2023年冬(1月~3月)に放送されたアニメ映画一覧 13

あにこれの全ユーザーが2023年冬(1月~3月)に放送されたアニメ映画を評価したーデータを元にランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年04月24日の時点で一番の2023年冬(1月~3月)に放送されたアニメ映画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

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年代別アニメ一覧

75.7 1 2023年冬(1月~3月)アニメランキング1位
BLUE GIANT(アニメ映画)

2023年2月17日
★★★★★ 4.1 (84)
281人が棚に入れました
「オレは世界一のジャズプレーヤーになる。」
ジャズに魅了され、テナーサックスを始めた仙台の高校生・宮本大(ミヤモトダイ)。
雨の日も風の日も、毎日たったひとりで何年も、河原でテナーサックスを吹き続けてきた。
卒業を機にジャズのため、上京。高校の同級生・玉田俊二(タマダシュンジ)のアパートに転がり込んだ大は、ある日訪れたライブハウスで同世代の凄腕ピアニスト・沢辺雪祈(サワベユキノリ)と出会う。
「組もう。」大は雪祈をバンドに誘う。はじめは本気で取り合わない雪祈だったが、聴く者を圧倒する大のサックスに胸を打たれ、二人はバンドを組むことに。そこへ大の熱さに感化されドラムを始めた玉田が加わり、三人は“JASS”を結成する。
楽譜も読めず、ジャズの知識もなかったが、ひたすらに、全力で吹いてきた大。幼い頃からジャズに全てを捧げてきた雪祈。初心者の玉田。
トリオの目標は、日本最高のジャズクラブに出演し、日本のジャズシーンを変えること。
不可能と思われる目標に、必死に真摯に、激しく挑む---。
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

🏅ジャズ🎷演奏シーンが凄すぎて月🌘まで飛ばされるかと思いました

やがて世界的なテナーサックス奏者となる宮本大(だい)の足跡を描く、
ジャズ漫画シリーズ(第1部・5巻、仙台編~東京編序盤辺りまで購読中)の劇場アニメ化作品。

【物語 4.0点】
原作は明らかに連続アニメ化した方が適した連載コミック。
ですが原作再現よりも、映像でも“本物のジャズ”を届けたいと原作者が熱望。
これを受けスタッフは初手から音響設備で音楽体験を最大化できる劇場アニメで制作する勝負に出る。

構成は4分の1がライブシーン。
あとは東京編「JASS」3人のバンド活動を中心にピックアップしシナリオを形成。
そのあおりで仙台編にて“河川敷のコルトレーン”主人公・大(だい)を芽生えさせた恩師・由井など、大幅カットされたシナリオ多数。

だが決して物語が音楽の添え物というわけではない。
アドリブソロなどで回想カットを挿入し激情を昂ぶらせリミッター解除する。
演奏能力インフレも急激となるが、そこもバイト中のエアピアノ、エアドラムのカットで補完してエモさをアップさせる。
「ジャズは感情の音楽」、故にジャズの演奏は再現不可能な一度きりのパフォーマンス。
作品がこだわる価値観や、ジャズの火力を最大化するために必要なシナリオ熱量は十分確保されている。


【作画 5.0点】
アニメーション制作・NUT

演奏シーン。私は過剰な演出を排除して、ジックリと音楽を聴かせる映像の方が好み。
ですが、本作の場合は、テナーサックス中心に音楽が怪物級に強力。
ただ奏者をキャプチャーするだけでは絵が音楽に押し負けてしまう。

よってサックスが火を噴こうが、星を出そうが、演出が時空間を超越しようが。
この音楽と対峙するなら、アニメーションも総力戦だよねと納得するしかありません。

「すべての感情を音で表現できること」を至上とする大(だい)の音楽観。
受ける作画もセリフに頼らず、時に言葉以上に感情を爆発させる必要があります。

これに対応したのが総作画監督・キャラクターデザイン・高橋 裕一氏らのスタッフ陣。
『Vivy』でも歌でみんなを幸せにしたいAIの心の在り処という難題を取り扱った高橋氏。
サックスを描くのは宇宙戦艦を描くより難しいと愚痴りつつもw
彼らの画作りがフィットしたのも私にとっては大きかったです。

何より私は青の映像が大好物。
緻密に構築された青い東京の街並みを眺めるだけでうっとりしてしまうのですw


大(だい)がビッグになる未来は確定している本作。
大の伝説の始まりを関係者に尋ねるインタビュー形式の映像もしばしば挿入され、
巨星が頭角を現すスピード感を後押し。


【キャラ 4.5点】
★超新星若手ジャズトリオ「JASS(ジャス)」

宮本 大(だい)/テナーサックス……ほぼ独学でパンチ力のある演奏を体得。「世界一のジャズプレイヤーを目指す」が口癖のジャズの化け物。

沢辺 雪折(ゆきのり)/ピアノ・作曲……幼少より技術を積み上げて来た天才タイプ。大と出会うまでは才能を持て余し、片手演奏でナメプしたりしていた(ある意味これも伏線回収されるから凄い)ジャズシーンを変えると豪語するなど、大とはまた違った、ナルシスト方面のビッグマウス。

玉田 俊二/ドラム……サッカーサークルで燃焼しきれない衝動をこじらせた大学生。部屋に転がり込んで来た大に触発され叩き始めた初心者。キャリアの中で組むメンバーを変えるのがジャズバンドと割り切る2人とは対照的に、体育会系らしい仲間意識も持つ熱血漢。

以上3人の青春劇が基軸。
雪折の上手く弾きこなせているようで実は吹っ切れていない。
張り合える巨星・大に連れられ、ぶつかれる壁にまで高められることで初めて挫折と成長を知る。
器用なイケメンが不器用に足掻く様は、何度味わってもグッときます。


ノッてる若者たちを見定めるジャズ関係者の大人たちも渋くてグッド。
{netabare} 雪折にぞんざいに扱われた後、謝罪される豆腐屋のオヤジ。
玉田の成長するドラムが好きだといってくれたファンのおっさん。{/netabare}
衰退の一途をたどるジャズ。細々と語り継ぐファンのためだけに弾いていても仕方がないというのも一理ある。
ですが、巨星が出現した時、愛をもって見極めるだけのファンがいなければ、星は輝かず廃れるのみ。

ジャズだけでなくアニメ鑑賞などあらゆるジャンルの愛好家が肝に銘じたい心意気です。


【声優 4.0点】
若手俳優のメインキャスト3人の周りをベテラン声優陣が固めて安定をはかる、よくある劇場アニメの布陣。

最適解とは思いませんが、若い勢いを大人が受け止めるという構図が多発する本作ならそれもありでしょうか。

主人公・大(だい)役の山田 裕貴さん。
今年の大河ドラマでは、主君・家康にツンツンする重臣・本多忠勝役で好演中。
大口を叩くが実力もある若者の猛々しい演技が得意なのでしょう。
声だけの本作でも、その一端は発揮されていた印象。

山田さんは共演者とぶつかることで演技が引き出される憑依型の役者。
雪折(ゆきのり)役・間宮 祥太朗さん、玉田役・岡山 天音さん。
コロナ禍でも臆せず同世代俳優3人の同時収録を敢行したのも好判断だったかと。
3人のおバカな青春の掛け合いもまずまずのお味でした。


そんな若者の鼻面をへし折ったり、引き上げたりする役回りを演じたのが平(たいら)役・東地 宏樹さん。
日本一のジャズクラブを背負うプライドと責任から放たれるジャズ愛の鞭。
そこまで言ってくれるのかと私も胸のすく思いでした。


【音楽 5.0点】
Dolby Atmosにて劇場鑑賞。

担当は世界的なジャズピアニスト・上原 ひろみ氏。
劇伴だけでなく「JASS」のライブ楽曲群、EDも作曲。
宣伝のための無粋なポップス主題歌なんて要らない。全編ジャズで貫き通す潔さ。
さらには自身も雪折のピアノ演奏担当としてプレイヤー参加。

ジャズを知らないお客さんにも聞いてもらえる演奏をする。
ジャズで一番を目指すんじゃない。東京の音楽シーンのてっぺんに立つ。
作中主人公たちの大口に、現実のプロが全身全霊の音楽制作で応える。
この制作体制が既に熱いです。

サックスなどの音圧の強さが目立ちますが、繊細さも併せ持ちます。
こじんまりとした店のピアノは敢えて調律を甘くしてもらった
との上原氏のこだわりは、素人の私には高度すぎて分かりませんがw
真摯な音作りから醸される情熱はビンビン伝わって来ました。

繊細なのは音響も同様。
ライブ会場で熱狂する観衆などは臨場感があり没入させられました。

地味にお気に入りなのは、主人公が天候に合わせた選曲意図を汲んだ一コマ。
それが{netabare} ジャズバー「TAKE TWO」店主アキコとそこを練習場にする「JASS」の縁{/netabare} の始まり。
雨音とジャズが一体となった素敵なシーンです。


【感想】
2023冬アニメ。私の大本命が期待通り、いや想像を超えたパフォーマンスで魅せてくれました。

やはりライブシーンが圧巻。
{netabare} 星はあまりに高音になると赤を通り越し青く燃えるのだ。{/netabare}
アニオリだという演出も交えてタイトル回収されたクライマックス。
感極まった私の目頭もヒートアップ。劇場から出たあと鏡で見た自分の眼が赤すぎて恥ずかしかったですw

