「響け! ユーフォニアム(TVアニメ動画)」

総合得点
91.1
感想・評価
3141
棚に入れた
13954
ランキング
42
★★★★★ 4.2 (3141)
物語
4.1
作画
4.4
声優
4.1
音楽
4.3
キャラ
4.1

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ネタバレ

RFC さんの感想・評価

★★★★★ 4.7
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 5.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

吹奏楽の苦悩と素晴らしさが伝わる 秀作

ユーフォニアムという
吹奏楽未経験者からすると「UFO?」って
思ってしまいそうな楽器担当者を主人公に持ってきてる
ことで興味を持ち、視聴開始。

【作品概要】
ロケーションは京都の高校の吹奏楽部。
小中と吹奏楽部を経験した主人公黄前久美子。
高校でいろいろリセットしようと、北宇治高校に
入学するところから物語は始まります。

【作品に対する感想】
けいおん!のようなゆるい話なのかと思いきや、
熱い青春劇です。
がむしゃらなところも、迷いも、
痛いところも、恋も青春全開です。
そして吹奏楽部という独特の空気や風習が
しっかりと描かれています。
初心者に経験者が説明するという形をとって、
吹奏楽未経験者が観ても分かるようにしてあります。
 
大人数の部ゆえに複雑な人間関係があったり、
対立したり、まさに社会の縮図。
キャラも「ああ、こんな人いるいる」というのが
揃ってて良かったです。
やたらマニアックな人、朴訥な人、先輩の信者、
変なこだわりがある人などなど。

吹奏楽部のリアリティが詰まった、熱い青春物語。
私としては絶対のおすすめです。

 なお吹奏楽部の生態について興味がある方は
 「みんなのあるある吹奏楽部」
 「吹奏楽あるある①~③」
 といった書籍があります。かなり笑えます。 

1)物語

 1点不満を挙げるところがあるとすれば、
 もう少し楽器や音楽のテクニカルなところも
 ストーリーに織り込んでくれたらな とは思いました。

2)作画
 京アニらしく、背景は無茶苦茶綺麗です。

4)音楽
 冒頭の新入生歓迎の演奏で目を見張りました。
 下手な高校の吹奏楽部を見事に再現していました。
 下手さが絶妙。
 あまりに酷過ぎると「これはないだろ」って興醒めですからね。

 とにかく音楽や楽器に音に関してのこだわりは
 凄まじいと感じました。

6)好きなシーン
{netabare}
 ①久美子「本気で全国いけると思ってたの?」
  しょっぱなからやってくれました。
  何十人も部員がいれば、
  真剣に勝負したいと思う人もいるし、楽しく
  やれればいいやって思う人もいます。
  この対立構造はほとんどの
  吹奏楽部であるのではないでしょうか。
  一人だけ上手くてもコンクールでは勝てないので
  余計に対立に繋がります。

 ②滝 直球ズバズバ
  「なんですか、これ」
  「私の時間を無駄にしないでください」
  「ここ、田中さん一人でやってください」
  吹奏楽の顧問はやっぱりこれですよね。
  正論ですがズバズバえぐいことを突き刺します。
  あの本気でへこむ感、懐かしいです。

 ③サンライズフェス直前の緊張感
  強豪校の演奏を本番直前に聴くことは
  大概マイナスになります。
  自分たちができないことを平然とやってのけるので、
  途端に自信がなくなって
  普段できることまでできなくなります。
 
 ④葵先輩退部
  部活も大事ですが、受験はさらに大事です。
  大学をどこにするかは
  その後の生涯に大きな影響を与えます。
  吹奏楽は本気でやるなら勉強時間を大幅に奪われるので、
  両立は困難を極めます。
  私が現役の頃もそうやって道を別った人が沢山いました。

 ⑤あがた祭
  イベント前の浮ついた感、自分で意味不明と
  認めつつこだわってしまう痛いところとか、
  裸足で演奏とか、青春すぎます!
  唇ぷるんっのシーンはゾクッとしました。
  デュエットの間セリフなしで
  話が進んでいく演出は神でした。
  尚、「百合キター」と言われていますが、
  私はああいう言い回しをしただけで
  百合ではないと思っています。
 
 ⑥オーディション
  音楽は経験年数やセンスで実力差が大きく表れます。
  特にセンスは大きく影響し、上級生よりうまい
  下級生はザラにいます。
  私の母校は学年優先でしたが、明らかに下級生より
  実力が下でコンクールメンバーに選ばれている人は、
  当人としても分かってるので惨めで複雑です。

  ストーリーの中では先輩信者のリボンちゃんの
  稚拙が言動が混乱を招きましたが、
  ドロドロした雰囲気は十分に描かれていたと思います。
  なおリボンちゃんを先輩信者と悪し様に言って
  しまいましたが、気持ちはすごくわかります。
  報われて欲しいですもんね。

