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「今、そこにいる僕(TVアニメ動画)」

総合得点
68.7
感想・評価
283
棚に入れた
1450
ランキング
1949
★★★★☆ 3.6 (283)
物語
3.8
作画
3.4
声優
3.6
音楽
3.6
キャラ
3.5

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今、そこにいる僕の感想・評価はどうでしたか?

なべ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 5.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

とても良いです。

まず鬱などを好まない人、キッズは絶対見ないでください。
逆の人は是非見るべき作品です。
ストーリーはかなりしっかりしていてとても良いです。
自分的に一番鬱になった作品ですね。
おすすめです。

投稿 : 2017/04/08
閲覧 : 201
サンキュー:

0

オブ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7
物語 : 5.0 作画 : 4.5 声優 : 3.0 音楽 : 4.5 キャラ : 1.5 状態:観終わった

シリアス

なんてこった…
ああああああ
ってなりたい方に是非。

精神的ダメージを受けたくない方や
明るい気持ちになりたい方にはオススメできません。

投稿 : 2017/02/13
閲覧 : 236
サンキュー:

0

ネタバレ

救い さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 2.5 声優 : 3.5 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

50億年後の未来…。救いの一切が描かれないバッドエンドアニメ

水を巡る戦争アニメです。

水を自在にあやつる精霊?ララ・ルーを狙いヘリウッド(兵士が住む要塞のこと)と
主人公シュウたちが戦い合うおはなし。

ある日、シュウが住む街に50億年後の世界からヘリウッドの兵士がやって来て、
ララ・ルーはヘリウッドに連れさられてしまう。
シュウもララ・ルーを追い、時空を超えてヘリウッドがいる世界へ向かう。
タイムホールを通り抜けた先にあったのは、干乾び荒廃しきった50億年後の世界だった。

ハムド率いるヘリウッドは干からびてしまった50億年後の世界に、再び水を得るために
ララ・ルーが持つペンダントを奪おうとする。水がないと世界が滅んでしまうからだ。

だがララ・ルーはペンダントをなくしてしまう。ペンダントがなくなったと知り、憤怒するハムド。
配下の兵士にペンダントを探すよう、命令する。

ペンダントはシュウが持っており、シュウは渡さないためにヘリウッドの子供兵士たちと戦う。
子供の兵士たちも近くの村から連れてこさせられていた。

敵と敵がひたすらに血を流し、傷つけ合う。戦争。

ララ・ルーは、シュウは最後にはどうなっていくのか。


これを見ると火垂るの墓を思い出します。

暴力・残虐なシーンが多く、(レイプ・自殺シーンも薄っすら有)
かといってそれを緩和させる要素もないので見るのは結構心にきつかった。
ずーっとただドス黒いアニメです。

WOWOWで放映された1999年当時、ポケモンの裏番組(木曜19:00)だったそうだが、これ誰が見るねんって思います。
サトシ役の松本梨香さんも本作ではシス役で出演されていました。

50億年後という設定らしいが全然未来感はありません。兵器とかも時代相応のものだし
人の格好とかも古臭い時代のものだ。

そのくせにタイムスリップさせる技術はあったり植物がバカでかく進化していたり、などと
そこら辺の時代設定は曖昧だそうです。


見どころ・・・むずかしいですね。
戦争について考えさせられる作品です。

投稿 : 2017/01/06
閲覧 : 250
サンキュー:

2

TAKARU1996 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 3.5 声優 : 5.0 音楽 : 4.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

今、そこにいる僕…今、ここにいるあなた…そして今、そこにある危機

前回、とあるレビューで私はこんなことを口にしていました。
「とりあえず、今度は鬱アニメ探訪でもしてみるか…」
※Q.鬱アニメとは?
 A.世間一般におけるアニメの中でも、特にハッピーエンドで終わらない、とことん暗く重い作品を主軸、もしくは一部の展開とした作品の総称

勿論、これを書いた事は決して忘れてなどいません!
何を観ようか悩み、観てみたは良いものの、ストーリー展開の余韻に悩み、どう言葉にまとめればいいかで悩んだ事等、語る必要もありません。
という訳で、私の中で新たな可能性の扉が開いてしまった成果を今こそ、皆さんにお見せするとしましょう。
さて、今日ご紹介する作品は先日、どこぞの動画サイトで鬱アニメランキング1位を獲得していた物です。
昨今流行りの異世界転生モノの流れを見事になぞっておきながら、その残酷で無慈悲な展開は、現代の地上波で放送するには到底不可能な内容
○○○が暗喩的に描写されたシーンや主人公や他の子供達に対して行われる○○の横行には当時でも目を覆った人、見てられないと投げ出した人も多かった事でありましょう。
これをその時のテレビジョンではゴールデンタイムに放送していた事を考えると、改めて時代の寛容性、そして時代の移り変わりと言う時の流れの深刻性を肌身に感じてしまいます(これがたとえ、WOWOWのノンスクランブル放送(無料)であったとしても驚きです)
しかし、こういった情景が夢幻でないと断言出来てしまう情報化社会の今だからこそ、私達は最後までこの作品を語り継いで、教訓として生かしていかなければなりません。
そういった点において、今作は第1回目の紹介として最も相応しい作品と言える事でしょう。
『今、そこにいる僕』
今回はこの作品について存分に語っていくと致します。


まずはあらすじを簡単に説明しましょう。
ごく普通の中学生、松谷修造(通称、シュウ)
彼は自信を持っていた剣道の試合に負け、尚且つ相手のいけ好かない真面目イケメン君に好きな娘を奪われてと、意気消沈
しかし、何事にも前向きなのが彼の良い所
気を取り直して明日からまた頑張ろうと思っていた矢先、いつも自分の秘密基地として利用している煙突の上に見知らぬ少女が座っているのを発見する。
夕日を見ながら黄昏る彼女、同じように黄昏るシュウ
無口な少女と少し話してみて分かった事と言えば、名前をララ・ルゥと言う、ただ、それだけ…
ララ・ルゥに興味を抱いたシュウ
もっと彼女について詳しく知りたいと思った彼
再度話しかけようとしたその時、突然見知らぬ機械と人間が姿を現し、彼女を何処かへ連れ去ろうとする。
必死に助けようとした彼はその戦闘の最中、彼女と共に何処かへ飛ばされてしまう。
たどり着いた先は、未来の地球にある領域の1つ、「ヘリウッド」
シュウはそこで、ララ・ルゥを巡る過酷な戦争とその世界での圧倒的な現実を目の当たりにする事となる……

