点でアニメの未来に安堵しつつありました。


これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。

投稿 : 2021/12/16
閲覧 : 341
サンキュー:

47

ちあき さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

『ホーホケキョ となりの山田くん』(ジブリ作品)と合わせて観てほしい

子供の頃、初めて映画館でこの作品を観た後、「映画の意味わかった?」と母親に聞かれて「何が?」と応ると、「わからんの!?」と馬鹿にされたのを覚えています。「受け取り方なんて人それぞれやんけ!」と今でも思います。
大人になって改めて観た時に印象は変わりましたが、子供の頃は言葉に喩えるなら「畏怖」を感じて観ていたように思います。
大人になってからは「共に生きる」というか、「生きろ!」と予告編か何かで言ってたので、そういったメッセージも含まれているのかなぁとも感じました。

同じく「生きる」といっても「ホーホケキョ となりの山田くん」(ジブリ作品)のような「生きる」もある(本作のアンチテーゼにもなっていると思います)ので、それと比較しながら観るのもおもしろいかと思います。


ジブリ作品は、一度見るとなんだか目が離せなくなります。

投稿 : 2021/10/25
閲覧 : 467
サンキュー:

13

退会済のユーザー さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

初めて素晴らしいと思った

小さい頃から何度も見てる作品ですが、ジブリの中で1番好きな作品です。

私自身が田舎育ちということもあって、身近に自然が無いと生きていけない人間です。

しかし、最近は事あるごとに山や田畑を切り崩したりして、建物を建てることに必死です。

人々は一体何を目指し、どこへ向かおうとしているのか私には理解できません。

今はとある事情で中心部に住んでいますが、正直雑音が多くて、うんざりしています。
毎日救急車のサイレンの音が鳴り、バイクや車をバンバン走らせてその音のせいで心が休まらないのです。

近い将来、山奥にポツンと建った古い一軒家に住めたらいいなと思います。

投稿 : 2021/08/29
閲覧 : 176

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

サンのツンデレ?答えが無いのが良かったです。

 宮崎駿の映画の中でナウシカ、千と千尋に並んで面白かったです。ストーリー、背景にある奥行、スケール、演出と迫力、キャラクター、そしてアニメの出来、すべてが最高水準でした。

 古代日本の神々が人間文明に追い詰められてゆく話ではありますが、たたら場=エボシ側にもちゃんと正義がありました。文明がなければハンセン氏病の治療もできないし、夫を亡くした女たちは飢え死にするしかありません。
 病人=障碍者、そして女性。差別と闘い、社会福祉を実践しているエボシは、それでも自然=神=サンの敵です。これをどう読み解くか、でしょうね。
 正しい事でも、やり方を間違えると滅びの道…ということでしょうか。

 自然と文明の共存共栄のと言いたいのか、相容れないものと言いたいのかわかりませんが、じゃあ、どうする?という問いかけになっていました。
 シシ神を殺した瞬間、何かが終わった気がします。山や森の木々が一瞬で枯れたのは、自然破壊の象徴でしょう。
 人間が神さまを殺せるようになったとき、人類は後戻りできない道を進み始めた、ということだと思います。それは神がいない世界に生きなければならない人間の孤独や悲哀にもつながってゆくのかもしれません。

 アシタカは共に生きようとサンに言いますが、振られます。サンは神側の代表ですから。まあ、アシタカはモロに認められてるみたいなので、今後どうなるかわかりませんが。

 とにかく「答え」のない映画でした。だからこそいい映画なんでしょう。

 で、アシタカとサンって、首を返す以外に役に立ってましたっけ?一応あれで神と人間の対立は終わった?でも、結局全部がもとの木阿弥でした。つまり、無力だったということだと思います。

 サンのツンデレでイチャイチャしているだけにも見えました。アシタカはもとの国でもモテてましたから、リア充なんでしょうね。



 

投稿 : 2021/08/02
閲覧 : 213
サンキュー:

