「ゆゆ式(TVアニメ動画)」

総合得点
76.6
感想・評価
1288
棚に入れた
5893
ランキング
680
★★★★☆ 3.7 (1288)
物語
3.6
作画
3.6
声優
3.8
音楽
3.7
キャラ
3.9

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ネタバレ

どらむろ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 3.5 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

純粋に女子高生の会話や日常を(積極的に)楽しむ事を求める中~上級者向けアニメ

まんがタイムきららの日常系作品です。全12話。「由々しき事態」の「ゆゆしき」と発音します。
仲良し女子高生三人組が、ひたすらとりとめの無い会話で日常を過ごしていく。
とりとめの無い会話や、しょーもない平凡な日々を、淡々と描く、真に純粋な日常系の極北。
…受け手(視聴者)側に、積極的に本作の雰囲気や持ち味を理解する事を求める、中々に敷居の高い、高度な作品です。
通常の日常系のように気楽に萌えたり笑うには不向き、さりとて真剣に観過ぎても楽しめない。
…1話観て感性が合わない方で、かつ積極的に理解を試みる意思が無いタイプの視聴者には不向きでしょう。

「よく噛めば味が出る作品と言えば聞こえはいいですが、よく噛まないと味がない作品とも言えるかもしれません。」
※シャベール大佐さんの「ローリング☆ガールズ」のレビューの表現を参考にさせて頂きました。

…私、初見では7話辺りで退屈過ぎて一度切りかけました。
でも、今なら本作の真価が(少し)分かる。
分かる人にだけ分かる、高評価と脱落者に二分されるのでは。
ある意味、落語に似ている。落語も受け手側の積極的参加が求められる娯楽なので。

{netabare}『物語』
ゆずこ、ゆかり、ゆいの仲良し三人組の日常系コメディー…なんですが、とにかく「とりとめが無い」!
普通なら(特に男子なら)会話に何らかの目的を求めるもの、たとえ日常系アニメであれ、萌えや笑いや癒しを分かり易く期待するものでは?
しかし。
本作における会話は、とにかく目的を求めない。純粋に会話を楽しんでいる。
純粋に、一緒に過ごせる時間を全力で楽しんでいる。
ただ純粋に。そんな日々は、実はかけがえの無い大切な日々なのかも。
これぞ真なる意味での日常系の到達点なのでは!?
学園物の定番である修学旅行や学園祭などの大きなイベントも徹底的に排しているのも特徴。
主に二つのグループあり、その互いの距離感も絶妙です。
情報処理部の3人組と、相川さん友達グループ3人組。
相川さんを中心に微妙に交わる事で、関係性が少し広がる感じ。

ある意味「究極の日常系アニメ」なんですけど、初見では正直つまらなかった。
…戸惑います。初見では非常に戸惑います。正直、意味不明ですよこれ!?
彼女たちのセカイは3人で完結しており、視聴者が(感情移入や理解という意味で)入り込む余地が(一見すると)無いように思えるのです。
会話の流れが予測不能!でも、なんだかとても楽しそうです。
個性的なふたり(ゆずこ、ゆかり)の予測不能なボケやちょっかいに、真面目なゆいがツッコミ入れる流れがお約束、慣れてくるとこの雰囲気が楽しいし、微笑ましいです。
インターネットを用いた言語の連想ゲームから、彼女たちオンリーワンな感性で明後日の方向に話題が乱舞する。
学校生活でも、意外なネタから話題が縦横無尽に飛び回り、ゲラゲラと笑い合う。
よく年頃の女の子は「箸が転んでも笑う」と言われていますが、本作は正にソレでした。
正直なところ、成人男子な私には9割方理解不能なのですが、ゆゆ式はそんな少女たちの日常会話が魅力なのでしょう。
…さりとてシモネタは皆無、そこはきららの男子向け日常系らしい安心感もまたミソ。

コメディーとしては、正直面白いかは微妙。
萌えも、むしろ意図的に排している感じ。若干の百合はあり。
けれど、そんな彼女たちの会話や日常から醸される雰囲気に、少女たちの貴重な青春の輝きを感じる。
時折、意味深な会話もあり、「ゆゆ式は哲学」と言われる所以か。
…オンリーワンな魅力があります。
ありますが。普通の日常系萌えアニメと違い、完全受け身の視聴姿勢では楽しめない。
物語評価は真価を積極的に評価するならば4.5点でも良い程なんですが…
「よく噛めば味が出る作品と言えば聞こえはいいですが、よく噛まないと味がない作品とも言えるかもしれません。」
まさにこれ。
ある意味傑作なのは間違いないのですが、真剣に気合入れないと楽しめないので結構疲れる。
2週目の視聴で本作の魅力理解したつもりですし、好きな作品になりました。


『作画』
非常に独特のキャラデサや、モブを白く省略する等、一見作画は悪いように見える。
しかし、主要キャラは独特の魅力十分あり、感情表現も豊か。
キャラデザの時点で萌えを徹底的に排し、キャラクターだけで勝負する。
良さを知れば、作画も悪くはないと思えました。

『声優』
ゆずこの大久保瑠美さんの、はっちゃけや時折イケボが絶妙でした。
ゆかりの種田梨沙さんは、最近ではあまり見ないタイプのツッコミ良かった。
ゆいの津田美波さんの、ほわーんとした感じも中々。
相川さんの茅野愛衣さん、お母さん先生の堀江由衣さんはお見事。

『音楽』
主要三人組が歌うOP「せーのっ!」が作風とテーマばっちりの良曲、とても印象に残ります。
とりとめのない、けれど大切な日々…元気いっぱいに伸び伸びと歌い上げる。
ああ~いいですねぇ~。この曲が無ければ本編も切ってたかも。
ED「Affection」も穏やかかつテーマに沿った良曲。
またBGMも良いです。


『キャラ』
ゆずこは一見バカっぽい上に予測不能な言動で本作の牽引役、実は結構賢いという事実…それを念頭に置くと、また違った側面が見えてきそうです。

ゆかりは天然ボケなお嬢様、ゆずことのコンボで、これまた予測不能な言動と行動に…
その存在感は理屈抜きにゆゆ式らしさを醸し出す張本人かも。

ツッコミ担当の常識人ゆいが主人公ポジでした。真面目にふたりに付き合うのは、そんな日々が楽しいからというのが伝わってくる。

本作一の巨乳美少女・相川さんかわいいです。両グループのアイドル的存在だが微妙な距離感がミソか。

相川さんラブな岡野さん、中立なふみおちゃんは交流にバリエーション添えている。

お母さんこと松本頼子先生マジ人格者、お母さんと呼びたくなるのもわかる!
包容力抜群、でも戸惑いは視聴者に一番近い感性の持ち主かも。{/netabare}

投稿 : 2016/04/02
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サンキュー:

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