「WHITE ALBUM2(TVアニメ動画)」

総合得点
77.7
感想・評価
1110
棚に入れた
5605
ランキング
588
★★★★☆ 3.9 (1110)
物語
4.0
作画
3.7
声優
3.9
音楽
4.1
キャラ
3.9

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雀犬 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 1.5 状態:観終わった

近くて遠い世界の話

僕は懲りない男です。
WHITE ALBUMに手を出して大火傷をしておいて、
その数か月後にはWHITE ALBUM2を見ているのですから。

今回僕の前に立ちはだかったのは北原春希という男。
クズ主人公四天王としてその名を轟かせる悪童です。
だけどもWHITE ALBUMの藤井某ような絶望感はなく、
このアニメは普通に面白いと感じた状態で完走することができました。

WHITE ALBUM2はストーリーが明快です。これがすごくありがたかった。
ボーイ・ミーツ・ガールから始まってスリーピースバンドが結成され、
学園祭ライブという物語の核となるイベントがあり、
そこから3人の結束に綻びが生じ、
最後には関係が破綻する。
非常に起承転結がはっきりしています。

やがてクライマックスの場面になり、
音楽と演出で「ここが泣きどころだよ」と教えてくれる。
でも僕の眼球は乾いたまま、心を揺すぶられることもなく、全くの無風状態。
なんだろうこの気持ち。見終えた後の虚無感は。
僕の目には春希と2人のヒロインが宇宙人のように映ったのです。
画面の中で抱き合う男女の姿を、遥か遠い場所から眺めていたのでした。

やはり気になるのは春希の性格。
エロゲは主人公の行動をプレイヤーに選択させて進行するスタイルですから、
彼の無神経さ、お節介な行動、鈍感力は多くの選択肢を可能にする、
ゲームを作る上で非常に便利な性格といえます。
ヒロインがひどい目にあったとしてもプレイする側は罪悪感を持たなくて済むのかもしれない。
しかしそれもゲームの中に限った話です。
アニメになった時、彼のキャラは不愉快でしかありません。
かずさは作中で何度も「お前、うざいな」と言います。
そう、彼はうざいのです。

雪菜は男の願望を具現化した女神様のような女性だし、
かずさはあまりにも極端な、記号化されたツンデレで現実にこんな女性はいません。
彼女たちに感情移入することもまた難しい。

身もふたもない話をすれば、アニメのキャラなんて現実離れしているのが普通です。
しかし通常はラブコメのように話自体もデフォルメ化されるので違和感を感じることはあまりありません。
リアルな恋愛を描く場合は登場人物の性格や思考、心理描写にリアリティを持たせます。
一般的なアニメやマンガのセオリーです。
ところがこのアニメ、登場人物にリアリティがないのに本格的な恋愛ドラマをやっています。
それがどうにも僕には受け付けません。

「不気味の谷」という法則をご存知でしょうか。
人の好感度は機械的なものから人間的なものになっていくにつれて上がっていくのですが、
ある時点でひどく嫌悪感を感じるようになります。
そこからさらに人間に近づくと急激に共感が高まっていく、というロボット工学における経験則です。
ネット検索すると好感度グラフが出てくるのでそれを見ると分かりやすいかと思います。
ようは現実と非現実の境界には、違和感・不快感を強く感じるゾーンが存在するこということ。
僕にとって本作はまさにその「谷」に位置するのです。

このアニメは原作者自身が脚本を書いているのですが、
どうもエロゲ的なキャラを書くことに強いこだわりがあるようです。
2人のヒロインはもちろん、嫌われ者である春希ですら彼は愛しているのです。
原作にはどうして彼がこんな性格になったのか明らかになる過去エピソードがあるのだとか。
なんでわざわざそんな面倒なことをしてまで・・・と思ってしまう。

エロゲからゲームという形式を取っ払ってそのままアニメにすると
こんな不自然なものが出来上がるということでしょうか。
視聴を検討されている方は、恋愛アニメである以前にエロゲアニメだという認識で見ることをお勧めします。

投稿 : 2017/08/06
閲覧 : 349
サンキュー:

21

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