「PSYCHO-PASS サイコパス(TVアニメ動画)」

総合得点
90.2
感想・評価
5575
棚に入れた
26358
ランキング
61
★★★★★ 4.1 (5575)
物語
4.3
作画
4.0
声優
4.1
音楽
4.1
キャラ
4.1

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ネタバレ

Progress さんの感想・評価

★★★★★ 4.8
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

ドミネーター超かっけえ!

タイトルはですね・・・いいタイトルが思いつかなかったのでちょっとふざけました。変にマジメに書いている部分もあるので見たくない方は最初のほうと最終的な感想だけ読んでいただければ・・・ハイ。

あらすじは公式サイトを見てくださいね。

私もレビューを書くにあたりはじめて見にいったのですが楽しさのあるサイトです。

この作品は1期2期劇場版と作られていますが、個人的には2期が面白いと思っています。理由は2期のテーマを感じ取れたからかもしれません。

【ジャンル】

さてこの作品をジャンル分けすると、公式サイトによれば、「ディストピアSF」とか「近未来」とか「SF警察」とからしいですね。

巷でよく聞くのは「ハードボイルド」「群像劇」「風刺」とか「大人向け」「頭脳戦」(あにこれの要素から)とかですね。



【放送時期】

話を戻して1期の話。まずこの作品の当時の放送時期。Fate/Zeroの2ndシーズンが2012年春アニメで放送されており、そのFate/Zeroの著者が虚淵玄氏。そしてこのサイコパスに脚本で関わっています。そのサイコパスの放送時期が2012年の秋アニメです。つまり、Fate/Zeroの成功により相当期待が高まっていた事だと思います。そして、制作は Production I.Gです。
当時の盛り上がり方は、皆さん、覚えていますかね?



【この作品のディストピア】
{netabare}
この作品は公式サイトでも「ディストピア」と銘打っているのでそれについて触れておきます。

シビュラと呼ばれる、人間のあらゆる心理状態や性格傾向の計測を可能とし、それを数値化する機能を持つシステム。
このシビュラによって日本は管理社会となっている世界観ですね。

では、このシビュラというものがなぜディストピアだと思われるのか?

まず、犯罪係数を気にして生活するなんて息がつまりそうだと思う事も理由となるかもしれません。

この作品の後半でシビュラは、犯罪係数の測れない「免罪体質」を持つ犯罪者を取り入れることによってその機能を拡張してきたという事実が明かされるのですが、それだけではディストピアとはいえませんね。

ではシビュラの問題は、犯罪係数の高い人間を問答無用でドミネーターで気絶させ、隔離する事にあるのでしょうか?
それはシビュラの一つのディストピアの理由だと思います。犯罪を犯していない人間を、「犯罪者予備軍」として、社会復帰できない更正施設に隔離する。

そこにこの作品を見る人間は罪の無い人間が犯罪者扱いされる世界はディストピアじゃないか?と判断するのだと思います。

もう一つ、ディストピアたる理由がシビュラにはあると思います。
それは「個々人が自分の道を選択できない」という社会を作り出しているためです。
1期目のヒロインとして常守朱(私的には主人公だと思いますが)は犯罪係数が格段に低く、職業選択の自由がありますが、元から犯罪係数が高いと職業選択の自由は格段に狭まります。

この点が、現代社会に対して風刺になっているとも考えられます。なりたい物になろうとできる現代で、それを目指して頑張りましたか?という事
人に命令されてそれだけやっていればいいというのは現代でも存在します。現代では「作業者」とか言われますね。あなたは自分の人生で選択をしていますか?という事も伝わってくる作品です。

まあシビュラのディストピア的理由はそれ以外にも探せばたくさんあります。イジメは見抜けなかったりとか、更正が上手くできてなったりとか、いくらでもあらはでてきます。多分作品を全話見れば、間違いなくディストピアだと思うでしょう。

