「攻殻機動隊S.A.C 2nd GIG(TVアニメ動画)」

総合得点
90.7
感想・評価
2086
棚に入れた
10909
ランキング
17
★★★★★ 4.3 (2086)
物語
4.3
作画
4.3
声優
4.3
音楽
4.3
キャラ
4.4
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ネタバレ

アルキハイネン

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

タチコマ

前作に引き続きタチコマが活躍。タチコマに笑され泣かされる。もうどれほど泣いたことか

投稿 : 2019/01/30
閲覧 : 20
サンキュー:

0

ななお

★★★★★ 4.5
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

僕らはみんな生きている

挿入歌・BGMは2gigの方が好きなの多い。
2gigは社会性、政治色強め。内容濃い。
一期の方が好みだけど、二期は二期で面白い。
OPは勿論だけど、i doとトルキアが好き過ぎる。

投稿 : 2019/01/28
閲覧 : 101
サンキュー:

1

ネタバレ

oneandonly

★★★★★ 4.2
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

SFアニメで見ておきたい続編

世界観:8
ストーリー:9
リアリティ:7
キャラクター:6
情感:5
合計:35

<あらすじ>
中国大使館が「個別の11人」と名乗るテロ組織によって占拠された。特定のリーダーを持たない彼らの要求は、アジア難民受け入れの即時撤廃および招慰難民居住区の完全閉鎖。新首相・茅葺(かやぶき)との交渉の末、無期限待機命令の解除を条件に、荒巻は9課を発動させる。
だが、与えられた時間はわずか15分。はたして9課は人質に犠牲者を出すことなく事態を収拾できるのか?
(日テレの紹介ページより)

2クールなのと、集中して見ないと置いていかれるアニメなので躊躇していましたが、dアニメストアの配信が6月末までということもあり、そろそろと思い視聴しました。

素子のハイレグに股上の浅いスボンを穿いた姿にはツッコミを入れざるをえませんが、他に萌え、エロ要素はほぼなし。硬派な大人向けアニメです。

ストーリーは、難民など複雑な政治問題が絡む社会性のあるもので敵も味方もそれぞれの動機に基づき行動をしているという点で、未来を扱いながらリアリティ的にも気にならない水準となっています。{netabare}サイトーの登用シーンはそんなのありか? と思ったが、真実か作り話かがぼやかされていました。深く考えれば突っ込み所はあるのでしょうが、話についていくことに集中して視聴するため、気にならなかったのかもしれません。{/netabare}

それから、基本的に1話ごとにまとまっていつつ、大きな物語が進展していく構造ですが、各話において格好良いなとか、思わずやられたと思ってしまうシーンが多数ありました。例えば、{netabare}2話の現実と空想(妄想)を混同させるエピソードとか、何かの敵から逃亡しているシーンがあったかと思えば採用試験であったとか、視聴者側の視点との間合いの取り方、緩急のセンスは特筆ものだと思います。(1期でもラストでやられたと思いましたが、こういうものが鏤められている)強敵の出現で終盤は緊迫したシーンが連続して盛り上がりもあります。

今回は素子の全身義体化に至る経緯の示唆もあり、生き残ったもう一人の少年がクゼであるなど、ドラマも魅せてきました。それでも、明確にお互いを認識したメロドラマではなく、ハグ止まりというのがこの作品らしいです。{/netabare}

キャラクターは新人採用もありましたが、既存のメンバーに焦点があたる部分がほとんどで、イシカワやサイトーなどに肉付けがされていった印象です。

クールな作風なので情感は上がりにくかったですね。涙を誘うシーンはありませんが、なくても全く問題のない充実感ある作品です。

例えばサイコパスは現在の延長戦上で想像しやすい世界でしたが、こちらは更に技術が進んでおり(義体、電脳といった人類の進歩は、22世紀以降の話だと思います)、卓越した創造性を感じます(詳しくないので、もっと原典たるSF作品があるのかもしれませんが)。1期も含めて、SFアニメでは傑出していると言えるのではないでしょうか。

<2019.1.21追記>
世界観の評価基準の変更等による調整です(作画・音楽配点関係)。素子の前衛ファッションを久しぶりに見ようと思ったら、視聴時は期間限定配信中に観たようで、見つからなかったのが残念。

(参考評価推移:3話4.2→19話4.3→25話4.4→調整4.2)
(2017.6視聴、2019.1調整)

投稿 : 2019/01/21
閲覧 : 146
サンキュー:

23

ネタバレ

ヘラチオ

★★★★★ 4.3
物語 : 4.5 作画 : 3.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

これぞ、公安9課

前作同様、一つの事件を中心に話が進行するが、今作は個別の11人事件が中心である。{netabare}難民独立を利用して難民を殺そうとしたゴーダと難民の心を掴み、全身義体で戦うクゼの戦いが要点の事件だったと思う。{/netabare}

{netabare}クゼの過去が明かされる話があったが、同時に素子の過去が明かされていたようだった。やっぱり子供の頃に2人は会っていて、最後の2人のやり取りがようやく会えた喜びが見えた気がした。{/netabare}

見終わった後は何とも言えない切なさが自分にはあった。謎に包まれている素子の過去?が見られるのも攻殻機動隊好きには嬉しいのではないだろうか?とは言っても、好きな人は絶対見ているだろうけど。それに、嬉しかったのは自分だけかも。

OPはOrigaのrise。やはり良曲。Origaが亡くなってから時間は経つけど、眼曲が残っていくのは嬉しい。

1. 第1話 再起動 REEMBODY
「個別の11人」と名乗る武装グループによって中国大使館が占拠された。密かに出動していた公安9課の面々は無期限待機命令の解除を待つ。総理は、犠牲者を出さず15分以内にテロリストを鎮圧することを条件に、突入を許可するが──。

2. 第2話 飽食の僕 NIGHT CRUISE
3大ネットワークJBNNの会長・片倉の専属パイロットを務めるギノ。欺瞞と不正に満ち溢れた世の中から、憧れの高級娼婦“ヒララ”を救い出したい。義憤に燃えるギノは、彼らに正義の鉄槌を下すべく行動を開始する!

3. 第3話 土曜の夜と日曜の朝 CASH EYE
政財界の名士である田所会長のもとに、窃盗犯から予告状が届いた。9課は芽葺首相の命により、田所主催のパーティを警備することになる。だが、窃盗犯の正体は草薙だった! 9課の本当の狙いは何処にあるのか!!

4. 第4話 天敵 NATURAL ENEMY
合同演習中にAIヘリが暴走。誘われるように各地で無人のヘリが動き出し、集結し始めた。そして、対応を迫られる9課の前に忽然と現れた内閣情報庁の“ゴーダ”。彼の真意も図れぬまま、草薙らはタチコマで出撃するが──。

5. 第5話 動機ある者たち INDUCTANCE
「個別の11人」から茅葺首相に暗殺予告文が届いた。9課は警護につくが、参禅に乗じて暗殺は実行にうつされる。茅葺に迫る全身義体の男・クゼ。はたして草薙は阻止できるのか!

6. 第6話 潜在熱源 EXCAVATION
エネルギー省を脅迫していた男が、不可解な死を遂げた。トグサは彼の足跡をたどるべく、招慰難民居住区「東京」に向かう。だがそこでは、あるべきはずもないものが、地下最深部から呼び起こされようとしていた。

7. 第7話 狂想は亡国の調べ
新宿地下原発から燃料棒の海路移送計画が「個別の11人」に漏洩した。ゴーダの指揮のもと、9課は移送任務を請け負うが、経由する陸路は不穏な空気が漂う難民居住区だった。

8. 第8話 素食の晩餐 FAKE FOOD
「個別の11人」容疑者カワシマの身柄確保に奔走する9課。だが、虚構であったとしても現実へと変換されれば、それは真となる──。彼は本当に「個別の11人」なのか、それとも別の目的を持った偽者なのか!?

9. 第9話 絶望という名の希望 AMBIVALENCE
生きることに希望を見だせない人々がその身をやつす「自爆テロ」。そして、それを阻止するため奔走する9課。一方、単独で内閣情報庁に潜入した草薙は、そこでゴーダの仮想人格と対峙するが──。

10. 第10話 イカレルオトコ TRIAL
非番中にやむなく発砲してしまったトグサは、単なる証人から「不幸な事故」の引き金に仕立て上げられる。証言台に立つ彼の前で、理不尽な追求が9課にまでその矛先をのばそうとした時、事態は思わぬ展開を見せた!

11. 第11話 草迷宮 affection
虚実定まらぬ街で誘われた、記憶を預かるという『牢記物店』。草薙は、そこで主無き少年少女の義体とめぐり会う。物言わぬ彼らにかつて訪れた物語とは──。

12. 第12話 名も無き者へ SELECON
虚ろなる真に導き寄せられる「個別の11人」。そして、組み上がった因子を解き明かしはじめる9課。だが、さらなる具現を阻むべく行動を起こしたその時、すべてを暗転させる「刃」が抜かれた!!

