「MONSTERモンスター(TVアニメ動画)」

総合得点
77.5
感想・評価
632
棚に入れた
3492
ランキング
602
★★★★☆ 4.0 (632)
物語
4.3
作画
3.8
声優
3.9
音楽
3.8
キャラ
4.0

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ネタバレ

STONE さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.5 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

サスペンスミステリーをベースに様々な要素が盛られた傑作

 原作は既読。
 全74話で、クールで言うと6クールとかなり長尺の作品。最近は原作がそれなりの長さで
あっても1クールや2クールに押し込まれてしまう作品が多い今としては、かなり贅沢な印象が
ある。
 長尺ゆえに多少の冗長さを感じられる部分があるものの、その分キャラの掘り下げが
ていねい。

 殺人の濡れ衣を着せられた医師が、警察から逃げつつ、真犯人を追い、その過程で様々な人と
出会うロードムービー的要素など、基本的な設定はアメリカのテレビドラマ「逃亡者(原題
「The Fugitive」)に影響されたものだと思うが、話はより緻密に、スケールはより大きく、
人間ドラマとしてはより深みを増したものに仕上がっている。
 よくこんな話を作れたなと、改めて思う。
 形としてはサスペンス、及びミステリー作品ではあるが、その中に医療問題、東西統一後の
ドイツの社会問題、共産主義政権下の闇、家族を軸としたヒューマンドラマなど、様々な要素が
盛り込まれて飽きさせない。

 長尺作品ゆえにキャラ数もかなりのもので、単なるゲストキャラかと思いきや、後にその
キャラの存在が別の部分で活きてきたりと、とにかく気が抜けない印象。
 このキャラ同士が思わぬところで結びついたりするのもよくできた話という印象がより
強まる。
 また主人公のケンゾー・テンマを始め、一連の事件を通して、変わっていく展開も見どころの
一つといった印象。
 中心となるのはテンマ、ヨハン・リーベルト、ニナ・フォルトナー(アンナ・リーベルト)の
3人だが、その他にも印象深いキャラが多々。
 あえて触れるなら全編を通じてストーリーに関わってくるハインリッヒ・ルンゲと
エヴァ・ハイネマン。いずれもテンマにとっては障害となるキャラではあるが、その心情たるや
単純なものではなく、ある種の歪みを持ったキャラゆえにいずれもドラマに厚みをもたらして
いる。
 ただルンゲに関してはメタ的にテンマを追う役目を負わされたためであろうが、テンマ犯人
説に囚われている部分はお馬鹿さんな印象で、敏腕刑事という設定にあまり信憑性が
感じられない。
 後半のキーパーソンであるヴォルフガング・グリマーも忘れがたいキャラで、後半においては
第二の主人公的存在でありつつ、ヨハンやニナとは違う形の悲劇の子供の代表格といった
側面も。

 話数としては前の方になるが、展開としてはハンスとカールのシューバルト親子が絡む
ミュンヘン大学の図書館の放火事件までが前半、以後が後半といった感じ。
 この前半は話数が少ない分、サスペンスミステリーものとしてのテンポ感が良い。
 後半はヨハンとニナのルーツ探しの側面もあり、濃厚な印象を持ちつつ、多少のだるさも
あったりする。
 この後半ではヨハンがニナに扮するというトリックがあった。原作を読んでいた時はそれほど
気にならなかったが、アニメのように声がついてしまうとさすがに無理があったかなあ。
 最終的には多くのキャラがドイツの田舎町であるルーエンハイムに集結することになる。
前半のミュンヘン大学もそうだったが、それぞれが違う道を辿りながら、一つの場所に集まって
くる過程はゾクゾクさせてくれる。
 この集約していく展開は凝縮された緊張感とも言うべき魅力を感じるが、スケールが大きく
なってしまった話を畳むために無理矢理押し込んだ感も。

投稿 : 2018/01/28
閲覧 : 406
サンキュー:

5

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