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「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー(アニメ映画)」

総合得点
77.6
感想・評価
390
棚に入れた
1718
ランキング
598
★★★★★ 4.1 (390)
物語
4.3
作画
3.9
声優
4.1
音楽
3.9
キャラ
4.1

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うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマーの感想・評価はどうでしたか?

カミタマン さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

MASTERPIECE

2024/03/24 初投稿

配信にあったので久しぶりに見ました。
見たら止まらなくなりました。
連続2回くり返して視聴
その後更に、再生しながら小さなボリュームで音だけ聞きながら寝ました。
翌日と翌々日も1度ずつ視聴
夜は毎晩音を聞きながら就寝

さて、何がそんなにいいのだろうか?
よく練られたストーリーはもちろんなのだがこのレビューでは繰り返し見てしまう中毒性について述べたいと思います。

繰り返し視聴してしまう最大の要因は音楽ではないかと思います。
昭和のテレビシリーズの劇場版第2弾として作成された本作だが、デレビシリーズ本編のBGMは全く使用していません。(あるいはいくらか使用しているかもしれないが全然気がつかないレベルなので全く使用していないと言う扱いで以後記述します。)全曲オリジナル曲です。多くがしっとりと落ち着いた曲やふんわりとした曲などこの作品の独特の世界観にぴったりとマッチした曲でテレビシリーズの賑やかな世界観とは一線を画した作品世界を構築しています。とにかくこれらの曲が非常に魅力的でまた聴きたいと思ってしまいます。

視覚的にも幻想的な不思議なシーンが数多くあります。
夜の買い出し
喫茶店での温泉マークとさくらさんの会話
夜の友引町
あたるの家からの登校
夜の友引高校
などなどついつい見てしまいます。

他にもついつい聞き入ってしまう長台詞や会話
校長先生の説教
給湯室でのしのぶとラムの会話
温泉マークとさくらの喫茶店での会話
無邪気の時間に関する話
メガネの『友引全史』

と言うわけで、音楽、映像、セリフ、ストーリー、キャラクターの魅力が絶妙に絡み合ってこの作品は、極めて中毒性の高い作品になっているといえると思います。

話は変わりますが
冒頭学園祭の準備シーンに「'84友引祭」の看板が映ります。
この映画って1984年の作品つまり40年前の作品と言うことになりますね!!
40年を経て直接この作品の影響を受けた作品やクリエーターが多く生まれ、更にそこから影響を受けてまた更にと言う具合に既に日本文化のDNAに深く刻まれた作品になっていると思います。
そして、作品中の年齢で考えるならあたるたちは現在57才!!と言うことになりますが、令和の現在いまだに高校2年生で再びあの鬼ごっこを繰り返すなど、終わらない夢はまだ続いているようです。

投稿 : 2024/03/25
閲覧 : 53
サンキュー:

9

ネタバレ

タイラーオースティン さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

映画単発として見る方にはオススメのアニメ映画作品

数年ぶりに見返しましたが、やはり全体の印象は変わらない。映画単発としての面白さなら90点、しかし「うる星やつら」として見るなら20点ぐらいです。
 0点でないのは、一応キャラクターの設定が随所に織り込まれ、原作全編を読んでらっしゃるんだな、と思えるから。
 単発で見ただけだとわからない細かいキャラクターの特徴や設定、「チェリーのどアップはキツい」「暗所恐怖症かつ閉所恐怖症の面堂だが、女性の前だと平気」「今までにあたるが浮ついた女キャラが登場(名前だけ登場もあり)」など、原作ファンには嬉しい細かい箇所が随所に盛り込まれています。

<本作単体>
 映画単発として見た時、「(特に)怖さの演出」「映像美」「構成」「設定」「BGM」などは極めて素晴らしく、この時代のアニメ映画作品として傑作と言わざるを得ません。
 いわゆる名シーンのオンパレードで、「温泉とさくらさんの喫茶店での対話シーン」「しのぶと風鈴の迷宮のシーン」「友引町から飛び立つシーン」「夜の学校探索シーン」「メガネの独白」等々、どんだけあるんだよっていう名シーンの山です。映像と演出、カメラワークが神がかっています。

<「うる星やつら」作品として>
 しかし、「うる星やつら」として見た時は、全く見え方が異なります。この作品は、「うる星やつらを読んだ男が作った作品」なんです。ラムちゃんではなくあたるに焦点を当てた、言い換えれば「男目線で作られた作品」「女の気持ちがわからない男の作品」です。なお、原作者は女性です。

 原作のラムちゃんとあたるの関係は、ラムちゃんは外面は愛情表現全開だが、心の中ではいつもあたるのラムへの気持ちについて不安がっている。あたるは外面は男の本能の塊で浮気症だが、心の中で一番大切なのはラム。という描かれ方です。
 にもかかわらず、本作ではあたるが再三「ラムに惚れとる」的な発言をし、ラストシーンでキスしようとさえする。

 違うんです。

 原作のラストシーンは「(好きだと)一生かけても言わせて見せるっちゃ」「今際の際に言ってやる!」です。
 これが「うる星やつら」の全てなんです。

 今際の際に言ってやる=死ぬ間際に言ってやる=死ぬまで愛してる、という意味なわけですが、それでもなお「好きだ」とは直接的に言わないわけです。この「女の子と男の子の違い」がキモなんです。
 あたるのことが大好きで、心で繋がっていると思ってはいるが不安があり、たった一言、好きだという一言で心の不安を取り除きたいラムちゃんという女の子と、ラムちゃんのことが大好きで、言葉になんかしなくてもわかってるだろ、恥ずかしいという態度を取ってしまう不器用な男の子であるあたるとの対比なんです。

 女と男の考え方や態度の違いを描き、理屈ではなく感情面に焦点を当てた、実に女性らしい女性目線における作品なんです。
 原作の高橋留美子先生の凄いところは、「男のことよくわかってんな~」というところなんです。

 それゆえに、作中の「ラムにも惚れとる」「キスシーン」等の「直接的に」あたるがラムを好きだと認識させてしまう表現は、「うる星やつら」という作品においては絶対にやってはいけないタブーなんですね。
 だって、原作全編においてそれらを言わない、それらをしない、女の子と男の子との違い、ってのがテーマになってるんですから。

 ただしアニメ映画としては非常に面白いので是非多くの人に見てほしい作品です。
 

投稿 : 2024/03/25
閲覧 : 33
サンキュー:

