「おおかみこどもの雨と雪(アニメ映画)」

総合得点
84.8
感想・評価
1822
棚に入れた
9943
ランキング
259
★★★★☆ 3.9 (1822)
物語
4.0
作画
4.2
声優
3.7
音楽
3.8
キャラ
3.9

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101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

人気が出てよりシャープになった細田監督作品

公開当時、ネットなどでの評価二分が誠に騒がしく、
一呼吸置いてブームが沈静に向かってから
滑り込みで映画館に観に行った作品。

その後、レンタルDVD等の評価サイトに一番乗りで高評価レビューを投稿する際、
もの凄く緊張したことを覚えていますw


評価の分かれ目は共感度に重きを置いた鑑賞をするか否か。
走馬灯のように年月が過ぎていく中、
ズバッと突き入れられるリアリティを受け止められるか否か。
この辺りにあると私は思っています。


本作は主人公への共感による感情移入よりも、
自分とは異なる価値観を持った存在が
人間社会にぶつかる姿を通じて感動してみたり、
異端から人間についてあれこれ考えてみたりする所に妙味がある作品だと思います。

何せおおかみこどもなわけです。
人間である我々が仲間意識を持つのはなかなか難しい。

鑑賞者の中にはむしろ、
人間の方をかばいたくなった方も多いのではないでしょうか。
そしてそれは極めて人間的な反応だと思います。

こうして人間側に立った時、
おおかみこども母子に人間社会から襲いかかる困難の数々は、
鑑賞者には我々人間への糾弾と受け取られかねない。

それらに対する反発が、実際の人間社会はこんな冷たい反応はしない。
といったリアリティの側面からの人間弁護となって噴出。
或いは、これはファンタジーアニメの唐突なリアルの挿入だ。
といった抗弁となって、賛否両論で紛糾したものと思われます。


私の場合はむしろ、こうした細田監督の心をチクリと刺してくる部分が好物。
本作で大口スポンサーや日テレに囲われて、細田監督が丸くなってしまうのでは?
と懸念していたくらいなので、
心に痛みもしっかりと感じることができる
本作をぶつけられて嬉しかったくらいです。


構成面では二時間映画に母の子育て奮闘記の半生を凝縮したプロットがお見事。
だからと言って総集編になって味気なくなることはなく、
ちゃんと印象的なシーンで山場を作って来る。
その山もキチンと谷を見せたからこそ映えたのだと私は思います。

細田監督にはこの先も万人受けするアニメを量産する天才より、
例え評価が分かれてもエッジの効いた作品で
ハートを刺激する鬼才であって欲しいと思った……。

私にとっては痛みも含めてとても心に残っている逸品です♪

投稿 : 2017/03/24
閲覧 : 394
サンキュー:

47

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