「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ Ⅱ(TVアニメ動画)」

総合得点
68.9
感想・評価
475
棚に入れた
1816
ランキング
1895
★★★★☆ 3.6 (475)
物語
3.4
作画
3.8
声優
3.7
音楽
3.6
キャラ
3.5

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ネタバレ

pister さんの感想・評価

★★☆☆☆ 1.4
物語 : 1.0 作画 : 1.0 声優 : 3.0 音楽 : 1.0 キャラ : 1.0 状態:観終わった

サークラガンダム

多分自分は他の方とは違う感想を抱きながら見てました。
そして一応正月ごろに下書きを書いてはおいたのだけど、最終回までは保留ってことにしておきました。
ということで、まずは正月頃に書いた感想から──


{netabare}「1期でシリーズ終了させておけばまだ言い逃れのできた問題」が表面化←タイトル

いやぁ二期一話冒頭のナレーションで自分ひっくり返りそうになりました。
まさか一期での鉄華団の行いを全否定してくるとは…。
ナレを要約すると、主人公達の働きにより世界各地で紛争が起こり、少年兵やスペースデブリの価値が上がった。
つまりは一期での鉄華団やクーデリアの活躍は「かつて自分達が受けた仕打ちと同じような(またはそれ以上の)目に遭う人間を増やす結果となった」からスタートの二期。
へー、一期をここまで否定するとはこれまた思い切ったことするなぁと感心しつつ、でもこれって一期(単体)の評価も下げざるをえないよなーと思ったり。
とりあえずこの落とし前を付けるのが二期のメインストーリーかぁ、と思いながら視聴。

…なのだけど、どうにもそっち方面へは話が一向に進まない。
ぶっちゃけ一期の頃から薄々感じてはいたのだけど、これって…茶番が過ぎないか?
下剋上とかのし上がりとか言えば聞こえはいいけど、鉄華団の実態は「虐げられてた側から虐げる側の“末席に座った”」だけ。
(「虐げる」の部分を搾取するや支配すると言い換えてもいい)
どんなに鉄華団がのし上がろうともその先にあるのは「一期のコロニーで民衆に向けて銃を撃った機動隊だか治安部隊だか、そのポジションに鉄華団が置き替わるだけ」でしかない。
そうしてる間にもかつてCGS時代に自分たちが受けたような体験をしてる人間が増産されていってるワケで、最後は第二第三の鉄華団が現れてそいつらに殺される未来しかない。
悲しいかな、わざわざ“末席に座った”で強調して書いたように末席でしかなく、正真正銘の「虐げてたヤツ・搾取してたヤツ・支配してたヤツ」への追及が無い限りはそいつらは相変わらず安全地帯に居るままで、何かあった時はそいつらの体のいい尻尾切りに使われるのがオチ。
つかヤクザ映画(というかVシネ)ではよく使われてるテーマだと思うのだが…最後主人公がチンピラ(壊滅させた対立勢力の残党、新進勢力など)に刺されて死ぬエンドとか見たことないかな?
そういった泥沼から抜け出せない、お天道様に胸を張って清廉であると言えない(清廉であるなら恨みを買うのはお門違いだと突っ撥ねられる)のがヤクザものの醍醐味だと思うのだが…。

