「キズナイーバー(TVアニメ動画)」

総合得点
71.5
感想・評価
771
棚に入れた
3689
ランキング
1290
★★★★☆ 3.5 (771)
物語
3.4
作画
3.6
声優
3.5
音楽
3.5
キャラ
3.5

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ネタバレ

STONE さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

判らないからこそ、近づこうとする?

 個人的には序盤まではやや退屈な印象があったが、中盤以降は結構引き込まれた。
 キズナイーバーの実験自体は園崎 法子を救うのが目的だったりするが、メイン描写と
なったのは阿形 勝平ら被験者となった7人の実験過程における友情形成やトラウマ払拭
だったりと、一種の付加価値的要素の部分で、SF的設定こそあるもののジャンル的には青春
群像劇といった感じ。

 キズナシステム自体は痛みを共有するものだが、実際のところ友だちにしろ、恋人にしろ、
喜びや楽しみより、苦しみや悲しみを共有する方がより深い仲の印象があるし、更にそこに
至るまで時間が掛かる印象がある。
 そういう意味でも感情共有のための初期段階で、まず痛みからという考え方はなかなか
面白い。まあ、これ自体は失敗の副産物のようなものだったみたいだが。
 ただ、ストーリーが進むに連れて、痛みからその先にあるものを共有するようになるが、
結局はキズナシステムそのものも仲を深めるきっかけにはなっても、それ自体が友情を育む
ために必要なものではなかったり、法子を救うためのものでもなかったところも興味深い
結果だった。
 キズナシステムのような言葉を介さずに繋がることを肯定的に捉える他作品がある中、それを
否定して終わるというのも面白く、その根拠となる「相手に判らないところがあるからこそ、
相手を知ろうとする」という考え方もそれなりに説得力のあるものだったかなと。
 実際、キズナシステムのようなものを推し進めていくと、「全ての意思を一つに」なんて、
他作品の悪的なものに近づいていくような。

 人間ドラマとして話を複雑にしていたのが恋愛模様で、この多角関係はそれなりに
面白かったが、メインキャラの勝平と法子がくっつくという、なるようになった終わり方。
 個人的には本作のような幼い頃の出会い、あるいは他作品での前世での関係や選ばれし者と
いった理由でくっついてしまう恋愛はあまり好きではない。
 劇中では、キャラの感情は現在も相手に恋愛感情があることにはなっているが、作品全体を
俯瞰的に見てしまうと結局は本人の意思より運命的なものによりくっつくことが決められている
感じがしてしまうため。
 ここで書いていて気付いたが、幼い頃に出会いを果たしているが主人公はそれを忘れており、
そして再会を果たすと相手に惹かれていくという・・・、これって
「ダーリン・イン・ザ・フランキス」のヒロとゼロツーとまんま同じだ。傍に主人公に好意を
寄せる娘がいるが、主人公はそれに気付かずという点も一緒か。まあ、どっちもTRIGGER
だからなあ。

 キャラも7人のキズナイーバーが個性的でなかなか魅力的だった。
 序盤はいずれもステレオタイプな印象でそれほどでもなかったが、話が進むに連れて、深みが
増していった感がある。
 意外性が強かったのが日染 芳春。当初はその登場から「キズナの会」から送られて実験の
ためにトラブルを巻き起こす役回りかと思ったが、そういうこともなく、むしろトラブル克服の
突破口になっていたような部分が多かった。この辺は他のキャラ同士が色々な相関関係に
ある中、一人外れた位置にあり、更に自身の過去にトラウマのようなものもないため、
フラットな立場で臨めたのが大きかったように思える。
 あと多くのキャラがなんだかんだで痛みを共有するのに躊躇することが多い中、マゾゆえに
痛みが好きというのも結構大きかったような。

 テレビ放映時、同時期に放映された「迷家‐マヨヒガ‐」が同じく岡田 麿里氏のシリーズ構成。
 更にテーマが心の問題を扱ったもので、スタイルが群像劇ということで、本作と並べて観る
ような感が強かったが、ある程度放り投げた感のある「迷家‐マヨヒガ‐」に対して、本作の方が
強いテーマ性が感じられた。

2018/09/26

投稿 : 2018/09/26
閲覧 : 271
サンキュー:

5

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