音楽アニメとしては今年随一とか、近年屈指とかではなく、
私の生涯の中でも指折りのインパクト。
青々と魂を燃焼される演奏シーン。必見です♪

投稿 : 2024/04/20
♥ : 29

かんぱり さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

素晴らしいジャズ演奏に酔わせていただきました🎵

仙台市出身の宮本大(みやもとだい)は世界一のジャズプレイヤーになるべく単身東京に降り立つ。
そして彼の人柄と熱い音楽に集まった沢辺雪祈(さわべゆきのり)と玉田俊二(たまだしゅんじ)と共にジャズバンド"JASS"を結成して・・

原作は石塚真一さんのコミックで全10巻(第1部)。
現在は第4部のニューヨーク編連載中みたいです。
主人公のダイの出身地が地元ということもあり、そしてジャズも嫌いじゃないのもあって原作は第2部のヨーロッパ編まで読んでます。

原作は話も面白いですけど、読んでると音楽が聞こえてくるような迫力ある描写が特徴的で、「これアニメ化して欲しいけど難しそうだな」って思ってました。

映画化の話を聞いて嬉しかったですけど、10巻の内容をどう取捨選択してあの作品のエッセンスを失わずに作品化できるのかちょっと不安でした。

で、劇場は都合で行けなくて今回配信で見たんですが、なかなかうまく落とし込んでるなって感じました。
本当はダイがジャズと出会った高校時代の様々なエピソードもなかなか良くて好きなんですけど、この作品で一番観たかったのはやはり演奏シーン!!
ジャズピアニストの上原ひろみさんの音楽をはじめとした素晴らしいジャズ演奏に酔わせていただきました🎵

それから見てていいなと思ったのは、ダイ、雪祈、玉田 3人の距離感が素敵だったこと。
お互い言いたいことを言い合って、でもさりげなく相手を気遣ってたり・・
これもダイという魅力的な人柄とサックスがあったからなのかもですね。

作品のタイトルの一部にもなってる"BLUE"
元々黒人音楽の憂いを帯びた感じから来ている言葉で、ブルースの語源にもなっててジャズにも良く使われてるんだけど、作中でダイが「ジャズはとても熱い音楽だべ。一番熱い炎は青いんだ」みたいなことを言ってて、そういう解釈も素敵だなぁって思いました。

仙台は毎年9月に「定禅寺ジャズフェスティバル」を市内あちこちで多くのバンドが参加して2日間開催しています。
最近はコロナの影響で縮小傾向にありましたが、知り合いが参加してることもあり、ちょくちょく見に行ってました。
ダイの出身地が仙台なのも、このイベントが発端みたいです。

音楽好きな方におすすめしたい作品です。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 23

ウェスタンガール さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

刮目せよ!

JAZZという世界(キングダム)で成り上がってゆく若者たち。まさに、「士別れて三日、即ち更に刮目して相待すべし」な生き様が、ウォール・オブ・サウンズとでもいうべき力強い音圧と相まって胸に迫る。

ストーリーは至ってシンプルでベタ。
閃きと苦悩の中で内省を深めるピアノの響き、そこに力を与える鼓動(ドラム)と息遣い(テナーサックス)、それらが渾然一体となって、そう、劇中の言葉を借りれば、“えぐって”くるのである。痛快である。

盆前、蒸し暑く息苦しい夏の夜、最近訪れるようになったミニシアターの『出町座』。
熱く、しかし爽快な出会いであった。
恥ずかしながら、ほとんど知らないジャスの世界。
その一端に、少しだけ触れたような気がした。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 19

74.9 2 2023年冬(1月~3月)アニメランキング2位
金の国 水の国(アニメ映画)

2023年1月27日
★★★★☆ 4.0 (40)
154人が棚に入れました
100年断絶している2つの国。“金の国”の誰からも相手にされないおっとり王女サーラと“水の国”の家族思いの貧しい建築士ナランバヤル。敵国同士の身でありながら、国の思惑に巻き込まれ“偽りの夫婦”を演じることに。深刻な水不足によるサーラの未来を案じたナランバヤルは、戦争寸前の2つの国に国交を開かせようと決意する。お互いの想いを胸に秘めながら、真実を言い出せない不器用な2人の<やさしい嘘>は、国の未来を変えるのか―。
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

数十年先も人生に示唆を与えてくれそうなジンワリ系

【あらすじ】
{netabare} 経済発展は目覚ましいが水資源等は乏しい“金の国”アルハミト。
自然豊かだが貧困に喘ぐ“水の国”バイカリ。
犬猫レベルの名目で戦争と国交断絶を繰り返してきた両国。
“金の国”のおっとり第93王女・サーラ。
“水の国”で持て余している設計技師・ナランバヤル。
二人が“偽りの夫婦”を演じることで両国関係が動き出す。{/netabare}

同名コミック(全1巻・未読)の劇場アニメ化作品(117分)

【物語 4.0点】
両国対立の理由が表面上は短絡的に見えて実は構造的。
そこから展開する物語も意外と長期視点。

よって本作は鮮やかな伏線回収等によるカタルシスでガツン!と来る感動系ではない。
温かい空気の中で、広い視野から家族観や文明観を語り、鑑賞者の人生観に引き出しを与える。
後になってジワジワと価値を噛みしめることができる良作。

恋愛や家族愛など様々な愛の形について。
{netabare} 理想の結婚相手について尋ねられ答える男性アニメ主人公{/netabare} とか中々いないかと。

文明や名声について。
{netabare} 今回の両国の開戦危機は、あと50年で水資源が枯渇し廃墟になってしまう“金の国”の中長期の課題が背景。
加えて“金の国”の開戦派の国王・ラスタバン3世には、“水の国”への弱腰外交で愚王の歴史評価を受けたラスタバン2世から継承した汚名を、戦勝で返上したいとの晩節の焦りがある。

さらにラスタバン3世は外交のため娘たちを砂漠の向こうの国々へ嫁がせた。
第一王女の反戦派・レオポルディーネとは内紛状態。
老父の寂しい親心を優しく包み込んだサーラ。おっとりしているけど凄い娘だと感心しました。{/netabare}

解決策もスケールが大きい。
{netabare} ナランバヤルが提唱した両国和平により水路を引き“金の国”へ水を供給する。
工期見積もりは50年なので即断が求められる。{/netabare}
今、現実世界に、これ程の国家大計を構想、実行できる傑物はいるのでしょうか?


総じて刺激的ではないが、深イイ話だったとの余韻が何時までも続きます。


【作画 4.5点】
アニメーション制作・マッドハウス

“水の国”の風光明媚。“金の国”の荘厳美麗。
百聞より説得力のある一見を再現するだけの画力は十二分。

終盤、{netabare} かつて両国の親交を深めたラスタバン2世が腰抜け王ではなく、
平和をもたらし民から愛された名君だった。
肖像画の出来栄えがそれを物語っている。
と論述する{/netabare} 件がありますが、これも相応の画力があればこそのシーン。

“水の国”≒中国風。“金の国”≒中東風。
必然チベットやアラブ諸国等が主な参考資料に。
一方、意外な所では、“金の国”の栄華を象徴する“漕がなくても登れる川”の再現に、
富山県のパナマ運河式の「中島閘門(こうもん)」が参照されたこと。
これは思わぬ聖地。“金の国”は富山県にありますw


【キャラ 4.0点】
“水の国”の技師・ナランバヤルが開戦阻止のための盟友として接近した
“金の国”左大臣・サラディーン。
イケメン俳優から政界入り。反戦派の第一王女・レオポルディーネの愛人。
一見、お飾りのプレイボーイ大臣に見えますが、これが中々の曲者。
{netabare} 俳優として“金の国”で名を馳せる前は遊牧民。
水問題含めた“金の国”の隠された危機を、よくある定住国家の栄枯盛衰として、
良くも悪くもドライに捉えている。{/netabare}
世界観にいっそう深みを与える視点を持ったキーキャラクターでした。

こうした戦争阻止のシナリオは得てして勧善懲悪となりがち。
ですが本作は決して愚昧な開戦派を、賢明な反戦派が諭すだけの軽薄な人物相関ではありません。
一見、悪徳な祈祷師に思える“金の国”開戦派筆頭の右大臣・ピリパッパでさえも、
言動には国王を慕う故の理由がある。

複雑な人物像が絡み合うからこそ、ナランバヤル技師が暗殺含みの宮廷政治を綱渡りするのがスリリングですし、
野心と無縁なサーラ王女が彼の癒やしになり得るのです。


そんな伏魔殿を暗躍する正体不明の黒づくめ暗殺部隊・ライララが私のツボ。
キャストの沢城 みゆきさんいわく「1人だけ一筆書きで描けそう……!」
確かにこれなら私でも描けそうw
単純明快なデザインで忍ぶわ煙玉投げるわ。神出鬼没なライララさんオススメですw


【声優 3.5点】
主人公“水の国”ナランバヤル技師役の俳優・賀来 賢人さん。
飄々とした言い回しの中に強い意志を込める。
中々の難役でしたが、左大臣サラディーン役の神谷 浩史さんのアドバイスも良かったのか、まずまずの対応。

ヒロイン“金の国”サーラ王女役。こちらも、おっとりした中に芯もある声が求められる難役。
ナチュラルにフィットする声の選定は難航の末、俳優・浜辺 美波さんに落ち着く。
声はそれなりに合っていましたが、漫画的なリアクションを求められるシーンは正直苦しいかなと感じました。

ここは人工的でもボイスを作れる声優からキャスティングしても良かった気もします。
脇で戸田 恵子さんや、銀河 万丈さん、茶風林さんらベテラン勢が渋い演技を決めていたから余計に。
何なら、みゆきちがライララと王女を兼任しても良かったのですよw


アニメ『ラブライブ!』シリーズでアルパカ、ふくろうと多種多様な動物を全受けして来た動物声優・麦穂 あんなさん。
本作では両国の犬猫のじゃれ合いを一手に引き受け、架け橋となる貫禄を示す。


