たナか さんの感想・評価
4.4
オカルティック・シャーマニズム
ジャンプラ人気作×サイエンスSARU
もはや原作超えでは?原作ファンも歓喜かと
OP・よーわからん
ED・海外でも人気のずとまよのセンス爆発
01
今時アバンもCパートもやらない漢気
人気作らしいので原作初回も見たが構図もセリフもわりとそのまま。いわゆる「オタクとギャル」ではあるがご都合妄想ストゼロラノベのようなキモさが微塵もない。さすがジャンプラ。そうはならんやろ的な荒唐無稽な展開の「これどうすんの?」からのギリギリつながる伏線回収ロジックで繋いでいくので、これだけ出鱈目な流れでも「は?」とはならない話運び。すげえ。
導入でギャルの人物像を少ない手数でしっかり説明してるので出会いのシーンやその後の流れにも「こいつならこうするだろう」的に強引さや違和感も感じさせない。いつものラノベ的な都合のいい妄想装置感の嫌味もない。これだけデタラメなまんが時空なのに。すげえ。
これだけガサツで暴力的な描写をしてるギャルなのに不快ダーマンが沸かないのは、ぼっちチー牛の主人公にもまっすぐ対応する自分軸と誠実さを持ち合わせているばかりか、また規範社会の軋轢と戦ってきた歴史を持つ同志でもあるゆえ。ナイスタイミングな偶然の出会いとかお互いの回想自己開示とか「オタクとギャル」要素でやってることは全てどっかでみたテンプレでしかないが、大手商業作品ならではのロジックと説得力による品質の違いが滲み出る。それでいてしっかりちょいエロもいれてくるなどバズ狙いビジネスでも抜かりなし。やはりジャンプラの編集者は有能。綺麗にオチもつけたパーフェクトな初回。
原作漫画は卓越した省略技術により圧縮された情報量で畳み掛けるスピード感があり、アニメのあとに原作読んでもそれぞれのメディアの良さを感じられる。しかしなによりこのアニメ版はサイエンスSARUの絵作りがオリジナル作品かと思えるくらいにバッチリハマってる。並の会社が作ってもそれなりに面白いだろうが、原作のポテンシャルを最大限に引き出してて原作ファンも文句ないはず。ギャルのキレのある素晴らしいツッコミ芸がアニメの楽しさを感じさせると同時に彼女の輪郭をより明確に表現し、オタクくんも無駄にキョドるウジウジしたキモさもないのでとても見やすい。お互いのバックボーンも明確なので一本筋の通った人物像が初回で既に確立してて、どの立場からも解釈違いを生まないだろうわかりやすさも徹底。これこそ大手の商業クオリティ。
「オタクとギャル」のラブコメは一般人にはキモいだけ。狭い界隈でバズった要素と切り捨てずに売れ線要素は貪欲に取り込み、上手く異能バトル少年漫画に落とし込んだ技術には感服するほかない。どう見ても「オタクとギャル」なのだがご都合妄想ストゼロラノベとは全く違うので、陰キャぼっち作品に感情移入するにも後ろめたさはないはず。原作同様「トゥンク」で締めるラストカットはギャグでもありヒキでもあり展開でもある。いやはやすごい才能。これは売れるわ。納得。
高倉健の任侠劇は今だとただのクズにしか見えないだろうから現代劇を観ればいいと思う。