絶望の海に沈んだ少年と、希望とともにあり続けた少女四月は君の嘘(TVアニメ動画)

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「四月は君の嘘」

よみがな:しがつはきみのうそ

放送中:2014年秋アニメ(2014年10月~放送中)

★★★★★ 4.3
物語:4.3 作画:4.4 声優:4.2 音楽:4.4 キャラ:4.2
総合得点 89.2
感想・評価 3763
棚に入れた人 14007
ランキング 43
母の死をきっかけにピアノが弾けなくなった元天才少年・有馬公生。モノクロームだった彼の日常は、一人のヴァイオリニストとの出逢いから色付き始める。
傍若無人、喧嘩上等、でも個性あふれる演奏家・宮園かをり。少女に魅せられた公生は自分の足で14歳の今を走り始める。(TVアニメ動画『四月は君の嘘』のwikipedia・公式サイト等参照)

しろくまさんの感想・評価

2017.03.24 01:06 しろくまの評価 | 観終わった| 390が閲覧 ★★★★☆ 4.2 評価対象: 四月は君の嘘(TVアニメ動画) 物語 : 4.0  作画 : 4.5  声優 : 4.0  音楽 : 5.0  キャラ : 3.5

絶望の海に沈んだ少年と、希望とともにあり続けた少女

主人公である有馬公生は、虐待にも似た過酷なレッスンにより、幼くして天才ピアニストと呼ばれるまでの技術を獲得したが、同時に演奏を楽しむ心を失った。

ヒロインである宮園かをりは、ある日知らされた事実により、それまで踏み出せずにいた夢に向かって進む決意を固め、同時に1つの嘘を貫く覚悟を決めた。



本作はそんな、無理に動かされたがために狂い、止まってしまった時間を過ごしている少年と、
止まってしまうからこそ動き始めた時間を走り出した少女を中心とした青春音楽アニメ。


2人の出会いから幕を開け、主人公である公生視点で物語は進行していく。


公生から見たかをりは、天真爛漫、奇想天外、暴力上等、つまりは印象最悪。
しかしそんな彼女のヴァイオリン演奏は、個性的かつ情熱的で、正確にピアノを弾く技術だけを積み上げてきた公生を魅了する。(2話のかをりの演奏には公生だけでなく自分も一気に引き込まれた)

その瞬間公生の中に芽生えた憧れ、そして恋心。でも彼女の視線の先にいるのは公生ではなく、彼の親友。
自分はあくまで友人Aであり、伴奏者であり、代役。そう自分に言い聞かせ、モノトーンの世界に留まろうとする公生を、かをりは放ってはくれない。

コンクールに出場しろ、練習をしろと執拗に追い立てられ、強引に連れ回される日々。
背中を蹴られるように戻っていった懐かしの舞台に広がる、トラウマだけでない音楽の世界。

それはショック療法のようなかをりとの協奏の中で思い出した、歪んでしまう前の母の教えだったり、
五線譜の檻から脱し感情に任せて音楽を奏でることの楽しさという、演奏者としての原始的な喜びだったり、
衰弱していく母のために演奏していた頃には気付けなかった、ライバルたちが自分に寄せる対抗心や、その裏にある公生への憧れだったり…

無理に動かされた時間の中で見落としてきた想いと、それらに支えられていた自分を、再びピアノと向き合うことで発見していく。立ち直り、夢を見つけ、そして(よ~やく)自覚する、全てのきっかけをくれた少女への恋心。

絶望の海から這い上がり、今度は完璧な天才ピアニストではなく「変なピアニスト」としての道を歩み始める公生。

カラフルに色付いていく公生とは対照的に、夢を叶えた後どんどん色を失っていくかをり(視覚的にも色を失うというねwアニメならではの表現だけどなかなか珍しい)。
2人の与え与えられる関係が逆転していく後半。遠い場所から演奏によって想いを届ける公生の行動がかをりを励まし、それによって彼女は希望とともに戦い抜くことができた。