9

ネタバレ

xwTza00790 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

セクシー田中さん問題からの視聴

アマゾンプライムでの配信、セクシー田中さん問題、世間では押井守監督と高橋留美子氏の関係が好意的ではなかったこと、うる星やつらの漫画を読破したこと、さまざまな要因が重なり、この作品を視聴することに至りました。

高橋留美子氏は、『これは自分とはあまり関係ない、監督の作品ですね』という発言をしているとのことで、なぜそのような発言をしたのか興味が湧きました。

争いの有無は置いておいて、その発言の理由を知りたくて作品を視聴しました。作品は原作にはない物語で、夢の中の出来事であり、夢から覚めても今いる場所が夢かもしれないという内容。

時代背景を考慮すると、前提が夢であれば自由度は高いと思われます。フランケンシュタインの映画やホラー映画が話題になっていたり、タイムリープが描かれたり、不気味なチンドン屋が登場するなど、流行やトレンドを取り入れることは、監督としての押井氏のやりたいこと、意図だったのでしょう。

全体的に暗い雰囲気が不評だと感じました。
原作にはそこまで暗いシーンはなかったはずです。うる星やつらのイメージは明るくてユーモラスなものであり、それとは異なる印象を受けます。

最大の問題はキャラクターであり、特に主人公のあたるとヒロインのラムの関係性です。ラムがしのぶのようなセリフを口にする場面があります。漫画にはしのぶと着ぐるみウサギ(いなば)のエピソードがあり、原作ではしのぶが「今のまま みんなが かわらないと いいな…」と発言していますが、劇場版ではラムが類似の発言をしています。また、あたるがラムのことを好きだと明言する場面もあります。

ネット上のコメントでよくある、そのキャラは「そんなことは言わない」これが最大の問題だったのではないかと感じました。

結果として、うる星やつらは4年半続き、武道館でのお祭りも成功を収め、全体的には大成功と言えます。そして、留美子氏の作品である『らんま』や『犬夜叉』へとつながっていきますが、今回オリジナル作品ということもあり、個人的にもこのビューティフル・ドリーマーは異なる作品であると言えるかもしれません。

現代の視聴者にとってはハードルが高い作品でしょう。なぜなら、アニメ表現(音も含む)に中傷的な要素が多く、退屈に感じる可能性が高いからです。ただ、見方を変えれば、面白い作品として見ることもできるかもしれないなと感じ、レビューしてみたということです。

押井監督が述べたように、喜ばれたのはうる星やつらの初期作品だったようで、この作品に関してはそうでもなかったとのことです。

その「そうでもなかった」部分が、この作品の問題点なのかもしれません。

投稿 : 2024/02/18
閲覧 : 61
サンキュー:

1

たナか さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

Deception

高橋留美子×押井守の伝説の傑作にして問題作。
盤外戦や原作改変までも含めたメタコメディ。

久々の見返し。リメイク放映中だからだろうけど原作改変の賛否が問われる今、「ザ・原作ブレイク」で真っ先に名前が出て来る問題作を公開する勇気。今となっては高橋信者より押井信者の方が優勢だろうけど。

動画よりも静止画の美麗さが重視される現在においては微妙に見えるかもだが、画面内で多数のキャラが同時にグリグリと蠢く作画技術はもはやロストテクノロジーか。大御所の企画でもなければここまで作画コストを割いたアニメにはお目にかかれない見応えのある画面。それに加えて芝居や楽曲などの音響面がやはりいい。

うる星信者はそりゃあ激怒したでしょう。アダルティなルパンをキッズアニメにしてしまった宮﨑駿率いるジブリもほぼ全ての原作付き作品での原作改変での悪名を轟かすが「有名監督にアニメにして頂いてありがたい」というような時代だったので不問というか泣き寝入りした原作者ばかりだったと思う。弱小作家ならまだしも発表作品がほぼ全てメガヒットの高橋留美子は売名目的で魂を売り渡す必要は微塵もなかった。

うる星やつらに特に思い入れもなく漫画やアニメをテキトーに見ていた自分にすら「諸星あたるはこんなこと言わない」みたいに感じさせるキャラ変が凄まじい。押井守はこういうサザエさん時空みたいな作品は嫌いなんでしょう。映画第一弾は作者も絶賛してたらしいが「これではTVシリーズの延長でしかない。こんなのは映画とは呼べない」とのことでこうなったらしいが。

パトレイバー同様に「他人の作品で好き放題やるな」とも言われるが、パトと同じくキャラの説明の尺が不要だからこそ映画としてまとまった作品になったのだと思う。当時は夢邪鬼が出て来た途端にガッカリしたものだが、今見返して思うとこれはまだ見やすく配慮して手加減していたのだと思う。押井が本気出したら天使のたまごになってしまうからな。あれも嫌いじゃないしむしろ好きだが自分がスポンサーなら博打すぎて安易に金は出せんな。押井ルパンも見て見たかったけどアレは間違いなくルパンファンがキレるので頓挫もやむなし。攻殻も原作と比較すると表層を薄く掬い取っただけの片手落ちだからこそ逆にわかりやすくなったというレアケース。パトは圧力で全然本気出せなかったからこそのケミストリー。とってつけたようなバトルシーンが浮いててやらされ感丸出しで笑った。原作に困らない今ならもっと面白いものできそうだけど、彼が面白がれるものにスポンサーがつくわけがないか。

企画段階から騙し討ちの反則技ありきのミラクルなので手放しでの賞賛は致しかねるな。

投稿 : 2024/02/15
閲覧 : 45
サンキュー:

4

challia さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7
物語 : 5.0 作画 : 3.5 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

留美子先生の映画作品の中で一番好き と言ったら怒られるか・・

当時、映画館で観ました(青春の1ページにあたる作品です)。当時高校生でしたが、こんな学園生活が過ごせたらいいなぁとか思いながら見てました

投稿 : 2024/01/18
閲覧 : 38
サンキュー:

1

たわし(爆豪) さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

アニメとはこうあるべき

満点である。

キャラクター、シナリオ、演出。。どれをとっても30年以上前のアニメでありながら高品質である。

アニメーションとはこうあるべき。萌えキャラの元祖とも言われるラムちゃんが非常に可愛いし、何よりも押井守はこれ以上の作品を世に出していない。

押井守は青春時代をこういった晴れやかな恋愛とは程遠かった映画青年だったと言われる。

ゴダールやフェリーニ、ピンク映画を愛し、年に100本は映画を見ていたと公言している。

そのオタク知識をフル活用し、爆発させたのが「ビューティフルドリーマー」で
あり、ありとあらゆる映画のオマージュにあふれたモンタージュになっている。

原作者の高橋留美子は本作に激昂したらしいが、作品を解体されてしまった悔しさカラに違いない。

それほど強烈で凄まじい熱量と、映画に関わるものすべてを内包する賛歌とも言えるアニメである。

こういったアニメを他に作れるのは富野、庵野、宮崎監督くらいだろう。

新房昭之でもこのレベルには達していない。

ラストにおける、これはまだ「夢」の続きであり「現実」から抜け出せていないかもしれないという曖昧なエンディングはクリストファーノーランのインセプションでも頻繁に取り上げられている。

投稿 : 2023/02/27
閲覧 : 939
サンキュー:

35

ネタバレ

マーティ さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

とかげの尻尾だな。まるで( ゚∀゚)!