13. 第13話 顔 MAKE UP
クゼの顔を追って、9課は造顔作家へとそのコマを進めた。だが、カメラの映し出したパズの凶行が、捜査の動きを鈍らせる。これも「クゼ」の仕業なのか、それとも──。

14. 第14話 左眼に気をつけろ POKER FACE
米帝特使を迎え厳戒態勢が敷かれる中、待機中の隊員等はポーカーに興じていた。そこで、一人勝ちを続けていたサイトーは、左眼にまつわるポーカーフェイスを語りはじめるのだが──。

15. 第15話 機械たちの午後 PAT.
「この人どこかで見たことがあるんですよね…」研究所の爆破事故後の捜査中に、奇妙な既視感を感じるタチコマ。所在不明の有須田博士と、自分達の主体について疑問を持つ彼らとをつなげるものとは──。

16. 第16話 そこにいること ANOTHER CHANCE
国連平和維持軍としての戦い、任務を終えてからの葛藤──。イシカワの持ち帰ったクゼの過去、それは9課にとっても草薙にとっても不可解なものであった。一方、国内情勢の悪化は日米安保締結に拍車をかけていた…。

17. 第17話 修好母子 RED DATA
クゼの足取りを追い台湾へ潜入した草薙は、そこで少年・チャイと出会う。行動を共にし始めた二人の関係は、時には友人、時には親子、そして時には恋人──わき起こる奇妙な感覚に母性を励起させ、彼女は行動を開始する!

18. 第18話 天使の詩 TRANS PARENT
当局が追っている正体不明のテロリストは『天使の羽根』と呼ばれていた。大規模な包囲網が街を覆う中、ある少女の存在がバトーの脳裏をよぎる。そして、彼女の秘密に突き当たったとき、天使は再び舞い降りた──。

19. 第19話 相対の連鎖 CHAIN REACTION
並列化した招慰難民達の行動は、自治区宣言へと拡大した。これに対し草薙は、クゼを確保すべくハブ電脳へとダイブする。だが、潜伏場所を急襲した9課を予想し得ない事態が待ち受けていた!

20. 第20話 北端の混迷 FABRICATE FOG
北端、択捉──そこは、旧型の電脳都市にして混沌の坩堝。断片的な情報を元にクゼの目的を想定し9課は旧ロシアの原潜基地跡へと向かう。しかし、そこでは既に難民等とアームスーツが戦いを始めていた!

21. 第21話 敗走 EMBARRASSMENT
クゼと9課との間にある、わずかな動機の差。それは彼に包囲網を突破させ、出島へと辿りつかせる。だが人々の前に広がった光景は、第三者による意志の介在を予見させるのだった。

22. 第22話 無人街 REVERSAL PROCESS
「個別の11人」最期の場所である九州電波塔に、プルトニウム爆弾が仕掛けられた。解体処理のため無人と化し静寂につつまれる街中を、バトーは一人ゴーダのもとへと赴く。クゼが自決をしなかったその場所で、二人はなにを語ろうというのか──。

23. 第23話 橋が落ちる日 MARTIAL LAW
戦わずとも勝負は決するはずだった招慰難民と自衛軍。しかし、水が低きに流れるように、人の心もまた易きに流れる。一発の銃声が状況を急変させ、事態は混迷の度を深めていく。

24. 第24話 出島、空爆 NUCLEAR POWER
制空権をおさえられ潰走する招慰難民達。ゴーダの策略がさらなる展開を見せる中、9課は出島へと突入する。一方で、クゼは人々をハブ電脳に繋ぎ止めるべく、次の手に出ようとしていた──。

25. 第25話 楽園の向こうへ THIS SIDE OF JUSTICE
クゼと邂逅を果たす草薙、そして茅葺の救出に成功する荒巻──事態は収束に向かうかと思われた。だが、タチコマが掴んだ情報は、9課の動きが未だにゴーダの予想の範疇を出ていないことを示していた。

26. 第26話 憂国への帰還 ENDLESS∞GIG
この終焉は、通過点の一つであり、又始まりでもあるのだろう。自らを賭して攻撃を阻止したタチコマ。革命の行く末を見極めることなく逝くクゼ。ゴーダとの因縁を精算する9課。そして──。

投稿 : 2018/12/23
閲覧 : 18
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1

ニワカオヤジ

★★★★★ 4.1
物語 : 4.0 作画 : 3.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

Sakugano Anteiga Complex 2nd Gikusyaku

ストーリーについての考察は他の方のレビューでし尽くされており、省きます。駆け足で見たんですが、全体に良かったと思います。


・作画について
バトー・ボーマの目がペットボトルキャップ組、イシカワ・パズの目がほぼ線組は例外ですが、作画にかなりムラがあり、特に少佐の顔は安定しません。
時々黒目が大きくなって(特にOP)あと一歩で萌えアニメのお姉さんキャラになれそうです。

それにしても、少佐の服装がまともになり、ハイレグレオタードの上から上着とパンツを履くようになったのは評価できます。
・・・いや、レオタードをまず脱げよ。
そんなんじゃ萌えアニメのレギュラーは無理だぞ、素子ォ〜

投稿 : 2018/12/02
閲覧 : 96
サンキュー:

14

ぶろん

★★★★★ 4.4
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 5.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

一期よりは政治色が強め

一期の一話完結のストーリーが連続した刑事ドラマ風ではなく、難民問題などに切り込んだ政治色が強めの作品。
一期の派手さや、コミカルさを期待すると少しがっかりするかもしれないが、全体を通してみればやはり素晴らしい作品であることに変わりはない。

登場人物の背景や行動などに注視していると凄く楽しめるはず。

投稿 : 2018/11/19
閲覧 : 105
サンキュー:

3

ネタバレ

キャポックちゃん

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

手段のためには目的を選ばない男の末路

【総合評価☆☆☆☆☆】
 士郎正宗の漫画『攻殻機動隊』の映像化作品には、押井守の劇場版2作、神山健治のテレビ版3作、黄瀬和哉の新シリーズ(『攻殻機動隊ARISE』+新劇場版)、ハリウッド実写版(未見)があるが、押井版第1作『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』と神山版『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』および本作は、いずれもアニメ芸術の到達点を示す偉大な傑作と言って良い。
 神山版第1作の設定を受け継いだ本作(『攻殻SAC2』と略す)では、国家の中枢で暗躍するゴーダの策謀と、これを未然に防ごうとする公安9課の活動が基本プロットとなる。前半では、個別エピソードのように思える話がいくつも挿入され、やや緩慢に話が進むが、後半になると、せせらぎが寄り集まって歴史の奔流となる様が描かれ、終盤8話は、息もつかせぬ怒濤の展開となる。
 日本には、『GUNSLINGER GIRL』『RIDEBACK』『BLACK LAGOON Roberta's Blood Trail』『輪るピングドラム』『残響のテロル』など、テロリストを登場させた傑作アニメが少なくない。ハリウッド映画では、無差別テロリストは問答無用の悪党として容赦なく処断される。これに対して、日本アニメになると、「彼らはなぜテロに走るのか」「テロを防ぐためなら何をやっても許されるのか」といった問題に着目して深く掘り下げており、遥かに見応えがある。『攻殻SAC2』は、「国家権力によって捏造されるテロ」というアイデアをベースに、難民問題や軍産複合体などにも目を向けた社会派作品である。
 もっとも、扱う問題が大きすぎるため、一度で理解することは難しい。私も、初見の際には、英雄的なクゼに気をとられて途中からストーリーを十全に把握できなくなり、冒頭から何度も繰り返し見て、ようやく真価を感じ取れた。以下のレビューでは、再見しようという人のために、ネタバレ前提で作品の意味を解き明かしたい。

【社会的背景】
 舞台になるのは、第3次・第4次大戦の惨禍を経て、新技術による急速な復興を遂げつつある未来の日本。一時期、安価な労働力として大量のアジア系難民を受け入れたが、復興需要が一段落して労働力が過剰になり、難民を隔離・収容する全国数ヶ所の居住区はスラム化している。一方、国民の間には、難民が自分たちに失業をもたらす原因でありながら、彼らに税金が投入されることに対して不満が募り、反感が高まっていた。
 世界情勢に目を転じると、2度の大戦によってパワーバランスが大きく変わっている。もっとも、アメリカ(分裂した一方が「米帝」と呼ばれる軍事大国になる)と中国の冷戦が深刻化する状況は、2004年の制作時よりも現在の世界に似ている。
 こうした中で、{netabare}親米派の官房長官らが、難民問題という火薬庫にワザと火をつけ、米軍の協力の下、これを一気に鎮圧することで、民意をまとめ強権的な体制を作ろうと思い立つ(断片的なセリフから、そう推測される)。社会が混乱したとき、敵対勢力をでっち上げて力で押さえ込み、主導権奪取を画策するのは、権力者の常套手段である。
 ただし、『攻殻SAC2』で描かれるのは、政治家たちの生々しい実態ではない。「難民問題に火をつける」という1点に全力を傾注するゴーダの姿である。{/netabare}

