「うる星やつら4 ラム・ザ・フォーエバー(アニメ映画)」

総合得点
66.1
感想・評価
48
棚に入れた
255
ランキング
2936
★★★★☆ 3.7 (48)
物語
3.4
作画
3.6
声優
3.9
音楽
3.5
キャラ
3.9

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ネタバレ

蒼い星 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4
物語 : 1.0 作画 : 4.0 声優 : 5.0 音楽 : 4.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

うる星ファンへの置き土産だったのかもしれない。

アニメーション制作:キティ・フィルム、スタジオディーン
1986年2月22日に公開された劇場版第四弾。
高橋留美子による漫画作品が原作です。
監督は、『リメンバー・マイ・ラブ』に続いて、やまざきかずお。
映画公開後に『うる星やつら』は最終回を迎えて、
同じ作者・同じ監督で『めぞん一刻』が始まります。

【概要/あらすじ】

四月の半ば、友引高校2年4組のクラスは一丸となって自主制作映画を作っていた。
主演は諸星あたる。ヒロイン役はラム。監督はメガネ。
脚本は、面堂家に伝わる「鬼姫伝説」を題材に面堂終太郎が書き下ろしたものである。
面堂家の守り神と言える、樹齢300年の“太郎桜”
老朽化が進み限界に来ているということで、一度伐り倒して接ぎ木をして二代目を育てるということになり、
映画のワンシーンの撮影で切り落としたのであったが、
斧を入れた途端に肋骨のような形状を残して泡となって消失してしまう。

その日を境として、四月というのに真夏日になったり雪が降ったりする。
地震が起きて地形が変化する。ラムの電撃と飛行能力が微弱になっていく。
ラムのことが皆の認識から消えつつある。

そう、世界は明らかに変貌しつつあり、異変に対して面堂やメガネたちは動き出すのだった。

【感想】

『ビューティフル・ドリーマー』を意識したのか、前作のラブストーリー路線に反して、
本格的な考察系アニメ映画を指向したのかもしれない作品です。

この映画を観る前に予備知識として、やまざきかずお監督による“ボクのうる星やつら理論”
を頭に入れておいたほうが良いですね。

やまざき監督によると、うる星ワールドとはラムが因果律の中心にあって、
ラムがいるから、あたるたちは永遠に高校二年生を繰り返して歳を取らない。
高所から落下しても死なない。怪我をしてもすぐに治るし、
町が物理的に崩壊しても翌日には元通りになっている。
友引町に宇宙人や幽霊や妖怪が寄ってきて摩訶不思議な現象が起こるそうです!

その説を知って、涼宮ハルヒが頭に浮かびました。
あれ?うる星やつらってそんな話でしたっけ?
高橋留美子は、そこまで考えて話を作ってないよ!と85年頃の監督さんに言ってあげたい気分。

映画のストーリーを要約すると友引町は、町そのものが付喪神みたいに意識があって、
前述の通りにラムがいるから世界がおかしくなってる!
ラムがいなくなれば、非常識が起こらない普通な世界に復元される。
世界に干渉してラムを排除にかかり、世界に異変が次々と起こった。
でも、友引町の住人は非常識な日常を続けたいから町の意識に逆らいだした。
意思表示で過激な行動を起こしたために町の意識のほうが折れて、
うる星の世界が帰ってきた。うる星ワールドよフォーエバー!

監督の脳内ストーリーが完成したものの、視聴者に解りやすく映像に翻訳する努力が足りてないというか?
映画の尺に収めるための要約作業に失敗して電波系の意味不明な映画になってしまったようです。

映画のストーリーの背景にある設定が説明不足だから、
何故、これが引き金になって、さらなる事態を引き起こしてしまうのか?
今、作中で起こっている事象のひとつひとつの因果関係が観ていて理解しにくいですね。
言い方を変えれば、超展開を繰り返す映画。

意味不明なシーンの多さ。気取ったモノローグ。謎に対する解答の説明不足。

1982年に公開された伝説の迷作邦画『幻の湖』がインスパイア元のために、
悪いところまで似てしまったのかもしれません。

いろんな考察を拝読したり何度も観たりしないと、
読解力と妄想力に優れている人じゃないと、初見では意味不明過ぎるストーリー展開です。
各登場人物もシナリオを構成するためのパーツな感じ、シナリオの隷属者。今風に言うならbot。
人が動いて物語が紡がれるというスタイルとは正反対。
台詞回しに芝居がかったものが多くて、舞台の演劇を観ている気分。

監督は、4年半の放映を支えてくれた、うる星ファンに対して、
『放送が終わっても、うる星は皆の心の中に生き続けるよ』
なメッセージ性のある映画を作ろうとしたのですが、
本来は絵描きや演出家として能力を発揮する人材であり、
オリジナルで物語を作るにはキャパが足りなかったみたい。
人に観てもらう作品作りとしては、客の目線からの視点が製作者側に足りていないがために
間違いなく失敗作であると断定できる映画でした。


これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。

【追伸】

校舎の上スレスレを掠める戦闘機を機関銃で撃墜するシーンが劇中にてあるのですが、よく考えたらおかしな話w
航空機の利点は地上から届かない上空から一方的に攻撃できる制空権にありますし、
屋根の上で戦う歩兵に接近する必要がない。戦闘機のスピードに生身の人間じゃ目が追いつかないですし!
まあ、真面目に軍事考証をするアニメではないですけどね!

投稿 : 2017/03/21
閲覧 : 591
サンキュー:

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