【音楽 4.0点】
担当はエバン・コール氏。
アニメ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』シリーズ。
アニメ映画版『ジョゼと虎と魚たち』
NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』
そして本作と連続エンカウント中の私。
今回も中華VS中東への対応力も求められましたが、
多彩な世界観を表現してきた氏のオーケストラならお手の物。

今回は琴音さんをボーカルに迎えて劇中歌も提供。
PVでも使用された「Brand New World」辺りは疾走感もある良曲。
ですが、どの歌も2分弱程度の劇中歌サイズというのが勿体ないです。
今後は是非フルサイズの挿入歌まで作曲して頂き、ヘビロテしたいです。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 22

薄雪草 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

"オトナを魅せる" 恋のお話。

このマンガがすごい! 2017 オンナ編 第1位(宝島社)。

以前から本屋さんに並んでいるのは知ってはいたんです。
なので、映像化されると耳にしてから、期待ばっかりが膨らんで、矢も楯もたまらず原作を読み耽りました。


読後の印象としては、「うーん、あんまり絵が動いていないなぁ。」という感じでした。
紙芝居といってはなんですが、アニメの「止め絵」的な表現を多用している感覚です。

これってアニメではセリフ重視でお話を進めていくときによく使う手法です。
なので、どんな演出で動きを仕上げていくのかが、わたし的ポイントになりました。


それから、描画がとても繊細で、すごく緻密な線で表現されているんです。
それって、風景全体が均質的に見えてしまって平べったい印象になってしまう弱点にもなるんですね。

ちょっと薄味というか、物足らないかなっていうか、そんなふうに思えるところもありました。
でも、そのぶんキャラクターの造形や所作に心を砕いてる様子がありありと窺えました。
心情の表現性にぐっと配点を寄せている感じです。

もとより共感性の高い作品なのは承知のところ。
だから、映像を早く観たくて仕方なかった、というのが本音です。
そそくさと封切初日に足を運んでしまいました。


~      ~      ~


まず驚いたのは、作画の動きも、風景の遠近も、色彩の豊かさも、全てが私の予想を超えて作り込まれてありました。
でも、もっともっとびっくりしたのは "声のアテ" だったんです。

主人公のナランバヤル役に賀来賢人さん、サーラ役に浜辺美波さん。
お二方の声が私のイメージをはるかに超えていて、それはもうとんでもなく良かったです。

実は、本を読みながら、いろんな声優・俳優さんの声を脳内アテレコしていたんですが、ドンピシャとはこのことか~とストンと腑に落ちました。

なので、漫画の魅力指数が瞬間的にポポーンと跳ね上がりました。
劇場での期待度数も開始数分でドドーンと膨れ上がりました。


~      ~      ~


物語の展開は、原作をきっちりと踏んでいますので安心して観ることができました。
意外だったのは、漫画のような止め絵がいくらもないのに、気持ちがどんどん温まっていくのです。

そのくせ声もいいものですから、主人公の心情を語れば抜群に響いてきますし、いっそう感情が解きほぐされ、やさしく揺さぶられます。

ほかのキャラクターの声も、皆さん十分にはまり役だったと思います。
大きな冒険はありませんが、大きな破綻もありませんでした。

なので、本当に安心して物語に没入できました。


~      ~     ~


"初見の方" へは、オフィシャルのイメージボードの通り、と申し上げておきます。

「国が、動いたー 2人だけの"小さな嘘"から。」

どんないきさつから?
どんなやりとりを?

それは "観てのお愉しみ" です。
私としては "大人の方にこそ観ていただきたい作品" って思います。

女性はもちろん、男性の皆さんのキモチも優しく包んでくれるといいかなって思っています。

だって・・・ボードの2人の笑顔。
ステキだと思いませんか?


~      ~      ~


さらりと書きましたが、色彩映像が本当に美しくて、いつまでも見惚れていたい、何回でも見初められたらと思いました。
(すでに2回、劇場に行ってしまっています・・・。)

特に、クライマックスシーンの色彩の豊かさが、ナランバヤルとサーラに愛らしい息吹を与え、揺るぎない国の未来図を楽し気に予感させています。

金の国 水の国

この物語があなたの心にどのような顛末を見せるのか、ぜひご鑑賞のあとでお確かめになってみてくださいね。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 17
ネタバレ

かんぱり さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

優しい気持ちになれた素敵な童話

アルハミドとヴァイカリという2つの国がありました。
1000年前につまらないことで争いが起こり、500年前に一度和解しようとするけどまたつまらないことで再び争いになり、いつしか2つの国の間には壁が作られてしまいました。
お互いの国は一番美しい娘と一番賢い男を相手の国の婿・嫁にするという500年前に結ばれた約束をもとに嫁と婿が贈られることになるけど・・で始まる物語。

原作は岩本ナオさんの漫画全1巻でこのマンガがすごいにも選ばれたみたいですが未読です。

絵は綺麗で、細かいところまでよく描かれていて好印象です。
中東っぽい文化の世界なところもいいですね。ヨーロッパ風な感じの作品が多いので。

おっとりして優しそうな感じだけど芯が強いサーラ王女と賢くて機転がきいて優しい建築士のナランバヤルの二人はお似合いだなぁって思いながら見てました。

サーラの姉のレオポルディーネに良い相手を選ぶにはどうしたら良いかと聞かれたナランバヤルの答えがすごくわかるなぁって。

きつそうに見えたレオポルディーネが{netabare}妹のサーラを気にかけていて、ナランバヤルが本当に賢い男でサーラにふさわしいか、わざと時計の部品を隠して試したり、自分の国をとても愛していて戦争に反対だったりといい人だったり、それから軽そうな感じの左大臣のサラディーンが意外としっかりしてたりと映画の短い時間ながらも人物に深みを感じるところもあったりして、{/netabare}そういうところも良かったです。

意外と好きだったのはレオポルディーネの配下のライララ。黒い布で顔を隠していて眼だけ出してるんだけど、ときおり見せる表情とか言葉でいい人なのが分かるし、なによりかっこいい!

ラスト。{netabare}それから10年後くらいの後日談があったのと、EDのスタッフロールの絵も含めてその後の様子が描かれていたのも満足でした。{/netabare}

感想も少ないみたいであまり知られていないみたいですけど、優しい感じの作品が見たい方におすすめします。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 19

74.0 3 2023年冬(1月~3月)アニメランキング3位
かがみの孤城(アニメ映画)

2022年12月23日
★★★★☆ 3.8 (109)
318人が棚に入れました
学校での居場所をなくし部屋に閉じこもっていた中学生・こころ。

ある日突然部屋の鏡が光り出し、

吸い込まれるように中に入ると、そこにはおとぎ話に出てくるようなお城と見ず知らずの中学生6人が。

さらに「オオカミさま」と呼ばれる狼のお面をかぶった女の子が現れ、

「城に隠された鍵を見つければ、どんな願いでも叶えてやろう」と告げる。

期限は約1年間。

戸惑いつつも鍵を探しながら共に過ごすうち、7人には一つの共通点があることがわかる。

互いの抱える事情が少しずつ明らかになり、次第に心を通わせていくこころたち。

そしてお城が7人にとって特別な居場所に変わり始めた頃、ある出来事が彼らを襲う――――

果たして鍵は見つかるのか?なぜこの7人が集められたのか?

それぞれが胸に秘めた〈人に言えない願い〉とは?
ネタバレ

ato00 さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

鏡の国の赤ずきんちゃん

赤ずきん、狼、鏡、絶海の城等々。
至る所にファンタジーミステリー要素を散りばめた青春SF作品です。

主要登場人物は中学生の男女7人。
それぞれに何かしら心に秘めているような。
鏡を通して孤城に集められ、鍵探しにより願いを叶える。
その暁には、記憶を失うという。
一見単純だけど、それぞれの想いが交差して気になるストーリーでした。

{netabare}最大の謎は、何故この7人が集められたか。
ラストに明かされるその答えが、意外性のあるものでした。
それはともかく孤城での集いは楽しいようで、次第に打ち解ける面々。
しかし、各人が抱える問題も根深く、己のことは話したがらないようです。

現実世界と孤城との行き来により、様々な事件が発生します。
そんな中で少しずつ互いの素性が明らかに。
そして、タイムリミット直前の大事件。
それは、偶然を装って置きながら、仕組まれたことのように思えました。

記憶の消える直前の、狼さまの「善処する」
その口元がすべてを物語っているのでしょう。
結局、こころとリオンの物語だったのかな。
後味の良い感動に包まれて心地よかったです。{/netabare}

投稿 : 2024/04/20
♥ : 15
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

いつだって皆ガラスのハートで狼と戦ってんだ

【物語 4.0点】
アニメ大好き原作者・辻村 深月氏。悲願のアニメ映画化作品。

原作は学校に関しては訳ありな思春期中学生7人らが織り成すSFファンタジー設定ありのミステリー風味の青春群像劇。

ウリの1つである謎解き要素。
アニメファン。特にアドベンチャーゲームの深夜アニメ化作品などを完走した方や、
セリフや作画に醸し出される違和感を捉え考察できる方なら、
割りと序盤でネタは読めると思います。

これを陳腐と感じるかは気分次第なのでしょうが、
私は原作読んだ時、辻村氏は本当にアニメが好きなんだな~。
この作品は是非、実写化ではなくアニメ化してあげて欲しいと好感したので、私にとっても念願の劇場鑑賞でした。


