1987年夏(7月~9月)に放送されたアニメ映画一覧 18

あにこれの全ユーザーが1987年夏(7月~9月)に放送されたアニメ映画を評価したーデータを元にランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年04月25日の時点で一番の1987年夏(7月~9月)に放送されたアニメ映画は何なのでしょうか?
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年代別アニメ一覧

70.5 1 1987年夏(7月~9月)アニメランキング1位
風が吹くとき(アニメ映画)

1987年7月25日
★★★★☆ 3.7 (22)
104人が棚に入れました
「スノーマン」のレイモンド・ブリッグスが、核戦争の恐ろしさを描いて話題になった絵本をアニメーション化した反核映画の1本。イギリスの片田舎に住む老夫婦は今や子供も独立し、年金生活を静かに送っていた。しかし世界情勢は深刻化する一方で、明日にも戦争が勃発しそうな状態だった。そのことを知った夫は政府が出した核戦争に対するパンフレットに従って核シェルターを準備し始めるが……。核の恐怖を衝撃的映像を使わずに描いた「テスタメント」と似た作りになっているが、こちらの登場人物は2人だけ。なおかつ放射能汚染に関してはまったく無知なため、核攻撃後に2人だけで日常生活を普通に送ろうとするが、次第に体がボロボロになって行く姿は見ている側が辛くなってしまうほど悲しい描写が続く。2人の会話に深い愛情が感じられる事も、より一層の悲惨さを生み出している。ラストの“紙袋"の描写は、涙なしには観られない衝撃作である。日本では大島渚監修により、森繁久哉、加藤治子の吹き替えによる日本語版が公開された。

野菜炒め帝国950円 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

2番目ゲットだぜ(っ´ω`c)(微調整)

比較的重い物語なんでせめてタイトルだけはと。

シス子さんに影響されて視聴。

イギリスの老夫婦。
核の恐怖。
ハートフルボッコストーリー。
割りと短めなお話。

話の流れとしてはイギリスの田舎で平和に暮らす老夫婦だがそこに核が・・・という感じ。

最近書いたはだしのゲンとテーマは同じやけど表現方法は対照的。
ゲンほど派手目の演出は特にないが、絵柄が絵柄だけに正直余計恐ろしい。冗談抜きに怖い。
風が吹くときで検索すると老夫婦の絵がすぐ見つかると思うが、このほのぼのした絵柄で中盤から後半に掛けて核のせいで段々目に見えて衰弱していく様子を描写していくんだから堪ったもんじゃない。

国が配布したらしい核対策パンフレット(実在したらしいから驚愕もの)とかいう内容無茶苦茶なもんを信じ込んで、その通りに実行してこれなら安心と思い込んでしまう夫婦を滑稽だと誰が笑えるだろうか。

只、ひたすら泣けてくる。
前半あれだけ平和でほのぼのしたやり取りをしてた夫婦が、なんでこんなことにならんといかんのか。
中盤以降、お互い励ましあいながらも衰弱していく描写は見てられねーと思いつつも目が離せない。

この夫婦を自分の両親に少しでも重ねて見てしまうとえらいことになる。

ラストシーンは特に印象に残っていて見たのは随分前だが今でも脳裏に焼きついてる。
余りに理不尽すぎて見た後、気分がどん底に落ちてなんもやる気がせんかった。

この作品のココでの人気の無さ(単純に知られてないだけかもだが)を見るにもっと多くの人に見て欲しいと思う反面上記のような事情から絶対お勧めとはさすがに言い難い。

ある程度大人な人で、この作品見て気分が沈まない人は多分いないんじゃなかろうか。
自分も、核の怖さが身に染みて分かるいい作品なのは認めるけど二度見たいとは思わない。

それでもはだしのゲン同様、この手の話だからと敬遠せずに、1度だけ見てみるくらいはいいかもしれない。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 22

とまときんぎょ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

今も何処かで

風が吹くとき

2010年の暮れ、深夜に放映していたのを観ていた。

のどかな田舎のお家の、おじいさんとおばあさんの、いつもの暮らしに、ニュースが響く。

あら大変、何だか現実味がありませんねえ、どうしましょう、お前それはあれだ、こうだろう。そうだろう。
なんだかんだいつもみたいな夫婦の会話が続いていって、いつもの家事や野良仕事を手伝うかのように、小さなお家の中で夫婦は工夫しあって、だけど。


翌年の春、震災で福島が今に続く状況に見舞われましたね。

原発事故が起こるまで、原発に関して無意識で無関心だった自分と、今も何処かで閉ざされているおじいさんとおばあさんの小さなお家とが、重ねて思い返される作品です。

私の住んでいる所は、ダムの水力で電気がまかなわれています。
いろいろあるんだろうけど、なんかうまいことエネルギーシフトしてくれないかなーと、呑気にアニメを観ながら期待するばかりです。
すみません。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 13
ネタバレ

