「言の葉の庭(アニメ映画)」

総合得点
85.7
感想・評価
1991
棚に入れた
9492
ランキング
218
★★★★★ 4.1 (1991)
物語
3.9
作画
4.6
声優
4.0
音楽
4.0
キャラ
3.8

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ネタバレ

フーカム さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 4.0 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

雨降って地固まる

ちょっと変わった青春時代のラブストーリー

私だけかもしれませんが最初見たときはそれぞれの感情だったり言葉の意味がイマイチわからなかったんですけどだんだんと分かってくるそんなお話でした

特に水たまりの波紋の作画はすごくキレイで現実のものをみるようでした
これだけでも見る価値あるんじゃないかぁって思いますw

不意な出会い
皆さんは経験したことあるでしょうか?
それが恋愛であるかどうかは別として
たまたま偶然の出会いや繋がりってあると思います

 旅先での出会い…
  通っている図書館での出会い…
    通勤通学時の出会い…

なぜか知り合いとなり、相手のことをあまり知らないけども知りたいと思う
そんなロマンチックでなんとなく懐かしさを刺激されるそんな物語

ここからは考察や感想(書き忘れたことがあったので少し追記更新)
{netabare}
 この物語の楽しむポイントは二人の距離感ですね
距離といっても色々あって

 "位置的" "社会的" "恋愛的"

などこれらの距離の変化を楽しむことが物語を楽しむ上で重要になってくるのでしょう


 靴職人という少し変わった現実味のない夢を持ったタカオは自分の気持ちは理解されないだろうとあまりこの夢のことを話さない少年だった

しかし朝からビールとチョコという変な組み合わせで飲食するユキノを見て引いてしまった際に言われた言葉

 「今ヤバイ女だと思ったでしょ?
   "どうせ人間なんてみんなちょっとずつおかしいんだから"」

この言葉はそのときの少年には強く響いたのでしょう
だから初めて他人に自分の夢を話したんだと思いました




 そして最初の出会いからの二人の位置的距離感は恋愛的距離感と比例して近づいていきます

ユキノは相も変わらず定位置に座っているのですが段々とタカオは距離をつめていきます

その1つが多く作り過ぎた弁当
2つ目が誰のか決めてないけど作っているという女性の靴

そしてついに足にタッチ!!ww

ここが実質的にはゴールだったのでしょう




 梅雨は明けユキノが古典教師であったことやその背景が判明し、お互いの関係が明らかとなってから初めての庭園での再開

ユキノが自分が古典教師であることとタカオへの気持ちをコッソリ伝えようと送った短歌

"雷神の 少し響みて(とよみて) さし曇り 雨も降らぬか 君を留めむ"

これに対する返し歌

"雷神(なるかみ)の 少し響みて 降らずとも 我は留らむ 妹し留めば"

タカオが答えます

 すると突然の夕立が襲いびしょ濡れな二人はユキノの家へ
そこでタカオはユキノに告白をします…が
教師と生徒、年齢差といった社会的な距離や引っ越しという位置的距離がユキノの本当の気持ちを隠してしまいタカオを遠ざけてしまいます

 そして失恋したタカオは帰ると言いだし部屋を出ていってしまう…
ユキノは茫然としますが、タカオとの思い出がフラッシュバックし本当の気持ちに気づき裸足で追いかけて行きます

追いついたときのタカオの台詞

「さっきのは忘れてください
 俺やっぱりあなたのこと嫌いです
 最初からあなたは…嫌な人でした
 朝っぱらからビール飲んで訳の分かんない短歌なんか吹っかけてきて
 自分のことは話さない癖に自分のことばっか聞きだして
 俺の事生徒だって知ってたんですよね?汚いですよそんなのって
 あんたが教師だって知ってたら俺は靴のことだなんてしゃべらなかった
 どうせ出来っこない叶いっこないって思われるから
 どうしてあんたはそう言わなかったんですか?
 子どもの言うことだ、適当に付き合えばいいって思ってた
 俺が何かに誰かに憧れたってそんなの届きっこない叶う訳ないって
 あんたは最初から分かってたんだ
 だったらちゃんと言ってくれよ邪魔だって
 ガキは学校に行けって俺の事嫌いだってあんたは…
 あんたは一生ずっとそうやって大事なことは絶対言わないで
 自分は関係ないって顔してずっと1人で生きてくんだ!!     」

 これは夢であったり自分のことばかり聞きだして先生であることなどは隠しているユキノに向けられているように聞こえますが、実際のところは自分の告白に対して先生だの引っ越しだの理由ばかり言い、本当の気持ちを伝えてくれないユキノに対して向けられた言葉なのだと思いました   
 さらに言うと夢の事を誰にも話さず一人抱え込み寂しく生きてきた自分自身にも向けられていた言葉なのでは?と感じました

そして抱きつきユキノが
「あの場所であたしあなたに救われてたの」
と返します


タカオのセリフにも
 「歩く練習をしていたのはきっと俺も同じだと思う」
とあるようにタカオもあの庭園で救われていたのだと思います
だからこの物語は監督の言うとおり
一人が寂しいと思う二人の

   "愛ではなく孤悲(こい)"

      の物語なのだと


このとき私の脳内ではこんな短歌が詠われていましたw


タカオ  "夕立で 進めぬ道に 留まれば 靴ともなりて 共に歩まむ"


ユキノ  "歩きたし 靴無くともと 思へども 真違ひて 君を求めむ"



抜群のタイミングで流れるED「Rain」は私の瞼を今にも泣き出しそうな曇り空へと誘いました

最後に作っていた靴に楓があしらわれていたのは、もちろん庭園に楓が咲いていたこともありますが
タイトル「言の葉の庭」というくらいなのだから楓の花言葉には何か意味があるんだろうなぁと調べてみたところ

 "大切な思い出" "約束"

だそうな

遠くへ歩き出したタカオがユキノとの距離を詰めるのは時間の問題でしょうね(*^_^*)
{/netabare}

投稿 : 2016/06/23
閲覧 : 558
サンキュー:

37

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