観終えて理解するタイトルの意味。薄々勘付いていても、しっかりと彼女からの言葉として綴ってくれたのは良かった。

そして、次の曲が始まるのです!{netabare}(かをりの想いを1つ1つ辿る2周目的な意味でw){/netabare}


「エロイムエッサイム、エロイムエッサイム。我は(パンチラとおっぱいを)求め訴えたり」

のスタンスで観てることの多い自分には完全に(萌え)豚に真珠のようなアニメでしたけど、観て良かったと思える作品でした。


以下はネタバレあり。

【苦手な部分中心の感想】

{netabare} まず苦手な部分を列挙すると

・唇をくっきり描いてる女性キャラのデザイン
・言い回しがポエム系(直喩の多いタイプはどうにも野暮ったくなりがち)
・青春恋愛ものというジャンルそのものw
・メインの女性キャラ2人が理不尽暴力系(かをりは完走すると印象良くなったけど)

1話視聴したとき、完全に自分はお呼びでないアニメだなと感じたので継続しようか迷いましたが、
あやねるとたねちゃんがメインの女性キャラを演じてたという一点で継続w

キャラデザとジャンルに関してはどうしようもないけど、残り2つに関しては苦手ながらもその中では大分視聴しやすい作りでしたね。

一言で言うと「話のテンポや緩急の付け方が良い」。
とだけ書いても小並感すぎると思うので少し具体的に書くと、

臭い台詞を放った後や、ラッキースケベでぶん殴られる→流血などの後には、
割とすぐ場面が切り替わり次の展開に移ってくれるのであまりクドく感じない。
興味が他に移り苦手要素が後に引かないのは良かった。何か不幸中の幸いみたいな言い方ですけどw

現在放送してる、同じくポエム系の言い回しをする「3月のライオン」と比較すると、
コメディリリーフの入るタイミングも早く、言葉の余韻に浸らせる間があまり設けられていないのも良かった。
(自分にとっては余韻に浸るというよりは恥ずかしさに堪える時間であることの方が多いのでw)
直喩の多いタイプは言葉の意味がストレートに伝わってくる分、
自分の中で考え咀嚼する時間も必要ないためこのテンポの良さはありがたかったですね。

コメディはもう少し普通に笑える要素があっても良かった。
重くなりがちな雰囲気を緩和させる最低限の役割しか果たしておらず、
キャラへの愛着を深めるほどのものではなかった。
コメディで普通に笑えた場面は1つだけでした。(何話だったか忘れたけど、椿が公生の良いところを挙げようとして全く思い浮かばずフォローできてなかったところw椿のデフォルメ顔が不意打ちであれは思わず笑った。){/netabare}


【良いと感じた部分中心の感想】

〇演奏シーンについて

{netabare}まずは何よりも演奏シーン。自分にとって色々とマイナス要素の多い本作への箸を進めた最も大きな要因です。

演奏シーンの良さを言葉で語るのは難しいですが、頑張って綴ってみます。

①注目すべき奏者の演奏を強く印象付ける、極端な作画カロリーの配分
(躍動感溢れる動き、すばらです!)

②素人が聴いても分かる演奏の変化
(いわば楽器演奏による演技。演奏一つで場の空気が変わるのが感じられるのはすごい)

③緊迫した表情だけでなく心象風景も多分に取り入れ、キャラの心情を画面いっぱいに伝えてくる数々の演出
(絶望の海に溺れる、次第に消えていく音符など)

④どうしても受け手のアンテナに左右されてしまう、音楽という非常に感覚的な「言葉」を、視聴者に理解・納得させるための助けとなっていた、作中の人物たちのモノローグ

前者2つは文句なく素晴らしかったです。
③は何度も出てくる母の亡霊が流石に少ししつこいと思った以外は特に不満はないです。
④に関しては、モノローグはメインとなる音楽と同じく、聴覚に働きかける性質のものである以上、
「演奏中の状況・心情理解を促す手助け」と、「演奏に聴き入る心地よさを阻害する冗長さ」
とのバランスが難しいと思いますが、概ね良かったです。
不満は8話で絵見が演奏中に連呼してた「響け!」が少しクドいなと思ったことと、
(あそこはできるだけ回数少なめにして音楽に集中させて欲しかった。モノローグに頼らずとも音楽とキャラの表情だけで彼女の気持ちは十分伝わるのになと思った)
ごく一部だけどお前はエスパーかとツッコミたくなるほど、
奏者の心象風景を完璧に言い当ててる聴衆のモノローグがあったことくらい。
(雰囲気に浸ってるところで笑わせるのはやめてほしいww嫌いじゃないけどさw)