ここからは私の個人的感想に移っていきたいと思います。
さて、こういった暗い作品を観るにあたって、私は1つの取り決めを自分自身に課しておりました。
それは、このような暗い作品は必ず、毎日深夜に拝見していく事
鬱アニメは静かな、誰しもが寝静まった夜に観てこそ、最適な効果がもたらされると思っているのが私の持論です(笑)
今作もそのご多分に漏れず、1番影響力の強いであろう、その時間帯に視聴した次第
しかし、幸か不幸か…
私が全13話を観て思った事は、衝撃的な展開が多くあって驚いたものの、それによって私が鬱屈した感情に見舞われると言うのは終ぞ無かったな…と言う事です。
いや、この表現はあまり正しくないですね…訂正します。
実は、この『今、そこにいる僕』と言うアニメは1話毎に生じる「余韻」と呼ばれる感傷が実に凄まじい作品です。
普通のアニメだったら最終回を観終わった直後に、何とも言えない余韻が精神を侵して、何も手につかなくなると言う事がままあります。
このアニメはそんな、普通のアニメであったら最終回限定で起こるだろう「余韻」が毎話毎に生じてしまう…と言えば分かりやすいでしょうか?
暗い気持ちになる事は無かった物の、毎回、1話ずつ観る毎に「今日はもう、良いかな…」といった倦怠感、疲労感、達成感を感じさせる作品
しかし、それが決してつまらないと言う訳ではありません。
寧ろ、先の展開は気になってしょうがない類のアニメです。
これは終始、絶望的なストーリー運びのオンパレードで観ているだけでも暗い展開が次々と起こって来る事
しかし、それでも先が気になってしまうと言う引きの良さ
この2点に集中して依る事によって起こった事態と言えるでしょう。
そういった「余韻」と呼称された感傷的な気持ちを多くの方々が「鬱」と解釈しているのなら、これは文句なしの鬱アニメNO.1です(現時点)
はっきり言って凄まじい…
アニメの展開にハラハラしてどうなるのかと見入っていた所に、EDの子守歌
あれでどれだけ自分の心が落ち着いた事か…
これを観て、その歌を聴いた後はもう、早々と眠りにつきたくなります。
それはもう、嫌な事を眠って忘れる赤子の如く……
そういった訳で、1話1話の詰まった内容、そして、最後に訪れるEDで、この作品は唯一無二の不思議な空間を作り上げたと言えるでしょう。

-----------------------------------------
私達は踏み慣れた生活の軌道から放り出されると、もうダメだ…と思います。
しかし、実際はそこに、ようやく新しい良い物が始まるのです。
生命のある間は幸福があります。
レフ・トルストイ
-----------------------------------------
今作の主人公、松谷修造
良く言えば楽天的な熱血少年、悪く言えば後先を考えない馬鹿
このアニメを観た方なら彼に対しての印象は人によっては実に正反対で、2つの概念に分かれてしまうかと思います。
ここのサイトも見てみると、彼については評価が見事に二分していました。
その点を踏まえた上で、次にシュウに対して私が感じた個人的印象を書き連ねるとしましょう。
私はどちらかと言うと、好評、すなわち、楽天的熱血少年としてシュウを高く評価しています。
しかし、それ以上にこれが他の希望的作品であったなら、彼の様な主人公では駄目だったとも思っています。
それはこの物語におけるシュウの無力さ、無邪気さ、無謀さが及ぼした影響にこそ、今作の全てが委ねられていたからです。

詳しく説明するとしましょう。
そもそも、こういった「物語」と言う概念において「主人公」とは、その作品の写し鏡である事が多いです。
私達は主人公の眼から見た世界で物語を自然と認識し、知覚しています。
例えそれが感情移入できる代物でないとしても、自然に私達は彼の行動、働き等から架空世界を視認し、判断していくのです。
それは、感情の問題でなく、感性と悟性の共同作業
この絶望的なまでの世界観を表現するには、主人公自体が無力でないと話が成立しないのは最早、明白
この世界観で主人公が何でも解決してしまったら、他の数多ある異世界転生モノとの明白な隔離が出来ず、したがって製作者側の真意が視聴者に上手く伝わる事は無いでしょう。

上記を踏まえた上で改めて、この作品のテーマは一体なんだろうかと考えてみた時、私が感じたのは
「圧倒的な現実における人間の無力さ」「人間の真の強さは馬鹿にある」
と言う事でした。
「戦争」
それはちっぽけな「人間」と言う生物には到底背負う事の出来ない概念存在
こういったあまりにも大きすぎる物事に対して、それぞれの人々がどう向かっていったか、今作には全てが描かれています。
巨大な理解不能を受け入れる人々、受け入れずに抗う人々、扇動して利用する人々、受け入れる受け入れないの前によく分からない人々、全てが終わった一歩先の未来を見ている人々
この全13話において、そういった人物全てが巧みに描写され、最後の帰結まで見事に行われている…
これを終わりまできちんと描いた事については、もう、「よくやってくれた」と言う物です。
さて、その中でシュウと言う人間は徹底的なまでに抵抗し、そして、無常的なまでに何もできません。
しかし、ここで忘れてはいけないのが、彼が立ち向かう事を決して止めないと言う過程
普通の良識ある一般人ならもう無理だと諦めたり、自分が生きる為に媚び諂ったりするのに対し、彼はそんな事はしません。
何回も立ち向かって、その度に酷い目に遭います。
この行為自体にこそ、アニメスタッフの伝えたい意図、テーマがあったのだと私は感じます。
それこそ最初に言った
「圧倒的な現実における人間の無力さ」「人間の真の強さは馬鹿にある」
見事に体現していると言えるでしょう。
「愚直」とは「愚」かな位、「直」ぐと言う事
そんな馬鹿だからこそ見えている、見えてくる景色がきっと或る。
それこそ、『イワンの馬鹿』を書いたロシアの文豪、レフ・トルストイのように…
シュウもまた、抵抗する事によって、そこに全てが終わった一歩先の未来を感じ取っていたのかもしれません……
-----------------------------------------
社会には、人のうねりには勝てないのだと。
世の中には、どうあがいても覆せない理性があるのだと。

社会のちっぽけな詐術など、人の真の強さの前では無力に過ぎる。
『車輪の国、向日葵の少女』より
-----------------------------------------


今作を観終えた後で、私はある1つの短編について思い出しました。
そのタイトルは『さあ、きちがいになりなさい』
書いたのは、著名なアメリカの作家、フレドリック・ブラウン
交通事故で過去の記憶を失った新聞記者のジョージ・ヴァインが、自分自身をナポレオン・ポナパルトだと思いこんでいる偏執病患者のふりをして、精神病院に潜入すると言う物語です。
その話の中で、彼は、自分がジョージ・ヴァインなのか、ナポレオン・ポナパルトなのか分からなくなります。
しかし、人間と言うのは、そもそも彼のように弱い存在なのでしょう。
人間における「正常」という観念は、社会や共同体に固執した人達によって理性化された産物
自分がいかに能力がある人間かと言う妄想を語るハムド
自分の事を何の疑いもなく正常だと思い、やっている事がおかしいとまるで感じていないタブール
利己的行為の為ならば、反乱とはいえ手段を択ばないエランバ
私達はそういった害悪存在をこそ、きちがいなのではないかと解釈します。
しかし、そう思う心も安全圏にいる私達だからこそ、普通に認識出来る事
『今、そこにいる僕』の様な崩壊した世界で、自分は気が狂っていないという保証が一体何処にあると言えるのか?
そういった問いを私は自然と感じてしまったような気がします。
もしかすると我々の世界も、視点を変えれば「ヘリウッド」と同じ…
私達は少なからず狂気の中に生きていて、それを「信念」等と言う、聞こえの良い言葉に言い換えている…
そんな気味の悪い想像が浮かんでしまったのは、恐らく私だけでしょう……

シュウはあの後、どうなったのだろうと今になって私は考えます。
自分が世界を救ったと吹聴して回っていくのでしょうか?
自分の胸の内に閉まって、限りある大切な人生を生きていくのでしょうか?
彼がジョージ・ヴァインの運命を辿らず、ララ・ルゥの想いを胸に生きている事を願っています。
シュウと、このレビューを読んでいる方、そして今、ここに生きている事の幸せを偏に感じたくなる…
そんな冬の一時なのでした……

