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「ペイル・コクーン(OVA)」

総合得点
61.0
感想・評価
187
棚に入れた
833
ランキング
5489
★★★★☆ 3.5 (187)
物語
3.6
作画
3.8
声優
3.2
音楽
3.5
キャラ
3.3

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ペイル・コクーンの感想・評価はどうでしたか?

ネタバレ

えりりん908 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 5.0 作画 : 4.5 声優 : 3.5 音楽 : 5.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

終末の後の世界を、発掘する

私もそうです。発掘したんです(笑)
{netabare}知らずに観そびれていた、
大好物な「ポスト・アポカリプス」の秀作を発掘してしまいました。

縦方向にしか空間の広がりが無い、色彩も乏しい未来世界。

そこに、アポカリプスの後を生きる僅かな人々が暮らしています。

吉浦監督と言えば、
水のコトバでもイヴの時間でもアイの歌声を聴かせてでも、
AIやロボットと、人との関わりを描く。
そういったイメージでしたが、
こういう硬質な世界観で、
こんなに希望の持てない空間で、
これほど人の存在の意味を伝えられる、
そういう物語を、
たった23分の作品世界で描く。
その優れた目と手とアイデアに、
アタマの奥の、芯の方にシビレるような感覚が残りました。

そして、
イメージとして膨らんだのが、
少女終末旅行。
あの作品世界では、
雨だれが空き缶に響く音が、ふたりの少女の無垢な遊びで、原初的音楽の発生に繋がりました。
ストーリー終盤、ついに人々の歴史の遺物である様々な映像媒体に触れることで、ふたりが初めから失っていた世界の秘密に触れることになります。

一方で、
このペイル・コクーンの物語の中では、
序盤に発掘された記録が、
終盤に近づき解読されるにつれて、
そこに音声が附いていて、
しかもそれが、弾き語りの、
歌声と楽器で奏でられる音楽であることがわかります。
そして最後の最後に、
この色彩感乏しい世界にあって、
鮮やかな「青」という「色彩」が浮かび上がります。
この「青=色彩」の意味はもちろん、
人々の求めて来ていたものですが、
そのことさえ知らずに、人々は長い長い滅びの日からの年月を、
きっと、生きて、暮らして来たのでしょう。

一生懸命に解読を続けてきた人類の記録。
その記録の意義を瞭然と告げる宇宙の深淵。

{/netabare}15年以上前につくられた、
今も刺激にあふれる秀逸な作品です。

投稿 : 2023/01/23
閲覧 : 153
サンキュー:

14

ネタバレ

薄雪草 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 3.5 音楽 : 4.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

記録の錆、記憶のさざ波。そして青色へ。

吉浦康裕作品のいちファンとしては、すっかり見逃していました。

"ペイル・コクーン" を直訳すれば、"青白い繭" になります。

その理由は、作品の終盤にわずかに目に留められるチャンスがあります。

ただ、それだけではない含みが本作にはあります。

にがにがしいあと味とともに。


~      ~      ~


"記録" を発掘する。

あるいは、修復する。

まず、そこからバイアスへのスティッキートラップが仕掛けられます。


閉ざされた大地下空間。  

深層階に設えられた狭い仕事場。

彼らが丹念に精査し、創り上げていくのは "地球の原風景" です。

海の青、大地の緑、花弁のピンク、プロムナードのネオン・・・。


記録が錆がかったデータであるうちは、彼らはなんの疑問も挟まず、憧憬も持ち得なかったはず。

でも、注ぎ込まれる心血、研ぎ澄まされる専心、忍耐を超える使命感が、ひとつの不思議なシンパシーを呼び覚ましていきます。


それはただ、データの断片で、日々のルーチンに過ぎなかったはずなのに。


~      ~      ~


ついに修復できなかったデータがありました。

それは、当時の人間が吹き込んだ音声です。


口唇の解読。 音声波形の解析。

ハーマニィム(同音異義語)。 センテンスの繋がり。

それは日本語なのか? それは標準語なのか?

