「四月は君の嘘(TVアニメ動画)」

総合得点
91.6
感想・評価
5046
棚に入れた
20052
ランキング
29
★★★★★ 4.3 (5046)
物語
4.3
作画
4.3
声優
4.2
音楽
4.4
キャラ
4.2

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ネタバレ

フーカム さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 4.0 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 5.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

動き出せ!

発表会、面接、大会…
たくさんの人を前にあなたは緊張し、震え、不安や恐怖を感じたことはないだろうか?
人の心をつき動かすもの、それはスポーツ選手のスーパープレイや有名な画家の絵画のような素晴らしいものだけ?{netabare}…いや、たとえヘタクソであったとしても心を打つのだ

だから君はその瞬間までの "努力" をありったけな君を真摯に出せばいいんだ
{/netabare}
物語は譜面に忠実に弾く機械のような演奏からヒューマンメトロノームと称され有名だったピアニストが母の死をきっかけに一線から退いてしまうところから始まる
ある日、そんな彼の前に1人の少女が現れる
その出会が彼のモノクロだった世界を色付け輝かせ始める

全話見終わっての感想や考察
{netabare}
公生は小さな頃から武士、絵見、宮園に感動を与えるようなピアニストだったんだね
自分もあるアーティストに憧れてギター始めたけど、ふとそのときのことを思い出してしまいました

だけど公生はいつから五線譜の檻に閉じ込められてしまったのだろう?
それはお母さんのために"早く治ってほしい"、"元気になってほしい"と自分の気持ちを込めた演奏がミスだと全否定されてしまったときだろう
そしてその怒りや悲しみから

     「お前なんか死んじゃえばいいんだ」

これが母さんとの最後の言葉となるとも知らずに…
それからの公生は "弾く理由" を無くし母さんへの償いの気持ちから数々のコンクールに出場し、ただひたすらに譜面をなぞるだけの演奏家になってしまった…
 しかし勘違いしないで欲しい
最初はお母さんも気持ちを乗せた演奏を教えていたのだ
それで宮園や絵見を演奏家の道へと引き込んだのだから
お母さんは母親として公生を心配し、一人前のピアニストとして自立できるコンクールに勝てる演奏を残された時間(命)の中で出来る限り叩き込みたいと焦ってしまっただけで、公生のその言葉を聞いたとき自分の過ちに気付いたはずなのだ
だが直後に亡くなってしまったため伝えることはできなかった…
公生が罰だと思っていた譜面が見えなくなり音が聞こえなくなる現象
これは罰なんかではなくお母さんが公生に気持ちで弾く演奏をして欲しいと願い送ったギフトなのだろう
情景描写として気持ちを込めた演奏ができた公生に微笑むお母さんの姿が見えたのがその証だ

しかし絵見や宮園は昔の公生が人前でする初めての演奏、、、カラフルに色づく風景に魅了されたのだろうけど、
武士はもう少し後のヒューマンメトロノームと化した公生の譜面に正確で超合金のような演奏に憧れたんだろうね

いつかの話で絵見は

 "あいつは変わった"  "戻ってこい" "武士は本当の有馬を知らない"

といっていた
武士は

 "ヒーローは超合金で負けない" "コロコロ弾き方変えてあんなめちゃくちゃな演奏しやがって"
  
と言っていたことからもそれぞれが見つめる公生は違っていて
そして確実に公生は変わったんだと思った

私が特に好きなのは19話
動けなくなっていく自分に絶望していた宮園が公生の学園祭での演奏を聴いて奮起し、リハビリを始める

 母 「有馬くんのおかげだわ、諦めてなげやりだった かをり がまた歩き出した。一歩一歩踏みしめて」
公生 「僕は何もしてません」
 父 「うん、そうだね。有馬くんはただ一生懸命だっただけだね。
              その一生懸命な姿が かをり の胸を打ったんだ」

精神的に動けなかった有馬が逆に肉体的に動けなくなってしまった宮園の手を引っぱっていく

音楽コンクールにおける優勝へのファインプレーはきっと譜面に忠実に弾き切ることなのだろう
そしてそれ以外の要素は蛇足になってしまうかもしれない…
けれど公生は苦しみ悩み一生懸命に努力した
"弾く理由"のために努力してそれを出し切ってありったけな自分を出し切って
"想いを届ける"ために努力したんだ
それはヘタクソでめちゃくちゃなのかもしれない…
でも人の心を打つのだ
そしてモーツァルトやベートーヴェンではない自分(自分の人生)を見つけたんだ。一般的で公衆的な公の生ではない自分の人生を
{netabare}
*ヘタクソなものでも響くというのは公生が眠っている かをり に向けて弾いたショパンの録音を夜の学校で二人きりで聴いているときに かをり が目をつぶり "ヘタクソ" と優しく囁くシーンが象徴する
{/netabare}
そんな公生の演奏に心を打たれた人物としてもう一人が相座武士
「物は音楽で語らねぇとな」と言って舞台に上がり演奏を始め回想するシーン

武士 「なんで分かんなかったのかな?
      お前を一番理解しているのは俺だと思ってた…
              だが、2年ぶりに会ったお前は…」

公生 「僕らはまだ旅の途上にいる」

絵美 「きっと見つけたんだよ、"弾く理由"を」

公生 「不細工な演奏だったとしたら、それが今のありったけの僕だ」

武士 「今なら何となくわかる。いつだってそうだった。
     世界を広げてくれたのはお前だ…お前は俺の理想以上の姿で現れたんだ。
       俺の求める風景とお前の見たかった風景は違ったんだな…」

演奏終了後
武士 「伝わったのかな?俺は音楽で届けられたのかな?
      お前らみたいに…じゃあな俺の蜃気楼今までサンキューな」

ここで武士も何かを追いかける存在でなく自分と見つめ合うことができるようになったのだと感じた

この回はこの作品で一番伝えたかったものがつめられてたんじゃないかなぁとおもった

そして最終回でタイトルの嘘の内容がついに分かりましたね
作中の言葉を使うなら "そうやって美しい嘘が生まれる" のだろう
ていうか予想はしてたけどねw
終始 かをり ちゃんのことは 君 としか呼ばなかったね
逆に かをり も公生のことは 君 としか呼ばなかったけど
本当に好きな人には照れくさくて名前で呼べないのかな?
でも最後くらい名前で呼んであげてほしかったな
      
      タイトル「四月は君の嘘」

ここにはまだこんな言葉が続くんじゃないかな?

   「四月は君の嘘を思い出す」

かをりちゃんは忘れられることなくこれからも公生の中で生き続けているのだと思う
{netabare}
最後に個人的な疑問
・1話でかをりが泣いていた理由
理由というか感情がイマイチわからない

・渡は椿が好きだった?
1クール目のOP映像で
かをり を後ろから見つめる公生 公生 → かをり
公生 を後ろから見つめる椿   椿 → 公生
 椿  を後ろから見つめる渡   渡 → 椿
 渡  誰もいない 渡 → 椿 → 公生 → かをり

・14話の公生の発言「二回目だ。君が僕の名前を呼んだの」の意味

わかる人教えて!!
{/netabare}
{/netabare}
青春ラブコメや心動かされる話が好きな人にオススメ
【さくら荘のペットな彼女】が好きな人なんかにはいいのかも

見ていると雰囲気に呑まれ、私も負けてられないなって気持ちになりました

とにかく主題歌や情景描写が素晴らしい作品なので注目して欲しい

投稿 : 2015/09/05
閲覧 : 549
サンキュー:

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