1986年秋(10月~12月)に放送されたアニメ映画一覧 6

あにこれの全ユーザーが1986年秋(10月~12月)に放送されたアニメ映画を評価したーデータを元にランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年03月19日の時点で一番の1986年秋(10月~12月)に放送されたアニメ映画は何なのでしょうか?
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年代別アニメ一覧

67.0 1 1986年秋(10月~12月)アニメランキング1位
11人いる!(アニメ映画)

1986年11月2日
★★★★☆ 3.6 (73)
409人が棚に入れました
少女漫画としても、SFとしても評判が高い萩尾望都の代表作をアニメ化。宇宙船という密閉空間の中で、サバイバルを行うことになった異星人たちの対立や葛藤を描くSFサスペンス。同時上映は新井素子原作の「扉を開けて」。遙か未来、惑星シベリーヌ出身の少年ダダは、3年に一度行われる宇宙最高峰の大学“コスモ・アカデミー”の入学試験に臨んでいた。最終試験は、10人の受験生たちがひとつのグループになり、漂流する宇宙船の中で53日間サバイバルを行うというもの。しかし、集まった受験生たちは11人いた!

ねこmm。 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

「直感は狂わない 狂っていては直感ではない……」  【ねこ's満足度:70pts】

宇宙最高峰の大学『コスモ・アカデミー』の入学試験に臨む全宇宙の受験生達。
超難関な試験の最終課題は、10人一組になっての宇宙船でのサバイバルでした。
決められた期間力を合わせて様々な困難に立ち向かい、
最後まで一人の脱落者も出すことなく無事試験を終えることができれば合格というもの。
ところがいざ始まってみるとなぜか受験生は11人いて……。

1人多いことで受験生達は冒頭から猜疑心を持ちます。
どうして1人多いのか。その多い1人は誰なのか。いったいなにが目的なのか。
さらには次々と起きるトラブルによって、彼らは徐々に相互不信に陥っていきます。
その上、主人公ダダには思い出せない過去の記憶がありました。
宇宙船内という密閉された中でのサスペンス要素に加え、ダダの記憶に関するミステリー。
90分が短く感じるほどテンポよく、軽快に物語は進んでいきます。

声優陣は神谷明、田中秀幸、古川登志夫、玄田哲章、故・鈴置洋孝、若本規夫、TARAKO
といったいまや重鎮といってもいいほどの超豪華な顔ぶれです。
ところがヒロイン(?)役のフロルだけは、当時のアイドル河合美智子が担当。
この子の演技がとても残念なことに……。
さらに挿入歌も歌ってるんですが、この歌唱力がまたまた残念なことに……(笑)。
昔から映画のこういうキャスティングってあるんですね。
唯一にして最大の欠点がこのキャスティング。ホントに残念でした。

しかし、それ以外は中弛みもなくおおむね満足。
最後までドキドキしながら楽しむことができました。
さすがは知る人ぞ知る傑作、といったところでしょうか♪

投稿 : 2024/03/16
♥ : 33

らしたー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

これは、よくできた「お話のつくり方講座」

この、30年以上も昔のシーラカンスのごときSF作品を、あえて現在の視点で評価するとすれば、これはもう、ある種のよくできた「お話の作り方講座」として読む(観る)以外に価値はないと断言してもよいのではないでしょうか。
いろいろセンスが古すぎて今観るにはマジきつすぎるし、同じ土俵で評価するのも妥当とは思えない。
あとスペースオペラを期待しても敗北必至でしょう。


●お話の作り方講座としての『11人いる!』

まさに帰納法のお手本のようなプロット*1で、しかも、昔ながらのオーソドックスなフーダニット系ミステリのそれに限りなく近い手法を踏襲しています(…といっても「ノックスの十戒」や「ヴァン・ダインの20則」を踏襲しているという意味ではもちろんなく、物語の組み立て方が古典的な推理小説に近いという意味で)。

