「少女終末旅行(TVアニメ動画)」

総合得点
83.7
感想・評価
966
棚に入れた
3872
ランキング
309
★★★★☆ 3.8 (966)
物語
3.8
作画
3.8
声優
3.8
音楽
3.9
キャラ
3.8

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ネタバレ

STONE さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 5.0 作画 : 3.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

終わるまでは終わらないよ

 原作は未読。
 ベタな定番設定も決して嫌いではないが、他では観られない独特の世界観や設定を持つ作品は
惹きつけられることが多い。
 本作もそうでのっけからケッテンクラートで崩壊した世界を旅する少女二人という描写に一気に
引き込まれた。
 この旅の足であるケッテンクラートというチョイスがまた絶妙。他にも使われなくなった兵器と
して第二次世界大戦(以後WW2と表記)の兵器が数々登場するのがミリタリー好きとしては楽しい
ところ。
 ミリタリー要素に関してはWW2のものが大半で現用のものが無かったり、連合国と枢軸国の
ものがゴッチャになっていたりする点など、作品内では判らなかった謎が色々とありそうだが、
こういった部分は雰囲気的には「ソ・ラ・ノ・ヲ・ト」を思い出す。

 ジャンル的にはいわゆるポストアポカリプスもので、このジャンルの作品は文明崩壊による殺伐と
したものと、緩やかに終焉を迎えるものとあるが、本作は後者。
 この設定が寂寥感を伴った、緩いほのぼのとした空気を醸し出しているが、そんな中にシビアな
現実が所々に顔を出しており、この辺のバランスが絶妙。
 実際、主役であるチトとユーリの旅に関して、明るいタッチで描かれているが食料や燃料など
いつ尽きてもおかしくない感じで、更に何度か事故やアクシデントに見舞われたりと常に死と
隣り合わせといった感じ。

 基本的にはチトとユーリによるロードムービー的作品だが、多くのロードムービーが旅での
出会いを主軸に置いているの対して、本作はたまにゲストキャラが出てくるものの、ほぼこの二人
だけで話が成立してしまう。そういう意味では広大な舞台でありながらも密室劇的雰囲気を持つ
作品といった印象も。
 ほぼこの二人の会話で作品が成立してしまうという点はある意味凄く、そのやり取りがなんとも
言えない味わいがありつつ、他愛ない会話の内容の中にある種の哲学的要素が挟み込まれているのも
また良い。
 またかっての人類の残した遺物、事象、観念などに関する考察などは偏見などがない分、本質を
突いているような点が興味深い。

 作品内の世界はもはや文明の再興などは望むべくもない状況だが、それでもチトは日記を書き、
カナザワは地図を作り、イシイは他の都市を目指して飛行機を作る。
 人間って明日への希望がなくても、最後まで何かをせずにはいられないのかもと思ってしまった。
ED曲の冒頭じゃないけど、まさに「終わるまでは終わらないよ」といったところ。

 演出的には何度かあった特殊EDが音楽との親和性もあって、かなり印象に残る。
 作品の静的な世界を醸し出す女性コーラス主体のBGMも良かった。

2019/11/17

投稿 : 2019/11/17
閲覧 : 334
サンキュー:

11

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