【ゴーダは何をやろうとしたか】
 ゴーダは、内閣情報庁の要職にある立場を利用し、情報技術(IT)を駆使して社会的な状況を「プロデュース」する。
 彼の策略は、2つの方向で進められる。{netabare}1つは、コンピュータ・ウィルスを利用して難民排斥を扇動するテロリスト・グループ「個別の11人」を作り、彼らを英雄に祭り上げることで、国民の間にある反難民感情を増幅させること。記憶を改竄する技術(作品世界で開発済みとされる)を使って、「個別の11人」のメンバーに、自分たちは高邁な理想を胸にテロ活動をしていると錯覚させた。現代に置き換えるならば、SNSのフェイクニュースを利用した世論誘導といったところか。
 ここで重要なのは、記憶の改竄によって国民を直接扇動するのではなく、「個別の11人」という媒介者を利用した点である。直接的な扇動は、カラクリが露見したときに民意のベクトルを一挙に反転させる危険がある。しかし、まず媒介となる扇動者を作り上げ、彼らに対するシンパシーを広めておくと、より安定的かつ容易に民意をコントロールできる。ゴーダのやり口(と言うより、神山らによる脚本)は、実に考え抜かれている。
 もう1つの策略は、難民がプルトニウムを利用した核テロを画策中だと国民に思わせること。核に対する根源的な恐怖感が、反難民感情を掻き立てるからである。ロシアン・マフィアがプルトニウムを難民に売り渡すというシナリオを組み立て、手駒として利用できるクゼを動かした(らしい。はっきりとは描写されない)。日本政府側のゴーダがロシアからプルトニウムを調達するのは難しいので、廃墟となった新宿原発から抜き取ったものを利用した。
 2つの策略によって難民排斥の民意が固まり、アメリカの協力を得て一気にカタをつけるべく軍が動き出すところまでが、ゴーダの使命である。その先は、政治家が自分の思惑に沿って事を進める手筈だったのだろう。{/netabare}

【ゴータの人物像】
 『攻殻SAC2』で瞠目させられるのが、ゴーダという人間の姿である。{netabare}事故で顔面を大きく損傷したのに、あえて修復せず異形のままでいたのは、自分を特別な人間に見せかける自己演出なのだろう。事故前はごく平凡な顔立ちの官僚で、その顔貌の通り、与えられた仕事に素早く対処できる有能な官吏だったと想像される。難民問題に火をつけるための策略は、実に綿密に練り上げられており、本人は天才の技だと思っているようだが、官僚的な処理能力を発揮したに過ぎない。火をつけた後に何をするか具体的なビジョンは語られず、明確な目的を持たないままテロという手段を策謀しただけである。
 連合赤軍事件、オウム真理教事件、911全米同時多発テロなど、現実に起きた事件を調べると、テロ後に何がどうなるかについて、関与した者がきちんと考えていなかったことがわかる。本人は理想のために身を捧げるつもりなのに、その理想を実現する上でテロがどんな役割を果たすのか、理解できていたとは思えない。むしろ、最終的な目的よりも、テロそのものが持つ破壊の美学に陶酔していたように感じられる。
 こうした事情に目を向けたアニメ作家が、自身が全共闘世代で学園紛争の実態を目の当たりにした伊藤和典や押井守である。伊藤が脚本を書き押井が監督した『機動警察パトレイバー』シリーズには、テロという手段だけが共通するテロリストたちの互助会(!)や、軍事力で実権を掌握したのに何の要求も出されない「クーデターを偽装するテロ」が登場する(前者は旧OVA版『機動警察パトレイバー』第2話「ロングショット」、後者は劇場版『機動警察パトレイバー2 the Movie』)。
 押井の薫陶を受けた神山が、テレビ版『攻殻機動隊』シリーズを構想するに当たり、これらの作品を参考にしたことは間違いない。特にゴーダは、「手段のためには目的を選ばない」人間であることが強調される(アメリカが弱腰になったとき、中国と手を組むことも視野に入れていた)。
 こうしたゴーダの特性を象徴的に示すのが、パトリック・シルベストルの著書「初期革命評論集全10巻」に続くとされる、幻の第11巻「個別の11人」である。実は「個別の11人」という著作は実在せず、ネットで探し出して読もうとするとウィルスが発症するという仕掛けなのだが、ウィルスに操られている者は、これを読んで感銘を受けテロリストとして目覚めたという偽の記憶を植え付けられ、心の底から信じてしまう(この状況を描写した第12話「名も無き者へ」のシーンは、肌が粟立つほど恐ろしかった)。テロリストの理想が完全な虚構でしかないという設定は、ゴーダの無目的性を象徴的に表す。
 実は、脚本を執筆した神山は、当初、三島由紀夫の著作を引用しようと考えたようだ。しかし、理想が空っぽだという見解を示すのに、現実の作家を持ち出すのは明らかに不適当である。シルベストルという(現実世界から見ると)架空の思想家の(作品世界において)実在しない著作という二重の虚構性によって、目的がはっきりしないままテロが遂行されるという現実的な恐怖が際立ったわけであり、三島からシルベストルに変更したのは正解だった。
 ビジョンを欠いたまま手段に関して緻密な策略を練り上げ、それだけで自分は天才だと自惚れる小役人的なゴーダを、バトーは、次のような言葉で罵倒する(第22話「無人街」):「お前はやはり、二流だな。…(中略)…個人的な思いつきを他人に強要しているだけでは、人の心を打つことはできない。そこには、善意でも悪意でもいい、何かしら確固たる信念のようなものがない限り、天才とか英雄と呼ばれる存在にはなれない」{/netabare}

【反撃する公安9課】
{netabare} 『攻殻SAC2』の物語が始まったとき、すでにゴーダの策略は大半が完成していた。内閣情報庁の機能を利用してレールを敷き終えており、いくつかの不確定要素を除くと、後はシナリオ通りに事を運べば良い。
 反難民テロにおける犯人の不可解な行動などをきっかけに、公安9課の荒巻課長は、背後に何らかの謀略が蠢いていると気がつく。草薙素子ら9課のメンバーに調査を命じるものの、全体像がなかなか見えてこないまま、状況は悪化するばかりである。視聴者も、このジリジリするような経過に付き合わされ、少しずつ提示される断片的な情報に混乱させられる。人によっては、この部分が面白くないと感じるかもしれない。しかし、事態の深刻さ・巨大さを納得させるためにも、このジリジリ感が必要なのである。
 ゴーダの策略に対して完全に出遅れた公安9課だったが、情報を集めながら少しずつ体制を立て直し、ある出来事をきっかけに最終的な逆転劇へと突き進む。こうした序破急の展開は、終盤における圧倒的な迫力を生み出す。
 策略が崩壊するきっかけの一つは、難民が核テロを計画しているというデマにリアリティを付与するため、プルトニウムの実物を使ったことである。「ロシアの軍事施設か、原発の使用済み燃料か」といったプルトニウムの出所は、同位体組成を分析すれば突き止められる。草薙素子は、バトーを使ってゴーダの気をそらしている間にプルトニウムを横取りし、一気に形勢逆転を図る。
 さらに、シナリオから逸脱する2つの不確定要素が、ゴーダの策略を狂わせる。1つは、難民のリーダーとなるクゼで、ともすれば低きに流れがちな民衆を教導する宗教的英雄然とした姿を示す。もっとも、核武装して難民居住区を独立させるという発想は、おそらくウィルスに由来するものであり、武力行使を極力回避するという主張も難民に浸透していなかったので、登場シーンが多い割に、その役割はあまり大きくなかったようにも思われる。このことは、神山自身、承知の上なのだろう。クゼは、義体の仕様で口がほとんど動かせないが、これは、その英雄的風貌に視聴者が感化され過剰な思い入れをしないように、敢えて設定した欠陥かもしれない。
 クゼよりも重要なもう1つの不確定要素が、茅葺首相である。最初見たときには、彼女の立ち位置がよくわからず、終盤の急展開で少し混乱したが、再見して漸く、彼女こそが『攻殻SAC2』において決定的な役割を果たすキーパーソンだと気がついた。{/netabare}

【茅葺首相の役割とは】
{netabare} 日本初の女性首相となった茅葺は、選挙のために担ぎ出された人寄せパンダである。官房長官による裏工作のせいで充分な情報を入手できないため、優柔不断に見える行動しか取れず、内閣ではいいようにあしらわれている。しかし、こうした外見とは裏腹に、明確な信念に基づいて日本のために尽くそうとする、真面目でひたむきな政治家である。
 ラストのクライマックスで、彼女は、ある決断をする。それ以前に、彼女が親中派だと思わせる描写があり、米軍を利用した策謀をひっくり返すため、中国に頼るのではないかという疑念を視聴者に抱かせるのだが…。私は、決断の中身が何かわかったとき、胸が熱くなった。彼女は保守的な愛国者ではあっても、パワーポリティクスに与する権力志向の政治屋ではない。自分の理想を軍事大国に向かってはっきりと主張できる度量がある。
 『攻殻SAC2』では、茅葺首相が思うように事を運べず、官房長官の言いなりかと見える出来事がいくつも起きる。にもかかわらず、決して悪し様には描かれない。草薙素子が「課長の好みのタイプ」と茶化すシーンもあるが、荒巻は、その言葉を素直に肯定する。難しい決断が必要なときには座禅を組み、暗殺者に狙われても意志を揺るがせない彼女の姿は、若々しく美しい顔立ちと相まって、作者が理想を託したことを窺わせる。{/netabare}

投稿 : 2018/11/17
閲覧 : 39
サンキュー:

2

askima

★★★★★ 4.6
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

色褪せないな

むしろ先進的過ぎたのかな。
10年以上前に見たからぼんやりとしか覚えてなくて、SACから見直した。今放送しても十二分に通用するよね。

少佐の生い立ちはシリーズによって若干異なるのは、シュタゲ風に言うと世界線の違いなのかね。まあそれはいいとして、近未来、白兵戦、頭脳戦、電子戦、ヒューマンドラマ、すべてをまとめ上げてるのが攻殻機動隊。
本当にいい作品。

投稿 : 2018/10/13
閲覧 : 32
サンキュー:

2

ヒロウミ

★★★★★ 4.6
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 5.0 音楽 : 4.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

社会風刺に富んだカオスなモノクロワールド。

僕らはみんな生きている。そこに集約された色々な何かを今一度考えてみるべきなのかもしれない。な感じの物語。


SAC無印と同様にゆっくり進んでいく物語は全52話で構成された5,000ピースのジグソーパズル。ゆっくり組み上げっていく様は達成感と完成してしまう喪失感、そして次のパズルを作りたくなる欲求に強く駆られる。途中無くしてるピースがかなりありそうに感じたが大して気にならなかったのが不思議な感覚。


ネット社会での本来ある個の責任の大きさを匿名性をたてに盲目的に希薄化していると勘違いしていることを皮肉ったり政府のありようを皮肉ったりなかなかウィットに表現された物語もなかなか面白く、ヒヨコ並みの脳ミソの私でもその皮肉を理解できるセリフがなかなかのツボでとても楽しめました。色んなところから引用していそうなセリフもまた周回するうえでは楽しみな要素でもある。

が、私はまだ何も調べない。純粋に無知にこの作品シリーズを周回しながら落とし込んでみたくなる魅力があった。面倒になって途中から調べ始めそうだが。



エロも萌えも描写も音楽も派手さはない。それにも関わらずモノクロなのに静と動を感じることができ、キャラクター達には艶を感じる。丁寧な物語とセリフ、演者の技量、邪魔をしないが盛り上げる劇中音楽、構成するもの全てがとても心地よく盛り上げてくれる。
時折作画乱れてるけど外注ですかね?ちゃんと作れよな!

今時の流行りのなんちゃってな商業アニメのようにギラギラコッテリした味でごまかした似たり寄ったりなドングリたちのくせに1,000円もしちゃう割りにバイトが簡単に作っちゃう化学調味料だらけのエセB級グルメのラーメンとは違い、素材の味と技術者の味付けや盛り付けを感じられる「職人」の作った美の和食そのものと言えよう。
ラーメンなんか600円以上払うもんじゃないしそんな金額のラーメンなんざそこそこ上手くて当たり前なんだよなぁ。



できれば6部作ぐらいでゆっくり視聴したかったなぁ。
原作は知らないし興味もないけどこの作品のバランスを整えた制作陣は英断を下したと思う。少佐がズボン履くようになったよ!

投稿 : 2018/07/27
閲覧 : 225
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20

ネタバレ

シルメリア

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

わらいおとこ→こべつのじゅういちにん しりとり終了

1話
1期で苦言した事が2期の初回でサプライズか!
バトーさんの感激シーンを期待していたのだが
そこは残念だった。
草薙素子いつも落下してるけど、自殺志願者なの?制作が草薙素子は、「縦」の動きとかなんとか言ってたけど。関係あるのか?
2話
妄執に取り憑かれた男
3話
ダッチワイフの自慢PT
4話
タチコマの天敵現る
5話
難民解放機構 仇士
6話
新東京
アサギ無事死亡
7話
原爆移送
この国のトップは無能だな。
隠密性・秘密裏に動くのが公安の強味なのに
矢面に立たせてどうすんの?
自衛隊に運ばせるのが筋だろ?
数云々いってるなら、尚更だ。
2部隊でもしくはそれ以上で運搬すればいいだけだし。何のための、陸海空軍何なのか?
陸輸、海輸、空輸。
バトーさんの怒りももっともだ。
8話
1期より複雑でちょいちょい補完しに行くと
誤字脱字の多さに唖然とした。
わからないなら平仮名で書けよwww
サイボーグ飯かぁ。飯繋がりで
最近の冷凍食品はだいぶ美味しくなってる。
9話
憎しみの連鎖
ファイヤー→アイスストーム→ダイヤキュート→ブレインダムド→ジュゲム→ばよえ~ん
10話
あんまりお薦めはしない回
陪審員が機械、裁判長もサイボーグっぽかったし、事務的で……。正義とは何か?と改めて問われてる気がする。
11話
バトーさん、少佐にバレずに追跡できると
断言。当然だろ(バトードヤ顔)翻訳すると、ストーカー行為。しかし、あっさり見失うw
窂記物店に並んでるVHSの向きが非常に気になる。
ツメが上部で並べるのが普通じゃ無いのか?
劇中ツメが下部で並べられていたから
気持ち悪くて困った。
草薙素子の初恋の過去話
12話
更に話が複雑になってきて理解するのが大変だ。個別の11人が鹿児島の戦没者慰霊碑に集まっていたのは1期の辻崎の中国外務次官との関連もありそうだったなぁ。トグサの最後の心当たりは「笑い男」かなと?思ったけど違って残念だった。
ゴーダの暗躍が、オリジナルと模倣犯の区別を曖昧にするし。自決プログラムとかね。
特典映像の監督の話聞かんとマジ意味不。
13話
トグサに次でパズかぁ。
14話
昔話
草薙素子VS.サイトー
15話
そしてタチコマ、パパに会う
16話
クゼの過去
17話
草薙素子「私にも、まだこんな感情が残ってたなんて・・・」ここで言う感情とは何なんだろう?母性?正義?保護欲?全身義体化してて
その感情が全く読み取れん。
18話
ちょっと番外編
難民事件から離れて内調の推薦により
草薙素子とバトーが国際テロリストの事件に
駆り出せられる。
19話
ほうえい丸
20話
再びクゼと相見える
21話
9課やられっぱなし
連敗中
22話
童貞
23話24話
ゴーダ劇場
25話
バトーがいっぱい∑(OωO; )
26話
一応事件一段落
2期も見終わったが何だろ?
「タチコマ」犠牲にするのが当たり前みたいな
印象になってしまった。1期もそうだったけど。
クゼが草薙素子の「初恋」の相手かもしれないという。ミスリード?がいらなかったかな。
確かにクゼの電脳に少佐が触れてから凛々しい少佐では無く乙女チックな「迷い」がみえて
これは攻殻じゃないだろう!と思った。
大半の人はクゼが少佐の初恋だと思うだろうが
ハッキリとしての明言は無く、赤の他人の可能性はある。確定しているなら、わざわざ
「左手だけで鶴折れる」とは聞かないだろうし
、返事もプログラムさえいれればと可能だというかえしだったし、これは違うなと確信。
択捉で鶴の折り紙があったことや小さい頃から
全身義体というたった二つの共通点だけで
そう判断するのは早計だろう。
タチコマ→ウチコマの仕様変更も正直淋しい。
2期は1期より複雑で理解するのが大変、なんとなく触りで理解出来た程度かな?たぶん。
ゴーダもクゼも悪としての魅力が弱くて
あんまり面白いとは思えなかった。
結局は「難民」をどうするかによる衝突だから
難しいよね。復興のために利用するだけ利用してその後事を考えなかった結果歪みが生じて起きた事件だったなぁと。

投稿 : 2018/02/13
閲覧 : 101
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7

なまふ

★★★☆☆ 2.5
物語 : 1.0 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 3.0 キャラ : 1.0 状態:観終わった

頭良さぶりたい人のアニメ

評価も高く、世界観が面白そう!と思い見てみましたが期待外れでした。

作画・声優さんの演技・音楽、は良かったです。
ストーリーが酷かった。

単調で独特の流れでどこで緊迫した気持ちになればいいのかわからない。
社会風刺系っぽくしてるけど、作者は社会勉強不足で感動も共感も熱くもなれない(物語の本筋部分で、問題そこじゃない・それ解決しない・うわ小学生並みの間違いしてる と感じる面多々有り)
人物の関係性が非常にわかりづらいし、感情移入できない矛盾した面が多々有り。

ストーリーに興味がなくて、ちょっとかっこつけて頭賢いアニメ見てる風になりたい・作画と音楽と声優さんの演技目的、の人にのみいいアニメだと思います。

投稿 : 2018/01/12
閲覧 : 120
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1

ネタバレ

p4

★★★★★ 4.6
物語 : 5.0 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

硬派(当たり前)

まず、このアニメ放送時に難民問題を取り上げたことがすごい。だって難民問題ってここ最近になってひどくなってきたわけで、当時は今ほど注目されていなかったわけですから。先見の明ですね。社会派アニメって珍しいと思うのでそういうのが好きな人はぜひ!

投稿 : 2017/12/25
閲覧 : 60
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2

ネタバレ

へんなの

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:今観てる

888

おかえり!タチコマ!