雑音の中にも耳を澄まし、無音の上にも目を凝らします。


やがて、導き出されるのは "一つの仮説"。

昂ぶるスピリッツが、証明へと足を向かわせます。


~      ~      ~


圧し下げられた深い闇のなかで一生を凝視していた彼らの瞳と、深遠に浮かびあがる {netabare} 青い星の射影 {/netabare} とが、鋭く対立し、白熱を見せます。


それは、秘匿され、細切れにされたデータの真実。

ギミックの呪縛とトラップからの解放という瞬間。

圧縮と閉塞に生きていく鬱積から、希望と光明を見出したエウレカなのです。


ぎゅっと凝縮されたSFの醍醐味が、そこには用意されてありました。

投稿 : 2023/01/11
閲覧 : 175
サンキュー:

7

ネタバレ

マリーさん さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5
物語 : 3.5 作画 : 3.5 声優 : 3.5 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

SF

古典SFを題材にした作品らしいです。



{netabare}一度失われたモノを再現することでいい話として終えていいのか疑問ですが面白かったです。{/netabare}

 

投稿 : 2015/06/07
閲覧 : 373
サンキュー:

0

ネタバレ

ぽぽたん さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3
物語 : 3.5 作画 : 4.5 声優 : 2.5 音楽 : 3.5 キャラ : 2.5 状態:観終わった

この話の展開であれば、本作は短すぎる

近未来なのか、環境変化によって住めなくなってしまった話のようだ。

作画色は白黒に近く、機械だらけの廃墟的雰囲気を出し、コンピューターからの光りが鮮やかだ。

終盤の曲もなかなかです。

で・・・内容ですが・・。
在り来たりの話ですね。テーマーが。
20分ちょっとの時間で、どうやって観てる側にメッセージや
感動、面白さを伝えられるかが短編のポイントになるのだが。
少々、自己マンも入ってしまったのかのようだ。
モノローグも多すぎて、作品自体にひねりや、仕掛けも感じない。フラットに近い20分ちょっとの作品。
何より、分かりづらい印象を与えやすい作品になってしまった。

投稿 : 2013/06/29
閲覧 : 313
サンキュー:

11

ネタバレ

koko さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

攻殻機動隊が好きな人へ

非常に短いアニメです。
ですが、その映像美はすばらしいです。

投稿 : 2013/03/17
閲覧 : 294
サンキュー:

0

ネタバレ

るぅるぅ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 3.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

心に響くかは、あなた次第かな

人類の過ちによる地球の果てをみた未来の人は何を想うのか。

メッセージ性を問わせるEDを観ると「変わらないで欲しい」という想いをどう受け止めるかですね。

蒼い繭の歌とPale Cocoon を掛けたシンプルなテーマだが、それを補う作画の見せ方によって心に訴えかけさせる今の気持ちを忘れないで欲しい。

それでも人はこの未来を辿る可能性が高いんだろうね。
未来から過去へ後退するという考えができない種の定めだからしれないね。

投稿 : 2013/03/16
閲覧 : 327
サンキュー:

14

ネタバレ

hiroshi5 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

過去、記録、記憶。曖昧すぎる点が逆に題材としての面白さを引き出している

ちょっと変わったタイプの自主制作アニメです。

内容は一見暗く見えますが、最後まで見終えるとハッピーエンドだと言う事が判ります。

作画はやはり「イヴの時間」とリンクするところがあり、近未来的な描写などは本当に実現可能なんじゃないか、と思うぐらいです。そして、何よりもカッコいい。画面だったり、階段だったり、全ての描写がリアルで、アニメとしてカッコいい。

声優、キャラは特別良いという訳ではありませんが、嫌いにはなれませんでした。

音楽も同じで、秀でてはいませんが(使われてるBGMも少ないし)満足できるレベルではあったと思います。


この作品で私が面白いと思ったのは、人間の過去を掘り起こす事が己に対して不利益になる、という傾向を描いていたことです。

作品では人間達は実はコロニーに住んでいるという事実さえ知りませんでしたが、その二世代前、つまりヒロインのおばあちゃんはコロニーであるという事実を知っていた。
この二世代の間で情報伝達が途切れたのでしょうが、理由は不鮮明でしたね。しかし、私が思うにおばあちゃんが上層で住んでいた頃はまだ地球は灰色をしていたのだと思います。