 全98分。原作は未読。

 2回目の視聴を終えての感想。

 僕の好きな「まどかマギカ」や「涼宮ハルヒ」の原点といわれるだけあって、やはり面白かったです!1回目よりもさらに色んな発見があってさらに楽しめました。

 文化祭前夜から始まったかと思いきや、次の日も文化祭前日であるところからサスペンスが始まります。最初はさくらさんと刀持ってる人(名前忘れた)が主役かな?と思いましたが、終盤であたるが主人公、ラムがヒロインってところで締め括りました。現実と虚構が入り交じる、すばらしい映画だと思います。

 これにて感想を終わります。ここまで読んでくださりありがとうございました。

投稿 : 2023/01/13
閲覧 : 511
サンキュー:

30

takato さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 5.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

押井さんの作風。世界の押井も原作との相性次第。

押井さんの思弁的な作風は、殆どの作品でエンタメに着地していないという問題点がある。それを込みでも結構私は好きなのだが、本作では明るいラブコメである原作との取り合わせの妙もあって、稀有な傑作となっている。


 オチの部分は、決して斬新というわけではないけどドラマの部分が素晴らしく面白いから実に良い。特に色々な女の子に手を出しているけど、やっぱりラムちゃんが一番という諸星の結論ともいうべき部分が出されている。ハーレム物は、結局この時点から前には進んでいないのかもしれない。うる星やつらに詳しくない人でもオススメな一本。

投稿 : 2022/12/07
閲覧 : 415
サンキュー:

22

ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

さよならアニメーション

押井守監督作品、原作高橋留美子。

学園祭を明日に控えた友引高校、
学生は連日校舎に泊まり込みで準備に大忙し。
そんな折、夜食調達に出掛けた深夜の友引町で、
あたると面堂は、奇妙な体験をする。

通常アニメに限らず、
作り手と受け手の共犯関係が、
居心地良い「閉じた世界」を創るわけですが、
それを「おたく的なもの」と名付ければ、
その「おたく的なもの」を喜劇的に、
シニカルなメタ視点で描いてみせた傑作作品。
この共犯関係に噛み付いたのが、
エヴァの旧劇だったのだと思います。

終わりのない祝祭、
{netabare}永遠に繰り返される学園祭前日。
祝祭はノスタルジーと娯楽を提供し、
受け手も演者も居心地の良い空間を満喫するが、
何も始まらないし、何も終わらない。{/netabare}
押井守は確信犯である。

印象深い演出が終幕にあります。
{netabare}それは「夢から醒めてもまだ夢の中」ということ。
退屈な日常に戻らない地点で、
物語を着地させてみせたのです。
まだ胡蝶の夢は終わっていないのだ。{/netabare}

私たちは、次に来る朝に至らず、
未だ美しい夢の衝撃の内にあるのです。

投稿 : 2022/10/15
閲覧 : 1163
サンキュー:

84

nyaro さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.9
物語 : 2.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.0 キャラ : 1.0 状態:観終わった

リメイクにあたり再視聴。原作愛の感じられない改変は不快です。

追記 さて、うる星やつらリメイクということで再度話題作である本作を視聴…といっても30分くらいでポツポツと確認した程度ですけど。で、追記ですけど、やっぱり私は駄目でした。

 私は本作の評価が低く、パトレーバ―2の評価は高いです。その理由は原作の主要なキャラやテーマ性を踏襲しているかどうかです。

 パト2は、特車2課が組織の中では力を持たない、ロボットの性能だけでは真ん中にいられないという部分や、男女の機微などもともとパトレーバーにあったテーマ性がありました。ちょっとズレている部分もありましたが、原作を換骨奪胎したという印象です。

 本作についてはどうでしょう。終わらない日常=ルーミックワールド。楽しい時間は終わらないのを是とした高橋留美子。それを否定した押井守。
 秘めたラムとあたるの感情のつながりを言葉にしてしまったこと。ラムが徹底的な我儘なキャラになったこと。本作はもしもボックス…あるいは独裁スイッチと言ってもいいかもしれません。

 原作改変が悪いのではなく、原作の世界観やキャラ愛が感じられないという点で、見ていて嫌な気分になります。上手く関係者を騙して自分のやりたい事をやった…それはクリエーターの努力として否定しませんが、原作のもっているエッセンスを変えてはいけません。
 カリオストロの城を評価できないのも同じ理由です。面白いかもしれませんが、不快になります。

 自分のやりたい事をやっているのに設定やキャラの魅力や人気にライドしているのが許せないと言い換えてもいいかもしれません。

 キャラの評価を1にしたのは、ラムは好きです。でも、本作のラムはラムではない、という意味で嫌いです。



以下 前回のレビュー

 物語の前半のパートに矛盾がありました。先生が家に帰ると時間が経過していました。坊主のテントも朽ちていました。友引町内にあれば時間は経過しないはずです。友引町の外なら出られないはずです。タイムリープとしてオヤ?という展開でした。
 ここは夢ということであれば、設定上の問題はなくなります。ラムの願望は、あたるや父母、テン、修太朗、メガネと一緒にずーっと暮らしたいということでした。ビューティフルドリーマーのタイトル通りとなります。

 では「祭りは準備期間が一番楽しい」という冒頭の文化祭の部分はどういう意味でしょうか。タイムリープとしてこの文化祭の部分が元祖エンドレスエイトと言われている部分です。映画の後半から非現実的な状況を認知した主要メンバーたちは文化祭の準備ではなく、ラムにとって必要な人間しかいない世界に変わります。つまり、ドラえもんのもしもボックスだったという事です。