6

ネタバレ

薄雪草 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

世界のクリエイターが嫉妬する。

生きるが故に、死は定めとなる。

死するがために、生の意味を問う。

道の行き方が、生き方を導く。



時のかぎりに世のありさまを見、

時のかなたのことわりに触れる。

それは、生と死とのはざまを埋める旅。

その違いに折り合いをつける旅でもある。



違いを "知・我・意" と読み替えてみると

知と意のさなかに私を置き、世界を見定めるお作法だということが分かる。




~  ~  ~  ~  ~  ~



 
世界観とは、そのやり取りに築かれる一里塚。


曇りなき眼(まなこ)は

見聞きした来去の実相に触れるための唯一のよすがであり

見聞きする未知の真実に触れるための最上のえにしなのです。




~  ~  ~  ~  ~  ~




時に人は神殺しをも厭わない。

生きるために。ただ生き抜くために。


神は人を裁きも殺めもしない。

生かすために。ただ見守り許すのです。




~  ~  ~  ~  ~  ~




土の性から鉄を製り、

木の勢から焔を熾し、

水の生から命を繋ぐ。



古(いにしえ)は、新(あらた)と化していく。

恵みの循環に、神性の理(ことわり)がうかがえる。


そこに共存はあっても、対立はないのです。

 


~  ~  ~  ~  ~  ~




インスピレーション。



人間の頭脳に降り下りてくるのは、神の大智慧の刹那。


地球に世界を作り上げているのが、神の大慈悲の権現。




~  ~  ~  ~  ~  ~




善悪、正邪、美醜。


陰陽、表裏、生死。



その根源が何なのかを問いかけてくる、いにしえのもののけ。
 

その向かうべき道を指し示してくれる、いにしえのかみがみ。




~  ~  ~  ~  ~  ~




「おまえに、サンが救えるか?」


「アダムは、イブを救ったか?」


{netabare}「エヴァは、人類を補完したか?」{/netabare}



知識と智慧、意識と行動が、ヒトを人に格(いた)らせる。




~  ~  ~  ~  ~  ~




もののけ姫とは、日本人に内在するパーソナル・スピリット。


忠恕のホスピタリティーなのです。

投稿 : 2021/03/25
閲覧 : 283
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14

退会済のユーザー さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.0 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 5.0 キャラ : 4.5 状態:----

先見の明が光る稀代の傑作

モテモテ俺ツエー異能バトルで主人公もしっかりとクズという今の流行りを既にやっている先見の明。もちろん品質に歴然とした差があることは言うまでもない。

そもそもあれだけ強烈で偏狭な社会不適合者でありマニアオブマニアである宮崎駿が作りたいものが一般向けであるわけがないのです。常軌を逸したレベルの度を越したオタクだからこそ鍛えられた類まれなるセンスと技術を持ち合わせてしまったがために、鈴木Pというコントローラーのこれまた類まれなるマーケティングテクニックにてヒットを連発させちゃうんだから宮崎さんはもう辞めたくて辞めたくて仕方なかったでしょう。逃亡しないだけ手塚神よりはマシなのか。

攻殻やエヴァ以降なので「難解な作品であるキリッ」が受け入れられやすい情勢でもあったため、ナウシカやラピュタなどのようにキッズ向けの冒険活劇ファンタジーをやらなくても良くなったのは救いか。ロボや萌え作品が猛威を振るう中を猛然と逆張りをカマすかのような自然派の風貌。勧善懲悪を止め明確に答えを示さず余白をたっぷり設ける事で、観た後の考察深読み裏読みで各々の妄想を膨らませる楽しみまで含んだ設計でコミュニケーションツールとしても高機能。スマホの無い時なのでマーケティングはほぼ洗脳レベルの宣伝爆撃。芸能人に宣伝までさせちゃう。もう逃げ道は無いのです。見ないとカーストが下がる。話題についていくために見るしかない。そんな時代の空気感は確かにありました。まあ面白いからいいんですけどね。

富野さんとかもですが、ここらの大御所監督の作品は世代的に引用元、元ネタがアニメではなく実写映画なんですよね。なので若い作家の作品をエヴァみたいまどマギみたいとこき下ろしてばかりでオタクが差別用語だった頃の黎明期のアニメばかりを持ち上げてるってのは自分がアニメしか見てないってのを晒すだけです。ネットの無い時代ですから元ネタは有名どころしか無いはずなんですけどね。元ネタのない作品ってなんだ?神話?

