「氷菓(TVアニメ動画)」

総合得点
90.4
感想・評価
8335
棚に入れた
35280
ランキング
55
★★★★★ 4.1 (8335)
物語
4.1
作画
4.4
声優
4.1
音楽
3.9
キャラ
4.1

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ネタバレ

蟹チャーハン さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.4
物語 : 1.5 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 1.5 状態:途中で断念した

考えずに人任せなヒロインと、省エネが本音ならすべて嘘かもしれない主人公

軒並み高評価の作品ですが、自分にはこの手の作品のおもしろさが伝わってきません。
ミステリーとしての質も物足らなければ、人間ドラマとしてのキャラクターの魅力も足らず、
高校生のゆるい日常を描いた日常アニメと割り切った方がしっくりくる。

以下ネタバレで。あんまりいいこと書いてません。
{netabare}
5年ぶりくらいか。身近なひとが米澤氏の小説が好きだと聞いたのと、以前として氷菓の評価が高いのでもう一度挑戦したのですが・・・やはりつまらないままでしたw すんません。

すでに一話目や文化祭エピソードについては触れているので、今回はまだ書いていない密室殺人の結末について、映画撮影の回のネタバレ評価します。(全然いいこと書いてないので、ファンの方にはすみません)

このエピソードでは、脚本を担当した本郷の作品への思いや考えが重要視されています。
文化祭での上映に向けた目玉企画とのふれこみ。ただ、本郷の参加はあくまで導入のみ、ロケーションの設定に立ち会っただけで、ミステリの結末を完成させていない時点で、この作品に本当に本郷の気持ちがこめられているとは思いにくいです。

・実は本郷の脚本はすでに完成していた?
本郷は撮影現場に下見に訪れて、実際の撮影に立ち会っていないことがわかっている。この時点で脚本は未完成。
作中では俳優陣によるアドリブにより殺人事件になったと結論付けられているが、脚本もない状態で撮影を進めることそのものに無理があり推理が破綻している。

・実は本郷は好かれていた
作中での本郷の性格は控えめで気弱だったために追い込まれたとエルはいうが、撮影班の証言からも<誰もケチをつけたことはない。本郷の仕事は全員が認めていた>と証言し、周囲の本郷への信頼は篤かったことがわかるので矛盾している。
本郷が不在でも、それぞれみんなが本郷の意向に沿って演技したと考える方が素直で、全員が全員、本郷の意向を無視して勝手に殺人事件に仕立ててしまったとは考えにくい。

・実は本郷も殺人事件を考えていた
アンケート結果により関係者のほぼ全員が殺人事件が起きると思っていたことがわかった。実際の撮影でも殺人事件になった。
脚本の本郷が小道具で切り取られた腕がつくられた事実を知らないわけがなく、事前の打ち合わせがあって当然と思えば、本郷自身が乗り気ではなかったとしても殺人事件を想定していたとわかる。
しかし作品中での本郷は殺人が起きないストーリーを考えていたと結論付けられている。矛盾していないか。
撮影日を知らないわけがなく多少なり結末の脚本のイメージを親友に伝えることなどできたはずなのにそれもせず、撮り終えた映像を見て想像と違ったからショックを受けて入院したというが、それは無理がある。
状況証拠としてホームズの作品リスト、少ない血のりがあるのみ。

・犯人役について。
撮影前に本郷から頑張ってと励まされた俳優が犯人だと指摘されているが、なんの確証もなくただの妄想にすぎない。なぜ当人に話を聞かないのか意味がわからない。

・ザイルについて。
小道具担当より本郷が、人がぶら下がっても丈夫なザイルにこだわったという証言がある。主人公の書いた脚本では忘れ去られて宙ぶらりんなまま。説明できないことが多い。

・そもそも誰も映画の結末に興味がない
主人公が広報担当のアイデアに手を加えた7人目人物の結末で撮影は無事終了した。しかし、周囲の評判はよくない。主人公の親友は本郷が参考にしたホームズの作風にそぐわないという。ヒロインのエルは本郷の意志が反映されていないと指摘する。
つまり、誰もがぼんやりとでも自分で考えた映画の結末に主人公がたどり着けなかったことに不満をもったことがわかる。それもかなりハッキリと冷たく感じるほどで、この登場人物たちの性格の悪さがよくわかる。