 映画の前半であれば、仲間と永遠に祭りの前日を楽しんでいたいというラムの無邪気な願望の話で、まさにエンドレスエイトだったのですが、ここで残酷な現実が表現されます。ラムは忍や龍之介を本当に要らないものだと思っていたということです。2人は不要なモノとして退場させられてしまします。対立はあったとしてもいつもの仲間です。内心ではみんな一緒だから楽しい。前半の文化祭の部分ではそう読み取れます。ですが、ラムは本当はそうは思っていなかったということです。女の残酷さと言えばそうですが、これは本当にラムのキャラとして正しいのか?という疑問を感じました。

 ストーリー構成からいっても後半が冗長に感じてしまいますし、設定的にも時間から夢に視点がチェンジした瞬間、急に凡庸になってしまいました。
 また、謎がある話で絶対やってはいけない、突然登場した人物が犯人であるという禁忌を犯しています。テンちゃんが豚を貰ったというのが伏線なのかもしれませんが、それはこじつけでしょう。正直これは白けました。

 前半と後半の出来の差が激しすぎて、本来、前半だけで企画した話を無理に映画用に引き延ばしたようにしか見えませんでした。
 なお、後半ではラムの切ない願望を語る水族館のシーンは良かったです。

 また、ラムと言えばトラ柄のビキニです。別にエロということではなくキャラとして、作画が奇麗なビキニのラムが映画の画面で動きまわるのをファンは楽しみにしていたと思います。これを作家性で裏切って良いかです。途中、泳ぐシーンでわざわざ普通の水着を着せています。これはうる星やつらという舞台を否定して、押井守ワールドに改変してしまったことを意味しています。キービジュアルでいつものラムを表現しておいて、これは卑怯だと思います。つまり、これはラムの夢でもあると同時に押井守の夢ということです。

 映画として前半の出来は非常によかったです。演出も斬新で当時では画期的だったのではないでしょうか。ですが、後半の出来とうる星やつらという世界観を乗っ取って、自分がやりたい事をやった部分は評価できませんでした。もちろん世間の評判は非常に高いので私の見方が間違っているのかもしれません。
 が、少なくともうる星やつらでは無いのは事実だと思いいます。アニメ史に残る作品として評価が高いですが、それは良い意味だけではなく、悪い意味もちゃんと語られるべきだと思います。

投稿 : 2022/05/18
閲覧 : 442
サンキュー:

11

ネタバレ

芝生まじりの丘 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

無邪気さの生み出す楽しげな牢獄

宇野 常寛の「ゼロ年代の想像力」によれば、この作品の無限ループする夢世界という設定は、無条件に主人公を好いてくれる異性を用意し、苦しみを覆い隠し、無限に変わらない日常に閉じ込める、というオタク系ラブコメジャンル自体をメタファーしているのだという。

実際見た感想としては、そのようなメタファーが実際どの程度押井守の意図したものであるかは微妙かなと思う。
ただ、夢を叶えようという「無邪気さ」が歪な牢獄を生み出し、人々を閉じ込めてしまう、と捉えると、これはまあ確かに現代のオタク文化の流れに対する適切な表現であるような感じがする。
インモラルな創作などというのはアニメ以外にも世の中掃いて捨てるほどあるのだが今日のオタクコンテンツというものはインモラルなものが、途方もない無邪気な装いを帯びていて、作っている方も何やら清純なものを作っているかのような無邪気な面持ちをしているというのが非常に倒錯的なところだと思う。

アニメ自体の話をすると、とくに序盤のふうりんの演出だとか、さくら先生と温泉マークの夢に気づいていくシーンの現実と夢が交差するようなところが好みだった。
ただ、現代においては願望からループに閉じ込められるという筋立ては少し食傷気味の感もある。

投稿 : 2022/03/19
閲覧 : 208
サンキュー:

5

camuson さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

印象度:55

原作漫画は未読。テレビシリーズは未視聴。

原作者の高橋留美子の作品は、
「めぞん一刻」の大ファンで、
「らんま1/2」は連載当初は結構好きで読んでました。

「うる星」は、たぶん1巻のみ人に借りて読んだことがあるのですが、
ギャグがこなれてなくて、ちょっとクドく感じたことが記憶に残っています。


ということで、原作に特に思い入れはないのですが、それでも、

押井守が好き勝手やってるなぁ~
これ“うる星”でやる必要あるのかなぁ~

と終始感じました。


そうはいっても、オリジナル作品として成立するほど、
新規性や深みがある設定とも思えず、
致し方ないと言えなくもないのですが。

投稿 : 2022/02/14
閲覧 : 196
サンキュー:

3

ネタバレ

ひろたん さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 3.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

視聴者自身をも当事者の一人に仕立てられてしまう恐ろしさ

自分は、子供のころに観ているはずですが、全然覚えていませんでした。
あらためて観直したら、それもそのはずです。
それについて、感想を踏まえながらお話したいと思います。

この作品は、「うる星やつら」のTVシリーズをベースにしています。
ごちゃっとしたドタバタ劇です。
この場合、普通はTVシリーズを知らないとチンプンカンプンになるはずです。
しかし、この作品が良くできているのは、それを知らなくても大丈夫だからです。
知っていても「あたる」が主人公、「ラム」がヒロインぐらいしか役にたちません。
ラムが宇宙人と言うのは、劇中で説明されます。
登場人物のキャラ設定も基本的に劇中での行動そのままのキャラクターです。
ある意味、「うる星やつら」でなくてもこの話は成立したかのようにも思えます。
しかし、このドタバタは「うる星やつら」であり「あたる」があって成り立ちます。
このバランスがとても上手いのです。


そして、この作品で一番すごいなと思うことは、物語への引き込み方の上手さです。
この話を最初に観た人は、どんな話か分かりません。
TVシリーズ知っていれば、いつものドタバタラブコメかと思って観始めます。
案の定、学園祭の前日のドタバタを観てやっぱりねって思います。
「はいはい、いつものことね」と思いつつ自分も話の中に入っていくのです。
実は、これは罠です。

話が進むと、ちょっとしたことから、「なんだかおかしいぞ」となります。
この事象に最初に気づいた二人の会話からとんでもないことが起こっている。
そう視聴者も認識するところとなるのです。
会話の途中、カメラの構図が二人のうち聞き役の「サクラ」を対面にとらえます。
そして、この現象に最初に気づいたもう一人が自分と重なり画面から消えます。
まるで自分が第一発見者でそれを「サクラ」に話しているかのような構図です。
この時点で、視聴者自身も登場人物の一人として取り込まれてしまうのです。
つまり、この世界の中に閉じ込められた一人にさせられてしまうのです。
この後は、この状況をはたして打破できるのかどうか・・・。
そんな不安を視聴者自身も一緒に抱えさせることになるのです。
ここまできたら、もう視聴者や傍観者ではいられません。当事者です。


