「きらめき☆プロジェクト(OVA)」

総合得点
61.3
感想・評価
11
棚に入れた
50
ランキング
5342
★★★★☆ 3.5 (11)
物語
3.5
作画
3.7
声優
3.6
音楽
3.4
キャラ
3.7

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ネタバレ

Lovin さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

観た感じ

■概要{netabare}
 原作:スタジオ・ファンタジア

 監督:西島克彦
 シリーズ構成:山口宏
 キャラクタデザイン:菊地洋子
 制作:スタジオ・ファンタジア
 話数;全5話

 OP:「キミノハートニコイシテル」
     by 小枝

 ED:「SETSUNASAコミュニケーション」
     by 小枝
{/netabare}
■感想
 TV放送を視聴。熱い情熱と淡い友情の話

 正体不明のロボに突然の奇襲を受け、国内最強を誇る3体のロボで対抗するも、赤子の手を捻るように惨敗を喫し、誇りであるエンブレムを奪われてしまう。正体不明のロボは、その強さを誇示するかのように各国で集めたエンブレムコレクションに追加し去ってしまう。

 私にとってはスタジオ・ファンタジアだとハッキリ認識のある作品は、ストラトス・フォーしかない。この作品の原案は、そのストラトス・フォーの特典か何かでボンヤリと出来たイメージを形にしたものらしいが、それにしては思いの外出来が良いと思う。

 キャラデザはまずまず、奇抜だったり個性的ということは無く、好みの部類で悪くは無いと思う。作画は流石OVAと言えるが、背景に雑な部分も若干見受けられた。

□無機物に萌えたい場合の楽しみ方
 {netabare}主人公は一応、無類のロボ好きでロボを友達だと思っている皇女三姉妹の次女。彼女の作るロボはAI搭載のため自律行動型で何れも高性能だ。

 まずは常に主人公の傍らにいるリンクル。何か必要があると「リンクルクルクル~」の掛け声の下に、何かしらにトランスフォームする。次女が空を飛びたいと思えばリンクルフライヤー、海に潜りたいと思えばリンクルマリナー、地下に潜りたいと思えばリンクルモグラー、地上を行きたいと思えばリンクルローラー、果てはリンクルウォッシャーとして妹の体を綺麗にする。見たところ発言からは5歳児程度の知能と受け取れるが、スーパー翻訳機能を持つなど機能的には人間を凌駕している。知能が低いと映る理由は、「ですなの」という独特な語尾にもある。だが次女同様に純粋な性格であると理解できるため好感は持てる。
 リンクルが失敗をして長女と次女に笑われるシーンでは「何が可笑しいですなのか?!」と迫っていたが、私は「まずお前の日本語がおかしい」と突っ込んでしまった。

 リンクルの妹、としたのが本作で重要な位置に居る巨大ロボのジュネりん。このネーミングは姉であるリンクルによるもので、彼女らが居るジュネス王国と、自身の名前であるリンクルを2で割って足したものだ。ロリータ調の装甲に身を包んだジュネりんは、メルヘンな曲と共に登場する。そしてスキップをしたり、ペンギン手で歩いたり、しっかり下着も着用していて、風呂に入ったりと、女性らしさが強調されている。更に、基本的に表情は変わらないのに、慕ってくる子供達に対して手を振った際に小首を傾げるなど、恰も喜怒哀楽がわかるかのような演出もされている。

 大型ロボは、格好良くて男の浪漫が溢れるものでなければならない、という私の固定観念を砕いてくれたジュネりんや、一家に一台欲しい位のリンクルという無機物にも萌え要素が溢れており、その辺りを楽しむのもありだと思う。
 因みに公式サイトでの顔となっているリンクルは、無邪気にプリント物のパンツを丸出しにしていて、やはり5歳児と言わざるを得ない。そういうリンクルにもきっと需要はあるだろう。{/netabare}

□無機物に燃えたい場合の楽しみ方
 {netabare}一方、本作の冒頭で無双しているのが、某ロボメーカーが社運をかけて開発、を依頼した下請けのおっさん達が作ったロボだ。

 名前はビッグマイティ。所属不明機を装い、各地で道場破りを繰り返し無敗を誇った高性能ロボだ。その熱い戦い振りは、搭乗員を務める開発のおっさん達の、ロボに賭ける情熱が乗り移ったのではないかと疑う。

 しかし無双を続けるのも、ジュネりんの圧倒的なパフォーマンスの前に、第1話で終わりを告げる。後半はその代わりにでも無いのだが、民生ロボだったビッグマイティに代わり軍用ロボのザ・パーフェクトが登場する。軍用ということで、当然だが武装しており無双するのである。

 設計、デザイン、ネーミングセンスや必殺技はノスタルジックだが、其処には男の浪漫が溢れている。楽しむためには余り尺は無いが、ロボ同士の格闘を楽しむのも一つの手段だ。{/netabare}

□有機物に萌えたい場合の楽しみ方
 {netabare}この作品には、設定上の役割を背負っているキャラが登場する。

 第一に挙げたいのは、皇女三姉妹の長女に侍っている騎士団。数えては居ないが、王国の危機には何度となく立ち上り長女に出動命令を求めるが、「勿論あなた達にも期待していますよ」と発言した割りに、最終話まで一度たりとも命令を下していない。この騎士団は「やるやる詐欺」担当だ。

