「亜人ちゃんは語りたい(TVアニメ動画)」

総合得点
86.5
感想・評価
1113
棚に入れた
5433
ランキング
192
★★★★☆ 3.7 (1113)
物語
3.8
作画
3.7
声優
3.8
音楽
3.6
キャラ
3.9

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Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

亜人と書いてデミと呼ぶ由来…

この作品の原作は未読ですが、私の中で花丸急上昇中の本渡さんが出演されると知り視聴を決めた作品です。
そう…視聴のきっかけはたった一人の声優さん…でも、完走して振り返ってみると、この作品を視聴して良かったと本気で思える作品でした。
きっと冬アニメBEST10でも上位に入ると思います…そのくらい私のツボに入った作品でした。

この物語の主人公は、高校で生物学の教師をしている高橋鉄男…
彼は学生時代から亜人に興味があったのですが、亜人の絶対数が少ない事から出会える事が無く亜人への情熱を失いかけていました。

ところが、新しい1年の始まりを告げる春…高橋が教鞭を振るう学校に突如亜人がやってきたんです。
バンパイアの小鳥遊ひかり、デュラハンの町京子、雪女の日下部雪の3人が生徒として…
サキュバスの佐藤早紀絵が教師として…
高橋の身の回りに一気に4人もの亜人が…しかもみんな女の子でみんな可愛いという特典付き…
きっとこれまでの学校生活が一変したであろう…高橋先生の物語が動いていきます。

亜人と書いてデミと呼ぶ…
そんな事はこの作品を見るまで全然知りませんでした。
だから例えばあにこれの棚を整理する時も「あじんちゃん…」と呼んでましたし、50音順に並べる時も、ア行の作品として並べていました。

そもそも「デミ」とは、デミ・ヒューマン(demi-human)が由来だそうです。
姿は人間のようですが、人間とは違った特徴を持つ人間と似て非なる伝説の生き物…これが亜人という訳です。
確かに「あじん」より「デミちゃん」の方が親しみの持てる呼び方だと思います。
物語の中で若者たちの呼び方…と言われていましたが、呼び名一つとっても作風や登場人物に合わせようとする原作者の拘りが感じられる部分なんじゃないかと思います。

「あじん」の読み方の方が世の中一般に通っている呼び名だと思います。それを「可愛いから」を理由に、ゼロから出発する心意気…原作者の作品に対する愛情の現れなんじゃないかと思えます。

でも、そんな感情を抱くには十分過ぎるくらいデミちゃんたちは魅力的です。
見た目は普通の女の子…だけどデミちゃんと呼ばれる以上、明らかに人とは異なる部分があります。
きっとその違いは何度も少女の心に傷を付けた事でしょう…
時には少女だけじゃなく家族をひっくるめて悩んだ事も一度や二度では無かったでしょう…
それでも気丈に前を向いてこれまで生きてきたのでしょう…

だから今回は高校入学ですが、いつも新しいステージに上がる時には不安に圧し潰されそうになるんだと思います。
「ちゃんと友達できるかな…」
「その前に…受け入れて貰えるかな」
いくら一般社会の中で生きる術を得たところで、その絶対数の少なさから物珍しさに変わりはありません。
それに高校生は多感なお年頃である上、デミ特有の悩みだってあるんです。
デミは普通の人間と何も変わらない…それはただの個性だ…と何も知らず呪文の様にその文言を刷り込まれてきた人にデミ特有の相談なんてできません。

そんな彼女達の学校生活を明るくする材料がデミ同士の結束であったり、高橋先生との出会いだった…
そう考えると、運命が良い方向に転がってくれたんだと思います。

それは高橋先生にとっても一緒…
最初は興味本位だった…だけど、一人…また一人と接しているうちに興味本位じゃダメで、デミちゃんたちと真剣に向き合う必要を感じた…
だって、デミちゃんがぶつけてくるのは本気の悩みだったから…

接するうちにデミちゃんの色々な部分が見えてくるのですが、実はこの展開が結構熱いんです。
小鳥遊ひかり…バンパイアの女の子は痒い所にまで手が届くお気遣い屋さん…
間違っている事ははっきり間違っていると主張できるバンパイアは、いつも笑って余裕がありそうに見えるけれど実は糸が切れる寸前…なんて事もしばしば。
だけど彼女がそんな衝動に突き動かされるのは、約束を交わしたから…
物語の中で結構良い事を言っています。
彼女の言動に涙する事が一番多かったかもしれません。

町京子…世界に3人しかいないディラハンの女の子は、真面目でちょっと甘えんぼさん…
頭と胴体が分離しているのってやっぱり不思議…
どうやって意思を胴体に伝達しているんだろう…
緑色の炎の中はどうなっているのだろう…でもきっとそこは絶対領域なんだろうな…
目標を持ったら生徒3人の中では一番底力があるのではないでしょうか…
何より彼女の優しさには癒してもらいました。

日下部雪…雪女の女の子は、一番の怖がりさん…
だって雪女にまつわる伝承って悲しい物語が多いから…
だから自分の事が分からないのが一番怖いんだと思います。
彼女が怖がりなのは臆病だからじゃない…優しいから思わず考えずにはいられないんだ…
雪女の悲しみを現代に持ち込まないよう振舞う彼女…
だからこそ心からの笑顔に涙したんだと思います。

佐藤早紀絵…サキュバスの先生は、日頃からデミの体質と戦っている頑張り屋さん…
朝早くから夜遅くまで仕事を頑張るのはサキュバスの性質も相当手伝っていました。
普段のしゃんとした先生も良いと思いますが、個人的には家でビールを飲みながら本音トークをぶちかましている時が一番好きです。
でもそれだけ普段自分を抑圧しているという証に他なりません。
サキュバスの特性について高橋先生と議論している時の佐藤先生…
あの気持ちがきっと彼女の本心なんだろうな…
そうそう、町の相談に乗ってあげた時の佐藤先生も抜群だったと思いますよ。
きっと心の抑圧からの解放を願っているのではないでしょうか…

悩める女の子が4人結束するとどうなるか…とてもつもないパワーを感じる事ができます。
これまでただ夢中だったから考えもしなかった…
自分は何のため…誰のために動いているんだ…
高橋先生がそんな葛藤の中でもがいている時、彼女たちはどんな手を差し伸べるのか…
私にとって何度見ても泣けるシーンです。

こんな彼女達とその家族が織りなす優しくとても丁寧に描かれた作品…気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングテーマは、TrySailさんの「オリジナル。」
エンディングテーマは、三月のパンタシアさんの「フェアリーテイル」
どっちの曲も大好きでした。それにどちらも背景のアニメにピッタリなんですよね。
例えばオープニングのAメロでひかりのちょっとお茶目な仕草や雪の表情なんかととても印象的です。
エンディングのクレヨンをピアノの鍵盤に見立てた構図もGOODだったと思います。

1クール12話の物語でした。
時に心が温まり…時に心に染み入る珠玉の物語だったと思います。
もう何度泣いたか分かりません。
冬アニメのBEST10の作成が楽しみです。

投稿 : 2017/04/03
閲覧 : 305
サンキュー:

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