ヒロインの心の葛藤と成長。
孤城の謎の解明と解決。
青春とファンタジーがリンクするのも典型的ですが精巧なプロットで歯車の噛み合わせは良好。

極論、孤城で最初に7人が出会った時に、心を開いて語り合えば1日(上映時間5分)で終わるお話。
だが、それができれば苦労はない不登校生徒。
設定、シナリオの穴となり得る部分も無理に塞がずに、
この嫌なことは嫌だと本音を言えずにグズグズしている感じ。
これこそが青春さと良い意味で開き直り、人間ドラマに仕立てて、
謎と解答の小出しに都合を付ける所が、原作小説の巧みなところ。
劇場版もこの妙味を上手く引き出せていたと感じます。

文量的に映画1本で全編詳述は不可能。
そこは原 恵一監督らスタッフがヒロイン中心に再構成してまとめ上げる。
ただ、私は、できれば1クールの青春群像劇でアニオリ含めて各キャラを掘り下げた構成も観てみたかったとは思いました。


【作画 4.5点】
アニメーション制作・A-1 Pictures

原作を凝縮した構成上、表情描写で心情を語ることが必須な本作。
キャラクターデザイン・佐々木 啓悟氏(『七つの大罪』など)が設定した瞳も、
相変わらず他者への恐怖などを雄弁に語ります。
不登校生徒らが感じる、押し潰されそうな空気感を好再現し、胸を締め付けて来ます。

この辺りの心の取り扱いは『あの花』などでも勝手知ったる同スタジオ。
ずっと戦ってきたでしょ?とのカウンセラーの励ましが琴線に触れるヒロイン心情への共感も、作画による支援があってこそ。


ファッション、小物にも考察を誘う伏線としての役割が求められますが、そこも上々の仕事ぶり。


【キャラ 4.0点】
ヒロイン・こころ他、孤城の7人は心に触れちゃいけない地雷を抱えたキャラばかり。
その地雷原を惚れっぽいKYも交えて全力で踏み抜く少年がウレシノw彼の言動は物語の起爆剤にも。
起爆剤と言えば、“願いの鍵”は如何にも裏切り者を出しそうな火薬庫設定。
そこも7人の心の扉の開放率から考察すれば、あぁ、やっぱりそうくるのかと納得。
明快と言えば明快だし、ありきたりと言えばありきたり。

主人公・こころにより集約した構成ゆえ、その他のキャラ解像度も彼女の周辺が高めに。
真田は映画でも相当なサイコパスでした。
{netabare}自宅を包囲する真田たち。{/netabare}私の夢にも出てきそうなトラウマです。
あれを軽く考える担任。私もないと憤ります。

こころ不登校のある意味での導火線ともなった友人・東条萌。
友を見捨てて追い込んでしまった側の葛藤も好表現。 
{netabare}東条宅に招いた、こころと和解し、真田グループに愛想を尽かして酷評する。{/netabare}
あの痛快シーンが何気に私のベストシーンだったり。
娑婆に巣食う獣(ケダモノ)共と戦う勇気を貰えます。


【声優 3.5点】
主演のこころ役には俳優・當真 あみさんをオーディションで選出。
7人の中でこころに近いサッカー少年・リオン役には北村 匠海さん。
アフレコ経験ありなし様々ですが、キャストは若手俳優中心の布陣。

“ちゃんとした声優”の濃厚なキャラ提供よりもナチュラルなボイス素材を求める
実写とアニメの中間志向にはよくある音響方針。

ですが、かと思えばウレシノ役には梶 裕貴さん。
ゲーム少年・マサムネ役にはベテラン・高山 みなみさん。
バリバリの声優起用もあり統一感はない気もw
ただキャスティングの方向性がバラバラなのも、
このキャラ設定、シナリオならアリかもしれません。

7人を孤城へ案内するオオカミさま役の芦田 愛菜さん。
この方のアフレコ作品も何本か観てますが、
同世代よりロリ幼女属性の方が圧倒的に上手い。
根っからの子役なのでしょうね。

こころのカウセリング担当の喜多嶋先生役には宮崎あおいさん。
セリフは心の痛みを包み込む繊細な言い回しなのに、
相変わらず淡々とした掴みどころのないボイスw
ただ、このキャラに関しては、あまり掴みどころがあり過ぎてもつまらないので、
これも、アリと言えばアリなのでしょうか。


【音楽 4.0点】
劇伴担当・富貴 晴美氏。
心情描写中心で外面は地味な本作。
繊細なピアノ~大仰な金管による心情曲で感情の起伏を捉えて山場に寄与。

ED主題歌は優里「メリーゴーランド」 
表層は、これアニメ関係あります?って感じの、トレンドを押さえた、すれ違い系ラブバラード。
ただ深層まで咀嚼してみると逢いたくても逢えない部分などから作品要素が滲み出てきて、強ち的外れでもない感じ。

まぁ、どうせこの曲も、世間にこの映画主題歌と認知しない人が多数いたとしても、またヒットするのでしょうねw
至る所で曲でネタバレ流されてもアレだから、作品シンクロ率はこれくらいでも良いのでしょうかw


【付記】
先読み簡単だよ?と吹かしながら未見の方に問題出して遊びたくて仕方がないしょーもない私w
一応レビューにヒントは散りばめたつもりなので、鑑賞後、しょーもないなと思ってみて下さいw

投稿 : 2024/04/20
♥ : 22
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

「テーマ」も「謎」とてもいいですが、なぜオオカミ?なぜルール?

 2回目を見られたので少し感想を整理します。以前のものもそのまま残しています。原作は既読です。

 まずこの作品の特徴として、映画館とパソコンで印象がかなり違います。映画館で見たときはかなり物語世界に入り込めました。が、パソコンで見た方がサラリとしたストーリーの印象でした。ですので、映画組とパソコン組だと評価が分かれるかなあ、という気がします。

 それともう1つ。自分が過去、この問題についてどれくらい関心があって、関連書籍を読んでいたか、考えたか、自分・身の回りで類似例があるか、で印象が変わる気がします。

 もちろん、アニメ作品ですからこんな単純な切り分け以外の評価の要素はあるでしょうが、この2点は実生活に近いテーマなだけに視聴環境による集中度合と、視聴サイドの蓄積で変わる映画=万人向けではない気がします。

 ですので、感想や評価が合わない人がいても、それがこの映画の特徴かなという気がしました。なお、2回目みて、1回目よりも理解が少し進んだ気がしたので、ちょっと評価点をあげています。3.9→4.2です。

 
で、内容です。

 いじめ、不登校というテーマをそれこそ真正面から取り扱ったのはとてもいいと思います。この点では、本当に優れていたと思います。

 決して頭がいいとも思われないグループの理屈で教室が支配される。その中心的な少女の教師への媚びと、面倒をさけクラスの自治を、カーストのトップグループに任せてしまう教師の事なかれ主義、エゴ。
 親の学校に行かないのは「おかしい」という思い込み。仮病ではく本当にどこかが痛くなる少年少女の身体と精神の密接な関係。そして、陰湿ないじめの実態。

 その一方で、どうやってその状況と向かい合うか、打破するかと言う提示もありました。特にまず子供の話を聞くということ、学校がすべてではないということ、学校の他のコミュニティーが十分に子どものコミュニケーションの場になること。

 全体としてこういうことが非常に丁寧に取り扱われており、個々の少年少女の状況も、いじめだけでなく、毒親、性的な虐待、仲間外れもリアルでした。



 やはり引っかかるのが、なぜかがみの孤城なのか?おおかみの意味は?その黒幕の思惑は?ルールはなぜ存在する?というところです。

 まあ、牽強付会なところはありますが、ちょっと考えたところです。ネタバレしないと語れないので隠します。

{netabare} 少年少女の救済の物語と、「狼と七ひきの子ヤギ」の内容です。「オオカミ」=「大人」に「騙されて食べられた子ヤギ」=「社会の犠牲になった子供」でしょうか。
「お母さんが帰って来て、狼から助けてくれる」=「カウンセラー、モノが分かっている大人、あるいは直接お母さん」

 ただ、この図式だと救済者はやはり大人だけになってしまいます。やはり自力救済としての、かがみの孤城の意味が必要になるのでしょう。

 そしてひっかかり、理解に苦しむのが、オオカミそれ自体は、本来は敵になる存在です。そしてルールの存在。

 ルールからはみ出した子供たちを、更にルールで縛ることの意味です。オオカミに食べられるという恐怖は必要か?なにより連帯責任だと不登校の子供にマイナスにならないか?そして、このルールと恐怖はかなり物語のおおきなポイントとなります。

 物語としてのルールの意味は病院の規則でそこしか面倒が見れないような意味があったり、学校に行っている時間と合わせている、という意味はありそうです。あるいは弟が日本の中学生と会える時間に設定したとよめなくはないです。

 が、そもそも病気の少女の弟が学校に行ってほしいという願いが、かがみの孤城を作ったとして、少女自身がおおかみに扮する意味がわかりません。まあ、ヒントが自分自身だよ、というオチことかもしれません。

 ですが、やはり、ルール+城主の少女と子供たちの救済の関係がよくわからないし、この童話の意味性が物語上のアイテムになっている気がします。
 まあ、普通ならそこはよく考えた話だね、でいいのかもしれませんが、そういうレベルの内容ではないので、すべてに意味性が付与されるべきだと思います。


 次に、かがみの意味です。鏡というのは、自分を映すもの。外部からの視点なのか、鏡に入る=内面に入るのか、あるいは両方の象徴なのか。

 孤城は子供だけの閉じたコミュニティは逃げ場である、ということでフリースクールとつながってくる感じです。そこに集まる子供たちはなぜ集められたのか、という意味においては納得なんですけど、孤城です。
 物語的な意味は、ある人物の関係者にまつわる話で、それは分かります。ですけど、少年少女の救済の場としての孤城ですね。