・委員長の
エピソードの最後になって、委員長の真意が問われることになる。文化祭の目玉企画を成功させたいと言う委員長に、主人公の姉は本郷はじめ全員のアイデアがつまらなかったからだろうと指摘する。
主人公は委員長に対し、ただ単に脚本コンテストをやりたかっただけだと怒りに震えるが、この指摘はおかしい。主人公と委員長がお茶をした際、誰もが無能でアイデアを採用すると企画が失敗するからと吐露し、頼りになるのは特別な存在の主人公だとハッキリ名言している。
依頼の中身はビデオの正解をみつけてくれとのことだが、脚本家の本郷が入院中で会えない時点で、主人公に新たな脚本の依頼をしているのと同じことだとわかるだろう。

なにもかもがちぐはぐで、作者自身が整理できていないのがよくわかる未熟な作品に思えます。
今回も途中で断念。なぜこうまで評価されるのかちっともわかりませんでしたw


ここから下は以前の評価です。

まず、え???となるのが、第一話の密室のミステリー。
ヒロインのエルが気がつかないうちに鍵のかかった部室に閉じ込められていたというが、
その答えが蛍光灯を換えるおじさんが閉めていった…ですよ。

はぁ????? んなアホな!!!!

教室じゃなくて準備室という狭い空間におじさんと2人きりでいて、2人とも気がつかないとかありえます?
どんだけエルが外を眺めていようが、おじさんが蛍光灯を取り替えるのに夢中になってたとしても
すぐ目の前の人の存在に気がつかないことがないでしょう。
で、しかも確認せずにドアに鍵かけて出て行くとかありえない。

カンヤサイ、氷菓という言葉の意味を知る回についても同じ。
あれはあくまで作者の示す答えであって、読者には考える自由があるとしたら、
あれだけの事件を起こしたセキタニさんがつけた氷菓の意味は“評価”じゃないかなと思います。

作中の答えはシャレているけど、無慈悲な評価を下されレッテルを貼られて学校を去ったわけで、
評価という言葉の方が自分にはしっくりきますね。

自分のしてきたことを信じるほどに社会からの評価、学校からの評価、学友からの評価、
家族からの評価が恨めしくもあり、見返したい気持ちもあり、解放された気持ちもあったでしょう。
でも未来の自分の評価だけはこれから自分が決める。くらいの意味とかの方がかっこいい。

よくよく考えれば彼らの両親や祖父レベルの年代って戦前が戦中ですよね?
英語教育がどれほどだったかわからないけど、そこで英語もじった言葉を考え付くより、
日本語で絶対的な権力を匂わせる一言、支配的な意味合いを示唆する言葉の方がしっくりくるかなぁ。

というか、毎回、気になる連呼だけしてるエルという子は、なぜ自分の頭で考えないのでしょうか。
そこが不思議でならない。
自分からすれば、そっちの方が気になります。

怒り始めた数学教師の謎とかいい例で、先生のところに聞きにいけばいいだけじゃないですか。
それもしないで他人に答えを求めてその見解を鵜呑みにする姿勢がよくわからない。
そして、なにより怖いのが、それで簡単に納得してしまうのが恐ろしい。

正直、オリキくんも、どこまで真実を語っているかは謎だと思います。
エルに振り回されるのを嫌って嘘の謎を仕組んだ女郎蜘蛛の一件からして、
彼が冷たい嘘をつける人であることを忘れてはならない。

場合によっては、都合のよい解釈をみつけて提示しているだけかもしれず、
それは彼のセリフで度々でてくる『これではエルは納得しないだろうな』にあらわれています。
要は、エルを納得させることができればいい、それが振り回されずに済む省エネの早道だから。

ふと思うんですよね。
エルとハルヒ。どちらも勝手に騒いでまわりを巻き込むタイプなのだけど、
自分はハルヒはありなんですがエルは苦手で、その差はなんだろうかと。

ハルヒは無自覚な天然だけに悪意を感じないけど、エルにはしたたかさを感じているのかも。
このすばでアクアが泣きまねしてましたけど、ああいう愛嬌あるあざとさは好きですw
仕方ないなぁーと笑ってしまうだろうから。

結局のところ、エルというキャラが受け入れられるかどうかなんでしょうね。
よく言えば知的好奇心が旺盛な女の子なんですが自分からすると、この程度の謎や疑問を
自ら解決しようと努力しないのでは、好奇心が旺盛なだけで終わってしまうということか。

本当に興味があるなら、カンヤ祭やセキタニジュンについてもOBに聞いてまわるくらい
のことをしてもいいと思うんです。
事情を知っていた先生と同年代の卒業生なら地元にだってたくさんいるはずだと思うし、
商店街で聞き込みするだけでも違うでしょう。
それをすべてオリキ君の推察推測だけで満足して終えてしまっていいものか。
君の興味ってその程度なの?て気がしますね。
{/netabare}

投稿 : 2021/11/21
閲覧 : 506
サンキュー:

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