「BLOOD+ ブラッドプラス(TVアニメ動画)」

総合得点
76.1
感想・評価
980
棚に入れた
6258
ランキング
722
★★★★☆ 3.8 (980)
物語
3.9
作画
3.8
声優
3.7
音楽
3.9
キャラ
3.8

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ネタバレ

シャンゼリゼN゜5 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 5.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 5.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

交錯する吸血鬼のエゴと人間のエゴ

私がはじめて円盤を買い揃えた、思い入れ深い作品です。

眠りと覚醒を繰り返してきた吸血鬼の女王である少女。そんな少女が現代に現れ、自分のあり方への葛藤や使命を全うしようとするお話。
4クールにも渡り放送された長編。それだけに、中だるみを感じることはありましたが、舞台や設定の壮大なスケール感と、テーマ的な要素が数多く存在しているといったことによる変化が多く、その様々な味付けに飽きることはありませんでした。

主人公の音無 小夜。
正体を知るまでは、ごく普通の少女。自らの正体と宿命を知り、受け止めていかなくてなならないこと、乗り越えていかなければならないこと、それがあまりにも過酷で多すぎて気の毒。
自分の存在の在り方に疑問を抱いたり、否定するようなことを吐露して、思いつめていく過程は悲しいし、同情しちゃいます。
初期の生き生きとした笑顔の女子高生の姿は消え、心身ともにか弱く、くじけきってしまったり、守られてばかりいるような主人公らしからぬヒロインに変容していく様は可愛そうで、嘆かわしいほど。
このダメっぷりには拒否反応する方はいるかもですが、同情の余地が十分にあるし、そうなる過程や境遇がしっかりしているだけに、その変容はキャラ立ちとしては魅力的であったと思います。

また、対峙する類似種族たちや、もう一人の女王である妹、関わる人間。
それぞれに、立ち位置と境遇がしっかりと確立されており、その心境変化も興味深い。その多くのキャラに、重厚な存在感と意義がありました。
ただ、その向かう先にあるものは、悲しくて切ない、報われないといったことが多く、決して明るいものではないかな。

そして、この作品のテーマのひとつであると思われる家族愛。
種族の縛りを超え、その時そこに存在し一緒に過ごしたかけがえのない時間は、消えることがない。
衝撃的でショッキングなほどの悲しみがふりかかろうとも、それを体現し、命を懸けて支えた家族愛には心打たれました。それがたとえ人間、家族のエゴだとしても。
それを象徴するかのような、ラストシーン。私の中で深く記憶に強く残るものです。

全体的に空気感はどんよりと暗くて重いですが、スケール感いっぱいに大きく拡げた展開をまとめ上げた脚本と構成は素晴らしかったです。
吸血鬼の存在という側面では、根本的な解決になっていないような気もしますが、吸血鬼のひとりの女王に焦点をあてた作品なので、吸血鬼のエゴ、という観点でいいのかなと思います。

投稿 : 2016/08/31
閲覧 : 356
サンキュー:

9

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