 この城内に自分の生活上で一番関心がありそうなことが設置された個室が与えられます。やはり自分自身という感じはします。自分のやりたいことを見付ける…なら、かがみと合わさって意味性はでてきます。

 ゲームにしても、恋愛マニアにしても、皆かなえたい願いを持っているということもあって、も、まあ、キャラ付けにはなっていますし、彼ららしさではあるんですけど…だったら、鏡というのはそれを見付ける話の方がふさわしい気もします。

 かがみ、そして、孤城。こちらは、物語の舞台としての、雰囲気作りはあるでしょうが、社会から孤立した場所で自分と他の同じ苦しみを背負っている人たちと話し合う場=フリースクールの意味なんだろうなあ、と思います。

 逆に言えば、あのフリースクールは「かがみの孤城でした」という事かもしれません。

 子供が自分のやりたい事、コミュニティが学校だけでない事を理解する、場所が「かがみの孤城」、大人は原因でもあり、助けてくれるパートナーでもある。それが「かがみの孤城」+「狼と七匹の子ヤギ」という意味性はおぼろげながら見えてくる気がします。

 映画館で見た第一印象でもそうでしたが、結局城主ヒロインのオオカミの仮面の意味、病気で死ぬという物語。かがみの孤城という場を提供した理由が弟を救う。そして、狼と七ひきの子ヤギのモチーフがが孤城の仕掛けになっている点で、テーマと物語が綺麗にかさなってこないなあ、という印象は残ります。
{/netabare}

 それと大学教授の娘。あの子の使い方はもったいなかった。結局重大なヒントもくれるし、救済にもなりますが、どちらも物語を回すだけの薄い存在になった気がします。


 で、総評ですが、面白いです。ダレもなく本当に面白い。テーマも深い。謎も面白い。キャラ造形も素晴らしい。作画もいいです。

 ただ、やっぱり、なんで城主は狼でルールがあのルール?そして、かがみの孤城の秘密が〇〇と重なるの?という違和感が邪魔をしてしまいます。

 言葉を変えると、この作品でモチーフ・アナロジーになっている童話は、このテーマを描くのに最適だらか?あるいはテーマやキャラ達の物語を深めるための作品だったか?
 このモチーフの童話は正直万人が知っているとも思えません。集められた子供たちの素性とも関係ないです。よって、仕掛けとしての機能の方が強い気がしました。別に邪魔になっているわけでもないんですけど、やはり城主とルールだけはちょっとノイズだった気がします。
 



以下 一回目のレビューです。


 本作は原作の辻村深月さんはミステリ出身ということもあり、内容に謎とき要素はあります。ファンタジー要素もありますが上手く使ってストーリーを構成していますし画面も良かったです。そして、さすが直木賞を取っただけあって文学的な雰囲気もあります。

 この作品がアニメとして作られたことは非常に頼もしいと思います。2016年の「君の名は」「聲の形」は決して文学的ではないですが、しかしこの両作品の存在がアニメでこういう文学的作品が作られる下地を作ったのでしょう。
 「ジョゼと虎と魚たち」「漁港の肉子ちゃん」を初め文学的なアニメ作品の流れで、本作が作成されたのはアニメファンとしては喜ばしい限りです。

 話自体もとても面白く、2時間はあっという間でした。ですが、正直言えば全体的に消化不良というか映画で描きたかったものが曖昧になっている気がします。

 本作で失敗があるとすれば、謎ときのストーリーとテーマ性が上手く融合していなかったことです。

 イジメというか不登校、親、学校の関係がリアルで、ストーリ-への落とこみやキャラ設定は良くできており、テーマ・メッセージとしては優れています。
 イジメというのは不条理で勝手です。そして教師はイジメのトップに立っている子…特に女の子の組織力を使ってクラスの自治をしようとします。いう事聞く子供がいい子だと思い込みます。
 相手の親と話しても無駄です。そのイジメの張本人と同じ考え方だからです。学校に行かなくれもいい。親が子供の言い分をまずは聞いてあげる。そして担任ではなく校長などと話す。最終的に解決しなければ逃げてもいい。好きな事をやっていればいい。学校など3年…あるいはクラスなど1年で終わる。そういう部分はちゃんと描いていました。

 その一方で、推理・謎解きというか仕掛けの部分については、考察しようと思えば半分くらいで謎が大体わかってくるし、フーダニットやホワイダニットの部分がカタルシスにもなります。そこに至る伏線も流れも設定も悪くはないです。

 ただこの2つの優れた要素である「テーマ」と「謎解き」が上手く融合していない気がしました。謎解きがテーマを補完するような関係ならいいのですが、テーマと謎解きのが上手く融合していないような、バラバラ感がありました。
 
 オオカミさんの正体と意味合いですね。肝心なそこの部分について悪く言えば感動ポルノどまりに感じられる気がするからです。要するにオオカミと7人の子どものアナロジーが、謎の設定とか仕掛け止まりになっていて、テーマを補完するものではない感じです。

 お城のルールの意味わからないですよね。特にルール違反の罰則が意味不明です。そのルールを守ることが7人の子供たちの救済の意味として何だったのかが不明です。 {netabare}不登校たちが集まれるようにという配慮はわかりますが、なぜ食べられる?
 あるいは守らないことが前提なんでしょうか?鍵は1人以外が食べられないと見つからない感じに描かれていました。{/netabare}オオカミさんにとってそのルールを設定する意味や大切さって何だったんでしょう?あるいは不登校の子たちにとってルールを守る意味など。要するにテーマである不登校とお城の謎の設定に乖離がある気がします。

 そしてそれに気が付いたきっかけの近所の女の子。彼女は逆にテーマ的な意味はわかりますが、{netabare} その彼女の家に飾ってあった絵が {/netabare}謎に絡んでくる意味です。そこのご都合主義展開が読み取れなくてポカーンとしてしまいます。

 そうなってくると、むしろオオカミさんの謎がノイズになって、不登校やいじめ問題のテーマ部分とどう重ねればいいのかがわからず、ちょっと頭が思考的になってしまい、文学として「考えるな感じろ」が無くなってしまいました。そしてテーマがある社会派の謎解きとしても、テーマと設定の分離があり、全体的に要素がバラバラな気がしました。

 画面はお城の床の反射のエフェクトがかなりすごいので、それは見どころです。逆にそれ以外はあんまり見どころはない感じです。色彩がどんどんカラフルになって行く気がしたのは、何かの演出家もしれません。
演出も良かったです。暗い部屋で食べる鳥そぼろと鮭と炒り卵の三色弁当を出すセンス。自分の気持、親の気持、少し幸せな時間から孤独な時間。いろんな感情が錯綜する感じが素晴らしかったです。

 総評すると、テーマとそのリアルさ、謎解きの面白さ、キャラ造形の水準の高さ、など非常に良くできた部分は沢山あり2時間退屈しませんでした。ただ「テーマ」「謎とき」が上手く絡んでおらず、要するに頭でっかちで「感じる」部分の文学性が不足して、下手をすればラストの方が感動ポルノに見えなくは無いです。特にエンドロールとおまけですね。ただ、キャラには感情的に乗れるのでカタルシスはありますけど。

 途中であまり盛り上がりはないです。作品の性質上それでいいと思いますが、そういうアニメが好きな人はつまらなく感じるかもしれません。

 ということで、もう1度見ようか原作読もうか迷いって、結局映画の帰りに原作買ってしまいました。読んで思うところあれば追記します。




追記 原作読み終わりました。

 映画化は良くできていた、という結論です。途中若干説明の細かさや構成の違いはありましたがほぼ映像化できていると言っていいでしょう。文字と画面の違いを考慮してうまくアニメ化できていたと思います。と言うか話の内容からいって、映像の方が見やすいしキャラが良く描けていたのでどちらかといえば映画がお勧めです。

 やはり初見レビューで上げた謎とテーマ・メッセージが合っていない感覚は、原作でも同じでした。舞台設定というか「鏡」「オオカミさまの正体の謎」「絵本」などのフレームが機能していない気がしました。

以下 映画の内容なので見る予定の方は気を付けてください。
{netabare} やはり色んな部分が「設定」というか「道具建て」でしかない印象でした。本来アナロジーやテーマ性、関連性などで物語を分厚くする部分が機能していないと思います。ということは推理小説の手法が裏目に出た感じが強いです。
「鏡」が何を表していたか?「オオカミと7匹のひつじ」を作品の舞台にした意味合いは?東条萌とミオ=オオカミ様のつながりは?ミオの学校に行きたいという気持ちがなぜイジメで学校にいけない子たちの救済になったのか?ルールを守ると食べられる意味は?

