Tnguc さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
【お気に入り】 良い意味でタグに困るオモシロ時代劇アニメ
~
今は亡きアニメ制作会社・マングローブの処女作にして代表作。広重東海道五十三次の浮世絵をアニメ化したような世界観に、性格が間反対な二人の剣豪・ムゲンとジンが、かしまし娘のフウに付き合わされる形で、愚痴を言いながらも一緒に旅をする日本縦断ロードムービー。ジャンルは一言では表せないが、コメディ要素溢れる時代劇アニメといった感じである。基本的に一話あるいは二話完結で、コメディ回を除いては旅の先々で出会う敵とチャンバラするのがメインであり、その中のスタイシッリュな殺陣は見どころの一つであるが、特出すべきは戦う相手の背景にあると思う。敵は大抵、同情してしまうほどに憐憫な境遇に置かれていて、中には手を血で染めた者もいるが、ムゲン達と巡り合うことで己の悪行に命を持ってケジメを付けようとする展開は、チルアウトなサウンド達と相まって哀愁を感じさせる。あくまでもムゲンとジンの単純な快進撃ではなく、不器用ながらに江戸の世を生きた者達(敵)の最後を死や別れによって救い、決してハッピーエンドではないものの無常なメッセージ性と共に情味的に描いている。30分前後でこれだけのドラマを作り出す力量は凄いと思う(とくに20話と21話)。三人組は必ずしも仲良しではなく、性格もバラバラなので団結力はない。隙あらば単独行動に移ったり、あるいは決別したりと、それぞれが勝手な物語を突き進んでいくが、いつも最終的には三人が一か所に収束するように構成されていて、これが毎度ながら巧い。時には異文化コメディ、時にはシリアス、時にはラップミュージック、時にはチャンバラといった、統一性のない構成を素直に受け入れこれらを両立させることが出来た背景には、江戸時代にも関わらず21世紀の文化がミクスチャーされた独特な世界観があってこそで、タイトルにある通り、舞台や物語、登場人物に至るまで、見事に「チャンプルー(ごちゃまぜ)」されているから凄いと思う。勿論、チャンプルーと銘打つくらいなので実に雑多な物語であり、統一感もあまりないので一概に時代劇とは言えないのかも知れないが、名作であることに間違いはないと思う。
個人的評価:★★★★☆(4.5点)