シス子 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

何でもは知らない・・・知らないことも知らない・・・

原作は既読で視聴しました

たまたまアニメ作品を観てしまったということもあり
感想を書くことにしました

核戦争をテーマにした作品です

今の時代にはあまり現実味がない内容ですが
原作が出た当時は話題になっていたようです

原作は絵本のような感じで
登場人物がほのぼのとした滑稽なタッチで描かれていますが
アニメでは実写映像や3Dみたいな映像効果も入っていて
演出はそこそこ凝っています

主題歌はデビッド・ボウイ氏が歌っていて
ロック調の曲にちょっと違和感を感じるかも知れません


内容は
イギリスの片田舎で平和に暮らしている老夫婦が
核戦争の脅威に晒されるというお話


核戦争が勃発する可能性が高まる中
政府の出した核戦争の対策用パンフレットに従い
老夫婦は保存食を用意し核シェルターを作ります

シェルターといっても
家の扉を取り外し壁に立てかけただけのもので
誰が見ても核の爆風にはとても耐えられそうにありません

そして
とうとう核戦争が起きてしまい
熱線と爆風が老夫婦の住む家を襲いますが
運よくシェルターに逃げ込んだ夫婦は助かります

電話やラジオ放送は途絶え
何も情報が入ってこない状況の中
老夫婦はシェルターに避難したまま救援を待ち続けます

日を追うごとに
放射線に蝕まれ
体に異変が現れてきますが
それでも
老夫婦は救援がくるのを信じ続けます・・・


作品の内容は
核戦争をテーマにしたお話というのは前述したとおりですが
見方によっては私達の身近にも起き得るようなテーマが見えてきます

最近では
身近な問題になっている
放射性物質の危険性はもちろんですが

誤った情報を与えられる危険や
政府の危機管理の甘さなど

でも
なによりも怖いのは
そのことについて
なにも知らないという危険

老夫婦はなにも知らなかった
核の恐ろしさも
放射性物質の危険性も
そして
政府の指示が本当に正しいのかということも

情報の正確性を
それを知る術も知らないし
それを知る必要があることも知らなかったのです

危機的状況で
自分が何も知らないという状況を知らないことが
いかに恐ろしいことなのか


お話の終盤では
{netabare}食料が腐りだし
飲み水が底をついてしまうのですが
お茶を飲むために
溜めておいた雨水を
なんの迷いもなく
沸かして飲んでしまいます

水が放射性物質で汚れていても
沸かせば大丈夫という誤った知識しかないのです

とてもショッキングなシーンのはずなのに
老夫婦の
放射能に対するあまりの認識の低さと
まるでアフタヌーンティーを楽しむような疑いのない行動に
悲しいとかかわいそうという感情より
残酷なシーンを見せられているみたいで{/netabare}
訳も分からず涙が溢れてきてしまいました


冷戦という言葉が過去の物になった今の時代には
あまりそぐわない内容と感じる人もいるかもしれませんが
逆に
今だからこそ
見ておくべき作品かもしれませんね


余談で

この感想文では
放射能の類を
あえて放射能・放射線・放射性物質という言葉に
分けて記述しています

厳密には
・放射能とは単位時間に崩壊する放射性物質の数のことであり(wikiより)
・放射線とは放射性物質から出てくる電磁波(X線やガンマ線など)
・放射性物質とはその放射線を出す物質(プルトニウムやウランなど)を指し
全て別の意味のものです

東日本大震災での原発事故以来
日本人の放射能に対する認識はかなり高くなっているはずなのですが
これらの言葉の意味が混同されているようで
そのため
・放射能が空気を汚染していてその空気自体が放射線を発しているとか
・放射線が事故の地点から直接飛んできていて危険区域全てが汚染されているとか
・人体などが放射線に晒されただけで放射性物質に汚染されてしまう
など
誤った認識をもたれている方もいまだに多いみたいです

私も原発事故が起こるまではそんなに意識して考えたことはなかったし
なにより
このような誤った認識のために
風評被害に遭われた方々が大勢いることをあらためて知り
深く反省しています

やはり
知らないことは積極的に知ろうという意識を持つことが大切なんですね

投稿 : 2024/04/20
♥ : 29

68.9 2 1987年夏(7月~9月)アニメランキング2位
スノーマン(アニメ映画)

1987年7月25日
★★★★☆ 3.8 (19)
95人が棚に入れました
イギリスの絵本作家レイモンド・ブリッグスの原作を映像化したファンタジー・アニメーション。雪の降ったある日のこと。少年が1日がかりで作ったスノーマン(雪だるま)が真夜中に突然動きだし、少年と遊び始める。胴長短足のゆかいなスノーマンと少年の行動が幼い頃の思い出を思い起こしてくれたり、中盤に流れる主題歌の物悲しい歌声やラスト・シーンなど、子供よりは大人向けに作られたような作品で、クリスマス・イブに恋人同士で見るにはうってつけの1本。同原作者の「風が吹くとき」の主題歌を担当したデヴィッド・ボウイが本作を大変気に入り、案内役として登場するバージョンもある。