{/netabare}

【群像劇~狡噛慎也と槙島聖護】
{netabare}
さて群像劇とジャンル付けされるこの作品、色々魅力的な登場人物はいますが、この二人に絞って書いてみます。

狡噛慎也は過去に同僚を槙島聖護に殺されてしまい、そこから復讐のために、執念深く槙島を追い続けます。

狡噛慎也の魅力はなんでしょうか?男らしい?外は冷静だが中身は熱い?色々ありますね。
私的にはその観察力、洞察力、推理力だと思います。雑賀譲二の言っていたいわゆるプロファイリングですね。このプロファイリングが彼の犯罪係数をじわじわと上げてしまった原因とされています。(直接的な理由はまた違いますが)
つまり犯罪者の動機を考えて、犯罪者の行動履歴を読み解き、行動の先読みをすることを生業とする刑事は、犯罪者に一定の理解を持ってしまいます。用は倫理的枷が外れやすくなってしまったわけです。

そこでプロファイリングにより犯罪者の行動を理解しつつ、強い独自の倫理観で枷をはずさず選択できるのが常守朱なわけです。

話はそれましたが、狡噛慎也のプロファイリングは視聴者にもパズルを解く楽しみを与えています。そして、パズルを解いて犯人を確保することに楽しさを感じることが、彼が狩りをする猟犬と呼ばれる理由の一つかなと。


では次に槙島聖護について。
彼については、「シビュラを破壊する役」そのものですね。というのも、先ほど書いた「選択する自由」をシビュラが奪っているとして、シビュラを破壊することを目論んでいます。
槙島はシビュラに対してプレイヤーとして楽しみたいとか言ってましたね。彼は選択することに対して楽しさがあると考えています。そして人間が選択できないシビュラに対して、自分だけでなく人間は選択をして生きていくべきだと考えています。

それは、現代社会的な選択の自由のある世界を望んでいるのですが、私達は犯罪を起こしていなく、槙島は犯罪者として描かれました。自由な世界を取り戻そうとする彼が悪役である理由は何故でしょうか?

一旦構成されたシビュラによる秩序の破壊。それは理由にあると思います。世を乱す人間というのはいつの時でも否定されます。ですがそれだけでしょうか?

多くの人を巻き込んだ秩序の破壊。人の人生や希望を踏みにじって、目的を達成しようとするその姿勢が、彼を悪役足らしめる理由の一つだといえます。そこには、倫理観の欠如が存在し、倫理観の無い人間によって実行される改革に人は恐れを抱くのではないでしょうか。槙島はゲームの観戦をするように猟奇的行為を観察していますしね。



{/netabare}

【常守朱の成長】
{netabare}
常守さんは色々な人(特に死んでいった人)の思いを受け取って自分で選択して人生を歩むことを決断します。

今まで特に理由もない判断をしながら生きていたことを反省し、最後まで悩みながら、槙島の事を殺さずに確保することを選択します。
そういう意味で常守さんを見てると、彼女こそが主人公であり、視聴者に自らの意思で選択することの大切さも難しさも示しています。

蛇足ですが、彼女の強い倫理観はどこから来るのでしょうか?
思い浮かんだのは完全なる神秘である可能性です。なぜなら、無数の人間によって構成されるシビュラシステムに解読できないのであれば、それは人の理解が及ばない領域にあるのではないでしょうか?つまり常守さんの倫理観は完全性をもってはいるが、それは人知の及ばないものであり、作り手にも理解出来ないものではないでしょうか?

{/netabare}


【全体の感想】
{netabare}
上で書いたような小難しいことはおいといて、ハイクオリティな作画、猟奇的な人間が行う衝撃的な犯行、ドラマチックな犯人逮捕を単純に楽しめる作品です。
見ればかならずアニメファンとして話題の一つになれる作品ですね!

{/netabare}

投稿 : 2016/09/08
閲覧 : 360
サンキュー:

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