「南鎌倉高校女子自転車部(TVアニメ動画)」

総合得点
63.5
感想・評価
205
棚に入れた
747
ランキング
4212
★★★★☆ 3.1 (205)
物語
3.0
作画
3.2
声優
3.2
音楽
3.2
キャラ
3.1

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ネタバレ

ムッツリーニ さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.8
物語 : 1.5 作画 : 3.5 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

6時間耐久ヒルクライム

「ろんぐらいだぁす」に続く自転車アニメということで、原作をちょろっとだけ読んで「この絵どっかで見たことあるなぁ」と思ったら、作者はミニスカ宇宙海賊(アニメはモーレツ宇宙海賊)の挿絵を書いた人なんですね。
ずい分昔から活動されてる方のようで、だからという訳ではないでしょうが、作画からキャラデザからストーリーから何から色々と凄いです。
例えるなら、田舎町に昔からある飲食店に感じる郷愁にも似た独特の空気をこの作品にも感じます。
忌憚なく言えば古臭いです。
ただまぁ、それ自体は所謂「味がある部分」として許容できるものではあるし、絵柄が古くても雑でも面白い物は沢山あります。いわば「故郷を思い出す懐かしの味」というやつです。

{netabare}しかし問題はストーリーですね。
まず「高校生にロードバイクなんて買えないだろ」というツッコミは、「むしろ高校生だからこそ好きな物だけに遠慮無く金を使える」ということでスルーするとして、
自転車屋が商売度外視というか、常識的に考えてありえない行動を取るのは正直どうなのかと。もっと言えば、縁もゆかりもない主人公達に親切すぎやしませんかね? まぁ親切すぎるのは良しとしても、試乗に目の届かない所まで行かせるとかセキュリティ上の問題としてあり得ないと思うんですが。
それに自転車部を設立するにあたって、喫茶店みたいな部室をもらう話があるんですが、「それって本当に必要?」と思ってしまうんですよね。
「けいおん!」とは違って、基本屋外活動が中心の部活動でそこまで豪華な部室が必要かという疑問。
狭い部室でワイワイやるんじゃいかんのかと。
あとこの話に付随して校長先生が元自転車部員というのが明かされて、これが主人公達を贔屓にする理由になるんだけど、自転車転がして観光するだけの部活をそこまで贔屓にする理由が果たしてあるのかという疑問。
キャッキャウフフしてるだけじゃいかんのかと。
そもそもその立ち位置って顧問の先生じゃいかんかったのかとね。
しかしまぁそこら辺は他の漫画アニメでもよくある展開だし、作風としてネガティブな要素を潰していくのは間違いではないでしょう。ただそれ以上に致命的な問題があります。

とにかく話が長い。

もう1話の時点で「ん?」となるんですが、主人公が自転車に乗れないんですよ。それなのに無理やり自転車通学しようとして、江ノ電の極楽寺駅まで行くんですが、そこで稲村ヶ崎駅から歩いてきた(学校とは反対方向)後の親友ポジの女の子と出会い、なんやかんや話をした後、なぜか自転車に乗る練習を始める二人。もうこの時点で行動原理が謎です。君ら学校はええんか……?
その後、部活見学したり、欲しい自転車が買えなかったりしつつなんとか部を立ち上げるまで進み、6話から8話にかけて部活動の実績作りとしてレースをするんですが、テンプレとしてトラブルが続出するわけです。その度に「頑張りましょう!」とか「1位を取ろう!」とか励まし合うんですが、「お前らレースしてるんとちゃうんか」と。
他の人が自転車ガシガシ漕いでる間になに呑気に止まって話してんの? 舐めプなの? しかもそれでほんとに1位取るとかふざけてるとしか思えない。
タイムを競うレースなのに時間差で走りだしておいてゴールのタイミングは同じなのもおかしいし。
設立直後の部活に実績が必要とか言い出すのも意味がわからないし、更にその直後に自転車レースが開催され、更に参加者は学校の生徒のみ。しかも賞品はロードバイクのフレームとか、これ完全に仕込みですやん。
しかもそのフレームを元にタダで自転車組んでくれるってよ。やったぜ(白目)
大体にして3話も使うような内容でもないですし。

ところで我々は物語を批評する時、「現実感がない」という言葉をしばしば用いますが、これには2種類の意図があるでしょう。
一つは現実世界を舞台にした作品に対して、物や人の行動や心理における実存性という意味での現実感。
もう一つはSFなどにおいて、実際にそういう世界が存在するかもしれないと感じさせる実在性という意味での現実感です。
この作品は前者に分類できるでしょう。
とにかく登場人物の言動に違和感しか覚えず、なまじ背景だけは現実に即してる分剥離が酷い。
自転車とは関係ない余計な話も多いし、全体的に何がしたい話なのか見えてこない。
見続けていくには曲がりくねった峠道をゆっくり延々と登り続けるようなしんどさがあって、最終的には慣れと惰性と諦めという、MMORPGの生産職のような心境になります。(つっこみ疲れとも言う)

そうそう。現実感がないとは言うものの、地形的にはかなり現実に忠実に作っていると思います。
タイトルにもある南鎌倉高校のモデルは稲村ヶ崎駅と七里ヶ浜駅の間にある某県立高校で、4話の自転車勝負に使われた学校前の坂道もあんな感じです。近くの稲村ヶ崎は景勝地としても知られていて、実際に江ノ島と富士山を同時に見ることが出来ます。(……1話の絵面の通りの景色を拝むには海岸まで出る必要があるだろうという懸念は置いておくとしてですが)
そういう視点に立てば鎌倉市の観光PVとしては良く出来ていると思います。
観光をほとんどしないことを除けば。{/netabare}

投稿 : 2017/03/09
閲覧 : 205
サンキュー:

4

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