いくら経っても地球が改善せず、また環境維持装置も上手く起動しなくなっていく過程で、過去に捕われる事を止めようとする人間たちが出て来た。そして、コロニー自体に新しい地球らしい場所、海を見いだし、己を、事実を湾曲させて肯定させた。

それに反対したのがおばあちゃんでしょうね。

それが大まかなところだと私は思いました。

つまり、主人公であるウラは月に住んでいる事事態を知らなかったが、その事実を知る必要も無い、というのが今作品の設定なのでしょう。
現時点で満足できる生活がある、だから過去にすがる必要は無い。こういう傾向が蔓延っている中、ウラは現状にひたすら疑問視し続ける。ここが重要なところでしょうね。

作品自体が短かった為、社会体制がどうなっているのか一切判りませんが、多分地球が人間の住める環境だと判った時、コロニーのリーダー達は地球に戻ろうとするかは判りませんね。むしろ、現状維持を優先し、社会的地位に固執する可能性も出てくる(環境維持装置が持続する限り)。


こういった停滞する社会で存在意義を見いだすにはどうしたら良いのか。
この質問に対して実在主義者は「現状を否定しろ。社会に抗う事で己の存在意義を見出せ」ってな事を言うんでしょう。
ウラはまさしく、その一人です。社会に取っては異分子、しかし、だからこそ社会は彼を無視できない。

この作品は実在主義者としての過程を「人間の過去を掘り起こす事が己に対して不利益になる」という前提の中で行った。それが、私の一番面白かった点です。

他の作品では、色々な傾向に流されて、一個人を社会的視点で見たとき識別出来ない現状を描くのですが、今作品はそれを「過去」と「記憶」を使って表現した。それが私には意外だった訳です。

serial experiment lainでもあるように「記憶」とはただの「記録」にしか過ぎない。改竄も変換も可能だという点がいつも挙げられるのに、今作品はその傾向をウラの「事実だと証明されただろ?」というわずか一セリフで片付けてしまった。
これを聞いた時には思わず笑ってしまいましたねw

しかし、だからこそ、興味深い作品になっているのだと思います。完成度はさすがに時間が短いだけあって低いですが、こういった世界観を作り出すのは至難の技だと思います。



4/21/12追記
1984年という作品があります。ジョージ・オーウェルという二十世紀の思想、政治に多大なる影響を与えた小説家が書いた作品の一つなんですが、この小説では三つの定義上から如何に独裁主義を成功させるかについて描かれています。
1、戦争は平和なり
2、自由は隷従なり
3、無知は力なり
この小説は二重思考という特別な表現技法を使って裏の意味を提示させる秀作なんですが、この三つの定義も独裁という枠内で如何に生かせるかが長々と語られています。

今回注目したいのは三番目、無知は力なり、という定義です。良く使われるフレーズとしては「無知は罪」ですが、私が思うにこれは民主主義的思考からくる発想なんでしょう。
事実、独裁主義上では「考える」ことが社会体制そのものを崩壊に導いてしまう。

この小説では国民の殆どを下級社会に押してけ、思考のいらない労働を続けさせる。さらに、洗脳活動も行う。一種の宗教的国家みたいなものを作り上げた。そして、国民が持つ欺瞞やストレスといったものを戦争という道具で解消していく。「敵」が明らかであるが為に、その存在自体が「敵」であることに疑問さえ持たない。
国は下級層の国民に「全て戦争が悪いんだ」という情報をインプットさせ、彼らが置かれる現状を肯定させる。
上級層の国民は既得権益を保護する為に無意味な戦争を続けさせる。
戦争には大量の資金と労力が必要であり、下級に存在する莫大な労働力を消費させることにも繫がる。

格差社会の図としては完璧であったこの小説は事実、社会体制に疑問を感じた主人公共々も最終的には洗脳されて終わります。知識こそが社会体制の崩壊に繫がるのは独裁主義の常です。