今のジブリの惨状は鈴木Pのゴリ押しTVCMが効かない時代になったってのが最大の要因だと思います。アニメファンからすればアニメとしての質の低下は一目瞭然でしょうが、一般人がそんなにジブリ好きだったかって言われたら実際そうでもないと思いますけどね。当時は選択肢が無かっただけだと思います。「考えさせられる作品であるキリッ」って言ったところで「お前普段何も考えてないんだろ」と思われるだけですからね。

面白いのは間違いないんですけど持ち上げすぎかなあと。
いつもの中二病が発動しました。ご容赦を。

投稿 : 2021/03/18
閲覧 : 385

メガマインド さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 3.0 音楽 : 5.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

映画館で観ました。

横浜のムービルで鑑賞!!


「生きろ」というキャッチコピーの通り、

力づよい迫力に圧倒されます、されました。

そして生きる勇気がわいてきました。

アシタカ、サン、モロ、エボシ御前、乙事主 その他の生命、

それぞれがそれぞれ、対立しあいながらも必死に生き抜こうとする姿は、

我々現代社会に生きる人間そのものだと感じられます。

彼らの生きざまに思わず、見惚れてしまった。

カッコいい!!

投稿 : 2020/08/16
閲覧 : 189
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5

ネタバレ

フィコンパ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 5.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

あれから約20年位か

観たのは学生の頃ですね。最初は自分の呪いを解く事だったアシタカ、そして両者の話を聞いて、今生きている生命(人も動物もまた違う生き物も)を全て助けようとする強引な願いですが、叶ったので良かったでしょう。

投稿 : 2020/08/15
閲覧 : 196
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7

けいP さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

映画館で観て来ました!その2

ナウシカに続き
もののけ姫も映画館で
観てきました。
こちらも自分が高校生の時に
一度観てましたが、
もう一回観たくなって
観て来ました。

自分の語彙力がなくて申し訳ないのですが、
なんか「濃い」感じがしましたね。
最近のアニメ映画にはあまりない
濃厚さ。

最近の新海監督や細田監督、
岡田磨里脚本の作品も
それぞれこだわりを持って
作っていると思うし、
僕自身も楽しませてもらってますが、
言うなれば
「最近流行りの新しいお店」。
宮崎駿監督のこの作品は
「歴史ある老舗の伝統料理」
みたいな
そんな奥深いものを感じましたね。

いや~映画ってホンットに良いものですよね。
サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ~w

投稿 : 2020/07/06
閲覧 : 266
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19

waon.n さんの感想・評価

★★★★★ 4.8
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

アシタカとナウシカ

 2日に渡り3作品のジブリを楽しんだ。
 ナウシカ、ゲド、もののけ。
 最後に観たのが「もののけ姫」

 基本的なレビューのスタンスは、ある程度読み物として私からはどのように見えているかを書いているつもりでいる。願わくば、新しく作品の見方をみつけて楽しめるようにという考えての事だ。自己満の範囲でね。

 この作品に限っては、無理だろう。
 何がって? 新しい見方なんてない、パーフェクトすぎる。私のベストムービーかもしれん。それはつまり、ベストアニメでもある(よく変わる)。
 なので、どこをどう掘りかえそうと、すごいしか出ない。語彙消失。
 物語の構成、脚本、演出、原画と動画、音楽どこを切り取ってもパーフェクトなんだよなぁ。これ以上は何を言えと? アシタカが最初の物見櫓みたいな所に登る動画だけ見てやべーやつだと分かる。
 始まって3分も経たぬうちに見せつけられるんだからもう、ね? これ終始続くんだよ? どんだけ分厚くなったことだろう。
 動きだけじゃなく、世界観の作りこみの細かさもスゴイ。
 ・・・おしまい?
 
 ってもそれだけでは書く意味もないので、少しだけ蛇足だけれど、加筆に挑戦する。

 物語の類似性として、「もののけ姫」と「風の谷のナウシカ」は近い。
 面白いのはこの2つは未来と過去になっているんだよね。観たことない人は分からないかも知れないけど、んなら観て欲しい、それから読みたいなら読んでもらえると良い。
 未来は人間の犯した業が元になった世界で生きている人々。
 過去は神々の世界で人間が起こす業を描いている。