つまり、完全に「結末の提示」から逆算する形で、以下のものを、ほとんど機械的に無駄なく配置しているのであります。

 結末
 ↓急展開・予期せぬ事態の発生
 ↓状況の把握・ミスリードの仕込み
 ↓状況発生

 ★本作の場合、これらが下からそっくりきれいに物語の起承転結を成す

実際に観たことがある方ならば、すぐに具体的な作中の出来事に当てはめることができるかと。もちろん「結末」に当たるのは、「11人目が誰か」への回答です。

あまりに洗練され、かつ贅肉がなさすぎて、「面白い!」ではなく「あざやか!」という感想しか出てこない。ほんと、よくできた「脚本」。この作品、wikiによると舞台化もされているようですが、さもあらんというか、絶対やりやすいと思うわ。

*1
手塚治虫が定義するところの帰納法的プロットと演繹的法的プロットのこと。哲学や論理学における帰納・演繹とはだいぶ意味が違う。


**

●雑談 ~洗練されすぎの弱点。様式美としてのロマンス

もう少し話を広げると、本作では、そのように洗練されたプロットの中に、サブストーリ的に恋愛的興味を放り込んできます。上述したミステリの観点から言うと、これはまさにアガサ・クリスティの作品を読んでいる感覚なんですよ。無味乾燥としすぎないように、軽くロマンスを挟んでくる、あの感じ。ヴァン・ダイン先生は「そんなもん要らん」と怒りそうだけど。

で、本作においてその恋愛的興味(ロマンス)が説得力のある形に料理できていたかというと、たぶん観た人のほとんどが「NO」と答えるんじゃないかしら。あまりにも心の機微が描けてなさすぎ、と。予定調和すぎて醒める人も多いと思います。
クリスティ作品で描かれるロマンスとかまさにそーいう感じなんですわ。あーはいはい、って感じで。そもそも心の機微なんざ描こうとしてないんだもん、仕方ないわな。

この手の作品は基本的に贅肉のない物語を指向するので、キャラ立ちというものを表現しにくい。『11人~』にしてもキャラの「描き分け」は短い時間の中でかなり頑張っているけれども、キャラ立ちはしていない。人間の深いところを探ったり、魅力を引き出していくことを半ば放棄しているから仕方がないんだな。

本作の描くロマンスに説得力が生れないのも原因はこれ。帰納法寄りの組立をすることの最大の弱点といってよいです。あらかじめこうと決めた結末やその周辺に対して、「ロジック的に意味を持たない言動」をキャラにとらせにくいのです。だからキャラが立たない。*2

そこへいくと、我々が普段から親しんでいるアニメや漫画の多くは、キャラに魅力を持たせることを非常に重視しています。そこが出発点といっても過言じゃない。あにこれにも、さも当然のように「キャラ」という評価項目がありますよな。
十分な魅力を備え、消費者に支持されるキャラを作った上で、物語を展開していくやり方(それを帰納法に対して演繹的なプロット作成法と呼ぶ向きがある)が主流なわけです。

キャラの魅力が高度に煮詰まってくると、いわゆるキャラが「独り歩きする」状態になり、ある程度の話の流れさえ用意すれば、あとはもう、まるでリアクション芸のごとき感覚で物語を成立させてしまう。両津勘吉とかイカ娘とかそれに近いですよね。連載形式のコンテンツの場合、これがたいへんな武器になるのです。

で、ロマンスの話に立ち戻ると。
心の機微を正面から描こうとして派手に失敗しちゃってるラブストーリーなんかに出会ってしまうと、ぶっちゃけ本作のように、ある意味で様式美じみたロマンスのほうが、よっぽど綺麗で納得できるものだと私なんかは思ってしまう。
描こうとして失敗している目も当てられない悲惨さに比べたら、こっちのほうが全然マシと感じてしまうのですよ…。*3

*2
これに対する最も効果的で手っ取り早い解決策が、名物キャラを作ってシリーズ化することである。ホームズとワトソン、ポアロとヘイスティングズetc…。そうしておけば、少なくとも主人公級のキャラクターに限っては十分なキャラ立ちを確保することができる。

