「少女終末旅行(TVアニメ動画)」

総合得点
83.7
感想・評価
966
棚に入れた
3870
ランキング
309
★★★★☆ 3.8 (966)
物語
3.8
作画
3.8
声優
3.8
音楽
3.9
キャラ
3.8

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ネタバレ

チョビ0314 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

選択をし続ける旅路

放送終了からかなり経ちましたが、最後まで見た感想です。

チトとユーリの二人は一定の目標を達しました。
しかしその先どうなるかは分からないまま作品は締めくくられたが、この作品はこれが良かった。
{netabare}今いる階層より下にはもう生きている人間は存在しない、これは下には絶望しか無いという事。では上はどうでしょう…もっと上の階層…月…更には火星等の他天体。その先まで彼女たちが行ける保証はありませんが逆もまた然り。{/netabare}
いつかは彼女たちの旅も終わります…でもそれがいつなのかは不確定、それでいいのです。

さて、この作品は二人の旅人が様々な事柄に触れ、その度に色々な選択をする物語でした。
その選択の仕方、特にユーリの選択がとても興味深かったです。

以前とある女性教授の実験結果を視聴しました。
その実験とは西側と東側、同年齢の若者にある選択をして貰う実験。
内容は「あなたの前に5種類のジュースがあります。どれを飲みますか?」という感じ。

西側の人達の答えは「1を飲む」や「2を飲んでから1も飲む」や「3と4を混ぜてみる」等様々でした。
ところが東側の人達の答えは「飲むか飲まないかしかないだろ?」でした。
つまり皆が同じ物を食べるのが当たり前な共産主義において種類等はどうでも良く、重要なのは飲み物があったなら自分が飲むか飲まないかという二択しかないのです。
まさに二人…特にユーリの選択の仕方そのもの。
進むか止まるか、寝るか寝ないか、食べるか食べないか、撃つか撃たないか、生きるか死ぬか…基本的に二択。
そんな考え方をする彼女たちだからこそ、色彩や変化も乏しい世界を旅し続けられたのでしょう。
(途中で出会った二人も何となく達観してた感じですし)

原文で書いたモノクロに感じる世界観も彼女たちの考え方を表現していたのだとしたら、とても興味深いです。
もし自分が彼女たちと同じ境遇になったら、正直とてもじゃないけど同じ様に出来るとは思えません。
でも「絶望と仲良く」を知っていれば、多少は前向きに生き延びようと出来るかもしれないな…とか考えました。

作品の評価としては独特な雰囲気と世界観を感じつつ、文明の良い所と醜い所、人間の悲しみと喜び等を感じられる良い作品だと思います。
しかしある程度のヒントは出るが明確な答えは基本的に出ないので、考える余白を楽しめる人向けの作品と言えますね。
なんにしても変化には乏しいですが全体的に良く作り込まれた良作ですので、出来るだけ色々な人に見てもらい様々な感じ方をして欲しいな…と思っております。

↓以下原文↓
{netabare}少女終末旅行…まず1話を見て感じたのは孤独感でした。
「チト」と「ユーリ」女の子二人が、戦争後の滅びた世界を放浪する物語。
ただ彼女たちに悲壮感はそれほど感じられず、かなり淡々と話が進む様子から「風が吹くとき」を連想してしまいました。(風が吹くときはトラウマ系なのであまりオススメは出来ませんが、個人的には名作だと思っています)

世界には彼女たち二人しか居ないと思っていたけど、3話でゲストキャラ「カナザワ」が登場した事で少数ながらも他に生きている人間が居るという安心感から最初の印象は払拭されました。

後、もう一人のゲスト「イシイ」も登場。
そのゲスト二人が主人公の二人と出会う時の反応の違いが印象的でした。
イシイは即反応し、カナザワは少し間を必要としました、。
これは二人の性格もあるのでしょうが、境遇の違いも大きい要因だと思います。

イシイは一人で研究を続ける際に自問自答を口にし続けて居た様に感じました。その訳は二人に気がつく前に一人で結果を言葉にしながらメモした所です。
食料調達に多少外に出ても、主に研究施設内という孤独で限られた空間で暮らしていましたから、自我を保つ為の自己防衛に自然と自問自答の独り言を喋っていたのかもしれませんね。

カナザワは地図作成の為に行動しています。
様々な場所へ移動し探索するので確実に食料等を補給出来るとは限らないから、出来るだけムダを省く為にあまり言葉自体を使わなかったのではないかと…
そんな境遇の彼なので、主人公二人との遭遇ですぐに言葉を喋れなかった様に感じました。

それから主人公二人も様々な場所で滅び去った人々の歴史に触れ、食料と燃料を探索しつつ漠然とだが目的を定める内に色々な事に気が付き変化していくのが見て取れました。
例えば二人が立ち寄った廃墟で平穏な生活を想像したりしていましたけど、あれって子供の時に「理想の家」を描いた遊びみたいでしたね。
狭いながらも屋根がある部屋で休息できたのと「二人ぼっちではない」という安心から多少心に余裕を持てたのかな、とか感じられて微笑ましかったです。
ちなみに家具の置き換えの表現は「どうぶつの森」や「ハッピーホームデザイナー」っぽくて面白いです。
あと二人のコミュニケーション能力が徐々に上がっている気がしますし、今後の成長が楽しみですね。

最後にタイトルの「モノクロのカラー作品」について書いてみます。
本作は間違いなくカラー作品ですけど、時々色の存在を忘れてしまう感じがしました。
土が無い階層世界を延々と降り積もる雪が白く染め、灰色の構造物との対比は自然にモノクロ調が多くなります。
あと基本的に寒い世界の様ですから、炎やお風呂等の暖かさを感じさせる描写の色合いも実に対照的です。
更にこの作品は基本的にコンクリート調で巨大な構造物と小さな人物との対比も多く、色彩の二極化に拍車を掛けている感じますね。

他にも色々な魅力を感じる本作ですが、まだ途中なのでここまでにし最後まで視聴を続けたいと思います。{/netabare}

投稿 : 2018/02/21
閲覧 : 352
サンキュー:

39

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