田中タイキック さんの感想・評価
4.0
物語 : 3.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
私ね、ゆゆ式が死ぬまで死なないよ
2013年4月~ TOKYO MX、BS11、AT-X他にて放送
全12話 原作未読
野々原ゆずこ、櫟井唯(いちい ゆい)、日向縁(ひなた ゆかり)の3人を中心とした日常系コメディ。
日常系ではあるが、その日常を彩るイベント事がほとんど存在しないのが印象的。
起こったことといえば夏にプールに行く回と、担任教師の家で鍋を囲む回くらい。
春だから桜を見に行こうとか、冬のクリスマスイベントも無し、文化祭は回想でスッ飛ばされる徹底っぷり。
ほとんどが3人による会話劇。公式の煽り文句は”新世代女子校生コミュニケーション”
グダグダと雑感
{netabare}3人は本当に仲良しさんです。最初から最後までずーっと。
劇的な出会いをしたわけでも、仲良くなるきっかけになるエピソードも存在しません。
よく言う「友達は作ろうとするのではなく、いつの間にかなっているもの」でもありません。
お互いがお互いの関係を良くするために自発的に努力し、その集積のうえで成り立っているコミュニティです。
だからこの3人のグループ内でしか発生しない共通認識、ルール、それぞれの役割というのがあって
ある種、仲良しでいるためのロールプレイを自覚的に行うことによって3人の関係性は大事に育まれています。
ロールプレイであっても決して友達ごっこでは無く、関係維持のためにキャラが無理をしている等の
ネガティブなイメージは一切なく、人間関係のリアリティと日常系としてのエンタメ感のバランスが非常にとれている作品。
そんでもって作画がめちゃくちゃ良い。
会話劇中心の話にそんなに作画のリソースいるの?と問われればイエスと答えます。日常系アニメこそ作画が命です。
なんて言っても、きょうび日常アニメで作画の悪い作品のほうが珍しいですが。
丁寧な作画芝居はキャラの細かな仕草を描き。ディティールの凝った背景や小物はキャラの性格を雄弁に語ります。
本作はそれらが高いレベルで安定してまとまっていた印象。
デフォルメの強いキャラデザでありながら、主要3人の動きが細かい。
靴の履き方、座り方、座った時足を組む、組まないであったり
話す時の手の動き、飲み物だってそれぞれ違って個性がある。
そんなの当たり前じゃねーかと思うかもしれませんが、基本会話しか無い作品だからこそ目に付きやすく
意識して見ると細かなところまで配慮の行き届いた日常作画は眺めているだけで楽しい。
特にファンの間で語り草になっている3話の自動販売機のシーンは後半の演出の寂寥感も相まってまさにレジェンド。
加えて体のパーツの見せ方が超フェティッシュ。
デフォルメ感の強い顔とは一見不釣り合いな感じもするスレンダーなモデル体型のキャラたち。
胸、尻、足、太もも、くびれ、膝裏、靴紐を解く仕草やスカートのなびき方にいたるまで
作画班こだわりのシーンだなって感じる場面がいくつもあります。
エロいというより何かドキドキしちゃう…///
主要3人もいいけど一番はやはりお母さん先生の尻だ・・・な!!!
{/netabare}
【総評】
作品構造上、他の日常系アニメと比べて「キャラを見守る」感覚、「作品世界に没入する」感覚が薄く
一歩引いた第三者目線で見る作品。悪い言い方をすれば「視聴者置いてけぼり」感があるので好みが分かれそうではあります。
その一方で人と人との付き合い方で当たり前にある距離間であったり
コミュニケーションのこだわりであったり、人間関係の機微であったりを
良き作画と実在感のあるキャラクターで語ってくれて面白かった。
日常のまったり癒やし系ではあるんだけど、細かい描写やキャラ心理を考えてしまう作品でした。