「AIR エアー(TVアニメ動画)」

総合得点
87.1
感想・評価
3343
棚に入れた
16517
ランキング
168
★★★★☆ 3.9 (3343)
物語
3.9
作画
3.7
声優
3.8
音楽
4.2
キャラ
3.7

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ネタバレ

蒼い星 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7
物語 : 2.0 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

CLANNADは人生という者がいるが、AIRとはなんだろう?

制作:京都アニメーション
2005年1月6日 - 3月31日に全12話が放映され、
8月28日と9月4日に特別編前後作が放送されたTVアニメ。

原作は、Keyが制作したアドベンチャーゲーム。(といっても選択肢は非常に少ないが)
監督は石原立也。

【概要/あらすじ】

太陽が眩しい海辺の田舎町に一人の旅人が辿り着いた。
男の名前は国崎往人。客観的に見れば住所不定・無職の青年ではあるが、
本人曰く芸をして稼いだ日銭で食べてるらしい。
「法術」という不思議な力で小さなものを操ることが出来、
それで古ぼけた人形を動かして披露しているのだが、それは凄いのだけど、
『芸としてつまらない!』『何の意味があるの?』
手や糸で操ったほうがマシなレベル。

空腹のあまり、堤防で寝ている往人に一人の少女が話しかけてきた。
彼女は神尾観鈴。(多分)高校生。見た目は年相応なのだが、
妙に子供っぽいというかズレている。間違いなく良い人には違いないが。
というか、観鈴は素直過ぎる性格で警戒心がなさすぎて危なっかしい。

往人はラーメンに釣られて、観鈴の家に付いて来てしまい、
友達のいない観鈴の話し相手になること。寝るときは納屋に行くこと。
母親の晴子の出した条件付きで、しばらくは観鈴の家に居候することになった。

往人は、観鈴と同じ学校に通っている遠野美凪、霧島佳乃らと出逢い、
夏の田舎町の日常をのんびりと謳歌しているように見えたのだが、
彼は先祖代々言い伝えられ母から聞かされている「翼の生えている少女」を探していて、
この田舎町で、不思議な出来事に遭遇する。それは、過酷な運命というべきものであった。

【感想】

西暦2000年に発売された原作ゲーム「AIR」は「CLANNAD」と並ぶ代表的な泣きゲーであり、
特に神尾観鈴は純粋無垢さと健気さで人気が高く、観鈴のテーマ曲「夏影」は名曲扱い。
シナリオは家族の繋がり、儚さと切なさのエッセンス。
物語の結末は思わぬ方向へと行き、全ての終わったあとは理解不能ながらも余韻を引きまくる。
当時にプレイした人たちにとっては間違いなくビッグタイトルであったには違いありません。

そして、5年後にアニメ化。京都アニメーションに作られたこの作品は、
キャラデザや色塗りが原作ゲームのイメージを全く損なわずに、当時としては作画クオリティが圧倒的。
2005年基準では「神アニメ」と呼ばれるに相応しいものだったと思います。
今観ても雰囲気は流石であり、京アニのブランド力を高めた映像作品として観る価値は存分にあります。

一方でシナリオはドラマを盛り上げるために悲劇を起こす携○小説や○流ドラマと似た系譜ですね。
難病、記憶喪失ネタ、昔の言い回しで言えば欠損家庭などの負を少女の細い肩に背負わせることで、
“可哀想”で“健気”な女の子の儚げな笑顔に、それを観るものは涙する。
ドラマを作るだけなら背負うのは男性キャラでも構わないはずですが、美少女のほうが同情を引きやすい。
まあこれは、ラノベとかでもよくあることなのでどうでも良いですが。

1クール全12話に収めるために展開がダイジェスト気味であり日常シーンが少なくなっているが為に、
アニメ版では、悲しいシーンばかりが目立つ印象があります。
日常シーンが感動シーンの繋ぎであり、泣くためのスパイスでしか無いような構成になっていますのが、
アニメ版でのシナリオ構成上の難点ですね。

敢えて悲劇を背負わすのは出自がゲームであることに起因しているのかも知れません。
RPGにありがちな、NPCが主人公を助けるために生命を散らす。
感動するポイントはココですよ!と言ったゲームイベントと同じロジックで作品のシナリオが作られているのですよね。
シナリオライターが泣かせスイッチを押したので、君たち泣いてください!みたいな?
京アニ固有の演出と作画で盛り上がるようになっていますので、見過ごされがちになっていますが。

感動ジャンルも多様化していまして、

『綺麗な花が咲いたよ』
『あの子と喧嘩したけど仲直りできたよ』

みたいな些細なことでも、脚本と演出次第で素晴らしくもなるのですが、
敢えて悲劇性を高めた泣かせの繰り返しが、この作品では妙にくどいと言いますか。
アダルト要素が壊滅的とはいえ元がアダルトゲームなために、こうすればエロくなるだろう!と同じロジックで、
ルーチンワーク的に露骨な泣かせ要素を盛り込みすぎですね。

ただ、私が好む生の喜びや人と人の繋がりの物語よりも、
感動させるためにイチイチ悲劇を絡ませる物憂げな衝撃展開を好む層も存在しますので、
そこは、好みの問題かも知れません。
『四月は君の嘘』にハマった人が観れば間違いなく名作に思えるアニメだとは思います。

このアニメの最大の意義は、ゲームの中身が質の高い映像で情感たっぷりに再現されたということであり、
ゲームをプレイした人たちへの最高のコレクターズアイテムであると思いました。


これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。

投稿 : 2017/10/15
閲覧 : 461
サンキュー:

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