めいろ＊ さんの感想・評価

4.2
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態：観終わった

俺は真の男女平等を願う者。

原作から流れて一期を視聴しました。
あまりにも面白かったので、今回は二期視聴という運びになりましたが、一期、二期とこうしてコメントを綴るのはもしかすると初めてかもしれません。


確か一期についてのレビューに、僕は「クズとクズとその仲間のクズ達がとことんクズいシナリオを構築し続ける真の意味でブレない秀作」だと綴りました。

これはもちろん酷評ではなく、そういう類でブレる事のない作品としての本質を目指した秀作であるという評価でしたが、今回はどうでしょう。


二期を通して、カズマの事がより好きになったという人がいるでしょうか。
二期を通して、アクアの事がより好きになったという人がいるでしょうか。


きっといるでしょう。本来、作品というのはその舞台で活躍するキャラクターがストーリーを追うごとに、そのキャラクターとしての本質を知っていくことになるので、”より好きになる”というのは至極当然な感情だと思います。

しかしどうでしょう。
今ふと、彼らの事を思い浮かべるのですが、浮かんでくる情景は果たして”より好きになる”に値するものでしょうか。

僕が今ふと彼らの事を思い浮かべたその情景は、ボスのスライムが実は滅茶苦茶強い設定であることを知ったカズマが一目散に逃げ出すシーンと、アクシズ教の本拠地という事で調子に乗ったアクアが謎に占いをしているシーンです。

いやいや、普通こういう時に思い浮かべるシーンと言うのは、身を呈して仲間をかばうシーンだとか、この世の悲しみを憂いて涙を流すシーンだとか、もっとこう、上方的な感情の湧くところだと僕は思うのですが、どうでしょうか。


僕は男性ですので、比較的女性キャラクターに対しては好意を寄せやすい傾向にあるはずですが、本作品はどうでしょうか。


と言うところで、題名に回帰します。



「俺は真の男女平等を願う者。都合のいいときだけ女の権利を主張し、都合の悪いときは男のくせにとか言っちゃう輩は許さない人間だ。」


と言うのはもちろんカズマの台詞ですが、本作品の本質的なところは、意外とやはりこの主人公であるカズマからきているのかなあと思うのです。

いつだって本作品はどこか粗雑で、軽はずみが高飛びをしているような作風でした。
にも関わらず、なかなか落としどころは落として、滑らない。
白雲の中に綿菓子を混ぜて、綺麗に綿菓子だけ絡め取っているような、なんとも上手い作品だと再認識しました。

それがカズマ、及びアクアのキャラクターからも読み取ることができますが、良いところなんて微塵も見せないのに、結果的には良い方向に収まりを見せているその様を、僕は何と形容しようかと日々悩んでいるところです。


コメディ系の作品と言うのは、その作り方を繰り返すと飽きが来るのも早いと言うのは、一発屋という芸人のジャンルがあるように、意外と初回の反応だけで終わってしまうパターンが多いのかなと感じます。

それを見事に打ち破っている本作品。何か特別なものがあるのかなあと思いますが、果たして。