*3
本来は、「映画的なもの」と「TVアニメ的なもの」との手法的差異、という観点からも説明加えないとフェアではない…。


**

えらいとりとめのない雑談になってしまいました。

とにかくも、この作品は、「お話の作り方」の教科書として鑑賞する分には、非常にわかりやすく、すぐれたものだと言わざるを得ません。
どうやったら観る人の興味を引き続けることができるか、というのを、帰納法的プロット作成の観点から、見事に実践している一作なのです。

もう一度断言します。それ以外に価値はないです。


なお。
この感想みたいに、頭に浮かんだことを行き当たりばったり勢いで書いちゃう態度が、まさに帰納法の真逆ですよね。
まったく着地点を決めていない。

投稿 : 2024/03/16
♥ : 5
ネタバレ

renton000 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

今となっては作れないかも

あらすじは他の方のレビュー等をご参照ください。

 初見でした。90分ほどのSFサスペンス。

 作品としては、起承転結がしっかりしていて、どんでん返しあり、シリアスあり、コメディーありと、幅が広いのが特徴です。キャラクターも立っているし、テンポもいいし、あまり悪いところが浮かびません。オープニングから苦労せずに作品の世界に入っていくことができました。テンポの速さが若干脚本を圧迫していますが、許容範囲内だと思われます。ミステリーの教科書的な作りになっていますが、謎解きの助けとなるような描写はないので、ジャンルとしてはサスペンスと言えるでしょう。

 物語の流れは、現在では使い古されたものですが、古典的という意味では良作に該当すると思います。1986年の作品ですので、作画やBGM・SEなどが古いのは当然ですけどね。
 SFとして見ても、当時のSF感というのが分かる作品になっています。今見るのと少し荒唐無稽で陳腐な感じもありますが、これも現代の尺度で語っても仕方ないことですからね。


 私のレビューのタイトルは、この辺に関することではありません。現在のSFレベルに刷新して、脚本と作画を少しいじれば十分楽しめる作品としてリメイクできるでしょう。問題は、エンディングにおけるアイデンティティや性の描き方に関してです。この作品のテーマにジェンダーがあるのですが、今の価値観からすると少し古いように思えました。
{netabare}
 ヒロイン的ポジションのフロル。彼女は男女の区別がない両性体であって、将来的には「男になりたい」という目的をもって、試験に参加しているわけです。エンディングでは、主人公タダの恋愛感情もあって、「女性」を選択するという結論を出します。
 彼女とは別に、対比構造を作るために男女未分化のヌーというキャラクターが出てきます。彼(?)が述べるのは徹底して「定め(運命)」です。
 フロルがいた社会は、男性優位で女性は不自由な立場にあります。そして、対比構造をもつキャラクターは「定め」だと言う。そんな中で、フロルは女性としての価値を認め、女性として生きることを宣言する、という流れですね。当時の社会を色濃く反映しているように思えました。

 で、この描き方なんですが、いつごろからフロルが男性になりたいと思い始めたのかは正確には分かりませんが、彼女の行動原理やアイデンティティとしては確立されていたように見えました。「男になりたい」という言葉には結構説得力がある。これに対して、女性の方の理由付けがやや弱く感じるんです。「女がいい!」ではなくて、あくまでも「女でもいいや」のレベルに思えてしまう。