 ナウシカは受け入れるしかない世界でどう生き抜くかの話。
 もののけは人間側が豊かに暮らす為に自ら業を背負って行くという話。

 破壊と創造。
 男と女。
 アシタカとナウシカ。なんとなく男でなんとなく女なのではなくて、つまりはそういう事なんじゃないのかな。

 もうめちゃくちゃ良かった。映画館で観られたのが本当に幸せだった。ありがとう!!
 こんなん「もののけ姫」のBlu-ray買うわ。ついでに「風の谷のナウシカ」も欲しい。
 そんなところで、おしまい。


 追伸(もののけ姫関係ない)
 こういった想像だけのレビューって本当は好みではないのよね、感想の域を超えてしまうから。それでもいくつかこういった書き方をしている作品はあるけれど、それは作品が良くて、何かしらのアウトプットしたい気持ちに駆られたから。

投稿 : 2020/06/29
閲覧 : 243
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10

コンラッド さんの感想・評価

★★★★★ 4.9
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

アニメ映画No.1です。

初めて作品からメッセージ性を受け取った作品です。環境問題に対して答えもなくただ突きつけられ、呆然とした記憶が残ってます。見たあとに世界の見え方が変わる体験を初めてしたから思い出補正が強いのかな。
そして初めてキャラクターに恋をした作品でもあります。アシタカにあこがれサンを好きになりました。一番強いのに動物に優しいアシタカと自然で育ち1人で闘うツンデレ少女にときめかない人いないでしょ。

投稿 : 2020/05/03
閲覧 : 225
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9

ネタバレ

Jun さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 3.0 音楽 : 3.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

戦後日本人の原罪観

アシタカに将来子孫がいるのかどうかは作中語られないが、間違いなく、イノシシを殺した呪いは令和時代の現在まで続いている。日本人は何かを殺し、何かを手にした。そんな罪を自分は知らないと言っても、呪いが消えるわけではない。

それならみんなどうしたらよかったのかという答えを示してくれない作品。どうしたらみんなしあわになったんだろうか。残念だけど何回見ても答えは出ない。

シシガミは形を失い、森は長い再生の時を必要とし、たたらばは焼け落ち、侍、僧兵も陣を引いただけ。戦争は終わったが人同士と森の三巴の対立構造は何も変わっていない。

アシタカの生きねばという原初の命題と、サンに会いに行くという約束だけが、物語でなし得た。

この物語ほど視聴後の快感のない大作はない。

投稿 : 2020/02/13
閲覧 : 246
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13

めんまぁ さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

本当に脱帽

‪小学生の頃以来、数年ぶりにもののけ姫を見た。やはり、高校生になり再度この作品を視聴すると思う物が全く違う。‬
‪この作品の大きなテーマは自然と人間だが、それ以外にも人間内の対立、もののけたちの対立、さまざまな対立を描いていた。まるで何でもかんでも2極化する現代社会のようだった。どちらかが善か悪ではなく、対立する中でどのように共存する道を見出せるか、というのが宮崎監督が伝えたかったことなんだろう。‬
音楽も作画も見事としか言いようがない。
本当に素晴らしい作品。

投稿 : 2020/02/11
閲覧 : 264
サンキュー:

8

ウィラード さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 3.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

これぞアニメというべきかな

アニメをかれこれ沢山見てきましたが

結局は
蘊蓄と造語設定の数々だという事を理解しました
なのでアニメを見るという咀嚼は

好きな属性を見る事だなと思いました
もののけ姫は、アニメで言う所の
よりアニメチックな再現に落ち着いた作品と思いました

やはりファンタジーというか
非現実的な解釈のあるものこそがアニメだなと思いました


自分はスタジオジブリ信者ではありません
ラピュタやナウシカなどアニメよりなのが好きなだけです

ドラマ系アニメとか
バトルアニメとか
色々見てきましたが、やっぱりアニメというとこういう作品の事を言うのだろうと思いました

設定物語ではないし
キャラクター物語ではないし
アニメは雰囲気とか世界観とか属性を持ってしてアニメと呼ぶのだろうかと思いました

投稿 : 2019/12/26
閲覧 : 193
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4

KKK さんの感想・評価

★★★★★ 4.9
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:----

好き

普遍の名作。

見るべき。

投稿 : 2019/12/26
閲覧 : 158
サンキュー:

2

退会未定のユーザー さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 4.0 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

タイトルなし

アシタカが帰らないことに違和感。

投稿 : 2019/12/08
閲覧 : 173
サンキュー:

2

ネタバレ

USB_DAC さんの感想・評価

★★★★★ 4.7
物語 : 5.0 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

解決策や希望など、そもそも描かれていない

物語:
先ず圧倒的な情報量と思想的な奥深さが、この作品にはあります。しかもこ
の環境破壊などと言う解決不能なテーマに対して、良心的な救済や宗教的な
カタルシスなどは一切無い。解決策は自分で良く考えろと言う訳ですね。

確かにそうです。明確な解決策を理解して実行していれば現代の環境問題な
どとうの昔にバランスが取れている筈ですから。文明の発展にブレーキを掛
けて迄、人類は環境の改善に進もうとはしないし、そもそも現代生活を送る
だけで絶望的な環境に一歩一歩近づいている。そうなる前に皆でやれること
をやれ、きっとそう言うことなのだと思います。例えそれが気休めでも、最
善を尽くせば進行を遅らすくらいは出来ると。

因みに、その後に監督が発表された詩集に記されてる「アシタカ聶記」の内
容に、それを匂わせるメッセージがあります。興味がある方は是非。

作画:
わずか数分のカットに1年7か月も制作に掛けたという、蠢く祟り神の描写。
1秒間に24枚必要とされるコマの多さと手書きへの拘りは、驚きを超え感
動すら覚えます。呪われた紋様一匹一匹に命を吹き込むそれは、まさに「も
ののけ」の住まう世界。とにかく冒頭から圧倒される映像でした。そしてイ
ノシシの群れが走るシーンもまたナウシカのオームの群れを彷彿とさせ、と
ても迫力があるものでした。

声優:
アシタカ役はナウシカでアスベルを演じたお馴染みの松田治洋さん。真直ぐ
で男らしいアシタカそのものでとても魅力的な声です。そしてエボシ役を演
じた田中裕子さんもまたクールで頭脳明晰、民を束ねる頭目に相応しい演技
だったと思います。その他キャストもとても役にハマった演技をされていた
と思いました。

音楽:
日本を代表するカウンターテナーの米良さんが歌う主題歌「もののけ姫」。
彼の美しい歌声はもとより、監督が作詞されたというこの短い詩を読み解く
と、矢尻を向けた対象への生と死の葛藤と、欲にまみれることを恐れ戸惑う
アシタカの優しい心を感じることが出来ます。また、この曲をバックに犬神
とアシタカが語り合うシーンは何度見ても胸が熱くなります。

キャラ:
慈悲深い犬神に命を救われ一族として育てられたサン。森を侵した過ちから
逃れる為に生贄として親から捧げられ、人としての人生を奪われた。そして
森を守護する母の娘として気高く、そして優しく育った彼女はまさしく「も
ののけ姫」。誠実なアシタカと並び、その壮絶な彼女の生き様は圧倒的な存
在感があります。



[あらすじ]
{netabare}
人々が生きていくために他の命を狩る行為。そこに欲望というものがあって
はならない。古来から人々はそのことを知り伝え、絶つ命を尊び、そして神
を祀り、村の掟としてそれを守ってきた。

飛礫を食らわせた人間への憎しみに震え、悍ましい祟り神と化したナゴの神
を迎え撃つアシタカヒコ。見事打ち倒すものの右腕を祟りに蝕まれ呪われた
者と化してしまう。それは時に爆発的な力を与える代わりに、彼の命を奪い
やがて死に至るもの。

村では英雄と称される傍ら、禁忌を犯し不浄な神に呪われた者として名を変
えられ、大切な髷を切り落とし、掟に従いヤックルと共に二度と戻らぬ覚悟
でこの村を去って行く。そして老巫女に言われた通り不穏な気配を察し、こ
の目でそれを確かめんと西の国を目指す。

もののけ姫であるサンもまた、生贄として神に捧げた生き子でありながら犬
神の哀れみで生き長らえ、民にとっては禁忌を犯す者として恐れられる。

そして女人禁制である多々良場で盛りの女性に鞴を踏ませ、鉄の神である金
屋子の神に抗い、毒の飛礫を作っては山神の命をつけ狙うエボシ。

互いが同じ神に抗う身でありながら、アシタカは共に生きる道を探り、片や
サンはシシ神を崇め、人間は森を汚す生き物と忌み嫌う。一方で呪われし者
を村に匿い、優しさで民を束ね敬われるものの、山神に愛する夫を奪われた
エボシは毒の飛礫を作り、森に手を掛け神々を憎む。