ビアンキ さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

最高の…

数年前にNHKで視聴。

同名タイトルの絵本のアニメ化作品
1982年製作。
日本では1986年にOVAとして発売された。


本作の魅力を書いてみる。


まず
アニメーション。
原作の絵本をそのままアニメ化したようなアニメーションは、チラチラして少々見づらいものの、
作画クオリティ、色使い、光の表現、
全てが丁寧で繊細で優しい。
作品にあった最高のアニメーションだった。

作品中ほぼずっと出てくる雪や、
ほんの少しだけ出るオーロラ等の描き方は特に目を引いた。

何よりも、これが1982年制作というところが一番の衝撃である。
この凄さは是非ご覧になって確かめていただきたい。



本作にはセリフがない。
その代わりに、常に音楽が流れている。
音楽は作品全体を色付けするとともに、作品中の効果音の役割も同時に果たしている。
どの曲も「音楽」としても「効果音」としても素晴らしかった。
セリフがないというのも、またいいものだとも思った。

そして忘れてはいけない
スノーマンと少年が空を飛ぶシーンで流れる
「ウォーキング・イン・ジ・エアー」

完璧だ 。もう完璧にマッチしている。
最高の演出だった。



シナリオ
単純なシナリオだが、上記のアニメーションや音楽も相まって、
凄まじい感動をもつものになっている。

夢のように見えて、夢ではない。
主人公の少年にとって、そしておそらく視聴者にとっても、最高の思い出。

夜に出会い、夜が明けて朝になり別れを描く。

この単純だが素晴らしいシナリオは、
たった26分で完全に完結する。

この続編など作らず、引き伸ばさない、
26分間に全力投球した当時のクリエーターの情熱。

作品と同じぐらい、この情熱も評価されるべきものだと思う。

(ちなみに最近30周年記念として続編が作られたようだけど、そちらも良かった。
まぁ30年も経てば新作のひとつも… ね?)


誇張抜きで、全ての人に一度は見てほしい名作です。
是非ご覧ください。
できれば冬にね。

下手くそな文章、お読み頂きありがとうございます。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 11

田中タイキック さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

クレしん映画のせいで長い間、雪だるまは怖いってイメージが抜けなかった子供時代

1982年公開 翌1983年にアカデミー賞 短編アニメ賞にノミネート

イギリスの児童文学作家レイモンド・ブリッグズ原作の絵本
それを元にした26分間の短編アニメーション作品。

一面の雪景色になった冬のある日、少年は雪だるまを作る。
その夜、突然その雪だるまは命を得たように動きだし、少年と共に夢の様な冒険に出かける。

キャラクターに台詞が一切無く、SE(効果音)も無い。
動画にBGMの味付けだけされたサイレント映画ってやつです。

サイレント映画ってチャップリン作品だったり
初期のディズニー作品のオズワルドとか蒸気船ウィリーのようなコメディ系のイメージが強くて
『事情はよく分からんけど何かワチャワチャしてて楽しい』
みたいな作品を主にやるジャンルなのかなーと勝手に思ってたんですけど。
スノーマンでは冒頭から灰色な切ない雰囲気で始まり、色鉛筆で描かれたようなムラのある着色は
明るい場面であってもどこか悲しさが漂ってます。
んで、激しいアクションシーンとかは無くて少年とスノーマンの無邪気なやり取りが中心なってくるんですが
細かに配慮された動作にキャラの心情に合わせて絶妙に変化してくるBGMが
声の無いはずの少年とスノーマンとの間にちゃんと会話がされているんだなってのがわかって
どんな会話をしているんだろうと想像を巡らせるのが楽しかったりします。


シナリオは単純だし刺激の多い映像作品が手軽にたくさん見られる現在では
やっぱ退屈でつまんねーってなるかもしれないけど
上質な雰囲気を感じながらボケーっと見るもよし、少年に感情移入して夢の追体験をするもよし、
少年とスノーマンの出会いと別れに自分自身の成長と消失を重ねて涙するもよし
シンプルな作品でありながら結構いろんな楽しみ方あるよってことでオススメです。

2012年に続編である「スノーマンとスノードッグ」っていう
同じく20数分の短編が製作されてます。
デジタル処理によって独特の味わい深い映像は失われてしまったけど
作り方や雰囲気は前作そのままに、現代風にアレンジされていて
両作に微妙に繋がりが見えるので合わせて見ると面白いですよ。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 8
ネタバレ

ねここ時計 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

ひと晩の奇跡

幼い頃絵本で読みました。その後、視聴しました。
大人になってしまってからみるよりも、
まっさらな子どもの心でみたほうが絶対に良いです。
私は、雪だるま…スノーマンは本当にいるのだと信じていました。

少年の作ったスノーマン。
部屋の窓ガラス越しのから眺めたときのスノーマンの後姿、
哀愁があってなんとも言えず好きでした。
大人になった今でも、あの後姿は焼きついています。

空を一緒に飛ぶ場面、印象的です。
一面 雪、雪、雪、まるで世界の行き止まりのその向こうまで雪なのです。

終わりがくることなんてないような、雪のようにひそやかな、、
たったひと晩のふたりきりの冒険。
{netabare}
最後スノーマンは溶けてしまう。。{/netabare}
切ない。けれど少年にとっては大切なひと晩でしたね。