といったことを正月に友達に話したらチリンの鈴を見させられました。
うん、まぁそういうことだ、こうなる未来しか存在しない、普通は。

ただ恐ろしいのは、この作品はその「普通」がどうにもズレてるっぽい。
例えば「泥臭い」だけど、普通に言われる泥臭いってのは「泥水をすすってでも生き抜いてやる」っていう心情の比喩だと思うのだが…。
(言い換えると、生き抜くためなら普通の人ならやりたくないような汚いことでもやってやる、ってことかと)
単に農業やればいいって思ってるなら農家の人に土下座しろだし、ただ泥にまみれてさえいればいいのなら女の子同士の泥レスは泥臭いってことになってしまう。
で、この作品が泥臭いかというと…全然ですやん。
鉄華団連中は生き抜くために必死かといったらそうでもないし(魚が食えないのはまだしも、豆が嫌いだから食わないとかいいご身分じゃん)、それ以前に、なにより…その…鉄華団的に“やりたくないようなことが降りかかってこない”。
ヤクザになったクセに信条に反する仕事が回されてこない、どんなホワイト企業なんだ?
あの世界のヤクザならシノギにデブリの売買や、それこそ旅客機襲ってデブリの収穫とかやってるものだと思うんだけどなぁ。
けどそういった仕事は鉄華団には回ってこない、というよりそもそもそんなことやってるかどうかすら描写はされない。
「見せなきゃ存在しない」は無いでしょう、デブリの需要が高まったって言ってしまった以上。


──と、こんなことを正月明けくらいの時期に下書きしといたのでした。

要は鉄華団は“火星やコロニーなどの限定的な範囲ではなく「宇宙全体の人類から見たら」”世間をお騒がせしてる迷惑者で、死んでくれねーかなーと思われてる存在なんだろうと解釈してました。
鉄華団の働きを受けてデブリ収穫が盛んになり、家族を失った人とか居るでしょ?居るよね??
で、そう思ってた自分からしたら、後半の壊滅エントは思った通りの展開で納得の出来…かといえば……

そんなワケあるかい

なっかなか壊滅の兆しが見えないうえにやっと始まったかと思えば雑すぎる脚本。
名瀬が殺されたのは当然の結果としか自分には見えないし、その回(名瀬が死ぬ回)でのタービンズの回想シーンなんて“汚い仕事をしてる素振りを全く見せず”気味が悪くて仕方なかった。
悪役を悪役として描いてないっていうか…ヤクザなんでしょ?慈善事業家じゃないの、あれじゃあ。
元は鉄華団が親父や兄貴分を差し置いて勝手にシマを広げ、それは当然叔父貴分(ジャスレイ)も差し置いてたことを指し、本来ケジメを着けなきゃいけない案件を親父と兄貴分が「まぁよかろうなのだ」と大目に見てしまったのがコトの発端かと。
要は上の連中の顔に泥を塗るマネをし、それに叔父貴分が不満を抱き、同時になあなあで許してしまった連中も不満の対象とするのは当然の結果かと。
そして叔父貴分が殺される回、ジャスレイがまだ調子乗ってたAパートで鉄華団をディスる台詞を吐くのだけど、鉄華団はゴミ組織なんだと思ってた自分にはことごとく正論に聞こえました。
が、Bパートではそんな正論を吐いたジャスレイに惨めな命乞いをさせ、あたかも「鉄華団に悪印象を持つヤツはこんな情けないヤツばっかなんだ」と印象操作してるかのような内容。
なんなんだろう、鉄華団を悪い組織に見せたいのか良い組織に見せたいのか…演出的には後者っぽいのだけど、やってる内容自体を俯瞰で見るとゴミ以下のクズ組織で、どうにも違和感が半端ない。

というかね、そもそも“火星やコロニーなどの限定的な範囲ではなく「宇宙全体の人類から見たら」”の視点が全くない。
世界(の人々)からどう思われてるのか、逆に世界(の人々)に対しどう思ってるのか、そこに全く目を向けようとしない。
他の作品の感想でもよく書くけど、一般大衆を書かずにやれ戦争だ人類の危機だやられるのは気持ち悪くて仕方ない、新興宗教か連合赤軍かっての。
ある程度は予算の都合で大衆なので描いてらんないのだろうなーと看過はしてるけど、ガンダムでそれー?
火星でMAが起動したってのもどう報道されたのか全く不明だし…全貌が詳らかにされたらイオクは失脚レベルだし、そんなおっかない不発弾(MA)が他にも眠ってるかも知れない火星なんて経済圏は撤退しそうな?
また、大衆は描かずともその接点・代弁者としてクーデリアが配置されるのだろうと思ったら全くそんなことは無く、むしろハーレム脳の異常思想家になったし…。
一期で「世界を知らなすぎた」だの「もっと知らなくてはならない」だの言ってたのは何だったのか、一夫多妻制を知らなかったって話か?
メカニックのオッサンも(鉄華団の進む方向が)良くないことだと分かってても「なんか言う気になれない」って、それ他人事ってことですやん、家族じゃない。

