「イヴの時間 劇場版(アニメ映画)」

総合得点
78.2
感想・評価
1413
棚に入れた
7616
ランキング
556
★★★★☆ 3.9 (1413)
物語
4.1
作画
4.0
声優
3.8
音楽
3.7
キャラ
3.9

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takumi@ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

人と心を通わせたいアンドロイドの想いはコーヒーのあたたかさ

演出、原作、脚本、監督を吉浦康裕氏が手がけたCGアニメ作品。
各話15分程度、全6話のOVAもあるが、通しで観るならこちらがオススメ。

人間と機械の共存、がテーマ。
機械とかロボットって呼ぶにはあまりにリアルな人型で、
体温が伝わってきそうなほどなアンドロイド。
美しいアンドロイドが家事全般を請け負ってくれる近未来は
そんなに遠くなく感じる昨今だが、彼ら、彼女らに心は宿るものなのか。

ある日、自分の家のアンドロイドがコーヒーの淹れ方をいつもと変えた。
彼女は、喜んで欲しかった。
アンドロイドのほうでも人間を家族として、理解したがっているという事実。
しかしマスターである人間のほうは、いつもと違うことを勝手にする彼女を叱る。

そんな想いのすれ違いをきっかけに、時にコミカルに、また時にほのぼのと描きつつ、
同時にアンチな人々も描かれており、TVで繰り返される倫理委員会のCMが印象的。

アンドロイドと人間を区別しないことをルールとした喫茶店「イヴの時間」の存在。
ここを訪れた主人公リクオとその友人・マサキ。
2人の考え方の違い、ロボットに対しての向き合い方と本音、そして過去が
うまい具合にシナリオに溶け込んでいた。

どうすれば傷つかずに済むのか、何をすればいいのか、どう話せばいいのか。
そんな風に思う気持ちは、相手がアンドロイドでも人間でも変わりはしない。
心を通わせたいと思う相手となら、誰だって同じはず。
差別意識や先入観といったものも、この作品のテーマとして根底にあると思う。

顔の見える相手に、年齢を聞く、住んでいる場所や出身、仕事を聞く。
そんなプロフィールから人は無意識に先入観を持ちやすい。
またネットなど顔の見えない相手にも、年齢や性別をまず聞く人、気にする人が多い。
失礼や不愉快にさせることがなければ聞いても聞かなくても同じだと思うが
何気ない日々の中で僕らは、多くの先入観と思い込みだらけで
過ごしてしまっているものなのかもしれない。

普段、人形を作っているので、
道具も含めてモノ達にはみな、寿命的なものもあるし魂みたいなものも
宿ってると信じたい部分があり、大切にしているから
アンドロイドが家にいてくれるような時代が来たら、僕は間違いなく
作中に登場した「ドリ系」として分類されるのだろうな(笑)

とにかく、決してありえなくもない展開だったし
こんな時代がもうすぐそこまで来ているんだなって感じた良い作品だった。
マグカップになみなみと注いだコーヒーも、なんだかとても美味しそうで
作画も綺麗だったし、Kalafinaの唄うED「I have dream」も良かった。

ただ、続編があると聞いていたものの、その後何も発表されていないようで。
それがとても残念。続編が制作されたらぜひ、観たいと思う。

投稿 : 2013/01/31
閲覧 : 657
サンキュー:

52

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