まあでもそういった細々とした些細な不満など鼻息で吹き飛ばすくらい、全体的には良かったです。

「音楽は言葉を超えるのかもしれない」
「音楽が自由なんだよ」

普段の自分ならば小馬鹿にして茶化しそうな台詞の数々に真実味を持たせるには、
何よりもその音楽でもって視聴者を飲み込まなくてはいけない。
そういう困難な課題を、本作は幾度となくクリアしていた。それが、一番非凡だと感じた点。{/netabare}


〇ストーリーについて

{netabare}典型的なメロドラマだったなというのがまず抱く感想。
全体の構成も奇をてらったものはなく、予想できる結末にそのまま着地したという印象。
紹介の部分でも書いたけど、前半後半で公生とかをりの関係が綺麗に逆転する構成はなかなか良かったです。

自分は演奏シーンのクオリティの高さが視聴意欲を支える一番大きな柱だったので、演奏が関わることがほぼない椿の恋愛云々にはそこまで関心は向かなかったですね。
演奏以外も良いと思うようになったのは、ライバルたちが絡むようになってからでした。公生がピアノのコンクールに出場するあたり。2クール目に登場する、作中のラブリーマイエンジェル相座凪ちゃんの登場や、かをりのバックボーンが次第に明らかになってくることも合わせて、視聴を進めるごとに面白くなりました。

細かくは各話ごとの感想(演奏シーンのある回中心)で↓
割とあやふやな記憶で書くけど勘弁してくりゃれ。


・2話

{netabare}かをりのヴァイオリンソロで一気に視聴のテンションが上がった。
苦手ジャンルなので当然原作は未読だったし、そのクール中に放送されてる作品の情報は基本的にシャットアウトして観るタイプな上、直前のモブキャラの演奏が静止画で少し落胆してたこともあって、完全に虚を突かれました。
まず「!?」みたいな漫画チックな驚きを覚え、一拍置いた後に「えーと…これ、TVアニメですよね?何このクオリティ…ふええ怖いよう…ふええ…ふえええええええええ!?」と興奮し、発狂した。あ、失禁はしなかったです。

切っちゃう作品は大抵2,3話で切るので、ここでグッと作品に引き寄せられたのは幸福なことでした。
2周目を観ると、演奏前にかをりが「届くかな?届くといいな。」と言っていた意味や、
コンクールが終わった後、公生に対し感想を求めた際手が震えていた意味が分かりますね。
(憧れの公生からの評価が何よりも怖かったのかもね。彼女の演奏は公生のためにあったわけだから。){/netabare}


・4話

{netabare}何か色々な方の感想を読んでいくとここが序盤の山場という評価だったんですね。まあ確かに良かったもんなー。

日常での付き合いだけでなく、演奏においても強引なリードを見せつけるかをりさんが鬼畜w突然曲のテンポを崩して荒らすとかw
でもそれも深く沈んでしまった憧れの人を引き上げようとする彼女なりの優しさと、残り少ない時間を使って精一杯想い人の心に住もうとする必死さ故の行動なのがまたねwああそれと幼い頃から夢見たシチュエーションが実現している高揚感もあるか。

かをり視点で見ると、4話がある意味ピークですよね。
公生との共演という夢を叶え、力尽きたかのように倒れ以後は入退院を繰り返してしまいますから。
演奏者としてのかをりの活躍が見れるのもここが最後ですし。
2周目だと何で(自身のコンクールを放棄してまで)公生に合わせて演奏を中断し「アゲイン」したのかという理由も分かってまた面白い。

