「らんま1/2(TVアニメ動画)」

総合得点
71.5
感想・評価
353
棚に入れた
2280
ランキング
1281
★★★★☆ 3.8 (353)
物語
3.7
作画
3.5
声優
4.0
音楽
3.6
キャラ
4.0

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ネタバレ

蒼い星 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3
物語 : 3.0 作画 : 3.5 声優 : 4.5 音楽 : 2.5 キャラ : 3.0 状態:観終わった

你好、乱馬!

アニメーション制作:スタジオディーン
1989年4月15日 - 9月16日に放映された全18話のTVアニメ。

原作は高橋留美子により、かつて週刊少年サンデーで連載されていたラブコメ漫画。
監督は、芝山努(実質的な監督は望月智充)

【概要/あらすじ】

東京都練馬区の住宅地に、今の住宅事情で考えるとなかなかに立派な和風の家がある。
そこの家主で無差別格闘流の道場主である天道早雲の娘には、かすみ・なびき・あかねの十代の三姉妹がいる。
天道道場には門下生の姿が見えず、家の者が勤めに出ている様子もなく、
どうやって生活しているのかは謎である。

そこへ、早雲と同じ師匠のもとで修行した兄弟弟子であり親友でもある、早乙女玄馬。
そして、玄馬の一人息子の早乙女乱馬が一緒に居候に来るという。

早雲と玄馬は、お互いの子供を結婚させるという約束を結んでいた。
だが、やってきたのはパンダとチャイナ服でお下げ髪の少女であった。
少女・乱馬と天道あかね。格闘家同士である二人は手合わせをする。
その後、少女が入浴して浴槽から出ようとした時、同じく入浴しようと裸で扉を開けた末娘のあかね。
そこには、お下げ髪で全裸の少年がいた。

早乙女乱馬は本来は男なのであるが、
呪泉郷の呪いで水を被ると女になり、お湯を被ると男に戻るという体質になっていたのだった。
父親の玄馬も同様の経緯でパンダに(以下略。
乱馬が女であることに落胆していた早雲であったが元が男なら問題ない!と強引になし崩し的に、
姉たちの意向もあって本人たちの意思を無視して乱馬とあかねの婚約が決まってしまう。

元から男嫌いな上に裸を見られた怒りで、あかねは乱馬を拒絶し、
あかねからの険悪な扱いが原因で、乱馬も好意的に接することが出来ない。
こうした状況から乱馬とあかねの同居生活、そして風林館高校での学園生活が始まる。
それは、血の気が多くドタバタとしたラブコメな日常なのであった。

【感想】

原作漫画は1987年から1996年まで連載された週刊少年サンデーの看板作品であり、
今から30年前に連載が始まったのですが当時はインターネットが無く、無料では手軽に情報が手に入らない時代。
2017年の現在は、例えば格闘技に関しても素人でもそれなりに知識を持っている時代。
中国が大陸や海で何をしているのか?なんてことも。ちょっと調べれば解ることでありまして、
それに比較して、元号が平成になりたての頃の子供なんて、

中国?パンダ?ニーハオ?中国拳法? あ…ジャッキー・チェン!←それは、香港!!

こういう認識の時代だったからこそ、成り立っていた作品なのかもしれません。
『らんま1/2』の中国は怪しげな拳法が跋扈していて、仙人や妖怪がいる国。

白人が妄想するニンジャ!ハラキリ!ゲイシャ!フジヤーマ!の国ニッポンみたいな幻想郷?

今回は、2期である熱闘編を含めると全部で161話と長丁場になってしまうので、1期の18回分だけを扱います。

さて、内容についてですが。
『うる星やつら』がオタクのもの、『めぞん一刻』が大人のもの。
となってしまった感があり、新連載にあたって客層を変えて小学校高学年から中学生の女子がターゲットかな。
スケベでお調子者の諸星あたると比較して、女性にツンツンしてる早乙女乱馬は敷居が低いですね。
無防備で裸体を見せまくる女乱馬も男子中学生を釣るには十分という計算もあったでしょうけど!

格闘ギャグ作品ですので!というか『うる星やつら』からの特徴なのですが、登場人物が喧嘩腰で暴力的。
戦闘能力を持ってる登場人物はいつも口喧嘩してて殴り合い。男と男。女と女なら対等の条件ですが、
男女となると、女は男を殴るけど男は女を殴れない。女に殴りかかってくる男はモブ雑魚ばかり。
妙にフェミがかっているといいますか、そこは作者のこだわり?