少女の頃、私のためだけのとびきりな物語なんだ そう思い込んでました。

挿入歌
Walking in the Air
雪だるまと少年が空を飛ぶ場面で流れます。幻想的…!
この場面だけでも是非みてほしいです。
素敵です。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 19

67.2 3 1987年夏(7月~9月)アニメランキング3位
紫式部 源氏物語 [1987年](アニメ映画)

1987年7月1日
★★★★☆ 3.7 (10)
48人が棚に入れました
美貌と才知に恵まれた光源氏は父・桐壷帝の計らいにより、臣下に身を置いていた。源氏は持って生まれた美貌のため、数多くの女性から慕われていた。愛しくも複雑な過去を持つ夕顔、六歳年上で一人娘のいる六条御息所、正妻の葵の上。しかし、光源氏がもっとも心を痛めていたのは、桐壷帝の妻であり義母の藤壷への想いだった。秋に光源氏は藤壷の姪で祖母に育てられていた少女の紫を引き取った。

takumi@ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

古典の世界、たまに浸ってみるのも良いかも

25年近くも前のアニメ映画だが、紫式部原作の「源氏物語」という
古典文学を扱った内容ながら、光源氏がピアスをしていたりとちょっと新しい雰囲気。
時代考証どうこう、と言うより、現代に置き換えてわかりやすく
見せようとした意気込みが、演出のあちこちに見受けられる。
そこが好みの分かれるところかもしれないけれど
個人的にはまったく違和感を感じなかった。
むしろ、去年放送していた『超訳 百人一首 うた恋い。』のほうが
ぶっ飛んだ演出入れていたし、あの作品はあの作品の良さがあって大好きなのだが
こちらはかなり抑え、幅広い世代に観て貰いたいっていう真面目さは伝わってきた。

物語は、原作の「源氏物語」全五十四帖のうち、
夕顔との出会いから須磨までが描かれている。
源氏と関わる女性達のそれぞれの美しさや性格や、したたかさなどはもちろんだが
作中、光源氏についての人々の噂で様々な光源氏像が一人歩きしている一方、
彼自身の真意を知る者は少なく、素直なままの想いはなかなか周囲に受け入られずに
実際は孤独・・そんな姿も見どころのひとつではないだろうか。
そういった、表に出しているやや軽めのノリとは違う別の秘めた恋心にも
個人的にはけっこう感情移入できた。

監督は「銀河鉄道の夜」の杉井ギサブロー氏。
音楽は細野晴臣氏。この音楽がまた幽玄の世界を醸し出すような素敵さがあった。
声の出演は、光源氏を若かりし頃の風間杜夫が務めるなど、俳優も起用されていたが
野沢那智、大塚周夫、納谷悟朗などベテラン声優が脇を固めていた。

作画などはどうしても古い作品なので、今風にとはいかないが
決して色褪せないものを感じることができたのは嬉しい。
個人的には、源氏物語を題材にした作品の多くが、この須磨までの内容なので、
その後を描いたものが観てみたいなと思うのだが、なかなか難しいのだろうかね。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 24

橙色夜想曲 さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

いつまでも残して欲しい逸品

質・量ともに中古文学のみならず、日本文学史上に燦然と輝く、最高作品のアニメ化です。

眩暈すら覚えそうになるこの大きな仕事を前にして、
スタッフは相当思慮を重ね構想を練ったのでしょう。

源氏物語を実写化したものには、物語のテーマである「あはれ」を離れ、
宮廷における性描写にばかり焦点を当てた、興味本位で低俗なのものもありますが、
本作は決してそうではありません。

物語は桐壺~須磨までの序盤に絞り、
亡き母、桐壺の幻影を追い求めるように、数々の女性と愛を重ねる光源氏の青春を、
桜の舞い散る美しい映像と、細野晴臣のシンセサイザーによる心に染み入るような音楽に乗せ、
儚くも幻想的に描きます。

ストーリーの進行はかなり駆け足な印象ですが、無理もありません。
国文学科における中古文学の講義ですら、
須磨・明石のみを1年かけて学ぶような世界です。
桐壺~須磨となると一本の映画に収めるには厳しい分量ですが、
源氏物語全体の流れの中では、良い切りどころだったと思います。

源氏と交錯し愛を紡ぐヒロインは、葵・夕顔・藤壺・六条御息所・朧月夜。
どの女性も、身震いするほど美しく、素敵です。
最大のヒロイン、紫の上の成長した姿が描かれる続編が生まれなかったことが、
とても惜しまれます。

原画は、現代の竹久夢二と称される林静一。
ピアスをした源氏が話題になりましたが、決して原作のイメージを破壊するようなものではなく、
程好い現代アレンジが魅力的です。
素敵な原画集も、発行されました。

源氏物語のビジュアルな入門編には、
大和和紀による漫画界の大傑作「あさきゆめみし」がありますが、
本作もまた、源氏の世界へ誘われるきっかけとして、
いつまでも残して欲しい逸品です。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 5