この作品は、タイムリープものと言うと必ず名前が挙がる作品です。
しかし、自分は、そう言う見方はあまりしませんでした。
あくまでもきっかけに過ぎないからです。
かといって、SFやファンタジーのような類の話でもありません。
あくまでも、最初から最後まで「夢」の話なんです。
しかも、「夢」から覚めてもまたそこは「夢」の中。
まるで、あたるが学校の中で見た「合わせ鏡」のような入れ子現象です。
この世界から抜け出せない。
これがどれほど恐ろしいことか。
最後に恐怖すら覚えるのは、視聴者自身もこの悪夢に閉じ込められているからです。

視聴者をも当事者の一人に仕立ててしまうような作品の中では一級品だと思います。


話を最初に戻します。
この作品の内容を覚えていなかったのは、これはまさに「夢」の話だったからです。
そして、自分も当事者としてその中にいました。
まんまと脚本と演出にやられていたのです。
その後、幸いにも自分はその「夢」から覚めることができたのでしょう。
つまり、「夢」って目覚めたら覚えていないものですから・・・。


***

作品的には、最近の作品で例えるなら、前半が「サニーボーイ」、
後半が「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」を思い浮かべます。
「脱出不可能な世界」+「もしもの世界」です。
また、両方に共通するのは、抽象的で説明が難しい世界観です。
今でこそ、このような作品を例に挙げられます。
しかし、この作品が公開されたのは、1984年。今から40年近く前のことです。
そう考えると、当時は、とても斬新で前衛的な作品だったと想像に難くありません。
そして、その後の作品への影響も計り知れないと思います。
このような原典的な作品は、一度触れてみる価値があるなと思いました。
これを知っているのと知らないのとでは、その後の作品の見方が変わると思います。

投稿 : 2021/10/31
閲覧 : 241
サンキュー:

19

ちあき さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

アニメの面白さを教えてくれた名作

この作品を見た頃は、私は映画が好きで、アニメではなく映画をよく見ていました。そんな私にとって、「アニメも面白い。いやむしろ、アニメの方が面白い」と思わせた作品です。

尚、本作は雰囲気的にも、作品的にも、TVシリーズとは別物といっていいかもしれません。

【本作を観て感じた事】
私達は物事を観る時に、主観的にも客観的にも物事を捉えることができますが、どんなに頑張っても、リアルタイムでは主観的にしか物事を観ていません。客観的に観ることができるのは、後々考えるからです。
そう考えると、本作で主張されていたことを否定しきれません。現実と夢の区別って本当の意味でできるのだろうか。本作はそんな疑問を投げかけてくれたと思います。
現実や夢に限らず、主観と客観とか、自分と他者とか、自分と自分以外の物とか、自分と物事に区別をつけて分かった気になっていますが、そういう区別をつけることができない見方、見え方もあるんじゃないかなと本作を観て思いました。あまりうまく言葉にできなくて申し訳ありませんが、そういう所を表現したかったからこそ、こういう作品が生まれたのだと思います。

投稿 : 2021/10/26
閲覧 : 308
サンキュー:

10

セシウス さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.8
物語 : 4.0 作画 : 2.0 声優 : 2.5 音楽 : 3.0 キャラ : 2.5 状態:観終わった

TV版をベースにしたオリジナルストーリー

 原作マンガは遠い昔サンデーで読んでました。高橋留美子先生ははじめて好きになった漫画家です。そしてTVアニメ版は当時の原作ファンの多くがそうだったように大嫌いでした(笑。アニメを見なくなったきっかけと言ってもよい)
 ただこの作品に関しては現在でもちょっと別格扱いで評価されていることが多く、少々興味がわいたので見てみました。
 
 見始めてまず、舞台となる町が謎の現象に見舞われるサスペンスっぽい雰囲気に驚きました。原作はSF日常系ラブコメでしたが、全く違うテイストになっています。シーンの見せ方などもサスペンス調で、とても印象に残るストーリーだったと思います。

 キャラクターはTV版と同じです。(イコール原作とは違う)元々好きではなかったので、普通と違うストーリーでもやっぱり好きになれませんでしたw
 声優さんもあまり上手じゃない人がいました。というか一番セリフの多い人が上手な人ではないので今一つでした。

 作画は当たり前ですが80年代レベルです。でも背景や動画はよく出来ていたと思います。音楽はTV版で唯一好きな要素でしたが、今作では不思議と印象に残っていません。

 押井監督の歴史を辿る時は避けて通れない作品だと思います。しかしライト層はわざわざ見るほどではないと思います。
 キャラクターがTV版準拠なのでTV版が好きだった人は絶賛できると思います。逆に私のようにTV版が嫌いだった人にはやっぱりむかないと思いました。


 

投稿 : 2021/07/05
閲覧 : 194
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3

saitama さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

今見ても素晴らしいアニメワールドの名作

今更ですが、押井守の才能がフルに生かされた名作です。

原作好きなうる星やつらファンからは、拒否反応もありますが、ひとつのアニメ作品として本当に完成度が高く、夢オチを、見事に昇華しています。

作画も素晴らしい。いまのようなCGIなんて一切ない時代ですが、通学時のしのぶのシーンや、ラムと面堂が会話するシーンでの水の広がり……。ハリアーでの飛行シーンなど、アニメーターの力がこれでもかと感じられます。

効果音やBGMの入れ方、メガネの一人語り、間違いなく多くの人に影響を与えただろうなと。

恋愛ギャグアニメであって恋愛ギャグアニメでない、アニメ映画としての一つの金字塔だと思います。血気盛んな時代の押井守の蓄積された映画知識が存分に演出に盛り込まれた作品。

観ればわかる。ぜひ観てほしい。これが1984年作品。

投稿 : 2021/06/29
閲覧 : 360
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16

ネタバレ

fuzzy さんの感想・評価

★★★★★ 4.9
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

バイブル

蝶の夢を見たけど、今の私が蝶の見る夢なのか
浦島太郎だけではなく、村人全員が亀に乗っていたとしたら?