そこに発展は無いかもしれない。しかし、今回はそこが問題ではありません。

記憶、記録、過去。これらを知ることは知識を得ることと同じです。ペイル・コクーンは独裁主義ではないのかもしれない。しかし、コロニーという停滞した社会体制で格差が生まれるのは明らかです。思考は格差に疑問を抱かせる。これは1984年という小説が証明したことです。
その行為を国民達に許し、しかもその行為を自ら放棄する。それは思考停止に等しい。
己の過去が悲惨だから直視したくない。これは現実逃避ですね。今作品では状況が特殊でしたが、思考停止は社会の停滞を意味します。

ペイル・コクーンはいわゆる「思考」の重要性を非常に判りやすく表現した作品と言えるでしょう。
こういった作品が増えると良いですね^^

投稿 : 2012/04/21
閲覧 : 446
サンキュー:

14

ネタバレ

イシカワ(辻斬り) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 4.0 作画 : 5.0 声優 : 3.0 音楽 : 4.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

娯楽でも商業でもないアニメ

記載されているレビューに対する反論・論戦を行いたい人は、メッセージ欄やメールで送りつけるのではなく、正しいと思う主張を自らのレビューに記載する形で行ってもらいたい。したくない時、受諾しない時は以降の文章を読み進めないこと。受諾する方のみ文面を読んでもらいたい。参考になったと思うときのみ、参キューしてほしい。

アニメとは萌えやロボットなどの欲望の消費であり、子供向けの娯楽番組の一つであり、売れさえすれば一儲けできる商業で売れないものを作るのは馬鹿である。
そういう考えでアニメを捉えている人はNO,Thank Youとなっている。
つまらないとしか感じることはできないだろうから低い評価を下すのはわかりきっている。
楽しみはないので他をあたってくださいということである。

このアニメは原爆展やホロコースト展のように、メッセージを持って訴えていくもの、新たなる試みを求めた作品と捉えるべきだろう。

ネタバレというより、ほぼ写し取りに近い。

すでに歴史という継続性すら失った未来。
我々が見知っている海や大地が過去のものとなり、地球は人類が住んでいた残骸を残す廃墟と化していた。
人類が所持しているのは過去の遺産としての記録ばかりだ。
それらの貴重な資料を整理することは政策の一つになっている。
月にあるステーション。
環境維持装置の最も影響力が少ない最下層、そこにある記録発掘局で、労働とも呼べない延々と続けられる資料の整理をする男性がいる。彼はウラという。
過去を知ることができる唯一の手がかりとして、ウラは居住地区から遠い場所まで昇降機で、日本国地区-第五北部地区-第37構造領域、第092記録発掘部に通う。
第五北部地区のほかのすべて閉鎖している。
あまりにも広く、大勢の人間が使用できるタイムカードの列に現存するカードは二つ。
もう一つのカードの使用者は、たった一人の女性、リコだ。
リコは、記録を人類の独善による経済偏重と環境破壊によって生み出された痛みとしか受け取れず、そうした物事から背を向けている。
そんなものは不幸という現実をまざまざと見せつけるだけのものだからだ。
ノルマすらないようで、リコは星を眺めているばかりで仕事などしない。そして叱る上司もいない。
80番台の発掘局はすべて閉鎖予定だという。
現存している人類そのものが過去に何があったかを肌で感じてもおらず、知られているのは記録の中だけ。人類は海からやってきたと思っているからか、大半の人は海にしがみついて暮らしているという。
そんな仕事をしていると、あるとき、奇妙な記録を発掘した。
映像の記録に現れたのは一人の女性と、紙媒体の本。ウラは紙媒体の本を本と認識すらできなかったが、リコは知っていた。
簡易復元までしかできなかった記録を置き去りに、リコとウラは仕事を中断して帰る。
大勢の人がいた形跡だけが残る職場。それを眺めてリコはいう。
「昔はここも人がいっぱいで、昔の記録をみつけては大喜びだったっていう」
「俺は、今だってそうだけどな」
この会話が二人の立ち位置を表している。
静かに経過していく時間、仕事を続けるウラ。仕事を無断欠勤し続けているらしいリコ。
他の職場からの連絡をとっているウラはリコの台詞を思い出す。
「人は変わらないでほしいって思うから、人は記録を残すんだって」
「今まで発掘した記録の中で、残っていたものってあったか? 俺、やめるんだ、ここ。この記録のすべてが嘘だって考えたことないか?」
「事実だって確認されただろ」
「俺はな、ウラ。嘘ならよかったのにって、よく、考えるよ」
声だけでも残っていた同僚がいなくなり、リコも出勤して来ない。ついにウラはたった一人で仕事を続ける。
不意に、昇降機ではなく、階段で上り始めるウラ。その先で、少し前にさぼっていた場所に、同じようにリコは寝っ転がっていた。
ウラもその傍で横たわる。
「昔ね、私のおばあちゃんが小さかった頃ね、もっと上の階層まで人が住んでたんだって」
「環境維持装置の影響が、ここにも届いていたんだろう? 次期に住めなくなって、この辺りに降りてきたって聞いたけど」
「それでも上に居続けた人たちがいたのって知ってる? おばあちゃんもその一人だった。記録の中の世界、環境維持装置なんて必要なかった世界。それとかけ離れた現実を、受け入れたくなかった人たち」
「上に何があるっていうんだ?」
「あるとき、上から落ちてきたの。体の内側がぼろぼろになってたんだって。環境維持装置の届かない場所じゃ、生きられないのに」
「もっと記録を調べれば……」
「記録を掘り起こしてこの世界が変わるの?」
「知ることができた」
「知らないほうがよかった。緑色の世界も、それを壊したのが人間だってことも。私これ以上現実に絶望したくない。記録なんて、はじめから掘り起こさなければよかったのよ。これ以上、人間の愚かさを見たい人なんていないわ。わかるでしょ」
「わかってた。俺だってわかってた。そう、だれだって知っていることだ」
再び職場に戻るウラ。
回想と追憶の中でウラは想う。
じゃあ俺は、記録の中に浸りたかっただけなんだろうか? 多大な人口収容所の成れの果てに過ぎないこの現実から、目を背けるために。
ただ俺は、記録の中の現実が、ほんのわずかであれ、どこかに残っていたらどんなにいいだろう。そう思っていた。
そして、ついに復元される記録。
老朽化によって耐えられなくなった昇降機、落ちて行くウラ。
ウラの職場に足を運んでいたリコ。
結末は、映像で。