投稿 : 2016/12/16
閲覧 : 509
サンキュー:

6

ネタバレ

退会済のユーザー さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.5
物語 : 1.5 作画 : 2.5 声優 : 3.5 音楽 : 2.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

一連の主人公の行動には全く共感出来ない。

 自分は鬱アニメが好きで
ネットで検索していたところ、このアニメが気になり
この度全編見る機会が出来たので
1話~最終話まで一気に視聴した後の率直な感想を。

 まず主人公があまりにもヘタレ過ぎる。
普通こういった敵に対して無力な少年の物語って
終盤までには成長しますよね。
でもこの作品は最後まで全く成長しない。
極論ですが居なくても物語に支障が無いくらい。
思考もそうだが、やる事なす事全てが後手後手で
「そりゃそんな考え、行動じゃそうなるよね。」
・・・って先読み出来る展開ばかり。
ほとんどの鬱展開がシュウがいらない事を
したばっかりに起きてる感じがしてちょっとイライラする。

 作者は手段、善悪は関係無く
とにかく【命を大切に】【人を傷つけてはならない】
という事を伝えたかったのでしょうか?
自分にはシュウはサラのいうとおり最後まで
偽善にしか見えませんでした。
「ダメ、ダメ!」ばっかり言っているわりに
敵には自分で何も出来てないし
被害者側の気持ちを全く理解出来てないです。
そんな心理描写が全く無くちょっと宗教じみたゴリ押し具合。

 争い事による殺人に限らず、
サラのある出来事に対しての
シュウとシスの命の大切さを説明する場面も
そりゃないだろと思いました。
あげくの果てにはヒロインを異世界に放置して
最後自分だけ元の世界に戻ってめでたしめでたしって・・・

 総話数が少ないので
あまり掘り下げた話を出来なっかたのでしょうが
説明不足で全体的に話が浅く
感情を表に出さずセリフがほぼ皆無のララルゥはともかく
主人公にも感情移入が全く出来ないです。
キャラ死亡時のお涙頂戴シーンも止め絵の作りが
雑過ぎて逆にシラケます。

 今まで多くの鬱作品を視聴して来ましたが
本作品は出来があまり良くなく
他の方にすすめる気にはなれませんでした。

 

 


 

 

 

投稿 : 2016/08/10
閲覧 : 404

えくいてぃ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 5.0 音楽 : 4.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

余韻が心に染みる・・・

なんだろう・・
物語全体を通して、暗くて悲しい雰囲気で進みますけど、
1話1話が深くて、終わった後もなんだか
すごく心に染みこんでくる・・

とても考えさせられます。。

投稿 : 2016/06/11
閲覧 : 276
サンキュー:

3

やまじい。 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7
物語 : 4.0 作画 : 3.5 声優 : 3.5 音楽 : 4.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

辛い。。

17年前なので、わりと昔のアニメです。

戦争をすることの愚かさを説くようなメッセージ性を強く感じました。
観ていて割と辛くてハッピーな気持ちになることはなかったですが、観て良かったなとは思いました。

投稿 : 2016/06/04
閲覧 : 246
サンキュー:

1

Near64 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 5.0 作画 : 3.5 声優 : 3.5 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

これは名作!

大人が見て楽しむ名作だと思います!

大人の欲望に子供たちが巻き込まれる事実。ーそれは今も昔も変わらない。
それでも子供はたちは必死に生きようとする、そこがこの作品の醍醐味だと思う。

投稿 : 2016/05/26
閲覧 : 243
サンキュー:

2

ネタバレ

タケ坊 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 5.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

夕日が目に染みる...この作品を観て考えるべきことは多い

いわゆる「鬱アニメ」というジャンルで語られる事が多い1999年の作品。

物語の展開自体は確かに鬱で悲劇的だが、ただ単なる露悪主義的なものではなく、
内容にはしっかりとしたテーマとメッセージ(問題提起)を内包しており、
作品のラストも一筋の希望が見いだせるように描かれている。

決して観て楽しいという類のものではなく、非常にシリアスで重い(あくまでアニメとして)が、
目を背けずにしっかりと向き合って考え、観るべき価値のあるアニメだと思う。
(グロシーンなどそこまで直接的にキツい描写はありません)


☆物語☆

現代の中学生シュウが、ある日剣道の練習帰りに偶然出会った謎の少女、
ララ・ルゥを守ろうとすることがきっかけで、未来の地球?へと時空を移動してしまう。
その世界は水資源が枯渇し荒涼とした砂漠、不毛な大地が広がっているが、
人間は戦争を繰り返す日常を送っている。

(本編では具体的に語られないが、何かで見たんだけど、
どうやら50億年後の地球という設定らしく、太陽が肥大化し寿命が近いことが映像を見ても判る。
戦争によって荒廃な大地と化したのか、太陽の肥大化による乾燥なのか、その両方か、はハッキリとは判らない)

狂王ハムドが治めるヘリウッドで、捕らえられたシュウは周りと同様に強制的に兵隊にされてしまう。
その後シュウはララ・ルゥを助け出し何とかヘリウッドから脱出するが...

詳細な世界観や背景、人間関係など多くの部分が作中では語られることはなく、視聴者の想像に任されている。
オリジナルの1クールアニメでは、色々と詰め込んでしまって失敗するケースが多く見受けられるが、
(尺の足りなさや何を観せたいのかがボヤけているものなど)
本作は敢えて具体的な説明を省いて、伝えたいものだけを表現していると感じる。

鬱展開に関して具体的には、{netabare}拷問、拉致監禁、洗脳、強姦、殺人、死、{/netabare}といった場面が描かれており、
確かに今のアニメ事情を考えると、本作のような内容のものを作ることも、放送することも難しいし、
普段気楽に観れるような作品ばかり観ている人にとっては、なかなか衝撃的なものだろう。。

しかしながら、戦争という重いテーマを扱うにあたっては、中途半端なものを作っても意味が無い。
描かれている内容はフィクションではあるものの非常に生々しいリアリティを備えており、
現在の世界で起きている戦争(イラクやシリアなど)を見ても、
作品中と全く同じこと、それ以上に酷い現実があるのだから、
戦争がもたらすものはいつの時代も同じであり、
本作の表現の数々とメッセージが普遍性を持ったものであるという事は、観れば容易に理解できると思う。

EDが優れていることもあるが、毎回観終わった後の余韻をしみじみと感じる味わいがある。
最終話のラストシーンは非常によく出来ていて、夕日のシーンが感動的だが、
実際には殆ど主要なキャラに救いはない。

自分の考えでは、{netabare} ララ・ルゥは11話でシスに対して、
「世界がもうすぐ終わるのに何故子供を育てるのか?」と言っていて、
これは戦争によるものではなく先に書いた通り、
太陽の寿命が近いことを察していると解釈できる=あらゆる地球上の生命の絶滅。

そう考えると、ラストはララ・ルゥの行動により、未来に一筋の希望があるようにも思えるが、
戦争しようが止めようが、人類に残された時間は後わずかであり、
本当の意味での未来が無いことを表していると言えると思う。
だからこそ、命の尊さや有り方も、より一層重みを持って観る者に訴えかけるのではないだろうか{/netabare}