昔観て衝撃を受けて
今でもたまに観る
最初はうる星やつらの世界観が好きで観たけど、今では押井守の出発点として観てみたり

本当かどうかわからないけど
世界観が違うと高橋留美子さんがキレたと噂もありますが

私的にはうる星やつらの世界ですごくノスタルジックな世界と思います
その後はまったパトレイバーとも声優陣も重なるので
とても思い入れのある作品です

面白いものに絶えず飢えて探すようになったのは
この作品のせいだ!
と、笑いながら語りたいバイブル的作品です

投稿 : 2021/06/25
閲覧 : 259
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8

tag さんの感想・評価

★★★★★ 4.7
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

押井守というクリエーターを認識した作品

実は、リアルタイムで見ている。今もパンフを持っていたりする。あの頃中学生、高橋留美子の「うる星」は読んでいなかったが、TVは見ていた。

「夢のまた夢」「繰り返す世界」「明かされる真実の姿」モチーフいっぱいで、上手くまとめて、複雑だが、面白い。小難しい説明がなくともストーリーを追えばだれでもわかる。

ハルヒをおやじになって見た時、妙なデジャビュを覚えた。なんで、これ好きなんだろうと、押井守の「うる星」を思い出していた。

ハチャメチャな世界に、ストーリーと多様なモチーフ、様々なオマージュを入れ込んで、なお、エンタテイメントとして秀逸。これを見て、明確に押井守を認識したのを覚えている。

この後、押井守は苦しんだようだけど、年齢を重ね、怖いものが無くなったのか、クリエーターとして活発になった。庵野秀明もそうだけど、時間というのも重要だ。

映画が終わった後、一緒に見ていた友人が、「もう一回見よう」と言って、連続で見たのを今も鮮明に覚えている。(当時は、もう一回見れたんです)

投稿 : 2020/05/01
閲覧 : 246
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11

ウィラード さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 3.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

アニメとは魅せられるものなのだなと思った作品

やる事とオチはシンプルなんですが
(CMでは確かネタバレしてたと思います)
アニメの演出とかに目を配るとところどころ面白いんですね

主人公たちが学生で
主人公たちしか世界にいないという
あの世界観が どうしようもなく良いなと思いました

投稿 : 2019/11/29
閲覧 : 240
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5

ネタバレ

退会済のユーザー さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 5.0 作画 : 4.0 声優 : 5.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

閉じた関係性の系譜 1.戦後日本

この作品は押井守の作品の中で最もすぐれた作品であり
その後に続く、エヴァンゲリオン、ほしのこえ、そして「ほしのこえ」の回答ともいえる実写映画「インターステラー」に通じる「閉じた関係性の系譜」の原点である。

こので作品で注目するべきところは、意図的に極めてロジカルに「閉じた関係性」を描いているからである

そして、それはよく言われるのが「オタクコミュニティ」のメタファーでありもっと言えば「戦後日本」のメタファーである

この作品で重要視されるのは、前半の「ループ」であることが多いが、
それ以上に重要なのは、ループ以前からある「閉じた関係性」を強固に守ろうとする強制力が働く中盤から後半にかけてである

その強制力とは、ヒロインのある種の願望を基に整えられる環境にこそある。
物語にはそれを実行する超越的なキャラクターとして夢邪気が出てくるわけだが、超越的なキャラクターにいよって生み出される環境こそが社会のメタファーでもある。つまり一人ではどうしようもない環境のように

それは永遠に祭りの前日を過ごし、終わりを知らず、止まった青春意味し、ある種の去勢を想像させ、アメリカ統治時代の日本やその後の社会運動の失敗、終わりなき日常へ続く「閉じた関係性」の系譜の始まりだと言っていいだろう。

それはSEALDsの失敗を見ればよく分かるように、現代日本において、いまだに祭りの前夜を過ごしている。祝祭に失敗し可能性の明日迎えることのできない永遠の前日である。

投稿 : 2019/07/03
閲覧 : 218
ネタバレ

Mi-24 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

ミステリーホラー。ラムは脇役。

異常な世界で人が一人ずつ消えていく、ミステリーホラー。

ストーリーは良いのだけど、うる星やつらの世界では「人は絶対に死なない」と分かっているので、緊迫感がなくちょっと退屈な感じ。

レオパルト戦車とハリアー戦闘機が出てくるよ。

投稿 : 2019/05/10
閲覧 : 288
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5

luna さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 5.0 作画 : 4.0 声優 : 3.5 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

ループものの原点?

たしかに古さはあるけれど、

ループもののワクワク感は今でも十分伝わる!

シリアスにならずにドタバタした展開がなんだか新鮮です。

完成度高い脚本ですね。

投稿 : 2018/05/08
閲覧 : 308
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5

◇fumi◆ さんの感想・評価

★★★★★ 4.8
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 5.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

ユービックスクリーンプレイ Eye in the Sky

押井守監督が「うる星やつらオンリーユー」に続いて製作した劇場版うる星やつらの第2弾
3作目がやまざきかずお監督なので、押井守作品は2作のみとなる
名作と名高い作品でテレビオンエアも非常に多く、自分も初視聴はテレビで

「オンリーユー」1983年との違いから考えるために両方を視聴するべきだろう
押井ファンなら
「オンリーユー」は途中から押井氏が担がれ、ほぼすべてを一人で作り直した作品だという スタッフからは非難ごうごうだが、高橋留美子氏は大絶賛したという
ところが、押井氏は「完全な失敗作、大きいテレビ」と語り、次の本作はタイムスケジュールを取り、監督脚本の万全の態勢で挑んだ

「うる星やつらビューティフルドリーマー」1984年はキャラを借りた別作品であると言われる 高橋留美子氏がこの作品は嫌いと言ったとも聞く

しかしどうだろうか?ほとんどオリジナルキャラも登場せず、舞台もそのままでキャラを壊すこともせずに作り上げた名作であり、単なる嫉妬にしか見えない

この作品はフィリップKディックの長編小説「宇宙の眼」をモチーフにしたと思われる
中間部の世界の全体像を飛行することによって知り、セカイが一変し正しい世界に向かって渡り歩く構成は同じ

おそらくこれに、押井がうる星やつらの原作に感じた「サザエさん時空」の不条理を逆手にとって、ガッチリ理屈で固めたファンタジーアニメを創り上げたと解釈する

多くの後進者に多大なる影響を与え、アニメスタッフに「我々でも芸術作品を作る可能性がある」と認識させた、アニメのターニングポイントとなる作品である ただし、押井氏はこの後、裸の王様になってしまうが
この作品を最後に押井氏はテレビ版うる星やつらを降板、独立して活動に入る