投稿 : 2017/12/03
閲覧 : 57
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0

ネタバレ

STONE

★★★★★ 4.5
物語 : 5.0 作画 : 3.5 声優 : 4.5 音楽 : 5.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

9課再び

 原作は未読。
 続編と言うことで基本的な世界観や設定は1期と同じくしながら、若干毛色が異なっており、
個人的にはそれぞれ異なった魅力を感じる、いずれもよく出来た作品といった印象。

 本作では「個別の11人」を端に発する合田 一人の陰謀と、クゼ・ヒデオの活動が主軸と
なっており、政治劇としての側面が強くなった感じ。
 一見本筋とは関係ない幕間回と思われるような回も本筋に繋がる伏線となっている回が多く、
この辺が本筋に繋がっていく展開がなかなか飽きさせない。
 プロット的には複雑さが増したようで、それをうまいことまとめている感があるが、
その反面焦点がぼやけた印象も。

 この事件の重要モチーフとなるのが難民問題で、昨今のヨーロッパを始めとする難民問題を
見るにつけ、放映時より生々しい印象がある。
 この難民に対するスタンスとして興味深かったのが「個別の11人」に代表される
個別主義者で、単純な難民擁護、難民排斥ではなく、「難民を攻撃することで難民の蜂起を
促す」という右とも左ともつかない思想が印象的。ある意味、凄いツンデレみたいな感も
あるけど(笑)。

 1期に較べるとサイバーパンク的ガゼットは幾分減った感はあるが、タイトルにスタンド・
アローン・コンプレックスを引き継いでいるように個々の意識の並列化や集合意識といった
要素は本作も重要なファクターになっている。
 まあ、本作ほど電脳化されていない現実でも、個々の意識が世論という集合意識めいたものを
形作り、それが個々の意識にも影響を与えているところなど、ネットワークが強化されれば、
それがより顕著になるものの、本質的な部分は電脳うんぬんとは関係なく、人間の持つ
特性なのかなと改めて感じたり。

 一方、ゴーストに代表される自己や自我の認識の問題の方はもっぱらタチコマが引き継いだ
印象が強く、最終話における自己犠牲的展開は1期と同じくするものの、描かれたそれは1期
以上にゴーストの存在を感じさせるものであった。
 そういったテーマ性とは別に他に萌えキャラやマスコットキャラなどがいないせいも
あるためか、タチコマの愛らしさは際立っており、ハードな世界観の中で一服の清涼剤と
なっているような。それだけに最終話における行動により涙してしまうのだが。

 サイバーパンク世界で9課が活躍するアクション劇といった側面で観ると、本作での9課は
合田に対しては攻められる側で、クゼにはかなり振り回されるといった感じで、なかなか
カタルシスが得にくい感がある。
 この辺は作中でも語られた物量に対する弱さなどの9課の弱点が露見したような印象があり、
更にある種の独立部隊的印象の9課もあくまで国家の一組織であることを改めて感じたが、
こういった弱さがあるからこそ、作品を魅力的にしているのではないかと。

 キャラ的には草薙 素子の過去が描かれたのが印象的。もっとも攻殻機動隊各作品はパラレル
ワールドとなっているようで、あくまでのその中の一つといったものだが。
 これが単に素子の過去を描いただけではなく、その過去においてクゼと関係があることで
ストーリー的にも重要な意味を持っており、そのために素子の弱気な一面が見られたのが
これまた印象的。こういった弱さが素子というキャラをより魅力的にしていたような感が。

 素子の両翼を固めるバトーとトグサも相変わらずのらしさを発揮しており、1期の
元ボクサーを巡る回と同様に本作の天使の羽根を巡るピックアップ回などはビターだが
ハートフルな内容がなんとも味わい深い。このピックアップ回以外を含めてもこの男が9課で
一番繊細なんだろうなと言う思いがより強くなった。
 一方のトグサは未だに青臭さを持ち合わせており、それが活動における詰めの甘さにも
繋がっているみたい。ただ、組織というものにおいて、実際の活動内容は現実的な折り合いが
必要でも、その存在意義や活動理念にはある種の理想論的なものが大事であることがあり、
そういった意味ではトグサのこういった部分は、他のメンバーが良くも悪くもすれていることも
あって、結構大切なものかもしれないという感があった。
 サイトーやパズといったこれまであまり掘り下げられなかったキャラをフィーチュアした回が
あったのも嬉しいところ。

 1期からそういった傾向があったが、本作は他作品(主に洋画)からの影響がより強くなった
感があるが、こういった部分に関して、パクりなどという気はなく、むしろうまいこと
攻殻機動隊世界に落とし込んでいるなと感心する。
 まあ、攻殻機動隊が他作品に影響を与えていることも多く、こうやって互いに創作のヒントを
与え合っているのはむしろ良いことだなと思ったり。
 影響と言えば、フィクション作品だけでなく、「個別の11人」のビル屋上での演説後の
自決は三島事件を思い起こさせるし(「個別の11人」関連そのものが三島 由紀夫を思わせる
部分が多いけど)、クゼの海上での銃撃戦は海上保安庁と北朝鮮の工作船との交戦を
思わせたりと現実にあった事件からの影響も強く感じる。
 ドラマを盛り上げてくれる音楽も良かった。

投稿 : 2017/11/23
閲覧 : 83
サンキュー:

4

ネタバレ

ブリキ男

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

低きに流れた水の中の魚は灼ける大地の事を何も知らない

攻殻機動隊S.A.C.の2期に当たる作品。前作の「笑い男事件」終結から凡そ2年後の世界が舞台。今回テーマの中核となるのはナショナリズムにテロリズム、難民問題、代理戦争など。前作と比べさらに政治色の強い作風になっています。

地道な捜査の積み重ねで積極的に「笑い男事件」の真相を追うミステリー色の強い1期に対し、2期では依頼を受けてから行動、事件が起きてから対応という受身の展開が目立ち、常に※1攻性である事を謳い文句にしている9課の本領が発揮される場面が少なくなってしまっています。情報戦における優位性を確保出来ずに敵に先手を打たれるなんて場面もしばしば。物語の運びからもやや鈍重な印象を受けます。

1期では表舞台に上がらなかった「※2内閣情報庁(内庁)」なる組織が9課のライバル的な位置付けとして登場した事がその大きな原因で、内庁は監視、工作活動により、9課の動きを牽制しつつ、自らの組織の謀略計画を進行させていきます。

さらにこの2GIGではクゼという強敵も9課の前に立ちはだかります。テロリストという括りの中にありながら、非常に人情深く頭の切れるキャラなので、彼もまた9課のみならず内庁をも翻弄する存在として物語の中で大きなウエイトを占めていく事になります。

踏まえ、本作2GIGは、公安9課と内庁、さらにクゼを交えた-三つ巴の化かし合い-頭脳戦の色合いの強い作品になっていると言えるのではないでしょうか?

※1~2
{netabare}
※1:作中では当たり前の様に使われている単語ですけど、あれこれ辞書を引いても該当するものは見つからず(汗)内攻性(表面に表れず内側に広がり攻める意)という言葉は存在するので、概ねその逆のニュアンス、単純に攻撃的、積極的という意味合いで捉えても問題ない言葉だと思います。

※2:現・内閣情報調査室、国家安全保障会議、国際情報統括官組織などを統合して作られた組織との事。国内外の諜報活動や情報操作等による謀略活動なども行なう上、国防に関しても発言力を持つという非常に力のある組織。米CIAみたいな感じです。人員数、組織力の面で9課を圧倒的に上回る。
{/netabare}

また本作では、個人の情報を丸ごと外部記憶装置に移し変えた時、そこにゴースト(魂)は宿るのか?あるいは人造物にゴーストは宿るのか?という疑問や、肉体(義体)がゴーストに与える影響等についてのお話もそこかしこに見られ、1期と比べ、より原作テーマへの接近が試みられている点にも大きな特徴があります。

人の体を一度分解して別の場所に再組成する転送装置というものが、古~い海外ドラマの「※3スタートレック」とか洋画「※4ザ・フライ」なんかでは登場しますが、ちょっとだけ冷静に考えてみると、いずれの例でも、装置に入った人は転送の際-肉体が分解された時点で-一度死んでいると解釈出来る点に非常な怖さがあります(汗)分解の過程を除けば、本作で描かれる人体情報の電脳ネットへのコピーも、これとほぼ同じ事をしていると言えます。

ではコピーされた人格って同じ人?別の人?という疑問についてはどうなのでしょう。近似として双子の例を取ってみると、遺伝情報は同じでも、ヒトの脳の取り得る量子状態は一瞬毎に10の13乗通り以上あるらしく、両者の個性の分岐は主にそれゆえに生じる現象だそうなので、オリジナルにとっては双子に等しいコピー人格も、このケースと同じく独立した別個の人格になると考えられる様です。

さらに電脳ネット内の人体情報を別々の場所にコピーした場合、当然の結果として、3つ子、4つ子に相当する異なった人格をそこに見出す事が出来るはず‥。

まとめると、わたし達の身体に宿す人格(本作で言う所のゴースト)とは膨大量の選択肢から脳が選び続けた積み重ね、迷路の様に無数に枝分かれした可能性の末端にしか観測されない、また凡そ、この宇宙に唯一つしか存在し得ない、かけがえの無い奇跡の様な帰結と評価する事が出来るのです。

なので、今この文章をお読みの皆さん! 皆さんの中に仮にコピー人間の方がいらっしゃったとしても、何ら恥じる事はありませんよ。あなたはあなた以外の何者でもないのですから。「私が死んでも代わりはいるもの…」とか暗~い台詞は当然無用です(笑)ご自身のゴーストには一定の誇りと責任を持って胸を張って生きましょう!