63.6 4 1987年夏(7月~9月)アニメランキング4位
ドラゴンボール 魔神城のねむり姫(アニメ映画)

1987年7月18日
★★★★☆ 3.5 (49)
270人が棚に入れました
亀仙人に弟子入りして稽古をつけて貰おうと、はるばるカメハウスまでやって来た悟空。同じ日、坊主頭の少年クリリンも弟子入りを目的にカメハウスまでやってくる。亀仙人は双方に弟子入りするための条件として、西の果てにある魔神城で数千年間眠り続けているという美女「ねむり姫」を連れてくることを提示する。早速自分が弟子入りを果たそうと、競い合いながら魔神城へ向かう 2人。その後久々に悟空に会いに来たブルマたちは、「スケベなお使い」を隠したい亀仙人から、悟空の行き先は遊園地だと伝えられる。一行は事実を知らないまま、遊園地があると聞かされた魔神城の方角へ悟空を追っていくのであった。

nk225 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

『ドラゴンボール大全集』にも「ねむり姫を探すのが修行である点などTV版とシンクロしない構成」と書かれている

悟空は修業すべく亀仙人のもとへ駆けつけるが、そこには多林寺出身の拳法の使い手、クリリンもいた。亀仙人は「魔界城に閉じ込められているねむり姫を連れて帰った者を弟子にする」と、悟空とクリリンに条件を出す。闘志むき出しに魔界城へ向かう悟空とクリリン。一方、夏休みをむかえたブルマ、ヤムチャ、ウーロン、それにプーアルたち一行も悟空たちの後を追い魔界城へ向う。折りしも、魔界城では魔王ルシフェルのもとへ妖怪たちが集まり、数千年に一度満月の夜に目覚めるというねむり姫を囲んで儀式がとりおこなわれようとしていた!

1987年7月18日に公開された『ドラゴンボール』の劇場版第2作目。

前作同様本編のパラレルワールド的な内容となっており、『ドラゴンボール大全集』にも「ねむり姫を探すのが修行である点などTV版とシンクロしない構成」と書かれている。作風や敵のキャラクターの設定には前作よりも強いオリジナル要素が見受けられ、特に本編とは違ったヨーロッパファンタジーの様相を呈した不気味な雰囲気が特徴的である。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 9

でこぽん さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

美しい眠り姫

これは悟空が若い頃の映画です。
クリリンが初登場します。

クリリンは最初の頃は意地悪な奴でした。
そのため、クリリンは筋斗雲(きんとうん)に乗ることができません。
筋斗雲には心が清らかな者しか乗ることができないようです。
そこが笑えます。

また、この物語は伝説の眠り姫を助ける物語です。
どうやら亀仙人は、眠り姫を助けるよりも、悟空たちに眠り姫を自分の傍へ連れてこさせて、あんなことやこんなことをして楽しみたいようです。
亀仙人の下心(本人にとっては素直な心)には困ったものです。

「眠り姫はとても美しかった」と、言っておきます。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 7

計測不能 5 1987年夏(7月~9月)アニメランキング5位
聖闘士星矢 邪神エリス(アニメ映画)

1987年7月18日
★★★★☆ 3.8 (8)
39人が棚に入れました
同タイトルの人気TVアニメから派生した、劇場用作品の第1弾。「東映まんがまつり」におけるプログラムの一環として上映された。 争いの女神エリスが、聖闘士のひとりであるキグナス氷河と面識のあった孤児・絵梨衣の肉体に憑依して地上に復活した。彼女はアテナ・城戸沙織を拉致し、その小宇宙(コスモ)を利用しての完全復活を目論む。そうはさせじと立ち向かうペガサス星矢たち青銅聖闘士の行く手を阻むのは、エリスの魔力で蘇生した亡霊聖闘士(ゴーストセイント)の精鋭たち。ここに戦いの幕が開く! 「邪神エリス」の副題は後年の映像ソフト化の際に付けられたもの。後の映画版で恒例のパターン(弟・瞬のピンチに颯爽と駆けつけるフェニックス一輝、射手座の黄金聖闘衣をまとい敵のボスを射る星矢)は本作で早くも確立された。

計測不能 5 1987年夏(7月~9月)アニメランキング5位
アメリカ物語(アニメ映画)

1987年8月1日
★★★★☆ 3.7 (5)
21人が棚に入れました
1885年、ロシアから猫のいない自由な国を夢見て、ネズミの一家が移民してきた。その旅の途中、嵐にあって末っ子ネズミのファイベルが迷子になってしまう。家族を求めて彷徨うファイベルの冒険の物語。子供も大人も楽しめる心暖まる作品。クオリティも高い。ディズニーになりたかった男、スピルバーグの初のアニメーションで、長編アニメ史上最大の興行成績をあげた。リンダ・ロンシュタットとジェームズ・イングラムの歌う“Somewhere Out There"はアカデミー主題歌賞にノミネート。