「ビューティフルドリーマー」と言う作品に関していえば、独立した作品としても名作、しかしそれ以上に「うる星やつら」の劇場版としての価値を私は大きく挙げたい
「オンリーユー」「ビューティフルドリーマー」「リメンバーマイラブ」「ラムザフォーエバー」など一連の作品はすべて見て比べるべきであり、この作品だけで判断すべきものではないと考える
ビューティフルドリーマー、どんなに名作だろうと一番の見どころは「鬼娘ラム」なのだから


10回以上観ましたが特別な感想はありません オンリーユーから観ることを勧めます

追記
この作品を理解するためにテレビ版の「異次元空間ダーリンはどこだっちゃ」の視聴をお勧めします 
同時期の押井監督作品で表裏一体のストーリーです

やや下方修正 エンディングがあまり気に入らないのです。
うる星やつらに個人的に求めるのは幸福感。
ちょっと足りないかな。

投稿 : 2018/04/12
閲覧 : 540
サンキュー:

35

ネタバレ

レイン さんの感想・評価

★★★★★ 4.9
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

だけど、やっぱり、うる星やつら

自分の好きな劇場アニメベスト3の内の1本。
原作は全話読んでいますが高橋留美子さんが怒るくらい原作と違うのでしょうが、
やはりこの作品はうる星やつらです。
(他の方のこの作品のレビューを見ると、
高橋留美子さんが怒る理由が分かって勉強になりました。)

物語のススメ具合も素晴らしいし作画も主題歌も素晴らしい。
公開当時劇場で観ましたが何度見ても楽しめますね。
温泉マークの部屋のカビの表現はいまならCGで簡単に出来るでしょうが
手描きでここまで気持ち悪さを表現してるのは圧巻。
最初の方の文化祭の準備で色々なキャラが動き回っている作画も素晴らしい。
いまこんな動画が描ける人はどれくらいいるんだろう。
森山ゆうじさんは、うる星やつらシリーズの作画監督で一番好きな人なのでたまりません。
押井守が監督というのは後で有名になってから名前を知りましたが
テレビ版も監督していて押井守の演出回はどれも良かったのを覚えています。
アニメ好きでまだ観た事がない人は必ず見た方がいい作品ですね。
しかし宮崎駿と押井守の作品の食べるシーンを見るとその食べ物が食べたくなる不思議w

投稿 : 2018/04/01
閲覧 : 297
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11

ネタバレ

聖剣 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

(何らかの)ルーツ(だと思う)

{netabare}夢邪鬼
『夢やからこそ、やり直しがききまんねん』
なんか、
このセリフがやけに心に残ってます。{/netabare}

この作品は言わずもがな
押井守の最初期の傑作で、
その後の名作の原点とも言える作品。

近年の作品にも通じる数多な要素があって
ある程度、作数視聴したアニメ賢者にとっては
非常に興味深く堪能できると思います。

んで、
舞台は学園祭。
今も昔も、学園ラブコメには学園祭は欠かせないんだなぁって、
感慨深く思ったりして。
他作品の学祭エピソードと比較しながら見るのも
面白いんじゃないかと思います。

ちなみに
この作品はTVシリーズを見て、
登場人物のキャラをある程度把握してからでないと見ちゃダメですよ!

投稿 : 2017/12/18
閲覧 : 274
サンキュー:

12

ネタバレ

退会済のユーザー さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

明日は文化祭の初日ですから

ループものの王道作品。
後々多くの影響を及ぼした押井守の最高傑作。
夢の世界に囚われた主人公のあたるとラム。
いつまでも繰り返す文化祭の前日。
学校から家に帰ることができないシーン。
電車は同じ駅を繰り返し回ります。

真実を知った瞬間、世界は崩壊して廃墟になります。
未だにこのイメージを超える作品にはなかなかお目にかかりません。

コメンタリーに押井監督と千葉繁氏が出演。
当時の裏話を赤裸々に話してくれました。

さすがというか、レベルが違います。
それは与えられた状況でどこまでやるか、ということです。

私たちは自分の状況や時代、境遇を変えることはできません。
それらを言い訳にすることは簡単です。

コメンタリーでは全ての不利な状況を逆手にとってこの傑作を作った
押井監督のすさまじい才能を感じ取れます。

他の方も指摘しているように海外のSF小説に影響されてます。
私はアーシュラKルグインの「天のろくろ」に類似性を感じました。
こちらもお勧めです。(実写映画化済み)
余談ですが、押井監督も宮崎監督もSF小説好きですよね。

投稿 : 2017/10/15
閲覧 : 416

ブラックテクノロジー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 5.0 作画 : 3.0 声優 : 4.5 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

押井版うる星やつら

うる星やつらの登場人物や関係図を借用した押井守アニメ

脚本と演出が◎

タイムリープモノの金字塔

投稿 : 2017/04/21
閲覧 : 282
サンキュー:

3

ネタバレ

蒼い星 さんの感想・評価

★★★★★ 4.6
物語 : 5.0 作画 : 4.0 声優 : 5.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

作品の私物化。

アニメーション制作:キティ・フィルム、スタジオぴえろ
1984年2月11日に公開された劇場版作品。
高橋留美子による漫画作品が原作ですが、押井守監督の創作によるオリジナルストーリーです。

【概要/あらすじ】

空は太陽が眩しく、カモメの群れが舞っている。
大地に目を向けると人の姿が消え、赤茶けた廃墟となった友引町。
レオパルト1戦車の上で双眼鏡を覗き込んでいる面堂、車体にビキニ姿でうつ伏せのサクラ先生。
池となった水たまりの上をウォーターバイクで遊んでいるラムにカクガリとチビ。
さながら資源ゴミ置き場のようでありながら稼働している家電に囲まれながら日光浴をしているメガネとパーマ。
そして、水辺で放心している諸星あたるがいた。
彼らを残して全てが無くなってしまったかのような世界で、何事もなかったかのように遊んで過ごしている。

非常識なふしぎな出来事が日常茶飯事の『うる星やつら』でも、流石にありえない光景である。
何が起きて、こうなってしまったのか?話は友引高校が健在だった日常。文化祭の前日に遡る。