ちと備忘録も兼ねてかをりについて綴ってみます。

かをりは、ヒューマンメトロノームとなる前の公生のピアノを聴いてから、ずっと公生との共演を夢見てきた。
公生からは天真爛漫、奇想天外、暴力上等に見えていた彼女は、本来は内気で臆病で、地味な眼鏡っ子。
その控えめな性格と、公生がピアノをやめてしまったという事実から、公生とはまた違う意味で止まった時間を過ごしていた。
不治の病が皮肉にも彼女に勇気を与え、仮面と嘘で覆った姿で公生に接近していく。

そういえばかをりは何で偽った姿で公生を導いていったのでしょうかね。(今更ですがw)

仮面の方は、ふさいでいる公生を強引に引っ張るために演技しなければならなかったというのが一番大きいかと思いますが、渡が好きと嘘をついたのはなぜだろう。ここは視聴者が好き勝手に予想していい部分だと思うのでちと考えてみますか。

『四月についたかをりの嘘』

その背景には、

「仲の良い幼馴染たちの間、特に椿と公生の間に割って入ることへの罪悪感」と、

(手紙で椿の公生への気持ちは知っていたと言ってましたし、かをりの本当の性格上そんな椿への遠慮があったとしてもおかしくないかと)


「女性関係には節操がない一方、その人柄の良さから渡なら許してくれるだろうという計算」と、

(自分は渡にとってその他大勢の女の子の一人にしかならず、渡を大きく傷つけはしないだろうと踏み、かつ椿の恋も邪魔せずに公生の近くにいることができるポジションだと予想したのではないかと)


何よりも、
「幼い頃から憧れ、恋をした相手である公生を傷つけたくないという思いやり」があったのだと思います。

(仮に公生が好きと言ってストレートに接近し、実際に恋人関係になれたとしても、結局自分は逝ってしまうわけであり…近づきすぎればそれだけ公生を傷つけることになる。そうなってほしくないからこそ、自分の想いは胸に秘め、公生の救済と、せめてもの夢の成就だけを願い、実行したに一票w)


公生に近づき、救いたいという自分の想いと、
遠慮、思いやり、少しの甘えといった友人たちへの想い。
それらがせめぎ合い、形となったものが、嘘による一歩引いた関係性だったのだと思います。

しかし人の感情は、いや自分の感情さえも、思い通りにはいかないもので、当初のかをりの思惑から逸れていく。

公生は、(自分を励ますためのものとは露とも知らずに)かをりの演奏に、そしてかをり自身に惹かれ、恋をする。
そうならないように、進展しないようにと、「友人A」「伴奏者」「代役」とあえてラベリングすることで事あるごとに一線を引き、抵抗してみても、
公生のかをりへの想いは感謝とともに強まっていく。

公生のかをりへの想いに気付いた椿は、公生が再びピアノを弾くようになったことが嬉しい反面、2人を引き合わせたことを後悔し、そんな自分に自己嫌悪しながら傷ついていく。(聖人君子の先輩はなかなかの犠牲者であるww)

自分など渡の中でそれほど大きい存在にはならないだろうと踏んでいたのに、彼にとっては忘れられない別れとなった。

かをり自身も、告白を受けたことや、立ち直った公生の想いに溢れた音楽を聴いたことで未練が膨らんでいった。


かをりの言動や行動に注視しながら2周目以降を視聴すると、自分の想いを隠しながら
公生を立ち直らせようとする姿が色んな場面で垣間見えておもろい。
それでも抑えきれてない想いが行動に現れていたりw
(もちろん本心は隠しながら。帰り道、渡を待ってるのと言いながら公生を待っていたりとかねwかわいいやんww)
{/netabare}


・8話

{netabare}ライバル2人の登場。
まず、武士のオモシロヘアーと真面目な表情のギャップねw
彼の頭の上だけアンチグラビティフィールドが広がってますよこれはw
でも、演奏が始まるとそんなオモシロヘアーのことも一瞬忘れるくらい没入させられた。

絵見は、この作品に欠けていた黒髪ロングストレート枠を埋めてくれたありがたい存在。
はやみんボイスの「キモ…」は良いものだ…(しみじみ)
演奏も、少しクドい「響け!」を除けばとても良かった。
演奏が終わり、聴衆に向かって左手を挙げ拍手に応えたときに見える脇も良いw
(初見時は完全に注目するの忘れてたけどwこんなんじゃペロリスト失格ですわ)