計測不能 5 1987年夏(7月~9月)アニメランキング5位
マップス 伝説のさまよえる星人たち(アニメ映画)

1987年7月21日
★★★★★ 5.0 (2)
16人が棚に入れました
学研の「コミックNORA」に連載された長谷川裕一のSF冒険漫画をアニメ化。アニメの実制作は「赤ずきんチャチャ」などのスタジオぎゃろっぷが手がけている。高校生・十鬼島ゲンはガールフレンドの君塚星見と巨大宇宙船リプミラ号に連れ去られる。ゲンは“さまよえる星人"の秘宝“風まく光"のありかを示した地図を持つ“マップマン"だという。宇宙船の電子頭脳体である女宇宙海賊リプミラと宇宙への冒険に出発するゲンたちだが、その行く手には…。

計測不能 5 1987年夏(7月~9月)アニメランキング5位
Bugってハニー メガロム少女舞4622(アニメ映画)

1987年7月21日
★★★★☆ 4.0 (2)
16人が棚に入れました
巨大鉛筆型コンピュータ「ハニコム」によって平和が保たれたトイコンワールド。そこで暮らす住人はメモリーを持つコンピュータ人間で、主人公リオはそのメモリーの修理の仕事をしていた。ある日、リオの恋人メガロム少女マイのメモリーが、ダイキュラーに奪われてしまう。メモリーを奪ったダイキュラーの目的は、マイをコントロールして高橋原人を倒すことだった……。ハドソン発売のファミコンソフト『高橋名人の冒険島』の世界観をベースに、オリジナルの登場人物や独自の展開を加え、キッズアニメとして制作されたメディアミックス作品『Bugってハニー』。1986年~1987年まで全51話のTVシリーズとして放送されたのち、本作『メガロム少女舞4622』が劇場版として公開された。

計測不能 5 1987年夏(7月~9月)アニメランキング5位
PUSH おす(アニメ映画)

1987年8月21日
★★★★☆ 3.6 (6)
15人が棚に入れました
手塚治虫が原案、構成、演出、作画を手がけた、約4分の短編アニメ。荒野をボロボロの軍用ジープで走る、むさい風体の男。彼は道中で出会う数種類の自動販売機のボタンを押し、ドリンク、洋服、体のクリーニング、そして車やペットの購入……と何でも下取りさせての購入、あるいは完全新規に買っていく。やがて多くの販売機が並ぶショップに入った男は、そこで神様に対面。あるものを買い直したい、と言うが……。アニメ分野での手塚の晩年の代表作『森の伝説』の完成が延期されたため、国際アニメーション・フェスティバルに出品するため急遽、制作された掌編。何でも自動販売機で買える便利な世界を舞台に、ダイレクトな文明風刺テーマを織り込んでいる。

Dkn さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

押す

手塚治虫の短編アニメーション集のひとつ

[あらすじ]
荒廃した世界に車を走らせる男性…、ぼろぼろの服ボロボロの靴ぼさぼさの頭。そんな荒野にポツンとある販売機、ボタンを押せば何でも出てくる。空の水筒を入れれば満タンの冷えた水筒が。汚れた服を入れれば、きれいな背広に。次は髪をとかして、次は車を新品の空飛ぶ車に。死んだ動物を入れればロボットに。。。そして、その先に、男がたどり着いた真実とは・・・・?

・・・

・・

[感想]
このアニメーションはストレートなメッセージ性がこの頃の作家らしくていいですね。急激に成長していく文明に、みんな少なからず危機感を感じていた。この世界はボタンひとつで何でも解決するし、何もかもを台無しにできる。コンセプトもデザインもメッセージ性も時代を感じるけれど決して古くはならない。忘れることのできない日本のアニメーションの一つ。


ここまで読んでくれて、

『ありがとうございました』

投稿 : 2024/04/20
♥ : 15

虚言癖 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

ボタン一つで、何もかもできる便利な世界だが……

ショートアニメーション。

荒廃した世界を一人の男が車に乗って疾走する。

様々なものがボタン一つで手に入る様子で男は満足げ。

やがて辿り着く先で、求めるモノは……。

メッセージ性は単純明快で分かりやすい分、心にくるものがある。
ボタン一つで様々なものが手に入る様を羨ましく思った反面
後半のたった一つのセリフが重々しくのしかかって来る。

シンプルイズベスト。
主張を簡潔に、わかりやすくそれでいて見やすく描いた。

実に素晴らしい作品でした。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 0

計測不能 5 1987年夏(7月~9月)アニメランキング5位
村正(アニメ映画)

1987年8月21日
★★★★☆ 3.7 (5)
15人が棚に入れました
手塚治虫が原案・構成・演出を、切り絵作家の百鬼丸がキャラクターデザインを担当。第2回広島国際アニーメーションフェスティバルに出品された、実験的色合いの強い短編アニメ。わら人形に突き刺さっていた妖剣・村正。それを抜いてしまった武士は、切れ味を試したいという誘惑に逆らえず、わら人形を見るたびに斬りつけずにはいられなくなってしまう。だが、わら人形だったはずのものは、斬ると同時に人間の姿に変わってゆき…。