観た感想。
経済成長率を優先するだの、原発は絶対必要不可欠だの、自由競争社会の貧富の差だの、戦争だの、いろいろとやりたい放題にやって振り返ることもしない人間。
どうしようもない、あるかもしれない可能性の未来の一つから戻ってくると、まだやり直せる現代に俺はいた。
何かを訴えても、そんな理想論を持ち出す奴は、頭の中がお花畑にでもなっているのだろう。と言い出されるに違いない。
だが、本当に現実を直視していないのは、現代人ではないのか?
後世の末裔へ、絶望される未来しか与えてやらないことを悔やむのは、現実を直視できない甘ちゃんだからか?
そうした思考と模索こそが、作者の訴えたかったものではないだろうか。

追記
レビューに記載された言論を規制したい人は、個人の意見を以てするのではなく、あにこれの法的論拠に基づいて規約に記載する必要がある。
運営諸氏に連絡し、説得し、規制を規約に付け加えてもらうこと。

投稿 : 2012/01/14
閲覧 : 413
サンキュー:

13

ネタバレ

ラスコーリニコフ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 3.5 音楽 : 4.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

自覚の無いナルシーの現実逃避、自己陶酔作品

何がイラつくって、枠の外みたいな視点で作ってる事だな。
環境問題他人類が抱えてる問題をさ、個人のナルチシズムを満たす為の、
自己満足の為の道具にしてる。こんなに気色悪い作品は中々無い

<第一話>

「嘘だと思った事は無いか」
「嘘ならよかった、現実に絶望したくない」

浮気を否定する奴と似たようなものだ。人間は見たいものを見たがる、
信じたいものを信じるって言うけど、記録の否定はもう何一つ残らない。
人間を綺麗なものだと勘違いしてる、人間を信用してるから的外れ感想
になるのであって、汚点から目を背けた綺麗事視点は大嫌いだ。