やがてこの者達を巻き込みながら大きな争いが起きる。手練れであるジコ坊
達の策にハマり、多くの犠牲を払い敗れ去る山神と乙事主。我を忘れた乙事
主はシシ神の首を狙う人間とは知らず戦士が戻ったと喜び、其奴等が化けた
イノシシ共を引き連れ、祟り神と化しながらシシ神の元へと向かう。

その後、乙事主に飲まれたサンを救い出す犬神。そこに生と死を司るシシ神
が現れる。しかし戦に傷つき祟り神と化した乙事主と犬神には命は与えるこ
とは無かった。それはただひたすら憎しみに駆られ、我を失う哀れな者への
神の思し召しであるかのように。

シシ神の首を撥ねるエボシ。それを見てサンは怒り狂う。犬神は残された命
を振り絞りエボシの右腕を食らう。そしてエボシを助けるアシタカが許せぬ
も、シシ神の首を取り戻すためならと彼に手を貸すサンと山犬。

奪われた首を求めて多々良場を目指すデイダラボッチと化したシシ神。触れ
る物全ての命を奪い、次第に朽ち果てる大地。その後、アシタカとサンによ
り首を取り戻したその神は、朝陽と共に新たな命を大地に芽吹かせる。

やがて目を覚まし、この地で生きることを決意するアシタカと再び山へと戻
るサン。「共に生きよう」きっといつか解り合うことは出来ると頷く二人。

幽かに残されたアシタカへの呪いの傷跡。それは村人への大切な戒めとなり、
神に生かされた証として永遠に人々の心に刻まれる。
{/netabare}

[感想]

文明の発展と共に失っていく自然の恵みとその調和。そして人類がこの世に
いる限り、永遠と繰り返される破壊と創成。その問題を見事に表現し提起し
た作品だと思います。

宮崎駿監督が照葉樹林文化論をこよなく愛し、ペンネームを使い時に啓蒙活
動を行っていることはあまりに有名な話です。そして、叶精二氏が記された
「もののけ姫」の基礎知識という記事に以下の様な一節があります。

”太古の日本が覆われていた照葉樹林。それは温暖な気候と水分を多く含む
地にしか発生しない。その最大の特徴は森の蘇生力である。いくら樹を伐っ
ても砂漠化はせず、人間が手を加えなければ、数十年で元の森林に戻ってし
まうのだ。「産業や文明が崩壊した後に森になる」という『風の谷のナウシ
カ』以降の宮崎監督作品のイメージは、ここに原点がある。”

朽ち果てた大地に一瞬で新たな息吹が目覚めるという描写は、実際は人々が
一切手を加えず、数十年、または数百年掛けてやっと取り戻せるものなので
す。今後二人が共に理解し合い森を守っていったとしても、次の世代、また
その次の世代で漸く叶う長い道のり。だからこそ人は私利私欲に囚われず常
にこの二人の様に語らい、失われたものに対して残された可能性を信じ、常
に最善を尽くす努力が必要なのだと思います。

しかし15世紀頃と思われるこの舞台の後は、激しい戦火の時代がやってく
ることになる。それを承知の上で彼等に「生きろ」と語っている訳です。来
るべき困難な時代に彼等はどう立ち向かうべきなのか。それは今の時代に置
き換えても同じなのかも知れません。そのことを改めて考えさせられる、と
ても深い作品です。



以上、拙い感想でした。


2019.11.04  初回投稿
2019.11.05  誤字修正

投稿 : 2019/11/05
閲覧 : 319
サンキュー:

19

ネタバレ

Progress さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

もののけ姫 レビュー

毎回登場人物の動きから感想を書いているので、今回は私なりに見た世界設定から感想を書こうとおもいます。

まず、始まりの場所、アシタカの村(エミシの村)。この村は大和の国との争いの後蝦夷に逃げ込んだとされる一族で、争いから500年、一族も老いてきており、緩やかな死に向かっているとされています。

エミシは、実際に存在した蝦夷の人々で、アシタカが海を越える描写がなかったことから、北海道ではなく東北に位置していた蝦夷の民族だったとは思うのですが、あまり蝦夷に詳しくはないので、それ以上はよしておこうと思います。

