退会済のユーザー さんの感想・評価

3.3
物語 : 2.0 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 2.0 状態：観終わった

一見SFアニメ。しかしそこに潜む「理不尽」

天体のメソッド。このアニメをご覧になった視聴者はどのような感想を持つのでしょうか
「キャラが可愛かった！」「感動した！」
そういった感想を抱く人がいるのも何もおかしいことではないと思います。実際、キャラデザも作画も良く、ラストの大団円は感動的なものではありました

ただ、私がどうしてもこの作品に好評価をつけられない理由が、そのストーリー内容(脚本)にあります。
何というか、この作品を1話1話見ていってどんどん心の中に積もっていくのが、面白い！といったものではなくただのモヤモヤやイライラという他にないのです

1話で現れるUFO、宇宙人のノエル。SF好きの私にとって、その先のストーリー展開には非常にワクワクさせるものがありました。
しかし、蓋を開けてみれば人間同士のいざこざやギスギスしたその人間関係をまじまじと見ているかのような、昼ドラ的な内容であったというのが正直な感想です(別に昼ドラを否定しているわけではありません)。SF要素は添え物程度にしか存在しませんでした
それでも最後は{netabare}皆仲直りのハッピーエンド{/netabare}。良かったねという感想を持つのかもわかりませんが、どうにも感情移入することが出来ないのです。そしてそこに至るまでのプロセスが本当にしんどい

例えば序盤、柚季という女性キャラクターが登場しますが、彼女の言動に違和感や不信感を持った視聴者も多くいるのではないでしょうか？
この作品の重要な設定として、{netabare}「主人公は過去にこの町で過ごし、アニメの登場人物とも一緒に過ごした経験があるが全て忘れてしまっている」{/netabare}というものがあり、キャラ同士のいざこざは主にそこから生まれます
アニメの冒頭で、{netabare}過去の思い出を忘れてしまっている主人公に、柚希は罵声とビンタを与えます。主人公にしてみれば初対面の人間に叩かれる理不尽極まりないシーンですが、彼女をそこまでさせる理由があるのかと私は考えました。しかし理由は上記のようなもの、正直そこまでするほどのものかと疑問に思いました。(世間一般的に幼少期の思い出なんて大抵忘れていても仕方ないし自然なことでしょう){/netabare}

その後も{netabare}UFO反対活動{/netabare}とストーリーは続いていきますが、見ていて思うのが、例えは悪いのかもしれないのですが

【まるで意見の全く噛み合わない政治論争番組を延々と見ているかのような錯覚に陥る】

というものです
そして何より主人公が受ける仕打ちがどことなく理不尽で不憫極まりないのです。そこまで騒ぐほどのことでもないんじゃないの？というシーンがこのアニメでは多々見られる印象を受けました。何故かヒステリックに怒り出したりそれぞれの行動理念が常識から逸脱していたり、キャラクターの言動に合理性を感じることが出来ませんでした

このアニメを見て私の中にどんどん積もっていったモヤモヤやイライラというのはここから来ていると思っています。そしてその可愛らしいキャラデザインからのミスマッチが更なるモヤモヤを産むのです

様々な壁や障害を乗り越えてこそ友情は強く結ばれる。しかし、どうにもこの作品に潜む理不尽さがそこへの感情移入を阻んでしまいます

このアニメを見たのも2年ほど前で、自分自身抜けているところがあるとは思いますが、当時の感想はだいたいこのようなものでした

正直、OP、ED、キャラデザや舞台設定はそのまま。あとはごちうさやのんのんびよりのようなほのぼの日常系アニメのようなストーリー展開をし、ラストで{netabare}ノエルとお別れ{/netabare}というものの方が面白いものになったのではないかと思います

ただ、この作品において非常に評価するべき部分があることも事実です。
それは【EDムービー】です。
「非常に評価」というより、深夜アニメの中では【最高傑作】であると信じています
特に注目する部分が、キャラの自然な動作と重心移動にあります。が、こればかりは実物を見ようと言った方が早いでしょう。カメラワークや演出、曲自体も素晴らしいものです
当アニメのEDの絵コンテ、原画、演出を全て1人で手掛けた江畑氏には称賛の一言では尽きません

【総論】
オススメしないとまでは言いませんがもう一度見たいとはどうしても思えませんでした。人を選ぶアニメだと感じます。ノエルと高クオリティなEDがこの作品の癒しです