「放浪息子(TVアニメ動画)」

総合得点
70.2
感想・評価
659
棚に入れた
3566
ランキング
1572
★★★★☆ 3.7 (659)
物語
3.8
作画
3.8
声優
3.5
音楽
3.6
キャラ
3.7

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ネタバレ

たこやきトンママン さんの感想・評価

★★★★★ 4.9
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 4.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

これをキワモノアニメとして敬遠したら人生損するくらいカッコイイ

最高に面白いアニメだった。今まで観ていなかったのが悔やまれるレベル。
一生の宝ものの一つにしたい。

●少年・少女の強い生き様がカッコイイ
女の子になりたい少年・ニトリ君は、最初部屋で密かに女装している。
両親にはバレていないものの、姉はそれを「気持ち悪い」と罵る。
小学校時代には、そのことがクラスメイトにバレ、虐めに遭ってきた。
そんな、ともすれば心が崩壊してしまいそうな環境でも、
彼には自分を貫く強さがある。
物腰柔らかで消えてしまいそうな雰囲気の少年なのに、とても強い。
それがとてもカッコイイ。

一方の、男の子になりたい高槻さんは、
ニトリ君よりもウジウジ考えがちな弱い存在。
それが共感でき、たまらなくカワイイのでもある!
友人からの言葉で気付きを得るのだが、そのセリフがとても印象的。
「今の高槻さんは、
女の子であることから逃げようとしていてカッコ悪い。
昔の高槻さんはカッコ良かった」
と。

ニトリ君も高槻さんも、やがて、【別の性になること】ではなく、
{netabare}【自分らしく生きること】を選択していく。
声変わり、ニキビ、生理、胸のふくらみなど、
中学生になって経験する身体の変化。
それを目の当たりにしながら、自分の生き方を
選びとっていく2人の姿は本当にカッコイイのだ。
そして、ニトリ君は流れ星に願う。
「声変わりしないでください、女の子にしてください、
じゃなくて。
僕は。」
これだ。このカッコイイセリフに、TVの前で悶えていた。
{/netabare}

このアニメは、異性装者とかトランスジェンダーとか、
一見キワモノ的なテーマを扱うものだが、
彼等の生き様には、誰がみてもカッコイイと思える普遍性が潜んでいる。
表層的なテーマだけで語られる作品ではないのだと思う。


●2人を取り巻く友人たちの温かさ
ニトリ君を受け入れ、応援してくれる親友・マコちゃん。
彼も記号的ではなく、嫉妬していたことを告白したりする人間らしさをもつ。
ニトリ君が具合悪そうなシーンで、
自分のカバンを掲げて日陰を作ってあげるという可愛らしさを発揮する。
彼の女子力は相当なものだ。
ちなみに、漫画原作の方では、マコちゃんがもっともっと魅力的になっている!

ニトリ君に内省のきっかけを与えた、元イジメっ子・土居くん。
彼は、一目惚れしたユキさんが男であったことに衝撃を受けつつも、
性とは何か、生き方の多様性とは何か、自分なりに消化していく。
やがてニトリ君に理解を示し作劇の手伝いをしたりする。
でも不器用。ニトリ君から「嫌い」と正直に言われ、ちょっとイラッとしたり。
こういうヤツいたな~という感じ。

そして、彼・彼女らの生き方をみまもってくれる大人・ユキさん夫婦がいる。
こんな温かいコミュニティなかなかないよ!


●「キミは生まれてきてよかったんだよ」と、誰かの支えになりうるアニメ
マジョリティに加われない人って何処にでもいる。
エンターテイメントって、そういう人たちに寄り添って、
キミは生まれてきてよかったんだよ、
と肯定してくれるものであるべきだと思う。
マイノリティに刺さった上で、他の多くの人にも
広がっていけるのが最もよいエンタメ作品だと勝手に思っている。
(←あっそう)
『放浪息子』は、その点をしっかりおさえ、
最高に美しい形にまとめ上げている。

そして原作も読んだ。
アニメは、原作のエッセンスを余すところ無く抽出濃縮していた。
水彩画タッチまで含めて。
あおきえいさんスゴイ。
そして志村貴子さんのファンになりました。

以上でございます。

投稿 : 2016/02/18
閲覧 : 450
サンキュー:

8

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