半年くらい前に大震災あったじゃん。自然、地球ってのはそんなに美しい
ものじゃない、極めて残酷なもの、総死者数が2万人以上だったか。
無差別大量殺人犯なんて生易しいものじゃない、予告無く意思も無く大量
に殺すんだからさ。平和ボケか宗教的に汚染されてんだよね、自然や地球
が良いものだなんて、文明が発達しまくった上飢えない寒すぎない暑過ぎ
ないド平和な国だから言えること。近世~現代の前まで人口の増加なんか
ほぼ無かったじゃん、それだけ「地球に人が殺されていた」んだよ。

化学繊維の服着て、木材冷房暖房他にかぶれた家に住みながら環境問題他
語るなんてそんな馬鹿な話はねーよ。破壊の恩恵を預かってるんだからさ。
本気で止めたければ、一番問題を起こしていると思える奴を殺しにいけ。
ついでに、自然破壊と食い扶持を少しでも減らすために潔くちね。
自分は良い人間だと思い込んでるからこんなナルシー構成に出来るんだわ。

膨大にいる人間の質は現実として変わりようがねーんだから、人の増加か、
自然環境を地球を守る事のどちらか選ばないとならんのだし、結局環境の
問題語るってのは「いかに人を増やさないか、殺すか」って事でしかない。
地球の事を一番に考えるなら一番問題だと思ってる奴を巻き込んでちね。
そいつが一番貢献になる。人間の事を考えるなら、地球や自然とは戦って
勝つ(った)気でいろ。勝ったからこそ今の生活があるんだから。

理想的なのは核が使われない戦争を起こす事だな。人間が大量に死ぬのが
一番後世の自然の為、地球の為になる、巻き込まれる動物が可哀想だけど。
自分は「今生きている人間第一主義」だからそんな選択肢は無しだが。

で、自覚がある奴何も考えてない奴より、自分は例外と勘違いしている奴が
一番救えない。木切りまくって作った割り箸使って、動物達ぶち殺した肉を
食ってさ、よくもまあこんな話作れたものだ。音楽チョイスといい羞恥心の
欠片もねーのか、単なるド無能ナルシーなのか、どっちかだ。
日頃やっている事の本質も考えないで、綺麗事に浸る奴は一番イラ付く。
これ系の特番も嫌いだ、明らか肉食いまくって肥えまくった豚徳光とか特に。
悪行を忘れ綺麗事に陶酔してる脂肪まみれの腐れ涙を見ると吐き気がする。

記録はエゴで欲求何かを残したいって気持ち、それ以外のなんでもない。
出来る限り詳細を残す奴は偉大だと思うし、あとは好きな奴が好きなだけ見れ
ば良いんでねーの。記録から逃げて都合良く思い込んで現実逃避するのも、
過去の記録に没頭するのも似たようなもんだわ。





といった感じの事は日頃全く考えてないし、飯を食うついでに見てなんとなく
思っただけ、言ってしまえば「この作品と全く同じナルチシズム溢れる駄作文」
かつ「思いつきで中身の無い話」なのだが、ま、本気で考えてる奴なんてこんな
作品作らんで自分で行動するよ。

植林してたり、バイオテクノロジーやエコエネルギー開発に真剣に取り組んで
たりさ、そーゆー人は立派だと思うよ。それをね、自分は立派です、考えてます、
みたいに人に語ったりさ、誇りに思ってる連中がいけ好かないだけ。全部台無し。

ましてその陶酔を個人製作の作品に反映させるなんてのは、下の下だと思う訳。
「こう感じろ、作った人間は立派だ」みたいな押し付けがましい悪臭がするのが
不愉快。楽しませようって気が更々無い、全部方向が自己満足、陶酔だ。

まーよく出来てるよこれ。自己陶酔もここまで来れば立派、そこは評価する。
久々に胸糞悪いわ。作品と同じくここまでで丁度一話分くらい時間かかったな

投稿 : 2011/10/13
閲覧 : 403
サンキュー:

4

ネタバレ

しゅりー さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 3.5 音楽 : 4.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

失われた世界の中で

30分に満たない時間で描かれる、遥か未来の物語。
人工照明に照らされた閉塞的な世界の中で
過去の地球の記録を復元する組織「記録発掘局」。
美しい地球の記録は、その地球を汚して住めなくしてしまった
人類への絶望を喚起させるため、いつしか記録発掘局から
人々は去っていった。