☆声優☆

今ではベテランの域に入っている名塚佳織さんだが、
台詞はあまり無いものの、本作がデビュー作?で、ヒロインのララ・ルウを演じている。
当然声も今とはだいぶ違う笑

アベリア演じる安原 麗子さんは、元アイドル少女隊のメンバーで声優としては本作がデビュー作?のようで、
若干演技が棒っぽい違和感は感じる。。

狂王ハムドのイカれた演技が特に良い味を出しているが、声優さんが好きに演じていい、と任された結果らしい。。
その他子役は実際の子供が多く出演していて生々しさがあり、
素人臭さはさほど無くしっかりと演じられていると思う。


☆キャラ☆

主人公のシュウは冒頭の剣道のシーンを見ても判るように、
場当たり的な言動を終始繰り返すアホキャラ。
不死身さ、ありえない身体能力など突っ込みどころは多い。。

どこまでもポジティブで正義感が強く、
正直感情移入や共感出来るようなタイプではなく、
今で言う、とことんKYな性格だが、他人の気持ちを理解せず、深く考えずに発するその言葉は、
絶望的な状況の中で周りに与えた影響を考えると、実は非常に核心をついたものでもあり、
物語上では欠かせない重要な役割を果たしている。

観ていて良い気はしないが、敢えてバカに描くことで、
共感は得られなくとも視聴者に考えさせようとしているのが、制作側の狙いだろう。
シュウの言葉をそのまま何も考えずに制作側のメッセージと受け取ってしまって、
「おかしい」「駄作だ」というのは非常に浅い観方ではないだろうか。

自殺や中絶、戦争が罪であることは一般的な倫理観として当然のことで、
シュウやシスが言うことはごく当たり前のことなのだが、
本作を観れば、あのような状況に実際に置かれた場合、果たしてそう言えるのだろうか?
どちらか一方が正しいとは決して簡単には言えないだろう、だからこそ深く考えさせられる。。
これは本編9話のラストなどを観ても同様で、
シュウの {netabare}「あいつも正しい気がする、でも同じくらい間違っている気がして...」{/netabare}
という台詞は本作を象徴するものの一つだろう。

ヒロイン的な役回りのララ・ルゥは口数が極端に少なく台詞量はかなり少ないが、
シュウに自身のペンダントに関して語った言葉やシスに対して何故子供を育てるのか?
といった問いかけなど、語った言葉殆どすべてが重い。
主人公シュウの軽さとは正反対にある描かれ方をしていて、
彼女の心中を察すると、想像を絶する悲しみや絶望しかないということがよく解る。

主要な登場人物の多くが苦境にあえぐこととなり、救われないが、
一人一人の存在、命の重さや尊さは、観ている側に充分伝わってくる。
また、狂王ハムドのクレイジーさも実に巧く描かれていてインパクトが有る。


☆作画☆

時代的にセル画アニメの晩年期にあたるが、
人物の描き方はさすがに今のアニメよりは劣るものの、当時を考えるとよく出来ている方だと思う。
荒涼とした大地や夕暮れに染まる街並み、要塞ヘリウッドなどの背景は非常にアナログの良さ、
手描きの温かみを感じるもので、作品の世界観を考えると非常によく合っていて味わいがある。

長濱博史監督など今では著名なアニメーターの方々が制作に参加しているというのも興味深い。


☆音楽☆

OPはラテンチックでありながら、哀愁を感じるメロディーが心地よい。
EDの夕暮れに染まる街と歌詞は、毎話見終わるたびに感慨に浸ることが出来る良曲。

特筆すべきは岩崎 琢氏が制作した作中音楽の数々。
改めてサントラをチェックしてみても、やはり素晴らしい出来。
(アニメのサントラの中でもかなりの完成度だと思う、オススメの一枚)

どうしようもなく絶望的で鬱な世界の中で、悲しみだけではない、
温かみや安らぎ、希望も備えている楽曲(standing in the sunset glow)は
作中で何度も流れる、涙無しに聴けない名曲。

投稿 : 2016/05/19
閲覧 : 389
サンキュー:

10

ネタバレ

TimuTimu さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 4.5 作画 : 3.5 声優 : 3.5 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

命ってなんだろう

様々な命の在り方を教えてくれるアニメです。刺激的な描写がありますが、戦争の生々しさを物語っていると思います。



好きでもない人の子供を宿してしまったとき、相手が攻撃してきたとき、敵の中にかつての仲間・同士がいるとき、今すぐ殺せる状況でとても憎い人が目の前にいるとき、あなたはどうしますか。共に生きる方法を選びますか?それとも殺し合う方法を選びますか?

投稿 : 2016/03/21
閲覧 : 306
サンキュー:

3

Lelouch さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6
物語 : 4.0 作画 : 3.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

私の命は地球より重い

今まで見た中でも上位になるほど
見たあとの余韻がある。
生々しい演出で今ではできないだろうアニメ。

物語は鬱の要素満載ですこしSF
設定が漠然としていてなんなのかわからない所もあったが
逆に説明がありすぎたらごちゃごちゃしそうなので
これぐらいでよかったかなと思う。

主人公が熱血バカな所は感情移入しにくい…

狂王ハムドはなかなかのキャラで良かった。

すごくおすすめまではいかないけれど
この作品は考えさせられるので
刺激がほしいときには見るといいかもしれない。

投稿 : 2016/02/22
閲覧 : 280
サンキュー:

8

ゆろん茶 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

暗い話ですが、、、

今ではもうこの類のアニメに出会えることはまずありません。

といいますのも、近年テレビ放送での内容や描写等の規制が厳しくなっており、そうした規制の少ない時代にこのアニメは誕生したため、より現実味に帯びたアニメになっています。

私は滅多にコメントを書かないのですが、この作品を鑑賞した後、書かずにはいられませんでした!

この衝撃的かつ残酷な物語をまだご覧になられていない方には是非ご享受いただけたらと思います。

投稿 : 2015/12/12
閲覧 : 253
サンキュー:

1

ネタバレ

セメント さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 4.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

お前は帰れ・・・

お前のいた所に・・・帰れ・・・


鬱アニメを面白おかしく紹介する有名なテンプレートがありますが、本作もその中にあります。
"今、そこにいる僕:剣道少年がいきなり戦場に!?痛快アクション!!"
なるほどなー。ま、間違っちゃいないけど、痛快アクション!なんて軽いノリでは決してありませんw
異世界に飛ばされちゃった系ではあるのですが、最も飛ばされたくない世界No.1であることに間違いないと思います。
いきなり兵隊として訓練され、仲間同士で殺し合いをさせられて、とにかく散々。
終いには血まみれの親友に腕を掴まれ、お前の生きたいようにしろだなんて、重すぎます、嫌すぎます。
もう一人、シュウと同じ世界からやってきたサラ・リングワルト。
この娘の顛末もそれはそれは悲惨で、兵士にレ○プされて子供まで授かります。
彼女はほんとに救いようがありませんでした、エログロヴァイオレンスのトップを行く作品でしょう。

監督は「ギャグマンガ日和」や「レジェンズ」でお馴染みの大地丙太郎さんです。
ということで、「レジェンズ」とは主人公の名前が同じ、スターシステムを導入しています。

主人公・シュウを演じる声優はご存じ、岡村明美さんです。
同じレジェンズも同じくシュウで主役張ってるんですが、大地監督作品によく起用されるイメージです。
あとは、ハムド様の石井康嗣さん、最高b