【感想】

商業的には成功した前作の『オンリー・ユー』を失敗作としてノーカン扱いにしてまで、
押井守監督が、アニメ映画監督の原点としている作品です。
『うる星やつら』である必然性が無いストーリーでありながらも、
それでいてアニメ映画史に名を残して名作扱いされているという複雑なものであります。

wikiでの、この映画の項目から辿って知ったのですが、
アニメ脚本家・首藤剛志(しゅどうたけし)のコラムの162-167回と169回にある裏話を読んでしまうと、
押井守氏のアニメづくりのスタンス。プロデューサーへの騙し討やら工作をして、
徹底的に周囲を追い詰めて後に引けない状態にしてまで100%自由な創作活動を可能な環境作りをする執念。
前作での鬱屈がモチベーションなのでしょうが、作品の私物化へのプロセスが凄まじすぎます。
ラノベやアニメを深夜アニメに翻訳するのがお仕事の今時のアニメ監督とは違う生き物ということが見えてきますね。
アニメ監督がみんながみんな、押井守だったら業界がメチャクチャになって潰れてしまいますね。
希少価値と実績があるからこそ、押井守が押井守であり得るのです。

『うる星やつら』とは、あたるとラムのラブコメが中心であるはずなのですが、今作では舞台の配役の一人にすぎない。
あたるは終盤では目立っているのですが、ヒロインのラムの影が薄い。
ラムの存在が物語の重要なファクターであるにも関わらずです。

押井守自身の文学性・美意識・思想を具現化する装置として、
『うる星やつら』のキャラと世界を借用した二次創作的な内容であり、
ゲストである昭和の名優・藤岡琢也らによる台詞回しのケレン味や物語の緊張感が高橋留美子のそれとは全く異質。

試写会で高橋留美子が『これは、私の作品とは違いますね』と途中で退席したのは有名な話。

ラブコメとして密度は薄く哲学的なストーリーは、やっぱり『うる星やつら』ではありえない。
それでありながらも、幻想的な不思議な魅力のある世界観の演出力。
グループ・サウンズのモップスのメンバーであった星勝による音楽と合わさって微睡みの中の心地にさせてくれます。

押井守個人のオリジナル作品では難解さと娯楽性の偏りなどで商業的にコケたであろうものが、
高橋留美子が生み出した数々のキャラクターの魅力によって助けられていると思います。
それは、『うる星やつら』の監督降板から1年後のオリジナル作品『天使のたまご』で大コケ、
そして、『機動警察パトレイバー』で復権を果たすまでの計4年間の押井守氏の業界での変遷を見ると解ります。

この映画作品は高橋留美子の『うる星やつら』でのルール違反に抵触している部分があって、
だからこそ原作と相容れないとも言います。
それは、終盤にあたるの(押井守の解釈による)自分自身の気持ちをはっきり言い切ってしまった。
男の気持ちは男にしかわからないし、女の気持ちは女にしかわからない。
やはり、高橋留美子と押井守は作家性において水と油なのでしょう。

監督のカラーが人を選ぶクセが強い作風。また、古い作品ですので合わない人もいるかもしれません。
しかしながら、映画作品としての完成度といい後学のために鑑賞する意義の作品であると私は思いました。


これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。

投稿 : 2017/03/21
閲覧 : 872
サンキュー:

50

ネタバレ

ミュラー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 4.0 作画 : 3.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

最初気が付かなかった

なんでもありの「うる星やつら」。中でもこの作品は傑作。
話の展開には古臭さを感じさせない。

最初見たときにループが分からなかった。この連中のお祭り騒ぎで、そんなシビア展開が来ると思わないもんね。温泉に指摘されて、サクラさんと一緒にあっ!と思ってしまったのは印象的。
そこがこの作品のキモかなあ。
全編面白いし、押井ワールドも結構あるけどね。

投稿 : 2016/12/07
閲覧 : 237
サンキュー:

5

退会済のユーザー さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

なるほど。

うる星やつらのアニメは小さい頃の断片的な記憶しかありませんが、大まかなストーリーと各キャラは知っている程度でした。
あにこれやっていなければ間違いなく観てなかったでしょうね。と言うか、劇場版があった事すら知りませんでした。
観たいと思ってレンタル店に行ったのですが、このアニメ自体が古いのか、なかなか見つかりませんでした。恐らくDVDが劣化した為だと思いますが、それだけ沢山の人々に借りられているんでしょうね。
4店舗回って漸く借りられたので、やっと視聴出来ました。
さて、もう32年前の作品ですよ。流石に今のアニメに比べれば絵は古い!でもそれが何だか名作って雰囲気を醸し出していると思うのは都合良く解釈し過ぎでしょうか?
高橋留美子先生の作品っぽくないと感じたのは気のせいじゃなかったんですね。まさか押井守監督の作品とは。言われてみれば・・・っぽいですね。
32年前にこのストーリーが考えられたのが凄すぎる!!
なるほど、名作だ!
語彙が貧困な僕にはその一言しかないです。

投稿 : 2016/12/04
閲覧 : 230
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うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマーのストーリー・あらすじ

あたるの通う友引高校は、本番を明日にひかえて文化祭の準備に大わらわ。だが……翌日になってもやはりあたるたちは文化祭の準備をしていた。実は友引高校のみんなは同じ日を延々と繰り返していたのだ。事態に気付いた担任の温泉マークと養護教諭・サクラは原因を究明しようとみんなを下校させるが、無事帰り着けたのはあたるとラムだけ。みんなは何度帰ろうとしても、友引高校に戻ってきてしまう。その間にも異変は起こり続け、ついに財閥の御曹司・面堂終太郎が自家用ハリアーを持ち出して空から現状を確認する事態に。すると、なんとそこには友引町を甲羅に乗せて中空をさまよう、巨大な亀の姿が…!! 脚本・監督を、「攻殻機動隊」の押井守が務めた。本作品の特異な世界観やストーリーは、現在の押井守の世界の原形とも言われている。(アニメ映画『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』のwikipedia・公式サイト等参照)

放送時期・公式基本情報

ジャンル
アニメ映画
放送時期
1984年2月11日
公式サイト
pierrot.jp/archives/mov_list_20th/mov_002.html

声優・キャラクター

平野文、古川登志夫、島津冴子、神谷明、鷲尾真知子、田中真弓、千葉繁、村山明、藤岡琢也

スタッフ

原作:高橋留美子(小学館「週刊少年サンデー」連載)
監督:押井守、脚本:押井守、キャラクターデザイン:やまざきかずお、美術監督:小林七郎、撮影監督:若菜章夫、音響監督:斯波重治、音楽:星勝

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