ネタ的な感想はここまでにして…
ここは結構好きな回。何で好きかというと、
まず、メインキャラの4人よりもサブキャラであるライバルたちの方が魅力的だったことと、演奏シーンが豊富だったこと。

加えてストーリー的にも熱くさせられる展開。

武士も絵見も、2年経ってもなお、自分の前を歩く存在として公生を求めていた。
対抗心をむき出しにしながらも、その裏には自分をピアニストの道に引き込んだ公生への純粋な憧れがあった。
2年分の溜まった想いを演奏で吐き出す2人。そして2人の想いをしっかりと受け取る公生。

8話は、かをり以外にも音に想いを託す存在が現れるというのが良いですね。
過去に出会った公生のピアノのおかげで今の自分がある。
そう思っているのはかをりだけでないと判明する。(かをりのルーツはこの時点では明らかになっていないけど)
公生の演奏に突き動かれた人々が、今度は公生を突き動かそうとする展開がとてもドラマチック。(メインのかをりも含め)
色んな人の中に公生が息づいていたこと、その事実を公生自身が知ってくれたことが、何だか嬉しかった。

憧れの形が一様でないのも良い。
特に「正確無比な天才ピアニスト」としての公生に憧れていた武士の願いは、
話の流れ的に叶わないことが確定していて、その後のサブストーリーを盛り上げてくれた。
(細かくは凪ちゃん編ででも) {/netabare}


・10,11話

{netabare}コンクールの場で演奏に乗せて、次はホタルに囲まれた河原で、音楽と言葉の両方からかをりに告白した公生。
(言葉の告白遠回し過ぎだろwこのアニメのポエムはやっぱ恥ずいわあw)

河原での告白は、夜空の下の2人をホタルの光が照らしている映像と、珍しくピアノじゃない(しかも歌詞付き)BGMも相まってなかなか幻想的でした。

てか、かをりがはっきり答えないとしても公生返事聞かないのかねw
かをりは渡のことが好きだ(と思っている)から、とりあえず自分の想いだけを伝えたって感じなのかな。
自分への評価は未だに友人Aだけど、ちゃんと自分の好意をごまかさずに伝えた分、卑屈さは薄れたかな。

ホタルに重ねる自身の境遇とか、ラストのチャーリー・ブラウンの台詞とか、
11話のかをりの死亡フラグっぷりは全体的にも上位かもしれない。 {/netabare}


・13話(というかガラコン編)

{netabare}告白を受けたかをりからの返事は、ガラコンで「愛の悲しみ」を演奏しようという提案(強制)。
「悲しみに慣れておくため」に公生ママがよく弾いていた曲を、
今度はかをりが弾くと言う。公生もともに弾けと言う。
亡くなった母親を思い出すから公生は当然気乗りしない。

公生にとって大切な2人の、奇しくも一致した行動。
提案どころか強行していったかをりの真意は…
おそらくこれも公生ママと同じで、(来るべき別れに備え)悲しみに慣れておけということですかねえ。

ガラコン編の後からは、かをりと公生ママの境遇はますます重なり、
かをりの残された日々の痛ましさが徐々に増していった。
公生を導く役もガラコン編を最後に紘子に完全に移り、かをりは病院が主な居場所になるんですよね。

ガラコン当日。変装して来たのにあっさりバレてる絵見がかわいいw
出番が迫ってもかをりは来ず、一人で演奏することに決めた公生。

かをりが居なくともその凄さを代わりに証明してやろうと躍起になり、曲に合わない演奏を披露してしまう前半と、
集中し始めて音が消え、母が残してくれたものが次々と溢れる後半。
その切り替わりがはっきりと感じられる良い演奏でした。
コンクールのときもそうだったけど、同じ曲の中でこうも感情の変遷を表現できるのはすごい。

それまでと違い、13話は公生ママの目がちゃんと描かれるようになっていたのも何気に印象的。

かをりと公生ママ、死期を悟った2人がそれぞれ全力で公生に与えていったもの。
それは光と影のような関係で描かれてきたけど、公生ママが残していったものの印象をガラリと変えることで、実は両輪のような関係だったことが判明します。

