「もしドラ(TVアニメ動画)」

総合得点
59.1
感想・評価
550
棚に入れた
2108
ランキング
6200
★★★★☆ 3.2 (550)
物語
3.1
作画
3.1
声優
3.4
音楽
3.2
キャラ
3.1

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ネタバレ

蒼い星 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.3
物語 : 1.5 作画 : 2.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 2.0 状態:観終わった

みなみが甲子園に連れてって。

【概要】

アニメーション制作:Production I.G
2011年4月 - 5月に放映された全10話のTVアニメ。

原作は、岩崎夏海による小説。
監督は、浜名孝行。

【あらすじ】

主人公・川島みなみ。彼女は都立程久保高校に通う高校2年生。
幼い頃からずっと一緒だった病弱な親友の宮田夕紀が入院し、
彼女が今までやっていた野球部のマネージャーの代わりを頼まれます。

実はこの野球部は問題が山積みの弱小都立であり、
みなみは部を立て直すためにマネージャーの仕事を理解しようと書店に。
マネージメントの入門書を探しているときに店員から薦められて1冊の本を購入。
しかし、それは経営学者のピーター・ドラッカーが著した企業経営の本でした。
後悔しても後の祭り、せめて購入金額2100円(税込み)の元を取ろうと読み進めていくと、
みなみはドラッカーの経営学にのめりこんでしまいます。

こうして、親友のために甲子園を目指すのに経営学を高校野球に応用出来るのではないか?と着目した、
みなみによる野球部の改革の物語が始まったのでした。

【感想】

震災で日本中が動揺していた時に放映されていたアニメということで覚えています。

原作は発行部数が電子書籍15万部も合わせると270万部のアニメ絵表紙のベストセラー小説。
放送開始前のNHKの過剰なまでの猛プッシュ。
作者は秋元康の弟子。
そして実写版は、その師匠が陣頭指揮を執ったAKB映画。

色々と気になるところがありますが…ひとまずそれは置いといて、

野球のためにマネジメントがあるのではなくて、
マネジメント実践の踏み台として野球と部員たちが存在していて主従が逆転していますね。
ドラッカー信者に陥ってしまった主人公。
ドラッカー様の本に書いてある通りにすれば上手くいく!
疑問に思ったりして従わなければ落伍者になってしまうようなストーリー。
自己啓発やら洗脳に近い内容で、これで原作小説が売れたというのが怖いと思いましたね。

安い展開とか予定調和の悲劇とか作中で存在しますが、
このへんは別に批判しようとは思いません。過剰な期待をしていませんから。
作画がしょぼいことも不問に処します。当時話題になったテニスコートみたいな四角い球場は失笑モノですが。

本当に問題なのは、野球の描き方が拙いということですね。
初球から振ってけ!とチーム方針を変えただけで弱小野球部が特別な練習もなく猛打のチームに生まれ変わったり、
バントするな!はともかく、ピッチャーにボール球を禁止したのに何故か狙い球を絞られること無く抑えていく。
他にも、常時前進守備なのに何故か野手の頭上越えを狙ったバッティングをされないなど、
ご都合主義のオンパレードで味方が強くなったという実感がわかずに敵がヘボいとしか思えないです。
予選が西東京なのに準決勝、そして昨年優勝校である決勝の相手まで弱いですね。

西東京ぐらいになると参加校が多いですし、勝ち上がってくるのは全国レベルの名門私立ばかり。
リトルリーグや中学ではエースだったり四番だったりしたのがスカウトされて、
寮に入って徹底的に身体を鍛えあげて、一日中野球のことだけを考えてる野球サイボーグなのが本当の強豪。
現実には、日大三、早稲田実業を始めとして日大鶴ヶ丘など、
全国レベルでも強いと言える有名な野球部がゴロゴロとひしめいていますね。

都立高がドラッカーを参考に部を意識改革して練習メニューを競争式に変えた。
あと、何故か都合よくデメリットを相手チームから無視されたノーバント・ノーボール作戦ぐらいで夢が叶っちゃうなんて、
この世界の西東京の高校野球のレベルは、やはり相当に低いのでしょう。

準決勝なんて味方チームの、しょぼい控え投手が先発で5回ぐらいまで0点に抑えちゃうし。
決勝なんて相手の明らかにおかしな敬遠策の連発で出塁をプレゼントしてまで逆転勝利のお膳立てをしてくれる優しさ。

野球へのリスペクトも対戦相手への敬意も無く、
敵チームはドラッカー野球に倒されるためだけに存在しているカカシです。
野球アニメとしては最低ですね。

一番酷いのは7話目と最終話。
相手の攻撃中、ピンチになった味方のエースを励ますためにスタンドにいる生徒たちが合唱。
代走の切り札が出た時も生徒たちがカウントダウンを大声で始めて相手投手にプレッシャーをかける。
↑どっちも、高校野球の応援規定で禁止されている行為です。

こういうのを平然と行い美談扱いにする。
最終話のTVインタビューで部長がドラッカーの本の受け売りで意味不明な言葉を返す。
やはり野球アニメとしては最低の極みであり、安い青春アニメとして楽しむのが一番かな?と思える作品でした。

まあ…原作者がNumber782号にて野村克也と対談して独自の素人野球理論を得意気に展開しては、
「それはアマチュアレベルでしょ」と鼻で笑われてる有様ですので、
野球の描写のリアリティについても原作者の考え方に関してもお察しなのですが!


これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。

投稿 : 2020/07/07
閲覧 : 830
サンキュー:

73

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