「GUNSLINGER GIRL [ガンスリンガーガール](TVアニメ動画)」

総合得点
84.1
感想・評価
1142
棚に入れた
7489
ランキング
293
★★★★☆ 3.8 (1142)
物語
4.0
作画
3.8
声優
3.7
音楽
3.8
キャラ
3.9

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ネタバレ

STONE さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 5.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

幸福とは?

 原作は未読。
 今となってはそれほど珍しくなくなったが、放映当時は美少女と銃というコンセプトがまだ
新鮮だった記憶。この手のコンセプトの作品の先駆けだったような。
 視聴前はガンアクション満載の派手なアクションものを想像していたのだが、蓋を開けて
みるとかなり落ち着いた印象の静的な作品で、舞台がイタリアということもあるがまるで
ヨーロッパ映画を観ているような感じ。
 ここまで書いて気付いたが、設定やシチュエーションと言い、静的な雰囲気と言い、フランス
映画の「ニキータ」の影響などはあったのかも。

 基本的にはイタリアの政府組織である社会福祉公社に属する義体を与えられた少女達の任務と
日常を描いたもので、思いの外アクション部分は少ない。
 彼女達の環境を見るに、外部からの目としてはとにかく可哀想に思えてしまうのだが、悲惨な
過去や今の状態から脱する選択肢がないことを考えても、本人達にとっては担当官との繋がりに
喜びを見出す今の状態はそ幸せみたい。
 この少女達の担当官への思いだが、自身の感情によるものなのか、条件付けによる
ものなのか、定かではないところがこれまた悲劇的であるのだが、考えてみれば自身の感情に
よる愛情も人間という生物のシステムによるある種の条件付けとも言えるわけで、結局は幸福と
いうものは、それが客観的にどう映ろうが本人が満足していれば、それはそれでいいのかなと
いった印象を受ける。

 少女と担当官の関係に多くの描写が費やされるが、この関係性がそれぞれに異なるのが
興味深いところで、これが彼女達には失礼ながら犬のしつけを思い出してしまった。
 犬のしつけは唯一の正解というものがなく、ほうびと罰(条件付け!)を徹底したものも
あれば、極力命令など減らして信頼関係を築いていくものもあり、要は飼い主が犬を
コントロールできるようになれば良いというもので、担当官の接し方の違いがしつけ方の違いを
思わせてしまう。
 ジャン・クローチェやマルコー・トーニは冷淡に映るが、彼女達の悲劇を抱えることが
できない以上、一線を引いた接し方はそれはそれで正解に思えるし、逆に
ジョゼッフォ・クローチェやヴィクトル・ヒルシャーの対応などは人道的な優しそうなものに
映るが、それは後ろめたさから来る一種の偽善とも思えなくもない。

 ガンアクションに関してはエンターテイメント性を強めた派手なものではなく、かなり
リアリティのある比較的地味なもの。
 義体により強化された少女という設定がある種の荒唐無稽なものであるため、逆にこういった
部分でのリアリティさがうまいこと作品のバランスを取っている感があった。

 作画に関しては決して描き込みが凄いといった類のものではないが、全体的に落ち着いた
トーンのカラーが作品の雰囲気によく合っている。加えてイタリアの風光明媚な風景がいい味を
出している。

投稿 : 2017/12/10
閲覧 : 295
サンキュー:

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