  ところで、指揮者が信頼されていないというのは
  バンドとしては致命傷です。
  同じ曲を同じバンドが演奏しても
  指揮者の力量でパフォーマンスに大きな差が出ます。
  信頼していない人からの指示など聞けるわけもなく、
  まとまりのないベクトルが合わない演奏しかできません。
  指揮者はただタクトを振っているだけではありません。
  その曲が最高の仕上がりになるように音量や表現の
  微調整をしているのです。
  ホールによって響きが異なるため、
  そのたびに微調整することになります。
 
 ⑦久美子「裏切ったら殺していい」麗奈「本気で殺すよ」
  こういった覚悟がとてもいいです。
  吹奏楽部員は冗談抜きでこういう覚悟でやってます。
  高坂さんみたいなタイプは孤高なことが多い。
  私の所属していた部にもそういう人がいました。
  麗奈にとって唯一心を許せるのが久美子なんでしょうね。

 ⑧道路またいで「上手くなりたい」合戦
  もう青春過ぎて泣けてきました。
  泣くほど、死ぬほど願っても、努力しても
  それが叶うのはほんの一握りなんですよね。

 ⑨京都府大会
  泣いても笑っても一発勝負。
  サブメンバーからの贈り物を胸に、自分との闘い。
  普段通りのことを普段どおりにするのがどれだけ
  難しいか思い知らされます。
  最大の敵である緊張を殺すために、
  部員はいろんなゲン担ぎをします。
  勝負アイテムを持ってみたり、
  スティックを左手から持ってみたり。
  あの緊張感が上手く再現されていました。
  府大会万年銅賞の学校が関西大会にコマを進める
  というのは奇跡に近いことです。
  全員号泣でしょう。

  私はここで終わってよかったと思っています。
  「全国を目指す」と言っていますが、
  2年、3年が適当な練習をやってきた期間がある以上、
  今年数カ月部の雰囲気が変わった程度で、
  関西大会を突破できるほど甘いものではないからです。
  関西大会(地方大会)に出てくるほどの学校は
  それこそ3年間血のにじむような努力を絶やさなかった
  メンバーばかりです。
  それでも涙をのむ学校が8割以上あるんです。
  これ以上の奇跡はやっぱり嘘臭くなってしまいます。
  本当に全国の舞台を踏めるのは、
  最速でも久美子が3年になるくらいじゃないでしょうか?
  先輩の涙を受け継いで、滝先生のもと血のにじむ努力を
  積み上げたメンバーが集う2年後。
  2期が決まったのは嬉しいですが、
  安っぽいストーリーにならないことを祈っています。

{/netabare}

7)「?」と思ったシーン
{netabare}
 金管楽器がやたらきれいなのは何故?

 楽器はとても高価なもので、安価でも数万、
 ものによっては100万円を超えるものもザラです。
 古くなった楽器も大事に使っていかないと
 維持費だけで大変なことになります。
 研磨剤で磨けば確かに綺麗にはなるんですが、
 私の母校は数ミクロンの厚みを変えることで
 音色に影響が出るとの理由で研磨剤禁止でした。
 本当に磨くとダメなのかはわかりませんが。


{/netabare}

8)宇治さんぽ(2023/1追記)
 宇治を訪れる機会があったので、
 大吉山と宇治橋に行ってきました。

【宇治橋】
 日本三古の橋として有名だそうで、作中では久美子の
 「上手くなりたい」のシーンなどのロケーションですね。
 付近には平等院鳳凰堂があり、
 お茶の香りが漂う良い所です。
 宇治川はかなり流れが速く、鴨が流されては上流に
 飛んで戻っていました。
 川辺でトランペットの練習をされてる方がいました。
 この辺はアニメの影響?もとから?
 他にも川辺には例のベンチや「滝先生はすごいんだから」
 のスポットもありますね。

【大吉山】
 麗奈・久美子が見た景色を見たくて登ってみました。
 朝登ってみましたが、照明が全くなく道に柵がないので
 登山口に「夜登らないで」という注意書きが…(^^;
 恐らくアニメに触発されて夜に登った人がいるんでしょう。
 往復30分くらいの軽い登山ですが、道は舗装されて
 いないので、殆ど運動しない人はきついかも。
 ヒールのある靴だと死ねると思います(笑
 登山中たくさんの方とすれ違いましたが、
 高齢の方や家族連れの方は恐らく地元の方だと思います。
 普通の旅行スタイルの方も何人かいらっしゃったのは
 おそらく私と同じ聖地巡礼の方かと想像します。 
 麗奈たちが演奏していた展望スポットからは
 平等院や宇治橋を一望できますし、鳥のさえずりがとても
 気持ちいい場所ですよ。


今回のコメントは長くなりすぎてしまいました。
お付き合い頂いた方は、ありがとうございます。

投稿 : 2023/01/17
閲覧 : 520
サンキュー:

79

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