‥さてさて、もう一つの原作由来のテーマ、肉体と精神の不可分性についてに話を移すと、これは電脳ネット内に記録されたコピー人格が自身の肉体を錯覚する事さえ出来れば(義体を手に入れるか電脳ネット内にアバターを作るなどすれば)充分にクリアー出来る問題だと思います。肉体から脳へ、脳から肉体へというフィードバックが上手く働かないと精神の健康を害してしまうそうなので、これは必須の条件と言えます。意識はあるのに外界の事を何も認識出来ない、な~んて状態がずっと続いたら※5SAN値が下がりまくる事は容易に想像出来ますからね(笑)原作漫画にあたる「攻殻機動隊2」や派生作品の「紅殻のパンドラ」においても、そんな問題について触れられていますので、ご興味のおありになる方はぜひ手に取って読んでみて下され。

※3~5
{netabare}
※3:邦題「宇宙大作戦」。惑星連邦(訳によっては銀河連邦とも‥かな~り違う)なるものが設立された遠い未来の宇宙を舞台にしたテレビシリーズ。宇宙船エンタープライズ号の船長カークと、その仲間たちの活躍を描く惑星・宇宙探査アドベンチャー。戦記ものの性質も若干ある。派生作品多数。今年(2017年秋)には「スタートレック:ディスカバリー」という新シリーズも公開されるそうです。でも日本での知名度は何故か低め(汗)

※4:転送装置を使ったある実験中、その中に一匹のハエが紛れ込んでしまい大変な事に‥身の毛もよだつSFホラー映画。

※5:クトゥルフ神話TRPGにおけるパラメーターの一つ。プレイヤーの正気度を示す数値。SANは英語のSanity(正気さ)の略。0になると発狂し、ゲームオーバー扱いとなる。
{/netabare}

文学について、引用元は1期はD・J・サリンジャー、2期は三島由紀夫とされていますが、後者については引用許可を取るのが困難とみられ、また右翼による殴り込みの可能性も踏まえ、結局の所、架空の思想家パトリック・シルベストルにすげ替えられたという裏話があるそーです。なんてこった(汗)

確かに神山監督は現実の事件と自身の作品を深く結びつける傾向があり、関係者からの反感を買う種を闇雲にばら撒いている節があります(笑)ですが、これはあくまでもフィクション。モチーフとした事件と作中エピソードの顛末には何の関係もありません。アニメに自分の思想を代弁させる様な行為はあまり褒められたものではありませんが、神山監督はギリギリの線の所でその点をカモフラージュしつつ、あくまでも社会問題に目を向けさせる方向に視聴者を誘導している様にわたしには思えます。何と言いましょーか、綱渡りですね~(笑)

三島由紀夫の名を使えなかった事で、前作と比べリアリティが落ちたと言う意見を方々で目にしますが、この点については、わたしはかえってそれで良かったのではないかと思ってます。前作におけるサリンジャーの引用のくどさは、作為的なものが見え隠れする所為で、かえってリアリティを削っていた様に私的には思えましたし、サリンジャーも三島由紀夫も知らぬっていう人にとっては、はっきり言ってどっちでもいい事ですからね。事実、物語としてちゃんと成立している※6総集編ディスクでも、シルベストルに関する台詞は殆ど削られていましたし(笑)

士郎先生の漫画の良い所は、特定の政治思想などに肩入れする様な事はせず、率直に淡々と未来世界を夢想している所にありますが、それだけに、善と悪、敵味方の図式で描かれる事の多い、ある程度の単純さが要求される娯楽性重視のアニメ作品とは、もっと言えば、テーマを明確に提示したがるきらいのある神山監督の作風とは、若干ながら相性が悪いのかも知れませんね(汗)


キャラについて、2期において先ず目を引くのはやっぱりこの人! 怪人・合田一人(名は"かずんど"と読む。ユニークな顔とセットで覚えよう)。顔面の右半分と左半分の造形のギャップが著しい、有名どころで例えるなら※7あしゅら男爵みたいな風貌してます。1期には存在しなかった役どころにあり、序盤から登場する明確な敵役として強い印象を残します。自己顕示欲の強い自惚れ屋。あくどい事を嬉々として語るタイプのキャラなので、視聴者の憤りの矛先も9課の人たちと同じくこの人に向かうかも知れません。

そしてクゼ・ヒデオ。能面の様に動かない顔を持つ※8前身義体のテロリスト。頭脳明晰にして戦闘能力極めて高し、自らの思い描く革命を実行に移さんと信念のままに行動する人。弱者の味方で無駄な争いを好まぬ人格者でもあるという、正に完璧超人。中の人(小山力也さん)曰く「完璧すぎて真似出来ない」だそうな‥わたしもそー思います(笑)

また、9課の新メンバーとしてアズマ、矢野、プロト君が登場しますが、前者から数えて二人は出番少な目、影薄めの役回り。プロト君には結構見せ場が用意されてます。一応3人とも原作登場キャラで、アズマは押井監督の「イノセンス」にも登場。そっちでもこの人不遇な扱いですが(汗)原作漫画の攻殻機動隊1.5では出番多めだったりします。嗅覚素子が強化されていてワンコみたいに臭いで対象を追跡出来るという裏設定あり(笑)

※6~8
{netabare}
※6:新作映像、新規アフレコを追加して161分にまとめた再編集版「Individual Eleven」の事。シルベストルに関する台詞、個別エピソードの殆どをカット。スピード感重視の映画的編集になっており、テレビ版よりもサクサクと物語が進む印象で観やすかったです。

※7:元祖スーパーロボットアニメ「マジンガーZ」に登場する悪役。右半分は女性、左半分は男性という設定の人造人間。

※8:脳以外の全てを機械化している人の事を指す。作中では少佐とクゼの二人が前身義体。部分義体の人とは異なり、生体にかかる負荷を殆ど考慮しなくても良いので、その動作は高速かつパワフル。痛覚とかの遮断も出来るので体が損傷してもひるまない。
↓続き
片腕サイボーグって何だか強そうなイメージありますけど、重い物を持ち上げたり、思い切りパンチしたりすると接合部分の脱臼や疲労骨折のリスクが大きくなって、あまりよろしく無いらしい。原作1巻では"部分サイボーグは「人間の能力を補う」前身サイボーグは「人間以上を作る」"と説明されていました。そういう理由でこの二人(次いで義体化率が非常に高いバトーさんとか)は別格に強い。主人公補正とかではない(笑)
{netabare}後半のバトーさんVSクゼの一騎打ちシーンは本作のハイライトシーンの一つ。派手なシーンではありませんが緻密な描写が美しい!最優の義体使い同士の闘い、とくとご覧あれ!{/netabare}{/netabare}

構成について、続き物と一話完結のエピソードが明確に区別されていた1期と違い、大部分のエピソードが主軸となる「個別の11人事件」に関連する内容となっています。なので下に付記した分類は申し訳程度のものと考えて、素直に全話視聴した方が良い気がします。総集編を観て面白かったら、テレビ版を視聴というのもアリでしょう。

黒=一話完結 :1.2.3.6.8.10.13~15.17.18
白=クゼ関連 :5.11.12.16.19~21.23~26
灰=ゴーダ関連:4.7.9.22

全体的に緊迫感高め、アクションシーン多めの構成ですが、上でも述べた様に前作では深く切り込まなかったゴースト(魂)の所在についてのお話なんかも割と多めになっています。

他方で1期には辛うじてあった日常描写やお遊びシーンはさらに少なめです。でも本編終了後のお約束コーナー「タチコマな日々」は健在なのでご安心あれ。ちょこっとだけ笑かさしてもらえます(笑)

音楽について、前作に引き続き、菅野よう子さんの曲とOrigaさんの歌の相性が絶妙なオープニングテーマ「rise」が特に良いっ! 前作の「inner universe」は摩訶不思議な浮遊感が特徴的でしたが、今回の「rise」はドラマ、闘争を思わせる、流麗かつ勇ましい曲。2ndGIGの作風との親和性が感じられます。

作中音楽も全て素晴らしい。ですが最も印象に残ったのは、その名も「Go DA DA」という、オスマン軍楽の「ジェッディン・デデン」を改悪した様な曲。聴く度に"ヤなやつ出てきたな~"と感じてしまう程に強烈なテーマ。おかげで色々と刷り込まれてしまいました(笑)

完成まで長らくの時間を要してしまいましたが、学びつつ発見しつつ、ゴーストの囁きに導かれて、今回も楽しく書かせて頂きました。


再視聴を終えて(ネタバレ無しですが一応折り畳んでおきます)
{netabare}
小説や実写映画では既に御馴染みの、近年ではアニメ作品においても確立されつつあるスパイものというジャンルですが、今回の再視聴を通して、本作は後者の先駆けとして既に大きな仕事を果たしていたという印象が新たに加わりました。

