「この世界の片隅に(アニメ映画)」

総合得点
82.8
感想・評価
690
棚に入れた
3059
ランキング
346
★★★★★ 4.2 (690)
物語
4.3
作画
4.2
声優
4.2
音楽
4.0
キャラ
4.2

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ネタバレ

oneandonly さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 5.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

思ったより戦争について考えてしまう作品

世界観:7
ストーリー:7
リアリティ:10
キャラクター:7
情感:6
合計:37

第2次世界大戦下の広島・呉を舞台に、大切なものを失いながらも前向きに生きようとするヒロインと、彼女を取り巻く人々の日常を生き生きと描く。昭和19年、故郷の広島市江波から20キロ離れた呉に18歳で嫁いできた女性すずは、戦争によって様々なものが欠乏する中で、家族の毎日の食卓を作るために工夫を凝らしていた。しかし戦争が進むにつれ、日本海軍の拠点である呉は空襲の標的となり、すずの身近なものも次々と失われていく。それでもなお、前を向いて日々の暮らしを営み続けるすずだったが……。
(映画.comより抜粋)

今年、社会現象にまでなったアニメ映画「君の名は。」よりも良いと評判のあがった作品なので、劇場で見ておこうと足を運びました。

全体としては、評判が良いのも頷けると思いました。戦争を題材にした作品は多くありますが、直接に反戦をアピールするものではなく、淡々と平凡な幸せが崩されていくところが描かれています(原爆の落ちた広島の市街地ではなく、呉を舞台にしたことも適切な距離感を生んだように思います)。

日本では、戦争を否定すると左翼、戦争を肯定すると右翼、みたいなレッテル貼りをされる風潮があるように思いますが、これはとても歪んでいるし、策略にはめられた考え方ではないかと思います。

先の戦争も日本の軍部が主導したかのように言われてきましたが、真相には、共産主義の策略や、米国の挑発や、帝国主義というその時代ゆえの理由がありました。その時代を懸命に生きた私たちの祖父母・曽祖父母たちを否定することなどできませんし、命を張ってくれたことに感謝しなければなりません。それを認めた上で、同じ過ちを繰り返さないように、未来につなげていく必要があります。

物語では、{netabare}義姉の娘が死んで、主人公(すず)だけが生き残ってしまうという話がありました。義姉はすずを恨みますが、終盤ではすずを許します。義姉の心の動きについての直接的な描写はなかったように思いますが(見落としているかも)、そのうちに、義姉が下関に移動するための外出中に起きたものであり、それに付き合わせたために、すず(が楽しみとしていた絵描きをするため)の右腕を奪ってしまったという申し訳なさに気付いたのだと思います。

この話に登場しない多くの一般市民が、同じように悲劇に巻き込まれて十字架を背負う、そんな状態だったのだろうと想像されます。しかし、これも戦争さえなかったら起こらなかったのですから、終戦の玉音放送を聴いた後のすずの慟哭が胸を打ちますし、戦争の罪の深さが理解できるのです。

そして、戦争の渦中にあっても小さな幸せや笑いを絶やさずに力強く生きていく姿に、何度も癒されましたし、実際にその時代を生きている人々をリアルに感じるとともに、平和な時代に生き、白いご飯をたらふく食べられ、科学技術の発展の恩恵(冬場の洗濯のシーン!)を受けられる自身や家族の幸せも感じました。{/netabare}

押し付けがましくないゆえか、思ったより戦争について考えてしまいました。
誰にでもおすすめできる作品だと思います(全世界の方々に見てもらいたい)。

(2016.12 劇場にて鑑賞)

(2022.8 追記)
全体調整にて、キャラクター評価点を7点に、情感を6点に修正しました。

投稿 : 2022/08/23
閲覧 : 415
サンキュー:

51

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