 私は十分楽しめましたし、説得性が欲しいのは願望レベルなのだと重々承知しています。ただ、これを現在の作品として公開するにはリスキーかな、とも思いました。
 現代では、例え社会的性差の問題が未だに解消されていないとしても、ここまで女性の地位が低いわけではなく、もう少しボトムの高いところでジェンダーが語られている気がするんです。さらに言えば、現代における性の問題はジェンダーのみならず、LGBTとかの別の視点も加わってきている。
 フロルが強い恋愛感情を見せていないために、ある社会でその性が受け入れられないなら、別の社会で生きて行こうという姿勢にも映ってしまうわけです。これが前向きではなく後ろ向きの「逃げ」として捉えられて、「もっと戦え!」と批判を受けるような感じですね。現代における性の問題は、当時の女性の地位向上という単一的な視点よりも、より複雑になってきている。男女未分化と性の選択を描くには相当気を使わないといけないでしょうね。
{/netabare}
 リボンの騎士やベルばらのような男装でもなく、らんま1/2のような性のスイッチでもない。性の選択を正面から語るには、現代の視点から見ると、この作品は少し怖い。この作品自体はすばらしいものですが、やはり古典と言っておかないといけないような気がします。
 「私は気にしない」とも言いたいのですが、この発想が正に批判の対象になるわけです。思想の変化によって、作品の表現が狭められていくのは残念ですが、どの作品も社会的背景なしに語れませんからね。当時は何の気なしに作れ、議論の先端であった作品でも、現在の視点からは規制の対象になるかもしれない。そういう意味では、当時の価値観の中でこそ誕生した作品なのかもしれません。


対象年齢等:
 ちょっと難しいですね。男女どちらも見れる作品だとは思いますが、対象年齢を具体的に挙げるのは困難です。見るだけなら小学校高学年くらいからでも大丈夫ですが、テーマへの批評が必須とすると、もう少し上の方がいいかもしれません。
 ジャンルから見ても、サスペンス・ミステリー・SF、いずれも現在のが洗練されていますからね。この辺のジャンルが好きで、古典にまで遡りたい人なら楽しめると思います。むしろ古典としては必見レベルかもしれません。
 個人的には、食わず嫌いせずに見て欲しい作品です。

投稿 : 2024/03/16
♥ : 10

64.2 2 1986年秋(10月~12月)アニメランキング2位
タッチ2 さよならの贈り物(アニメ映画)

1986年12月13日
★★★★☆ 3.6 (32)
200人が棚に入れました
人気漫画家あだち充の80年代における代表作『タッチ』をアニメ化した劇場用シリーズ第2作。キャストなどは同時期に展開されていたTV版と同様である。急死した弟・和也に代わり、野球部へ入部することとなった明青学園の高校生・上杉達也。一方その幼なじみの少女・浅倉南は代理として出場した新体操で優勝を果たし、一躍脚光を浴びる。スターとなった南に少なからず戸惑いを覚えつつも、達也は甲子園の夏を迎える。

声優・キャラクター
三ツ矢雄二、日髙のり子、井上和彦
ネタバレ

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3

タイトルなし

達也が野球を続けようと決心したのは、須見工の新田の「和也にかわって俺と戦ってくれ」という言葉だった。達也は、和也の練習メニューをこなし、黙々とロードワークを続けた。ある日、南が新体操部に入部したというニュースが学校中に広がる。そして大会に出場、見事に個人優勝を飾った。その年の冬、正月の各紙は都大会代表になった南の写真を大きく取り上げていた。そんな中、映画館へ出掛けた南と達也は勢南高校のエース・西村と新田に出会う。というあらすじ。

新体操を始めてすぐにできるのは凄いと素直に思う。

{netabare}達也がノーヒットノーランをさらっと達成。野球センスの塊。{/netabare}ピッチャーのヘッドスライディングは危険すぎる。そこは気になる。

弟への想いが所々溢れる。でも、自分は弟ではなく、自分でしかなかった。

新田が熱い。{netabare}贈り物がホームランとは痛い。{/netabare}

投稿 : 2024/03/16
♥ : 5

計測不能 3 1986年秋(10月~12月)アニメランキング3位
扉を開けて(アニメ映画)