『女を殴る男なんてサイテー!』みたいな?
その割には女も男を怒らせる発言してますし、どっちもどっちですけどね。

殴って良いのは殴られる覚悟のある者だけだ!に賛同してる自分としては、女にだけ優しい世界だなと思ったり。
現実では男女の筋力差で理解できるものの、この作品世界では武道やってる女は、
一突きで空手家や相撲取りですら何メートルも突き飛ばして失神させるほど強いですよね。
それどころか、壁を破壊する怪力だったり、棘のついた武器で襲い掛かってくるのだから反撃しないと身が持たない。

恋愛に関しても、恋心の芽生えも許嫁や掟などの形から入ったり、ちょっと優しくされたらチョロく落ちたりで、
芽生えや育つまでの過程も乱雑で共感できるものはないですね。

そもそも、この作品に出てくる“好き”の多くが、
脳筋直情型で相手の都合はお構いなし。目的のためなら手段を選ばず。
乱馬とあかねが人並みの恋愛感情をちょこっと見せるだけで、それが若干マトモに思えるのですから。

ギャグで歯が折れても自然に治るという世界観の作品にマジ突っ込みミットモナイですか?そうかもしれませんね。

さて、このアニメは『うる星やつら』『めぞん一刻』とヒットアニメを立て続けに飛ばした、
高橋留美子が原作の作品として、放送時間は土曜日の19時30分。
当時は平成元年。テレビ番組の視聴率が高く、予算が潤沢で娯楽番組がたくさんあった時代。
土曜日のゴールデンタイムに放り込まれたということは勝利を望まれていたアニメには違いなかったかも知れません。
しかしながら、当時は読売ジャイアンツのナイター中継で視聴率が稼げていた時代でもありました。
数度の野球中継、美空ひばりが52歳で亡くなり追悼番組などなどで放送が次週に繰り越されることが当たり前。
アニメが放映されていた5ヶ月間で中止が5回。既に完成していた格闘ペアスケート編3回分のエピソードが削られ、
21回から僅か18回に短縮された放送分で、この時間帯から撤退することになります。

そして、金曜日の夕方5時30分。『らんま1/2 熱闘編』とタイトルを変えて低予算アニメとしての再スタート。
(格闘ペアスケート編は夕方に移動してから放送)

作画の質が低下したものの、この熱闘編で地道に人気を伸ばして3年間も続いてスタッフが報われたのですから、
アニメを作るのにも山あり谷ありですね。

さて、アニメの内容について適当に箇条書き。

・山口勝平、林原めぐみ、井上喜久子などの声優人生を語る上で欠かせない作品であり、声優陣が豪華。
・アニメ化前は乱馬のモデルになった前作キャラの藤波竜之介役の田中真弓ボイスがイメージされていたのですが、
 蓋を開けてみると男・乱馬の山口勝平と女・乱馬の林原めぐみで二人一役。髪の色を変えてまでキャラの差別化。
 男は男らしく、精神は男であるものの少女は少女らしく。
 中性的なキャラにするより男女で色分けしたのが女性人気を出すためには正解だったのかもね。
・西尾えつ子の主題歌と坂上香織のED曲もアイドルソング風で、うる星と比較して作品との親和性に欠けますね。
・森英治のシンセサイザーによるBGMがチープで盛り上がらない、ていうか尺稼ぎ感しかしない。
 ギターやピアノ、もしくは中国の楽器などの生楽器を使って欲しかったかも。
・ダジャレなどのギャグが全く面白くない上にワンシーンごとが長くてだれる。
・会話の間が長い。原作にない台詞が意味のない尺稼ぎにしか聴こえない。特に九能帯刀の祇園精舎の鐘の声。
・熱闘編では作画予算の削減が見て解るが、会話のテンポが小気味よくなってて面白くなってる。
・この作品を好きな人は、ギャグそのものよりもキャラ萌えなのではないか?
・特に乱馬が好き。もしくは、乱馬とあかねのカプリングを楽しんでるという人たちに支えられている。
・熱闘編も含めて何年もやってると、乱馬とあかねの会話の息がピッタリで面白いのだが、
 初期(あかねの髪が長い時期)はまだ二人の関係がギスギスしてる感じ。ので見ててイラッとする。
・やはり口喧嘩と暴力の応酬だらけで、人と人のコミュニケーションを重視する私には感性的には合わないかな?
・アニオリである第14話『骨盤占い! らんまは日本一のお嫁さん』で東風先生の老母を作っていますが、
 話のつまらなさに匙を投げました。一応は、いい話っぽく終わらせていますけど。

アニメは熱闘編を全部見てこその作品評価だとは思いますが、序盤に過ぎない無印版のみではご覧のとおりでした。


これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。

投稿 : 2017/10/05
閲覧 : 563
サンキュー:

39

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