「変わってほしくない」という希望から残された記録の数々。
それらが失われた世界で絶望に変化する現実。
「全て嘘であってほしかった」という台詞には一言で
作品世界の閉塞感を思い知らせる力がありました。

断片的な台詞と、ウラとリコの周囲の光景から
世界観が少しずつ開示される手法は素晴らしいの一言。
そうして緩やかに世界が描写されてきて、
動画ファイルが復元、再生された瞬間からの
音楽と映像の表現には「やられた!」と思いました。
ラストシーンまでの描写は完璧です。


見たくない現実と向き合うこと。
青い繭(たまご)の存在から何を感じるか。
真摯なメッセージが伝わる良作短編アニメです。

投稿 : 2011/09/04
閲覧 : 378
サンキュー:

11

御宅 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 3.5 作画 : 4.5 声優 : 3.5 音楽 : 4.5 キャラ : 3.0 状態:観終わった

投稿 : 2024/02/13
閲覧 : 2

きすぎ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4
物語 : 3.0 作画 : 4.0 声優 : 3.0 音楽 : 4.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

投稿 : 2022/05/06
閲覧 : 17

プティ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 3.5 音楽 : 3.5 キャラ : 3.0 状態:観終わった

投稿 : 2022/02/23
閲覧 : 14

サイバー司教 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 2.5 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

投稿 : 2021/08/09
閲覧 : 18

クラーリィ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5
物語 : 4.0 作画 : 3.5 声優 : 3.0 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

投稿 : 2020/06/24
閲覧 : 71

せた さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:----

投稿 : 2020/04/16
閲覧 : 49

りょ さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

投稿 : 2020/04/10
閲覧 : 48

nana さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1
物語 : 3.0 作画 : 3.5 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

投稿 : 2020/01/26
閲覧 : 51

退会済のユーザー さんの感想・評価

★★☆☆☆ 2.0
物語 : 2.0 作画 : 2.0 声優 : 2.0 音楽 : 2.0 キャラ : 2.0 状態:観終わった

投稿 : 2019/12/31
閲覧 : 52

退会済のユーザー さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.5
物語 : 2.5 作画 : 2.5 声優 : 2.5 音楽 : 2.5 キャラ : 2.5 状態:観終わった

投稿 : 2019/01/25
閲覧 : 59

あわわ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

投稿 : 2018/10/27
閲覧 : 56

新庄かなゑ先輩 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 3.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

投稿 : 2018/10/23
閲覧 : 56

pop22 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2
物語 : 3.5 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.5 キャラ : 3.0 状態:観終わった

投稿 : 2018/06/02
閲覧 : 60

とも さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:途中で断念した

投稿 : 2018/02/28
閲覧 : 60

hiross3 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観たい

投稿 : 2018/01/14
閲覧 : 60

藤乃 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

投稿 : 2018/01/06
閲覧 : 60

退会済のユーザー さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

投稿 : 2017/12/25
閲覧 : 62

PJGIn96745 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

投稿 : 2017/07/31
閲覧 : 98

ayu さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.9
物語 : 2.5 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観たい

投稿 : 2017/06/12
閲覧 : 58

塩ふりかけ さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

投稿 : 2017/03/19
閲覧 : 62
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ペイル・コクーンのストーリー・あらすじ

アニメーション監督吉浦康裕の個人制作作品。舞台は遙か未来の地球で、世界は姿を大きく変えていた。どこまでも続く廃墟の世界。海や大地はすでになく、風景は廃墟から発掘される記録の中で見られるだけだった。それら記録を発掘・復元し、過去の世界を分析する""記録発掘局""。そこで働く主人公のウラはあるとき奇妙な映像記録を復元するのだった……。個人制作のレベルを超えたクオリティ、SF的な世界観などよく作り込まれている。膨大な記録をブラウジングするインターフェイスなど、見るべきところはストーリー以外にも豊富。また、背景を手書きと3DCGの混合で行うおもしろい手法から生まれた独特のタッチにも吉浦康裕の味が出ている。(OVA『ペイル・コクーン』のwikipedia・公式サイト等参照)

放送時期・公式基本情報

ジャンル
OVA
放送時期
2006年1月18日

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