 特にやるべきだった話として、東条萌の考え方「自分は自分」というか「学校なんて大したことない」という考えが「オオカミと7匹のひつじ」の絵本を通してミオと共有されるべきだったと思います。
 また、喜多島=アキがミオという子のどんな気持ちを通じてイジメ・不登校の救済に立ち上がらせたのかが「病気」軸ではなく他の描き方は無かったのか。病気と不登校の意味はまったく違うのに無理にそこを重ねた感じです。
 そして、ルール破りが「記憶をなくす」という作用の為だけになっている気がします。

 つまり、東条萌、喜多島=アキ、ミオ=オオカミさまを大きく関連付けるものが「鏡」「オオカミと7匹のひつじ」というフレームになっている。そしてミオの悲劇が病気ではなくイジメ・不登校を乗り越える何かになっているという描き方ができれば、本当に説得力がある話になったと思います。{/netabare}

 テーマとメッセージの重さは受け取りました。こころちゃんの救済の物語は素晴らしかったです。ただ、重要キャラ3人が肝心なのにうまく機能していなかったと思います。
 若干評価下げます。ただ、映画として見た場合の満足度はまあまああると思います。

 なお、原作は分厚くて2分冊ですが、文字が大きくて文字数がそうでもないのでそんなに時間はかかりませんでした。つまり今回批判した部分は、本が読める小学生、中学生、読書の習慣がない高校生程度でも読める配慮で複雑にしなかった可能性があります。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 16

72.9 4 2023年冬(1月~3月)アニメランキング4位
「鬼滅の刃」上弦集結、そして刀鍛冶の里へ(アニメ映画)

2023年2月3日
★★★★☆ 3.9 (19)
169人が棚に入れました
第3期「刀鍛冶の里編」放送を前に、炭治郎や音柱・宇随天たちと上弦の陸・堕姫と妓夫太郎が激闘を繰り広げて話題を集めた「遊郭編」の第10、11話を劇場初上映。さらに、新たな任務地での霞柱・時透無一郎と恋柱・甘露寺蜜璃との出会いや、無限城に集められた上弦の鬼の姿を描く「刀鍛冶の里編」第1話が上映される。
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

国境や映像メディアを横断する野心的なアニメ化企画が継続中

引き続き原作未読。IMAXで鑑賞。

【物語 3.0点】
「遊郭編」の10話と最終回11話(1時間SP)+「刀鍛冶の里編」初回(1時間SP)

総じて凄く力の入ったTVアニメ上映企画。

TV放送と同じ構成でスクリーンで流す。
クレジット付OP&ED映像も、アイキャッチも、アバンの前回の振り返りもそのまま。
あくまでもファン向けの上映会。

冒頭、数分だけ、炭治郎たちのこれまでの足跡を振り返る映像は流れます。
ですが「遊郭編」10話に至るまでのいきさつは振り返らず、いきなり10話から始まるので、
忘れかけている方は復習しときましょうw


初披露となった「刀鍛冶の里編」第1話。
エピソードの初回というより、鬼舞辻無惨と産屋敷輝哉。
鬼VS鬼殺隊。対立するだけでなく相互に関わりが深い人と鬼もいる?
因縁を、上弦の鬼たちの人物相関や炭治郎の血筋の謎も絡めながら、
春の放送&配信開始に向けて、コンテンツを再加熱する感じの構成。


【作画 4.5点】
映像は上映用に4Kアップコンバート。
Dolby Cinema、IMAX、4Dなど各種規格にも対応し興行を展開。
豪華な映像体験をしたいファンの需要総取りを目指す。

実際、私も「遊郭編」吉原の激戦を極上の環境で再見したいという願望があり、
そこを満たしてくれただけで、上映料金に見合う劇場鑑賞でした。


『鬼滅の刃』“ワールドプレミア”最速上映企画も、
1期の1話~5話に続いて、「刀鍛冶の里」1話が2度目。
世界各国に眠るビジネスチャンスは根こそぎ拾うとの、
アニプレックスの野心を感じる企画です。

前提としてテレビと映画で同水準の作画を納品できるufotableの制作力が必須なのは言うまでもありません。


「刀鍛冶の里編」1話ではCGも交えて再現した鬼の本拠地“無限城”がお披露目。
「遊郭編」で吉原の街並みを再現した美術も手が込んでいましたが、無限城はそれ以上です。
余程その威厳を誇りたいのか、複雑に組まれた城の内装をアングルを変えながら何度も見せつけてきます。
(正直、ちょっと演出がクドいかもw)

あとは{netabare} 鬼殺隊の療養所で出た揚一番みたいな?せんべい{/netabare} がメッチャでかかったですw


【キャラ 4.0点】
“上弦集結本”を初週入場者特典として配布したとあって、
1回の上映で、上弦の鬼が勢ぞろいするレアリティが売り。
上弦揃い踏みは本企画が最後になるのでしょうか?
{netabare} 「遊郭編」で上弦の陸(ろく)もいなくなって、{/netabare}
無惨様も激おこパワハラモードですしw

鬼は感情など人間の要素を残しているほど弱いとの無惨様の論評。
確かに上弦の鬼も上に行くほど壺になったりと人の原型をなくしていく。
けれど最上位の壱や弐は外見上は人間に近いようにも見えます。
異形よりシンプルに見えるボスの方がかえって強いということなのか?
彼らの秘めた鬼の要素に戦慄したいものです。


鬼殺隊では恋柱・甘露寺蜜璃(かんろじみつり)
割りと優しいお姉さんなのかな?と思っていましたが、
{netabare} 鬼殺隊になった動機すら素敵な殿方への恋愛願望{/netabare} という濃いキャラクターを早速、発揮。
柱に常識人を求めるのはもう諦めようw

そんな変人だらけの鬼殺隊の事後処理を担当するのが隠(かくし)
今回は彼らの中から後藤さんが常識が通用しない隊への心境を吐露。
今後もコメディーリリーフとして登板を期待したいです。


【声優 4.0点】
ufotableの作画が強いので、それに押し負けない演技が求められる本シリーズ。
主要キャストが喉が千切れるくらい叫びまくる「遊郭編」決着のシーンでは、
特にこれは声帯を鍛え上げた声優以外には務まらないなと再認識させられます。

「刀鍛冶の里編」で参戦する鬼殺隊の恋柱・甘露寺蜜璃役の花澤 香菜さんも、
霞柱・時透無一郎役の河西 健吾さんも叫べる声優さん。
死力を尽くしたシャウトは飛び出すのか?期待したいです。
(ざーさんは初回から、既にトキメキ方面にシャウトしていますがw)


上弦の鬼では、上弦の伍・玉壺(ぎょっこ)役の鳥海 浩輔さん。
個人的に、無惨様らに対して情けなく、へりくだった言い回しはあまり印象にない方。しかも壺だしw
上弦の肆・半天狗役の古川 登志夫さんと共に、
ベテランの域に達した演技で、中間管理職の苦味を提供して頂きたいですw


刀鍛冶の里を仕切る長老・鉄地河原鉄珍(てっちかわらてっちん)の関西弁じみた言い回しが独特w
キャスト名はネタバレになるそうなのでヘンテコな天狗の面の下も含めて、
種明かしは春の楽しみにとっておきます。


【音楽 4.0点】
梶浦 由記氏&椎名 豪氏の劇伴を上映用にリミックスし、各種音響規格にも対応。

上述のキャスト陣のシャウトの応酬も劇場で最大化。
グズる須磨も口に石どころか岩石を詰めたくなる程の喧しさw

「刀鍛冶の里編」主題歌はMAN WITH A MISSION✕milet「絆ノ奇跡」
平成以降のデュエット曲は女性ボーカルに男性がキーを合わせる傾向が強く、男に厳しい構成。
狼さんも高音が苦しそうw
なぜデュエット曲なのか?も含めて噛み締めていきたい一曲です。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 18

gafa1234 さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

期待を裏切らない第3期!(過小評価しちゃダメ!)

期待通りの解像度の高いアクシャンバトル。
終盤に至るまでのボルテージの上がり方。
文句なしに感動の作品です。

「絵の力任せ」といった揚げ足取りする人いるけど、
最終話のスタッフロールをちゃんと見てください。
絵を描いてる人の人数、作画監督の人数、凄いです。

関わった人たちが、また名作を作ってくれるなら、
謝辞を述べるしかない!
きっとまた他の名作に携わってくれる、
優秀なアニメマンが出てくるはずです。

スタッフさんの汗水と苦労の「量」を想像したら、
間の抜けた完璧主義?批判なんてしちゃいけない!

ある時期の世界屈指とか狭い次元での評価はいけない。
芸術美学の視点においても、歴史に残せるシリーズ。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 2

計測不能 5 2023年冬(1月~3月)アニメランキング5位
名探偵コナン 灰原哀物語~黒鉄のミステリートレイン~(アニメ映画)

2023年1月6日
★★★★☆ 3.1 (9)
65人が棚に入れました
「名探偵コナン」シリーズにおけるもう1人のトリプルフェイス、灰原哀の過去に迫る特別総集編。2023年4月に公開される劇場版26作目『名探偵コナン 黒鉄の魚影』の鍵を握る灰原哀に関する「漆黒の特急」をはじめとした、黒ずくめの組織との関係やコナンとの出会い、姉との思い出などを描いたテレビシリーズのエピソードを、新規映像を交えて編集している。
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

2023年の劇場版『名探偵コナン』は灰原イヤー

今年の劇場版コナンは灰原さんが海でピンチらしい。
ということで、灰原さんの過去のピンチ等を、TVアニメシーズン22「漆黒の特急(ミステリートレイン)」編(701話~704話・2013年放送・視聴済)を中心に振り返る特別編集版。
商魂たくましい上映企画に、今春公開予定の新作映画の予習復習も兼ねて、
終着駅の名古屋駅近くの映画館に出向いて、まんまと乗ってみることにしました。

【物語 4.0点】
灰原哀及び“黒の組織”との関係のおさらい。

中核のミステリートレインのエピソード。
同列車のウリのミステリークイズを隠れ蓑にした殺人事件。
これだけなら、手の込んだトリックを仕込み過ぎて出した尻尾を、
コナン君がどう捉えるのか?今のがトリック解明のサインかな?
という視点で眺めれば、いつも通り気楽にミステリーを満喫できる。