音楽はかなり静かなイメージですね、落ち着くんですが、如何せん内容が内容なだけに、改めて聞くとそわそわします。
音楽は主に岩崎琢さんが努めていて、やはりかっこいいです。

圧倒的ハムド様の存在感。"けきききききききき"みたいな笑い声が印象に強く残っています。
しかも予告編は、何故か、ハムド様の独壇場となっています。
溢れ出るカリスマとか言われてますけど、まぁ荒廃した世界で身に余る地位を持ってしまったが故のキチ○イっぷりというか。
あとは、ララ・ルゥってなんかガンダムのララァっぽい名前でアレですよね。


ずばり、質アニメです。
質アニメ好き(通称:質豚)というのは、ここ5年でやっているアニメをアニメとして認めない節があると聞きます。
今期アニメなんかは勿論見なくて、過去アニメを珍重する種族です。
というのも、最近のアニメというのは、ファンの声が煩わしくて、見るのも嫌になるというのも多い話です。
ファンが大分沈静化された5年目あたりのアニメというのが非常に熟成されたころであって、美味しくいただけるんですよねぇ。
さらに言うと、そもそも質アニメというのは1クールで1本、多くて2本くらいです。
とにかく絶対数が少なくて(そんな毎年ホイホイ名作が生み出されたそれはそれで困る)、見るものもありませんから、必然的に過去のアニメの消化に勤しむわけです。
質アニメ、面白いですからねぇ、好きになる気持ちも分ります。

投稿 : 2015/11/16
閲覧 : 264
サンキュー:

3

ポール星人/小っさ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

別に鬱と身構えなくてもいいような

 鬱アニメの最終到達点みたいな強烈な奴だと思って観始めたんですが、意外と普通にイイ話なような(汗)

 多くの方が書かれてる様に、確かに主人公の言動がアレ過ぎて違和感ありますけど話自体は王道展開だと思います。
裏を返せば、ほ~そう来ましたか!!的な捻った展開の面白さは無いです。
ただ、何時の時代・どの国の戦争の背後にあったであろう残酷さや無慈悲さ、抗いようの無い各個の立ち位置をストレートに話に織り込んでいるので鬱作品と言われてるんだと私的には思いましたです。

 キャラクターデザインに古さは有りますけども当時の作画レベルとしては特段レベルが低い訳でも無いですので、この作品が観たくて観ると言う方ならば特に気にならないんでないですかね。

 ただホント、主人公のシュウの考え方と言動が気持ち悪いと言うかw
そのこいつ聖人か?とも思えるほどの発言がハマるシーンも無くは無かったですが、チョットいまいちには感じました(汗)
意図したキャラ造りではあったんでしょうけど、感情移入できる程度の普通に近い人物像の方が良かった気はします。
ヒロインに関してはララ・ルゥなのかサラなのか?という微妙さは有りますが、この世界でのララ・ルゥの立ち位置の特殊性からやっぱサラの過酷な運命には同情せざるを得ないというかメインと言いますか。
主人公が普通じゃないから、サラは気の毒ではあるけど彼女の部分があるから観てられたとも言えますけど。
サラの脱走のシーンは、全然似て無い話なんですけど何故か映画のミッドナイトエキスプレスを個人的には思い出しちゃいましたです。

 私も他の方のレビュー読んだ印象からして絶望しか残らない作品と勘違いして観てましたが、ラストの締め方は絶望一色では無い作品ですので特に鬱だろうと敬遠せず観てもイイんではないかと思いましたです。

 ところで太陽がシュウの世界に比べて大きくなってるのは、太陽の膨張を表してたって事すよね?異世界モノだと思って観始めたんで、未来の話かと気付いたの終盤に近づいた頃だったんすよね。お恥ずかしい(汗)
作中ではっきり説明はしてないですけどね。

それにしてもコレを19:00から放送してた某BS局って、結構チャレンジャーだなとw
////////////////////////////////////////////////////
ごちうさを見ながらこれ見ると、とてもバランスの良い精神状態を得られるのでは?というナイスアイデアを思いつき観始めたんですけどね。
コレ6話まで観ときながら、ごちうさは1話しか観てなくて思惑通りにいかないモドカシサw

人・集団の業を描きながらも、無垢な少年とはいえ人間臭さのない主人公が人によっては共感出来ないのかもですね。私もそう思ったんだから心底この作品には共感してはいないのでしょう。バランスが悪いんだと思います。
でも、続き見たくなるんですよね。

投稿 : 2015/09/05
閲覧 : 577
サンキュー:

9

ネタバレ

sekimayori さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5
物語 : 3.0 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

Anywhere but here. 【64点】

戦争下の異世界(未来の地球?)に放り出された少年少女の運命を描くシリアスファンタジー。
鬱アニメ、という単語を軽々しく使いたくありませんが、これほど視聴が辛かった作品は他にありません。
何度、視聴を止めてここではないどこかへ逃れたいと思ったことか。
ストーリーや設定に粗は多く、決してお薦めはしないけれど、観た人の心には長く、重くのしかかるかもしれない作品。
{netabare}

本作では、子供向けアニメのような柔らかいデザインの登場人物たちが、理不尽で冷酷な世界に翻弄されていきます。
狂気に塗れた独裁、過酷な少年兵の生、連鎖する憎しみの環、流され続ける血。
粛清、略奪、強姦、復讐。
戦争という極限状態下での人間の獣性、残酷さを、露悪趣味かと疑うまでに真正面から描いている。

でも、最も辛かったのは、主人公シュウを通して、人の無力さをむざむざと見せつけられたことです。
無力さの第一は、極限の環境や血の連鎖に対する個人の無力さ。
そこだけは子供向けアニメに倣ったかのようなシュウの頑健さを以てしても、狂王ハムドは止められない。
「生きていればいいことがある」を連呼し、近代的な価値観を少年兵たちに押し付けたところで、その苦境から脱する手助けにはならない。
ザリバースの民の復讐計画を思いとどまらせることすらできない。
理不尽に対する無力感、やるせなさを、視聴者に(様々な意味での)夢を供給してきたアニメという媒体でこれ以上ないほど描いているのが皮肉と言うか何と言うか。

第二は、傷つけられた他人に対する無力さ。
これはシュウとサラの関係性において顕著でした。
人違いで拉致された挙句、強姦され望まぬ妊娠をし、中絶未遂にまで至ったサラに対してシュウがかける言葉は、ここでも「生きていればいいことがある」。
はっきり言って視聴中は虫唾が走りました。
サラの苦しみを理解もせず、無責任な楽観論で痛みを更に抉るのか、と。
でも、もし自分がサラの横に居たら何ができるのか、どんな言葉をかけられるのかを考えたとき、答えは何も浮かばないのです。
時が痛みを解決してくれるだろうと、そっとしておく?
本作の世界では、明日の夕陽を眺めることすらできないかもしれないのに。
辛かったね、と寄り添う?
その辛さを理解できようはずもないのに。
では、マッチョイズムを発揮して抱き寄せ、人の温かさを伝えてあげる?
その熱を持ち頑強な肉体が、彼女を弄び苛んだのに。
たとえ真に理解できなくても、苦しみを取り除けなくても寄り添うことが人と人との関わり方だと信じたいけれど、残酷な世界ではその小さな理想さえもあまりに儚く思えます。
(ただそれにしても、シスまでサラにあんな言葉を投げかけたのは理解ができない。女性が観たらどう思うのでしょうか?)