彼らの文明レベル的に想像されるのは、外界との接続を500年遮断しているために、新しい血が入ってきていないのではないか、という事。
彼らの文明は、髪型、信仰、鉄の普及、衣食住の生活スタイルが、後のストーリーで登場するたたら場や侍(たたら場に敵対する武士勢力)に比べてかなり遅れていることが伺えます。そこには、あらゆる外界の訪問者を拒絶したか、または入ってこれないような土地に住んでいたと思われます。文明レベルが上がらないのと同時に、外界からの影響が何かしらあって一族が弱体化したか、血が濃くなったから弱くなったか。エミシの村に住むカヤは、アシタカを「あに様」とよぶが、許嫁であり、近親での結婚が多かったのかもしれません。(実の兄弟ではないが、兄弟で呼び合うような近い存在として生まれ育った想像がされます)


次は、たたら場を中心とする、本作の舞台となる人間社会。まず、たたら場は、川に面して砂鉄を取る拠点かつ砦になっています。たたら場を構成する建築材のほとんどが木でできており、たたら場に面した山の斜面の木がとりつくされていることが伺えます。この斜面が、猩猩と呼ばれる物の怪が木を植えても狩られるという場所だと思われます。斜面の木を伐りすぎると、土砂崩れの可能性が高まるのですが、あそこまで徹底的に木をなくすのは、なにか破壊を象徴させる意図を感じてなりませんが、いずれにしろ、鉄を取るために、森を切り取ったという意味を感じると思います。
さて、たたら場の中に入っていきますと、大きな炉によって砂鉄を溶かしています。砂鉄は外の川に面した場所で、土と砂鉄を振り分けています。
炉の温度について、たたら場で働く女性たちが気にしているのは、炉の温度の低下によって、鉄が炉内で固まると、詰まって取り出せなくなり、炉自体が使えなくなってしまうからだと思われます。
あの炉で鉄を取り出すという行為に用いられる、燃料としての木の量は、石炭のないあの時代では計り知れないものがあり、鉄を作るという行為自体に膨大な木を必要とする意味で、家を作るだけで森を切り崩すわけではないという意味が入っているんでしょう。

たたら場で目に付くのは、牛飼い、タタラ者、石火矢衆などの部隊という戦略。アシタカの住む村では、男衆であるとか、男女で役割が異なるくらいの人の分け方しかなかったのですが、人の能力や修練を積んだ人間を集めて、集団的行動を取らせる違いがあります。これはアシタカの村との時代の差もあるのでしょうが、人の多さによる役割分担を決めておかないと、機能しない、村と国の違いを表しているのではないかなと思います(事実、ラストシーンで「ここを良い村にしよう」とエボシ御前に言わせるあたり、村と国の違いを事前に描きたかったのではないでしょうか)。

さらに米を輸入するという部分にも着目してみます。たたら場の人間は、自分で食料を自然から調達もしくは農作物で調達することができない。アシタカの村はできる。ここにおいて、文明が発達することで得られた便利さと失ったものがあるのかも。自分で農作物を作ることで、自然と向き合い、自然と戦ったり恩恵を受けたりする過程を踏むことが、国と村の差として示しているかもしれないですね。
自作から離れたたたら場の人々は、自然とニュートラルに接する場所がなくなり、自然をただの敵と考える思想に若干染まっているのではないのかと見て取れる気がします。

さて、次は、もののけ姫の住む、シシ神の森について。
森というのは、本来はコミュニティではありませんよね。
ですが、人語を介すような物の怪と呼ばれる者たちが、そこに同種族の者たちで集まり、他種族の動物と共存するコミュニティを形成しています。
種族としては、山犬、猩猩、猪。そして、信仰対象としてのシシ神。
シシ神の森がコミュニティとして認識されているのは、もののけ姫が、姫という役割を負っていることからも、ある程度の社会として、エボシ御前には見られているのだと思います。
猪が滅びゆく種族、一族という点において、アシタカの村と状況が似ており、アシタカの行動にも幾ばくかの影響を与えているかもしれません。