虚言癖 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

始まりと終わりがつながる物語

拾った刀に魅力、誘惑に取りつかれ人を切りたくて
仕方なくなってしまった男の様を描く本作。

結末は示唆されていた通りに描かれ、
大きな感動も、感激もないがそれでも
男の葛藤を描く様は緊張感にあふれ、はらはらとさせられる。

冗長といえば冗長かもしれない。
コンパクトにまとめようと思えばできる作品だが
私的にはちょうどよい尺であった。

物語性はどこか教訓めいたものを感じる。
受け取る側によって解釈は少し変わってくるかもしれない。

昨今のショートアニメーションとしては毛色が違うため
興味を持つ層は限られるかもしれないが、
このような作品もあると知っておくのもいいかもしれない。

私はそう感じた。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 0

計測不能 5 1987年夏(7月~9月)アニメランキング5位
ディスコ・ミッキー(アニメ映画)

1987年7月18日
★★★★★ 5.0 (1)
14人が棚に入れました
詳細不明

計測不能 5 1987年夏(7月~9月)アニメランキング5位
あいつとララバイ 水曜日のシンデレラ(アニメ映画)

1987年8月1日
★★★★☆ 3.9 (2)
12人が棚に入れました
「週刊少年マガジン」に1981年から長期連載された楠みちはるの代表作で、実写映画にもなった青春バイク漫画の劇場アニメ化。菱木研二は、バイクZII(カワサキの750RS)を愛車とする横浜在住の高校生。今日も彼は学校をサボり、ガールフレンドの佐藤友美と箱根までツーリングしていたが、そこでSRXに乗る大学生・早瀬浩一と出会う。研二は早瀬から、箱根には「水曜日のシンデレラ」と呼ばれる白いポルシェに乗った走り屋がいるらしいと聞かされた。「シンデレラ」と早瀬の闘いに、巻き込まれていく研二だが。原作の人気エピソード「水曜日のシンデレラ編」を映像化したもので、アニメ映像の制作はぴえろ(スタジオぴえろ)。もうひとつの「マガジン」の青春バイク漫画『バリバリ伝説』の劇場アニメ版と同時上映された。

計測不能 5 1987年夏(7月~9月)アニメランキング5位
チロヌップのきつね(アニメ映画)

1987年8月15日
★★★★★ 4.4 (2)
12人が棚に入れました
秋田在住の文化人で、日本文学史上で重要なな大正期の児童文学誌「赤い鳥」の復刻にも務めた作家・高橋宏幸の代表作の劇場アニメ化。北方の島チロヌップ。キツネの夫婦ケンとチンの間に、コロとカンという子供が誕生。やがてやんちゃなコロは蝶を追って家族とはぐれてしまい弱りかけたところを、島に来ていた漁師の老夫婦に拾われる。漁師夫婦のもとで暮らすコロだが、夫婦はコロの家族の存在に気づき、彼らのもとにコロを帰してやった。だが漁師夫婦の前に、島を調査に来た兵隊が出現。彼らの目的は、防寒用の毛皮を求めてキツネを探すことだった……。キツネたちと老夫婦の交流を通じて反戦テーマを掲げ、世代を超えて読まれる創作童話が原作。制作はヘラルド・エンタープライズで、アニメの実制作はグループ・タック。

計測不能 5 1987年夏(7月~9月)アニメランキング5位
TWD EXPRESS ローリングテイクオフ(アニメ映画)

1987年7月14日
★★★★★ 5.0 (1)
12人が棚に入れました
『超人ロック』で有名なSF漫画家・聖悠紀の同題コミックをアニメ化。監督は『ポケットモンスター』などの湯山邦彦が担当。大の香港映画ファンである湯山は本作に同ジャンルさながらのアクションを盛り込むことに挑んだという。 「TWD EXPRESS」は高速輸送船スライダー7であちこちを飛び回る宇宙の運送屋。TWDは3人のメンバーの愛称であるタイガー、ウルフそしてドラゴンの頭文字をとって付けられた名前だ。金にならない仕事ばかりの一同だったが、ある日ウルフが一人の少女=リナを救う。リナは違法の人間型生命体だったのだが、女性に優しいウルフは彼女を仲間に迎えようと提案。だがタイガーは過去に女性がらみで仲間を死なせてしまった経験から、リナの件に反対する。やがてリナが連れ去られてしまうが、その犯人は彼女を非合法に作り出したゴーダム伯爵だった。タイガーたちはリナの救出に向かう。 本作の実制作はスタジオぎゃろっぷが担当。脚本は実写TVシリーズ版『スケバン刑事』などの橋本以蔵が手がけている。

計測不能 5 1987年夏(7月~9月)アニメランキング5位
レッズ・ドリーム(アニメ映画)