1986年11月1日
★★★★☆ 3.4 (7)
46人が棚に入れました
 斬新な文体でSF界に革命をもたらした新井素子の同名小説を原作にしたヒロイックファンタジー。萩尾望都原作「11人いる!」と同時上映された。根岸美弥子は、月に左右される超能力を持つ女子大生。彼女は、同じく月に能力を左右されるテレポーター斉木杳ともに、同級生の山岸桂一郎を調べる計画を立てていた。彼もまた、自分たちと同じ能力を持っているのではないかと思ったからだ。しかし、3人が揃った瞬間、時空が歪み、3人は異世界へと運ばれてしまう。気がつくと、目の前には大きな扉がそびえ立っていた。美弥子はそっと扉を開けて…。

ato00 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.6

時代の寵児、新井素子氏原作の唯一のアニメ

SF小説界の革命児新井素子氏原作のアニメ映画です。
彼女は、当時の堅いSF小説界に新風を吹き込み、80年代に一世を風靡した時代の寵児です。
砕けた文体、柔軟なストーリー、生き生きとした登場人物等により、SF小説界を大衆娯楽化した人物です。
今を時めくライトノベルの走りで、当時深夜アニメがあれば、かなりアニメ化されていたのではないかと思います。
この作品は、新井素子氏のSF小説の唯一のアニメ化作品です。

ストーリーの概要は次の通り。
東京に住む3人の超能力者(サイコキネシス、テレポーター、ライオン男)が揃った時に、異世界の扉が開かれる。
この世界は、剣と魔法(実際は超能力)からなるファンタジックな世界。
主人公'ネコ'(普通の女子大生であり、サイコキネシス)が、滅亡した「中の国」の伝説の王女となって、支配者「西の国」と戦い、「中の国」を再興するというものです。

古いアニメのためか、声、絵柄、シナリオが残念なものとなっています。
特にシナリオは、90分弱に収めるために、急転直下かつ唐突な展開で、ちょっとついていけません。
唯一の見せ場は、「東の国」の鬼姫ディミダ姫とのバトル。
それでもあっさりとしています。

今の技術を使い、十分練り込んだシナリオで丁寧にリメイクすれば面白くなりそうな作品です。

余談ですが、草創期の京アニやシャフトが制作協力していたようです。
たぶんチョイ役でしょうけど。

投稿 : 2024/03/16
♥ : 12
ネタバレ

ユニバーサルスタイル さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

異世界で繰り広げられる「扉を開く」ための物語

原作はSF小説家として有名な新井素子さんの一作。


主人公の根岸美夜子、そして斉木香、山岸桂一郎の三人は超能力者。
ある日その能力のため異世界への扉を開けてしまい、そこでの戦争に巻き込まれる・・・というのがあらすじです。


美夜子が訪れた‘中の国’の神官ラディンに伝説の女王の生まれ変わりとして祀り上げられ、国を救うため戦うことになります。


中世的な世界観と現代を生きる少女の組み合わせは今見ると使い古されたものですが、
壮大なファンタジー世界やキャラクターの心情が色濃く描写され中々見応えあるものでした。


異世界の住人では中の国の神官ラディンと東の国の姫ラ・ミディン・ディミダが魅力的でした。

一方はミステリアスで紳士的だが妖艶な雰囲気の男、もう一方は‘鬼姫’と呼ばれるほど勇猛果敢なおてんば姫。

特にディミダ姫は一人称が“わらわ”で中世の姫様って感じが堪らないです。後半の活躍もめざましい。



この作品は異世界で軍勢を率いて戦うただそれだけでなく、あくまで美夜子達の精神的葛藤や成長がテーマであるということが特徴的です。

後半からは彼らの超能力者故の苦しみも描かれ、誰もが感じたことがある疎外感や孤独感に共感することもあると思います。

{netabare}ラディン亡き後川辺で涙する美夜子のバックで挿入歌が流れるシーンが印象的です。 {/netabare}

タイトルにもある「扉を開く」ことの意味は多面性があって考えると面白いです。



作画はリアル調で表情が豊かに描かれていて見応えがあります。音楽もファンタジーチックで引き込まれる迫力があります。

声優陣は井上和彦、平野文、野沢那智、勝生真沙子、島田敏、池田勝など。
また端役で立木文彦、坂本千夏、深見理佳、貴家堂子(←一番驚きました)などが出演と豪華の一言です。

※美夜子を演じる藤本恭子さんは本職でないため違和感がありますが、棒読みでなく抑揚のある声で悪くはないです。
むしろアルタリア役の荒勢さんが棒気味で気になりました。