2人が与えたものを自分なりに言葉にしてみると、

自分の感情を、溢れるままに音に乗せ、表現する「感性」と、
その感性に従った演奏を、聴く人の琴線に触れるレベルにまで引き上げる「技術」

と言ったところでしょうか。
他人の作った譜面の指図を受けることなく、自分の感性に従って表現したとき、
(自分で作曲した曲でなくとも)その音楽は自分のものになる、
つまり音楽は(作曲者の手を離れ)自由になる。
弾く人間(の感性)の数だけ音楽がある。
それが、「音楽が自由なんだよ」に込められた意味じゃないかと考えます。

そして、これは次の相座凪ちゃん編を観て感じたことですが、
自分と戦い続け、血の滲むような努力で手に入れた技術をもって、(他の誰のものでもない)「自由な音楽」を奏でたとき、音楽は共有され、心は重なり、「音楽は言葉を超える」ということでしょう。

陳腐です!


2人の大切な人から、十分な「感性」と、それを表現し得る「技術」を受け取った公生は、
相座凪ちゃん編で次のステージへと進むことになります。
先達として後進にその2つを伝えるというステージに。(公生はまだ14歳なんですがw)

注意深く読み解くと、主人公の成長物語が非常に丁寧に作られているのが感じられます。


少し話を戻して、
母親に対する心の葛藤に美しい形で決着をつけたガラコン編。
良い回だと思いますが、父親はいるという設定なのに全く出てこない公生パパと、
あんなにも責任を感じていた紘子が2年間公生を放っておいたという点など、イマイチ解せない部分も残りました。

公生パパ、出てこないなら居ない設定の方が良かったかも。
公生ママが逝っても公生を託せる身内がいるのでは、あそこまで歪んだことの説得力が少し薄まってしまうかな。
自分が逝ったらもう誰も頼れない!という状況の方が、何とかして音楽家として食べられるだけの技術を叩き込もうとした行動に違和感がないように思います。{/netabare}


・相座凪ちゃん編(くる学祭編の16話~18話。19話の「さよならヒーロー」も少し)

{netabare}本筋である公生とかをりの物語も彼女の病状の悪化とともに重苦しくなってきてて面白いんですが、凪ちゃんについて記述したいのでそっちはほとんど割愛。

作中で一番好きなキャラ、相座凪ちゃんキター!
何が好きかって、ポエムだらけの作品の中でに唯一「陳腐です!」とまともなツッコミをくれるところなんだよねw
本作のポエムがどちらかと言えば苦手な自分にはめちゃくちゃありがたい存在でしたよ。
メインキャラに一人いてくれればなあと思うキャラだったw
表情も豊かでかわいいし、腹黒いところとかも好き。絶対領域持ちなのも良いですゾ~w



16話「似た者同士」

無敵のヒーローだった公生の凋落に失望し、スランプに陥った武士。
兄のために立ち上がり、名前を偽って公生に近づく凪。
(完全に逆恨みだけど、結構コミカルに描かれてるし、何より凪が可愛いからおk!wただピアノのキーボードカバーで公生の指を折ろうって発想は流石にシャレにならんww)

紘子の指名により、凪の指導は公生に任されることに。
最初の凪のピアノに対する姿勢は、譜面に忠実に弾くことをポリシーにしていて、譜面を完璧に弾く公生を神聖視していた武士の妹らしいキャラ設定。
でも、当の凪本人はとても感情豊かな子で、またピアノの技術も、武士の影に隠れているがその界隈ではかなり注目されている模様。
「自由な音楽」「言葉を超える音楽」を演奏するポテンシャルを十分秘めていたなと、観返すと感じますね。

公生に逆恨みをぶつけようと接近したはずなのに、その意図を見抜いていた紘子の監視下では自由に動けず、一部ささやかな嫌がらせをしながらも普通に公生の指導を受けていく凪。