1987年7月10日
★★★★☆ 3.7 (5)
8人が棚に入れました
ピクサーが1987年に制作した短編アニメ。雨が降りしきる夜。
小さな自転車屋の隅に立てかけられた赤い一輪車は、
夢を見ていた。サーカスのステージでピエロを
乗せていた一輪車だったが、いつの間にかピエロから離れて
ひとりでに動き出す。得意になった一輪車は、大勢の観客を
前に見事なジャグリングを披露するが……。
(アニメ映画『レッズ・ドリーム』のwikipedia・公式サイト等参照)
ネタバレ

さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

哀愁漂う一輪車

50%OFFの一輪車がドラマづけによって、同情を誘う一人のキャラクターになってしまった。
なんで私は一輪車に対してこんなにも同情を抱いているのだろう。

物語は雨の夜、店の一角におかれた50%OFFの値札がついた一輪車の夢からはじまる。
{netabare}
作画事故ともいえる、ピエロの動きに突っ込みを入れて楽しんでいると…

ピエロは退場し、一輪車へとスポットライトが当たる。
ありえない動きは夢である証拠。
夢の中で喝采を浴びる一輪車。

これは一輪車の夢だったことを思いだす。

すると、今度は現実世界へ。
現実世界でうなだれて元の場所へ戻る一輪車。

そう、これはファンタジーな物語だったのだ。
一輪車のキャラクター性が増し、一気に一輪車へと意識がひきつけられる。

そして、一輪車は元の場所へ。

始まりと同じ場所だが、一輪車の様子は最初とは違うものとなっている。
物語の作り方でみた、同じところに戻っても、それによって与える印象は変えなければいけないというお手本のような演出。{/netabare}

なんて面白いんだろう。
キャンパーになったヒロシの芸風のような哀愁漂う世界。
{netabare}
スポットライトも、ピエロの失敗も、雨の夜の街角も、雨漏りで置かれたバケツも
全て哀愁につながる要素になっている。

一輪車が立てかけられている壁に貼られたSEALの文字は視聴しているこちらの気持ちを代弁するかのようだ。{/netabare}

作画に関しては雨を合成するという技術が使われており、映像づくりに対する柔軟な発想がポイント高い。
意外とカロリーコントロールをしているのはルクソーJr.もそうだった。
少ないカロリーで作品を仕上げる技術も映像制作者の手腕だなあと感じる。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 1

計測不能 5 1987年夏(7月~9月)アニメランキング5位
彗星に乗って(アニメ映画)

1987年8月1日
★★★★★ 5.0 (1)
8人が棚に入れました
実写とアニメーションの合成で独特の作品世界を構築するK・ゼマンが、ヴェルヌの冒険小説に材をとっておくるファンタジー。アフリカのある町に駐留するフランス軍がスペイン人や現地の権力者と小競り合いを繰り返している1888年、彗星が地球に大接近、天変地異が起こり、町がまるごと彗星の上に飛ばされてしまう。そこは恐竜や翼手竜が跋扈する世界だった。フランス軍の青年士官は、スペイン人の手から逃れてきた美女を守って活躍する。爆発で砕け飛んだ宮殿が彗星の上に重なり落ちて元通りになったり、鼓笛隊が宙を舞いながらも演奏を続けているなど、コミカルな描写が多く、科学考証やリアリティなどという言葉とは程遠い作品。色フィルター、人形アニメ、コラージュなどの手法は一見安っぽいが、逆に、メリエスに代表される映画創成期のトリック撮影の楽しさが味わえる。

計測不能 5 1987年夏(7月~9月)アニメランキング5位
SOSこちら地球(アニメ映画)

1987年6月27日
★★★★★ 5.0 (1)
7人が棚に入れました
エーリヒ・ケストナーが描いた絵本『どうぶつ会議』をベースに、戦争という人間の業の深さについて語る、人形アニメーション。人間たちが我が物顔で引き起こす戦争。その被害を受けていた動物たちは、パリに集結して緊急会議を開くことに。人間たちに対し、これ以上の自然破壊の禁止や、核兵器根絶を訴えることになったが……。だが核を保有し、互いにけん制しあう大国にその主張は届かず、さらに人間たちは動物たちを利用した、ある恐怖の計画を実現せんとしていた。

計測不能 5 1987年夏(7月~9月)アニメランキング5位
いじわる家族といたずらドッグ(アニメ映画)

1987年8月1日
★★★★★ 5.0 (1)
7人が棚に入れました
日本では「アメリカ物語」との併映で劇場公開された短編アニメーション。もともとは、TVシリーズ「世にも不思議なアメージング・ストーリー」の1編として放映されたもの。 ワン公の毎日は受難続き。いたずら好きの少年ビリーには掃除機で追い回され、父親スキップにはオナラが臭いと追い払われ、母親ビバリーからはまずいエサしか与えられず、妹バフィにはおもちゃにされている。空き巣を追い払えなかったワン公は、恐ろしい猛犬養成所にぶちこまれ、2週間後、別犬となって戻ってくる。ワン公は、強盗の腕にかみついて離れず、いつの間にか強盗の仲間入り。しかし仲間割れから強盗をやっつけ、再びわが家へ、今度は英雄として迎えられる。子ども向きとは言いがたい、ブラック・ユーモアたっぷりの1編。
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