ですが、今回の場合は、その殺人事件を隠れ蓑にした、黒の組織による灰原哀問題の処理。
コナンも車内という密閉空間にて、事件解決の手がかり発見時にサインを出すのはもちろん、
黒の組織内の灰原抹殺派&有効活用派との三つ巴の灰原争奪戦に使える手駒の確保についてもサインを出す。
さらには犯行予告を出した怪盗キッドまで蠢き出し、伏線&人物相関は複雑化。
これらをアガサ・クリスティーのオマージュも絡めながら繰り出して来るので、油断すると頭がパンク状態にw


ただ、蘭の空手も、コナン君の必殺シュートもない。
映画館で頭から知恵熱の蒸気を上げながらミステリーに挑むコナンもたまには良いものですね。


【作画 3.0点】
アニメーション制作・トムス・エンタテインメント

懐かしの灰原初登場回(129話)~704話まで放送期間10年以上の中から灰原をピックアップする冒頭。
デザイン変遷を振り返ると、永遠に事件に巻き込まれ続ける小学1年生と思われたコナンたちも、
少しずつですが着実に大人の顔立ちに近づいていると分かります。
あとはツンツンしていた灰原さんも少しずつデレて可愛くなってきていることもw
それと灰原さんは公共の乗り物の利用は控えた方が良いかなとも。

映像はTVアニメ版の解像度を向上させた程度なので、
劇場版クオリティという観点では特筆すべき部分はありません。


【キャラ 4.0点】
灰原哀({netabare}シェリー/宮野志保{/netabare})は“もうひとりのトリプルフェイス”というのは後年付け足された文句。
今エピソードの価値はそもそもの“トリプルフェイス”バーボンの正体が{netabare}安室透{/netabare}だと明らかになる点にもある。

コナン君(工藤新一)は言うに及ばず、この列車内外、複数の顔を持っている人間ばかりで嫌になりますw
事件後、現場及び周辺から多数の変装用マスクの残骸が発見されるシュールな光景が目に浮かびますw
適宜、各人が使い分けている顔を親切に解説してはくれますが、私も分かったような分からなかったようなw
このエピソードほど、蘭や園子、少年探偵団のみんなといった、推理には寄与しないけど、裏表のない人物たちがありがたいと思える話も珍しいです。

当初は“黒ずくめの組織”と称されていた“黒の組織”
そもそもシリーズ初期の段階で、組織の大目標などの基本設定を固めなかったのが痛恨。
不可解な行動は内部分裂のためと強行突破するためにキャラクターが複雑化。
畳めない大風呂敷と化した今エピソードTV放送が既に10年前。
そろそろ組織のビジョンくらいは知りたい所ですが、これこそシリーズ最大の難題かと(苦笑)


【声優 4.0点】
灰原哀役の林原 めぐみさん。特別編集版のご挨拶として冒頭ナレーションも担当。
コナン役の高山 みなみさんに茶々を入れられ照れながら口上する開幕前が一番の聞き所w

ミステリートレイン編では命の危険ばかりではなく、コナン君から感染した風邪にも苦しめられた灰原さん。
普段の高飛車とは違った弱々しいボイスも印象的。


列車が蛇の腹でどうのと黒くて痛いセリフを臆面もなく吐くジン役・堀 之紀さん.
ベルモット役・小山 茉美さん、バーボン役・古谷 徹さん。
車内を徘徊する謎の火傷の男に池田 秀一さんまでキャスティングし、
黒の組織はベテラン声優陣により重厚化し過ぎて、もはや手に負えませんw


【音楽 3.0点】
劇伴は大野 克夫氏によるお馴染みのBGM。
音源もオーケストラではなくTVアニメ版準拠でしょうか。

トリックに音も絡む内容なので劇場で聞き取りやすいのは助かります。

主題歌はなかったですが、どうせならミステリートレイン編放送当時のB'z「Q&A」でもアレンジして黒の組織の暗躍を煽ってみても良かったかも。


【感想】
コナン君を頭脳は大人の小学生にするためにこしらえた“黒の組織”設定も、
国家組織も巻き込んで随分、大仰なことになっているなw
十年前の視聴時抱いた感想は、今回の鑑賞でも変わりませんでした。
ですが灰原関連の整理には使えるエピソードだと再認識。

だからと言って映画館に足を運んでまでわざわざ……。
という方はTVアニメ701~704話。前振りのエピソードまでおさえたければ699話辺りから。
改めて灰原哀を振り返ってみてはいかがでしょうか。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 5
ネタバレ

なっぱ‪‪𖧷‪‪𓈒𓂂 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

ミラクルキュートなサイエンティスト可愛いwww

コナンくんの原作は読んでないけど
アニメは第24シーズンまで1から通して観ているので
この話は復習という感じでしたね!

本編に入っている作品なので
☆評価はALL3のままにしてあります。

最初の一人語りをコナンくんじゃなくて
哀ちゃんがしていることに感激しました♡!
{netabare}最後の決めゼリフにある「真実はいつもひとつ!」の
"真実は"と"いつもひとつ"の間に大きなスペースを
入れてる言い方がなんとも可愛らしい(*ˊᵕˋ*){/netabare}

列車の中に集まるキャストが大好き揃いのお話!

今日から公開のコナン映画も
GWに都合ついたら観に行く予定なので楽しみです♪

投稿 : 2024/04/20
♥ : 2

計測不能 5 2023年冬(1月~3月)アニメランキング5位
蒼穹のファフナー BEHIND THE LINE(アニメ映画)

2023年1月20日
★★★★★ 4.1 (5)
38人が棚に入れました
戦いを終え平穏を取り戻した竜宮島に皆城総士が帰還した。再び戦いの火蓋が切られるまでの束の間、再会を果たした総士と真壁一騎をはじめ竜宮島の人々の忘れがたい夏の日々を描く。

計測不能 5 2023年冬(1月~3月)アニメランキング5位
映画ドラえもん のび太と空の理想郷(アニメ映画)

2023年3月3日
★★★★☆ 3.8 (9)
31人が棚に入れました
空に謎の三日月型の島を見つけたのび太は「あれこそ僕が探していたユートピアだ!」と言い張り、ドラえもんたちと一緒にひみつ道具の飛行船『タイムツェッペリン』で、その島を探しに出かけることに!
色々な時代・場所を探してやっと見つけたその正体は、誰もがパーフェクトになれる夢のような楽園<パラダピア>だった!
そしてそこで出会ったのは、何もかも完璧なパーフェクトネコ型ロボット・ソーニャ。すっかり仲良くなったドラえもんたちとソーニャだったが、どうやらこの楽園には大きな秘密が隠されているようで...。
はたしてのび太たちは、その楽園の謎を解き明かすことができるのか!?
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

Nobita is a perfect “Barış”

【物語 4.0点】
脚本・古沢 良太氏

過去に一度、依頼を受けたが恐れ多いと辞退。
今回は氏が新しい活動に挑戦していく中で受諾。

古沢脚本は土壇場でリアリティを突き詰めるのか?
と思わせておいて感動やエンタメ性を重視する傾向。
その気楽さを許容できるか否かで、人を選ぶ部分があると感じます。

ただ最近の私はリアリストによる感動に水を差す批判に辟易していることもあってか、
大河ドラマ『どうする家康』、映画『THE LEGEND & BUTTERFLY』の両時代劇、そして本作と、古沢成分を大量摂取中。


内容は退屈な日常から旅立ったのび太たちが、子供たちだけの冒険を通じて、
当たり前の家族、友情のかけがえのなさを再認識する。
大長編の定番シナリオ。

古沢氏もまた、緻密に脚本を練り上げても、「どこでもドア」一発で密室シナリオを崩壊させる、ひみつ道具の驚異。
そのクセ、ひみつ道具を活躍させねば作品のアイデンティティが失われるジレンマに直面。
難題クリアのため、特殊バリア設定でドラえもんの能力を都合良く縛るなど苦心。

さらに序盤、ドラえもんが例の如く散らかった四次元ポケット整理のために、
使い古した道具を「四次元ゴミ袋」に収納するという形で「どこでもドア」等の難敵を封印。

私もこれは流石に苦しいwと思いましたが、この「四次元ゴミ袋」に伏線も仕込むことで、
古沢氏は脚本家としての意地を見せてくれました。
鑑賞者も、子供向けと高をくくらずに、序盤から違和感を伏線として感知する本気モードで挑みましょう。

『ドラえもん』は多くの児童にとって、対ロボット交流SF、タイムトラベル物の入り口にもなる。
古沢氏の『ドラえもん』に対するリスペクトは確かに伝わって来ました。


【作画 4.0点】
アニメーション制作・シンエイ動画

CGはサンジゲンが担当。
広義の浮遊島でもある巨大三日月型にカモフラージュした“理想郷”「パラダピア」、
プロペラ機によるフライトなどを好アシストし冒険心をくすぐる。

大空の理想郷を目指すための手段が、飛行船「タイムツェッペリン」というのもロマンがあります。
演出に当りスタッフは土浦ツェッペリンクラブを取材。
吸収した飛行船愛が、22世紀のセールスロボから奇特と評される、レトロな内観となって結実。


【キャラ 4.0点】
陳腐なくらいテンプレ化したメインキャラと理想郷の“パーフェクト小学生”像を上手く対比して、今を大切にするテーマを補強。

意地悪なスネ夫、乱暴なジャイアン、ちょっぴり強情なしずかちゃん。
そして何をやってもダメダメなのび太くん。腹にガラクタを溜め込むポンコツ・タヌキ……いやwネコ型ロボット・ドラえもん。

序盤に披露される、のび太たちの掛け合いは、劇場版?と苦笑する位いつもの『ドラえもん』
のび太をボコるジャイアンなども自主規制しない昭和ぶり。
ですが、この万人が共有できる、欠点も多いのび太たちの平凡さ。
いざ失われると不安になる鉄板メインキャラ像。
本作の場合はテーマを深掘りする武器になっていたと思います。