物語ラスト、現実世界に戻ったシュウの目は、赤い夕陽の向こうに何を見ていたのか。
不覚にも、「生きていればいいことがある」という無垢な願いがまだ彼の中に残っていることを祈らずにはいられませんでした。


以上のように陰鬱さの質量では他に類を見ない本作ですが、ただ、その重さが視聴者全てに響くかというと、そうは言えないように思えます。
ストーリー展開や設定の整合性についてはお粗末でしょう。
現代から水持ってくればララルゥ要らないし。
シュウがララルゥに拘る理由もわからない。
ハムドが権力を把持し続けられる理由や、アベリアの盲信の根拠も明かされない。
私は本作の無力さの描写に圧倒され途中から粗に目を向ける余裕すら失ったけれど、冷静な目で再視聴すると、露悪的な描写が鼻につく、という感想を抱く可能性も否めないかと。
テーマの重さを支えるには、もっと設定や物語の堅牢さが欲しくはあります。

その他、なけなしの温かみを感じさせる音楽面や、基本は実直かつ魅せる部分は魅せる演出は、丁寧に作られていたと感じました。
特にサラ関連で、花の散り落ちるシーンと断髪のシーンは、久しく忘れ得ぬだろうと確信するほど印象的でした。
残酷で悲劇的な場面(落花については言うに及ばず、断髪も幼い自分と決別せざるを得ない理不尽な旅立ちのシーンだと思う)が最も美しいことが、この作品を象徴しているようにも思えます。

あ、よく鬱アニメとして名前が挙がるリヴァイアスですが、あれ希望の物語ですよ。{/netabare}


【個人的指標】 64点

投稿 : 2015/08/22
閲覧 : 491
サンキュー:

12

ニャンキチ君 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 4.0 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

救えない…。この思いはどこへ…。

 1話軽い気持ちで観始めたら どんどん暗い展開になっていき「ぼくらの」アニメと内容は違うのですが 観終ってから 心にドーンと重くのしかかってきます。

 お話は、主人公シュウが不思議な少女ララルゥと出会い 遠い未来に連れて行かれ 凄惨な戦争に巻き込まれていきます。繰り返される争いと止まらない怨嗟。殺す側も殺される側も同じ人間なのに無情にも血は流れて行きます。 

 それにしても側近のアベリアさん。ヘリウッドの狂王ハムドに忠誠をつくしていたけど 私がそばについていないとだめなんです愛。という感じだったのでしょうか。

投稿 : 2015/07/10
閲覧 : 651
サンキュー:

20

Low.IQ さんの感想・評価

★★☆☆☆ 1.9
物語 : 1.5 作画 : 1.5 声優 : 3.0 音楽 : 2.0 キャラ : 1.5 状態:観終わった

鬱アニメ?

前に出たがりな主人公が、
違う世界へ飛ばされ、
悲惨な目に…

戻れると信じて前向きに生きるアニメです...

そんなにストーリー、構成等々、
期待するアニメではありません。

投稿 : 2015/04/21
閲覧 : 284
サンキュー:

0

ネタバレ

おしぴんちゃん さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

タイトルなし

13みたー

投稿 : 2015/01/31
閲覧 : 320
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0

ざんば さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 3.5 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 5.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

Now and Then, Here and There

現実は非情である
もちろん、アニメなので現実ではないが
そう思ってしまうほど救いのない話だった

いろいろとメッセージを感じとることはできたけれど
辛く悲しい場面が多かったので
そのことについて深く考えることは
今の私には出来ませんでした

投稿 : 2014/12/08
閲覧 : 395
サンキュー:

15

woa さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

場所と時間のずれ

タイトルからもわかるように主人公は今を生きつつも自らの場所に自身を見いだせていないということを異世界の過酷な体験を通じて導き出す。しかしこの周囲との不一致は彼の強みなのだと思う。最終的に自らの日常を肯定するように見えるが冒頭にララ・ルゥと夕焼けを見ていた時の表情はあどけなさや自己完結のようなものはなく新しい何かしらの決意や成長を感じさせる。冒頭で主人公とララ・ルゥははしごが途中で壊れた煙突の上で出会うのであるが、それ以降異世界のエネルギー闘争に巻き込まれた主人公は枯渇した水資源の供給元であるララ・ルゥの心を救うため救い枯れ果てた大地で暴政の下で生きる兵士や農民たちとともにララ・ルゥがいる煙突の先までまさに壊れた梯子を上るような困難な行程を行うのである。新しい土地で知り合う友人たちもまた壊れた梯子からいまにも落ちんとしておりまず主人公が手を貸し最終的には主人公が彼らに手を借りることでに過去を思い出すという夕日を眺めているララ・ルゥの待つ煙突の先へとたどり着く。誰もが過酷な生をつなぐために他人への同情ややさしさといった人間性を失った世界で誰にも彼にもその手を差し出そうとする主人公のひたむきさは本人もそういうように場違いに見える。また1話冒頭にも主人公が納豆をのどに詰まらせて周りを汚したり、蛇口に口をつけて水を飲んだり周囲からすこし浮いた存在であることが一人で楽しげにいく帰り道に示唆されるが異世界において彼の自我のはっきりした性格は自分の極限状態に大きく規定された異世界の住人にとっては時にまぶしいものとして周囲に認識される。そしてこの主人公の影響力は次第に大きな政争の流れの中で主人公やその周囲の人間の運命を大きく左右することになる。そして主人公に影響を受けた人間はほとんどがその世界にいい人間は生きていけず死んでしまうというララ・ルゥの言葉のなぞらえるように非業の死を遂げるのである。この未来世界において人類は何度もお互いに殺しあうという同じ過ちを繰り返し滅亡してきたのであるがその世界のありようは残酷な形で登場人物にも作用しており彼らの未来は明るいものとは言えないかもしれない。たとえ一部の人間がその人間性を取り戻したとしてもその人間は周りの世界に順応できずにすぐに死んでしまうのだから。であるならば主人公はいったいその世界で何を成し何を残したということになるのか。ただ主人公が昔煙突に誰よりもうまく上っていた際に彼自身がその煙突を勇気の塔と呼んでいた彼の勇気は確実に孤独に苛まれていたララ・ルゥの心を救ったのであり異世界に水資源を再び取り戻したのである。そして主人公の影響力を受けつつも死を免れ異世界で新たな生命をはぐくむことを決意したもう一人の時間旅行者はかつては自分の災難に対して無力だった主人公の「大丈夫」という言葉を今度は自分の新しい口癖とするのである。主人公が辿り着いたララ・ルゥとの場所で過去を思い出すことはないと言っていた彼女は主人公とまた一緒に日が沈む光景を見るための約束をして超越者としての役割もいったん終わるのだがサラに宿る新しい命とこのまた出会うための約束はおそらく同じ性質のものであり復興していく異世界のよりどころになるのだろう。

投稿 : 2014/11/17
閲覧 : 259
サンキュー:

3

ネタバレ

ろれ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6
物語 : 4.5 作画 : 3.5 声優 : 3.5 音楽 : 3.5 キャラ : 3.0 状態:観終わった

衝撃の連続

鬱アニメとして挙がっていたので見ました。

内容は確かにすごく悲惨なものです。

楽しみながら見るようなものではないので閲覧注意って感じです。

{netabare}サラが髪を切るシーン{/netabare}は今まで見たアニメの中でもトップクラスに印象深いです。

投稿 : 2014/11/12
閲覧 : 219
サンキュー:

2

あーこ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 4.5 作画 : 3.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

メッセージ色の強いアニメ

古い作品だからなのか話数が足りないからなのか意図的なのかはわかりませんが設定についての説明がほぼありません。
ヘリウッド・ハムド・ララルゥは謎が多いまま終わりました。
しかしそんなことが気にならないくらい物語に引き込まれます。
扱ってるテーマがとても重く戦争について回る暴力・略奪・少年兵・慰安婦と13話にぎゅっと詰め込まれています。

主人公は自分の正義を振りかざすので少し煩わしく感じる方もいると思います。
そして無力なのも痛々しかったです。特にサラに対して。
村の青年をとめられないシーンも見ていて辛かったです。
現実でも思想の違う正義と正義がぶつかり合えば戦争は起こり、それをただ人殺しはよくないと言ったところで解決にはならないし・・・などと考えてしまいました。

投稿 : 2014/11/02
閲覧 : 280
サンキュー:

4

紫煙の心 by斑鳩 さんの感想・評価

★★☆☆☆ 1.7
物語 : 1.0 作画 : 2.5 声優 : 2.0 音楽 : 2.0 キャラ : 1.0 状態:途中で断念した

自分に反日アニメは合いません

この作品を視聴した時が、日教組などの糞教員たちに左翼的な思想を
刷り込まれている視野が狭い10代の時だったら、間違いなく感銘して
大絶賛しただろうな(笑)
ただそれなりに学校ではやらない現代史などを知ってると胸糞が悪い
自虐ストーリー、悪役の国が行っている行動が某半島の南側の某国が
証拠も無いのに日本へ言いがかりをつけている、強制連行や従軍慰安婦の
捏造ストーリーにそっくりなのには苦笑いするしかない。

視聴している時に「これは創作でファンタジー」と念じても左翼的イデオロギー
の喧伝に不快な感覚しかありませんでした。

大絶賛されている方もいますので今後、この作品を視聴する方がいるのなら
あまりお勧めはしませんがあえて視聴するなら上記ことも踏まえて視聴するのも
良いかも知れません。

投稿 : 2014/11/01
閲覧 : 357
サンキュー:

6

-?- さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 5.0 作画 : 3.5 声優 : 5.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

絶望的、色々考えさせられる物語 大人向けアニメ

あにこれレビューから発見
大人向けな作品、非常に暗いアニメですが名作です
当時WOWWOWでしか放送されてなかったみたいで残念
(もう今じゃ放送できないだろう←今はAniTubeで見られます)


物語:内容は他参照(突っ込みどころを抜かせば名作)

声優:ハムド役・石井康嗣がヤバイ
これぞ声優の本気、他の声優さんもすごい

キャラ:ハムドがキチガイすぎる
(個人的にムスカ・HELLSINGの少佐を超える)
サラ・・・主人公より可哀想過ぎる・・・

音楽:EDがよいがBGMが特に良い、無音との使い方上手すぎる


他の人も書いてありますが鬱です
(2話から最後のほうまで報われない)
かなりアニメを見慣れた人じゃないとキツイ
(ぼくらの・無限のリヴァイアス並です)
物語の筋書き的に突っ込みたいところが色々あると思います
(たとえば内部でなぜ反乱が起こらないとか、ララルーが一発ぶっ放せば終わるじゃんとか)
それらを気にしなければ名作です
というか気にならないぐらい声優・演出・台詞などが完璧すぎる

戦争・暴力・強姦・強奪・拉致などなど
見る人によって感じ方は違うと思いますが
人間のありとあらゆる愚かさがにじみ出るアニメです

大人向け・鬱系・物語重視の人にお勧めです
(アニメ初心者は絶対見ないこと、覚悟してみたほうがいいです)

追記:ゲスの極み、ハムド最高にして最低w

投稿 : 2014/10/07
閲覧 : 300
サンキュー:

9

三崎鳴 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 5.0 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 3.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

Now and then,here and there

作品を評価する言葉の一つに、「人間を描いている」というものがある。これは人間の言動や行動を本性にどれだけ近く、どれだけ脚色なしに描いているかという点に焦点を当てた見解だ。本作は、その「人間を描いている」アニメの、一種の完成形である。設定は異世界に飛ばされた主人公が、そこで勃発している戦争に巻き込まれ、様々な経験を経て成長していくというありふれたものであるが、暴力描写が占める割合が多く、19時に放送していた作品とはとても思えない。身を挺して子供を救おうとする主人公、自らの身を守るために手を汚す少女サラ、邪知暴虐の王ハムド…戦争の血生臭さと理不尽な戦争観が凝縮された傑作である。誘拐と洗脳により、出兵させられる少年兵の苦悩に胸が締め上げられる。視ていてとてつもなく苦しく、時には吐き気すら催す描写もあり、精神的なショックはかなり大きい作品だが、目を背けずに見ておかなければならない一作でもある。本作がアニメーション史に埋もれてしまうのは非常に惜しい、なんとかして一人でも多くの人に知ってもらいたい。絶対悪としての戦争を鮮明に色濃く書き上げたスタッフ陣には精一杯の賞賛を送りたい。

投稿 : 2014/09/14
閲覧 : 256
サンキュー:

3

スマートなトーマス さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

タイトルなし

あまり鬱になれなかった。はだしのゲンに似ているところがある。

投稿 : 2014/08/27
閲覧 : 169
サンキュー:

0

つんつく さんの感想・評価

★★★★★ 4.9
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

戦争や今あるものについてリアルに考えちゃう

もっと評価されるべきだと思います
戦争中の国にあるあるって思うことや
今あるもののありがたさについて考えさせられます
主人公の考えがしっかりしてるのも良いです

低い評価をしている人を気にせずに見るべき
短いので見やすいかなとも思います

投稿 : 2014/08/22
閲覧 : 247
サンキュー:

1

ネタバレ

富士山 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

争いをしても両者が苦しむ

この作品からは争いの醜さが伝わってくる。
この作品をみて楽しい気分になる人はいないだろう。
この作品を見て争いがなくなればいいなと見た人が思えばこの作品は成功しているのだろう。
私はそう感じたのでアニメとしては成功していると感じた。
悪くはないが後味がよい作品ではないの万人にはおすすめできないが鬱アニメを求めている人にとっては最高のアニメだろう。

投稿 : 2014/06/26
閲覧 : 227
サンキュー:

1

まだ初心者 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

閲覧注意アニメ

観終わった後かなり憂鬱な気持ちになります。アニメ初心者はまだ観ない方がいいです。あらゆる名作アニメを観て、観るものがなくなったときに観るアニメです。
自分はこのアニメを10作目か20作目ぐらいに観てしまって、「失敗したーっ」と思いました。なぜかというと、これの後に観たアニメの内容が全然頭に入ってこなかったからです。これの後に観たアニメも決して面白くないアニメではありません。基本的に評価の高いアニメしか観ないので名作の部類に入るアニメだったと思います。それでさえも頭に入ってこないぐらい強烈な内容でした。
どんな名作アニメも前提としてフィクションということが頭にあり、実生活にまで影響を及ぼすことはないですが、このアニメは民族浄化や少年兵など現実社会とリンクしている重たい内容が多く、「マジかー。もうやめてくれよ」と思うようなシーンがたくさん出てきます。そういったリアルで重たい内容がトコトン暗い気持ちにさせるんだと思います。
絵と内容のギャップがハンパないです。絵はかわいいのに内容がドぎついです。あと音楽が良いです。演出もすばらしいです。
ただ、アニメを楽しみたい人にはお勧めできないアニメです。マジで閲覧注意アニメです。評価の高いアニメ100作以上観てますが自分の中ではこれが断トツです。これより精神的ダメージがあったアニメは今のところありません。

