「傷物語 鉄血篇(アニメ映画)」

総合得点
86.2
感想・評価
1684
棚に入れた
12979
ランキング
204
★★★★☆ 3.7 (1684)
物語
3.7
作画
3.8
声優
3.8
音楽
3.6
キャラ
3.8

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jethro さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

物語は登場人物たちが動いて語る

西尾維新原作「化物語」シリーズ
その起点にして傑作と名高い前日譚
なぜ阿良々木 暦は吸血化したのか?
あのゴールデンウィーク前の春休みに何があったのか?
羽川 翼との出会い
忍野メメとの出会い
そして、キスショット(忍野忍)との出会い
物語シリーズを知る上で欠くことのできない全ての始まり
それが「傷物語」だ

2012年公開予定からずれ込み3年、制作発表から、なんと5年
ファンにとっては待ちに待った公開となった
その期待を裏切ることなく、ただならぬ完成度をもった本作の素晴らしさ
その感想を言語化する難しさを今、身を以て感じています。

私は原作既読者でありアニメも含め原作シリーズ全て網羅しています。
なので、ファンとして今この時間を至極感慨深く思っています。

本作は物語シリーズ初の劇場版であり
なおかつ、劇場用作品としての魅力に満ち溢れています。
TVシリーズを「期待通り」とするなら
本作は「期待以上」でした。
何をして期待以上だったのか?
TVシリーズというのはメジャーでエンタテインメントの側面を持ちつつ
しかし放送時間という制約が存在します。
これはある意味、西尾作品を生かせる土壌にピッタリとも言えます。
なぜならば、「物語シリーズ」は膨大な語彙であり
ストーリーテリング自体は非常に短いのが特徴だからです。
TVシリーズではその特徴を生かし「モノローグ」で語られることが多く
圧倒的物量の「モノローグ」は「語り」を生み
小説という「物語」とアニメという映像表現を違和感なく中和させていました。
劇場アニメ「傷物語」は時間的な制約からの解放を機に
本来、モノローグがなければ伝えられなかった部分を
きちんと「映像」で表現しています。
威風堂々「芝居化」された物語なのです。
モノローグが無いわけではありません
伝えなければいけない登場人物たちの「心の声」はきちんとあります
しかし「物語」を語ることはありません
それらは、当たり前のことですが
登場人物たちが動き、会話し、行動する事によって生み出されていくのですから
心情的なシーンが多く、それらほとんどが表情と動きのみ
セリフの少なさはシリーズで最も少ない気がします。
このほんのちょっとした表現の差異が劇場映画として大きな魅力や風格となり
近年なかなか得る事ができなかった没入感を得る事ができました。
映像自体の表現方法もリアルで具体的なのにイマジネーションを感じるものであり
かといって原作やTVシリーズを知るものが見ても違和感が無い
キャラクターデザインやレギュラーの場所
それら全てが映画用に新たに用意されたものとなっていますがTVより素晴らしい
原作と異なる場所設定に変えてある箇所も多々ありますが、原作よりスゴイ選定
キスショットとの出会いのシーンは至高でした。
歴史に残るラブシーンといって過言で無いと思います。

イマジネーションの洪水、ディープな恋愛、日常でありながら非日常へと没入する心理
夏の次回作まで心を強く持たなければ

投稿 : 2016/01/12
閲覧 : 312
サンキュー:

12

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