「蟲師 続章(後半エピソード)(TVアニメ動画)」

総合得点
71.1
感想・評価
411
棚に入れた
2365
ランキング
1375
★★★★☆ 4.0 (411)
物語
4.1
作画
4.1
声優
3.9
音楽
4.0
キャラ
3.9

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セレナーデ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

ため息が出る

こうも蟲師関連の作品にぽんぽん高得点をつけてしまうと、その度に評価の説得力がみるみるなくなってしまいそうですが、この点数です。

しょうがないじゃない。おもしろかったんだもの。観進めるのがもったいなく思うほどの、玉露のように味わい深い一話一話、ため息が出るんだもの。

相変わらず意味不明なまでの画の引きの強さ、アホみたいに巧い演出。この作品の映像が放つ誘引力たるや、格別のものがあります。BGMもナレーションも入ってないのに、樹木や枝葉の画をただ垂れ流しているだけの映像がまったく退屈に感じません。一体どういう仕組みなんでしょうか。

この独特の引きの強さは同監督作品の『惡の華』にも通じるものがありましたね。惡の華でも乾いた街並みや生徒の登下校の様子を流すだけの光景がなぜかまったくストレスになりませんでした。この監督の雰囲気作りはすごく好きですね。SEの使い方やEDの入り方なども含めマジで巧い。

で、脚本もやっぱりいい。

ストーリーはすごくシンプルだのに、構成のいかんでエンディングまで飽きさせないものとして繰り出してくれるストーリーテリングが個人的に魅力的。いつもそこに感心しながら観てました。その水準を一話一話キープし続けてくれた手腕に至っては感動的、面白いのに30分が妙に長く感じる感覚に至っては神秘的ですらあります。

内容としては、日本古来からある自然崇拝の価値観をごっそり拝借したキャラクター描写が印象的。

何気ない何かしらの現象に悩まされているところに、やにわに蟲なるわけのわからないファンタジーを突きつけられたにも関わらず、困惑するわけでもなく、葛藤を繰り広げるわけでもなく、主人公と衝突を起こすわけでもない。この作品世界のひとたちはみな「そういうことだったんですか」といともたやすく非現実的な現実を受け入れやがる。

このリアクションの描き方には、万物には霊魂が宿るという単純な考え方を持つ中世日本人特有の「群を抜いた宗教への関心の薄さ」というものがうまいこと反映されているように感じましたね。

加えて、そんな蟲師を「日本らしい」と評価する感想が少なくないところを見ると、日本人の宗教観のアイデンティティは、生の苦しみからの解放と死への恐怖からの救済を目的とする仏教ではなく、やはり自然への感謝の意と畏怖の念を尊重する神道に在所するのだなーという気もしました。

投稿 : 2015/01/12
閲覧 : 426
サンキュー:

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