「楽園追放 -Expelled from Paradise-(アニメ映画)」

総合得点
76.1
感想・評価
886
棚に入れた
4646
ランキング
722
★★★★☆ 4.0 (886)
物語
3.9
作画
4.2
声優
4.0
音楽
3.8
キャラ
4.0

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けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7
物語 : 3.5 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

『敵は海賊』『00』『ガルガンティア』を経て描かれる精二&虚渕SFの集大成!2年待ちわびた日々の想いを全力で返そう、これがオイラの「(´▽`)ノ仁義(´▽`)シ」ってヤツですよ

事の始まりは2012年3月の東京国際アニメフェアでの第一報
東映アニメーションとニトロプラスがコラボして完全オリジナル劇場用アニメーションを制作するとのことで、監督は水島精二、脚本は虚渕玄、タイトルは『楽園追放』という情報だけが開示されました
それから実に2年間、少しずつ情報は解禁されたものの通常なら大規模な予告編や広告を打ったり、最近のアニメ業界の傾向を倣うならスピンオフ漫画を始めるとかメディアミックス展開を考えるとこ
ところがこの作品、2年の歳月の間に等身大フィギュアを発注したり、バルーンアートやペーパークラフトで劇中ロボットを作ったり、Live2Dで遊んだりとなんかよくわからんコラボの類でお茶を濁し続けるという態度を取りました
2013年9月に公開された公式PV第1弾も通信ノイズに乱れる音声と一瞬だけ映し出されるキャラクターという至極意味不明なものでした
そういった内容を秘密裏にするプロモーションのおかげでオイラの中では期待のハードルだけが日毎に競り上がっていき、他の人にとっては違うかもしれませんがオイラにとっては「2年待ちわびた作品」なのです


脚本の虚渕玄に声が掛かったのは2009年秋頃
東映で虚渕と聞くと『仮面ライダー鎧武』を思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれませんが、『鎧武』は『まどマギ』のヒットを受けて虚渕に声をかけたのに対し、今作はそのずっと前、虚渕が書いた神林長平のスピンオフが今作のプロデューサーの目に止まり起用という経緯だそうです


キャラクターデザイン、劇中ロボットデザインの斎藤将嗣はpixivで活動していた一介のアマチュアイラストレーターでしたがプロデューサーの目に止まり起用、というまさかのシンデレラストーリーを描いた新進気鋭の存在


キャスト陣には釘宮理恵、三木慎一郎、神谷浩史、林原めぐみ、高山みなみ、三石琴乃、古谷徹といったこれまでの水島精二監督作で活躍してきた名優が一同に会する豪華な顔ぶれに
(っていうーか『00』と『シャーマンキング』ですよね、これはw)
過去作を観ても、キャスティングには挑戦的な態度の精二監督ですが今作は円滑に仕事を進められるよう完全に好みで選択したそうな
まず釘宮、三木の二人だけが決定し、この二人だけで仮アテを行い、そこからさらに再キャスティング、本アフレコという劇場用作品ならではの時間の使い方をしてます
登場人物が少ない分、粒の揃った役者達の仕事ぶりが光ります
特に肉体と精神の年齢が相反しているアンジェラ役の釘宮の大人びた演技は必聴です


東映としては『パンダの大冒険』以来、実に40年ぶりの完全オリジナル劇場用作品ですが、実制作を担当したのは“グラフィニカ"という会社
そう、元『ブラスレイター』のスタッフで設立され、最近では『ガルパン』のCGでもお馴染みの“あの”グラフィニカ
今作は各所で「2Dアニメみたいな3DCG」が話題となっていますが日進月歩のCGの世界、しかも毎月のように2Dアニメに追い付け追い越せと躍起になって最新作が飛び出す中で今作はそんなに凄いのか?と疑問の方も多いはず
正直、今作のCGは各所で誤解されている点が2つあります


まず1つ目なんですが、今作は絵コンテが終わった段階で以降の作業の全てをフルデジタルで行っています
つまり紙と鉛筆で手描き、ってことは全くやってません
『ベルセルク』なんかがやってた2Dと3Dのハイブリットアニメーションではないってことです


次に2つ目ですが、この作品ではモーションキャプチャーを使ってません
これがグラフィニカが実制作に選ばれた理由らしいのですが、アクターの身体にセンサーを付けて大まかな動きを読み取る所謂モーションキャプチャーを用いず、アニメーターが手作業でキャラクターを動かす“手付け”という手法を用いています
これが2Dアニメっぽく観える秘訣らしいです
ちなみにモーションキャプチャーは『SPACE PIRATE CAPTAIN HARLOCK』とかで使われてますので興味ある方はチェックしてみて下さい


制作に時間を掛ける一方でサンジゲンから『蒼き鋼のアルペジオ』、ディズニーから『紙ひこうき』が公開されるなど、他社のCGアニメの後塵を拝すこととなった今作
後発であるが故のプレッシャーは相当なものだったでしょう
某『SHIROBAKO』で「CGは手描きに追い付けるのか?」「手描きは無くなってCGが全盛の時代が来るのか?」といった問い掛けがなされてましたが、最新の答えが今作だと思いますね
「彼らは絵は描けなくてもアニメ対する情熱は同じ」とはCGアニメーターを指した言葉
今作を観てあなたが感じ取ったこと、、、【それが日本のアニメ業界の未来】なんですよ


さて、肝心な内容なのですが・・・
【ぶっちゃけ感情に訴えかけるような作品ではありません】
監督やプロデューサーの要望で最初から暗い話にはするつもりは無かったよう
また、かなり濃ゅいハードSFであることが大前提なのですが「人の死なない、明るく前向きなSF」を目指したとのこと
『00』や『ガルガンティア』を経ている精二監督と虚渕にとっては集大成的な意味合いがありながらも、【SFに全く興味の無い人や真新しいものを求めている人は観なくてもいい】と思いますね、オイラは
(っていうか『トランセンデンス』と『インターステラー』も若干被ってるという偶然w)


お話はナノハザードという厄災によって荒廃の一手を辿るばかりの400年後の未来の地球
人類の98%はスペースコロニー“ディーヴァ”で電脳化されることによって幸福な生活を送っていた
しかし文明も廃れたはずの地球から、ディーヴァに向けて“フロンティアセッター”を名乗るクラッカーが現れ、その正体を追うディーヴァ保安局三等捜査官の“アンジェラ・バルザック”は調査の為に地球への降下を命じられる
電脳世界から初めて地上に降り立つアンジェラ、電脳化せず地上に残った数少ない人間にしてアンジェラに協力するエージェントのディンゴ、そしてフロンティアセッターの正体とは・・・?


人類への警鐘を鳴らそうとか、そーゆー説教くさい話ではありません
全編に渡ってアクションが続き、104分が至極短く感じる飽きが来ない作品になっていますが人がバカスカ死ぬという戦争映画でもありません
これはあくまでエンタメです
観どころはやはり、板野一郎直伝のサーカスですかねb
っていうかサーカスだらけw


しかしQBといいストライカー01といい、虚渕の書く敵対関係ってのどうしてこうも頭が堅いっていうか・・・w
まあ保安局の方々はメモリを得過ぎたせいで思考が飛躍してしまっており、そう言う意味では“人間”ではなくなっているのかもしれませんね
まあこの映画にも“悪”は存在しないんですが、それは観ていただければわかるはずですb


ああ、それとw
コックピットに地図貼り付けるのはめっさ“バイクあるある”ですよねwこれ

投稿 : 2014/11/27
閲覧 : 619
サンキュー:

35

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