公生の指導は普段の大人しめの性格とは裏腹に意外に厳しく、あの母あってのこの子だなあと少し感じます。

そんな公生の指導と、自身のプライドの高さもあって、練習から逃げてしまう凪。それを追いかける公生。
神社の石段の上で、互いの心の内を少し見せあう2人。こういう積み重ねが、くる学祭での息の合った連弾へと繋がることになるんですね。(焼き芋に釣られる凪ちゃんかわいかったw目キラッキラですやんww)

敵であるはずの公生にも、自分と同じく背中を追いかけている人がいる。
そのことを知り、ずっと兄を追いかけてきた自分と重ねる凪。生まれる小さな葛藤。
立ち直ってほしい兄を見つめながら、迷いを振り払うかのようにつぶやく。

「われはファントム オペラ座に潜む怪人」



17話「トワイライト」

かをりに先が長くないことを明かされ、練習に身が入らなくなる公生。
元気なく部屋から出ていく公生を最近の兄にも重ね、元気づけようと後を追う凪。

兄に重ねただけでなく、前回のやり取りもあって、
兄の不調の直接的な原因である一方自分と境遇を同じくする者という認識も加わっています。
指導を受ける日々を重ねるうちに公生個人への親愛の情も育ってきているでしょうし。
敵に塩を送るような行為をしたのはそのためかなと。

でも頑なにそれを認めようとしない凪ちゃん可愛い!偶然装ってるけど息切れしてますやん!ww


公生「たくさんの人と音を共有できたとき。たくさんの人に音が届いたとき。心を重ねたとき。音楽は言葉を越えるのかもしれない。」

凪「そんなの陳腐です。女は現実的なんです。言葉しか信用しません。」

もうね、こういうこと平気で言ってくれるから凪は好きww


渡からのかをりへの見舞いの誘いを断る公生。
この直後の廊下での渡はイケメンすぎましたね。
余命いくばくかのかをりにかける言葉が見つからない、会いに行く勇気がない公生の背中を押した最後の一言。

「無理かどうかは、女の子が教えてくれるさ」

結局は、やってみなければ分からない、の意味ですけど、キャストの演技の良さもあって、
女好きでそれでいて優しい渡らしさを表現した良い一言だった思います。これは良い海綿体。
まあクサ過ぎるので台詞自体は好きではないですけどねwでも印象に残る台詞だった。

公生は再度かをりを見舞いに訪れ、彼女が自分の残りの人生を諦めてしまっていることを知り、
そんないじけた奴に食わせるカヌレはないと見舞いの品を自分で食べ、病室を飛び出す。

かをりを元気づけるために何ができるかと考え、凪に頼み込み、くる学祭に出場することに。
頼まれたときの凪の、「青天の霹靂!何考えてんの!?(片方の目が点)→いいですよ(ニッコリ)」の流れ好きw何か企んでる臭プンプンなんだもんw

くる学祭の連弾に向けた練習の日々。公生はかをりのため、凪は武士のために。
向ける相手は違えど立場を同じくする者同士の二人三脚。
凪にとっては初めてピアノに自分のすべてを傾ける時間。
きつい練習、自分に比べ急速に演奏の精度を上げていく公生への劣等感、
背負っている周囲の期待などで一度は心が折れそうになる。

トイレでの紘子と凪のやり取りは良い。かける言葉も良いけど、
トイレの前に胡坐をかいて目線を合わせるさりげない仕草が良いと思った。凪の不安に寄り添う様子を言葉以外でも表現できていたと思う。
コンクール前の武士もそうだったけど、相座兄妹は不安でいっぱいになるとトイレにこもる癖でもあるんですかね?w

迎えたくる学祭当日。
普通に演奏を聴くだけなのに後ろの席に迷惑をかけること濃厚な武士も見に来てますwてか隣のメガネ美少女は誰だよ!

本番直前、凪の緊張を和らげようとする公生と、そんな公生も緊張でいっぱいなんだと知る凪。
指導・練習の日々を通してたくさん知った「ヒーロー」ではなく「人間」の有馬公生。
そのことを、次回演奏で武士に伝えることなります。

まあでも、凪自身、この時点では譜面を正確にさらう演奏を披露するつもりですがw{/netabare}{/netabare}



とりあえずここまで。

僕はまだ旅(レビュー)の途上にいる。

 サンキュー(35)

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