結局、鉄華団のやったことって無自覚のサークルクラッシャーが叱られたら逆ギレしたってだけかと。
名瀬がテイワズに招き入れなければジャスレイも大人しいまんまでタービンズも健在だったんじゃね?と思うと…ねぇ?
これは教育とか教養とは関係ない、被害者面して周りに目を向けようとしなかったただの間抜け。
オルガが撃たれたのだって周りにどんなヤツが潜んでるか考えなかったアホ行為が招いたものだし。
そしてそんな間抜けはマクギリスにも伝染って…マクギリスのアホっぷりは他の方も書かれてるので割愛。
ヒットマンやダインスレイブについても…割愛。

んで最終回、それまで死んでく鉄華団メンバーがみんなやり切った感でこれまた違和感。
誰も反省しないのね、散々迷惑かけておいて。
正論吐いたジャスレイに死ぬ前あんな惨めな演技させといて、鉄華団の連中は誰もみっともない姿を見せないのね。
鉄華団が暴走したのは親父と名瀬の依怙贔屓のせいなのに当の親父は安穏としてますか、へぇ~。
デブリ禁止条約締結でめでたしめでたし…にするなら、鉄華団がデブリ商人にちょっかい出して、その背後にギャラホやラスタルが居てさぁ大変って内容でもなきゃ唐突すぎる、何故それをやらなかった?
更に呆気にとられたのが、生き残りが顔も名前もそのまんまで平然と生活してること。
いや、百歩譲ってラスタルも知っていながら主要幹部は始末したしもういいかと“お目こぼし”をしたんだろう、と思ってたらノブリス射殺してるし。
お目こぼししてくれたラスタルの顔に泥を塗りますか、また。
ノブリス殺したの誰だ→鉄華団の生き残りだ→あの時取り逃したラスタルが悪い、ってなりますぞ?
こりゃギャラルホルンの総力を挙げて鉄華団の残党も一人残らず殺さなきゃ面目丸潰れですなぁ、逃亡に協力したヤツの洗い直しもされるかもねー。
(ってかそもそも勝ち戦でイオク死なせたラスタルがトップになるってのもおかしいけど)

これってひょっとして脚本家自身が「どういうことをしたら相手の面目を潰すか」っての理解してない?
どうやら女性らしいけど、ナチュラルでサークルクラッシャー?
自分が悪いのかも?と微塵も思わない系?
ID書き換えで過去を清算できるならドカベンが鉄華団に居る意味無いし、経済圏撤退で火星が潤うのも意味不明だし、ギャラホによる実行力(強制力)の低下した中でデブリ禁止条約結んだって意味ないし(ってか調印した片方は何かと理由を付けて条約禁止のダインスレイブを使用しまくった張本人なのだが)、国家があるでもないのに民主的だとか…。
他にも突っ込みだしたらキリが無いけど、ちょっとその…もう少し常識を身に着けて欲しいと思わざるを得ない。
大衆を描かなかったのも常識が無いからじゃ?と疑ってしまう。
というかさ、CGSの元社長、名瀬に炭鉱送りにされただけで生きてるよね?
名瀬が死んだ時点で放免されてそうだが、火星に戻ってきたら「ほれ見たことか、オレの言う通りにしてりゃこんなことにならかったのによ」と鉄華団の墓にションベンかけそう、ってか自分だったらそうする。
無常感を描きたいならそれくらい描いてくれんとなぁ、本当なら死に際に後悔したり懺悔したりさせなきゃいけないんだけどさ。{/netabare}


総論としては──
マスロスΔがあんなんで「もうこれ以下はそうそう作られないだろう」と思ってたらあっという間に現れてビックリです。
ワザと狙って駄作を作ろうとしてもこうはならないような?

投稿 : 2017/04/05
閲覧 : 307
サンキュー:

10

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