乙事主に関しては、海を渡ってきたことが示されており、もののけ姫の世界と外界との接続をしめしています。たたら場で言えばエボシ御前などの支配層が帝との繋がりを持っており、外界の世界設定を広げて見ると、エボシがどこから来たのか、何故たたら場に戻らずにシシ神討伐を続けたのかなどの理由、世界状況がまた詳しくわかってくるのでしょうね。

物の怪というのが、人語を介するという点では、人間によって生まれた存在というのがわかります。動物なら、サンと動物たちは人語でコミュニケーションを取れず、やはり物の怪というのは人間のエゴの視点からそう見えているだけのように思えます。
物の怪は、そもそもは森に暮らす者たちであり、「物の怪」という言葉が持つ、人間に敵対する存在というポジションは、人間たちが与えたものではないでしょうか。
大和によって元の生活圏を追われたエミシの一族の末裔であるアシタカという立場だからこそ、人間によって森(生活圏)を奪われる物の怪の立場を保とうとする、共に生きる道を探そうとしたのかもしれません。

アシタカは呪いのために、村から旅立たされており、村を守ったのに見送りもなく追いだされるという理不尽を感じた心を持っているのですが、決して彼は自分のいた場所を否定していません。エミシの村の近くにもコダマのいる森があり、アシタカのシシ神の森への接し方はそこに倣ったものです。彼は掟に従うという村からの仕打ちに傷つきながらも、自分の村で習った自然に対するしつけや教育を基盤に、森と人がともに生きる答えを出したのだと思います。
アシタカの序盤で印象的なのは「里に下りたのは間違いだった」という、人と接する事を極端に避ける事です。これは、エミシの村が外界の人間と接触することを避けてきたことを示しているように感じます。
しかし、アシタカはその後もたたら場で人と接触しており、彼は彼なりに、エミシの村と違う道を選ぶことを意識していたのだと私は思います。かつて大和と戦い、外界と断絶することを選んだエミシを全肯定するのではなく、彼は外界との共存という道を選んだのではないのでしょうか。だから、彼はエミシの村に帰ることはなかったのかもしれません。

世界観設定について、私の見方を書かせていただきました。シシ神に住む物の怪のコミュニティと、たたら場に住む人間のコミュニティの対立に、なぜあのような道をアシタカが選び干渉したのか、なんとなく今回新しい事を感じれたと思います。

また、作品の魅力は、アシタカの「そなたは美しい」などの強いセリフ、シシ神に傷は癒されても呪いを解いてもらえなかったアシタカの絶望感、もののけ姫が屋根から落ちた後に刀を曲げながら進むアシタカの強い怒りを表現した映像、奇妙かつ神秘的なシシ神の森の持つ強度のある世界観など、総合力の高い作品だからこそ、今まで言葉にしづらく、しかしながらも私の記憶に深く刻まれた作品なのだと思います。

アシタカの呪いについてや、もののけ姫に関することなど、考えられる事、もっと詰められることはまだまだあるのでしょうが、それはまた、次の視聴時の楽しみに取っておきます。

投稿 : 2019/08/16
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もののけ姫のストーリー・あらすじ

エミシの隠れ里に住む少年アシタカは、村を襲った「タタリガミ」に呪いをかけられる。ただ死を待つより、己の運命を「曇りなき眼」で見定めるため、はるか西方の地を目指して旅立つ。そこでアシタカが見たものは、森を切り拓いて鉄を作るタタラの民とその長エボシ、森を守る山犬一族、そして山犬と生きる人間の少女サンであった。アシタカはその狭間で、自分が呪われた理由を知る。やがて、森を守ろうとする動物たちと、その長「シシ神」を殺そうとする人間達の壮絶な戦いが始まる。(アニメ映画『もののけ姫』のwikipedia・公式サイト等参照)

放送時期・公式基本情報

ジャンル
アニメ映画
放送時期
1997年7月12日
制作会社
スタジオジブリ
Wikipedia
ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%82%E3%81%AE%E3%81%AE%E3%81%91%E5%A7%AB

声優・キャラクター

松田洋治、石田ゆり子、田中裕子、上條恒彦、西村雅彦、島本須美、小林薫

スタッフ

原作:宮崎駿、 監督:宮崎駿、脚本:宮崎駿、プロデューサー:鈴木敏夫、作画:安藤雅司、美術:山本二三/黒田聡/田中直哉/武重洋二/男鹿和雄、音楽:久石譲

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