投稿 : 2014/05/07
閲覧 : 313
サンキュー:

3

ネタバレ

蓬(Yomogi) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5
物語 : 4.0 作画 : 3.5 声優 : 3.0 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

タイトルなし

ギャグアニメでおなじみの大地丙太郎監督のシリアス異色作。

まっすぐな性格の少年シュウが謎の少女ララ。ルゥと出会い、荒涼とした異世界に飛ばされ戦争に投げ込まれるファンタジー作品。

子供アニメ向らしい線が少なく丸みを帯びたキャラデザインで作画そのものは非常に良かった。
動きもアクティブに、丁寧に動かしていたと思うし、作画陣も有名どころが手がけている。
背景も落ち着いた安定感のあるもので言う事がない。
音楽については要所要所に流れるテーマ曲が本当に美しく、作品に深みを与えていたと思う。
演出も大変良い。

戦争に巻き込まれて生きる人々の心情に踏み込んで描いた点が、この作品の評価の高い所以だろう。
可愛らしいキャラクタデザインや第一話の冒険活劇を彷彿させる導入を見事に裏切る展開にびっくりした事は確かだ。

見終わったあとに憂鬱になるアニメ5本の指に入れてもいい。
それくらい重かった。
見て良かったと思う。
思うがしかし、言いたい事もある。

まず第一に、リアリティの軸が最後まで定まらなかった事が不満。
アニメを見る時、その作品がどのくらいリアルさで描かれているのか無意識に判断するのが普通だ。
たいていはキャラクタデザインがデフォルメならファンタジー、写実的ならリアル系と判断すると思う。

この作品はデフォルメデザインであるし、第1話で主人公シュウがロボット相手に大立ち回りを演じる。
高さ20mくらいのところから飛び降りても脚は骨折しない。
しかしシュウと同じく異世界に連れてこられたアメリカ人の準ヒロイン・サラが登場すると話のリアリティが迷走する。

アメリカ人と日本人なのに言葉が通じる事については、低リアリティで見ていたのでなんら疑問はない。
しかし、その後サラのレイプ、妊娠、堕胎未遂とつづくと
「一体これはどのくらいリアリティを感じればいい物語なのだろうか?」
と混乱してしまった。

またシュウの主人公としての感情移入のしにくさがあげられる。
ララ・ルゥのペンダントの在処を自白させられるために拷問にかけられるのだが、そのあと彼は拷問によるPTSDの症状を全く見せないのである。
サラは2度と癒えない傷を負ったのに対し、シュウは拷問前と同じく「生きていればいい事がある」との主張を繰り返すだけでケロッとしているのだ。

その後シュウは兵士として略奪行為をさせられる隊に編入されるのだけれど、このときも正論を振りかざすだけ。
終始シュウの存在だけがファンタスティック。
周りの人間が容赦なく死ぬ作品世界の中、主人公だけが違うリアル軸の上にいるようだ。

視聴者の媒介として、また作品世界のマレビトとして、こうした主人公の位置づけしたのはわかる。
しかし、傍観者から一歩もでない主人公に「生きていればいい事がある」というメインテーマを力説されても説得力がない。
人を説得しようとするならばまず本人の実績が伴わなければならない。
もしシュウにテーマを語らせようとするならば、期待→挫折→葛藤→再起の過程を経ないと視聴者は彼の言葉に共感はしない。
その過程を見せるのが物語の力なのでは?

大地監督は「その世界に放り投げられた主人公が感じたものを描きたかった」と語っていたらしい。
それは確かに描けていたと思う。
しかしそれではただの傍観者の観察日記だ。
だからシュウは主人公格として失敗したのだと思う。
ついでにいえばララ・ルゥをメインヒロインとしているのはいただけない。
彼女の役割は少女型でなくても(例えば動物型やペンダントそのものでも)十分だと思う。

最後に誰を想定した作品なのか分からなかった点があげられる。
やっぱり、ここまで重たい話を作るならそれなりの形をしていないと、子供が間違って見てしまうのではないか?
子供にもリアリティある物語を!と標榜して作られたアニメもあるけど、これはそうじゃない。
作り手の真剣さが伝わってくる感じだけれど、それは青少年や大人を相手にするレベルだと思う。

実際、同じようなテーマ、モチーフを扱いつつも子供が理解できるよう作られた優れた児童文学はかなり多い。
それらの秀作にくらべるとこの作品の文法は乱暴過ぎ。
また大人向けに作られたにしては、子供向き要素の残像(異世界の少女と謎のペンダントとか)が見え隠れしていて据わりが悪い。

やはりきちんと話をまとめようと作ったのではなく、感情的に突っ走った感がある。
広げた風呂敷の畳み方も拍子抜けするほどあっけない。
いろいろ不満点はあげられるのだが、見た人誰もが語りたくなる作品、という意味では本懐を遂げたのではないだろうか。
見た人に語られない作品ほど虚しいものはないのだから。

うーん。
個別のエピソードでも語れることがまだまだあるなあ……。

投稿 : 2014/04/13
閲覧 : 264
サンキュー:

1

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今、そこにいる僕のストーリー・あらすじ

 50億年後の未来の戦争に巻き込まれてしまった平凡な少年のサバイバルを描く、少年冒険SF。「おじゃる丸」「こどものおもちゃ」の大地丙太郎が監督、助監督は宮崎なぎさ、則座誠。松谷修造(通称:シュウ)は、ある日、ララ・ルゥという水色の瞳を持つ少女と出会う。彼女は、地球の未来を左右する力を秘めたペンダントを持っており、それを狙うハムドという50億年後の未来の独裁者から逃れるため、現代にタイムトリップしてきていた。だが、すぐに追っ手に見つかり、ララ・ルゥと共にシュウも未来に連れ去られてしまう。そこは、海が干上がり、地表も9割が砂漠と化している、まさに死に瀕した地球だった。そのうえ、その少ない水と星の覇権をめぐって起こった戦争によって、殺戮と略奪が日常化していた。否応なく戦争に巻き込まれてしまったシュウは、同じくこの時代に連れてこられたサラとなんとか生き残る道を探るが…。(TVアニメ動画『今、そこにいる僕』のwikipedia・公式サイト等参照)

放送時期・公式基本情報

ジャンル
TVアニメ動画
放送時期
1999年秋アニメ
制作会社
AIC
主題歌
≪ED≫安原麗子『子守歌...』

声優・キャラクター

岡村明美、名塚佳織、仲尾あづさ、今井由香、小西寛子、陶山章央、石井康嗣、安原麗子

スタッフ

監督:大地丙太郎、助監督:宮崎なぎさ/則座誠、構成・脚本:倉田英之、コンセプトデザイン:山崎健志、キャラクターデザイン:大泉あつし、総作画監督:西野理恵、美術設定:佐藤正浩、美術監督:野村正信、色彩設計:秋山久美、撮影監督:斎藤秋男、編集:松村正宏、音響監督:田中一也、音響効果:山田稔、録音:名倉靖、音楽:岩崎琢

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