「機動戦士Vガンダム [ヴィクトリー](TVアニメ動画)」

総合得点
67.7
感想・評価
354
棚に入れた
1652
ランキング
2279
★★★★☆ 3.6 (354)
物語
3.6
作画
3.4
声優
3.6
音楽
3.7
キャラ
3.6

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ネタバレ

yoh123 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.5 作画 : 2.5 声優 : 3.0 音楽 : 3.5 キャラ : 2.5 状態:観終わった

夢は呪いだと誰かが言った

アニメのガンダムは構造が実にシンプルだ
視聴ターゲットの年齢が10代前半~中盤である事も大きい
故に敵を、特にメインキャラ周辺を、倒しまくるヤツほど主人公キャラに近い扱いになる
此の意味でウッソやカテジナは別格という事になる

にも拘らず此のVガンは人が死にまくり、其の描写に容赦がない
其れこそふとしたシーンでメインすら死ぬ、子供向けドンパチアニメには全く似つかわしくない
{netabare}
シュラク隊の面々は設定上殺される為に登場させたとしか思えない
序盤でギロチンに掛けられた爺さんの方が数段華々しい

さて、主人公ウッソの年齢の低い事もありVガンには、マーベットやジュンコをはじめ年上女性キャラが数多く登場する
そして敵味方を問わず主人公への愛の類の感情を抱き形を様々に受け入れるのだが、恐らく唯一の例外が裏主人公のカテジナ・ルースだろう

10代終盤の女が昔の自分を捨て己が花を開かせようと藻掻いている時に、10代序盤のガキが事ある毎に邪魔をしては、見え見えの恋慕や郷愁をして理想をかつての女自身だと押し付け喚くのだから、拒絶も嫌悪も当然だろう

しかも、カテジナは愛する男を見つけ其処に己が理想を見、巨大兵器を駆り人殺しをしてすら己が道を進むと心に決め歩いていると言うのにだ

実際、何かを欲するために他の全ての選択肢を捨て去り、其の先が誤りだろうが己が選んだ道を歩み続けるのは並大抵の事ではない
狂気をすら巻き付けなくては歩めない修羅の道の途上で、彼女は主人公から自分勝手な楔を打ち込まれ続けるのだ

しかも狂気が正気を裏返していく過程は、心に決めた男に見た理想は幻と気付き、憎む対象のウッソにこそ其の片鱗が見え、邂逅の度に其れが確実に露になっていくというものだ
エグイとしか言いようがない
どうして今になってと毒づく事すら彼女に出来たかどうか

ウッソもカテジナも、突き進む為には閃きも準備も打てる手段を打ちまくり死中に活を求めるタイプとして描かれ、二人とも下手をすると手段を選ばない
両者ともなまじ強いが故に生き残り、畢竟失うべくして失っていく
特にカテジナの方は何もかも失していき、最後は寄る辺の狂気も封じた懊悩も求めた開花も光も己すらも失い殻だけになる

対して主人公の方は、選択を嫌がり他を捨てる事を諦めずクソのような駄々を捏ねながら英雄への階段をしかし確実に昇って行き、失うものも多分にありながら、最後は大切なものも仲間も安寧も手に入れる

だが凡そ人は何かを選ぶ時、冷淡になる
何もかもを選べないと知るのは心の痛む事が多いが、いつか他を捨てなければならなくなる
そして多くの場合、人生で一番最初に己が意思絡みで以て冷淡になるのが10代終盤の事だ
ウッソとカテジナの彼我には元よりそういう絶対差があった

己を求める者ほど得てして間違いを踏み、なまじ強ければ歩みは止まず、其の強い矜持が呪いを受けても引き返すを認めない
やがて帰るべき所すら失うのだが、カテジナの場合実家のある時から既に寄る辺が無かった

ガンダムの製作者は救いようのない話をかつてよく作った
何が救われないと言って、呪われた人間はどうしたって赦されない
一方で約束された者達は確実に存在し勝ち抜けやがて正義となる

だからガンダムは幅広く人に好かれたのかも知れない
前者に思いを馳せながら後者にただ嬉々とするような器用者が多いとは思えないからだ
実際、巷間で主人公だけでなく裏主人公を俎上に載せる事が多いのはそういう事もあるのかも知れない
{/netabare}

投稿 : 2014/08/08
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