この映画は同時上映された、同じくSF小説家として有名な萩尾望都さんの「11人いる!」が好評だっただけに比較するとやはり詰め込みすぎな印象があります。

しかし、画面から魅せられる美しさがありました。
なによりジャケット及びポスターの見事なデザインに心を奪われました。
お気に入りの一作です。

投稿 : 2024/03/16
♥ : 7

計測不能 3 1986年秋(10月~12月)アニメランキング3位
強殖装甲ガイバー(アニメ映画)

1986年12月13日
★★★★☆ 3.1 (9)
32人が棚に入れました
漫画家・高屋良樹のライフワークともいえる変身ヒーローコミック『強殖装甲ガイバー』。その初のアニメ化作品が本作である。実制作はスタジオライブによって行われ、アニメーターの渡辺浩が手がけた初監督作品でもあった。 平凡な高校生の深町晶はふとしたことから奇妙なカプセルを拾ってしまう。中から飛び出してきた怪異な物体に包まれて川へと落下する晶。その傍ら、彼のガールフレンドである瀬川瑞紀に怪物や謎の男たちが迫った。だが川から現われた別の怪人が怪物=超獣化兵(ゾアノイド)を撃退。男たちの正体は秘密結社クロノスの一員で、カプセルは結社が作り出した人間を強化させる「ユニットガイバー」だった。ユニットガイバーで怪人=ガイバーIへ殖装(変身)する能力を得た晶。彼とクロノスの戦いが始まる……。 劇中に登場するもう一人のガイバーことガイバーIIは原作と異なり女性キャラクターへ変更。本作はOVAとして発売された同日に一部地域で劇場公開もなされている。

計測不能 3 1986年秋(10月~12月)アニメランキング3位
GREY デジタル・ターゲット(アニメ映画)

1986年12月13日
★★★★☆ 3.6 (7)
27人が棚に入れました
代表作『軽井沢シンドローム』で1980年代に一世を風靡した漫画家・たがみよしひさのSF漫画のOVA化。26世紀、人類が地上に分割された各統治国歌町(タウン)ごとに生きる時代。それらの町では徹底した階級社会が築かれ、下層階級民(ピープル)は上部階級市民(シチズン)に支配されていた。民の出自の者が市民となるのは困難だが、トループスと呼ばれる戦士として他の町と交戦し、勲功を上げた者には市民への道も開かれていた。歴戦の青年トループスグレイは自分の部隊が全滅しても生き残り、敵に容赦ない攻撃をすることから死神との異名を持つ。市民に憧れて戦い続けるグレイだが、戦死した仲間の思い出、そして戦友の女戦士ノーヴァとの心身の絆の中で、何かが変り始める!? 葦プロダクション制作の80分の長編作品だが、アニメ映像の制作は、本作の監督・出崎哲率いるアニメ会社マジックバスが主体となっている。

計測不能 3 1986年秋(10月~12月)アニメランキング3位
お月さんももいろ(アニメ映画)

1986年9月28日
★★★★★ 5.0 (1)
6人が棚に入れました
松谷みよ子による同題の創作民話をもとにした、人形アニメーション映画。昔、土佐の月灘に、祖父と二人暮らしの海女の娘・おりのがいた。彼女はある日、高価そうなももいろ珊瑚を拾う。そのことを知った庄屋はおりのを呼び出し、その珊瑚は土佐藩の秘密の品なので奉行に差し出すように命じた。だが実は、おりのは病気の祖父のため親切な山の若い猟師・与吉から薬をもらい、そのお礼にとももいろ珊瑚を渡していたのだった。弱ったおりのは海に潜って、別のももいろ珊瑚を探そうとするが……。米国ランキン・バスとの合作でも有名な、人形アニメーションのスタジオ、ビデオ東京プロダクションが制作。脚本と監督は同社の諸作に関わり、名作『おこりじぞう』の監督職も務めた河野秋和が担当した。
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