フィクションの中で描かれるスパイと言えば、情報を盗み取るとか要人を暗殺するとか、かなり派手な仕事をするのが常で、華々しい表の面(変な表現だけど)だけを描く事がお約束となっていますが、反してこの職業の持つ地味で目立たない仕事、最も卑しい面が描かれる例は極めて稀です。

虚言の流布は現実の世界でもスパイの手によって頻繁に行なわれており、米ソ冷戦時代には特に苛烈に、またそれ以前もそれ以後も、手を変え品を変え巧妙さを増し、脈々と繰り返されてきたものであります。

活版印刷の発明以前から、プロパガンダ戦略は戦争においても、企業間競争などにおいても、大きな役割を占めていた様ですが、時代が進むにつれ、ラジオ、テレビ、ネットと情報の伝播の速さは爆発的な成長を遂げ、その重要性はますますの高まりを見せています。

近未来の世界を描く本作には、電脳ウィルスなるものが存在しますが、これもまたプロパガンダ戦略の一種と見て取る事が出来るのではないかとわたしは思います。

ネットワークを通して知らず知らずの内に人から人へと感染し、いつの間にかその行動を支配するという、ユーザーへの直接攻撃を目的としたコンピュータウィルスとも取れるこの技術は、一見怖ろしげなものの様に見えますが、ちょこっとだけ視点をずらせば、現代に生きる私たちもまた、既にテレビやネットなどを介して、感情や思考を意図ある何者かによって支配され続けている、そんな風には考えられないでしょうか?

一例をとってみると、テレビ人間とそうでない人の違いが挙げられます。テレビの中でも特にバラエティ番組の類を全くと言って良いほど見ないわたしは、テレビ大好きっ子みたいな人と話すと、その言葉遣い、ものの考え方に不安と言ってもいいほどの違和感を覚える事がちょくちょくあります。これは上の話で言えば、わたしがウィルスの感染源との接触を遮断した結果起きた必然であって、その良否はともかくとして、感染者と非感染者との間には無意識下のレベルで何らかの隔たりが生じてしまっている事を表します。感染源にはネット情報は勿論の事、紙媒体の本も当然含まれますので、わたしとて既に何らかのウィルスに感染してる可能性は充分にありますけど(笑)

洗脳は苦言によってではなく、甘言によって行なわれる所に、その正体の見つけ辛さがあります。良心に訴えかけるもの、同情を誘うものは、素朴な正義感を抱えているものにとっては格好のエサで、原油まみれの水鳥の映像や、一人の少女の証言が、戦争の正当性を高める為に利用されたという※9歴史的な事実さえもあります。

昨年話題になった「インターネット上で最も影響力がある25人」の一人に選ばれたある少女の発言にしても、わたしたちの殆どは、それが誰の意図または指示で行なわれたのかを知る術を持ちません。

総評として、大義名分の中に隠された嘘、人心操作のメカニズム、政治における光と闇の実態を、際どい所まで描き切った本作は、社会問題をテーマに据えた攻殻SACシリーズの中でも、最も危険な作品、屈指の名作と評価する事が出来るのではないでしょうか?


※9:湾岸戦争の事、アメリカ軍による自作自演と、難民を演じる様に指示されたクウェート駐米大使の娘によるプロパガンダがテレビなどで繰り返し報じられる。
{/netabare}

おまけ・用語解説など
{netabare}
映像カーテン:通電性のある特殊ガラスに微電流を流して電波や可視光を撹乱、遮断する技術。狙撃や盗聴に対して絶大な効果がある。

バイオロイド:クローン技術を用いて造られた人間。遺伝子操作によってネガティブな因子が取り除かれているおかげで物腰がとても柔らか。つまりいいヤツ。血が白いがロボではない。

スタンナックル:手袋型のスタンガン。義体化してる人にも有効。使用者にもビリッと来るらしい(笑

マテバ:イタリアの食品機器・銃器メーカーの名前。作中では主にトグサさんの使う回転式拳銃「マテバM-2008」が度々こう呼ばれる。発砲時のガス圧で次弾が自動装填されるオートマチック拳銃と比べ、単純構造ゆえに機械的トラブルが起こりにくい。装弾数が6発とやや少ないのが弱点。義体化を敢えてしないトグサさんのキャラと共に作中におけるアンチテーゼの一つになっている。と思う。

日本の奇跡:マイクロマシンによる放射能除去技術の事。人工物ではなく天然モノですが、1986年に原発事故を起こしたチェルノブイリで放射線を養分化できる細菌が近年になって発見されたそうです。除去や無害化とは程遠い性質ですが、こういったものの研究が作中の日本の奇跡みたいな技術に繋がっていくのかも知れません。

マシンなんて言うと鉄やシリコンなどの無機物から作られているというイメージを持たれている方も多いかも知れませんが、有機物のものは勿論の事、近年では生物から採取した生体パーツをそのまま利用する、ちょっと大きめなセボットと呼ばれるマシンなんかもあるそうです。けっこう怖い(汗)実は本作で描かれるマイクロマシンの多くも有機物だったりします。

また作中では「マイクロマシン汚染」なんて言葉もありますが、自己増殖する様にプログラムされたマイクロマシンやナノマシンは天然のウィルス以上に危険なものになる可能性があるそうで、戦争やテロなどへの使用も懸念されているらしい。こちらはかなり怖い(汗)

米帝:アメリカの政策を非難する際に度々使われる「アメリカ帝国主義」を指す言葉ではなく、本作における第四次非核大戦後、3つに割れた国の内一つを指す。正式な表記はアメリカ帝国(American Empire)他二つはアメリカ合衆国と米露連合。

ポセイドン・インダストリアル:「日本の奇跡」の開発によって飛躍的な成長を遂げた巨大多国籍企業。マイクロマシンの他に、義体、兵器の開発・製造なども行なっている。米帝と強固な繋がりがあり、前日譚(パラレルワールド扱いですが)の「紅殻のパンドラ」では悪の秘密結社のイメージ、危険な組織として描かれる。前身である「大日本技研」の名は士郎先生の承諾の元ガレージキットメーカーの名前にもなっているそうです(笑)

デカトンケイル:ポセイドン・インダストリアルが管理するスーパーコンピューターのこと。データを基に仮想人格を構築、シュミレーションする事が出来る。名の由来は10倍を意味する"デカ"と100の手と50の頭を持つギリシャ神話の怪物(巨人)"ヘカトンケイル"の様です。

スプリング8:「播磨科学公園都市内に位置する大型放射光施設。電子を加速・貯蔵するための加速器群と発生した放射光を利用するための実験施設および各種付属施設から成る。」とwiki先生は言ってました(笑)作中ではある人物がプルトニウムの分析の為にここへ向かう描写がある。

招慰難民:世界大戦(攻殻の世界では2030年までに2度の世界大戦が起きているという事になっている)で発生したアジア難民の内、日本に受け入れられた人たちがこう呼ばれる。300万人程いる。国から仕事を与えられているものの、国内労働力が過多の為、国民からは税金の無駄遣いと非難されている。

ハブ電脳:ハブは漢字で書くと轂。轂(こしき)とは車輪の中心、自転車で言えば放射状に伸びるスポークの中心部を指す。作中では膨大数の電脳から生じる意識を繋ぎ止める特定の人物の電脳の事をハブ電脳と表現していた様です。
{/netabare}

投稿 : 2017/11/15
閲覧 : 173
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20

Shintaro

★★★★★ 4.4
物語 : 5.0 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

非常にいい作品

やはり期待を裏切らないストーリーを作ってくるのが攻殻機動隊。恐ろしくSFチックであるが何故か現実とかけ離れていると思えない、というのが率直の感想である。おそらく、この電脳が普及した世界を私たちの世界と置き換えただけでリアリティが増してくるだろう。1話見たらこのストーリーに飲み込まれているはず。やはりストーリーは満点をつける他ない。そのほかの要素も問題視するポイントはおそらくないだろう。

投稿 : 2017/08/18
閲覧 : 58
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4

ネタバレ

shino73

★★★★★ 4.2
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

動機ある者たち

舞台は2031年。
「個別の十一人」を名乗るテログループが、
中国大使館を武装占拠した。
彼らの要求は、アジア難民受け入れの即時撤廃である。
公安9課、再起動。
初回から2期のメインシナリオ「個別の十一人」が登場。
1期でも難民居住区が描かれていますが、
2期ではこの難民問題が大きくクローズアップされます。
現実でも問題視されている少子高齢化から派生した地続きの物語。
これぞ攻殻シリーズの面目躍如でしょう。

1期でサリンジャー「ライ麦畑」をフィーチャーしたように、
2期ではパトリックシルベストル「個別の十一人」なる、
革命評論集が重要ターム(アイテム)となっています。
シルベストルは架空の人物ですが、モデルは三島由紀夫ですね。

2期の大きな特徴は、監督自身が語ったように、
公安9課は「少数精鋭」である為に敵の「物量戦術」に脆いこと。
{netabare}度重なる内庁の外圧に後手後手に回る公安9課。
素子たちの敗走が描かれ、
視聴のストレスはシリーズ随一となっています。{/netabare}

公安9課メンバーの過去エピソードや、
素子と難民の指導者クゼとの若き日の邂逅。
ゴーダが語る「英雄の条件」とは。
見所満載の傑作シリーズ。
迎えた最終局面では、
{netabare}プルトニウムによる難民の核武装計画。
いよいよ難民との戦争状態に突入する自衛軍。{/netabare}
9課はこの泥沼の状況に終止符を打てるのか!?