 第二には皇女三姉妹の三女を挙げておきたい。彼女は次女にパワードスーツを開発して貰い、それを使う日を常々狙っていたのではないかと取れる発言をしている。運良く(?)その機会に恵まれたが、ガス欠による敗退を余儀なくされている。そんな彼女の担当は「パンツ」だ。スカートが短く、たわわに実ってはいるものの、気品や色気には全く縁が無く、単純なパンツ担当に成り下がっている。

 第三には、次女をパンツ担当に追いやった美人秘書を挙げたい。彼女はザ・パーフェクトに搭乗したエリート本部長の秘書で、パイロットではない筈なのに操縦桿を握っている。そんな彼女は、役員を集めたプレゼンで資料を落として際どいシーンを演出したり、エリート本部長に揉みしだかれて喘いだりと、次女よりは余程エロさを強調された「エロ」担当だ。

 上記以外にも所謂「お約束」担当キャラは居り、毎度繰り返されるボケを楽しむのも悪くは無い。勿論それだけで最後まで視聴できるのかは判らないが。{/netabare}

□有機物に燃えたい場合の楽しみ方
 {netabare}韻を踏ませようとこの見出しにしたが、笑いたい方とするのが正確かもしれない。というのも、燃えているのは下請けのおっさん達なのだが、情熱を傾けたビッグマイティがとある少女のお友達であるジュネりんの前に惨敗してしまう滑稽さの紹介になるからだ。

 まずはファーストコンタクト。有人制御や外装デザインなど、ノスタルジックだとは言え各地で無双を展開してきたビッグマイティが、三姉妹の次女を右手で握り潰さんとする瞬間、神速で移動し右手首を切り落とすジュネりん。この時右腕のアクチュエータの修理をしていたおっさん達は、その移動速度に驚愕する。

 右腕の応急処置の後、ジュネりんに挑もうとするも、手がオイルで汚れたと言う理由で帰投しようとするジュネりん。ビッグマイティは果敢に追撃するも、ジュネりんのドラゴンボールばりの高速移動の前に触れることもままならない。意を決して、出力200%で突進するがまたも交わされてしまい、派手な転倒を喫してしまう。

 ジュネりんの帰投を見兼ねた長女が機甲部隊を投入。ビッグマイティにとって機甲部隊は敵ではなかったが、弾き飛ばした無人戦車の破片がジュネりんの頬を直撃、甲高く快い金属音が響く。これに怒った次女が「あいつをやっちゃえー」とビッグマイティの殲滅を指示。ジュネりんは振り返り、ビッグマイティに歩み寄った後に右腕を一閃、振りぬかれたハンドバッグ(?)がビッグマイティの胸部に直撃。最も強固な胸部装甲が大破したビッグマイティは、激しく回転しながら舞い上がり、やがて地面に叩きつけられる。

 ジュネりんとの戦闘で完膚なきまでに叩きのめされ、命からがら逃げ帰ったビッグマイティは、失った右手の変わりに必殺技を携えジュネりんとの再戦にい挑む。当然桁違いのスペックの差は生めることは出来ず窮地に陥り、必殺技であるロケットパンチでの攻撃を試みる。しかし受けたダメージが大きく発動しない。ようやく発射できたものの、ジュネりんの目前で失速、蟲を払い除けるが如く右手裏拳で叩き落とされる。

 一連のビッグマイティのジュネりんとの戦い、笑い所ではないのかもしれないが、おっさん達の夢と情熱と技術の結晶であるビッグマイティが、少女の”お友達”のジュネりんに軽くあしらわれる滑稽さは、ビッグマイティに関わるおっさん達の台詞によって加速される。

 「見た目とは全く違う、正真正銘の化け物だぜ」、「余裕で帰ってくぜ」、「衝撃に備えろー!」、「最後の最後に正真正銘の本物が出てきやがった」というおっさん達の台詞には、滲み出る悔しさと悲哀を感じるが、同時に”お友達”との歴然とした差を、より滑稽なものにしていると感じる。{/netabare}

 OPはキッズステーションのヘビーローテーションのお陰で忘れられないものとなっているので、正しい判断が出来るとは思えないが、割と癖になる曲だと思う。EDは若干切な目の曲だが、ロボに感情移入した後に見れば、違った感覚になるかもしれない。

 個人的には綴りたいことが溢れてきて、レビューとしては大作になってしまったが、この作品でもやはり感情移入できるか否かが評価の分岐点になると思う。感情移入してしまえば、地味に盛り込まれた課長島耕作のパロディなどにニンマリ出来るし楽しめるが、タイミングを逃すと乗り遅れてしまって楽しめなくなる。出来ればもう少し知名度が上がって欲しいので、プロジェクトXのようなドキュメンタリーが好きな方にはお奨めしたい。

■蛇足:{netabare}
 今現在、「きらめきプロジェクト」げググると九州大が期病院がヒットする。

 詳細は知らないが、スタジオファンタジアとの関連はないものと思われる。

 そして挿入曲の一つがPet Shop Boysの「Go West」に

 聞こえてしまう私の耳はどうかしている。

 (原曲はVillage Peopleらしい)
{/netabare}

投稿 : 2014/11/07
閲覧 : 335
サンキュー:

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