「鍵姫物語 永久アリス輪舞曲(TVアニメ動画)」

総合得点
55.6
感想・評価
30
棚に入れた
191
ランキング
7308
★★★★☆ 3.2 (30)
物語
3.1
作画
3.0
声優
3.4
音楽
3.3
キャラ
3.3

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ネタバレ

pister さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 5.0 作画 : 2.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

13話まで見るべし

1~12話までが本編で、13話は番外編とか後日談的扱いの構成。

問題なのは番外編に当たる13話。
できればネタバレを見ずに1~13話まで通して見て頂きたい。

12話までの感想、ガッツリネタバレしてるので注意
{netabare}古い作品だしのっけからネタバレしちゃいます。
妹の“きらは”は重度のブラコン、でもって兄の有人も重度のシスコン。
が、妹が好きだとハッキリとは自覚はしておらず、それでいながらそう思ってはアカン、近親相姦はアカンと深層でストップがかかってる模様。
気を紛らわせる代償行為として──物語のアリス好きも手伝って──その二次創作として平仮名の“ありす”を作り出す。
うん、作り出すんだ、クライマックスまで自覚は無い。
一方で、少女たちはそれぞれ心に秘めた“物語”を持っていて、それを集めると願いが叶うという設定。
それの奪い合いの戦い“アリスロワイヤル”なるものが陰で行われてるのだけど、負けて物語を奪われた少女はその記憶ごと忘れてしまうペナルティー付き。
さて、そんな渦中に飛び込んでしまった有人くん、実は謎の力を持っていて、秘めた物語を奪うことなく書き写す能力を持ってましてん。
で、物語を全部集めれば最高の物語が完成して願いが叶うゾ、となってありすやきらは、きらは好き好きレズっ娘のキサやアリス能力の研究に打ち込む先輩達と手を組んで戦い続ける、と。

一方“アリスロワイヤル”の仕掛け人?は、主人公が熱中してる“不思議の国ののアリス”と“鏡の国のアリス”の作者のタキオン…の妹?2つのアリス物語のモチーフとなったかつて少女だったリデルって女性が黒幕。
タキオンの2作品が大好きで、幻の3作目「終わらないアリス」を書いて欲しいけどもはや才能が枯渇してるらしく、少女達の秘めた物語を集めると最高傑作が作れるぞい、永遠の命が手に入ります(※)ぞい、とそそのかして書かせようとする。
まんまと乗せられたタキオンは当然有人に目を付け、盗作する気満々で「さあ最高の物語を作っておくれ」と迫る、というのが大まかな流れ。

当初は有人は妹への想いに自覚がなく、ありすが創造上のキャラだとも知らず、さて、それを知った時どう選択するか──が見所かな。
また、ありすも自分の出自を隠したりきらはに嫉妬したり…と、創造上のキャラでありながら(それが明かされるのは後半だけど)まるっきり人間の行動をするところも見所か。
「少女たちの心に秘めた物語」ってのは要は「人には言えん恥ずかしいこと」で、えっちぃ事は…あったかな?むしろドス黒いことが多くてそういうのがタマラン人にはお勧め。
あ、えっちぃのあったわ、きらはは兄に抱かれる夢を見てます。
またアリスゲームの敵役としてゲストキャラも次々登場するけど、その殆どが即退場するだけの扱い。
にも拘わらず…エンディングでそれらがズラっと並ぶにも関わらず、更にはゲストキャラは他の絵師にデザインしてもらってるにも関わらず(雑誌の企画だったのだろうか?)、12話までに全員登場し切れてません。
思い切って余計な部分はバッサバッサと切り捨ててみたけど、それでも全キャラ詰め込むのは無理だったってことかな?
ここら辺の思い切りの良さとそれの残滓・無念さとしてエンディングも見る価値あるかも。
また、4話で登場するゲストキャラはアリスロワイヤル参加者ではなくアンデルセンロワイヤル参加者で、原作の層の厚み(作品数の多さ)のせいかめっちゃ強かったり、タキオンは妙に毛嫌い(嫉妬)したりと結構笑える。

個人的に想像上のキャラが現実に飛び出してどうこうって話は好きで、更にはアリスインワンダーランドのような「なんだかワカラン世界」ってのも好きだったり。
これだけでも高評価に値するのに、なんといっても13話が…と、これは特別なので分けておきます。