この国の行く末を憂う「動機ある者たち」
ぶつかり合う様々な思想に心が揺れる。
それでも自分が「為すべき正義」をまっとうするしかないのだ。
自分の「ゴースト」に従え。
公安9課の反撃はこれからだ。

投稿 : 2017/08/17
閲覧 : 246
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33

howknow

★★★★★ 4.6
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

一期ほどの疾走感はない。それが良さでもある

SACシリーズは、すっきりと終わらない。
一種の社会風刺的な物語でもあり、登場人物達が「電脳化」と「擬体化」の狭間で苦悩する物語である。

主人公だけが、その中で少しだけ異質。
電脳化はしているけど、生身である主人公は、電脳・擬体関連の事件に巻き込まれたときに、中立の立場で現象を見る。
そこに葛藤が生まれるのを見て、ストーリーを楽しむのである。

投稿 : 2017/07/15
閲覧 : 71
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2

さむろん

★★★★★ 4.5
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

全く色あせない

近未来を舞台にしてるのに未だに古く感じない。
13年も前に作られたアニメなのに本当にすごい。
内容や雰囲気が完全に男性向きですが、主人公の女性が最高にカッコいいので、そういうのが好みの女性にも見てもらいたい。

投稿 : 2017/07/13
閲覧 : 56
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4

Marsa

★★★★☆ 3.8
物語 : 4.0 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

ややハードボイルド戦術系

話は楽しめてドキドキして楽しめました。ただ、アニメの雰囲気が好みではなかったようです。男性は楽しめると思います。

投稿 : 2017/07/07
閲覧 : 66
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5

ネタバレ

スカルダ

★☆☆☆☆ 1.0
物語 : 1.0 作画 : 1.0 声優 : 1.0 音楽 : 1.0 キャラ : 1.0 状態:観終わった

時代錯誤

二・二六事件をはじめ、日本のクーデター史を俯瞰するような作品。
歴史の勉強にはなったけれど、偏った政治的なメッセージが強すぎるように思った。

しかも自死が異様に多い。
{netabare}
自爆テロに始まり、集団自決。
難民達も自分達の主張を通そうと核攻撃を受け入れ、自死を選ぶ。
それを防ごうとタチコマも自爆という手段を選んでしまった。{/netabare}
これを美徳と呼ぶのだろうか?

時代錯誤も甚だしい。

投稿 : 2017/06/30
閲覧 : 66
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4

ほか弁

★★★★★ 4.8
物語 : 5.0 作画 : 4.5 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

初代を

超えるアニメってなかなかないですよね。満足しました!
ちなみににスロットで激アツスイカ引くと「素子ーっ!」っていうバトーの台詞聞けますよ。

投稿 : 2017/06/23
閲覧 : 50
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1

ネタバレ

ダビデ

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

個別の11人の話

大好きな攻殻シリーズなので,何度も繰り返して観ています。
難民や日本アメリカ中国の関係,政府と首相の関係など,難しいストーリーですが,とても面白く観ました。
今回の,タチコマの自己犠牲のシーンでは号泣してしまいました。

戦闘シーンも最高です。
攻殻シリーズを超える戦闘シーンのアニメがあったら是非教えてください!!

投稿 : 2017/06/02
閲覧 : 171
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9

ちあき

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

良い

面白かったが、TVアニメ一作目の「stand alone complex」よりは印象が弱いです。そして個人的なにより劇場版『ghost in the shell』の方が印象深いです。

投稿 : 2017/05/31
閲覧 : 67
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4

ネタバレ

lumy

★★★★★ 4.2
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

19話から怒涛の追い上げ。

攻殻シリーズは1期のみ視聴しています。
2期からでも分からなくはないですが、1期を見てから視聴
されることをオススメします。

ということで、1期との個人的な比較をしますと
 物語の難解さ     ・・・1期の方が難しい
 物語の社会性及び政治性・・・2期の方が圧倒的に強い
 9課の活躍       ・・・2期の方がアクションシーン多め
 タチコマへの愛着   ・・・2期で倍増
といった感じで、2期のほうが優勢でしょうかw

本作のテーマでもあるstand alone complexについて
1期で何となく予習をしていたので、入りやすくはありました。
ただ2期1クール目は、敵側の思惑がぼんやりとしていて、しかも
本筋とは関係のない話が入ってくるので、少し退屈に感じました。

しかし、タイトルにも書いたのですが、19話以降の追い上げは
素晴らしかったと思います。最後の26話まで展開が読めず、
ラストも賛否両論はありそうですが、緊迫感があり楽しめました。
取り扱っている内容が内容なだけに、考えさせられますね。

あと期待はしていたのですが、 {netabare}最後にバトーの「モトコ---!」があって安心しましたw{/netabare}

投稿 : 2017/05/17
閲覧 : 203
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24

lostmemory

★★★★★ 4.9
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

難解ゆえに見るたびに新しい発見がある

他の方も書いてるが確かに前作より政治色が強くなりストーリーの
複雑さ、いや正確には情報量が大幅に増している。そのため1話ずつ
しっかり状況を把握しないと全体の流れについていけない人も多い
だろう。とはいえ扱っているテーマは非常に良いしこの作品とも
マッチしている。

ストーリーの難解さでいえば原作の方が(特に2)圧倒的に難しい
原作は宗教色が非常に強く入っているので政治色が強い今作より
さらに難解。それでいて1つのストーリーにしているのだから
原作の凄さを改めて思い知った。

見るたびに新しい発見があるのは原作も今作も同じ。ストーリーを
理解出来ない人は何度も繰り返し細かく見ることをオススメする。
かくいう私も光学迷彩が型式番号2902から3003に今作から
変更になっているのを比較的最近気づいた(京レ製なのは同じ)

投稿 : 2017/03/16
閲覧 : 81
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7

いさ

★★★★★ 4.1
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 3.5 音楽 : 3.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

可もなし

不可もなし

投稿 : 2017/03/06
閲覧 : 63
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1

uSe

★★★★★ 4.9
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

1期よりも現実味を帯びた

今作は1期に比べ現実味を帯びていて政治色が濃くなっている。が、本編に関わる話が多いので1期より分かりやすくクライマックスがはっきりしていた。
ただ架空の著者の作品の引用(正確に言えば三島由紀夫だが)は1期のサリンジャーの引用に比べて内容が把握しにくく良くないと感じた。
またOPに関しては非常に完成度が高く、未だにこの作品のOPを超えるものはないといっても過言ではない。

投稿 : 2017/03/05
閲覧 : 82
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5

ウィーハウック

★★★★★ 4.4
物語 : 5.0 作画 : 4.0 声優 : 5.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

最高

最高y

投稿 : 2017/02/13
閲覧 : 63
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0

ネタバレ

hamasan

★★★★☆ 3.8
物語 : 3.0 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

攻殻機動隊じゃなくても良かった

TVアニメ版のセカンドシーズン。

1stの笑い男がサイバーパンク作品のなかでもかなり秀逸な出来栄えだったので、当然2ndシーズンはそれを超える話を期待して見ることになるのだが、一言でいうと「別に攻殻機動隊じゃなくてもいい話だった」というのが全体の感想。

難民にまつわる国家組織の暗躍というシナリオは、いまの世界情勢と密接にリンクしているので放映当初よりも分かりやすくなっていると思う。しかし、前作が電脳化した世界とSF的倫理観を問いかけるサイバーパンクの王道路線とすれば、こちらは「9.11以後の現実世界」を描いているのでどうしても社会派の側面が強くなり、粗が目立つ。

たとえばこうした規模の世界を描く際には既存の作家により論理や世界観の補完作業によってスケールの拡張をすることが時々あるのだが、今作は三島由紀夫をシルベストルという架空の作家に置き換えたことで「製作者が製作者のつくった作家を引用して論理を構築する」という訳の分からない構図になり、結果的に前作のサリンジャーのような世界観を充分に作品に浸透できなかったり、合田と久世という二人の思想をもつキャラクターが目的のわりには遠回りな行動を起こす遠因に見えてしまう。

とくに合田は一見「難しすぎることをやってるのだから彼なりに正しいことをやっているだろう」と思ってしまいがちだが、プロットを整理すれば変化球を投げるためにキャッチャーミットに背を向けてピッチしているレベルの屈折ぶりで、それが彼の言う「プロデュース」ならそうなんだろうけど、製作者もこいつがなにをしているのか本当に理解しているのかと疑ってしまいたくなる。

1stは複雑な世界観を説明するのに難しい言葉を使わざるを得ない箇所もあったように思えるが、2ndではかなり卑近な世界観になっているのにも関わらず「難しい言葉を使うために難しい言葉を使っている」のではと感じてしまうような典拠のあいまいさやイメージのブレや目立った。

{netabare} それにしてもキリスト教の暗喩を強調して桜の花見で終わる最終話は製作者の浮気グセを象徴してるようで良くない。 {/netabare}

投稿 : 2016/12/05
閲覧 : 90
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