ジャイアンに、{netabare} 落ち着いてやればできる!とか激励されると調子が狂いまくりますw{/netabare}

それにしても、どう足掻いても組織に馴染まないのび太くん。
今回は{netabare} 落第ではなく、どんな洗脳にも染まらない純朴さが逞しく見えました。{/netabare}


【声優 4.0点】
“パーフェクトネコ型ロボット”ソーニャ。
ポンコツ属性も持つドラえもんと対を成し、AIと人間の関わり方についても示唆に富んだ会話を展開する。
終盤の感動シーンも牽引する。
最重要ゲストキャラを演じたのは声優初挑戦の永瀬 廉さん(King&Prince)

私は、近年のアニメ映画の俳優・タレントキャスト陣の中で、
意外とジャニーズはまずまず役をこなす印象を抱いていて、今回も同様。
{netabare} のび太&ドラえもんの仲睦まじい喧嘩を見て、心の底から笑った演技{/netabare} など中々のものでした。

何故だろう?とキャストコメント等を拝見していると、
永瀬さんも、やはり初アフレコは苦戦し、映像に声を全然合わせられなかったそうで。
ところが、そこを音響が上手く調整して仕上げてくれたとのこと。

なるほど、これならアフレコ成功率は低くても、素材となる声が一定以上のイケボで、一生懸命に声を出す人ならある程度フォローできると納得。
むしろ型が決まってしまっている“実力派俳優”の方がフォローし難い部分もあるのかもしれないと感じました。
ただ、それでも確率の高い声優の方が、制作は楽なのにとの見方は変わりませんがw


その他のゲストキャラ。
ハンナ役の水瀬いのりさん。マリンバ役の井上麻里奈さん。
“三賢者”役の三声優。
価値観を揺さぶる。マリンバに至っては容姿&声質不定w
重要かつ難役揃いでしたが、ここは頼りになる声優スキルで好対応。

ラスボスは{netabare} CV.中尾 隆聖さん。
アンパンマンをいじめ抜いては「バイバイキーン」と返り討ちに合い続けて来たマッドサイエンティスト役の経験値は伊達じゃない。
ある意味、“ダークのび太”も思わせる深さもカバーする盤石の演技でした。{/netabare}


【音楽 4.0点】
劇伴担当は大長編5作連投の服部 隆之氏。

得意のオーケストラで壮大な感動BGMからビヨヨ~ンととぼけるコメディ曲までカバーする安定感。
今回はギターサウンドやエレクトロミュージックも交えてフライトの高揚感も表現する引き出しの多さで魅せる。

ED主題歌はNiziU「Paradise」
シナリオ&テーマを歌詞で的確に捉えて総括する無難なタイアップ。
ここは戦略ポップスの最前線K-POPの一翼。ツマラナイくらい外しません。
意義深いのは映画『ドラえもん』の主題歌をついに21世紀生まれが歌ったこと。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 10

計測不能 5 2023年冬(1月~3月)アニメランキング5位
劇場総集編 SSSS.DYNAZENON(アニメ映画)

2023年3月10日
★★★★☆ 4.0 (5)
27人が棚に入れました
円谷プロダクション制作の特撮ドラマ「電光超人グリッドマン」を原作とするテレビアニメ「SSSS.GRIDMAN」に続いて制作された2021年放送のシリーズ第2弾「SSSS.DYNAZENON」の劇場総集編。テレビアニメ版で助監督を担当した宮島善博が監督を務め、本作特有の重厚な合体アクションと精緻な人間ドラマを際立たせて描く。

テナ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

なんとかビーム

劇場版、総集編でしたね。
物語についてはアニメの方で書いたので総集編としてのレビューになります。
総集編としては割と優秀かな?

もちろん、内容としてはアニメの方が断然がオススメですが、新規さんが見ても違和感がないので、総集編で見ても内容は解るかな?
お試しで見る分には十分なレベルで気に入ったら是非アニメで見てもらいたいです。

グリッドマンの総集編も見ましたが、ダイナゼノンの方が総集編としては解りやすいけど、グリッドマンの総集編の方が工夫はあったかな?と思います。

ただ、アニメ放送中の総集編挟まれた何話から何話の総集編と違い、こうした総集編映画って新規さんが見て内容が解るか、知ってる人が見ても楽しめるかの2点が大切だと思っていますので、その辺はクリアされてるかな?とも思いましたね。

その点で言えば始まりのシーンとラストのユニバースに繋がるエピソード……あぁ、ここがこうなるとかって感じましたね。
ここからあのシーンにと思うと笑っちゃいますwww

投稿 : 2024/04/20
♥ : 6

計測不能 5 2023年冬(1月~3月)アニメランキング5位
銀河英雄伝説 わが征くは星の大海 4Kリマスター(アニメ映画)

2022年12月30日
★★★★★ 4.4 (2)
20人が棚に入れました
刊行40周年を迎えた『銀河英雄伝説』は、累計発行部数1500万部を超える田中芳樹による傑作小説。銀河帝国軍のラインハルトと、自由惑星同盟軍のヤンという2人の英雄の対決を軸に、銀河の興亡を描く。40周年を記念し、アニメシリーズの全ての始まりとなった1988年公開『わが征くは星の大海』と、シリーズ屈指の傑作として名高い1993年公開『新たなる戦いの序曲(オーヴァチュア)』の劇場版2作品を35mmの原盤フィルムからスキャニングし、4Kリマスター版としてそれぞれ2週間限定で劇場公開する。

計測不能 5 2023年冬(1月~3月)アニメランキング5位
アイカツ! 10th STORY ~未来へのSTARWAY~(アニメ映画)

2023年1月20日
★★★★★ 4.8 (1)
20人が棚に入れました
アイドル活動に励む女の子たちの成長を描いた「アイカツ!」シリーズ10周年を記念して製作された劇場版アニメーション。
スターライト学園の高等部3年生であるいちご、あおい、蘭の3人は、目前に迫った卒業を意識し始めるようになっていた。学校を卒業しても彼女たちのアイドル活動は続くが、卒業は彼女たちにとって一つの分岐点であることに変わりはない。いちごたちはそれぞれ、これからどのような道に進みたいのかを考えることに。そして卒業ライブのステージで、彼女たちは思いの丈を伝えるのだった。

計測不能 5 2023年冬(1月~3月)アニメランキング5位
銀河英雄伝説 新たなる戦いの序曲(オーヴァチュア) 4Kリマスター(アニメ映画)

2023年1月13日
★★★★★ 4.3 (2)
14人が棚に入れました
年(2022年)、刊行40周年を迎えた『銀河英雄伝説』は、累計発行部数1500万部を超える田中芳樹による傑作小説。銀河帝国軍のラインハルト・フォン・ローエングラムと、自由惑星同盟軍のヤン・ウェンリーという2人の英雄の対決を軸に、銀河の興亡を描く。この小説を原作とする1988年から始まったアニメシリーズの長篇スペース・オペラ『銀河英雄伝説』は、全162話、長編3作品に及ぶ壮大な作品群で、OVAの先駆けとなった。本シリーズの総監督を『宇宙戦艦ヤマト』『超時空要塞マクロス』などを監督した石黒昇が務めたことから、2018年に始動した「ノイエ(DNT)版」こと『銀河英雄伝説 Die Neue These』シリーズと区別し「石黒版」と呼ばれ、今も新たなファンを取り込み、支持され続けている。
本作は、SFイラストレーターの巨匠・加藤直之(スタジオぬえ)による美しい宇宙戦艦、旧東ドイツ・シャルプラッテンによるクラシックの名演を使用した劇中音楽、個性豊かなキャラクターデザインなどにより、小説の世界観を余すことなく表現しているほか、豪華声優陣が、総勢約610名ものキャラクターを一人一役演じたことから “銀河【声優】伝説”という異名も。
4Kリマスターによって「銀河の歴史が、また1ページ」紡がれる。

計測不能 5 2023年冬(1月~3月)アニメランキング5位
妖怪ウォッチ♪ ジバニャンvsコマさんもんげー大決戦だニャン!(アニメ映画)

2023年1月13日
★★★★☆ 3.2 (1)
11人が棚に入れました
ある日、突然起きた不可解な出来事。ジバニャンの大好きなお菓子・チョコボーと、コマさんの大好きなソフトクリームが、なぜかこの世から次々と消え始めたのだ。一体なぜ!? そこに現れる謎の妖怪。「チョコボーとソフトクリームをこの世界に戻す方法、それはジバニャンとコマさんが戦うことだ」と告げる。そんな、2人が戦うなんて…!一方、フユニャンや、コマさんの妹で、スパイ活動をしているコマみは、この事件の裏で暗躍する妖怪がいることを突き止める。そこには、大いなる陰謀が隠されていた。さらに、妖魔界最強の存在・エンマ大王をめぐる前代未聞の危機まで明らかに!ジバニャンVSコマさんの行方は!?そして事件の黒幕とは!?

計測不能 5 2023年冬(1月~3月)アニメランキング5位
きかんしゃトーマス めざせ!夢のチャンピオンカップ(アニメ映画)

2023年3月10日
☆☆☆☆☆ 0.0 (0)
0人が棚に入れました
ソドー島を一周するレース大会“ソドーカップ”が開催間近となった。ソドーカップでは2台1組となり、4つのお届け物をしながらゴールを目指す。ソドーチームに選ばれたのは、ブレーキが苦手な超特急のカナと、あまり速く走ることができないトーマス。日本からケンジと共にやってきたヒロの言葉を胸に、トーマスとカナはチャンピオンを目指して猛特訓を始める。
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