但し、作画はホントよろしくない、トライネットだから仕方ないとはいえ…。

※傑作がなぜ永遠の命?
物語のキャラクターが具現化する世界なので、傑作を生み出せば永遠に語り継がれ、それを永遠の命と称してるんだと思う。{/netabare}


13話感想
{netabare}13話はクッソつまらない、ゴミのようなクソアニメになってます。
クソのようなテンプレ展開、説明不十分、御都合主義、絵がヘボい(これは本編通してだけど、ゲームのMAP画面的なのとか)…。
けどこれ、察しのいい方なら気付くハズ、「あ、これワザとクソアニメになるように作ってるわ」と。
効果音なんか顕著で、当時でさえ古臭い音を多用してます。
で、なんでそんなことをしてるかというと13話は主人公の有人の作った「物語」で、いわゆる劇中劇。
涼宮ハルヒの放送1話目と同じだと思ば理解しやすいかと。
本編12話まではリデルが有人に最高の物語を書かせようとしててんやわんやしたワケだけど、ここで気になるのは「じゃあ有人の書く作品って実際のトコ、具体的にどうなん?」って点。
それを描いたのが13話。
まさかこんなクソ物語を求めて必死こいてたとは、リデルも思いもしなかっただろう…(※)。

えーっと元々色んなおとぎ話をモチーフにした作品なので、これも元になった作品があるのかも知れない、ってかな~んかありそう。
自分はパっと思いつかないけど、代わりにドラクエ6の欲望の町、あれを思い出します。
・一応ドラクエ6のネタバレ
{netabare}ドコソコにお宝がるって情報が飛び回り、それを求めて町人が我先にと押しかけ、他人には取られたくないと町人同士で殺し合いが始まる。
んでいざ宝箱を開けてみたらお宝なんてものは入っておらず、一体自分たちは何を求めて殺し合いをしたんだ…と、争いの虚しさを説く寓話的イベント。
な~~~んか元ネタありそう。 {/netabare}
これと同じ演出を目指したのが永久アリスの13話…だと思う(※)。

単に勝手な深読みかも知れないけど、この意図に気付かなければ「なんだこの13話は!?めっちゃクソじゃん!」と激怒しかねない。
実際放送直後は、円盤購入特典のOVAじゃね?とも言われてました(余りにもファン向け…悪く言えば内輪ウケに走ってるので)。
まぁ直接スタッフに聞いたワケでもないし、放送スケジュールの管理ミスでOVAを放送せざるを得なかったとかの可能性は否定できない。
いずれにせよこれをTV放送したのは凄い。
もしたまたまTV付けたら13話やってて、ついついその回だけ見ちゃったって人が居たら…永久アリスって糞だな!としか思わないもの。
制作がトライネット(一応説明すると、当時トライネットは糞アニメの総本山的扱いをされてた)なので、そこら辺は気にしなくていいとスタッフは判断して作ったんじゃないか~とも思ったり。
前科にこいこい7があるって言えば分かる人は分かるかと。

それと※印の部分。
別の解釈として「リデルはこれでも喜んでる」ってのもある。
本編の流れからして、またありすが最後悲しい顔をしてた点から、あの世界のキャラクターにも人格があったっぽい?
暴れてないってことはこんなので承服してるということか(ありすの監視が厳しいからかも)。

また有人が読ませてた対象のきらはにとってはまんざらでもなかった模様、というか途中で寝ちゃってる辺り興味なさげ。
もしここで「クソだ」と怒ってたら第二のリデルになってたワケだけど。
ここら辺も「誰もが認める物語なんか無い、読ませたい相手にとって満足ならいいじゃないか」って感じのメッセージが込められてるのかも知れない。

はたまたメタ的に考えると、本編で「キャラクターが原作者の意思を離れて勝手に動き出す」を描いてたため、実際にアニメーターにそうなった気分になってもらって脚本書かせた、とか。
その結果内輪ネタっぽくなったというのも考えられる、かな?

と、13話は色々と考えさせられる問題作になってます。
できればこのネタバレを見ずに13話を見て欲しいっすなぁ、けど紹介しないと見る気起きないだろうしなぁ…。


余談1
一見クソアニメに思えても見方によっては面白く楽しめるんじゃないかなー?と強く思わせた作品。
他のアニメの感想でも視聴姿勢(どう視聴すればいいか)を気にする表現をよくすることがあるけど、この作品の影響もあるかも。

余談2
この作品の13話はワザとクソにしてるけど(そう解釈してます、実は違うかも知れない)、それと大差ないようなものを本気で作った作品もたまに見るような…?
なので散々クソクソ言ったけど見てみたら「そうでもないじゃん」と思う人も居るかも?

余談3
オープニングでリボン状に文字が流れるシーンがあるけど、そこに書かれてる字はどうやら各サブタイトルになってる模様(人づてで聞いただけで確認はしてない)。
そうであるなら、やっぱり構成はしっかり作られてたんじゃないかな?
やっぱり13話は事故ではなく元からTV放送する予定だったのではなかろうか。{/netabare}

投稿 : 2017/09/11
閲覧 : 534
サンキュー:

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